JP2952101B2 - 液体噴射記録ヘッド、該ヘッドを備えたインクジェットカートリッジ及び記録装置 - Google Patents

液体噴射記録ヘッド、該ヘッドを備えたインクジェットカートリッジ及び記録装置

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JP2952101B2
JP2952101B2 JP6369092A JP6369092A JP2952101B2 JP 2952101 B2 JP2952101 B2 JP 2952101B2 JP 6369092 A JP6369092 A JP 6369092A JP 6369092 A JP6369092 A JP 6369092A JP 2952101 B2 JP2952101 B2 JP 2952101B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッド及び事務機器一般に用いられるプリンター、複写
機、ファクシミリ、インクジェット記録装置等に適用可
能な、記録ヘッド又はインクタンク一体型の記録ヘッ
ド、最適には、装置本体に対して着脱可能な記録ヘッド
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ノンインパクト型記録装置のひとつ
として、インクを飛翔させて記録を行うインクジェット
記録装置が知られている。インクを飛翔させる手段とし
ては、ピエゾのように、液体であるインクに素子の機械
的な変形を生じさせ、この変形に依る液流路内容積の変
化に伴う吐出圧力を加える方式、液流路内に配された発
熱抵抗部で発生した熱をインクに作用させ発熱部近傍の
インクに急激な状態変化を起こし、この変化に伴う吐出
圧力をインクに加える方式のものがある。
【0003】中でも後述のインクジェット記録方式が高
精細記録、高速記録等の観点から注目されている。この
ような熱エネルギ−を利用する液体噴射記録方式におい
ては、その吐出効率、吐出応答性、吐出安定性、長時間
連続記録性、あるいは高速記録性等に優れた装置を得る
ことを目的として、例えば特開昭55−59975、特
開昭55−59976、特開昭55−59976、US
P4330787等に記載されている。
【0004】しかしながら、より高速でより高精細な記
録をより確実に実行することが要求される現在において
は、先の各公報に記載された液体噴射記録ヘッド及び記
録装置の更なる改良を計って、吐出効率の更なる向上と
より高速は飛翔液的の安定的な形成を実現する技術的課
題が与えられている。
【0005】このような課題の中に合って、特にマイク
ロドロップレットによる印字ずれの解消が大きな課題と
なっている。
【0006】このような記録ヘッドの課題を示すために
記録ヘッドの発熱素子1位置を上方から見た図1の(1),
(2),(3) を用いて、吐出口の現象変化を説明する。尚、
図2の(2),(3) は図1の(2),(3)に夫々対応する側面説
明図であり、図2(1)は図1の(1)より前の状態を
示している。発熱素子を加熱してインクを沸騰させてこ
の発泡時の圧力を利用してインク滴を形成して被記録材
上に記録を行う場合、吐出するインク滴は通常、大きく
分けて三つの部分から構成される。第一は主滴と呼ばれ
被記録材上に形成するドットの主体をなし、図1、図2
のD1で示されている。第二はサテライトと呼ばれ主滴
よりも少し遅れて主滴の末端からちぎれながら棒状の形
でオリフィスから吐出し、場合によってはいくつかのイ
ンク滴に分離しながら記録媒体上に着弾して印字ドット
を形成する。サテライトは図1、図2のD2で示されて
いて、通常、主滴とほぼ同時に被記録材上に付着するた
め、被記録材上では主滴の形成するドットに重なってド
ットを形成し印字ドット形成に重要な役割を果たしてい
る。第三は図1、図2のD3で示したマイクロドロップ
と呼ばれるインク滴である。マイクロドロップは加えら
れた熱により、発生した泡が、消泡する際に泡のインク
流上流側にあるインクと下流側にあるインクの衝突によ
って図1、2で示した消泡点から発生した圧力の衝撃波
によってメニスカス付近のインクに運動量が与えられて
吐出する。
【0007】マイクロドロップD3は主滴D1、サテラ
イトD2に比較して被記録材上に付着するのが遅くかつ
吐出量が少ない。このため、例えば図1に示したノズル
構造ではノズルが記録媒体に対してに移動している場合
には主滴、サテライトが記録媒体上に形成する印字ドッ
トとマイクロドロップの形成する印字ドットの位置がず
れていたり、別のドットを形成したりするため印字品位
を低下させる。また、図2に示したように主滴とサテラ
イトはオリフィスの中心軸Zに添った方向へ吐出される
が、マイクロドロップレットは矢印のみで示したノズル
のほぼ中心軸方向に吐出するため、これらの方向が異な
る場合には主滴はZ方向に飛翔することとなり、被記録
材上での付着位置のずれが生じてしまい結果として画質
の低下を招いてしまう。
【0008】このような、マイクロドットの発生を抑え
るために、本願出願人は先に特願平1−241049号
及び特願平1−241050号において、記録ヘッドの
流路構成を液流路の中心軸の吐出口側への延長線がオリ
フィスプレ−トの開口内壁に交差するように構成する等
の改良を行うことを提案した。このような、液流路構造
とした場合、マイクロドットの防止は十分に行われる
が、その構造上インクの吐出力や吐出スピ−ドに関して
は必ずしも十分とは言えなかった。
【0009】(背景技術)本発明者らは、発明をなすに
あたってマイクロドロップと主滴との飛翔方向の相違に
ついて研究した結果以下のことを見いだした。
【0010】主滴の飛翔方向は主滴を形成するインク
が、図2で示されるように発泡直前にオリフィス近傍に
存在するため、オリフィス部の形状の影響を大きく受
け、ほぼオリフィスの中心軸Z方向となる。一方、マイ
クロドロップD3は消泡時、すなわちメニスカスがその
最大後退時(消泡時から衝撃波の伝播時間分遅れるがほ
ぼ一致すると見なして良い)にメニスカス(図3のb位
置)から形成される。このときメニスカスは、オリフィ
ス部からほとんど後退しているため、オリフィス(O
R)はインクと接しておらず、その形状の、マイクロド
ロップの飛翔方向に与える影響は少ない。またマイクロ
ドロップは消泡点(図3の位置d)から発生した衝撃波
図3のb位置にあるメニスカスをたたくことによって
形成されるため、衝撃波の進行方向の影響を大きく受け
る。図3は衝撃波の進行方向がどのように決まるかを示
した図で消泡直後の圧力分布を示す等圧線図である。消
泡地点から発生した衝撃波の等圧線ははじめは消泡時に
衝突するインク面の形状の影響を受けるが消泡点(位置
)から離れるに従って、次第に流路形状の影響を受け
る。この時の境界条件は、圧力波の等圧線が流路の壁に
対して垂直(同じことであるが、ノズルの壁ではインク
の流れの速度ベクトルは壁に向かう方向にはゼロ)にな
ることである。そこで図に示すように発熱抵抗部に対向
する流路壁が発熱抵抗部の面に平行なcdの距離が長い
場合には、c付近で衝撃波のつくる等圧線はcd間のノ
ズルの中心軸方向に垂直となる。発熱抵抗部の吐出口側
の端部である位置cからメニスカス後退位置である位置
bまでのbc間で流路が広がることによって上方の等圧
線はわずかに変化するがメニスカス後退位置(b)で
は、cd間で特徴付けられるのと同じ等圧線となってい
る。当然のことながらインクの流れは圧力分布の最大勾
配方向に発生する。したがってメニスカス位置bで形成
されるマイクロドロップの持つ運動量は、b位置でのメ
ニスカスと等圧線の接線に垂直な方向つまり、bc間の
ノズルの中心軸方向となる。マイクロドロップの発生が
主滴に対して遅いことに加えて、オリフィス中心軸の方
向と、消泡点近傍のノズル中心軸の方向が異なるタイプ
のノズルでは飛翔方向までが異なるため、主滴及びサテ
ライトが記録媒体上に形成する印字ドットとマイクロド
ロップの形成するドットとが大きくずれて、印字品位が
著しく劣化する。
【0011】又、別の観点からマイクロドロップの吐出
方向を見ると、種々にばらついていていた。この原因を
究明したところ、メニスカス自体が記録中に変化する種
々の不安定要素によって乱れていることも判明した。
【0012】(発明の概要)本発明は、上記の問題点解
明に基づいてなされた各種の発明を提供するもので主た
る目的としてマイクロ液滴の発生を従来よりも所望の状
態に規制できる新規な規制構成を提供するものである。
【0013】又、本発明の他の目的は断面積の変化領域
を複数個分、液路内に作用するように構成することで、
記録条件を所望のものにでき得る記録ヘッド、及び記録
装置を提供するものである。
【0014】
【0015】本発明は、液体に気泡を形成する熱エネル
ギーを発生する発熱抵抗部を備えた基板と、前記発熱抵
抗部に対応して前記基板上に設けられる液流路と、前記
液流路の一端をなすとともに、前記基板に垂直な面に対
して傾いた面に設けられ、前記気泡の形成によって液体
を吐出するための吐出口と、を備え、前記吐出口が設け
られた面に対して直交し前記吐出口の中心を通る基準中
心線が前記基板に交差する液体噴射記録ヘッドにおい
て、前記液流路の前記吐出口が設けられた面に対して直
交し前記吐出口の中心を通る基準中心線に垂直な前記液
流路の断面積が、前記液流路の前記発熱抵抗部による熱
が作用される熱作用部から前記吐出口にむけて増加する
ことで、前記気泡の消泡による衝撃波の進行方向を前記
基準中心線の方向に修正し、前記衝撃波により発生する
マイクロドロップレットの吐出方向を前記気泡の発生に
よる吐出口からの液体の吐出方向にほぼ一致させる領域
を有していることを特徴とする液体噴射記録ヘッドを提
供する。このヘッドによれば、マイクロ液滴による画質
不良を改善でき、所望の修正が達成できる。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】本発明のインクジェットカートリッジ及び
記録装置は、上記各種記録ヘッドを用いて記録応答性を
確実に向上できた記録を達成できるものである。本発明
は、上記請求項に限定されず、この実施例の各部の構成
自体が1つの発明である。
【0020】
【実施例】以下本発明の詳細を実施例を用いて説明す
る。図4は図2のノズルに関して本発明を実施した例で
ノズル全体の縦断面図で、O1−O2−P2−P1−O
1が吐出口、O2−P2が吐出口の外部開口である。A
Bは発熱抵抗部(ヒーター)で紙面に垂直な面内に広が
っている。この図ではヒーターの駆動によって吐出され
るインクの主滴およびサテライトはほぼZ軸に沿って飛
翔する。さて本発明にかかわるオリフィス後方ノズル中
心軸調整のための構造は図中LH及びMJで示された流
路で形成されている。
【0021】本実施例では概略LHとMJとのなす角の
二等分線の方向が図4に示すように吐出口が設けられた
面に対して直交するとともに吐出口の中心を通る基準中
心線としてのオリフィス中心軸の方向に一致している。
勿論、この概略の規則は絶対的なものでなく、印字品位
がノズルのその他の部分の構造、流体の物理特性、ノズ
ルユニットの記録媒体に対する相対速度、その他の影響
を受けるので個々の場合に応じて微調整を要する。
【0022】図5は計算機シミュレーションによる消泡
直後の等圧線図であり、図中LH及びMJの区間で従来
の液流路の場合に比べて等圧線が傾いており、メニスカ
ス24と接する。このように等圧線がオリフィス面の方
に揃うように調整されるたことがわかる。
【0023】このように消泡時に生じる衝撃波の伝搬を
修正することによって、マイクロドロップの飛翔方向を
主滴およびサテライトの飛翔方向との合わせることがで
き、インクの吐出速度を低下させることなく、印字品位
を著しく向上させることができる。
【0024】図16乃至図20は、本発明が実施もしく
は適用される好適なインクジエツトユニツトIJU,イ
ンクジエツトヘツドIJH,インクタンクIT,インク
ジエツトカートリツジIJC,インクジエツト記録装置
本体IJRA,キヤリツジHCの夫々及び夫々の関係を
説明するための説明図である。以下これらの図面を用い
て各部構成の説明を行う。
【0025】本例でのインクジエツトカートリツジIJ
Cは、図17の斜視図でわかるように、インクの収納割
合が大きくなっているもので、インクタンクITの前方
面よりもわずかにインクジエツトユニツトIJUの先端
部が突出した形状である。このインクジエツトカートリ
ツジIJCは、インクジエツト記録装置本体IJRAに
載置されているキヤリツジHC(図5)の後述する位置
決め手段及び電気的接点とによって固定支持されると共
に、該キヤリツジHCに対して着脱可能なデイスポーザ
ブルタイプである。本例図16乃至図20には、本発明
の成立段階において成された数々の新規な技術が適用さ
れた構成となっているので、これらの構成を簡単に説明
しながら、全体を説明することにする。
【0026】(i) インクジエツトユニツトIJU構
成説明 インクジエツトユニツトIJUは、電気信号に応じて膜
沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギー
を生成する電気熱変換体を用いて記録を行うバブルジエ
ツト方式のユニツトである。
【0027】図16において、100はSi基板上に複
数の列状に配された電気熱変換体(吐出ヒータ)と、こ
れに電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術によ
り形成されて成るヒータボードである。200はヒータ
ボード100に対する配線基板であり、ヒータボード1
00の配線に対応する配線(例えばワイヤボンデイング
により接続される)と、この配線の端部に位置し本体装
置からの電気信号を受けるパツド201とを有してい
る。
【0028】1300は複数のインク流路を夫々区分す
るための隔壁や各インク流路へインクを与えるためにイ
ンクを収納するための共通液室等を設けた溝付天板で、
インクタンクITから供給されるインクを受けて上述の
共通液室へ導入するインク受け口1500と、各インク
流路に対応した吐出口を複数有するオリフイスプレート
400を一体成型したものである。これらの一体成型材
料としてはポリサルフオンが好ましいが、他の成型用樹
脂材料でも良い。
【0029】300は配線基板200の裏面を平面で支
持する例えば金属製の支持体で、インクジエツトユニツ
トの底板となる。500は押えばねであり、M字形状で
そのM字の中央で共通液室を軽圧で押圧すると共に前だ
れ部501で液路の一部、好ましくは吐出口近傍の領域
を線圧で集中押圧する。ヒータボード100および天板
1300を押えばねの足部が支持体300の穴3121
を通って支持体300の裏面側に係合することでこれら
を挟み込んだ状態で両者を係合させることにより、押え
ばね500とその前だれ部501の集中付勢力によって
ヒータボード100と天板1300とを圧着固定する。
又支持体300は、インクタンクITの2つの位置決め
凸起1012及び位置決め且つ熱融着保持用凸起180
0,1801に係合する位置決め用穴312,190
0,2000を有する他、装置本体IJRAのキヤリツ
ジHCに対する位置決め用の突起2500,2600を
裏面側に有している。加えて支持体300はインクタン
クからのインク供給を可能とするインク供給管2200
(後述)を貫通可能にする穴320をも有している。支
持体300に対する配線基板200の取付は、接着剤等
で貼着して行われる。尚、支持体300の凹部240
0,2400は、それぞれ位置決め用突起2500,2
600の近傍(裏面側)に設けられている。そして、組
立てられたインクジエツトカートリツジIJC(図3)
のヘッド部先端領域の周囲3辺に形成された平行溝30
00,3001の複数の延長線上にある。このため平行
溝3000,3001に沿って移動したゴミやインク等
の不要物が突起2500,2600に至ることがないよ
うになっている。この平行溝3000が形成されてい
る。蓋部材800は、図19でわかるように、インクジ
エツトカートリツジIJCの外壁を形成すると共に、イ
ンクタンクとでインクジエツトユニツトIJUを収納す
る空間部を形成している。又、この平行溝3001が形
成されているインク供給部材600は、前述したインク
供給管2200に連続するインク導管1600を供給管
2200側が固定の片持ちばりとして形成し、インク導
管の固定側とインク供給管2200との毛管現象を確保
するための封止ピン602が挿入されている。尚、60
1はインクタンクITと供給管2200との結合シール
を行うパツキン、700は供給管のタンク側端部に設け
られたフイルターである。
【0030】このインク供給部材600は、モールド成
型されているので、安価で位置精度が高く形成製造上の
精度低下を無くしているだけでなく、インクの供給用導
管1600の構造を片持ちばり構造としているため、導
管1600の上述インク受け口1500に対する圧接状
態が安定化できるので大量生産にも適した構造となって
いる。本例では、この圧接状態下で封止用接着剤をイン
ク供給部材側から流し込むだけで、より完全な連通状態
を確実に得ることができている。尚、インク供給部材6
00の支持体300に対する固定は、支持体300の穴
1901,1902に対するインク供給部材600の裏
面側ピン(不図示)を支持体300の穴1901,19
02を介して貫通突出せしめ、支持体300の裏面側に
突出した部分を熱融着することで簡単に行われる。尚、
この熱融着された裏面部のわずかな突出領域は、インク
タンクITのインクジエツトユニツトIJU取付面側壁
面のくぼみ(不図示)内に収められるのでユニツトIJ
Uの位置決め面は正確に得られる。
【0031】(ii) インクタンクIT構成説明 インクタンクは、カートリツジ本体1000とインク吸
収体900とインク吸収体900をカートリツジ本体1
000の上記ユニツトIJU取付面とは反対側の側面か
ら挿入した後、これを封止する蓋部材1100とで構成
されている。
【0032】900はインクを含浸させるための吸収体
であり、カートリツジ本体1000内に配置される。1
200は上記各部100〜600からなるユニツトIJ
Uに対してインクを供給するための供給口であると共に
当該ユニツトをカートリツジ本体1000の部分101
0に配置する前の工程で供給口1200よりインクを注
入することにより吸収体900のインク含浸を行うため
の注入口でもある。
【0033】この本例では、インクを供給可能な部分
は、大気連通口とこの供給口とになるが、インク吸収体
からのインク供給性を良好に行うための本体1000内
リブ2300と蓋部材1100の部分リブ2302,2
301とによって形成されたタンク内空気存在領域を、
大気連通口1401側から連続させてインク供給口12
00から最も遠い角部域にわたって形成している構成を
とっているので、相対的に良好かつ均一な吸収体へのイ
ンク供給は、この供給口1200側から行われることが
重要である。この方法は実用上極めて有効である。この
リブ2300は、インクタンクの本体1000の後方面
において、キヤリツジ移動方向に平行なリブを4本有
し、吸収体が後方面に密着することを防止している。
又、部分リブ2400,2500は、同様にリブ230
0に対して対応する延長上にある蓋部材1100の内面
に設けられているが、リブ2300とは異なり分割され
た状態となっていて空気の存在空間を前者より増加させ
ている。尚、部分リブ2302,2301は蓋部材11
00の全面積の半分以下の面に分散された形となってい
る。これらのリブによってインク吸収体のタンク供給口
1200から最も遠い角部の領域のインクをより安定さ
せつつも確実に供給口1200側へ毛管力で導びくこと
ができた。1401はカートリツジ内部を大気に連通す
るために蓋部材に設けた大気連通口である。1400は
大気連通口1401の内方に配置される撥液材であり、
これにより大気連通口1400からのインク漏洩が防止
される。
【0034】前述したインクタンクITのインク収容空
間は長方体形状であり、その長辺を側面にもつ場合であ
るので上述したリブの配置構成は特に有効であるが、キ
ヤリツジの移動方向に長辺を持つ場合又は立方体の場合
は、蓋部材1100の全体にリブを設けるようにするこ
とでインク吸収体900からのインク供給を安定化でき
る。限られた空間内にインクを出来るだけ収納するため
には直方体形状が適しているが、この収納されたインク
を無駄なく記録に使用するためには、上述したように、
角部の領域に対して近接する2面領域に上記作用を行え
るリブを設けることが重要である。更に本実施例におけ
るインクタンクITの内面リブは、直方体形状のインク
吸収体の厚み方向に対してほぼ均一な分布で配置されて
いる。この構成は、吸収体全体のインク消費に対して、
大気圧分布を均一化しつつインク残量をほとんど無なら
しめることが出来るため重要な構成である。更に、この
リブの配置上の技術思想を詳述すれば、直方体の4角形
上面においてインクタンクのインク供給口1200を投
影した位置を中心として、長辺を半径とする円弧を描い
たときに、その円弧よりも外側に位置する吸収体に対し
て、大気圧状態が早期に与えられるようにその円弧より
も外側の面に上記リブを配設することが重要となる。こ
の場合、タンクの大気連通口は、このリブ配設領域に大
気を導入できる位置であれば、本例に限られることでは
ない。
【0035】加えて、本実施例では、インクジェットカ
ートリッジIJCのヘッドに対する後方面を平面化し
て、装置に組み込まれたときの必要スペースを最小化な
らしめるとともに、インクの収容量を最大化している構
成をとっているために、装置の小型化を達成できるだけ
ではなく、カートリッジの交換頻度を減少できる優れた
構成をとっている。そして、インクジェットユニットI
JUを一体化するための空間の後方部を利用して、そこ
に、大気連通口1401用の突出部分を形成し、この突
出部分の内部を空洞化して、ここに前述した吸収体90
0厚み全体に対する大気圧供給空間1402を形成して
ある。このように構成することで、従来には見られない
優れたカートリッジを提供できた。尚、この大気圧供給
空間1402は、従来よりもはるかに大きい空間であ
り、上記大気連通口1401が上方に位置しているの
で、何らかの異常で、インクが吸収体から離脱しても、
この大気圧供給空間1402は、そのインクを一時的に
保持でき、確実に吸収体に回収せしめることができるの
で無駄のない優れたカートリッジを提供できる。
【0036】又インクタンクITの上記ユニツトIJU
の取付面の構成は図18によって示されている。オリフ
イスプレート400の突出口のほぼ中心を通って、タン
クITの底面もしくはキヤリツジの表面の載置基準面に
平行な直線をL1とすると、支持体300の穴312に
係合する2つの位置決め凸起1012はこの直線L1上
にある。この凸起1012の高さは支持体300の厚み
よりわずかに低く、支持体300の位置決めを行う。こ
の図面上で直線L1の延長上にはキヤリツジの位置決め
用フツク4001の90°角の係合面4002が係合す
る爪2100が位置しており、キヤリツジに対する位置
決めの作用力がこの直線L1を含む上記基準面に平行な
面領域で作用するように構成されている。図5で後述す
るが、これらの関係は、インクタンクのみの位置決めの
精度がヘツドの吐出口の位置決め精度と同等となるので
有効な構成となる。
【0037】又、支持体300のインクタンク側面への
固定用穴1900,2000に夫々対応するインクタン
クの突起1800,1801は前述の凸起1012より
も長く、支持体300を貫通して突出した部分を熱融着
して支持体300をその側面に固定するためのものであ
る。上述の線L1に垂直でこの突起1800を通る直線
をL3、突起1801を通る直線をL2としたとき、直
線L3上には上記供給口1200のほぼ中心が位置する
ので、供給部の口1200と供給管2200との結合状
態を安定化する作用をし、落下や衝撃によってもこれら
の結合状態への負荷を軽減できるので好ましい構成であ
る。又、直線L2,L3は一致していず、ヘツドIJH
の吐出口側の凸起1012周辺に突起1800,180
1が存在しているので、さらにヘツドIJHのタンクに
対する位置決めの補強効果を生んでいる。尚、L4で示
される曲線は、インク供給部材600の装着時の外壁位
置である。突起1800,1801はその曲線L4に沿
っているので、ヘツドIJHの先端側構成の重量に対し
ても充分な強度と位置精度を与えている。尚、2700
はインクタンクITの先端ツバで、キヤリツジの前板4
000の穴に挿入されて、インクタンクの変位が極端に
悪くなるような異変時に対して設けられている。210
1は、キヤリツジに対する抜け止めで、キヤリツジHC
の不図示のバーに対して設けれ、カートリッジIJCが
後述のように旋回装着された位置でこのバーの下方に侵
入して、不要に位置決め位置から離脱させる上方方向へ
力が作用しても装着状態を維持するための保護用部材で
ある。
【0038】インクタンクITは、ユニツトIJUを装
着された後に蓋800で覆うことで、ユニツトIJUを
下方開口を除いて包囲する形状となるが、インクジエツ
トカートリツジIJCとしては、キヤリツジHCに載置
するための下方開口はキヤリツジHCと近接するため、
実質的な4方包囲空間を形成してしまう。従って、この
包囲空間内にあるヘツドIJHからの発熱はこの空間内
の保温空間として有効となるものの長期連続使用として
は、わずかな昇温となる。このため本例では、支持体の
自然放熱を助けるためにカートリツジIJCの上方面
に、この空間よりは小さい幅のスリツト1700を設け
て、昇温を防止しつつもユニツトIJU全体の温度分布
の均一化を環境に左右されないようにすることができ
た。
【0039】インクジエツトカートリツジIJCとして
組立てられると、インクはカートリツジ内部より供給口
1200、支持体300に設けた穴320および供給タ
ンク600の中裏面側に設けた導入口を介して供給タン
ク600内に供給され、その内部を通った後、導出口よ
り適宜の供給管および天板1300のインク導入口15
00を介して共通液室内へと流入する。以上におけるイ
ンク連通用の接続部には、例えばシリコンゴムやブチル
ゴム等のパツキンが配設され、これによって封止が行わ
れてインク供給路が確保される。
【0040】尚本実施例においては天板1300は耐イ
ンク性に優れたポリサルフオン、ポリエーテルサルフオ
ン、ポリフエニレンオキサイド、ポリプロピレンなどの
樹脂を用い、オリフイスプレート部400と共に金型内
で一体に同時成型してある。上述のように一体成型部品
は、インク供給部材600、天板1300・オリフイス
プレート400一体部材、インクタンク本体1000と
したので組立て精度が高水準になるばかりでなく、大量
生産の品質向上に極めて有効である。又部品点数の個数
は従来に比較して減少できているので、優れた所望特性
を確実に発揮できる。
【0041】また、本発明実施例では、上記組立後の形
状において、図16乃至図18で示されるように、イン
ク供給部材600はその上面部603がインクタンクI
Tのスリット1700を備えた屋根部の端部4008と
の間に図3に示したようにスリットSを形成し、下面部
604がインクタンクITの下方の蓋800が接着され
る薄板部材のヘッド側端部4011との間に上記スリッ
トSと同様のスリット(不図示)を形成している。これ
らのインクタンクITとインク供給部材600との間の
スリットは、上記スリット1700の放熱を一層促進さ
せる作用を実質的に行うとともに、タンクITへ加わる
不要な圧力があってもこれを直接供給部材、強いては、
インクジェットユニットIJTへ及ぼすことを防止して
いる。
【0042】いずれにしても、本実施例の上記構成は、
従来には無い構成であって、それぞれが単独で有効な効
果をもたらすと共に、複合的にも各構成要件があること
で有機的な構成をもたらしている。
【0043】(iii) キヤリツジHCに対するイン
クジエツトカートリツジIJCの取付説明 図19において、5000はプラテンローラで、記録媒
体Pを紙面下方から上方へ案内する。キヤリツジHC
は、プラテンローラ5000に沿って移動するもので、
キヤリツジの前方プラテン側にインクジエツトカートリ
ツジIJCの前面側に位置する前板4000(厚さ2m
m)と、カートリツジIJCの配線基板200のパツド
201に対応するパツド2011を具備したフレキシブ
ルシート4005及びこれを裏面側から各パツド201
1に対して押圧する弾性力を発生するためのゴムパツド
シート4007を保持する電気接続部用支持板4003
と、インクジエツトカートリツジIJCを記録位置へ固
定するための位置決め用フツク4001とが設けられて
いる。前板4000は位置決め用突出面4010をカー
トリツジの支持体300の前述した位置決め突起250
0,2600に夫々対応して2個有し、カートリツジの
装着後はこの突出面4010に向う垂直な力を受ける。
このため、補強用のリブが前板のプラテンローラ側にそ
の垂直な力の方向に向っているリブ(不図示)を複数有
している。このリブは、カートリツジIJC装着時の前
面位置L5よりもわずかに(約0.1mm程度)プラテ
ンローラ側に突出しているヘツド保護用突出部をも形成
している。電気接続部用支持板4003は、補強用リブ
4004を前記リブの方向ではなく垂直方向に複数有
し、プラテン側からフツク4001側に向って側方への
突出割合が減じられている。これは、カートリツジ装着
時の位置を図のように傾斜させるための機能も果してい
る。又、支持板4003は電気的接触状態を安定化する
ため、上記2つの位置決め用突出面4010がカートリ
ッジに及ぼす作用方向と逆方向に、カートリッジへの作
用力を及ぼすためのフツク側の位置決め面4006を突
出面4010に対応して2個有し、これらの2個の位置
決め面の間にパツドコンタクト域を形成すると共にパツ
ド2011対応のボツチ付ゴムシート4007のボツチ
の変形量を一義的に規定する。これらの位置決め面は、
カートリツジIJCが記録可能な位置に固定されると、
配線基板200の表面に当接した状態となる。本例で
は、さらに配線基板200のパツド201を前述した線
L1に関して対称となるように分布させているので、ゴ
ムシート4007の各ボツチの変形量を均一化してパツ
ド2011の当接圧をより安定化している。本例のパツ
ド201の分布は、上方,下方2列、縦2列である。
【0044】フツク4001は、固定軸4009に係合
する長穴を有し、この長穴の移動空間を利用して図の位
置から反時計方向に回動した後、プラテンローラ500
0に沿って左方側へ移動することでキヤリツジHCに対
するインクジエツトカートリツジIJCの位置決めを行
う。このフツク4001の移動はどのようなものでも良
いが、レバー等で行える構成が好ましい。いずれにして
もこのフツク4001の回動時にカートリツジIJCは
プラテンローラ側へ移動しつつ位置決め突起2500,
2600が前板の位置決め面4010に当接可能な位置
へ移動し、フツク4001の左方側移動によって90°
のフツク面4002がカートリツジIJCの爪2100
の90°面に密着しつつカートリツジIJCを位置決め
面2500,4010同志の接触域を中心に水平面内で
旋回して最終的にパツド201,2011同志の接触が
始まる。そしてフツク4001が所定位置、即ち固定位
置に保持されると、パツド201,2011同志の完全
接触状態と、位置決め面2500,4010同志の完全
面接触と、90度面4002と爪の90度面の2面接触
と、配線基板300と位置決め面4006との面接触と
が同時に形成されてキヤリツジに対するカートリツジI
JCの保持が完了する。
【0045】(iv) 装置本体の概略説明 図20は本発明が適用されるインクジエツト記録装置I
JRAの概観図で、駆動モータ5013の正逆回転に連
動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転
するリードスクリユー5005のら線溝5004に対し
て係合するキヤリツジHCはピン(不図示)を有し、矢
印a,b方向に往復移動される。5002は紙押え板で
あり、キヤリツジ移動方向にわたって紙をプラテン50
00に対して押圧する。5007,5008はフオトカ
プラでキヤリツジのレバー5006のこの域での存在を
確認してモータ5013の回転方向切換等を行うための
ホームポジシヨン検知手段である。5016は記録ヘツ
ドの前面をキヤツプするキヤツプ部材5022を支持す
る部材で、5015はこのキヤツプ内を吸引する吸引手
段でキヤツプ内開口5023を介して記録ヘツドの吸引
回復を行う。5017はクリーニングブレードで、50
19はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材で
あり、本体支持板5018にこれらは支持されている。
ブレードは、この形態でなく周知のクリーニングブレー
ドが本例に適用できることはいうまでもない。又、50
21は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キ
ヤリツジと係合するカム5020の移動に伴って移動
し、駆動モータからの駆動力がクラツチ切換等の公知の
伝達手段で移動制御される。
【0046】これらのキヤツピング、クリーニング、吸
引回復は、キヤリツジがホームポジシヨン側領域にきた
ときにリードスクリユー5005の作用によってそれら
の対応位置で所望の処理が行えるように構成されている
が、周知のタイミングで所望の作動を行うようにすれ
ば、本例には何れも適用できる。上述における各構成は
単独でも複合的に見ても優れた発明であり、本発明にと
って好ましい構成例を示している。
【0047】上述した図16乃至図20に対して、適用
される本発明について以下に更に詳述する。
【0048】図8は、本発明の具体的な実施例構成の説
明図で、図9は発熱抵抗部1を備えた面の液路方向に直
交する垂直な面における各部の断面積を示す図で、図1
0は図8の構成における気泡の最大発砲時の状態説明図
である。これらの図は本発明を狭義に解釈する上では理
解を助けるものであろう。以下の説明は各構成を夫々単
独で取り上げて説明したもので、本発明を限定するもの
ではない。
【0049】吐出口の外部開口12と吐出部端部O1
P1とで規定される吐出部と液体を発熱抵抗部1へ供給
するための液体を収容する液室(あるいは共通液室)C
OMMとを結ぶ液流路25の内、消泡時に発する衝撃波
修正部の1つの構成は、以下の構造を有している。以
下、説明上発熱抵抗部1を底面側として説明するが、本
発明の液路の向きはいずれでも記録可能であるので本発
明を限定するものではない。以下、液路25の吐出口側
から説明する。
【0050】液路25の各部は図9の断面積で示される
ように等脚台形を示しており、上部側から発熱抵抗部1
に向かって左右対称に断面積が大きくなる裾広形状であ
る。左右対称の中心は等脚台形の底辺と上辺との中点を
結んだ線分であり、この線分を液流路に沿って連続させ
たものが液路の中心面となり、図8の形状をなしてい
る。
【0051】1.〔衝撃波修正部〕4は、前述した衝撃
波修正部で、本構成では吐出口の外部開口12の中心と
内部開口端部O1 P1の中心とを通り、図に示すよう
に吐出口が設けられた面に対して直交する吐出口の基準
中心線Z(或は電極(不図示)と発熱抵抗部好ましく
は保護層を有した)電気熱変換体が備えられている実質
的な面領域YU)に対して垂直断面積を、発熱抵抗部
上の熱作用部KABXBX Hにある領域HJ(後述の
衝撃波規制部9)から吐出口に向かって(LN又はLM
まで)、単調増加させる斜面HLである。ここで領域H
Jと実質的な面領域YUの一部を含む液路領域であっ
て、衝撃波修正部4としての斜面HLと、斜面の吐出口
側終端であるLの発熱抵抗部側面Yへの垂線の足Nがな
す面LN(好ましくは吐出部端部O1 P1に平行で点
(線)Lを通る平行線と発熱抵抗部側面Yとの交点ある
いは線Mがなす面LM)と、で区画化される領域は、
修正領域を形成している。この領域にはメニスカス
の最大後退状態(消泡時と実質的に同時)おけるメニ
スカス最大後退位置が含まれている。ここで、メニスカ
スの最大後退位置は、発熱抵抗部1の抵抗と電気エネル
ギーによって形成される気泡の大きさと、吐出口より上
流側の液流路によってほぼ決定され、通常のインクジェ
ット記録に用いられる液路断面積、液体、駆動パルスが
適正なしかも限られた範囲のものであることから容易に
設定できるものである。ここで、重要な作用は、以下の
内容である。
【0052】即ち、主として、衝撃波修正部4である面
HLが配された衝撃波修正領域においては、面HLの吐
出部方向への長さ成分において上記気泡の消泡位置2か
ら発生する衝撃波の内後述の衝撃波規制部9を通過した
規制後の衝撃波の進行前方部を吐出口の基準中心線Zに
関して垂直な方向に修正し続ける。
【0053】つまり、これは前述したようにように、等
圧線は流路の壁に垂直に交わるが、この時面領域YUに
対して面HLが傾いているため、図5で示されるように
衝撃波の傾きが修正されるのである。
【0054】ここで重要なことは、衝撃波修正部で十分
に衝撃波が修正されることである。この観点からは、衝
撃波修正部を発熱抵抗部より下流側に、十分な長さで設
けてもよいが、発熱抵抗部より下流側の液流路が長過ぎ
るとインクの吐出スピ−ドが低下してしまい画質の劣化
が生じてしまうため、余り望ましくない。
【0055】また、修正の効果は、修正部がある程度消
泡位置に近い方が行われやすい。したがって、衝撃波修
正部は発熱抵抗部1の上部(熱作用部)から配されてい
ることが望ましい。
【0056】ここで、消泡点(消泡位置)の特定を行う
代表的な方法について簡単に説明しておく、前述したよ
うな本発明の流路を構成する壁のうち、基板と対向する
側の壁をポリサルフォン等の透明な材料を用いて形成し
た記録ヘッドを用意する。
【0057】この透明な壁を通して光が流路内に入り込
むようにストロボ露光装置を配置し、記録ヘッドの駆動
時の消泡タイミングに同期させて露光させ、実体顕微鏡
等を用いて観察する。
【0058】なお、消泡点の特定を行う実験において
は、流路を満たす液体としてインクを用いると消泡点の
観察が困難になるため、インクの組成から顔料成分だけ
を除いた液体を利用している。インク中の顔料成分は通
常溶媒中に溶解しており、発泡及び消泡時の核とはなら
ないため、これを除去した状態で実験を行っても、消泡
点の特定には問題はない。また、顔料を除くことによっ
て生じる粘性変化も非常に僅かなものなので、顔料を除
いた液体を用いても支障はない。
【0059】以上のような方法において観察される消泡
点は±5ミクロン程度の範囲で特定することが可能であ
る。
【0060】以上、基板と平行な面内において消泡点を
特定する方法について説明したが、基板と垂直な面内に
おいて消泡点を特定する場合においても、同様な方法を
用いることによって行うことができる。
【0061】また、構造上観察が困難な記録ヘッドにお
いては、観察を行う流路を構成する壁の一部を取り替え
(例えば透明な壁)、観察を行えるような形にしたヘッ
ドを用いたり、X線等の被破壊検査法を応用したりして
もよいし、消泡時に生じる衝撃波を音波として捕らえ位
置を特定する方法等を用いてもよい。
【0062】上述したような構成によって、修正後の衝
撃波が最大後退位置におけるメニスカス中央部に主滴の
飛翔方向と揃う方向で衝突させることができ、マイクロ
ドロップの飛翔方向を主滴やサテライトの飛翔方向と一
致させることができる。本実施例では、発熱抵抗部1の
吐出口側端部における面(AK)位置において、衝撃波
がかなり修正されているため、衝撃波修正部をHK部分
のみにしてもよいが飛翔方向を安定させるためには、あ
る程度長くした方が良い。
【0063】図8の構成では、この方向の修正を面HL
のK点からL点に向かって、さらに垂直な方向に修正し
ているこのため面LN近傍の衝撃波の進行方向は主滴
の吐出方向と同じに修正されている。
【0064】また、メニスカスの最大後退位置を空間L
MN内にすることで、基準中心線Zに関して垂直な方向
により一層修正された衝撃波の進行前方部をマイクロ液
滴の吐出方向安定化に適用できるので好ましいものであ
る。又、面LMに対して平行で上記点Kを通る面KYk
と、面AYk及び面KAとの空間にメニスカスの最大後
退位置を設定しても従来のマイクロ液滴よりも吐出方向
が制御された液滴とすることができる。
【0065】ここで、好ましい条件構成は、発熱抵抗部
1の対向領域に上記衝撃波修正部4の修正開始部として
の面HJを持つことであり、さらに好ましくは気泡の消
泡点2よりも面HJを吐出部側に備えることである。な
お、図8の実線では液路25の吐出口との接合部OPか
ら上記面LMまでは、液路断面積が軸Zに対して一定と
してあるが、この空間を図8の破線で示す斜面HLの延
長部21のように形成することもでき、ここでいう衝撃
波修正部に含まれるものである。衝撃波の修正は、マイ
クロ液滴を形成する衝撃波の進行前方部(波面)で主と
して決定されるのでこれらの最初の衝突以降の衝撃波の
修正はマイクロ液滴には影響がないのでOL位置での形
状は、どのようなものでもよいが、さらなる構成として
延長部21を持つことで、メニスカスの最大後退位置が
環境や何らかの不都合で多少変化したとしても、所望の
衝突状態を形成できるので好ましい構成である。
【0066】一般に、メニスカスの後退位置は、ある程
度のばらつきを持つが、本構成では領域14から発熱抵
抗部1に向かって領域15、さらには領域9に向かうほ
ど液路断面積が減少しているので、気泡の消泡に伴って
液体が緩衝室内部へ向かう方向が規定され易いので、メ
ニスカスの後退状態を従来よりも安定したものにもでき
る。又、メニスカス後退に関する他の安定化構成として
は、発熱抵抗部1側の面Yに図示したM点からP点まで
領域RやN点からP点までの領域Sのように、吐出部
から液路へ至る構成によって、液体の後退方向の規制条
件を高めても良い。
【0067】ところで、上述の説明は、斜面LHを衝撃
波にかかわるマイクロ液滴の問題として説明している
が、図8の構成の斜面LHでは、本来の気泡の成長に伴
って吐出される主滴やサテライト液滴が、吐出部の吐出
方向Zへ確実に効率よく吐出するための液路内吐出力安
定化の作用も達成している。つまり、斜面LHの開始部
である領域9を発熱抵抗部1の液路方向の中心部1Cの
近傍の吐出部側に位置させていることで、気泡の吐出部
側の吐出力を有効かつ効率よく吐出部側へ誘導できる利
点がある。
【0068】ここで、実施構成のうち優れた効果を発揮
できた上記構成の数値を挙げると、以下となる。各領
域、吐出部、吐出口12は、図9に示すように、吐出口
側からみた正面図で等脚台形である。上記構成を議論す
るために重要なことは、この液路の衝撃波や圧力波を支
配的にする領域での形状変化を見ることであり、吐出部
の基準中心線に対して実質的な作用を規定できる「支配
面」を検討することである。この例では、等脚台形であ
るため、この「支配面」は、等脚台形の高さ成分であっ
て、等脚台形の上辺と底辺の夫々の2等分点を通る断面
即ち、図8自体である。因に、上記衝撃波修正部4に代
わってあるいはこれに加えて、断面積の増加を大きく増
加する面が上記辺OAA 、辺OBB の一方のみにあ
る時などの様に、比較的大きい断面積増加をもたらす複
数の面を持つ場合は、ベクトルの和のように方向と位置
を決定して、液路断面積を実質的に支配する総合的な断
面を上記「支配面」として認定して本発明を適用すれば
良い。尚、この「支配面」を決定するには、上記発熱抵
抗部を備えた面に対しての液路の高さ成分を支配する面
で決定することが好ましい。図9、図8において、辺O
A OBが25.5μm,辺PA PBが58.5μ
m,高さLNが70μm,吐出部の基準中心線Zと発熱
抵抗部のある面Yとのなす角度δが10度,斜面LHの
延長と発熱抵抗部のある面Yとの点Cにおいてなす角度
θが20度(図8中の角度αが70度),高さHJが約
40μm,発熱抵抗部1の長さABが約150μm,点
N、J間の距離が82μm,点A、J間の距離が55μ
m,点O、L間の距離が26μm,点N、P間の距離が
38μm,点1C、J間の距離が17μm,である。こ
の構成によれば、記録ヘッドの吐出口と記録紙との間隙
を1mm程度としても、主液滴とマルチ液滴との角度差
は数度以下になり、主液滴が記録紙に滲んで形成するド
ットの範囲に実質的に含まれ、又は連続するので、形成
された画像は鮮明なものであった。尚、Gは、上記中心
線Zと上記面YUとの交点で、発熱抵抗部の上面の熱作
用面に位置し、発熱抵抗部1の上記中心1Cにほぼ一致
しているが中心1Cよりも液室COMM側にある。上記
衝撃波修正部を一例として構成で表現すると、衝撃波規
制部HJと、熱作用部に配置された規制部から断面積が
吐出部に向かって基準中心線に関して液路の断面積を単
調増加する断面積単調増加部を備えた領域とすることが
できる。この位置は、気泡の消泡部2の位置に規定され
るものではないが、より優れた効果を得るには消泡領域
よりも吐出部側に位置していることが良い。
【0069】又、各部の構成の比較では、斜面4と面Y
Uとの成す角度θが、吐出口の中心線の面YUとのなす
角度δよりも5度以上大きいことが好ましく10度以上
であると液路の長さを短くできるのでさらに好ましい。
別の比較では、領域9の高さHJの大きさに比較して斜
面4の長さは1倍以上、より安定するためには1.5倍
以上、メニスカスの不安定要件を解消しより確実にする
には2倍以上の長さとすることが好ましい。又、衝撃波
の修正を行い易くするには、増加斜面4延長線と熱作用
部面とが成す空間HCY内部に消泡部2を具備する構成
も有効であり、好ましくは上記衝撃波修正領域には気泡
の消泡部2を含まず該消泡部2から規制部9までの距離
以上の修正液路長さ(長さJN)を備えると共に定常状
態の吐出後の該液路内メニスカスが最も後退した状態を
修正領域に含むことがエネルギーを液体の移動に有効利
用し同時に液路全体の長さを短かくすることができる利
点を持つので好ましい。液路の中心をなす液路高さ(h
とする)(形状は対称が良い)が通常の100μm以下
に対して規制部9がその50%以上70%以下である
時、その規制領域の長さが0.6h以上(好ましくは
0.7h以上)で、或は数値的には100μm以上ある
ことが好ましい実用上の規定値として挙げることができ
る。
【0070】上記衝撃波修正領域の断面形状としては左
右対象型であることが好ましく、液体を吐出部側へ移動
し易くするために、発熱抵抗部側の幅を上部側に対して
相対的に大きくする裾広形状が良く、上述図8の様に圧
力を等脚台形上辺側に集中させて緩衝効果を高めること
ができる。この形状を持つ上記衝撃波規制部3は、特に
気泡23の液室側部分に、衝撃波や気泡23の成長に伴
われて発生する圧力を分散して与えることができるので
好ましいものである。
【0071】2.〔衝撃波規制部〕9は衝撃波規制部
で、図8において、発熱作用部の上方にあって、気泡の
消泡部から発生する衝撃波の通過量を減少し、上記衝撃
波修正部の一端を成す領域と定義でき、或は又発熱作用
部の上方にあって、液路の吐出部に向かっての液路断面
積単調減少部から単調増加部へ至る変曲領域と定義でき
るものである。衝撃波規制部9は、単独で、消泡部2の
液路断面積の40%以上80%以下の断面積であること
が実用上有効で、好ましくは、消泡部の液路断面積の5
0%より大きく70%以下の断面積が良い。その位置と
しては、気泡の形成状態を加味すると、発熱作用部の液
路方向に関する長さの中央部1Cよりも吐出部側が相対
的に好ましく、液体中に形成される気泡と接触しない上
部規制域3を有することが良い。別の構成と比較する
と、衝撃波規制部9の断面積は後述する液路方向に関し
て上流側の緩衝室の液体供給部10の断面積より大きい
ことが好ましく、吐出部の中心線が熱作用面に至るまで
の間に位置していることが好ましい。上記衝撃波規制部
の液流路方向の断面形状としては左右対称型であること
が好ましく、吐出方向への液体の移動を容易にするため
に、その液流路と垂直な断面形状は発熱抵抗部側の断面
積を相対的に増加する裾広形状が良く、特には上記図8
の様に圧力を等脚台形上辺側に集中させて衝撃波の緩衝
効果を高めることができるので好ましいものである。
【0072】3.〔衝撃波減少部〕5は衝撃波減少部
で、発熱作用部の上方にあって、気泡の消泡部から発生
する衝撃波を反吐出部側へ誘導するか減衰させる領域と
定義でき、好ましくは液路断面積を単調減少する領域で
ある。衝撃波減少部5の好ましい条件を順不同で挙げれ
ば、1)下流側の衝撃波修正部4の単調増加領域の角度
より大きい角度を有する、2)発熱作用部の液路方向に
関する長さの中央部1Cよりも吐出部側に対向する部分
を有している事、好ましくは、その割合が50%以上
(より好ましくは70%以上)である、3)発熱抵抗部
1の発熱作用部吐出部に対向してすべて位置している、
4)好ましくは、消泡部と正対していない、5)減少部
5の面XX Hの垂線で形成される熱作用部側への投影
は緩衝室JT内部にある、6)減少部の液路の断面積に
対する角度βは上記衝撃波修正部4の液路の断面積に対
する角度αに対してβ<αを満足する。これらの条件は
衝撃波を規制するばかりでなく、気泡23の発生に伴う
圧力を気泡の液室側の成長を抑制する方向に転換利用
する効果を奏する上で有効なもので、各条件を組み合わ
せたものすべてをより好ましい条件としてあげることが
できる。
【0073】図8中で、角度βは30度で、斜面XX
は、上記抵抗部中心1Cの面Yに対する垂線と面Xとの
交点にほぼ斜面XX Hの端点XX を位置させている。衝
撃波減少部5の断面形状としては左右対象型であること
が好ましく、気泡の成長時の急激な圧力集中の内増加す
る部分側を緩衝できる利点があるので、発熱抵抗部側の
断面積を相対的に増加する裾広形状が良く、特には上記
図8の様に等脚台形断面であれば、等脚台形の上辺側に
集中する大半の圧力緩衝効果を高めることができるので
好ましいものである。
【0074】4.〔緩衝室〕ここで言う緩衝室は、気泡
発生部の上流側領域の液室COMM側、もしくは上流側
への圧力の伝達を緩和し同時にこの緩和力を気泡の上流
側への成長規制に利用する領域と定義されるもので、少
なくとも熱作用部の中心から吐出部側に位置し作用面が
緩衝室の熱作用面側で上流側に向く液体出口領域と、熱
作用部の中心よりも上流側に位置し作用面が熱作用部中
央域に向かう液体入口領域と、を備えている。緩衝室
は、好ましくは、気泡からの液滴吐出用のエネルギーを
安定化することができるもので、消泡領域を含み、消泡
による衝撃波が吐出部側へ至る割合を適正化し、残りの
衝撃波を緩衝する領域でもある。或は、緩衝室は気泡の
消泡時の電気熱変換体に与える圧力を緩和する領域とし
ても定義できるものである。これは、後術する構成によ
って、消泡部2を電気熱変換体から離れる方向の液路2
5内部に移動せしめることができるためである。
【0075】緩衝室を構成で定義すると、少なくとも熱
作用部の中心から吐出部側に位置し作用面が緩衝室の熱
作用面側で上流側に向く液体出口領域と、熱作用部の中
心よりも上流側に位置し作用面が熱作用部中央域に向か
う液体入口領域と、を備えているものとして代表され
る。好ましくは、液体出口領域の液体出口部液路断面積
は液体入口領域の液体入口部液路断面積よりも大きい関
係とすることで、吐出効率と液体を緩衝室内及び上記吐
出部側へ受け入れ易くできる。この際、これらの断面構
成は、発熱抵抗部1側に向かって裾広の形状が好まし
く、この形状によれば、特には上記図8の様に等脚台形
断面であれば、等脚台形の上辺側に集中する大半の圧力
緩衝効果を高めつつも、液体の流れを許容できるので好
ましいものである。好ましい構成としては、液体出口領
域作用面の垂線で形成される熱作用部側への投影は緩衝
室内部にある、且つ/或は液体入口領域作用面の垂線で
形成される熱作用部側への投影は、大部分が液体出口領
域の液体出口部を通過することが挙げられる。角度関係
は、液体入口領域作用面の液路の断面積に対する角度γ
に対して液体出口領域作用面の液路の断面積に対する角
度βはγ≦β<90度を満足することが好ましい。実用
上、0≦γ≦90度、好ましくは5度≦γ≦60度、更
にはγ≦45度最適には5度≦γ≦30度である。好ま
しくは上記液体出口領域作用面と液体入口領域作用面は
接続していること、又、好ましくは、上記液体入口領域
作用面は、熱作用部の中心よりも上流側に位置し、熱作
用部の上方に位置していないことが挙げられる。上記図
8では、上記液体出口部は、上記衝撃波規制部9であ
り、上記好ましい条件を具備することがより適切な構成
として挙げることができる。
【0076】この緩衝室のより好ましい作用としては、
消泡部2による圧力緩和領域を含むことであるが、これ
は前述した衝撃波修正部4による傾斜に添った液体の吐
出部側からの液体流れが気泡23の縮小過程において急
激化したものとなり、後術の反転流れ形成部7で気泡成
長時に発生し続けている液体の反転流れ19により気泡
23の縮小過程において急激化した液室側からの液体の
流入によって、発熱抵抗部1の作用面が流入した乱流状
態の液体同士の衝突による更なる乱流状態によって保護
されるという相乗効果を挙げることができる。
【0077】図8での数値を、角度γが20度,高さI
Tが30μmとしている。
【0078】5.〔戻り波減少部〕6は戻り波減少部
で、液路の発生気泡の存在領域に、気泡の液室側部分の
成長を抑制しつつ、気泡の発生による圧力を利用して気
泡の液室側端部へ(好ましくは上部から)液体流れを形
成する面部(好ましくは斜面)を備えた領域として定義
される。好ましくは、発熱抵抗部から液室側に向けて液
路の断面積を単調減少する領域を有し、図10で理解さ
れる様に、気泡23の端部を押圧する作用を行うもので
ある。角度限定としては、実用上0≦γ≦45度が好ま
しく、さらには5度≦γ≦40度、適切にはγ≦30度
である。減少部6の断面形状としては左右対象型である
ことが好ましく、気泡の成長時の急激な圧力集中の内増
加する部分側を緩衝できる利点があるので、発熱抵抗部
側の断面積を相対的に増加する裾広形状が良く、特には
上記図8の様に等脚台形断面であれば、等脚台形の上辺
側に集中する大半の圧力によって気泡23の端部の成長
を抑制する効果が向上される。
【0079】6.〔戻り波規制部〕10は戻り波規制部
で、気泡の成長段階で気泡の発生による圧力を利用した
気泡の液室側端部に液室側(好ましくは上部から)への
液体流れが主として形成され且つ液室側では液体の緩衝
室側への反転流れが形成されており、気泡の成長から収
縮への切り替え段階からは該反転流れによる緩衝室側へ
の液体の供給状態を形成して発熱抵抗部表面側への液体
流れを促進する領域である。好ましくは、消泡時の衝撃
波を減少したものを通過させるが、緩衝室側への液体の
供給状態あるいは瞬時に供給が可能な状態を維持する領
域である。より実効的には、液室側から吐出部側に向か
って断面積が減少している領域と、液室側から吐出部側
に向かって断面積が増加している領域との交差領域で、
発熱抵抗部と液室との間にあり、発熱抵抗部1側の断面
積が大になるの領域であることが好ましい。好ましく
は、戻り波規制部10は断面積が減少している領域の減
少率の絶対値よりも断面積が増加している領域の増加率
が大きい領域である。好ましくは、戻り波規制部10は
緩衝室の吐出部側の液体出口部の断面積よりも小さい断
面積である。より好ましくは、戻り波規制部10は液路
の高さに対して半分以下の高さである。個数としては、
液路の短縮化を得るためには液路の液室接続部と発熱抵
抗部との間に1個のみが好ましいが、他の構成との関係
ではこれに限定されない。この規制部10は液体の液室
側からの供給を迅速に受けるために、発熱抵抗部側の断
面積を相対的に増加する裾広形状が適している。
【0080】7.〔反転流れ形成部〕7は反転流れ形成
部で、気泡発生による圧力波を利用して反転流れを形成
して気泡の液室側への成長を抑制し、衝撃波の形成前に
緩衝室内に液体の供給を促進する領域であって、液室C
OMMへの衝撃波による圧力波を緩和する斜面を備えた
領域である。詳しくは、液室内部の断面積増加領域と液
路との接続部からの液路(断面積が一定)に対して断面
積を吐出部に向かって減少する面を備えている。図8で
は、該面の延長部Dは、発熱抵抗部のある面Yの非発熱
抵抗部1に至っている。好ましくは、該面の延長部Dは
発熱抵抗部の消泡部よりも液室側である、更に衝撃波規
制部の延長部Cの近傍であり延長部Cよりも液室側であ
る。角度を挙げるとすると、好ましくは、15度≦ε≦
60度、環境適用性に優れたものとして38度≦ε≦5
2度、隣接構成に対して0≦γ≦45度で、ε:γ=
4:1〜2:1が具体的な好ましい条件として挙げられ
る。断面形状としては左右対象型であることが好まし
く、気泡の成長時の急激な圧力集中の内増加する部分側
を反転部として利用してより確実で液路の幅全体でへの
液体流れの促進を達成できる利点があるので、発熱抵抗
部側の断面積を相対的に増加する裾広形状が良く、特に
は上記図8の様に等脚台形断面であれば等脚台形の上辺
側に集中する大半の圧力を気泡23の端部の成長を抑制
する効果が向上される。
【0081】図11は、衝撃波規制部を2面に設けたも
ので、発熱抵抗部を具備した基板側の構成を付加して居
る。面S1 S2 は、角度ρで断面積をさらに増加す
るものであり、製造工程は増加するが、本発明の実施例
である。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】上記本発明の実施例は、いずれも従来では
認識されていない解決構成を提供するもので、実用上優
れた発明である。
【0086】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越え
る急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を
印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを
発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結
果的にこの駆動信号に一対一対応し液体(インク)内の
気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長,収
縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させ
て、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパ
ルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第43
45262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の
米国特許第4313124号明細書に記載されている条
件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができ
る。
【0087】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応せる構成を開
示する特開昭59年第138461号公報に基づいた構
成としても本発明は有効である。更に、記録装置が記録
できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラ
インタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開
示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによっ
て、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでも良いが、本発明
は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0088】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0089】又、本発明の記録装置の構成として設けら
れる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手
段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャピング手段、クリーニング手
段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の
加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、
記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なうこと
も安定した記録を行なうために有効である。
【0090】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッド
を一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも
よいが、異なる色の複色カラー又は、混色によるフルカ
ラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて
有効である。
【0091】以上説明した本発明実施例においては、イ
ンクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固
化するインクであって、室温で軟化もしくは液体或い
は、上述のインクジェットではインク自体を30℃以上
70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を
安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的で
あるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすも
のであれば良い。加えて、積極的に熱エネルギーによる
昇温をインクの固形状態から液体状態への態変化のエネ
ルギーとして使用せしめることで防止するか又は、イン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化してインク液状とし
て吐出するものや記録媒体に到達する時点ではすでに固
化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初め
て液化する性質のインク使用も本発明には適用可能であ
る。このような場合インクは特開昭54−56847号
公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載され
るような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形
物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向
するような形態としても良い。本発明においては、上述
した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸
騰方式を実行するものである。
【0092】
【発明の効果】本発明は、上述したように従来の問題を
解明した上で、新規な解決構成を提供するものであるた
め、従来の画質問題を解決でき、所望の画質を簡単に得
ることができる発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)(2)(3)は順に従来の記録状態を説
明する図である。
【図2】(1)(2)(3)は順に図1の上面図であ
る。
【図3】従来の記録ヘッドの状態を説明する図である。
【図4】本発明の記録ヘッドの断面図を説明する図であ
る。
【図5】本発明の記録ヘッドの断面図における状態を説
明する図である。
【図6】本発明記録ヘッド例の断面図における構成状態
を説明する図である。
【図7】図6の本発明の記録ヘッドの液路断面構成を説
明する図である。
【図8】図6の本発明の記録ヘッドの吐出状態を説明す
る図である。
【図9】本発明記録ヘッド例の断面図における構成状態
を説明する図である。
【図10】図6の記録ヘッドのマルチ構成を示す透視斜
視図である。
【図11】本発明に係るインクジエツトカートリツジの
一例の分解斜視図である。
【図12】本発明に係るインクジエツトカートリツジの
概略斜視図である。
【図13】インクジエツトカートリツジのインクタンク
をインクジエツト記録ヘツドが装着される側から見た概
略斜視図である。
【図14】インクジエツトカートリツジ装置本体のキヤ
リツジに装着される様子を示す上面図である。
【図15】本発明に係るインクジエツト記録装置を示す
概略斜視図である。
【符号の説明】
1 発熱抵抗部 4 衝撃波修正部 5 衝撃波減少部 6 戻り波減少部 7 反転流れ形成部
フロントページの続き (72)発明者 中島 一浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 平澤 伸一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 乾 利治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 高橋 博人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−185447(JP,A) カナダ特許発明2025559(CA,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/05

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体に気泡を形成する熱エネルギーを発
    生する発熱抵抗部を備えた基板と、 前記発熱抵抗部に対応して前記基板上に設けられる液流
    路と、 前記液流路の一端をなすとともに、前記基板に垂直な面
    に対して傾いた面に設けられ、前記気泡の形成によって
    液体を吐出するための吐出口と、 を備え、 前記吐出口が設けられた面に対して直交し前記吐出口の
    中心を通る基準中心線が前記基板に交差する液体噴射記
    録ヘッドにおいて、 前記液流路の前記吐出口が設けられた面に対して直交し
    前記吐出口の中心を通る基準中心線に垂直な前記液流路
    の断面積が、前記液流路の前記発熱抵抗部による熱が作
    用される熱作用部から前記吐出口にむけて増加すること
    で、前記気泡の消泡による衝撃波の進行方向を前記基準
    中心線の方向に修正し、前記衝撃波により発生するマイ
    クロドロップレットの吐出方向を前記気泡の発生による
    吐出口からの液体の吐出方向にほぼ一致させる領域を有
    していることを特徴とする液体噴射記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記断面積の増加は、前記液流路の前記
    発熱抵抗部を有する面と、前記液流路の前記発熱抵抗部
    と対向する面とによってもたらされるものである請求項
    1記載の液体噴射記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記液流路は、前記基準中心線に関して
    垂直な断面積が前記吐出口に向かって単調増加する斜面
    を有し、 該斜面の単調増加開始部が前記発熱抵抗部の前記吐出口
    側の端部より離れた前記発熱抵抗部上の領域に対向して
    いることを特徴とする請求項1または2に記載の液体噴
    射記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記斜面が前記発熱抵抗部よりも前記吐
    出口側の領域内にわたって延在することを特徴とする請
    求項3に記載の液体噴射記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記斜面の単調増加開始部が、前記気泡
    が消泡する消泡領域よりも吐出口側に位置することを特
    徴とする請求項3に記載の液体噴射記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記液流路に液体を供給するための液室
    を備えるとともに、 前記斜面の単調増加開始部と前記液室との間の前記液流
    路にあって、断面積を前記液室に向かって減少した戻り
    波減少部を前記単調増加開始部と前記液室のそれぞれと
    離間して有することを特徴とする請求項3に記載の液体
    噴射記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記液流路の前記戻り波減少部に隣接し
    て、断面積を前記吐出口に向かって減少した反転流れ形
    成部を備えることを特徴とする請求項6に記載の液体噴
    射記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記単調増加開始部に隣接して、断面積
    を前記液室方向に増加する衝撃波減少部を備えることを
    特徴とする請求項3に記載の液体噴射記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載
    の液体噴射記録ヘッドと、前記記録ヘッドへ供給するた
    めの液体を保持するインクタンクとを備えたことを特徴
    とするインクジェットカートリッジ。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし8のいずれか1項に記
    載の液体噴射記録ヘッドと、該記録ヘッドを記録信号に
    応じて駆動する駆動手段と、前記記録ヘッドと前記記録
    ヘッドによって記録される記録材とを相対的に移動する
    手段と、を有することを特徴とする記録装置。
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