JP2727982B2 - インクジェット式プリントヘッド - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、熱エネルギーの作用に
よってインク吐出口からインク滴を吐出させるインクジ
ェット式プリントヘッドに関する。
よってインク吐出口からインク滴を吐出させるインクジ
ェット式プリントヘッドに関する。
【０００２】
【従来の技術】ワイヤドット方式に対極するいわゆるノ
ンインパクト記録法は、記録時における騒音の発生が無
視し得る程度に極めて小さいという点において、最近関
心を集めている。その中で、高速記録が可能であり、し
かも普通紙に特別の定着処理を施さずに記録を行えるイ
ンクジェット記録法は極めて有力な記録法であって、こ
れまでにも、吐出性能の最適化を目指して種々の角度か
らのアプローチがなされ、これに基づく様々な方式が提
案されている。
ンインパクト記録法は、記録時における騒音の発生が無
視し得る程度に極めて小さいという点において、最近関
心を集めている。その中で、高速記録が可能であり、し
かも普通紙に特別の定着処理を施さずに記録を行えるイ
ンクジェット記録法は極めて有力な記録法であって、こ
れまでにも、吐出性能の最適化を目指して種々の角度か
らのアプローチがなされ、これに基づく様々な方式が提
案されている。
【０００３】このインクジェット記録法は、いわゆるイ
ンクと称される記録液体の小滴を飛翔させ、記録部材に
付着させて記録を行うものであって、この記録液体の小
滴の発生方法により、幾つかのタイプに分類される。
ンクと称される記録液体の小滴を飛翔させ、記録部材に
付着させて記録を行うものであって、この記録液体の小
滴の発生方法により、幾つかのタイプに分類される。
【０００４】いわゆるバブルジェット記録方式は、例え
ば図８に示すように、発熱抵抗体３０が設けられた基板
３２と、インク供給路３４を区画する流路形成部材３６
と、インク供給路３４に連なるインク吐出口３８を有す
るオリフィスプレート４０とが備えられた構成の下、発
熱抵抗体３０によりこれを囲む熱作用部のインクを急激
に加熱、気化させ、発生した気泡４２の圧力によりイン
クの小滴をインク吐出口３８から吐出させる方式であ
る。発生した気泡４２は、周囲のインクによって冷却さ
れ、気泡４２内のインクの蒸気が凝縮して液体に戻るた
め、ついには消滅する。吐出により消費されたインク
は、インク吐出口３８内に後退したインクメニスカス４
４に働く毛細管力により、インク供給路３４を通じてイ
ンク溜まりから補給される。
ば図８に示すように、発熱抵抗体３０が設けられた基板
３２と、インク供給路３４を区画する流路形成部材３６
と、インク供給路３４に連なるインク吐出口３８を有す
るオリフィスプレート４０とが備えられた構成の下、発
熱抵抗体３０によりこれを囲む熱作用部のインクを急激
に加熱、気化させ、発生した気泡４２の圧力によりイン
クの小滴をインク吐出口３８から吐出させる方式であ
る。発生した気泡４２は、周囲のインクによって冷却さ
れ、気泡４２内のインクの蒸気が凝縮して液体に戻るた
め、ついには消滅する。吐出により消費されたインク
は、インク吐出口３８内に後退したインクメニスカス４
４に働く毛細管力により、インク供給路３４を通じてイ
ンク溜まりから補給される。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところで、記録を高速
で行うには、インク吐出口３８からインク滴を短周期で
繰り返し吐出させなければならないが、このためには、
吐出により消費されたインクをインク吐出口３８に高速
に補給する必要がある。この観点から、従来は、毛細管
力を強めるためにインク吐出口３８の径を小さくし、ま
た、インク供給路３４の流路抵抗を小さくする方策が講
じられていた。
で行うには、インク吐出口３８からインク滴を短周期で
繰り返し吐出させなければならないが、このためには、
吐出により消費されたインクをインク吐出口３８に高速
に補給する必要がある。この観点から、従来は、毛細管
力を強めるためにインク吐出口３８の径を小さくし、ま
た、インク供給路３４の流路抵抗を小さくする方策が講
じられていた。
【０００６】しかしながら、このようにしてインクの補
給を高速にすると、インクの持つ運動量が大きくなって
しまう。このため、図８に示すように、インク吐出口３
８から吐出したインク柱４６がインク滴として凝集して
いく過程において、インク柱４６が縦長となり、インク
柱４６の先端が主滴４８として形成される一方、図９に
示すように、後端部は主滴４８と分離して比較的大きな
低速のサテライト５０、５２となり、印字品質の劣化を
もたらしている。
給を高速にすると、インクの持つ運動量が大きくなって
しまう。このため、図８に示すように、インク吐出口３
８から吐出したインク柱４６がインク滴として凝集して
いく過程において、インク柱４６が縦長となり、インク
柱４６の先端が主滴４８として形成される一方、図９に
示すように、後端部は主滴４８と分離して比較的大きな
低速のサテライト５０、５２となり、印字品質の劣化を
もたらしている。
【０００７】また、運動量が大きくなると、図１０に示
すように、インクメニスカス４４がインク吐出口３８の
出口に到達した後、インク吐出口３８外に大きく突き出
し、その後、今度は逆にインク吐出口３８内に向かって
戻って行き、更に、減衰しながらまた同じ過程を繰り返
すという挙動を呈する。すなわち、メニスカス振動がな
かなか収まらないという現象が生じる。このような状態
で、短周期で繰り返し吐出を行うと、インクがリフィル
された直後の状態、言い換えると、インクメニスカスが
インク吐出口に到達した直後に次の吐出が行われると、
インク滴形状がいびつになり、低速サテライトの発生、
ひいては記録品質の劣化を引き起こすことになる。ま
た、オリフィスプレート表面のインク吐出口周囲にイン
クが溢れ出す原因ともなるため、溢れたインクのために
インク滴の飛翔方向が斜めになったり、更には気泡の巻
き込みによる不吐出の原因となり、記録の信頼性低下も
引き起こすという問題があった。
すように、インクメニスカス４４がインク吐出口３８の
出口に到達した後、インク吐出口３８外に大きく突き出
し、その後、今度は逆にインク吐出口３８内に向かって
戻って行き、更に、減衰しながらまた同じ過程を繰り返
すという挙動を呈する。すなわち、メニスカス振動がな
かなか収まらないという現象が生じる。このような状態
で、短周期で繰り返し吐出を行うと、インクがリフィル
された直後の状態、言い換えると、インクメニスカスが
インク吐出口に到達した直後に次の吐出が行われると、
インク滴形状がいびつになり、低速サテライトの発生、
ひいては記録品質の劣化を引き起こすことになる。ま
た、オリフィスプレート表面のインク吐出口周囲にイン
クが溢れ出す原因ともなるため、溢れたインクのために
インク滴の飛翔方向が斜めになったり、更には気泡の巻
き込みによる不吐出の原因となり、記録の信頼性低下も
引き起こすという問題があった。
【０００８】上記のメニスカス振動に因る問題を解決す
るには、振動が十分に減衰した後で次の吐出を行わざる
を得ないが、このことは、所期の目的である高速記録化
に逆行することにほかならない。
るには、振動が十分に減衰した後で次の吐出を行わざる
を得ないが、このことは、所期の目的である高速記録化
に逆行することにほかならない。
【０００９】本発明者等の考察によれば、インク吐出口
の実際形状は、オリフィスプレートの表面に向かって径
が漸減するテーパ状であるが、径が一定のストレート孔
として考えた場合、一般に、同じ解像度のヘッドから吐
出されるインク滴の量Ｑはほぼ同じであり、インク滴吐
出後にインク吐出口内にメニスカスが引き込まれた部分
の体積、すなわち、リフィルすべきインク量Ｑr も概略
同じとみなせる。引き込まれたインクメニスカスがイン
ク吐出口の出口まで達する時間をｔr とすると、インク
吐出口内の平均流速ｖは、 ｖ＝Ｑr ／（Ａ・ｔr ） インクの密度をρとすると、単位体積当たりの平均運動
量Ｍは、 Ｍ＝ρ・Ｑr 2 ／（Ａ・ｔr ）2 と表せる。これは、インク吐出口の径が大きい程、平均
運動量が小さいこと、すなわち、メニスカスのオーバー
シュートが起こりにくいことを示している。
の実際形状は、オリフィスプレートの表面に向かって径
が漸減するテーパ状であるが、径が一定のストレート孔
として考えた場合、一般に、同じ解像度のヘッドから吐
出されるインク滴の量Ｑはほぼ同じであり、インク滴吐
出後にインク吐出口内にメニスカスが引き込まれた部分
の体積、すなわち、リフィルすべきインク量Ｑr も概略
同じとみなせる。引き込まれたインクメニスカスがイン
ク吐出口の出口まで達する時間をｔr とすると、インク
吐出口内の平均流速ｖは、 ｖ＝Ｑr ／（Ａ・ｔr ） インクの密度をρとすると、単位体積当たりの平均運動
量Ｍは、 Ｍ＝ρ・Ｑr 2 ／（Ａ・ｔr ）2 と表せる。これは、インク吐出口の径が大きい程、平均
運動量が小さいこと、すなわち、メニスカスのオーバー
シュートが起こりにくいことを示している。
【００１０】また、オーバーシュートしたインクメニス
カスの凸形状を、理解し易いために回転放物面と近似す
ると、オーバーシュートしたインク体積がＱo の時、オ
ーバーシュートの高さｈは、 ｈ＝２・Ｑo ／Ａ と表せ、これからも、インク吐出口の径が大きい程オー
バーシュートの突出量が小さくなることが理解される。
カスの凸形状を、理解し易いために回転放物面と近似す
ると、オーバーシュートしたインク体積がＱo の時、オ
ーバーシュートの高さｈは、 ｈ＝２・Ｑo ／Ａ と表せ、これからも、インク吐出口の径が大きい程オー
バーシュートの突出量が小さくなることが理解される。
【００１１】このように、同一のインク量を同一の時間
でリフィルする条件では、インク吐出口の径が大きい程
オーバーシュートの突出量が小さくなることを示した
が、オーバーシュートの突出量ｈの絶対量は、インク供
給路の形状、すなわち、流路抵抗により決定されること
が実験的に確認されている。
でリフィルする条件では、インク吐出口の径が大きい程
オーバーシュートの突出量が小さくなることを示した
が、オーバーシュートの突出量ｈの絶対量は、インク供
給路の形状、すなわち、流路抵抗により決定されること
が実験的に確認されている。
【００１２】以上を踏まえると、インク吐出口の面積、
インク供給路の流路抵抗を最適化することによって、低
速サテライト等の不具合を来さずに高速記録化を図れる
ことが予想される。
インク供給路の流路抵抗を最適化することによって、低
速サテライト等の不具合を来さずに高速記録化を図れる
ことが予想される。
【００１３】
【発明の目的】そこで、本発明は、他の要素を付加する
ことなく、インク吐出口の面積やインク供給路の流路抵
抗等を工夫することによりインク吐出の最適化および高
速化を図り且つ製造コストの低減を可能とした信頼性の
高いインクジェット式プリントヘッドの提供をその目的
とする。
ことなく、インク吐出口の面積やインク供給路の流路抵
抗等を工夫することによりインク吐出の最適化および高
速化を図り且つ製造コストの低減を可能とした信頼性の
高いインクジェット式プリントヘッドの提供をその目的
とする。
【００１４】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記考察
に基づく実験結果から、インクメニスカスがインク吐出
口の出口に達した直後に次の吐出を行ってもインク滴形
状が歪まない条件が、 ０＜ｈ＜０．３（ｑ／Ａ） であることを見出した。本発明は、この実験結果を踏ま
えたもので、その特徴は、発熱抵抗体が設けられた基板
と、前記発熱抵抗体に対応した熱作用部を含むインク供
給路を区画する流路形成部材と、前記インク供給路に連
なるインク吐出口を有し前記基板上に前記流路形成部材
を介して積層されるオリフィスプレートとを備え、前記
発熱抵抗体を発熱させて前記インク吐出口からインク滴
を吐出させるインクジェット式プリントヘッドにおい
て、吐出する前記インク滴の量ｑと、前記インク吐出口
の面積Ａと、前記インク滴の吐出後に一旦後退した後復
帰して前記インク吐出口から突出するメニスカスの最大
突出量ｈとの関係が、「０＜ｈ＜０．３ｑ／Ａ」になる
ように上記インク供給路の流路抵抗を設定したことにあ
る。
に基づく実験結果から、インクメニスカスがインク吐出
口の出口に達した直後に次の吐出を行ってもインク滴形
状が歪まない条件が、 ０＜ｈ＜０．３（ｑ／Ａ） であることを見出した。本発明は、この実験結果を踏ま
えたもので、その特徴は、発熱抵抗体が設けられた基板
と、前記発熱抵抗体に対応した熱作用部を含むインク供
給路を区画する流路形成部材と、前記インク供給路に連
なるインク吐出口を有し前記基板上に前記流路形成部材
を介して積層されるオリフィスプレートとを備え、前記
発熱抵抗体を発熱させて前記インク吐出口からインク滴
を吐出させるインクジェット式プリントヘッドにおい
て、吐出する前記インク滴の量ｑと、前記インク吐出口
の面積Ａと、前記インク滴の吐出後に一旦後退した後復
帰して前記インク吐出口から突出するメニスカスの最大
突出量ｈとの関係が、「０＜ｈ＜０．３ｑ／Ａ」になる
ように上記インク供給路の流路抵抗を設定したことにあ
る。
【００１５】また、前記インク滴の量ｑと、前記インク
吐出口の面積Ａとの関係を、「π（３ｑ／（４π））
2/3 ≦Ａ≦π（３ｑ／（２π））2/3 」に設定した構成
とすることができる。
吐出口の面積Ａとの関係を、「π（３ｑ／（４π））
2/3 ≦Ａ≦π（３ｑ／（２π））2/3 」に設定した構成
とすることができる。
【００１６】さらにまた、前記インク滴の吐出後に前記
インク吐出口内に後退したメニスカスがインク吐出口に
復帰するまでの時間ｔ1 と、プリントヘッドの動作にお
ける最小の周期ｔmin との関係を、「０．９×ｔ1 ＜ｔ
min ＜１．１×ｔ1 」に設定することができる。
インク吐出口内に後退したメニスカスがインク吐出口に
復帰するまでの時間ｔ1 と、プリントヘッドの動作にお
ける最小の周期ｔmin との関係を、「０．９×ｔ1 ＜ｔ
min ＜１．１×ｔ1 」に設定することができる。
【００１７】
【作用】本発明によれば、気泡の発生に伴ってインク吐
出口からインク滴が吐出した後、インクのリフィル時の
メニスカスの突出量が、インク供給路の流路抵抗値の適
正化により低く抑えられるので、メニスカス振動の減衰
時間が短くなり、次の吐出での悪影響が回避される。ま
た、インク吐出口の面積が所定範囲で大きく設定される
場合にも、インクのリフィル時のメニスカスの突出量が
低くなり、メニスカス振動の減衰時間が短くなる。
出口からインク滴が吐出した後、インクのリフィル時の
メニスカスの突出量が、インク供給路の流路抵抗値の適
正化により低く抑えられるので、メニスカス振動の減衰
時間が短くなり、次の吐出での悪影響が回避される。ま
た、インク吐出口の面積が所定範囲で大きく設定される
場合にも、インクのリフィル時のメニスカスの突出量が
低くなり、メニスカス振動の減衰時間が短くなる。
【００１８】また、メニスカスの復帰時間とプリントヘ
ッドの駆動最小周期との関係が所定範囲に設定される構
成の場合、吐出するインク滴の形状がいびつにならない
状態で次の吐出までの無駄な時間が無くなり、吐出間隔
が短くなる。
ッドの駆動最小周期との関係が所定範囲に設定される構
成の場合、吐出するインク滴の形状がいびつにならない
状態で次の吐出までの無駄な時間が無くなり、吐出間隔
が短くなる。
【００１９】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図７に基
づいて説明する。図１は、インクジェット式プリントヘ
ッド（マルチノズル）の一つのノズルの断面図を示して
おり、図２は、同インクジェット式プリントヘッドのオ
リフィスプレートを取り除いた平面図を示している。
づいて説明する。図１は、インクジェット式プリントヘ
ッド（マルチノズル）の一つのノズルの断面図を示して
おり、図２は、同インクジェット式プリントヘッドのオ
リフィスプレートを取り除いた平面図を示している。
【００２０】インクジェット式プリントヘッド２には、
発熱抵抗体４が設置された基板６と、インク供給路８を
区画する流路形成部材１０と、この流路形成部材１０を
介して基板６上に積層されたオリフィスプレート１２と
が備えられており、オリフィスプレート１２には、発熱
抵抗体４に対向する位置をもってインク吐出口１４が形
成されている。また、インク供給路８の発熱抵抗体４に
対応する位置には、発熱抵抗体４を取り囲む熱作用部１
６が形成されている。図示しないが、発熱抵抗体４は、
個別電極及び共通電極に接続されており、外部からの駆
動パルスにより加熱することができるようになってい
る。
発熱抵抗体４が設置された基板６と、インク供給路８を
区画する流路形成部材１０と、この流路形成部材１０を
介して基板６上に積層されたオリフィスプレート１２と
が備えられており、オリフィスプレート１２には、発熱
抵抗体４に対向する位置をもってインク吐出口１４が形
成されている。また、インク供給路８の発熱抵抗体４に
対応する位置には、発熱抵抗体４を取り囲む熱作用部１
６が形成されている。図示しないが、発熱抵抗体４は、
個別電極及び共通電極に接続されており、外部からの駆
動パルスにより加熱することができるようになってい
る。
【００２１】次に、インクジェット式プリントヘッド２
の吐出動作について、図３乃至図５に基づいて説明す
る。
の吐出動作について、図３乃至図５に基づいて説明す
る。
【００２２】本実施例において、吐出するインク滴の量
ｑと、インク吐出口１４の面積Ａと、インク滴の吐出後
に一旦後退した後復帰してインク吐出口１４から突出す
るメニスカスの最大突出量ｈ（図５）との関係が、「０
＜ｈ＜０．３ｑ／Ａ」になるように、具体的には、「ｈ
＝０．２ｑ／Ａ」となるように、インク供給路８の流路
抵抗を設定してある。また、インク滴の量ｑと、インク
吐出口１４の面積Ａとの関係は、「π（３ｑ／（４
π））2/3 ≦Ａ≦π（３ｑ／（２π））2/3 」に設定さ
れている。
ｑと、インク吐出口１４の面積Ａと、インク滴の吐出後
に一旦後退した後復帰してインク吐出口１４から突出す
るメニスカスの最大突出量ｈ（図５）との関係が、「０
＜ｈ＜０．３ｑ／Ａ」になるように、具体的には、「ｈ
＝０．２ｑ／Ａ」となるように、インク供給路８の流路
抵抗を設定してある。また、インク滴の量ｑと、インク
吐出口１４の面積Ａとの関係は、「π（３ｑ／（４
π））2/3 ≦Ａ≦π（３ｑ／（２π））2/3 」に設定さ
れている。
【００２３】個別電極および共通電極間に駆動パルスを
印加し、発熱抵抗体４を発熱させると、図３に示すよう
に、発熱抵抗体４の上部のインクが急激に加熱され、イ
ンクが沸騰してインク成分の蒸気による気泡１８が発生
する。この気泡１８が、上部のインクをインク吐出口１
４から押し出すことにより、インク柱２０が形成され
る。
印加し、発熱抵抗体４を発熱させると、図３に示すよう
に、発熱抵抗体４の上部のインクが急激に加熱され、イ
ンクが沸騰してインク成分の蒸気による気泡１８が発生
する。この気泡１８が、上部のインクをインク吐出口１
４から押し出すことにより、インク柱２０が形成され
る。
【００２４】「π（３ｑ／（４π））2/3 ≦Ａ」という
条件は、インク吐出口１４の径が、所期のインク滴量を
与えるインク滴の直径以上であることを意味しており、
このため、インク柱２０は縦長とならず、図４に示すよ
うに、ほぼ単一のインク滴２２として形成される。従っ
て、散りのない良好な印字品質を得ることができる。
条件は、インク吐出口１４の径が、所期のインク滴量を
与えるインク滴の直径以上であることを意味しており、
このため、インク柱２０は縦長とならず、図４に示すよ
うに、ほぼ単一のインク滴２２として形成される。従っ
て、散りのない良好な印字品質を得ることができる。
【００２５】なお、インク吐出口１４の径がむやみに大
きい場合には、インク滴吐出時のインク流速も遅くなっ
てしまうため、インク滴の速度、或いは運動量が小さく
なり、外乱の影響を受け易くなる。また、インク吐出口
１４のインク滴の飛翔方向を規定するノズルとしての働
きが弱くなるため、インク滴飛翔方向がばらついて記録
用紙上の着滴位置もばらつき、結果として印字品質の劣
化を招来する。しかしながら、本実施例では、「Ａ≦π
（３ｑ／（２π））2/3 」の条件下にあるため、すなわ
ち、インク吐出口１４の径が所期のインク滴量を与える
半球の直径以下であるため、インク吐出時のインク柱２
０の側面がオリフィスプレート１２の表面に対して直角
となり、インク吐出口１４はノズルとして良好に機能す
るので、インク滴の飛翔方向がばらつくこともない。
きい場合には、インク滴吐出時のインク流速も遅くなっ
てしまうため、インク滴の速度、或いは運動量が小さく
なり、外乱の影響を受け易くなる。また、インク吐出口
１４のインク滴の飛翔方向を規定するノズルとしての働
きが弱くなるため、インク滴飛翔方向がばらついて記録
用紙上の着滴位置もばらつき、結果として印字品質の劣
化を招来する。しかしながら、本実施例では、「Ａ≦π
（３ｑ／（２π））2/3 」の条件下にあるため、すなわ
ち、インク吐出口１４の径が所期のインク滴量を与える
半球の直径以下であるため、インク吐出時のインク柱２
０の側面がオリフィスプレート１２の表面に対して直角
となり、インク吐出口１４はノズルとして良好に機能す
るので、インク滴の飛翔方向がばらつくこともない。
【００２６】インク柱２０が形成された後、気泡１８
は、図４に示すように、断熱膨張及び周囲のインクによ
る冷却作用により内部の圧力及び温度が下がり、収縮を
始める。インク柱２０は切れ、上述のようにインク滴２
２となって記録媒体に向かって飛翔すると同時に、イン
クメニスカス２４は、インク吐出口１４内に引き込まれ
る。その後は、インクメニスカス２４は、表面張力の合
力たるいわゆる毛細管力によりインク吐出口１４内を出
口に向かって復帰していくが、インクの持つ慣性力のた
めに、インクメニスカス２４はインク吐出口１４の出口
に達し、毛細管力が消失しても瞬間的に静止することは
なく、図５に示すように、インク吐出口１４の出口より
突出する。
は、図４に示すように、断熱膨張及び周囲のインクによ
る冷却作用により内部の圧力及び温度が下がり、収縮を
始める。インク柱２０は切れ、上述のようにインク滴２
２となって記録媒体に向かって飛翔すると同時に、イン
クメニスカス２４は、インク吐出口１４内に引き込まれ
る。その後は、インクメニスカス２４は、表面張力の合
力たるいわゆる毛細管力によりインク吐出口１４内を出
口に向かって復帰していくが、インクの持つ慣性力のた
めに、インクメニスカス２４はインク吐出口１４の出口
に達し、毛細管力が消失しても瞬間的に静止することは
なく、図５に示すように、インク吐出口１４の出口より
突出する。
【００２７】しかしながら、本実施例においては、「ｈ
＝０．２ｑ／Ａ」の条件を満たすように流路抵抗値が設
定されているため、インクのリフィルが速くなっている
にも拘わらず、突出量ｈが従来に比べて格段に少なくな
っているため、インクメニスカス２４が出口に達した直
後に次の吐出を行っても、インク滴形状は歪むことがな
く、低速サテライトの発生もない。また、インク溢れも
発生しにくいため、吐出方向性が悪くなって印字品質を
悪化させたり、気泡巻き込みで吐出不良を招くこともな
い。
＝０．２ｑ／Ａ」の条件を満たすように流路抵抗値が設
定されているため、インクのリフィルが速くなっている
にも拘わらず、突出量ｈが従来に比べて格段に少なくな
っているため、インクメニスカス２４が出口に達した直
後に次の吐出を行っても、インク滴形状は歪むことがな
く、低速サテライトの発生もない。また、インク溢れも
発生しにくいため、吐出方向性が悪くなって印字品質を
悪化させたり、気泡巻き込みで吐出不良を招くこともな
い。
【００２８】また、インクメニスカス２４の突出量ｈが
従来に比べて格段に少ないため、図６に示すように、イ
ンクメニスカス２４の振動減衰時間が極めて短く、これ
により、振動による次の吐出への悪影響が回避される。
図中、符号ｔ1 は、インクメニスカス２４がインク吐出
口１４の出口に達する時間を示す。
従来に比べて格段に少ないため、図６に示すように、イ
ンクメニスカス２４の振動減衰時間が極めて短く、これ
により、振動による次の吐出への悪影響が回避される。
図中、符号ｔ1 は、インクメニスカス２４がインク吐出
口１４の出口に達する時間を示す。
【００２９】従って、インクメニスカス２４がインク吐
出口１４の出口に達する時間ｔ1 とインクジェット式プ
リントヘッド２の動作最小周期ｔmin との関係を、
「０．９×ｔ1 ＜ｔmin ＜１．１×ｔ1 」の条件下でイ
ンクジェット式プリントヘッド２を駆動することによ
り、良好な吐出性能を維持した吐出間隔の最短化を図る
ことができ、よって拘束印字を達成することができる。
出口１４の出口に達する時間ｔ1 とインクジェット式プ
リントヘッド２の動作最小周期ｔmin との関係を、
「０．９×ｔ1 ＜ｔmin ＜１．１×ｔ1 」の条件下でイ
ンクジェット式プリントヘッド２を駆動することによ
り、良好な吐出性能を維持した吐出間隔の最短化を図る
ことができ、よって拘束印字を達成することができる。
【００３０】以上の構成の下、本実施例の測定データと
従来例との比較を図７に示す。
従来例との比較を図７に示す。
【００３１】この図７からも明らかにように、本実施例
にかかるインクジェット式プリントヘッドによれば、従
来例に比べて、散りのない印字をほぼ２倍に近い高速で
行うことができる。
にかかるインクジェット式プリントヘッドによれば、従
来例に比べて、散りのない印字をほぼ２倍に近い高速で
行うことができる。
【００３２】なお、上記実施例では各構成要素を特定の
形状で示したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えばインク吐出口１４の形状を多角形，或いはそ
の他の形状に限定できるなど、上記条件を満足する範囲
で適宜に選定・交換できるものである。
形状で示したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えばインク吐出口１４の形状を多角形，或いはそ
の他の形状に限定できるなど、上記条件を満足する範囲
で適宜に選定・交換できるものである。
【００３３】
【発明の効果】本発明は以上のように構成され機能する
ので、これによると、別部材ないし装置を付加すること
なく、散りのない状態で印字の高速化をなし得るという
従来にない優れたインクジェット式プリントヘッドを提
供することができる。
ので、これによると、別部材ないし装置を付加すること
なく、散りのない状態で印字の高速化をなし得るという
従来にない優れたインクジェット式プリントヘッドを提
供することができる。
【図１】本発明の一実施例を示す概要縦断面図である。
【図２】図１のオリフィスプレートを取り除いた平面図
である。
である。
【図３】インク滴の吐出前の状態を示す要部縦断面図で
ある。
ある。
【図４】インク滴の吐出後の状態を示す要部縦断面図で
ある。
ある。
【図５】インクメニスカスの最大突出状態を示す要部縦
断面図である。
断面図である。
【図６】インクメニスカスの減衰状態を示すグラフであ
る。
る。
【図７】図１に示す実施例と従来例との相違を示す図表
である。
である。
【図８】従来例におけるインク滴の吐出前の状態を示す
要部縦断面図である。
要部縦断面図である。
【図９】従来例におけるインク滴の吐出後の状態を示す
要部縦断面図である。
要部縦断面図である。
【図１０】従来例におけるインクメニスカスの最大突出
状態を示す要部縦断面図である。
状態を示す要部縦断面図である。
４ 発熱抵抗体 ６ 基板 ８ インク供給路 １０ 流路形成部材 １２ オリフィスプレート １４ インク吐出口 １６ 熱作用部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 稔 東京都港区芝五丁目７番１号 日本電気 株式会社内 (72)発明者 萩原 良広 東京都港区芝五丁目７番１号 日本電気 株式会社内 (72)発明者 藤沢 順一 東京都港区芝五丁目７番１号 日本電気 株式会社内
Claims (3)
- 【請求項１】 発熱抵抗体が設けられた基板と、前記発
熱抵抗体に対応した熱作用部を含むインク供給路を区画
する流路形成部材と、前記インク供給路に連なるインク
吐出口を有し前記基板上に前記流路形成部材を介して積
層されるオリフィスプレートとを備え、前記発熱抵抗体
を発熱させて前記インク吐出口からインク滴を吐出させ
るインクジェット式プリントヘッドにおいて、 吐出する前記インク滴の量ｑと、前記インク吐出口の面
積Ａと、前記インク滴の吐出後に一旦後退した後復帰し
て前記インク吐出口から突出するメニスカスの最大突出
量ｈとの関係が、「０＜ｈ＜０．３（ｑ／Ａ）」になる
ように上記インク供給路の流路抵抗を設定することを特
徴としたインクジェット式プリントヘッド。 - 【請求項２】 前記インク滴の量ｑと、前記インク吐出
口の面積Ａとの関係を、「π（３ｑ／（４π））2/3 ≦
Ａ≦π（３ｑ／（２π））2/3 」に設定したことを特徴
とした請求項１記載のインクジェット式プリントヘッ
ド。 - 【請求項３】 前記インク滴の吐出後に前記インク吐出
口内に後退したメニスカスがインク吐出口に復帰するま
での時間ｔ1 と、プリントヘッドの動作における最小の
周期ｔmin との関係を、「０．９×ｔ1 ＜ｔmin ＜１．
１×ｔ1 」に設定したことを特徴とした請求項１記載の
インクジェット式プリントヘッド。
Priority Applications (6)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6265294A JP2727982B2 (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | インクジェット式プリントヘッド |
| US08/549,053 US5880761A (en) | 1994-10-28 | 1995-10-27 | Ink jet print head |
| US09/211,681 US6290338B1 (en) | 1994-10-28 | 1998-12-14 | Ink jet print head |
| US09/548,651 USRE37453E1 (en) | 1994-10-28 | 2000-04-13 | Ink jet print head |
| US09/736,466 US6390607B2 (en) | 1994-10-28 | 2000-12-14 | Ink jet print head |
| US10/042,648 US6655789B2 (en) | 1994-10-28 | 2002-01-08 | Ink jet print head |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6265294A JP2727982B2 (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | インクジェット式プリントヘッド |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08118638A JPH08118638A (ja) | 1996-05-14 |
| JP2727982B2 true JP2727982B2 (ja) | 1998-03-18 |
Family
ID=17415211
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6265294A Expired - Lifetime JP2727982B2 (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | インクジェット式プリントヘッド |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| US (5) | US5880761A (ja) |
| JP (1) | JP2727982B2 (ja) |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2727982B2 (ja) * | 1994-10-28 | 1998-03-18 | 日本電気株式会社 | インクジェット式プリントヘッド |
| US6443561B1 (en) | 1999-08-24 | 2002-09-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Liquid discharge head, driving method therefor, and cartridge, and image forming apparatus |
| US6886924B2 (en) * | 2002-09-30 | 2005-05-03 | Spectra, Inc. | Droplet ejection device |
| US20080214214A1 (en) * | 2004-01-30 | 2008-09-04 | Combots Product Gmbh & Co., Kg | Method and System for Telecommunication with the Aid of Virtual Control Representatives |
| JP2007130852A (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-31 | Sony Corp | 液体吐出装置 |
| US8596756B2 (en) | 2011-05-02 | 2013-12-03 | Xerox Corporation | Offset inlets for multicolor printheads |
Family Cites Families (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE3402683C2 (de) * | 1983-01-28 | 1994-06-09 | Canon Kk | Tintenstrahl-Aufzeichnungskopf |
| US5202659A (en) | 1984-04-16 | 1993-04-13 | Dataproducts, Corporation | Method and apparatus for selective multi-resonant operation of an ink jet controlling dot size |
| US4882595A (en) * | 1987-10-30 | 1989-11-21 | Hewlett-Packard Company | Hydraulically tuned channel architecture |
| JP2763364B2 (ja) | 1990-02-26 | 1998-06-11 | キヤノン株式会社 | インクジェット装置 |
| JP2783647B2 (ja) | 1990-04-27 | 1998-08-06 | キヤノン株式会社 | 液体噴射方法および該方法を用いた記録装置 |
| JPH0564889A (ja) | 1990-12-14 | 1993-03-19 | Ricoh Co Ltd | インク飛翔記録方法及び装置及び該装置の製作方法 |
| US5198834A (en) * | 1991-04-02 | 1993-03-30 | Hewlett-Packard Company | Ink jet print head having two cured photoimaged barrier layers |
| JP3071869B2 (ja) | 1991-05-13 | 2000-07-31 | 株式会社リコー | 液体噴射記録装置及び記録方法 |
| JP3339724B2 (ja) * | 1992-09-29 | 2002-10-28 | 株式会社リコー | インクジェット記録方法及びその装置 |
| JPH06191030A (ja) | 1992-12-24 | 1994-07-12 | Canon Inc | インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 |
| JP2727982B2 (ja) * | 1994-10-28 | 1998-03-18 | 日本電気株式会社 | インクジェット式プリントヘッド |
-
1994
- 1994-10-28 JP JP6265294A patent/JP2727982B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
1995
- 1995-10-27 US US08/549,053 patent/US5880761A/en not_active Ceased
-
1998
- 1998-12-14 US US09/211,681 patent/US6290338B1/en not_active Expired - Lifetime
-
2000
- 2000-04-13 US US09/548,651 patent/USRE37453E1/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-12-14 US US09/736,466 patent/US6390607B2/en not_active Expired - Lifetime
-
2002
- 2002-01-08 US US10/042,648 patent/US6655789B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
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| US6290338B1 (en) | 2001-09-18 |
| US6655789B2 (en) | 2003-12-02 |
| US20010012037A1 (en) | 2001-08-09 |
| US5880761A (en) | 1999-03-09 |
| JPH08118638A (ja) | 1996-05-14 |
| US20020057316A1 (en) | 2002-05-16 |
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|---|---|---|---|
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