JP2726140B2 - 高靭性タングステン焼結合金 - Google Patents

高靭性タングステン焼結合金

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JP2726140B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高比重で且つ高靭性が要求される弾心材や
クイルなどの用途に好適な高靭性タングステン焼結合金
に関する。
〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕 高比重で且つ高靭性が要求される弾心材やクイルなど
の用途には、従来からW−Ni−Fe系の焼結合金が用いら
れてきたが、最近は性能向上の見地から同合金に対する
一層の靭性向上の要求が強くなってきている。
ところで、W−Ni−Fe系の焼結合金組織にあっては、
組織中のタングステン粒同士の結合力が最も弱い。この
ため、当該合金の靭性を向上させるにはタングステン粒
同士の接触粒界を減らすことが重要である。そこで従来
は、例えば焼結温度を増大させると共にその保持時間を
延長することによって、タングステン粒の接触粒界への
液相の侵入を促進させる方法が行われている。或いはま
た、焼結温度から急冷させる方法が知られている(G.Pe
tzow et al.,“Modern Developmennts in Powder Metal
lurgy",Vol.14(1981),189−203.)。
しかしながら、前者の焼結温度を高める方法の場合は
材料の座屈やガス発泡による残留気孔が発生し易く、結
局は靭姓が変化するという問題点があった。
一方、後者の急冷による場合は急速な凝固収縮による
ひけ巣が発生し易く、製造の歩留り低下につながるとい
う問題点があった。
そこで本発明の目的とするところは、タングステン粒
同士の接触を低減させる元素を添加して靭性を高めたタ
ングステン焼結合金を提供することにより、上記従来の
問題点を解決することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の高靭性タングステン焼結合金は、タングステ
ン90〜98wt%,ホウ素(B)5〜100ppm、残部がニッケ
ル(Ni)と鉄(Fe)とからなり、そのニッケルと鉄との
重量比がNi/Fe=0.5〜4である。
また本発明の高靭性タングステン焼結合金は、上記の
高靭性タングステン焼結合金において、コバルト(Co)
0.5wt%以下を含有するものである。
〔作用〕
ホウ素を微量含有するとタングステン粒界の界面エネ
ルギーが低下して、粒界の間に液相が侵入し易くなる。
すなわち、微量のホウ粗の含有によりタングステン粒同
士の接触率が低下し、焼結タングステン合金の靭性が飛
躍的に向上する。
焼結温度を特に高める必要はないから、材料の座屈や
ガス発泡による残留気孔が発生するおそれはない。ま
た、焼結温度からの急冷を行う必要がないから、凝固収
縮による深いひけ巣も発生せず、高い歩留りが得られ
る。
更に、その他の成分としてコバルトを添加すると、タ
ングステン合金の強度が向上する。
以下、更に詳細に説明する。
本発明のタングステン焼結合金の主組成は、タングス
テン(W)が90〜98wt%で、残部がニッケル(Ni)と鉄
(Fe)である。W含有量は、所定の高密度を保つために
90%以上が必要である。かつ又、タングステン焼結合金
を製造する際の液相焼結工程において完全に緻密化する
液相量を確保するため、98wt%以下であることが必要で
ある。NiとFeは、焼結時に液相を発生して高密度化を促
進し、かつ材料の延性を高める結合材として添加され
る。その添加量は、合金量の2〜10wt%とする。2wt%
未満では十分な液相が発生せず、高密度化の効果が発揮
できない。一方、10wt%を越えるとWの含有量が少なく
なりすぎて、合金の高比重が得られなくなる。又、Niと
Feの重量比率は、液相生成温度を下げて効果的な液相焼
結を実施するために、Ni:Fe=0.5〜4の範囲内にするこ
とが好ましい。
更に、その他の成分として、必要に応じコバルト(C
o)を添加することができる。Coはタングステン焼結合
金の強度を向上させるために添加されるものであるが、
その含有量が多過ぎると延性の劣化を招くから0.5wt%
以下が適当である。
本発明は、タングステン焼結合金の靭性を高める手段
として、ホウ素を含有させる。5〜100ppmのホウ素
(B)は、先に述べたようにタングステン粒界の界面エ
ネルギーを低下せしめ、焼結工程においてタングステン
粒同士の粒界間への液相の侵入を容易にする。これによ
り結合力が最も弱いタングステン粒同士の接触率が低下
し、組織全体の結合力が強化され、ひいては、タングス
テン焼結合金の靭性が向上する。
ホウ素含有量が5ppm未満では上記の効果が不十分であ
る。一方、ホウ素の含有量が100ppmを越えると、水素雰
囲気内で行う焼結工程で水素の固溶度が低下し、気孔が
発生し易くなって製品合金の伸び,衝撃値の劣化が顕著
になる。
かくして本発明によれば、タングステン焼結合金の成
分中に微量のホウ素を含有させることによって、タング
ステン焼結合金の靭性を向上させることができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
原料粉末として種々のロットの水素還元タングステン
粉と、カーボニルニッケル粉と、カーボニル鉄粉と、水
素還元コバルト粉とを用い、混合,成形,焼結,熱処理
の各製造工程を経て化学成分組成の異なる複数種のタン
グステン焼結合金を製造して被試験体とした。上記の水
素還元タングステン粉は、酸化タングステン(WO3)を
ホウ酸(H3BO3)水溶液中に浸し、乾燥した後H2気流中
で還元したものである。
原料粉の混合にはV型ミキサーを用いた。成形は冷間
静水圧プレスを用い、2ton/cm2の圧力で直径20mm,長さ1
40mmの成形体を得た。この成形体を、プッシャー連続焼
結炉を用いてH2気流中で表1に示す焼結温度,焼結時間
で焼結し、冷却した。次いで、真空度10-4Torrの下で11
50℃,2時間の真空熱処理を行ない、その後Arガスにより
20℃/minの冷却速度で冷却した。
表1に被試験体の成分組成とホウ素含有量とを示す。
No.1〜8は本発明の実施例であり、これに対してNo.9〜
13は比較例である。
ホウ素含有量については、実施例のものが7〜98ppm
の範囲内にあるのに対して、比較例9〜12は5ppm未満と
し、比較例13は120ppmとした。また、比較例10は焼結工
程の最終段階における冷却を急速に行い、比較例11は焼
結時間を延長し、比較例12は焼結温度を高くして、焼結
条件が与える影響を評価できるようにした。
このように形成した13種の被試験体のそれぞれにつ
き、ひけ巣深さ,気孔率,引張強さ,及び伸び,シャル
ピー衝撃値を測定し、試験結果を表1に併記した。ひけ
巣は焼結時に被試験体の後端部に生成するものであっ
て、深さ5mm未満であれば製品には影響を与えない。し
たがって本実施例では被試験体の断面で求めたひけ巣深
さで評価した。
気孔率は点算法で求めた。引張試験は標点距離16mm,
試験速度1mm/minで行い、シャルピー衝撃試験の試験片
は10mm角,長さ55mm,ノッチ無しとした。
表1より、本実施例のタングステン焼結合金と比較例
のものとは、引張り強さの点では差異がない。一方、そ
の他の測定項目に関しては、明確な差異が認められた。
比較例No.9は、ホウ素含有量が4ppmと少ないため靭性
向上の効果がみられず、伸びと衝撃値が低い値を示して
いる。
比較例No.10はホウ素含有量が3ppmと少ないにもかか
わらず、焼結後に50℃/minの冷却速度で急冷することに
より伸びと衝撃値の低下は防止されている。しかし、急
冷により17mmという極めて深いひけ巣が生成されて歩留
りが悪い。
比較例No.11はホウ素含有量が少なく、焼結時間を大
幅に延長したにもかかわらず靭性が低い。更に、ひけ巣
深さも7mmに及び、且つ気孔の発生が認められる。
比較例No.12はホウ素含有量が少なく、焼結温度を高
くすることで衝撃値は実施例のものとほぼ同レベルの値
が得られたにもかかわらず伸びの値が低い。また、ひけ
巣深さは10mmに及び、且つ気孔の発生が認められる。
比較例No.13はホウ素含有量が120ppmと過多であり、
伸び,衝撃値とも極めて低く且つ気孔の発生も顕著であ
る。
表1の結果から、ホウ素を所定量含有させた実施例の
靭性向上の効果は明らかである。
〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によれば、タングステン
90〜98wt%、残部が重量比で0.5〜4の範囲にあるニッ
ケルと鉄とからなり、さらに必要に応じてコバルトを0.
5wt%を含むタングステン焼結合金において、ホウ素を
5〜100ppm含有させることにより、靭性と気孔率が顕著
に改善され且つ気孔がなく、問題となる深さのひけ巣も
発生しない歩留りの良いタングステン焼結合金を提供す
ることができるという効果が得られる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タングステン(W)90〜98wt%,ホウ素
    (B)5〜100ppm、残部がニッケル(Ni)と鉄(Fe)と
    からなり、そのニッケルと鉄との重量比がNi/Fe=0.5〜
    4であることを特徴とする高靭性タングステン焼結合
    金。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載の高靭性タングステン焼
    結合金において、コバルト(Co)0.5wt%以下を含有す
    ることを特徴とする高靭性タングステン焼結合金。
JP14286290A 1990-05-31 1990-05-31 高靭性タングステン焼結合金 Expired - Lifetime JP2726140B2 (ja)

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JPH05263163A (ja) * 1992-03-18 1993-10-12 Japan Steel Works Ltd:The W−Ni −Fe 焼結合金の製造方法
JP5805213B2 (ja) * 2011-12-07 2015-11-04 株式会社アライドマテリアル タングステン焼結合金

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