JP2729669B2 - パンの製造法 - Google Patents

パンの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、最終発酵時間及び/又は焼成時間の異なる
2種以上のパンを同時に製造する方法、更に詳細には、
2種以上の冷凍パン生地を同一のホイロ及びオーブン中
で同時に処理して、同時に数種のパンを製造する方法に
関する。
〔従来の技術〕
近年、パンの製造法において、ベーカリーでは、生産
を合理化するために、パン生地を冷凍生地として用意
し、用事これを解凍、最終発酵、焼成して顧客に提供す
る方法がとられている。
一方、顧客の嗜好性の向上に伴って、店頭に、焼きた
ての新鮮なものを多種類提供することが要求されるよう
になった。しかし、店頭における最も小さな既存設備の
ホイロ及びオーブンでも、1回に数十個のパンが製造さ
れてしまうと共に、パンは種類によって最終発酵時間及
び焼成時間が異なるため同一設備で多種類のパンを同時
に製造することができないという問題があり、上記の要
求を満たすことが困難であった。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、同一のホイロ及びオーブンで同時に多種類の
パンを製造する方法の開発が所望されていた。
〔課題を解決するための手段〕
斯かる実状において、本発明者は鋭意研究を行った結
果、冷凍パン生地を種類によって半解凍ないし全解凍状
態にしてホイロに入れることによってホイロ中での処理
時間を共通にし、またオーブン中で加えられる熱量をパ
ンの種類によって変えることによってオーブン中での処
理時間を共通にすることによって、同時に多種類のパン
が製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、最終発酵時間及び/又は焼成時
間の異なる2種以上のパンを同時に製造する方法であっ
て、(1)冷凍パン生地を種類によって半解凍ないし全
解凍状態に調製してホイロに入れることによってホイロ
処理時間を共通にし、かつ(2)パン生地の種類によっ
て、オーブン中で加えられる熱量を調整することによっ
て焼成時間を共通にする、ことを特徴とするパンの製造
法を提供するものである。
以下に本発明の実施態様を詳細に説明する。
本発明の冷凍パン生地は、常法に従って、原材料をミ
キシング、発酵、成型、冷凍することによって調製され
る。
冷凍パン生地からパンを製造する場合、パンの種類に
よって、一般に第1表に示すような解凍時間、最終発酵
時間及び焼成時間を要するものである。
まず、冷凍パン生地は解凍されるが、解凍はパンの種
類に関係なく、室温(20℃)にて大略30分で終了する。
しかし、本発明ではホイロ中での処理時間(以下、ホイ
ロ処理時間と称する)を一定にするため、冷凍パン生地
半解凍した状態でホイロに入れ、その中で残余の解凍と
最終発酵を行う。すなわち、解凍時間と最終発酵時間の
和がホイロ処理時間になるように調整する。ホイロ処理
時間は、最終発酵に付される2種以上のパン生地のうち
で最終発酵時間が最も長いものの最終発酵時間とするの
が好ましい。従って、この場合、最終発酵時間の最も長
いパン生地は予め全解凍した状態でホイロに入れられ
る。ホイロ処理の条件は、最終発酵に付されるパン生地
の組合せによって適宜選択されるが、通常、湿度70〜80
%、温度30〜40℃で行うのが好ましい。斯くするとき、
同一ホイロ中で同時に数種のパン生地の最終発酵が完了
する。
斯くして得たパン生地は、オーブンに入れ焼成され
る。第1表に示す如く、焼成時間はパンの種類によって
異なるため、その種類に応じて、オーブン中で加えられ
る熱量を調整する。すなわち、焼成時間の長いものには
熱量を多くし、また焼成時間の短いものには熱量を少な
くする。斯かる熱量の調整は、例えば天板の枚数を変え
る方法や天板の材質、構造等を変える方法等によって達
成される。焼成温度は、焼成に付されるパン生地の組合
せによって適宜選択されるが、通常200〜220℃が好まし
い。焼成時間は、天板の枚数により調整する場合には、
天板を1枚としたときの焼成時間が最も長いものの焼成
時間にする。このようにするとき、焼成時間の異なる2
種以上のパンを同一オーブン中で同時に焼成することが
できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、最終発酵時間及び/又は焼成時間の
異なる2種以上のパンを同一のホイロ及びオーブン中で
同時に製造できるので、焼きたての新鮮なパンを多種類
店頭に提供することができる。
〔実施例〕
次に実施例を挙げて説明する。
実施例1 (1)冷凍パン生地 次のようにしてバターロール、菓子パン及びハードロ
ール用の3種の冷凍パン生地を調製した。
バターロール用冷凍生地 <原料> (重量部) 小麦粉 100 イースト 5 イーストフード 0.1 食 塩 1.5 砂 糖 15 卵 15 脱脂粉乳 2 マーガリン 15 モノグリ 0.2 水 43 <操作> 根 捏 全材料を混合、低速2分、中速9分 捏上温度 26℃ 発酵時間 30分(温度27℃、湿度78%) 分割重量 40g ベンチタイム 15分 成 形 ガス抜きして丸めた 冷凍時間 20分(−40℃) 貯蔵温度 −18℃ 菓子パン(あんパン)用冷凍生地 <原料> (重量部) 小麦粉 100 イースト 5 イーストフード 0.1 食 塩 1 砂 糖 25 卵 10 脱脂粉乳 2 シュガーエステル 0.2 ショートニング 10 水 48 <操作> 根 捏 全材料を混合、低速2分、中速10分 捏上温度 26℃ 発酵時間 30分(温度27℃、湿度78%) 分割重量 40g ベンチタイム 15分 成 形 30gの餡を詰めた 冷凍時間 20分(−40℃) 貯蔵温度 −18℃ ハードロール用冷凍生地 <原料> (重量部) 小麦粉 100 イースト 4 イーストフード 0.1 食 塩 2 砂 糖 2 ショートニング 2 大豆レシティン 0.2 水 58 <操作> 根 捏 全材料を混合、低速2分、中速9分 捏上温度 26℃ 発酵時間 15分(温度27℃、湿度78%) 分割重量 40g ベンチタイム 15分 成 形 ガス抜きして丸めた 冷凍時間 25分(−40℃) 貯蔵温度 −18℃ (2)冷凍生地の解凍 バターロール用冷凍生地は10分間、菓子パン用冷凍生
地は25分間室温(20℃)に放置して半解凍とし、ハード
ロール用パン生地は30分間室温に放置して全解凍した。
(3)ホイロ処理 (2)で得た3種の半解凍乃至全解凍パン生地をホイ
ロ〔(株)オシキリ社製TTF-53型〕に入れ、温度35℃、
湿度75%で80分間ホイロ処理してパン生地を得た。
(4)焼成 (3)で得た3種のパン生地を、ハードロールパン生
地は天板1枚、菓子パン生地は天板3枚、バターロール
パン生地は天板2枚の上に載置してオーブン〔(株)ハ
イト社製ラックオーブンRO-51型〕中に入れ、210℃で12
分間焼成して3種のパンを製造した。
このようにして得られた3種のパンは、第1表に示す
条件で製造したものとほとんど同一のものであった。
実施例2 (1)冷凍パン生地 次のようにしてクロワッサン、デニッシュペーストリ
ー及びレーズンロール用の3種の冷凍パン生地を調整し
た。
クロワッサン用冷凍生地 <原料> (重量部) 小麦粉 100 イースト 6 イーストフード 0.1 食塩 2 砂糖 8 卵 5 脱脂粉乳 3 マーガリン 5 モノグリ 0.2 水 58 ロールイン油脂 50 <操作> 根 捏 全材料を混合、低速2分、中速7分 捏上温度 26℃ 発酵時間 20分(温度27℃、湿度78%) 冷 却 −1℃の冷蔵庫で15時間 ロールイン 油脂を折り込み、4つ折り2回 成 形 3角形に切り、底辺から巻いた 冷凍時間 20分(−40℃) 貯蔵温度 −18℃ デニッシュペーストリー用冷凍生地 <原料> (重量部) 小麦粉 100 イースト 8 イーストフード 0.1 食塩 1.5 砂糖 18 卵 18 脱脂粉乳 3 マーガリン 18 モノグリ 0.2 水 42 ロールイン油脂 50 <操作> 根 捏 砂糖、マーガリン、卵を予めクリーム
状に混合し、これにその他の全材料を混合、低速2分、
中速10分 捏上温度 26℃ 発酵時間 30分(温度27℃、湿度78%) 冷 却 −1℃の冷蔵庫で15時間 ロールイン 油脂を折り込み、3つ折り3回 成 形 4角形に切り、2つ折りにした 冷凍時間 20分(−40℃) レーズンロール <原料> (重量部) 小麦粉 100 イースト 5 イーストフード 0.1 食塩 1.5 砂糖 12 卵 10 脱脂粉乳 3 マーガリン 12 モノグリ 0.2 レーズン 60 水 54 <操作> 根 捏 全材料を混合、低速2分、中速8分 捏上温度 26℃ 発酵時間 20分(温度27℃、湿度78%) 分割重量 40g 成 形 ガス抜きして丸めた 冷凍時間 20分(−40℃) 貯蔵温度 −18℃ (2)冷凍生地の解凍 レーズンロール用冷凍生地は10分間、デニッシュペー
ストリー用冷凍生地は25分間室温(20℃)に放置して半
解凍とし、クロワッサン用冷凍生地は30分間室温に放置
して全解凍とした。
(3)ホイロ処理 (2)で得た3種の半解凍乃至全解凍パン生地を実施
例1と同様のホイロにいれ、温度35℃、湿度75%で80分
間ホイロ処理してパン生地を得た。
(4)焼成 (3)で得た3種のパン生地をレーズンロールパン生
地は天板3枚、クロワッサン生地は天板2枚、デニッシ
ュペーストリーは天板1枚の上にのせて実施例1と同様
のオーブンに入れ、210℃で12分間焼成して3種のパン
を製造した。このようにして得られた3種のパンは第1
表に示す条件で製造したものとほとんど同一のものであ
った。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最終発酵時間及び/又は焼成時間の異なる
    2種以上のパンを同時に製造する方法であって、(1)
    冷凍パン生地を種類によって半解凍ないし全解凍状態に
    調製してホイロに入れることによってホイロ処理時間を
    共通にし、かつ(2)パン生地の種類によって、オーブ
    ン中で加えられる熱量を調整することによって焼成時間
    を共通にする、ことを特徴とするパンの製造法。
  2. 【請求項2】ホイロ処理時間を最終発酵時間の最も長い
    ものの最終発酵時間とすることを特徴とする請求項1記
    載のパンの製造法。
  3. 【請求項3】オーブン中で加えられる熱量を、天板の枚
    数を変えることによって調整する請求項1記載のパンの
    製造法。
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