JP2735060B2 - プリント回路基板およびプリント回路基板の設計方法およびプリント回路基板作製装置 - Google Patents

プリント回路基板およびプリント回路基板の設計方法およびプリント回路基板作製装置

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JP2735060B2
JP2735060B2 JP7340452A JP34045295A JP2735060B2 JP 2735060 B2 JP2735060 B2 JP 2735060B2 JP 7340452 A JP7340452 A JP 7340452A JP 34045295 A JP34045295 A JP 34045295A JP 2735060 B2 JP2735060 B2 JP 2735060B2
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circuit board
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signal
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英樹 佐々木
高志 原田
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • HELECTRICITY
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不要な電磁波の放射
を抑えるプリント回路基板の構造、およびこのプリント
回路基板を作製する設計方法、およびこの設計方法を自
動的に実現するプリント回路設計装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、不要な電磁波の発生を抑えるプリ
ント回路基板の構造として、例えば電磁環境工学情報、
No.65、22〜30頁(1993年)や、特開平6
−187397号公報「プリント基板の配線処理方法」
に記載されているような技術が知られている。前記文献
および前記公報記載のプリント回路基板の構造を図14
および図15を用いて説明する。
【0003】図14は片面が信号層1、もう片面がグラ
ンドプレーン2で構成されたマイクロストリップ線路構
造の両面基板の一部を、信号層1側からみた平面図であ
る。信号層1には信号配線パターン3と、信号配線パタ
ーン3のない場所に、表面グランド領域4と、表面グラ
ンド領域4を裏面のグランドプレーン2と接続するビア
ホール5をもつ。
【0004】表面グランド領域を配置すると、表面グラ
ンド領域上の、信号配線パターンと接近する位置に、信
号配線パターンを流れる電流の帰路電流が誘導される。
この構造は信号配線パターンに対して帰路電流の経路を
近くに作ることができるため、信号配線パターンと帰路
電流の経路とがつくるループの面積を小さくすることが
でき、不要な電磁波放射を抑えることができる。
【0005】また、図15は図14と同様に、片面が信
号層1、もう片面がグランドプレーン2で構成された両
面基板である。信号層1には信号配線パターン30と、
信号配線パターン30と平行に配置した配線パターン3
1があり、この配線パターン31は接続元と接続先をビ
アホールを用いて基板裏面のグランドプレーン2と接続
されている。この配線パターン31を配置すると、配線
パターン31には、信号配線パターン30を流れる電流
の帰路電流が誘導されるため、信号配線パターン30を
流れる電流と帰路電流とが作るループが小さくなり、不
要な電磁波の放射を抑えることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14
に示したような信号層上の信号パターンがない場所に表
面グランド領域を配置する場合、表面グランド領域と裏
面のグランドプレーンとを接続する位置について従来は
明確な指針がなかった。
【0007】また、図15に示すように、信号パターン
に平行に配線パターンを配置して接続元と接続先を基板
裏面のグランドプレーンと接続する場合においても同様
に、配線パターンとグランドプレーンとを接続する位置
について明確な指針がなかった。
【0008】図16は、図15に示した従来の両面基板
の放射電界を測定した例である。破線は図15の両面基
板において、配線パターン上に設けたグランドプレーン
との接続元と接続先である2つのビアホール33間の距
離が230mmである配線パターンを、基板裏面のグラン
ドプレーンと接続した場合の結果である。
【0009】その結果、230mm間隔で配線パターンを
接続した場合には、350MHz付近と700MHz付
近の放射電界が特異的に大きくなっていることがわか
る。図14に示した従来の両面基板を測定した場合にお
いても同様に、特異的に放射電界の大きな領域が存在し
た。このように、従来の方法では、特異的に放射電界が
大きな領域が存在してしまうという問題があった。
【0010】本発明の目的は、上記課題を解決し、放射
電界が特異的に大きな周波数領域をなくし、不要な電磁
波放射を抑えたプリント回路基板の構造を提供すること
と、このようなプリント回路基板を設計する方法と、こ
のようなプリント回路基板を自動的に設計するプリント
回路作製装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、配線パター
ンとグランド層や電源層と接続する距離間隔を変えて、
放射電界を測定したところ、間隔によっては、不要な電
磁波放射として問題となる周波数領域において、放射電
界が特異的に変化することを見出し、本発明の創出に至
った。図16に、接続間隔を変えて放射電界を測定した
結果を示す。
【0012】図16に、図15のプリント基板の配線パ
ターン上に設けたグランドプレーンとの接続元と接続先
である2つのビアホール33間の距離を230mmとした
場合を破線で、その半分の115mm間隔とした配線パタ
ーンを、基板裏面のグランドプレーンと接続した場合の
結果を実線で示す。
【0013】その結果、230mm間隔でパターンを接続
した場合には、350MHz付近と700MHz付近の
放射電界が特異的に大きくなっているが、115mm間隔
でパターンを接続すると350MHz付近の特異点はな
くなるが、700MHz付近で放射電界が特異的に大き
くなることがわかる。
【0014】そこで、前記課題を解決するために本発明
は、信号層と電源層とグランド層の積層からなるプリン
ト回路基板であって、信号層の空き領域に導電体膜が設
けられ、導電体膜を信号層に隣接する電源層またはグラ
ンド層に接続するための接続点が、導電体膜上の信号配
線パターン側端部でかつ信号配線パターンの始点に近い
位置と終点に近い位置とに配置され、両接続点の間隔が
放射電磁波として問題となるプリント基板上の波長の半
分より短いことを特徴とするプリント回路基板である。
【0015】また、上記両接続点の間隔が放射電磁波と
して問題となるプリント回路基板上での波長の半分より
長い場合には、接続点間の距離が半分より短くなるよう
に前記両接続点の間に接続点が増設されていることを特
徴とするプリント回路基板である。
【0016】そのプリント基板の設計方法は、信号層と
電源層とグランド層をもつプリント回路基板の信号層の
空き領域に導電体膜を作製し、導電体膜と信号層上の信
号配線パターンとの位置関係を把握し、導電体膜上の信
号配線パターン側端部でかつ信号配線パターンの始点に
近い位置と終点に近い位置とにそれぞれビアホールを設
置し、両ビアホールの間隔が放射電磁波として問題とな
るプリント回路基板上での波長の半分より長いかどうか
を調べ、波長に比べ長い場合にはビアホールの間隔が波
長の半分より短くなるように両ビアホールの間にビアホ
ールを増設してから、ビアホールを導電体膜の存在する
層と隣接する電源層またはグランド層と接続し、波長に
比べ短い場合はビアホールを増設せずにビアホールを隣
接する電源層またはグランド層と接続することを特徴と
する。
【0017】またそのプリント基板の作製装置は、信号
層に空き領域があるかを調べる手段と、空き領域があれ
ば空き領域に導電体膜を作製する手段と、導電体膜上の
信号配線パターン側端部でかつ信号配線パターンの始点
に近い位置と終点に近い位置とにビアホールを設置する
手段と、両ビアホールの間隔が放射電磁波として問題と
なるプリント回路基板上での波長の半分より長いかどう
かを調べ、間隔が波長の半分より長い場合にはビアホー
ルの間隔が半分より短くなる位置にビアホールを増設す
る手段と、ビアホールを導電体膜の存在する層と隣接す
る電源層またはグランド層と接続する手段を有すること
を特徴とする。
【0018】さらに、本発明の第2のプリント基板は、
電磁波放射が大きいと予想される信号層の信号配線パタ
ーンと平行に配線パターンが配置され、配線パターンは
配線パターンが存在する層と隣接する電源層またはグラ
ンド層とビアホールを用いて接続され、ビアホールが配
線パターンの始点に近い位置と終点に近い位置とに設置
され、両ビアホールの間隔が放射電磁波として問題とな
るプリント回路基板上での波長の半分より長い場合に
は、ビアホール間の距離が半分より短くなる位置にビア
ホールが増設されていることを特徴とする。
【0019】第2のプリント基板の設計方法は、電磁波
放射が大きいと予想される信号配線パターンと平行に配
線パターンを配置し、配線パターンの始点と終点に近い
位置にビアホールをそれぞれ配置し、両ビアホールの間
隔が放射電磁波として問題となるプリント回路基板上で
の波長の半分より長いかどうかを調べ、長い場合にはビ
アホールの間隔を波長の半分より短くなるようにビアホ
ールを増設してから、ビアホールを配線パターンの存在
する層と隣接する電源層またはグランド層と接続し、短
い場合にはビアホールを増設せずに前記ビアホールを電
源層またはグランド層と接続することを特徴とする。
【0020】第2のプリント基板の作製装置は、電磁波
放射が大きいと予想される信号配線パターンと平行に配
線パターンを作製する手段と、配線パターンの始点と終
点に近い位置にそれぞれビアホールを設置する手段と、
両ビアホールの間隔が放射電磁波として問題となるプリ
ント回路基板上での波長の半分以下であるかどうかを調
べ、間隔が前記波長の半分より大きい場合にはビアホー
ル間隔が半分以下となるようにビアホールを配線パター
ンに増設する手段と、ビアホールを配線パターンの存在
する層と隣接する電源層またはグランド層と接続する手
段を有することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を図面を参
照して説明する。
【0022】図1は、本発明の第1の実施の形態にかか
るプリント回路基板の一部平面図である。このプリント
回路基板は片面が信号層1、もう片面がグランドプレー
ン2で構成されたマイクロストリップ線路構造をとって
いる。信号層1には信号配線パターン3と、信号配線パ
ターンがない場所に、グランド層と同電位の表面グラン
ド領域(導電体膜)4が配置されている。表面グランド
領域4は信号配線パターン3に沿った端部の両端におい
て、ビアホール5を介して基板裏面のグランドプレーン
2と接続されている。
【0023】ビアホール5aと5bとの間隔は放射電界
を抑制する必要のある周波数に対応するプリント回路基
板上での波長の1/2以下に設定する。例えば、世界の
主要各国においては不要電磁波放射に関する限度値は3
0MHzから1GHzで規定されている。そのような電
磁波放射を抑えるには、前記ビアホールの間の間隔はこ
れらの周波数のうち上限である1GHzに対応して決定
すればよい。
【0024】この実施の形態によるプリント回路基板で
は、波長短縮率が0.54の場合を考える。例えば、周
波数1GHzでは自由空間波長は300mmに対し、前記
プリント回路基板においては162mmとなる。したがっ
て、ビアホール間の間隔はその半分である81mm以下に
しなくてはならない。ビアホール5(5aと5b)の間
の間隔が表面グランド領域4の端部両端だけでは、81
mmを越える場合には、図2に示すように表面グランド領
域の端部の中心点においてもビアホール5cを設けるな
ど、ビアホール5の数を増やしてグランドプレーン2と
接続する。
【0025】図3、図4は、本発明の第2の実施の形態
にかかるプリント回路基板の一部平面図である。このプ
リント回路基板は、信号層6の下にグランド層7と信号
層6′がある積層構造のプリント回路である。
【0026】信号層6には信号配線パターン8と、信号
配線パターン8を取り囲むグランド領域(導電体膜)9
があり、信号配線パターン8はビアホール10を用いて
グランド層7の下にある信号層6′の信号配線パターン
と接続されている。グランド領域9はビアホール11を
用いて、グランド層7と接続されている。このビアホー
ル11はグランド領域9上で、かつ信号配線パターンの
ビアホール10に近い位置に設置する。
【0027】図3は、ビアホール11を信号配線パター
ン8の脇に配置した場合を表している。この場合、ビア
ホール11は信号配線パターン1本につき4個必要にな
るが、グランド領域9上の信号配線パターン8側端部
に、信号配線パターンの帰路電流を流すことができる。
ビアホールの数を減らしたい場合には、図4に示すよう
に、信号配線パターン8のビアホール10に近い位置に
ビアホール11を配置してもよい。
【0028】また、ビアホール11の間の間隔が、第1
の実施の形態で示したように、電磁波放射として問題と
なるプリント基板上の波長の1/2より長い場合は、ビ
アホール11をグランド領域上の信号パターン側端部に
追加して、上記条件が満足されるようにする。
【0029】図5は、本発明によるプリント回路基板を
設計するフローチャートである。まず、信号層に空き領
域があるか検査し、信号層の空き領域にグランド領域
(導電体膜)を作製する。次にグランド領域と信号配線
パターンとの位置関係を把握する。グランド領域の端部
上の信号配線パターンの始点、終点に近い位置にビアホ
ールを配置し、始点と終点のビアホールの間隔が放射電
磁波として問題となるプリント基板上の波長の半分より
長いか調べる。波長に比べ長い場合はビアホールの間隔
を波長の半分より短くなるようにビアホールの数を増や
してから、ビアホールとこのグランド領域のある層と隣
接するグランド層とを電気的に接続する。波長に比べ短
い場合はそのまま、これらのビアホールとグランド層と
を接続することでプリント回路基板が作製できる。
【0030】また、この方法の各工程を自動的に行うソ
フトウエアを従来からあるプリント回路基板作製装置に
組み込むことで、電磁波放射を抑えたプリント回路基板
作製装置が実現できる。
【0031】本発明のグランド領域4および9の幅は限
定されるものではなく、グランド領域の代わりに、図6
に示すように信号パターン3と同じ幅の配線パターン1
2も適用できる。
【0032】また本発明は、信号層とグランド層で構成
されたプリント回路基板について説明したが、グランド
層の代わりに電源層がある場合には、グランド領域を電
源層と同電位の電源領域と考えることで、同じ効果が得
られる。
【0033】また、本発明は両面基板に限定されたもの
ではなく、信号層とグランド層または信号層と電源層が
隣り合って構成されている多層のプリント回路基板全般
についても同様に適用できる。
【0034】
【発明の効果】図7〜図13に、本発明を実施したプリ
ント回路基板による放射電界を測定した結果を示す。
【0035】図7は表面が信号層、裏面がグランド層で
あるマイクロストリップ線路構造のプリント回路基板1
5である。基板の大きさは230mm×150mm×1.6
mmで、材質は比誘電率約4.8のガラスエポキシ樹脂の
ものを用いている。信号層には、特性インピーダンスを
50オームに設計した信号配線パターン16と、信号パ
ターンがない場所にグランド領域(導電体膜)17が配
置されている。グランド領域には裏面のグランド層と接
続するためにビアホール18が配置できるようになって
いる。
【0036】測定は、信号層にグランド領域17もな
く、信号配線パターン16のみがある基板(以下、基板
A)と、信号層に信号配線パターン16と信号配線パタ
ーン16がない場所にグランド領域17があり、かつグ
ランド領域17がビアホール18a、18a′を用いて
グランド層と接続されている基板(基板B)と、本発明
の第1の実施例である、信号層に信号配線パターン15
とグランド領域17があり、かつ、グランド領域17が
ビアホール18b、18b′および18e、18e′を
用いてグランド層と接続されている基板(基板C)と、
本発明の第2の実施例である、信号層に信号配線パター
ン16とグランド領域17があり、かつ、グランド領域
17がビアホール18b、18b′、18c、18
c′、18d、18d′、および18e、18e′を用
いて接続されている基板(基板D)を用いて行った。1
8bと18eおよび18b′と18e′との距離は約1
70mmである。18c、18c′、18d、18d′は
18bと18eの間および18b′と18e′の間を三
等分するように配置した。
【0037】図8は放射電界測定に用いた測定装置の構
成図である。測定は六面に電波吸収体がある小型の簡易
電波暗室内で行った。測定にはネットワークアナライザ
19、広帯域アンテナ20(10MHz〜200MH
z:バイコニカルアンテナ、200MHz〜1GHz:
ログペリオディックアンテナ)、25dBのアンプ21
を用いた。
【0038】広帯域アンテナ20は基板15から約2.
4m 離れた位置に配置し、高さを1.2m 、向きを水平
に固定して用いた。基板15は信号配線パターン16の
向きをアンテナ15と同じ水平に向け、信号配線パター
ン16のある面をアンテナ20に向けて配置した。基板
15は固定している木製の机22の上に置いた。
【0039】図9〜13に測定結果を示す。縦軸は基板
とアンテナ間の伝送特性を表している。
【0040】図9、図10は10MHz〜200MHz
の周波数範囲において、放射電界を測定した結果であ
る。図9、図10の実線は基板A、図9の点線は基板
B、図10の一点破線は基板Cを用いた場合の測定結果
である。
【0041】図9から、図7の基板において、グランド
領域17とビアホール18a、18a′を配置した基板
Bを用いると、80MHzの周波数範囲まで放射電界を
抑制する効果があった。しかし、80MHz以上の周波
数範囲では抑制効果がなかった。
【0042】これに対して、図10に示されるように、
本発明の第1の実施例である基板Cによれば、200M
Hz以下の周波数範囲で基板Aに比べ放射電界を抑制で
き、かつ従来の基板Bよりも広帯域で放射電界を抑制す
ることができた。
【0043】図11、図12は、200MHz〜1GH
zの周波数範囲において、放射電界を測定した結果であ
る。図9、図10と同様に、実線は基板A、点線は基板
B、1点破線は基板Cを用いた場合の結果を表してい
る。
【0044】図11から、従来の基板Bを用いると、2
70MHz以下の周波数範囲で基板Aより放射電界が大
きくなった。特に280MHzから520MHzの周波
数範囲で電磁波の放射源で共振現象が発生したことによ
る特性が現れている。
【0045】これに対して、図12に示すように、本発
明の第1の実施例の基板Cを用いると、520MHz以
下の周波数範囲で基板Aに比べ放射電界を小さくするこ
とができた。以上の結果から、本発明の第1の実施例で
ある基板Cは従来技術である基板Bに比べ放射電界を抑
制する周波数範囲が広いことがわかる。
【0046】ここで、基板Cではビアホール18を配置
する間隔が170mmであったことから、基板の波長短縮
率を考慮に入れた1/2波長が170mmである約570
MHz付近で放射電界が大きくなった。この放射電界を
抑制するために、ビアホールを配置する間隔を約57mm
とした基板Dの放射電界測定結果を図13に示す。
【0047】二点破線が基板Dによる結果である。この
結果より、基板Cの測定結果にあった570MHz付近
のピークをなくすことができた。上記のように、ビアホ
ールの間隔を狭くすることによって、基板Dでは基板
A、基板B、基板Cに比べ、広い周波数範囲で放射電界
を抑制できた。
【0048】以上のように、本発明によれば、信号配線
パターンの空き領域にグランド領域を設け、グランド領
域とグランド層とを接続するビアホールをグランド領域
上の信号配線パターン側端部の、信号配線パターン始
点、終点付近に配置することで放射電界が抑制できる。
さらに、ビアホールの間隔が不要電磁波放射として問題
となるプリント回路基板上の波長の1/2以下になるよ
うにビアホールを配置することで、放射電界が抑制でき
る周波数帯域を広げることができる。
【0049】さらに、グランド領域の幅を信号配線パタ
ーンと同じ幅とした場合でも、同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すプリント回路
基板の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すプリント回路
基板の構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示すプリント回路
基板の構成図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示すプリント回路
基板の構成図である。
【図5】本発明によるプリント回路設計のフローチャー
ト図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示すプリント回路
基板の構成図である。
【図7】本発明による効果を検証するために用いたプリ
ント回路基板の構成図である。
【図8】放射電界の測定装置の構成図である。
【図9】従来のプリント回路基板による放射電界の測定
結果である。
【図10】本発明のプリント回路基板による放射電界の
測定結果である。
【図11】従来のプリント回路基板による放射電界の測
定結果である。
【図12】本発明のプリント回路基板による放射電界の
測定結果である。
【図13】本発明のプリント回路基板による放射電界の
測定結果である。
【図14】従来のプリント回路基板の構成図である。
【図15】従来のプリント回路基板の構成図である。
【図16】ビアホール間隔を変えて放射電界を測定した
結果を示す図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】信号層と電源層とグランド層をもつプリン
    ト回路基板であって、前記信号層の空き領域に導電体膜
    が設けられ、前記導電体膜を前記信号層に隣接する電源
    層またはグランド層に接続するための接続点が、前記導
    電体膜上の信号配線パターン側端部でかつ信号配線パタ
    ーンの始点に近い位置と終点に近い位置とに配置され、
    前記両接続点の間隔が放射電磁波として問題となるプリ
    ント回路基板上での波長の半分より短いことを特徴とす
    るプリント回路基板。
  2. 【請求項2】信号層と電源層とグランド層をもつプリン
    ト回路基板であって、前記信号層の空き領域に導電体膜
    が設けられ、前記導電体膜を前記信号層に隣接する電源
    層またはグランド層に接続するための接続点が、前記導
    電体膜上の信号配線パターン側端部でかつ信号配線パタ
    ーンの始点に近い位置と終点に近い位置とに設置され、
    前記両接続点の間隔が放射電磁波として問題となるプリ
    ント回路基板上での波長の半分より長い場合には、接続
    点間の距離が半分より短くなるように前記両接続点の間
    に接続点が増設されていることを特徴とするプリント回
    路基板。
  3. 【請求項3】信号層と電源層とグランド層をもつプリン
    ト回路基板の信号層の空き領域に導電体膜を作製し、前
    記導電体膜と前記信号層上の信号配線パターンとの位置
    関係を把握し、前記導電体膜上の信号配線パターン側端
    部でかつ信号配線パターンの始点に近い位置と終点に近
    い位置とにそれぞれビアホールを設置し、前記両ビアホ
    ールの間隔が放射電磁波として問題となるプリント回路
    基板上での波長の半分より長いかどうかを調べ、波長に
    比べ長い場合にはビアホールの間隔が波長の半分より短
    くなるように前記両ビアホールの間にビアホールを増設
    してから、前記ビアホールを前記導電体膜の存在する層
    と隣接する電源層またはグランド層と接続し、波長の半
    分より短い場合はビアホールを増設せずに前記ビアホー
    ルを隣接する電源層またはグランド層と接続することを
    特徴とするプリント回路基板の設計方法。
  4. 【請求項4】信号層に空き領域があるかを調べる手段
    と、空き領域があれば前記空き領域に導電体膜を作製す
    る手段と、前記導電体膜上の信号配線パターン側端部で
    かつ信号配線パターンの始点に近い位置と終点に近い位
    とにビアホールを設置する手段と、前記両ビアホール
    の間隔が放射電磁波として問題となるプリント回路基板
    上での波長の半分より長いかどうかを調べ、前記間隔が
    波長の半分より長い場合にはビアホールの間隔が半分よ
    り短くなる位置にビアホールを増設する手段と、前記ビ
    アホールを導電体膜の存在する層と隣接する電源層また
    はグランド層と接続する手段を有することを特徴とする
    プリント回路基板作製装置。
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