JP2725987B2 - 磁気抵抗センサ - Google Patents

磁気抵抗センサ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、全般的に磁気媒体に記
録された情報信号を読み取るための磁気変換器に関し、
より詳細には、多層スピン・バルブ構造とセンサ感知電
流を利用してセンサの非信号動作点を設定する、改良型
の磁気抵抗読取りセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術では、磁気抵抗(MR)センサ
または磁気抵抗ヘッドと呼ばれる磁気読取り変換器が開
示されている。これは、大きな線形密度で磁気表面から
データを読み取ることができることが判っている。MR
センサは、読取り素子によって感知される磁束の強さと
方向に応じて、磁性体から製造された読取り素子の抵抗
変化により磁界信号を検出する。こうした従来技術のM
Rセンサは、異方性磁気抵抗(AMR)効果に基づいて
動作する。異方性磁気抵抗効果とは、読取り素子の抵抗
の一成分が、磁化方向と素子中を流れる感知電流の方向
の角度差の余弦の2乗(cos2)に比例して変化する
ものである。AMR効果のさらに詳しい説明は、D.
A.トムソン(Thompson)他の論文"Memory, Storage,
and RelatedApplications", IEEE Trans. Mag. MAG-11,
p.1039(1975)に出ている。
【0003】米国特許第4896235号は、非磁気層
で分離された第1と第2の磁気層を備え、少くとも一方
の磁気層がAMR効果を示す材料でできている、AMR
を利用した多層磁気センサを開示している。各磁気層中
の磁化容易軸は、MRセンサ素子のセンサ電流が磁化容
易軸に平行な磁気層中に磁界を生成し、それによってセ
ンサ中のバルクハウゼン雑音がなくなるまたは最小限に
抑えられるように、印加される磁気信号に対して垂直に
設定される。H.スヤマ他の論文"Thin Film MR Head f
or High Density Rigid Disk Drive", IEEE Trans. Ma
g., Vol.24, No.6(1988), pp.2612-2614にも、上記の米
国特許第4896235号に開示されたものと類似の多
層MRセンサが開示されている。
【0004】さらに最近になって、さらに顕著な異なる
磁気抵抗効果が記載されている。これは、積層磁気セン
サの抵抗の変化が、非磁気層を介する磁気層間の伝導電
子のスピン依存性透過と、それに付随する、層界面及び
強磁性体層内でのスピン依存性散乱によるものとされて
いる。この磁気抵抗効果は、「巨大磁気抵抗」効果ある
いは「スピン・バルブ」効果とも呼ばれている。適当な
材料で製造したこのような磁気抵抗センサは、AMR効
果を利用したセンサで観察されるよりも高い感度と大き
な抵抗変化を示す。この種のMRセンサでは、非磁気層
で分離された1対の強磁性体層間の平面内抵抗が、2つ
の層中の磁化方向の角度差の余弦(cos)に比例して
変化する。
【0005】米国特許第4949039号は、磁気層中
での磁化の反平行整列によってMR効果が強化された積
層磁気構造を記載している。上記特許明細書には、この
積層構造中で使用できる材料として、強磁性の遷移金属
及び合金が挙げられているが、MR信号振幅の点で優れ
た好ましい材料は示されていない。上記特許明細書では
さらに、反強磁性型交換結合を使用して、隣接する強磁
性体層が薄いCrまたはYの中間層で分離された、反平
行整列を得ることを記載している。
【0006】1990年12月11日に出願され、本出
願人に譲渡された、同時係属の米国特許出願第07/6
25343号は、2つの減結合強磁性体層の間の抵抗が
2つの層の磁化方向の角度差の余弦に比例して変化する
ことが観察され、センサ中を流れる電流の方向とは独立
である、MRセンサを開示している。この機構は、スピ
ン・バルブ効果に基づき、材料の組合せをうまく選択す
ればAMRより大きくなる、磁気抵抗を生成する。
【0007】1991年2月8日に出願され、本出願人
に譲渡された、同時係属の米国特許出願第07/652
852号は、上記の効果に基づくMRセンサを開示して
いる。このセンサは、非磁性体金属の薄膜層で分離され
た強磁性体の2つの薄膜層を含み、少くとも一方の強磁
性体層がコバルトまたはコバルト合金からなる。その強
磁性体層の磁化方向は、外部印加磁界がゼロのとき、反
強磁性体層への交換結合により他方の強磁性体層の磁化
方向に対して垂直に維持される。
【0008】上記に引用した米国特許出願に記載されて
いるスピン・バルブ構成では、一方の強磁性体層中の磁
化方向を選択した配向に固定して、非信号条件下で他方
の強磁性体層中の磁化方向がこの固定された層の磁化方
向に対して垂直となるようにする必要がある。センサに
外部磁気信号が印加されるとき、固定されない「自由」
層中の磁化方向が、固定された層中の磁化方向に対して
回転する。このとき、センサの出力は、自由層の磁化方
向が回転する角度の余弦に比例する。固定された層中の
磁化方向を維持するために、磁化方向を固定する手段が
必要である。たとえば、上記に引用した特許出願に記載
されているように、磁化方向が固定された強磁性体層に
接して追加の反強磁性体の層を形成して、交換結合バイ
アス磁界を生じることができる。あるいは隣接する強磁
性体層を利用して、磁化方向の固定された強磁性体層に
対するハード・バイアスを生じることもできる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主目的は、1
つまたは複数の強磁性体層中の磁化方向を固定するため
の追加の構造手段を設ける必要のない、スピン・バルブ
効果に基づくMRセンサを提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、両方の強磁性体層中
の磁化が、印加された磁気信号に応答し、それによって
増強された測定信号を提供する、MRセンサを提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記その他の目的及び利
点は、本発明の原理に従って達成される。すなわち、ス
ピン・バルブ効果に基づくMR読取りセンサは、適当な
基板上に形成された積層構造を備え、この積層構造は、
センサの感知電流によって所望の非信号点にバイアスさ
れる非磁性体金属の薄膜層で分離された、強磁性体の第
1と第2の薄膜層を含む。強磁性体層は、その好ましい
磁化軸または磁化容易軸が、隣接する記憶媒体上のデー
タ・トラックの幅に対して垂直で、センサ中を流れる感
知電流の方向に平行となる方向に配向される。センサに
感知電流が印加されると、感知電流に伴う磁界が、各強
磁性体層に対するバイアス磁界をもたらし、それによっ
て各層中の磁化方向が磁化容易軸に対して大きさが等し
く方向が逆の角度に向くようになる。この磁化はどちら
の強磁性体層中でも固定されず、自由に印加磁界に応答
することができる。印加された磁気信号は、両方の強磁
性体層中の磁化方向を、磁気容易軸に対して大きさがほ
ぼ等しく方向が逆の角度で回転させ、したがって、一方
の強磁性体層が固定される従来技術のスピン・バルブM
Rセンサに比べて、層の磁化方向の角度差を2倍変化さ
せる効果がある。電流源から感知電流がMRセンサに送
られ、MRセンサは、読取り素子の両端間で強磁性体層
中の磁化方向が感知された外部印加磁界に応じて回転す
ることによるMRセンサの抵抗の変化に比例する電圧降
下を発生させる。読取りセンサの抵抗変化の大きさは、
磁気媒体中に記憶されるデータ・ビットを代表する磁界
など、外部印加磁界に応答する層中の磁化方向の角度差
の変化の余弦の関数である。
【0012】したがって、本発明は、両方の強磁性体層
中の磁化が自由に印加信号に応答でき、センサの感知電
流が両方の層の磁化を磁化容易軸に対して大きさが同じ
で方向が逆の角度にバイアスさせる、スピン・バルブM
Rセンサを提供する。両方の強磁性体層中の磁化方向が
自由に回転できるので、交換バイアス層や、ハード・バ
イアス層などの固定手段は不要になる。両方の強磁性体
層が印加磁気信号に応答するので、センサの感度が大幅
に増大する。さらに、交換バイアス磁界を生成するため
に通常使用される材料は比較的腐食しやすいが、センサ
の空気軸受面で露出する1つまたは複数の交換バイアス
層が不要になると、センサの製造及び動作に伴う腐食の
問題が大いに軽減される。
【0013】
【実施例】ここで図1を参照すると、本発明は、図1に
示すように磁気ディスク記憶システム中で実施されるも
のとして説明するが、たとえば磁気テープ記録システム
など他の磁気記録システムにも適用できることは明らか
であろう。少くとも1枚の回転可能な磁気ディスク12
が、スピントル14上に支持され、ディスク駆動モータ
18によって回転される。各ディスク上の磁気記録媒体
は、ディスク12上の同心データ・トラックの環状パタ
ーン(図示せず)の形をしている。
【0014】少くとも1つのスライダ13がディスク1
2上に位置し、各スライダ13は、1つまたは複数の磁
気読み書き変換器21(通常、読み書きヘッドと呼ばれ
る)を支持する。ディスクが回転すると、スライダ13
はディスク表面22の上を半径方向に内外に働き、ディ
スクの所望のデータが記録されている様々な部分にヘッ
ド21がアクセスできるようになる。各スライダ13
は、懸架装置15によってアクチュエータ・アーム19
に取り付けられている。懸架装置15は、僅かなばね力
を発生し、それによってスライダ13がディスク表面2
2に押し付けられる。各アクチュエータ・アーム19
は、アクチュエータ手段27に取り付けられている。図
1に示すアクチュエータ手段は、たとえばボイス・コイ
ル・モータ(VCM)でよい。ボイス・コイル・モータ
は、固定磁界内を移動可能なコイルを備え、コイルの移
動の方向と速度は制御装置から提供されるモータ電流信
号によって制御される。
【0015】ディスク記憶システムの動作中、ディスク
12の回転によって、スライダ13とディスク表面22
の間に空気軸受ができ、スライダに上向きの力を加え
る。こうして空気軸受は懸架装置15の僅かなばね力と
の釣合いをとり、動作中、スライダ13をディスク表面
の僅か上方にほぼ一定の小さな間隔で支持する。
【0016】ディスク記憶システムの様々な構成要素
は、アクセス制御信号や内部クロック信号など制御装置
29が発生する制御信号によって動作中に制御される。
通常、制御装置29は、たとえば論理制御回路、記憶手
段、及びマイクロ・プロセッサを含んでいる。制御装置
29は、線23上の駆動モータ制御位置や線28上のヘ
ッド位置・シーク制御信号など、様々なシステム動作を
制御するための制御信号を発生する。線28上の制御信
号は、選択されたスライダ13を関連するディスク12
上の所望のデータ・トラックへと最適に移動させ位置す
るための、所望の電流プロフィルを提供する。読取り信
号及び書込み信号は、記録チャネル25によって読み書
きヘッド21との間でやり取りされる。
【0017】代表的磁気ディスク記憶システムに関する
上記の説明及び図1の図は、例示のためのものにすぎな
い。ディスク記憶システムが多数のディスク及びアクチ
ュエータを含むことができ、各アクチュエータが多数の
スライダを支持できることは明らかである。
【0018】次に図2、3、4を参照すると、本発明の
原理によるスピン・バルブMRセンサは、たとえばガラ
ス、セラミック、半導体など適当な基板31上に付着さ
れた、MR素子30を形成する、軟磁性体の第1の薄膜
層33と非磁性体金属材料の薄膜層35と軟磁性体の第
2の薄膜層37を備えている。MR素子30の上に、バ
ルクハウゼン雑音を最小にするため、磁性体層33、3
7の能動領域中に単一磁区状態を確保するための縦バイ
アス磁界を発生させるために、バイアス導体43を形成
する。バイアス導体43は、適当な材料の絶縁層でMR
素子30から電気的に絶縁される。バイアス導体43
は、MR素子30に対して、バイアス導体43中を流れ
る電流がMR素子30中で磁化容易軸に平行な磁界を発
生させるような向きに配向される。適当な導電性材料の
電気リード39と41が、MR素子30と電流源57及
び信号感知手段55との間に回路経路を形成するため
に、MR素子30の端部領域の上に付着される。
【0019】製造中に、破線の矢印49で示す磁化容易
軸が、MR素子30の長軸に平行となるように設定さ
れ、MR素子30は、その縦軸が、したがって両方の強
磁性体層33、37の磁化容易軸49が、磁気記憶媒体
中に形成されたデータ・トラック45の幅Wに垂直に向
くように物理的に配置される。MR素子30中を電流が
流れないときは、2つの強磁性体層33、37の磁化方
向は、磁化容易軸49に沿った向きになり、平行であ
る。矢印44で示すようにMR素子30に感知電流が印
加されると、従来技術で周知のように(たとえば、米国
特許第4833560号を参照のこと)、それぞれの強
磁性体層33、37中を流れる感知電流によって生じる
磁界が、非磁性体金属のスベーサ層35中を流れる電流
と相まって、他方の強磁性体層用のバイアス磁界を発生
させ、それによって、両方の層33、37中の磁化方向
が、矢印51で示すように、磁化容易軸49に対して大
きさが等しく方向が逆の角度θだけ回転する。さらに、
強磁性体の第1の層33及び第2の層37中の磁化は、
外部印加磁界(図2に示す磁界hなど)に応答して、自
由にその方向を回転することができる。各強磁性体層3
3、37中の磁化は、外部印加磁界に応答して、大きさ
が等しいが方向が逆の角度δθで回転し、そのためMR
素子の抵抗がCOS(2δθ)に比例して変化する。M
R素子30中を流れる電流の方向は、非信号動作点の設
定に関して重要であるが、MR素子30の抵抗の変動は
その中を流れる電流の方向とは無関係であり、印加磁界
に応答した2つの強磁性体層33、37の磁化方向の角
度差の変化のみに依存することに留意されたい。
【0020】強磁性体層33、37は、コバルト(C
o)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びそれらの合
金、たとえばニッケル鉄(NiFe)、ニッケル・コバ
ルト(NiCo)、鉄コバルト(FeCo)など、任意
の適当な磁性体から製造することができる。非磁性体金
属スペーサ層35は、たとえば銅(Cu)、または銀
(Ag)、金(Au)やそれらの合金などの適当な貴金
属を含む。金属スペーサ層35の厚さは、2つの強磁性
体層33、37の大きな磁気減結合を保証するのに十分
な程度に厚く、しかも伝導電子の平均自由行程よりも小
さくなるのに十分な程度に薄い。センサ読取り素子が強
磁性体/非磁性体/強磁性体積層構成を備える、スピン
・バルブ効果に基づくMRセンサは、参照により本明細
書に組み込まれる前記の米国特許出願第0762534
3号により詳しく記載されている。
【0021】引き続き図4を参照すると、図2に対した
好ましい実施例の、MR素子30の縦軸に沿って切断し
た側面図が示されている。第1の強磁性体層33を付着
する前に、たとえばTa、Ru、CrVなどの適当な下
層59を基板31上に付着することができる。下層59
の目的は、以後の各層のテキスチャ、粒度、形態を最適
化することである。スピン・バルブ構造の特徴である大
きなMR効果を得るために、形態が決定的に重要なこと
がある。というのは、それによって、2つの強磁性体層
33と37の間に非常に薄い非磁性体金属スペース層3
5の使用が可能になるからである。また下層59は、電
流分岐効果を最小に抑えるために高い抵抗率をもたなけ
ればならない。基板31が十分に高い抵抗率を有する材
料でできており、十分に平面な表面を有し、適切な結晶
構造を有する場合は、下層59を省略することができ
る。
【0022】軟磁性体の第1の薄膜層33と、非磁性体
金属の薄膜層35と、軟磁性体の第2の薄膜層37を下
層59の上に付着する。MRセンサと電流源57及び信
号感知手段55との間に回路経路を形成するために、電
気リード39、41を設ける。前述のように、MR素子
30は、その縦軸が、したがって磁化容易軸が、隣接す
る磁気メモリ12(図1に示されている)中に形成され
る記憶トラックの幅Wに対して垂直になるように物理的
に配向されている。そのため、一端だけが、たとえば媒
体12に関して下側の端部が、センサ空気軸受表面(A
BS)に露出され、空気軸受表面に露出したMR素子の
端部の幅によって読取りトラック幅が画定される。バル
クハウゼン効果を削減するため、MR素子30の、セン
サ空気軸受表面から離れた側の端部上に縦バイアス層4
2を付着する。このバイアス層は、交換結合によってバ
イアス磁界を形成するように強磁性体層の端部領域と直
接接触して付着された、たとえばマンガン鉄やニッケル
・マンガンなどの反常磁性体とすることができ、あるい
は、当技術分野で知られているようにハード・バイアス
を提供する軟磁性体層とすることもできる。バイアス層
42は、空気軸受表面から離れた所にあるので、腐食の
可能性のある材料が空気軸受表面で露出されず、したが
ってそのような材料が空気軸受表面に存在するときに通
常発生する腐食の問題が最小限に抑えられる。あるいは
別法として、図2に関して述べたように、MR素子30
の上に二酸化シリコン(SiO2)など適当な材料の絶
縁層(図示せず)でそれから分離して、バイアス導体4
2を形成することもできる。また、たとえばTaやZr
などの高抵抗率材料のキャップ層(図示せず)をMRセ
ンサの上に付着することもできる。
【0023】上述のように、2つの強磁性体層33、3
7は、センサ感知電流が印加されない場合、その磁化方
向が、磁化容易軸に対して平行となり、かつ互いに平行
となる。さらに、バイアス層42またはバイアス導体4
3によって発生する縦バイアス磁界も磁化容易軸に平行
となる。MR素子30に感知電流が印加されたときは、
発生する磁界は磁化容易軸に対して垂直になる。したが
って、その結果生じる磁化方向は、バイアス磁界の相対
強度に応じて、磁化容易軸に対して角度θをなすことに
なる。各磁性体層33、37中の磁化は、大きさが等し
く方向が逆になるので、2つの層33、37中の磁化方
向は、外部印加磁界がない場合、角度2θだけ離れるこ
とになる。
【0024】上述のように、強磁性体層33、37は、
適当な任意の磁性体で製造することができ、約10〜1
50オングストロームの範囲の厚さとすることが好まし
い。非磁性体スペーサ層45は、高導電率の金属とする
ことが好ましい。Au、Ag、Cuなどの合金属は、大
きなMR応答を与え、Pt、Pdは小さなMR応答を与
え、Cr、Taは非常に小さなMR応答を示す。スペー
サ層45の厚さは、約10〜40オングストロームの範
囲内とすることが好ましい。次にまた図5と6を参照す
ると、本発明のスピン・バルブ・センサのMR特性が、
2つのバイアス条件に関して示されている。図の曲線
は、厚さ20オングストロームのCu非磁性体層で分離
された厚さ50オングストロームの2つのNiFe層か
らなり、トラック幅が4μmの感知要素に15mAの感
知電流を印加したときの相対抵抗変化を非遮蔽デバイス
の均一な印加磁界に対してブロットしたものである。図
5は縦バイアス磁界が10Oeの場合の結果を示し、図
6は縦バイアス磁界が0Oeの場合の結果を示す。
【0025】好ましい実施例を非遮蔽デバイスとして説
明したが、本発明のMRセンサは遮蔽構造または磁束案
内構造にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する磁化ディスク記憶システムの
簡略化した構成図である。
【図2】本発明の原理に基づく磁気抵抗センサの好まし
い実施例の透視図である。
【図3】図2に示した磁気抵抗センサの磁性体層の磁化
方向を示す分解透視図である。
【図4】図2に示した磁気抵抗センサの好ましい実施例
の曲面図である。
【図5】図2に示す磁気抵抗センサに縦バイアス磁界を
印加した場合の、磁気抵抗と印加磁気信号の関係を示す
グラフである。
【図6】図2に示す磁気抵抗センサに縦バイアス磁界を
印加しない場合の、磁気抵抗と印加磁気信号の関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
30 磁気抵抗(MR)素子 31 基板 33 強磁性体層 35 非磁性体金属スペーサ 37 強磁性体層 43 バイアス導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベルナール・ディエニ フランス、グルノーブル・クレデック ス、セントル・ナショナル・ドラ・ルシ ェルシュ・シエンティクィック 166エ ックス 38042 (72)発明者 ロバート・エドワード・フォンタナ・ジ ュニア アメリカ合衆国95120、カリフォルニア 州サンノゼ、ノースリッジ・ドライブ 6596 (72)発明者 ヴァージル・サイモン・スペリオス アメリカ合衆国95119、カリフォルニア 州サンノゼ、セイント・ジュリー・ドラ イブ 351

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性体金属の層で分離された強磁性体の
    第1の層と第2の層を備え、前記強磁性体の第1の層及
    び第2の層中の磁化容易軸が実質上平行であり、磁気抵
    抗センサ中の感知電流によって発生した磁界に応答する
    前記強磁性体の第1の層及び第2の層の磁化方向が、そ
    れぞれ前記磁化容易軸に対して大きさが等しく方向が逆
    の角度に向き、印加磁界に応答する前記磁気抵抗センサ
    の抵抗変化が、前記強磁性体の第1の層及び第2の層中
    の前記磁化の方向の角度差の変化の関数であり、前記強
    磁性体の第1の層及び第2の層のそれぞれの磁化が、前
    記印加磁界に応答することを特徴とする磁気抵抗セン
    サ。
  2. 【請求項2】前記強磁性体の第1の層及び第2の層が、
    鉄、コバルト、ニッケル、及び鉄、コバルト、ニッケル
    の合金からなる群から選択された強磁性体からなること
    を特徴とする、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
  3. 【請求項3】前記強磁性体の第1の層及び第2の層のそ
    れぞれの磁化容易軸が、前記強磁性体の第1の層及び第
    2の層の縦軸と平行に整列することを特徴とする、請求
    項1に記載の磁気抵抗センサ。
  4. 【請求項4】前記強磁性体の第1の層及び第2の層のそ
    れぞれの磁化容易軸が、磁気記憶媒体上で画定されるデ
    ータ・トラックのトラック幅に対して実質上垂直に整列
    することを特徴とする、請求項3に記載の磁気抵抗セン
    サ。
  5. 【請求項5】前記強磁性体の第1の層及び第2の層と前
    記非磁性体金属層が、ある長さと幅を有する多層磁気抵
    抗感知素子を形成し、前記磁気抵抗感知素子が、その縦
    軸が前記磁気抵抗センサの空気軸受表面に対して実質上
    垂直となるような向きに配向することを特徴とする、請
    求項1に記載の磁気抵抗センサ。
  6. 【請求項6】前記磁気抵抗感知素子の下端が、前記空気
    軸受表面と同じ面にあり、前記磁気抵抗感知素子の前記
    下端が前記空気軸受表面で露出することを特徴とする、
    請求項5に記載の磁気抵抗センサ。
  7. 【請求項7】さらに、前記磁気抵抗感知素子の、前記空
    気軸受表面から離れた位置で、前記磁気抵抗感知素子中
    に縦バイアス磁界を発生させるためのバイアス層を備え
    ることを特徴とする、請求項5に記載の磁気抵抗セン
    サ。
  8. 【請求項8】前記バイアス層が、反強磁性−強磁性交換
    結合によって前記縦バイアス磁界を提供するため、前記
    強磁性体層の1つと直接接触して付着された反強磁性体
    の層を備えることを特徴とする、請求項7に記載の磁気
    抵抗センサ。
  9. 【請求項9】前記強磁性体の第1の層及び第2の層の厚
    さが、約10ないし150オングストロームの範囲内で
    あることを特徴とする、請求項1に記載の磁気抵抗セン
    サ。
  10. 【請求項10】前記非磁性体金属スペーサ層の厚さが、
    前記非磁性体金属スペーサ層中の伝導電子の平均自由行
    程よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の磁
    気抵抗センサ。
  11. 【請求項11】さらに、前記強磁性体の第1の層及び第
    2の層にそれらの第1及び第2の端部で接続された1対
    の導電性リード線を備え、前記リード線が、前記磁気抵
    抗センサを外部回路に結合し、前記感知電流を前記磁気
    抵抗センサに提供するためのものであることを特徴とす
    る、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
  12. 【請求項12】さらに、前記強磁性体の第1及び第2の
    層に隣接する、前記強磁性体の第1の層及び第2の層中
    に縦バイアス磁界を提供するためのバイアス導体を備え
    ることを特徴とする、請求項11に記載の磁気抵抗セン
    サ。
  13. 【請求項13】複数のデータ記録用トラックを有する磁
    気記憶媒体と、 磁気変換器と前記磁気記憶媒体の間での相対移動中に前
    記磁気記憶媒体に対して密接した間隔の位置に維持され
    る磁気変換器であって、 磁気抵抗感知素子を形成する、非磁性体金属の層で分離
    された強磁性体の第1の層と第2の層を備え、前記強磁
    性体の第1の層及び第2の層中の磁化容易軸が実質上平
    行であり、磁気抵抗センサ中の感知電流によって発生し
    た磁界に応答する前記強磁性体の第1の層及び第2の層
    の磁化方向が、それぞれ前記磁化容易軸に対して大きさ
    が等しく方向が逆の角度に向き、印加磁界に応答する前
    記磁気抵抗センサの抵抗変化が、前記強磁性体の第1の
    層及び第2の層中の前記磁化の方向の角度差の変化の関
    数であり、前記強磁性体の第1の層及び第2の層のそれ
    ぞれの磁化が、前記印加磁界に応答し、前記磁気抵抗感
    知素子の縦軸が前記磁気記憶媒体中で画定されるデータ
    ・トラックのトラック幅に対して垂直となるような向き
    に配向し、前記磁気抵抗感知素子の下端が、前記磁気記
    憶媒体に対向することを特徴とする磁気抵抗センサと、 それぞれ前記磁気抵抗感知素子の前記下端及び上端に接
    続された、前記磁気抵抗センサを外部回路に接続し、前
    記感知電流を前記磁気抵抗感知素子に結合するための導
    電性リード線と、 前記磁気抵抗感知素子に隣接して形成された、前記磁気
    抵抗感知素子中で縦バイアス磁界を提供するためのバイ
    アス手段とを備える、磁気変換器と、 前記磁気変換器に結合された、前記磁気変換器を前記磁
    気記憶媒体上の選択されたデータ・トラックへ移動させ
    るためのアクチュエータ手段と、 前記磁気抵抗センサに結合された、前記磁気抵抗センサ
    によってインターセプトされた、前記磁気記憶媒体中に
    記録されたデータ・ビットを表す、印加された磁界に応
    答して、前記磁気抵抗材料中の抵抗変化を検出するため
    の検出手段とを備える磁気記憶システム。
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