JP2732171B2 - セラミックス回路基板の製造方法 - Google Patents

セラミックス回路基板の製造方法

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JP2732171B2 JP4245697A JP24569792A JP2732171B2 JP 2732171 B2 JP2732171 B2 JP 2732171B2 JP 4245697 A JP4245697 A JP 4245697A JP 24569792 A JP24569792 A JP 24569792A JP 2732171 B2 JP2732171 B2 JP 2732171B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ビアホール導体の電気
接続性に優れたセラミックス回路基板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】従来,セラミックス回路基板は,同一の組
成のセラミックス基板用のグリーンシートを用い,電気
配線のための印刷等を行い,複数のグリーンシートを熱
圧着後,焼成してセラミックス基板としている。そし
て,その後,セラミックス基板の最外層にパターン導体
を形成させて実用に供していた。
【0003】この製造方法においては,セラミックス基
板が焼成時に縦,横,厚さの3方向にそれぞれ10〜2
0%程度収縮するため,焼成後の個々のセラミックス基
板の寸法,及びパターン導体の位置精度にばらつきが生
じる。そのため,このセラミックス基板上に実装するI
Cやコンデンサーが,セラミックス基板上の所定位置に
搭載できなくなってしまう。
【0004】そこで,複数のグリーンシートの最外層
に,該セラミックス基板の焼結温度では焼結しない未焼
結セラミックスシートを積層し熱圧着して一体化とな
し,その後グリーンシートを焼結させることが考えられ
る。これによれば,セラミックス基板の縦,横方向の収
縮を抑制し,主に厚さ方向にのみ収縮させる方法が考え
られる。
【0005】
【解決しようとする課題】 しかし,この場合,ビアホー
ル内に充填したビアホール導体が収縮し,ビアホール導
体とビアホールの内壁との接合性が不十分になる。即
ち,セラミックス基板はその厚さ方向に収縮するが,ビ
アホール内のビアホール導体は縦,横,厚さの3方向に
収縮する。そのため,ビアホール導体とビアホールの内
壁との間に隙間が生じる。
【0006】それ故,ビアホール導体と該ビアホール導
体に接続する内,外層のパターン導体との間に隙間が生
じ,電気的接続に欠損が生じてしまうおそれがある。本
発明はかかる問題点に鑑み,ビアホール導体の電気接続
性に優れたセラミックス回路基板の製造方法を提供しよ
うとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】本発明は,ビアホール内にビアホー
ル導体を充填してなる複数のセラミックス基板からなる
セラミックス回路基板の製造方法において,800℃〜
1000℃にて焼結可能なセラミックス基板形成用のグ
リーンシートを準備するA工程と,該グリーンシートの
焼結温度では焼結しない末焼結セラミックスシートを準
備するB工程と,上記グリーンシートにビアホールを穿
設し,該ビアホールにビアホール導体を充填するC工程
と,グリーンシート上にパターン導体を印刷するD工程
と,上記グリーンシートを複数枚積層し,その最上層及
び最下層に上記未焼結セラミックスシートを積層し熱圧
着して積層体を得るE工程と,上記積層体を800℃〜
1000℃にて加熱してグリーンシートを焼結させるF
工程と,上記積層体から未焼結セラミックスシートを除
去するG工程とからなり,かつ,上記C工程で用いる
アホール導体は,Ag100重量部と,W0.5〜5重
量部とよりなることを特徴とするセラミックス回路基板
の製造方法にある。
【0008】上記ビアホール導体は,Ag(銀)100
重量部と,W(タングステン)0.5〜5重量部より
なる。Wが,Ag100重量部に対して0.5重量部未
満の場合には,ビアホール導体と該ビアホール導体に接
続する内,外層のパターン導体との間に隙間が生じ,電
気的接続に欠損が生じてしまうおそれがある。一方,5
重量部を越える場合には,ビアホール導体の導通抵抗が
高くなりすぎるおそれがある。
【0009】また,上記ビアホール導体は,Ag100
重量部と,W及びSb の合計量が0.5〜5重量
部とよりなることが好ましい。これにより,ビアホール
導体と内,外層のパターン導体との電気接続性が向上す
る。 更にまた,上記ビアホール導体は,Ag100重量
及びW0.5〜5重量部に対して,更にPd(パラジ
ウム)を0.1〜50重量部の範囲内で加えることがで
きる。これにより,Pdを含有する内,外層のパターン
導体とビアホール導体との電気的接続性が向上する。
【0010】即ち,内,外層のパターン導体に耐マイグ
レーション性向上のためPdを加える場合がある。この
場合,ビアホール導体の導体成分にAgだけでなくPd
を加えることにより,ビアホール導体とパターン導体と
の接合信頼性が向上する。Pdが,0.1重量部未満の
場合ではPd添加による効果がなく,50重量部を越え
る場合には焼結し難くなる。
【0011】上記ビアホール導体としては,ペースト状
のものを用いる。該ペースト状のビアホール導体は,上
記組成の混合粉末と,エチルセルロース等のバインダー
と,テレピネオール等の溶剤とを混合することにより得
られる。混合の際には,3本ロール等を用いて,上記混
合粉末を均一に分散させる。上記混合粉末は,Ag粉末
とW粉末とよりなる。Pdを添加する場合には,Agと
Pdとの混合粉末として添加することができる。Agと
Pdとの混合粉末としては,両粉末の混合物,AgとP
dとの共沈物,或いは両者の合金粉等を用いる。
【0012】上記混合粉末の粒径は,0.1〜20μm
が好ましい。0.1μm未満,或いは20μmを越える
場合には,粒径が不揃いとなり均一なビアホール導体を
形成することが困難である。また,上記と同様の理由に
より,平均の粒径は,約0.1〜10μmであることが
好ましい。上記パターン導体には,抵抗体,コンデンサ
ー等を設けることができる。
【0013】上記グリーンシートは,800〜1000
℃の低温で焼結可能なものである。グリーンシートは,
セラミックス粉とバインダーと溶剤とを混合し,シート
状にすることにより得られる。上記セラミックス粉とし
ては,CaO−Al2 3 ─SiO2 ─B2 3 系ガラ
スとα─アルミナとよりなる混合物,PbO−SiO2
─B2 3 系ガラスとα─アルミナ又はムライトよりな
る混合物,或いはMgO−Al2 3 ─SiO2 ─B2
3 系結晶化ガラス等を用いる。
【0014】上記セラミックス粉は,0.1〜10μm
程度の平均粒径であることが好ましい。上記バインダー
としては,アクリル樹脂,ブチラール樹脂等を用いる。
上記溶剤としては,ベンゼン,エタノール等を用いる。
上記未焼結セラミックスシートは,α─アルミナ,ジル
コニア等の1000℃以上で焼結する粉末を,上記グリ
ーンシートと同様にして混合し,シート状にすることに
より得られる。
【0015】
【作用及び効果】本発明の製造方法においては,ビアホ
ール内のビアホール導体は,上記に示す組成よりなる。
そのため,複数のグリーンシートの最外層に未焼結セラ
ミックスシートを積層し一体化した状態でグリーンシー
トを焼結させる際には,ビアホール導体とビアホールの
内壁との間に隙間が生じない。それ故,本発明のセラミ
ックス回路基板は,ビアホールにおける電気接続性に優
れている。
【0016】上記理由は,ビアホール導体が上記組成で
あるので,ビアホール導体中のAgとWとの混合粉末又
はAgとWとPdとの混合粉末とセラミックス基板と
の接合性が強固になるためと考えられる。本発明によれ
ば,ビアホール導体の電気接続性に優れたセラミックス
回路基板の製造方法を提供することができる。
【0017】
【実施例】実施例E1,E2,参考例R1,R2,比較
例C1,C2 本発明にかかる実施例について,参考例及び比較例とと
もに,図1〜図6を用いて説明する。本例は,図1に示
すごとく,ビアホール90内にビアホール導体11を充
填してなるセラミックス基板91,92からなるセラミ
ックス回路基板9を製造する方法である。
【0018】セラミックス基板91の表面,裏面には,
パターン導体12,13が形成されている。セラミック
ス回路基板9において,セラミックス基板91は最上層
であり,セラミックス基板92は最下層である。図2〜
図4に示すごとく,セラミックス基板91のパターン導
体12,13は,ビアホール90内に充填したビアホー
ル導体11を介して,交互に電気的に接続している。
【0019】次に,上記セラミックス回路基板の製造方
法について説明する。まず,A工程においては,図5
(A)に示すごとく,800℃〜1000℃にて焼結可
能なセラミックス基板91形成用のグリーンシート81
を準備する。グリーンシートは,セラミックス粉とバイ
ンダーと溶剤とを混合し,ドクターブレード法によりシ
ート状にすることにより得られる。グリーンシートの厚
さは0.36mmである。
【0020】上記セラミックス粉としては,CaO−A
2 3 ─SiO2 ─B2 3 系ガラス60重量部とα
─アルミナ40重量部とよりなる混合物であって,平均
粒径2μmの粉体である。上記バインダーとしては,ブ
チラール樹脂を用いる。上記溶剤としては,トルエン,
エタノール,及びジブチルフタレートを用いる。
【0021】次に,B工程においては,図5(B)に示
すごとく,厚さ0.4mmの未焼結セラミックスシート
2を準備する。該未焼結セラミックスシートは,100
0℃以上で焼結するα─アルミナ粉末を,上記グリーン
シートと同様にして混合し,シート状にすることにより
得られる。α─アルミナ粉末の平均粒径は1μmであ
る。
【0022】そして,C工程において,図5(C1)に
示すごとく,金型を用いて,上記グリーンシート81
に,0.3mm径のビアホール90を穿設する。次い
で,図5(C2)に示すごとく,スクリーン印刷により
ビアホール90内にビアホール導体11を充填する。該
ビアホール導体11は,表1に示すごとく,ペースト1
〜4(実施例E1,E2,参考例R1,R2)を用いて
いる。
【0023】ビアホール導体11は,ペースト状であ
り,上記組成の混合粉末と,バインダーとしてのエチル
セルロースと,溶剤としてのテレピネオールとを混合す
ることにより得られる。混合の際には,3本ロール混合
機を用いて,上記混合粉末を均一に分散させる。上記混
合粉末の粒径は,0.1〜20μmであり,平均粒径は
約0.1〜10μmである。上記混合粉末は,Ag粉末
又はAgとPdとの混合粉末と,W粉末又はSb23
粉末とよりなる。
【0024】AgとPdとの混合粉末は,両粉末の混合
物を用いる。次に,D工程において,図5(D)に示す
ごとく,グリーンシート81の表面,裏面に,パターン
導体12,13を印刷する。パターン導体12は外層パ
ターンであり,表1に示すごとく,ペースト6を用いて
いる。パターン導体13は,内層パターンであり,ペー
スト5を用いている。
【0025】また,セラミックス基板92形成用のグリ
ーンシート82を,上記A工程と同様に成形する。次
に,上記A〜C工程を行い加工されたグリーンシート8
1及び上記A工程により成形されたグリーンシート82
を,金型を用いて外寸法120mm×120mmの正方
形状に打抜く。
【0026】次に,E工程において,図6(E)に示す
ごとく,上記グリーンシート82,81を下から順に積
層し,その最上層及び最下層に上記未焼結セラミックス
シート2を積層する。次に,これらを温度100℃,圧
力100Kg/cm2 にて,熱圧着し,積層体99を得
る。
【0027】次に,F工程において,図6(F,G)に
示すごとく,上記積層体99を900℃,20分間焼成
して上記グリーンシートを焼結させる。次に,G工程に
おいて,上記積層体99から未焼結セラミックスシート
2を除去する。これにより,図1に示すような前記セラ
ミックス回路基板9が得られる。
【0028】次に,本例の製造方法により作製されたセ
ラミックス回路基板の寸法安定性,及びビアホール内に
おける導体の導通性について評価した。評価項目は,表
2に示すごとく,導体の導通性,焼成によるセラミック
ス基板の収縮率及びそのばらつきとした。各実施例,参
考例及び比較例においては,表1に示したペーストN
o.1〜4及び5を用いた。
【0029】導体の導通性を測定するに当たっては,テ
スターを用い,100Ω以上の抵抗値の場合を導通性無
しとし,それ以下の場合を導通性有りとした。上記収縮
率を測定するに当たっては,図3に示すごとく,セラミ
ックス基板91の表面に形成された基板寸法測定用パタ
ーン151,159間の距離Lを測定した。その結果を
表2に示す。同表において,「ばらつき」とは,パター
ン151,159間の距離の最大値と最小値の差をい
う。
【0030】尚,比較のために,ビアホール内のビアホ
ール導体11に,内層パターン導体形成用のペースト5
を用いたセラミックス回路基板を,実施例と同様に製造
し,比較例1とした。また,比較例2として,末焼
結セラミックスシートでグリーンシートを挟むことな
く,該グリーンシートを焼成した。その他は比較例
と同様である。上記比較例1,2のセラミックス回
路基板について,上記と同様に評価を行ない,表2に示
した。上記各試験は,各々20個のセラミックス回路基
板を作製して評価した。
【0031】表2より知られるごとく,本発明の実施例
E1,E2,参考例R1,R2にかかるビアホール導体
はいずれも導通性があった。なお,1つのビアホール導
体の導通抵抗は0.8mΩであった。比較例C1,C2
については,ビアホールと該ビアホールに接続する内,
外層のパターン導体の間に隙間が生じたために,導通性
がなかった。また,実施例E1,E2,参考例R1,R
及び比較例C1における,セラミックス基板の収縮率
は0.2%であり,セラミック基板のばらつきは約0.
2mmであった。
【0032】このことから,本例の製造方法において,
未焼結セラミックスシートによりグリーンシートを挟ん
で熱圧着して積層体とすることにより,セラミックス基
板の横,縦方向の収縮が抑制されることがわかる。一
方,比較例C2に関しては,グリーンシートを焼結する
際に未焼結セラミックスシートでグリーンシートを挟ま
なかったために,セラミックス基板の収縮率が18.5
%であり,セラミックス基板のばらつきは1.4mmで
あった。以上より知られるごとく,本例のセラミックス
回路基板は,上記組成のビアホール導体11を用いてい
るので,ビアホールにおける電気接続性に優れている。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例E1,E2,参考例R1,R2,比較例
C1,C2にかかるセラミックス回路基板の断面図。
【図2】図1におけるA−A線矢視線断面図。
【図3】図1における平面図。
【図4】図1におけるB−B線矢視線断面図。
【図5】実施例1〜4のセラミックス回路基板の製造工
程説明図。
【図6】図5に続く製造工程説明図。
【図7】図6に続く製造工程説明図。
【符号の説明】
11...ビアホール導体, 12,13...パターン導体, 2...未焼結セラミックスシート, 9...セラミックス回路基板, 90...ビアホール, 91,92...セラミックス基板, 81,82...グリーンシート, 99...積層体,
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−81106(JP,A) 特開 平2−277279(JP,A) 国際公開91/10630(WO,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビアホール内にビアホール導体を充填し
    てなる複数のセラミックス基板からなるセラミックス回
    路基板の製造方法において, 800℃〜1000℃にて焼結可能なセラミックス基板
    形成用のグリーンシートを準備するA工程と, 該グリーンシートの焼結温度では焼結しない未焼結セラ
    ミックスシートを準備するB工程と, 上記グリーンシートにビアホールを穿設し,該ビアホー
    ルにビアホール導体を充填するC工程と, グリーンシート上にパターン導体を印刷するD工程と, 上記グリーンシートを複数枚積層し,その最上層及び最
    下層に上記末焼結セラミックスシートを積層し熱圧着し
    て積層体を得るE工程と, 上記積層体を800℃〜1000℃にて加熱してグリー
    ンシートを焼結させるF工程と, 上記積層体から未焼結セラミックスシートを除去するG
    工程とからなり, かつ,上記C工程で用いるビアホール導体は,Ag10
    0重量部と,W0.5〜5重量部とよりなることを特徴
    とするセラミックス回路基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記ビアホール導体
    は,Ag100重量部と,W及びSb合計量が
    0.5〜5重量部とよりなることを特徴とするセラミッ
    クス回路基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記ビアホー
    ル導体は,Ag100重量部及びW0.5〜5重量部に
    対して,Pd0.1〜50重量部を含有することを特徴
    とするセラミックス回路基板の製造方法。
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