JP2733774B2 - 弾性表面波マッチドフィルタを用いた受信復調回路 - Google Patents

弾性表面波マッチドフィルタを用いた受信復調回路

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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の属する技術分野) 本発明は、スペクトラム拡散通信方式の一方式である
直接拡散方式の受信復調回路に関するもので、その中で
も弾性表面波(Surface Acoustic Wave以下SAWと略称す
る)マッチドフィルタを用いた受信復調回路に関するも
のである。
(従来技術とその問題点) 例えば、2相位相変調(PSK)の場合の直接拡散方式
について説明する。この方式では、搬送波を伝送する情
報(データ)によって2相位相変調し、さらに、これを
データに比べて速度の速い擬似ランダム符号で2相位置
変調して送信する。この処理は擬似ランダム符号である
拡散符号とデータとの乗算を行い、その出力で搬送波を
2相位相変調しても同じ送信出力が得られる。
第1図は、上述の直接拡散方式の変調から復調に至る
各段階での信号波形を示す波形図であり、第2図は受信
復調回路に用いられるSAWマッチドフィルタの構成例
図、第3図は従来のSAWマッチドフィルタを用いた受信
復調回路の構成例である。
第1図において、aは変調データ、bは拡散符号、c
はa,b両者の積、dはcで2相位相変調された出力波形
である。波形e,f,gは第3図に示した受信復調回路にお
ける各部の波形である。図に示した波形は、時間軸にお
ける変調データaの1ビットの長さと拡散符号bの一周
期の長さTが等しい場合の例である。又、拡散符号bを
作成するための符号単位となる1クロックの時間tを1
チップ時間と呼ぶ。
波形dの出力信号を受信する受信機では、何らかの方
法で受信信号の拡散符号のタイミングに受信信号の復調
タイミングを合わす(拡散符号の同期をとる)必要があ
る。
この処理は、種々の回路構成によって実現することが
できるが、その一つとして、整合ろ波器(マッチドフィ
ルタ)を用いると、拡散符号bの同期T毎に相関ピーク
を有する出力が得られるので、このピークに受信装置の
タイミングを合わすことにより短い時間で同期をとるこ
とができ、同期捕捉のための他の複雑な回路に比べて簡
単であるという利点がある。
SAWマッチドフィルタは、SAW素子を遅延素子として使
用した整合フィルタである。整合フィルタとは、ある一
定のパターンの波形の信号に対して信号対雑音比が最大
となるように設計された最適フィルタである。第2図に
示したSAWマッチドフィルタの構成例は、「1110010」と
いう7つの符号からなる符号列で2相位相変調された信
号に対する7個の電極をもつマッチドフィルタである。
図において、1はSAW素子、2〜8は入力信号が1チッ
プ時間tだけそれぞれ遅延する間隔で設けられたSAW素
子の電極であり、+1,−1のように1の前に付した+,
−の符号は電極の極性を表し、SAW1からの信号の位相を
正相で出力するか、逆相で出力するかを示す。説明を判
り易くするためにSAW素子1から電極を抜き出して図示
した。9〜14は加算器である。
電極の極性は拡散符号bの符号列の符号にそれぞれ対
応するように設定されている。
今、電極の数をNとする。この回路に拡散符号により
2相位相変調された信号が入力されると、信号の変調パ
ターンと電極の極性パターンが一致した時(整合がとれ
たとき)N個のすべての電極から位相の一致した出力が
出るので、これらを加算器で電圧加算すると各電極から
出力される電圧のN倍の電圧が周期T毎に出力される。
その他の時間では、信号の変調パターンと電極の極性パ
ターンが異なるので、各電極の出力信号の位相はランダ
ムとなり互いに打ち消し合うため周期T毎の出力電圧は
小さな値となる。この時の電圧は使用する符号列によっ
て多少異なるが、擬似ランダム符号としてよく知られて
いるM系列符号を使用した場合、ピーク電圧の1/N倍の
電圧となる。その結果位相の一致した時点にピークをも
つ出力波形が得られる。
第3図に示した従来の受信復調回路の構成例は、中間
周波数でSAWマッチドフィルタを用いた回路の例であ
り、中間周波数(IF)に変換された以後の回路を示して
いる。
図において、15はSAWマッチドフィルタ(MF)、16は
同期検波器(DET)、17はデータを判定するサンプリン
グ及び判定回路(SMP)、18は受信入力に同期した搬送
波を発生する搬送波再生回路(PLL1)、19は包絡線検波
器(EN V)、20は拡散符号の同期をとるタイミング同
期回路(PLL2)である。
第1図の波形eはSAWマッチドフィルタ15からの出力
で、擬似ランダム符号の一周期Tが入力したところに相
関のピークを有している。これをPLL1(18)で再生され
た搬送波で同期検波をすることにより出力fが得られ、
この波形fをピーク位置でサンプルすることにより復調
出力gが得られる。ENV(19),0LL2(20)はサンプルタ
イミングをこのピーク位置に合わせるための回路であ
る。
このようなSAWマッチドフィルタを用いた復調回路に
よってS/Nの悪い受信入力に対しても正確に同期をとっ
て復調するためには、拡散符号の周期を長くすればよ
い。そこで、周期の長い拡散符号に同期をとるため、SA
Wマッチドフィルタの電極の数を多くし、各電極の出力
を合成した電圧がより鋭いピークをもつようにすればよ
い。
しかし、SAWデバイスは、入力電気信号が機械的振動
に変換されて圧電基板上の表面波として伝搬されるもの
であり、この時の伝搬速度は圧電基材の材質の温度特性
等により温度による影響を受ける。温度変化により伝搬
速度が変化すると、正確に1チップ時間tだけ遅延する
間隔で設けられた電極と、受信信号の拡散符号による変
調のタイミングとにずれが生じてくる。このタイミング
のずれは電極毎に累積されるため、SAWマッチドフィル
タの電極の段数が多くなる程ずれによる影響が大きくな
り出力電圧のピークが鈍くなってしまう。
このようにSAWマッチドフィルタは、周期の長い拡散
符号に対しては、電極の数が多く伝搬方向の長さが長く
なり温度特性による影響が大きくなるため、拡散符号の
周期毎のピークレベルが低くなって効率良く相関を検出
することができなくなり、実用上復調回路に利用できな
いという欠点がある。
(発明の目的) 本発明の目的は、このような欠点を解決するために、
周期の長い拡散符号に対しても従来のSAWマッチドフィ
ルタを用いて効率良く相関を検出することができる受信
復調回路を提供することにある。
(発明の構成および作用) 本発明の弾性表面波(以下SAWと略称する)マッチド
フィルタを用いた受信復調回路は、弾性表面波マッチド
フィルタを用いたスペクトラム拡散通信方式の受信復調
回路において、 拡散符号の1周期の後半の符合列の符号数に対応した
電極の数と極性が設定され、入力信号との整合をとる第
1の弾性表面波マッチドフィルタと、 前記入力信号を前記第1の弾性表面波マッチドフィル
タの遅延時間と等しい時間だけ遅らせる遅延回路と、 拡散符合の1周期の前半の符合列の符号数に対応した
電極の数と極性が設定され、該遅延回路の出力との整合
をとる第2の弾性表面波マッチドフィルタと、 前記第1の弾性表面波マッチドフィルタの出力と前記
第2の弾性表面波マッチドフィルタの出力を合成する合
成器とを備え、 前記合成器の出力を同期検波して復調するように構成
されたことを特徴とするものである。
以下図面により発明の詳細を説明する。
第4図は、本発明を実施した同期検波方式の受信復調
回路の構成例を示すブロック図である。図において、2
1,23はSAWマッチドフィルタ(MF1,MF2)、22はDAWマッ
チドフィルタ21の総遅延時間に等しい遅延時間をもつ遅
延回路(DLY)、24は加算器、25は同期検波器(DET)、
26はデータを判定するサンプリング及び判定回路(SM
P)、27は受信入力に同期した搬送波を発生する搬送波
再生回路(PLL1)、28は包絡線検波器(ENV)、29は拡
散符号の同期をとるタイミング同期回路(PLL2)であ
る。
ここで、SAWマッチドフィルタMF1とML2には拡散符号
の符号数に対応した電極の数とそれぞれの極性を予め設
定する必要があるが、拡散符号の前半をMF2に、後半をM
F1に設定する。
第5図は第4図の回路の各部の波形例図である。hは
MF1の出力波形、iはMF2の出力波形、jは加算器24の出
力波形である。
加算器24から後の回路の構成及び動作は前述した従来
の回路の場合と同一であるので省略する。
MF1とMF2は別々のSAWマッチドフィルタであるが、MF2
に入力される信号は、MF1に入力される信号よりMF1の遅
延時間と等しい時間だけDLY22により遅延されて入力さ
れるので、MF1(20)とDLY22及びMF2(23)とで構成さ
れる回路は、あたかも一つのSAWマッチドフィルタのよ
うに動作して加算器24に入力される。従って、加算器24
の出力波形はMF1の段数とMF2の段数とが合計された段数
のSAWマッチドフィルタから出力される波形と同じピー
クを持つ波形となり、第5図に示したように波形h,iが
加算されて波形jになるためそれぞれのマッチドフィル
タの2倍のピークレベルをもつ相関出力が得られる。遅
延回路22は、SAW素子等で容易に実現することができ、
その遅延時間は搬送波の位相も含めて正確にMF1の遅延
時間に等しく設定される。
以上の説明は、同期検波方式の場合について述べた
が、他の差動検波方式等についても同様の方法で実現で
きることは明らかである。
(発明の効果) 以上詳細に説明したように、本発明によって、従来困
難であった長い周期を持つ拡散符号に対しても、従来の
温度特性をもつSAWマッチドフィルタを用いて受信復調
回路を構成することが可能となり、高速同期引き込みが
できる受信復調回路が実現でき、実用上極めて大きい効
果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は直接拡散方式の従来の受信復調回路の波形図、
第2図はSAWマッチドフィルタの構成図、第3図は従来
の受信復調回路のブロック図、第4図は本発明の受信復
調回路のブロック図、第5図は第4図の回路の各部の波
形図である。 1……SAW素子、2〜8……SAW素子の電極、9〜14……
加算器、15,21,23……SAWマッチドフィルタ、16,25……
同期検波器、17,26……サンプリング判定回路、18,27…
…搬送波再生回路、19,28……包絡線検波器、20,29……
タイミング同期回路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性表面波マッチドフィルタを用いたスペ
    クトラム拡散通信方式の受信復調回路において、 拡散符合の1周期の後半の符合列の符号数に対応した電
    極の数と極性が設定され、入力信号との整合をとる第1
    の弾性表面波マッチドフィルタと、 前記入力信号を前記第1の弾性表面波マッチドフィルタ
    の遅延時間と等しい時間だけ遅らせる遅延回路と、 拡散符合の1周期の前半の符合列の符号数に対応した電
    極の数と極性が設定され、該遅延回路の出力との整合を
    とる第2の弾性表面波マッチドフィルタと、 前記第1の弾性表面波マッチドフィルタの出力と前記第
    2の弾性表面波マッチドフィルタの出力を合成する合成
    器とを備え、 前記合成器の出力を同期検波して復調するように構成さ
    れたことを特徴とする弾性表面波マッチドフィルタを用
    いた受信復調回路。
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