JP2728688B2 - 電力変換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明はインバータの保護を行う電力変換装置に関す
るものである。

（従来の技術） 第２図に従来の電圧形インバータ電動機制御装置を示
す。第２図において１は三相交流電源、1aはリアクト
ル、２はコンタクタ、３は三相交流を直流に変換する電
源側のコンバータであり、トランジスタ3a〜3fをブリッ
ジ接続して構成されており、各トランジスタ3a〜3fのエ
ミッタとコレクタの間にはダイオード3g〜3lが接続され
る。４は電源側のコンバータにより変換された直流電圧
を平滑するためのコンデンサ、５は電源側のコンバータ
により変換された直流電力を可変電圧・可変周波数の交
流電力に変換する電動機側のインバータであり、電源側
のコンバータと同様にトランジスタ5a〜5fとダイオード
5g〜5lにより構成される。６は交流電動機、７は平滑コ
ンデンサ両端の直流母線の電圧を検出する電圧検出器、
7aは電圧検出信号、８は設定値をつくる設定値発生回
路、8aは設定値信号、９は電圧検出信号7aと設定値信号
8aを比較する比較回路、9aは比較回路より出力される過
電圧検出信号、10は過電圧検出信号をホールドするホー
ルド回路、10aはホールド回路より出力されるインバー
タ停止信号、11,13はそれぞれ電動機側，電源側の制御
回路、11a,13aは制御回路からトランジスタ3a〜3f、5a
〜5fのベースへ与えられるゲート信号、13b,14bはそれ
ぞれ電源側，電動機側の変換器に対する運転指令信号、
12は直流母線電圧確認回路、12aは直流母線電圧確認信
号、14は論理積素子、14aはその出力信号である。

この様に構成された電動機制御装置の運転動作および
直流母線過電圧の保護動作について説明する。

コンタクタ２が投入されると直流母線の平滑コンデン
サ４は電源側インバータのダイオード3g〜3lを通して充
電され、直流母線電圧V_DCは電源線間電圧実効値Eaの1.3
5倍となる。次に、電源力率を１に保ち電源への電力回
生を可能にするため上位マイコンより電源側コンバータ
運転指令13bがアクティブにされ、電源側コンバータ制
御回路13よりゲート信号が出力されトランジスタのスイ
ッチングが開始されることにより直流母線電圧V_DCはよ
り高い値Ｖに昇圧される。直流母線電圧V_DCは電源側イ
ンバータ３により常にこの値に制御される。次に上位マ
イコンより電動機側インバータ運転指令14bがアクティ
ブにされ、直流母線電圧確認回路12により直流母線電圧
の昇圧が確認され、この回路の出力がアクティブにされ
ると、論理積出力14aがアクティブとなり、電動機型イ
ンバータ制御回路11によりゲート信号が出力されトラン
ジスタのスイッチングが開始され、電動機６が駆動され
る。エレベータのように急瞬な負荷変動のない場合、直
流母線電圧は電源側コンバータにより常に一定の値に保
たれる。

また、インバータのトランジスタが導通中に直流母線
電圧が上昇するとトランジスタ内の損失の増大や２次降
伏を誘発しトランジスタが破壊する。これらの理由によ
り、電圧検出器７により検出された直流母線電圧検出信
号と設定値発生回路８において直流母線電圧より僅かに
高い値に設定された所定値を比較回路９により比較し、
直流母線電圧が所定値を越えた場合には、比較回路出力
である過電圧検出信号9aをアクティブにしてこれをホー
ルド回路10によりホールドし停止信号10aとして、電動
機側、電源側の制御回路11,13に与えることによりゲー
ト信号11a,13aをしゃ断し、以後継続的にインバータの
運転を停止していた。

（発明が解決しようとする課題） 従来の装置において、直流母線の過電圧保護以外の保
護が働き電動機を急停止させる場合、上位マイコンから
の電源側インバータ運転指令信号13bをネガティブに
し、電源側および電動機側のゲート信号をしゃ断し、イ
ンバータ運転を停止して機械式ブレーキにより電動機を
停止させる。この場合、ゲート信号をしゃ断されトラン
ジスタが非導通状態になった直後、それまで電動機に流
れていた電流と電動機のインダクンスにより蓄積された
エネルギーがダイオード5g〜5lを通して瞬時的に直流母
線に返されるために直流母線電圧が瞬時的に上昇する。

電動機出力容量が大きい場合や過負荷時には直流母線
電圧に対して電動機電流が大きいため、ゲート信号しゃ
断直後母線電圧の上昇が大きくなり、過電圧検出が行わ
れインバータ停止信号10aがアクティブとなるため、始
めの保護が働いた原因が取り除かれ復旧運転が必要であ
る場合に、再び上位マイコンにより電源側の運転指令信
号13bがアクティブにされてもインバータの運転が開始
されず復旧運転ができないという不具合があった。

本発明の目的は、過電圧保護以外の保護動作がなさ
れ、インバータが停止した後、直流母線電圧が上昇し設
定範囲を越えても、過電圧検出動作によるコンバータ及
びインバータの停止処理を行なわないようにした電力変
換装置を提供することにある。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータに
コンデンサを介して接続され、直流電力を交流電力に変
換して電動機に供給するインバータを有し、このコンバ
ータの出力側に接続されたコンデンサの両端電圧を検出
する電圧検出器を設け、この電圧検出器の出力信号が所
定値を越えた時に異常を検出し、この異常検出時に、前
記コンバータの運転指令信号が出力されている場合には
前記コンバータ及びインバータ停止信号を出力し、前記
コンバータへの運転指令信号が出力されていない場合に
は前記コンバータ及びインバータ停止信号を出力しない
判断手段とを有する電力交換装置。

（作 用） 以上の構成により本発明では、電圧検出器による出力
信号が所定値を越え、比較回路により異常が検出された
時、コンバータへの運転指令信号が出力されている場合
にはコンバータ及びインバータ停止信号を出力し、コン
バータ有への運転指令信号が出力されていない場合には
コンバータ及びインバータ停止信号を出力しないように
する。

（実施例） 本発明による実施例を第１図に示す第１図は第２図の
比較回路９とホールド回路10の間に論理素子15をそう入
し、過電圧検出信号9aと電源側コンバータ運転指令13b
の論理積を過電圧検出信号15aとし、これをホールド回
路10によりホールドした信号を停止信号として制御回路
11,13に与えるものであり、これ以外の構成は第２図と
同様である。

上位マイコンより電源側コンバータ運転指令信号13b
がアクティブになり、電動機が運転されているとき、直
流コンデンサ４の両端電圧が所定値を越えると運転停止
信号10aが出力されコンバータ３及びインバータ５の運
転は停止される。

また、電源側コンバータ３が運転されていないとき、
つまり運転指令信号13bがネガティブのときは、直流母
線電圧が所定値を越えて、過電圧検出信号9aがアクティ
ブになっても、この信号と電源側コンバータ運転指令信
号13bの論理和である過電圧検出信号15aはアクティブと
ならない。従って、停止信号10aもアクティブとならな
い。

以上述べてきたように、電動機６を運転中、何らかの
保護が働き電動機を急停止させるため、上位マイコンよ
り電源側コンバータ運転指令信号をネガティブにして機
械的ブレーキにより電動機を停止させた場合、電動機の
インダクタンスに蓄積されていたエネルギーにより直流
母線電圧が瞬時に上昇し設定値を越えても停止信号はア
クティブにはならない。

〔発明の効果〕

本発明によれば、電源側のコンバータの運転中に限
り、直流母線電圧の過電圧検出動作を有効とすることに
より、電動機を急停止させた直後電動機のインダクタン
ス蓄積エネルギーにより直流母線電圧が上昇し、あらか
じめ設定された所定値を越えても、過電圧検出動作によ
る停止信号は出力されずコンバータ及びインバータの停
止処理を行なわないようにすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に基づく実施例の構成図、第２図は従来
装置の構成図である。 ３……コンバータ、５……インバータ ６……電動機、７……電圧検出器 10……ホールド回路、14,15……論理積素子

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】交流電力を直流電力に変換して出力するコ
   ンバータと、 このコンバータの出力側に接続されたコンデンサと、 このコンデンサを介して接続され、直流電力を交流電力
   に変換して電動機に供給するインバータと、 前記コンバータの出力電圧を検出する電圧検出器と、 この電圧検出器の出力信号が所定値を越えた時に異常を
   検出する比較回路と、 この比較回路による異常検出時に、前記コンバータへの
   運転指令信号が出力されている場合には前記コンバータ
   及びインバータ停止信号を出力し、前記コンバータへの
   運転指令信号が出力されていない場合には前記コンバー
   タ及びインバータ停止信号を出力しない判断手段と を有する電力変換装置。