JP2733657B2 - ベーン型圧縮機 - Google Patents

ベーン型圧縮機

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JP2733657B2
JP2733657B2 JP62032336A JP3233687A JP2733657B2 JP 2733657 B2 JP2733657 B2 JP 2733657B2 JP 62032336 A JP62032336 A JP 62032336A JP 3233687 A JP3233687 A JP 3233687A JP 2733657 B2 JP2733657 B2 JP 2733657B2
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    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C21/00Component parts, details or accessories not provided for in groups F01C1/00 - F01C20/00
    • F01C21/08Rotary pistons
    • F01C21/0809Construction of vanes or vane holders

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の技術分野) 本発明は、冷媒ガス等の気体を圧縮するベーン型圧縮
機に関し、特に車両積載空調用として、摺動部品の材料
と表面処理の改善により軽量化されたベーン型圧縮機に
関するものである。 (従来技術と問題点) ベーン型圧縮機は、通常円筒型若しくは楕円型の内筒
形状を有するシリンダブロックの両側にサイドプレート
が固定されて圧縮機本体が構成されており、この圧縮機
本体内にローターを配置し、このローターには放射方面
に向けて複数個のベーン溝を設け、ベーンを出没自在に
挿入し、このベーンを前記シリンダブロックの内周面に
押しつけながら前記ローターを回転させることによりベ
ーンで仕切られた圧縮室の気体を圧縮するようになって
いる。 このベーン型圧縮機は、車両に積載されて空調を行な
う目的で多用されている。近年前輪駆動の乗用車が多く
なり、ボンネット内部にはエンジンや変速機とともに多
くの機器が集合しているため、重量が車体前部に集中す
るためエンジンや変速機と共にボンネット内部に設置さ
れる圧縮機も燃費向上の見地から軽量化が強く求められ
ている。 ベーン型圧縮機は、すでにケーシングやベーンはアル
ミニウム合金が使用されており、更に軽量化を進めるた
めには、摺動部分を持つ部品(シリンダブロック、ロー
ター、サイドプレート)についてまでもプラスチックや
アルミニウムのような軽量材質で部品を構成しなければ
ならない。これらの部品は使用温度が高く摺動条件も苛
酷なためプラスチック材よりもアルミニウム合金が適す
ると考えられる。 まず、従来のベーン型圧縮機の主要部品の構成につい
て説明する。 シリンダブロックは、摺動特性や機械加工性が良好な
ことから片状黒鉛鋳鉄が一般的に用いられている。 ローターは、軸と一体の鋼材や、鉄系の焼結合金のロ
ーターを鋼製軸に圧入したものが多く用いられている。 サイドプレートは、ローターやベーンと摺動する面の
耐焼付性が求められることから、保油性の良好な材料で
ある片状黒鉛鋳鉄や鉄系の焼結合金が多く用いられてい
る。 以上のように、摺動上からの材料組合せや、ローター
とシャフトの結合については配慮されてものとなってい
る。しかし、つぎのような問題点を有している。 ベーンは、シリンダブロックの内周面に押しつける力
として潤滑油の圧力のほかに遠心力が作用するため軽量
であることが必要で、しかもローター溝の加工方法の制
約で溝の寸法を小さく出来ないことから、どうしても材
質を軽量なものとせざるをえない。このため、耐摩耗性
にすぐれている高Siのアルミニウム合金が、現在一般的
に用いられている。しかし、熱膨張係数が鉄系のシリン
ダブロックやローター材に比べて大きいために、ベーン
とサイドプレートの間のクリアランスと、ベーンとロー
ター溝巾のクリアランスを大きく設定する必要があり、
このため運転初期の温度が低い状態では圧縮機の性能が
低くなっている。しかもクリアランスを確保するため各
部品は厳しい寸法精度で製造管理することが必要で、さ
らに寸法毎にランク分けして各部品を選択かん合して圧
縮機を組立てているのが実情である。 ベーン型圧縮機における上記の問題点の改良や、軽量
化を目的としてベーン以外の摺動面をもつ部品(シリン
ダブロックやローター、サイドプレート)をアルミニウ
ム合金とした構造とすることは容易に考えられる所であ
る。しかし、摺動上の問題とローターと鋼製シャフトと
の結合が困難であり、結合強度も不十分であったため、
これらの部品のアルミニウム合金化は軽量化効果が大き
いにもかかわらず実現されていなかった。 まず、主要部品のアルミニウム合金化に伴う摺動上の
問題について説明する。 シリンダブロックとベーンの間では、焼付やベーンの
摩耗が問題となっている。特に、低速高負荷のような温
度が上昇する使用条件下では、摺動面間の油膜が薄く切
れやすくなるために、ベーン及びシリンダブロック内周
面に著しい摩耗を発生する。シリンダブロックやベーン
を耐摩耗性に優れたA390合金のような高Siアルミニウム
合金としても、摩耗の問題点は解決されない。 ローターとベーン間では、ローターの溝面とこれに摺
動するベーンの側面との間の焼付が問題となっている。
ベーンはローターの溝の中を往復動するが、この部分は
潤滑効果を不十分なため摩耗と焼付が生ずる。ローター
の材質を高Siアルミニウム合金とすることで、焼付の傾
向は緩和されるが、始動時には潤滑油の皮膜が摺動面に
存在しないために、始動の繰り返しにより摺動面に発生
する傷が大きくなりやがて焼付を発生してしまう。 サイドプレートとローターの間、及びサイドプレート
とベーンの間では、何れも焼付が問題であり、特にサイ
ドプレートとローターとの間では、大きなスラスト方向
の力が負荷されるため、焼付が発生しやすい。 つぎに、アルミニウム合金製ローターとシャフトの結
合構造上の問題について説明する。 ローターをアルミニウム合金とすると、鋼製シャフト
との結合も大きな問題であった。従来は、このような円
筒形状の部材をシャフトに結合する方法としては、焼き
ばめ、冷しばめ、圧入が一般的に実施されている。これ
らの結合方法には、結合時の問題と使用時の問題があ
る。 先ず結合時の問題は次のようである。 焼きばめでは、締め代は一般的に1/100〜3/1000であ
る。アルミニウム合金の熱膨張係数はA340合金のような
場合では約1.8×10-5/℃であるから、計算上の焼きばめ
温度は60〜170℃となる。しかし実際の作業ではこれよ
り100〜150℃高い温度とするのが通常である。このよう
な温度で加熱保持されることにより、アルミニウム合金
は硬度や強度の低下をきたすほか、シャフトの挿入時に
シャフトとローターの軸方向接触距離が長いため、接触
により焼付を生じやすいという問題点がある。 冷しばめは、シャフトを冷却して収縮させてローター
に挿入する方法であるが、上記の締め代を確保するため
には−200℃以下の温度に保持する必要がある。シャフ
トは質量が小さいため容易に温度が上昇し挿入時のクリ
アランスを確保しにくく焼付が生じやすい。 圧入では、シャフトとローターの軸方向接触距離が長
く、クリアランスも無いために容易に焼付を生じてしま
う。 一度焼付を生じたローターの内周面は損傷がひどく再
生不能である。 つぎに、アルミニウム合金製ローターと鋼製シャフト
結合体の使用時の問題点について述べる。 ローターとシャフトの雰囲気温度範囲は、−40〜150
℃程度であり、場合によっては200℃に近い温度に達す
ることもある。従って前述の焼きばめや、圧入の締め代
では、シャフトに比べアルミニウム合金製ローターの熱
膨張係数が大きいため、大きな負荷トルクに耐えきれな
い。この対策として締め代を増加することが考えられる
が、締め代の増加はローターに発生する周方向の引張り
応力を増大させ、はめ合い時や、使用時にローターの薄
肉部や端部に応力集中によりクラックを生じてしまうた
めに対策としては採用出来ない。 (発明の目的) 本発明は、ベーン型圧縮機の摺動面に発生する問題点
を解消したベーン型圧縮機を提供することを目的とす
る。 (問題点を解決するための手段) 本発明は、前述した問題点を解消させるために、ベー
ンを鉄系とCrと窒素を主成分とするイオンプレーティン
グ層を介して相対部材と摺動させることを基本的手段と
する。 具体的には、密閉された容器内に潤滑油溜りと圧縮機
構が配され、該圧縮機構にて冷媒ガスを圧縮するベーン
型圧縮機において、前記圧縮機は、半径方向に出没自在
のベーンを有し、頂部が窒化クロム又は窒化クロムと金
属クロムとからなるイオンプレーティング層、側面が鉄
又はNiを主体とする電気メッキ層でなる該ベーンが過共
晶シリコンアルミニウム合金からなるシリンダブロック
とローターに摺接することを特徴とするベーン型圧縮機
を提供する。 シリンダブロックとローターを耐摩耗性に優れたSi:1
4〜25%、Cu:3〜8%、Mg:0.2〜2%、残部が実質的にA
lによりなる化学組成を有する過共晶Siアルミニウム合
金とし、 サイドプレートはアルミニウム合金から成り、且つ少
なくともローターとベーンとが摺動接触する面に鉄を主
体とする電気めっき層を3〜50μm以上設けたものと
し、ベーンは、本体をシリンダブロック及びローターと
熱膨張係数の差が3×10-6/℃以下のアルミニウム合金
とし、さらにシリンダブロックと摺動する頂部を、厚さ
5〜30μmの金属クロムと窒化クロムとの均一微細な混
合相でなるイオンプレーティング膜を有し、且つロータ
ーの溝部と摺動する側面に鉄を主体とする電気めっき層
を3〜50μm以上設けた。 次に、アルミニウム合金製ローターとシャフトの結合
構造上の問題を解決するため、次の構成とした。 前記組成を有するアルミニウム合金製ローターは、鋼
製軸に1箇所以上設けられたモジュールが0.1〜0.25の
セレーションの凹部にローターの内周面が喰込んだ状態
で結合されている構造とした。 (作用) まず、摺動上の対策として シリンダブロックとベーン間は下記の材料組合せで
摺動対策が取れた。 シリンダブロックをSi:14〜25%、Cu:3〜8%、Mg:0.
2〜2%、残部が実質的にA1によりなる化学組成を有す
る過共晶Siアルミニウム合金とすることで、シリンダブ
ロックとして必要な頂部に金属クロムと窒化クロムとの
均一微細な混合相を設けたベーンが摺動する面の耐摩耗
性と構造体として必要な剛性、強度が確保される。 この合金はアルミニウム合金の基地中に硬い初品シリ
コン粒子が分散することにより優れた耐摩耗性や対焼付
性を発揮する。Siが14%未満では、アルミニウム合金基
地中に分散する硬質の初晶シリコン粒子が少なく耐摩耗
性や耐焼付性が不十分である。他方、Siが25%より多く
なると、初晶シリコン粒子が粗大な形状となり強度や靭
性を低下させる。またシリンダブロックは、金型鋳造で
製造し、機械加工されるが、Siが25%より多くなると、
鋳造時の溶湯温度を高くする必要があり、金型の寿命が
短くなるほか、内部に巣のような欠陥を生じやすくな
る。また、機械加工性も低下する。このようなことか
ら、Siは14〜25%の範囲とした。 CuとMgは熱処理(液体化後時効処理)によりアルミニ
ウム合金の基地の硬さと強度を確保する目的で不可欠の
元素である。 Cuは3%未満では熱処理による時効効果でも満足すべ
き強度が得られず、他方8%を越えると材料の脆化と耐
食性が悪くなる。従って3〜8%とした。 Mgは0.2未満では熱処理による時効効果でも満足すべ
き強度が得られず、他方2%を越えると材料が脆化する
ほか、鋳造性も低下する。従って0.2〜2%とした。 上記組成のアルミニウム合金をT−6もしくはT−7
の熱処理を行なって用いる。硬度はHRB75以上が必要で
特に好ましくは80〜90の範囲である。 このシリンダブロックの内周面と摺動接触するベーン
の頂部は、厚さ5〜30μmの金属クロムと窒化クロムと
の均一微細な混合相でなるイオンプレーティング膜を設
けることで、両部材間の摩耗と焼付は実用上問題の無い
レベルとなった。厚さが5μmより薄い長期間での摩耗
に耐えず、また下地のアルミニウム合金の硬度が低い場
合には、負荷される荷重によって陥没が起こる。他方30
μmを越えると密着性が悪くなり、下地から剥離しやす
くなる。尚、イオンプレーティング膜の硬度はHMV1500
〜1800が最適である。このイオンプレーティング膜をX
線回折すると金属クロムとCr2Nが主に存在するが一部Cr
Nの存在も認められる。 サイドプレートとローター間 サイドプレートは、AC8AやADC12のような低廉な鋳造
合金で構成し、且つ少なくともローターとベーンとが摺
動接触する面に鉄を主体とする電気めっき層を3〜50μ
m以上設けたものとし、他方これと摺接するローター材
をSi:14〜25%、Cu:3〜8%、Mg:0.2〜2%、残部が実
質的にA1によりなる化学組成を有する過共晶Siアルミニ
ウム合金とする材料組合せで焼付と摩耗の問題を解決し
た。サイドプレートの摺動面の表面処理層として、手段
を電気めっきとすることで無電解めっきに比べ密着性の
すぐれたものとでき、又めっき浴の管理が容易である。
めっきの層として鉄を主体とする理由は、摺動特性が硬
質クロムめっきのような他の表面処理よりも優れている
ことによる。即ち、潤滑油の皮膜の存在しにくい摺動条
件下で、上記内容のアルミニウム合金製ローターやベー
ンとの耐焼付性が硬質クロムめっきよりも優れ、さらに
硬質クロムめっきよりも皮膜の硬度が低いことからめっ
き後の仕上げが容易であり、相手のローター端部やベー
ン端部を摩耗させないことによる。 この他に、熱膨張係数がクロムめっきよりも大きく
て、ベーンの下地のアルミニウム合金との差が小さいこ
とから、密着性がクロムめっきにくらべて良好である。
また、毒性の少ないめっき液を用いることが出来るの
で、作業環境面や排水処理面でもクロムめっきに比べ優
れている。 鉄のほかに、他の金属元素を固溶させても良いがめっ
き浴の管理が複雑化する。また燐を含む組成としても良
いが、燐を含む場合はめっき層の密着性が低下する傾向
にある。従って、最も好ましいのは、純鉄のめっきであ
り、硬度はHMV450〜550の範囲である。めっき層の厚さ
は、3μmより薄いと長期間での摩耗に耐えず、また下
地のアルミニウム合金の硬度が低い場合には負荷される
荷重によって陥没が起こる。他方20μmを超えると密着
性が悪くなり、下地から剥離しやすくなる。 なお、鉄を主体とするめっき層は、空気中での放置で
錆を発生しやすいことから、摺動面についてのみ実施す
ることが必要である。錫を1〜5μmの厚さで鉄めっき
の上に施すことは、防錆の効果と摺動時の初期なじみ性
を良くし摩耗や耐焼付性を向上させる効果がある。 ローター材は、摺動特性を発揮することが必要な他、
高強度と靭性も必要であるため、上記組成の材料を熱間
押出することで鋳造組織を破壊する製造方法が好まし
い。ローターのベーンの出入りする溝部形状は熱間押出
時に、ダイスでこれに近い形状とすることが出来、後の
加工が楽となる経済的な利点もある。 ローターに使用する合金はアルミニウム合金の基地中
に硬い初晶シリコン粒子が分散することにより、鉄を主
体とするめっき層を相手として優れた耐摩耗性や対焼付
性を発揮する。Siが14%未満では、アルミニウム合金基
地中に分散する硬質の初晶シリコン粒子が少なく耐摩耗
性や耐焼付性が不十分である。 他方、Siが25%より多くなると、初晶シリコン粒子が
粗大な形状となり強度や靭性を低下させる。またロータ
ーは熱間押出後、機械加工して製造されるが、Siが25%
より多くなると、押出加工時に高い押出圧力が必要とな
り、また押出速度も遅くすることが必要であり、生産性
や金型の寿命が短くなるほか、機械加工性も低下する。
このようなことから、Siは14〜25%の範囲とした。 CuとMgは熱処理(溶体化後時効処理)によりアルミニ
ウム合金の基地の硬さと強度を確保する目的で不可欠の
元素である。 Cuは3%未満では熱処理による時効効果でも満足すべ
き強度が得られず、他方8%を超えると材料の脆化と耐
食性が悪くなる。従って、3〜8%とした。 Mgは0.2%未満では熱処理による時効効果でも満足す
べき強度が得られず、他方2%を超えると材料が脆化す
るほか熱間での押出性を低下させる。従って0.2〜2%
とした。 なお、熱間押出した上記組成のアルミニウム合金をT
−6もしくはT−7の熱処理を行い硬度は、HRB75以上
が必要、特に好ましくは80〜100の範囲として使用す
る。 ローター溝部とベーン側面間 ローターを上記の組成とし、且つローターの溝部と摺
動するベーンの側面に鉄を主体とする電気めっき層を3
〜50μm以上設けることにより従来の問題を解決した。 ベーン側面の表面処理層として、手段を電気めっきと
することで無電解めっきに比べ密着性のすぐれたものと
でき、めっき浴の管理が容易である。めっきの層として
鉄を主体とする理由は、摺動特性が硬質クロムめっきの
ような他の表面処理よりも優れていることによる。即
ち、潤滑油の皮膜の存在しにくい摺動条件下で、上記内
容のアルミニウム合金製ローターとの耐焼付性が硬質ク
ロムめっきよりも優れ、さらに硬質クロムめっきよりも
皮膜の硬度が低いことからめっき後の仕上げが容易であ
り、相手のローター溝部を摩耗させないことによる。こ
の他に、熱膨張係数がクロムめっきよりも大きくて、ベ
ーンの下地のアルミニウム合金との差が小さいことか
ら、密着性がクロムめっきにくらべて良好である。ま
た、毒性の少ないめっき液を用いることが出来るので、
作業環境面や排水処理面でもクロムめっきに比べ優れて
いる。 鉄のほかに、他の金属元素を固溶させても良いがめっ
き浴の管理が繁雑化する。また燐を含む組成としても良
いが、燐を含む場合はめっき層の密着性が低下する傾向
にある。従って、最も好ましいのは、純鉄のめっきであ
り、硬度はHMV450〜550の範囲である。 サイドプレートとベーン端面 サイドプレートの摺動面に前述の鉄を主体とする表面
処理層を設けることと、ベーンの本体をシリンダブロッ
ク及びローターと熱膨張係数の差が3×10-5/℃以下の
アルミニウム合金とすることにより、ベーンの端面との
間の摺動上の問題は解決した。ベーンをシリンダブロッ
ク及びローターと熱膨張係数の差が3×10-5/℃以下の
アルミニウム合金とすることで、ベーンが熱膨張により
サイドプレートとの間に設けたクリアランスを保持でき
ることから、熱膨張による変形でベーンが高い面圧でサ
イドプレートと接触することをなくした。またアルミニ
ウム合金とすることでベーンが慣性でサイドプレートと
接触しても、大きな面圧がベーンとサイドプレートの間
に発生することはなく、更にサイドプレートの摺動面に
設けた鉄を主体とする表面処理層により、焼付を発生す
ることはない。 次に構造上の対策の作用について説明する。 ローターと鋼製シャフトの結合構造を、鋼製シャフト
の外周部に1箇所以上設けられたセレーションの凹部
に、アルミニウム合金製のローターの内周面が鋼製シャ
フトのセレーションの凹部に喰い込んだ状態とすること
で、使用時の負荷トルクを受けるため広い温度範囲にて
充分な結合力を持たせることが出来る。 セレーションのモジュールは0.1より小さいとセレー
ションの歯の面圧が高くなり、大きなトルクに耐えられ
ない。また、0.25を超えると圧入する時に大きな荷重を
必要とし、ローターの変形や場合によっては割れを生ず
る。シャフトのセレーション部は、ローターの軸方向の
寸法により、1箇所から2箇所とするが、2箇所の方が
圧入が容易である。セレーションは、インボリュートセ
レーションよりも三角刃セレーションの方が、シャフト
へのダイスによるセレーション形成が容易であり、また
圧入によってローターの内面に喰い込ませる事が容易で
ある。 (発明の実施例) 以下、本発明の実施例について記す。 先ず、ベーン型圧縮機の構造について第1図、第2図
を用いて説明する。図中にて、楕円形の内周面を有する
シリンダブロック1の前後開部に一対のサイドプレート
2a、2bが固体されて圧縮機本体が構成されている。 この圧縮機本体3内には、円筒状のローター4が配置
されており、このローター4に鋼製シャフト5が結合さ
れている。この鋼製シャフト5は、前記のサイドプレー
ト2a、2bの軸受部6a、6bに支持され、かつ端部から駆動
力を受入れるようになっている。 前記ローター4には、放射方向にむけて5箇所にベー
ンを収納するベーン溝7が設けられ、それぞれのベーン
溝にはベーン8が出没自在に挿入されている。 圧縮機本体3内には、シリンダブロック1、サイドプ
レート2a、2b、ローター4及びベーン8で囲まれて成る
圧縮室9が設けられている。 圧縮機本体3の周囲は、一方のサイドプレート2aに密
着固定されたヘッドブロック10と、ヘッドブロック10に
密着固定されたケース11とに囲まれている。このケース
11には吐出口12と吸入口13とが形成され、吐出口12は、
圧縮機本体3とケース11に囲まれてなる高圧室14に通
じ、吸入口13はカバー15により高圧室14から区切られた
低圧室16に通じている。 上記高圧室14は、シリンダブロック1に設けられた吐
出弁17が開くと、吐出孔18を介して圧縮室9からの気体
が流入し、一方、低圧室16はサイドプレート2a、2bに形
成された吸入孔19を介して圧縮室9へ気体を送り込むよ
うになっている。 また、高圧室14の下部はオイル溜まりとなっており、
このオイル溜まりに溜められた潤滑油は、高圧室14の圧
力により、サイドプレート2a、2bの縦方向に形成された
供給孔20a、20b、軸受部6a、6bおよびサイドプレート2
a、2bの内面に形成された供給溝21を介してベーン8を
シリンダブロック1の内周面に押しつけるとともに、ベ
ーン溝7とベーン8との間の潤滑、サイドプレート2a、
2bと該サイドプレートと対向するローター4の端面の間
の潤滑、軸受部の潤滑を行なう。 ローター4が回転して1つのベーン8が吸入孔19を通
過する間に、該1つのベーン8と先行するベーン8との
間に構成された圧縮室9内に低圧室16から気体に吸入さ
れ、この気体は1つのベーン8が吸入孔19を通過する
と、該圧縮室9内に閉じ込められ、該圧縮室9の容積が
小さくなるに従って圧縮され、先行するベーン8が吐出
孔18を通過すると吐出弁17が開いて高圧室17に吐出され
る。 なおベーン8が吐出孔18を通過するときには、ベーン
のチャタリングを防止するため背圧室22は供給溝21より
隔離されて独立した空間となる。 シリンダブロックとして、T6処理を行なった金型鋳造
アルミニウム合金材を2種類用意し、機械加工して所定
のシリンダブロック形状とした。その分析値と硬度測定
結果及び熱膨張率(RT〜300℃)の測定結果を第1表に
示す。 ローター材として、ベーン溝部にもうけた熱間押出材
の4種類を準備し第2表に示した。なお、供試材C、D
はエア・アトマイズした80メッシュ以下の粒径の合金粉
末を、冷間静水圧プレスにて4Ton/cm2の圧力でビレット
として、これを高純度アルゴンガス中で450℃に加熱し
て熱間押出をしたものであり、E、Fは連続鋳造丸棒を
熱間押出した。 ベーン材として、熱間押出して次の3材質の矩形断面
を有する素材を準備した。これらの素材を切断後熱処理
(T6処理)し、機械加工及び表面処理を行なった。それ
ぞれの分析値、硬度測定結果、熱膨張率(RT〜300℃)
測定結果を第3表に示す。 供試材G、Hは連続鋳造丸棒を熱間押出したものであ
り、供試材1はエア・アトマイズした−80メッシュ以下
の粒径の合金粉末を、冷間静水圧プレスにて4Ton/cm2
圧力でビレットとして、これを高純度アルゴンガス中で
450℃に加熱して熱間押出をしたものである。 ベーン材の表面処理は、先ずベーンのローターと摺動
する側面に鉄めっきを施した後、ラップ加工を行ない所
定の平坦度、平行度、厚さ寸法に仕上げた。鉄めっきは
ベーンを脱脂処理後にジンケート処理し、硫酸第一鉄を
主成分とするめっき浴中で浴温度60℃で行なった。鉄め
っき層の厚さは8〜12μmの間で、硬度はHMVで480〜50
0であった。次にベーンのシリンダブロックと摺動する
頂面に金属クロムと窒化クロムとの均一微細な混合相で
なる皮膜をイオンプレーティングにより設け、ラップ仕
上げとした。イオンプレーティングは、真空中でアルゴ
ンガスでコーティングする面をスパッタリングし清浄化
した後、真空容器内に窒素ガスを導入し、水冷銅ルツボ
内のクロムを電子ビームで照射し蒸発させることにより
行なった。得られた皮膜の厚さは、10〜20μmで、硬度
はHMVで1500〜1800であった。 サイドプレートは、AC8A材でT6処理後、所定寸法に機
械加工したあと、ローター及びベーンと摺動する面のみ
に鉄めっきをした。鉄めっきの処理は、サイドプレート
の摺動面側のみが露出するようにめっき治具にセットし
て、ベーンの場合とほぼ同様の方法で処理を行なった。
さらに、鉄めっき後にラップ加工を施して、平坦度をだ
した。鉄めっき層の厚さは10〜15μmの間で、硬度はH
MVで490〜500であった。 ベーン材料とし、Fe、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Mo等の遷
移元素を、単独もしくは2種以上を併せて5〜10%含む
急冷凝固されたアルミニウム合金粉末を熱間押出した材
料を、いわゆる分散強化させているためイオンプレーテ
ィングの時の高温にさらされても硬度や強度の低下が少
ないので、用いることもできる。これは、イオンプレー
ティング層の密着性を高める目的でベーンの温度を高め
た状態で、イオンプレーティングする場合には好適であ
る。 上記のようにして製造されたシリンダブロック、サイ
ドプレート、ローターと鋼製シャフトとの結合体、ベー
ンにて、前記ベーン型圧縮機を第4表の組合せで構成し
てコンプレッサーの耐久テストを行なった。なお、比較
のために、表面処理を施さない組合せで構成したコンプ
レッサーについても耐久テストを行なった。 耐久テストの条件は回転数550r.p.m.で連続運転し、
吐出圧力を28kg/cm2G、吸入圧力を4kg/cm2Gの過負荷状
態として、トルク変化及びオイルの汚れを監視し、異常
時に止めて、コンプレッサーを分解し各部品の摺動面の
目視評価を行なった。なお、トルクおよびオイルの汚れ
に異常の無いものについては、250時間運転後停止し、
同様の分解調査を行なった。 第5表に、各組合せで耐久テストした結果を示す。 比較例では、オイルの汚れにより4〜38時間の運転で
停止している。これに対し、本発明の実施の組合せで
は、250時間運転後開放しての調査結果では、摩耗は進
行しているものの、ほぼ従来の鉄系材料で各部品を構成
したコンプレッサーでの摩耗と比較して同等であった。 シリンダブロックの円筒部が楕円型のものについて説
明してきたが、円筒型のものについても同じ結果が得ら
れた。 次に、本例に用いたローターとシャフトとの結合例を
示す。 第3図、第4図に示すような外径がφ62mmで、幅3.6m
mのスリットが5箇所設けられたローター1を押し出し
た。次に、このローター4を長さ54mmに切断してT7の熱
処理後、第4図に示すような内周に4段の順次内径の異
なるはめ合い部23、24、25、26を機械加工で仕上げた。
はめ合い部23、24、25、26は、内径がそれぞれ18mm、1
7.5mm、16.8mm、16.3mmで、長さはそれぞれ13.5mm、7.5
mm、7.5mm、13.5mmとした。 シャフト5はSCM420材を機械加工し、スプライン部27
とセレーション部28、29は塑性加工により成形した。そ
の後熱処理(焼入れ、焼き戻し)を行い、セレーション
部28、29以外の外周には研磨仕上げを施した。なお第5
図に示すように、はめ合い部は、動力伝達側(スプライ
ン側)の寸法を大きくし、外側のはめ合い部30、31はロ
ーター4の該当はめ合い部23、26に対して、1/1000〜2.
5/1000の締め代とした。また塑性加工で形成されたセレ
ーション28は、歯数90(モジュール0.195)とし、セレ
ーション29では歯数86(モジュール0.195)とした。そ
れぞれのセレーションの形状は、三角歯であり、焼入れ
後の外径部研磨はしていない状態である。 シャフト5とアルミニウム合金製ローター4の結合は
室温での圧入により行なった。圧入試験は50個について
実施したが、焼き付きやガジリなどの圧入時のトラブル
は皆無であった。 次に結合により一体化した状態でローター4の両端
面、外径、スリット部の仕上げ加工を実施し完成品とし
た。 セレーション部分の結合状況は、シャフト5に設けら
れたセレーションの歯の間にローター4材が喰い込んだ
状態となっている。この部分にも、しまりばめの状態で
周方向の応力がかかっているので、高いトルクを許容で
きる。 完成品のトルクを実測した結果、30kg-m以上あること
が確認できた。次に完成品を150℃で200時間保持後、コ
ンプレッサーに組み込み液圧縮状態での試験を60回繰り
返した後分解し、ローター4とシャフト5の結合状態を
調査したが、ローター4とシャフト5間での結合状態に
異常はなく、ローター4の応力集中するスリットの底の
部分にも割れは発生していなかった。 (発明の効果) 以上のように、本発明によりベーン型コンプレッサー
の摺動面をもつ部品の軽量化が可能である。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一例のベーン型圧縮機の断面図、第2
図は第1図の矢視A−Aよりみた断面図、第3図はロー
ターの側面図、第4図はローターの横断面図、第5図は
シャフトの正面図である。 図中:1……シリンダ、2a、2b……サイドプレート、4…
…ローター、5……シャフト、7……ベーン溝、8……
ベーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品田 学 柏崎市松波1−17−28 (56)参考文献 特開 昭55−107094(JP,A) 特開 昭50−103433(JP,A) 特開 昭61−235514(JP,A) 特開 昭60−215733(JP,A) 特開 昭61−37960(JP,A) 特開 昭59−200868(JP,A) 実開 昭56−90494(JP,U) 実開 昭60−173687(JP,U)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.密閉された容器内に潤滑油溜りと圧縮機構が配さ
    れ、該圧縮機構にて冷媒ガスを圧縮するベーン型圧縮機
    において、前記圧縮機は、半径方向に出没自在のベーン
    を有し、頂部が窒化クロム又は窒化クロムと金属クロム
    とからなるイオンプレーティング層、側面が鉄又はNiを
    主体とする電気メッキ層でなる該ベーンが過共晶シリコ
    ンアルミニウム合金からなるシリンダブロックとロータ
    に摺接することを特徴とするベーン型圧縮機。
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