JP2726177B2 - 安定化されたカルシトニン類医薬組成物 - Google Patents

安定化されたカルシトニン類医薬組成物

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JP2726177B2 JP3214164A JP21416491A JP2726177B2 JP 2726177 B2 JP2726177 B2 JP 2726177B2 JP 3214164 A JP3214164 A JP 3214164A JP 21416491 A JP21416491 A JP 21416491A JP 2726177 B2 JP2726177 B2 JP 2726177B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粉末状カルシトニン類医
薬組成物に関する。更に詳細には本発明はカルシトニン
類と塩酸及び/又は臭化水素酸で処理し、かつそのpH
がpH5.0以上である水吸収性で水難溶性の基剤とか
らなる安定性の改良された粉末状カルシトニン類医薬組
成物に関する。又、本発明はこの粉末状カルシトニン類
医薬組成物からなる安定性の改良された鼻腔内投与用の
粉末状カルシトニン類医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】カルシトニンは、哺乳動物の甲状腺から
又は非哺乳動物の外側甲状腺から分泌されるカルシウム
調節ホルモンである。その化学構造は、アミノ酸残基3
2個を含有する単一ポリペプチド類に相当する。しか
し、アミノ酸の配列は動物の種の間で非常に異なり、特
に哺乳動物性カルシトニン(主としてヒトカルシトニン
及び豚カルシトニン)と非哺乳動物性カルシトニン(主
としてサケカルシトニンおよびうなぎカルシトニン)と
の間では明らかな差異がある。
【0003】これらの天然型カルシトニンの他に、非天
然型として、例えば天然カルシトニンのアミノ酸残基ま
たは配列の1個またはそれ以上をとり除き、あるいは置
換し、また逆配置し、またはその他の方法で誘導し、あ
るいはそのN末端残基またはC末端基を修飾した多数の
誘導体及び類似体が合成されている。また、カルシトニ
ン遺伝子関連ペプチドは、哺乳類の脳、心臓等に存在す
るといわれる39個のアミノ酸よりなり2位と7位のシ
ステインがS−S結合で結ばれているホルモンである。
これらの天然型カルシトニン及び非天然型カルシトニン
とを総称してカルシトニン類とよぶ。
【0004】これらカルシトニン類の作用は、上皮小体
ホルモンの骨及び腎臓に対する影響に逆行するもので、
骨吸収を阻害し、血清カルシウム低下作用及び血清リン
低下作用を示す。従って、腫瘍、上皮小体亢進症及びビ
タミンD中毒に伴なう重篤なな高カルシウム血症の治療
に動物性カルシトニンの投与が行なわれている。さら
に、乳児の突発性高カルシウム血症、骨粗鬆症及びSu
dek氏病及びPaget氏病の治療にも適している。
また、カルシトニン遺伝子関連ペプチドは、細胞内に貯
えられているCaの細胞外への流出を阻害する。一方、
細胞外液に存在するCaの細胞内への流入は阻害しな
い。冠動脈においてはこのような機構によって血管の筋
肉の収縮はゆるみ血圧が低下する。このような作用の結
果、脳や心臓の虚血性疾患や高血圧の治療、あるいは中
枢での神経伝達物質として作用することから中枢性疾患
の治療に有用と期待される。
【0005】このように有用なカルシトニン類は製剤化
されて医療の現場に提供されてはいるが、ポリペプチド
が一般にそうであるようにカルシトニン類は化学的には
不安定であり、力価の保証された安定化された製剤が望
まれてきた。
【0006】一方、カルシトニン等のペプチドホルモン
類は従来注射により体内に投与されているが、注射に伴
う苦痛、通院の必要性から注射に替る投与方法が望まれ
ている。その投与方法の一つとして本発明者らは経鼻投
与を提案し、しかもその剤形も従来鼻腔内に薬物を投与
する時に用いられた点鼻薬で採用されている液剤にかわ
り、薬物を適当な固体の基剤とともに粉末剤とすること
により薬物の鼻腔から血流への吸収が著しく改善される
ことを見い出し、鼻腔内投与用の粉末状医薬組成物を提
案している。(特公昭62−42888号公報)。
【0007】従って、本発明のカルシトニン類について
も粉末状カルシトニン類医薬組成物として提供できれば
医療へ大きく貢献できることが期待されるが、そのため
には化学的に不安定なカルシトニン類を安定化すること
が必須である。
【0008】従って、力価の保証された安定化された粉
末状カルシトニン類医薬組成物が望まれている。
【0009】従来、カルシトニン類の安定化方法として
は、カルシトニンとヒトアルブミンとを凍結乾燥する方
法(特開昭63−5028号公報)、ゼラチンおよび/
又はヒドロキシプロピルメチルセルロースにカルシトニ
ンを分散させる方法(特開昭61−282320号公
報)が知られている。
【0010】しかし、前記の方法で安定化されたカルシ
トニン類の製剤の安定性は、安定化される前の安定性と
比較して改善されてはいるものの、未だ十分とはいいが
たく、冷蔵保存を余儀なくされているのが実情である。
従って、より安定性の改善されたカルシトニン類の製剤
が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは既にカル
シトニン類とエチレチンジアミン四酢酸塩とを含む水溶
液を凍結乾燥などして、該カルシトニン類と該エチレン
ジアミン四酢酸塩とを含んでなる粉末状カルシトニン類
医薬組成物とする方法(特開平2−306921号公
報)を提案している。この方法により、安定性の改善さ
れた粉末状カルシトニン類医薬組成物を得ることが可能
となったが、該カルトニン類とエチレンジアミン四酢酸
塩との固体組成物を、カルシトニン類とエチレンジアミ
ン四酢酸塩とを水に溶解し、該水溶液を凍結乾燥するか
あるいは有機溶媒を加えて析出させ次いで乾燥すること
によって得ているため、該固体組成物を得る際に高価な
カルシトニン類の機械的損失(ロス)が免がれなかっ
た。
【0012】従って、安定性が改善されかつ経済的に製
造できる粉末状カルシトニン類の医薬組成物が望まれて
いる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは安定性が改
良されかつ製造時にロスの少いカルシトニン類の粉末状
医薬組成物について鋭意研究した結果、カルシトニン類
と塩酸及び/又は臭化水素酸で処理し、かつそのpHが
pH5.0以上の水吸収性で水難溶性の基剤とからなる
粉末状カルシトニン類医薬組成物がカルシトニン類の安
定性を改善すること、かかる粉末状カルシトニン類医薬
組成物が鼻腔内投与用カルシトニン類医薬組成物に適し
ていること、しかも高価なカルシトニン類のロスという
点から経済的であることを見い出し本発明に到達したも
のである。
【0014】すなわち本発明は、塩酸及び/又は臭化水
素酸で処理され、かつそのpHがpH5.0以上である
水吸収性で水難性の基剤と治療有効量のカルシトニン類
とからなる粉末状カルシトニン類医薬組成物である。ま
た本発明は、鼻腔内投与製剤の形態を有するかかる粉末
状カルシトニン類医薬組成物である。以下に、本発明を
より詳細に説明する。
【0015】先ず、従来技術との差異を明らかにするた
めに本発明の塩酸及び/又は臭化水素酸で処理された水
吸収性で水難溶性の基剤の内容について具体的に説明す
る。本発明では、例えば、水吸収性で水難性の基剤をこ
れらの酸の水溶液に浸漬した後、濾過、遠沈等の方法に
より水吸収性で水難溶性剤を分離し、これを乾燥する。
乾燥はかかる処理後の水吸収性で水難溶性の基剤の水分
量が、これらの酸の水溶液に浸漬する前に該水吸収性で
水難溶性の基剤に含有されていた水分量と同じ水分量に
なるまで行う。該水吸収性で水難溶性の基剤に含有され
ていた水分量とは水吸収性で水難溶性の基剤が通常の状
態で保有する水分量、つまり通常の温度・湿度(通常の
温度・湿度とは具体的には)で平衡な水分量をいう。処
理前の水吸収性で水難溶性の基剤表面に存在する通常の
状態で平衡となった水分は、水が結合あるいは吸着して
いる状態であり、水溶波が表面に存在するわけではな
い。処理後の水吸収性で水難溶性基剤の表面の水分は処
理前と同じ量であり、処理後の基剤の表面にこれらの酸
の水溶液が存在するわけではない。
【0016】すなわち、本発明の酸処理は、酸水溶液を
水吸収性で水難溶性の基剤の表面に担持させたものでは
なく、酸分子が水吸収性で水難溶性の基剤の表面に存在
すると解釈されるべきである。
【0017】さて、カルシトニン類は「中性や塩基性溶
液中では不安定で容易に酸化される」、すなわち酸性溶
液中では比較的安定であることは公知である。(例えば
「ホルモンハンドブック」南江堂1988年発行、P.
176を参照)しかし、酸性“溶液中”で安定であるこ
とが既知であり、上記に説明した如く、溶液状態ではな
く、酸で“処理”された固体表面で安定であるか否かは
従来知られていなかった。
【0018】本発明の塩酸及び/又は臭化水素酸で処理
された水吸収性で水難溶性の基剤は、そのpHがpH
5.0以下である。pH5.0を超えるとカルシトニン
類が不安定になり易いため好ましくない。好ましくはp
H1.0〜5.0であり、より好ましくはpH1.7〜
4.0であり、なかでもpH2.5〜3.5の範囲がよ
り優れた安定化効果が得られるので好ましい。
【0019】この処理された水吸収性で水難溶性の基剤
のpHがpH5.0以下であるとは、この処理された水
吸収性で水難溶性の基剤5.0gに新たに煮沸し冷却し
た水40mlを加え、20分間振り混ぜた後、遠心分離し
て得た上澄液のpHがpH5.0以下であることをい
う。
【0020】本発明に用いられる治療有効量のカルシト
ニン類のカルシトニン類としては、前述のように天然型
カルシトニンと非天然型カルシトニンとがあげられる。
天然型カルシトニンの例としては、哺乳動物性カルシト
ニンとしてヒトカルシトニン、豚カルシトニン等が、又
非哺乳動物性カルシトニンとして鶏カルシトニン、サケ
カルシトニン、うなぎカルシトニン等があげられる。非
天然型カルシトニンの例としてはエルカトニン等があげ
られる。又カルシトニン遺伝子関連ペプチドとしてはヒ
トカルシトニン遺伝子関連ペプチド、ブタカルシトニン
遺伝子関連ペプチド等があげられる。
【0021】治療有効量としては、本発明の粉末状カル
シトニン類医薬組成物を単位投与製剤とする場合に約
2.5〜400IUのカルシトニン類の量を挙げること
ができる。
【0022】本発明に用いられる水吸収性で水難溶性の
基剤の水吸収性でかつ水難溶性とは、ヒトの鼻粘膜上に
おいてもしくはこれに近い環境下で、すなわちpH約
7.4で温度約36℃〜約37℃の水に対して、水吸収
性でかつ水難溶性の性質を有するという意味である。
【0023】本発明の水吸収性でかつ水難溶性の基剤
は、セルロース低級アルキルエーテル、すなわち、鼻粘
膜上で粘稠な液体状態になるヒドロキシプロピルセルロ
ースの如きセルロース低級アルキルエーテルとは区別さ
れるものである。本発明の水吸収性でかつ水難溶性の基
剤の好ましい具体例としては以下のものが挙げられる。
【0024】例えば、結晶セルロース、α−セルロー
ス、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びそ
れらの誘導体などの水吸収性でかつ水難溶性のセルロー
ス類;ヒドロキシプロピル澱粉、カルボキシメチル澱
粉、架橋澱粉、アミロース、アミロペクチン、ペクチン
及びそれらの誘導体などの水吸収性でかつ水難溶性の澱
粉類;ゼラチン、カゼイン、カゼインナトリウム及びそ
れらの誘導体などの水吸収性でかつ水難溶性のタンパク
類;アラビアガム、トラガントガム、グルコマンナン及
びそれらの誘導体などの水吸収性でかつ水難溶性のガム
類;ポリビニルポリビロリドン、架橋ポリアクリル酸お
よびその塩、架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキ
シエチルメタアクリレート及びそれらの誘導体などの架
橋ビニル重合体類などが挙げられる。これらのなかでも
水吸収性でかつ水難溶性のセルロース類が好ましく、特
に結晶セルロースが好ましい。
【0025】これら水吸収性でかつ水難溶性の基剤は、
治療有効量のカルシトニン類に対して約100〜10
0,000重量部、好ましくは約300〜60,000
重量部を用いる。
【0026】本発明に用いられる塩酸及び/又は臭化水
素酸で処理された水吸収性で水難溶性の基剤は、例えば
次のようにして製造される。
【0027】すなわち、塩酸及び/又は臭化水素数の水
溶液に水吸収性で水難溶性の基剤を混合する。ここで、
混合とはかかる基剤をこの水溶液に混和、浸漬、含浸す
ることをいう。次いで、該水溶液から水吸収性で水難溶
性の基剤を分離し、浸漬前と同じ水分量になるまで乾燥
して製造される。ここで乾燥とは、通常の行なわれる乾
燥操作のみに限らず凍結乾燥によるものも含まれる。こ
の場合、塩酸及び/又は臭化水素酸水溶液の濃度はpH
が2.0以下とするのが好ましい。
【0028】水吸収性で水難溶性を塩酸及び/又は臭化
水素酸水溶液へ浸漬する場合の水吸収性で水難溶性の基
剤の該水溶液に対する量比は通常50.0〜5.0W/
V%であり、より好ましくは20.0〜10.0W/V
%である。浸漬後、水吸収性で水難溶性の基剤を分離す
るには濾過・遠沈等の通常の固体を懸濁液から分離する
方法に従えばよい。分離後、通常水吸収性で水難溶性の
基剤を乾燥するが、その水分が上記酸溶液に浸漬する前
該基剤に含有されていたのと同じ量になるまで乾燥させ
るのが好ましい。この乾燥には通常のオーブンが用いら
れる。乾燥終了後、生成した酸で処理された水吸収性で
水難溶性の基剤5.0gに新たに煮沸し冷却した水40
mlを加え、20分間振り混ぜた後、遠心分離して得た上
澄液のpHを測定する時、そのpHは5.0以下である
ことが好ましい。
【0029】本発明の粉末状カルシトニン類医薬組成物
は微粉末状のカルシトニン類と上記の塩酸及び/又は臭
化水素酸で処理された水吸収性で水難溶性の基剤とを混
合して製造される。混合は、乳鉢、ハイスピードミキサ
ー等の通常の混合機を用いて実施される。
【0030】本発明の粉末状カルシトニン類医薬組成物
は、例えば該組成物を硬質ゼラチンカプセル等に充填せ
しめることにより鼻腔内投与製剤の使い捨て可能な噴霧
容器(例えばWO89/01348号明細書)等に充填
せしめることにより鼻腔内投与製剤の形態とすることが
できる。鼻腔内投与製剤の形態としては、なかでも硬質
ゼラチンカプセルや使い捨て可能な噴霧容器が好まし
い。粉末状鼻腔内投与製剤とする場合にはステアリン酸
マグネシウム等の従来公知の滑沢剤等を必要に応じて添
加することもできる。
【0031】なお、本製剤を気管支及び肺胞への吸入用
製剤として使用することも可能である。
【0032】かくして、塩酸及び/又は臭化水素酸で処
理された水吸収性で水難溶性の基剤と治療有効量のカル
シトニン類とからなる粉末状カルシトニン類医薬組成物
が製造される。これによりカルシトニン類が安定化され
た製剤、特に鼻腔内投与製剤が製造されて臨床の場に提
供されることは意義が大きい。
【0033】
【実施例】以下、本発明の優れた効果を明らかにするた
め、実施例、参考例を用いて説明するが、本発明はもち
ろんこれによって限定されるものではない。
【0034】
【実施例1】濃塩酸(和光純薬製)を稀釈して約0.0
2Nの希塩酸とした。(この溶液のpHは約1.7であ
った。)この希塩酸150mlをビーカーにとり、微結晶
セルロース(旭化成製:アビセルPH101:水分5.
5%(島津製水分計EB−336MOC型による))約
20gをこれに加え、スターラーで約60分撹拌した。
次いでこの微結晶セルロースを含有した希塩酸をガラス
フィルター(25G−4)に通し、微結晶セルロースを
分離した。分離された微結晶セルロースをオーブン(約
40℃)に入れ、乾燥した。経時的に適宜、水分を水分
計(島津製電子水分計EB−336MOC型)で測定し
5.5%になった点で乾燥を止め、とり出し塩酸処理し
た微結晶セルロースとして密封容器内に保存した。こう
して製造した塩酸処理した微結晶セルロース5.0gに
新たに煮沸し冷却した水40mlを加え、20分間振り混
ぜた後、遠心分離して得た上澄液のpHを測定すると、
そのpHは約3.0であった。
【0035】この組成物(実施例1)を40℃/75%
R.H.の条件のもとに保存し、継時的にサケカルシト
ニンの残存率を求めた。その結果を表1に示した。
【0036】同時にサケカルシトニン(Sigma社
製、5,000 IU/mg)と無処理の微結晶セルロース(旭
化成製アビセルPH101水分5.5%)とを乳鉢上で
約20μg/30mgになるように混合した組成物(対照
例1)を同様に40℃/75%R.H.の条件のもとに
保存し、経時的にサケカルシトニンの残存率(wt%)
を求めた。
【0037】又、実施例1の希塩酸のかわりに、リン酸
水溶液(pH=1.7)クエン酸水溶液(ph=1.
7)、酢酸水溶液(pH=1.7)を用いて微結晶セル
ロースを処理した。乾燥終了後の各々の微結晶セルロー
スのpHを実施例1同様の方法で測定すると、リン酸処
理微結晶セルロースがpH2.8(比較例2)、クエン
酸処理微結晶セルロースがpH2.7(比較例3)、酢
酸処理微結晶セルロースがpH3.1(比較例4)であ
った。次いで実施例1と同様の方法でサケカルシトニン
含量が約20IU/30mgとなるような組成物(対照例
2〜4)を調製し、実施例1と同様に保存してサケカル
シトニンの安定性を比較した。その結果を表1に示し
た。
【0038】表1より本発明の組成物(実施例1)の安
定性が酸処理しない微結晶セルロースを用いた組成物
(比較例1)や、リン酸、クエン酸、酢酸で処理された
微結晶セルロースを用いた組成物(比較例2〜4)に比
べて著しく改善され、又ほぼ同じpH値であっても塩酸
の場合のみ安定性が改善されていることがわかる。
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例2】約0.02Nの臭化水素酸水溶液(pH=
1.8)150mlをビーカーにとり、これに微結晶セル
ロース(旭化成製:アビセルPH101:水分5.5
%)約20gを加え、スターラーで約60分撹拌した。
次いでこの微結晶セルロースを含有した希臭化水素酸水
溶液をガラスフィルター(25G−4)で濾過し微結晶
セルロースを分離した。分離した微結晶セルロースをオ
ーブン(約40℃)に入れ、乾燥し、水分が5.5%に
なったところでとり出し臭化水素酸処理した微結晶セル
ロースとして密封容器内に保存した。こうして製造した
臭化水素酸処理した微結晶セルロース5.0gに新たに
煮沸し冷却した水40mlを加え、20分間振り混ぜた
後、遠心分離して得た上澄液のpHを測定すると、その
pHは約2.8であった。
【0041】次に、サケカルシトニン(Sigma社
製、5,000 IU/mg)をとり、上記の臭化水素酸処理し
た微結晶セルロースとを乳鉢上でサケカルシトニン含量
が約20μg/30mgとなるように混合し、本発明の組
成物(実施例2)を調製した。
【0042】この本発明の組成物(実施例2)を40℃
/75%R.H.の条件のもとに保存し、経時的にサケ
カルシトニンの残存率(重量%)を求め、その結果を表
2に示した。比較のため、比較例1の場合の結果もあわ
せて示した。
【0043】
【表2】
【0044】表2より本発明の組成物(実施例2)の安
定性が比較例1と比較して著しく改善されているのがわ
かる。
【0045】
【実施例3〜6】実施例1と同様に、実施例1とは異な
る濃度(表3に示してある)の希塩酸を調製し、この希
塩酸を各々150mlビーカーにとり、そこへ微結晶セル
ロース(旭化成製:アビセルpH101)約20gを加
え、スターラーで約60分撹拌後ガラスフィルターで微
結晶セルロース分離した。分離した微結晶セルロースを
オーブンで水分が5.5%になるまで乾燥し塩酸処理し
た微結晶セルロースを製造した。こうして得られた塩酸
処理した微結晶セルロース5.0gに新たに煮沸し冷却
した水40mlを加え、20分間振り混ぜた後、遠心分離
して得た上澄液のpHを測定すると、実施例3はpH
3.5、実施例4はpH4.0、実施例5はpH4.
5、実施例6はpH5.0、比較例5はpH5.5、比
較例6はpH6.0であった。
【0046】次に、サケカルシトニン(Sigma社
製、5,000 IU/mg)をとり、上記実施例3〜6及び例
5〜6の塩酸処理した微結晶セルロースとを乳鉢上でサ
ケカルシトニン含量が約20μg/30mgとなるように
混合し、本発明の組成物(実施例3〜6)及び対照の組
成物(比較例5〜6)を調製した。
【0047】これらの組成物を40℃/75%R.H.
の条件の下に保存し、経時的にサケカルシトニンの残存
率(重量%)を求め、その結果を表3に示した。比較例
1の場合の結合も参考までに示した。
【0048】
【表3】
【0049】表3より塩酸処理した微結晶セルロースの
pHを上記の方法で測定する時、pHが5以下の時にサ
ケカルシトニンの安定化効果が著しく認められることが
わかる。
【0050】
【実施例7〜11】実施例1と同様の方法で微結晶セル
ロースのかわりに表4に記載した水吸収性で水難溶性の
基剤を塩酸処理した。これらの塩酸処理した基剤とサケ
カルシトニンとで実施例1と同様の方法で本発明の組成
物(実施例7〜11)を調製し、次いでこれらの本発明
の組成物を40℃/75%R.H.の条件のもとに保存
し、経時的にサケカルシトニンの残存率(重量%)を求
め、その結果を表4に示した。
【0051】
【表4】
【0052】
【実施例12】 <サケカルシトニンと塩酸処理微結晶セルロースを含ん
でなる粉末状鼻腔内投与用製剤の製造>約0.02Nの
希塩酸(pH=1.7)150mlをビーカーにとり、微
結晶セルロース(旭化成製:アビセルpH101:水分
5.5%)約20gをこれに加え、スターラーで約60
分間撹拌した。次いで、この微結晶セルロースを含有し
た希塩酸をガラスフィルター(25G−4)で濾過し、
微結晶セルロースを分離した。分離した微結晶セルロー
スをオーブン(約40℃)に入れて乾燥し、水分が5.
5%になった点でとり出した。冷却後乳鉢に入れ軽く粉
砕し、90重量%以上の粒子が37〜150μmの粒径
を有する粉末とした。この粉末状塩酸処理微結晶セルロ
ースにサケカルシトニン(Sigma社製、5,000 IU
/mg)を加え乳鉢内で混合して、サケカルシトニン含量
が約20μg/30mgの本発明の組成物を得た。この粉
末状組成物を硬ゼラチンカプセルに約30mg充填し、使
用前に開孔して空気流により、本粉末状組成物を鼻腔内
に投与する鼻腔内投与製剤を得た。
【0053】
【参考例】
<サケカルシトニンの酸性溶液中での安定性における酸
の種類の効果>表5に記載したpHに調製した塩酸、リ
ン酸、酢酸の各水溶液にサケカルシトニンを約10μg
/mlになるように溶解し、ガラス瓶に密封して40℃に
保存し、サケカルシトニンの残存率(重量%)を経時的
に測定した。
【0054】
【表5】
【0055】表5から、カルシトニン類の安定性は、カ
ルシトニン類を溶解した酸の種類によっては差が認めら
れず、溶液のpHに依存していることが判る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/42 A61K 9/14 U (72)発明者 鈴木 嘉樹 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社 東京研究センター内 (56)参考文献 特開 平3−115218(JP,A) 特開 平3−52821(JP,A) 特開 平1−230530(JP,A) 特開 平2−53733(JP,A) 特開 平2−111(JP,A) 特開 昭63−115822(JP,A) 特開 昭63−115821(JP,A) 特開 平6−340547(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩酸及び/又は臭化水素酸で処理され、か
    つそのpHがpH5.0以下である水吸収性で水難溶性
    の基剤と治療有効量のカルシトニン類とからなる粉末状
    カルシトニン類医薬組成物。
  2. 【請求項2】該水吸収性で水難溶性の基剤が、塩酸及び
    /又は臭化水素酸の水溶液に水吸収性で水難溶性の基剤
    を混合後、該水溶液から該水吸収性で水難溶性の基剤を
    分離し混合前に該水吸収性で水難溶性の基剤に含有され
    ていた水分量と同じ水分量になるまで乾燥して得られた
    水吸収性で水難溶性の基剤である請求項1記載の粉末状
    カルシトニン類医薬組成物。
  3. 【請求項3】該カルシトニン類が、サケカルシトニン、
    うなぎカルシトニン、鶏カルシトニン、ヒトカルシトニ
    ン、豚カルシトニン又はこれらの誘導体である請求項1
    記載の粉末状カルシトニン類医薬組成物。
  4. 【請求項4】該水吸収性で水難溶性の基剤が、水吸収性
    で水難溶性のセルロース類;澱粉類;タンパク質;ガム
    類;及び架橋ポリビニル重合体類からなる群から選ばれ
    る一種又は二種以上である請求項1記載の粉末状カルシ
    トニン類医薬組成物。
  5. 【請求項5】鼻腔内投与製剤の形態を有する請求項1記
    載の粉末状カルシトニン類医薬組成物。
  6. 【請求項6】該鼻腔内投与製剤の形態が、硬ゼラチンカ
    プセルである請求項5記載の粉末状カルシトニン類医薬
    組成物。
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