JP2723826B2 - 中空角パイプ屈曲加工方法及びその加工金型 - Google Patents

中空角パイプ屈曲加工方法及びその加工金型

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は角パイプの屈曲成形加工
方法に関するものであるが、詳しくは中空角パイプの切
欠方法を良好にした中空角パイプ屈曲加工方法と、その
加工金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から一般的に用いられている曲げ型
をプレス又はプレスブレーキに取付けて行なう型折曲げ
加工には、V曲げ、U曲げ、端曲げなどが多用されてい
る。これらはいずれも鉄板や金属棒などを折曲げるのに
用いられるものであり、いわゆる中空角パイプなどの角
パイプには適さないものとされていた。そこで、鉄管、
鋼管、鉛管、アルミニウム管などの中空角パイプを折曲
げて使用したいときは鋸やカッターを用いて切断する
か、あるいはパイプの中に芯金を挿入して金型で切断し
てから熔接していた。従って、切断と熔接作業に多くの
時間や手間を要し、しかも接合が熔接であるから内部の
隅肉熔接が不可能となるために破壊強度が弱く長年使用
するうちに折れたり剥がれたりしてその機能を失い、更
に外観上においても多くの問題点を有していた。すなわ
ち、一本の細長い中空角パイプなどの角パイプを所望の
個所で折曲げたり、またそれを連続して種々の角度に折
り曲げることは従来は不可能とされていた。
【0003】そこで、本願出願人が長年の研究により従
来不可能とされていた角パイプの折曲げ成形加工の開発
をなし、その技術内容が開示(特開昭54-122668 号)さ
れた。この従来発明は、従来不可能とされていた中空角
パイプ等角パイプの折曲げ成形加工を開発したものであ
り、突先部にまるみを持たせると共に刃稜を波形に形成
した柱状金型を取付けた上型と、柱状金型の嵌挿溝を設
けた下型とから成る該加圧切欠装置により、被屈曲部材
の折曲げ個所の切欠きを芯金なしで折曲げることによ
り、一本の中空角パイプのいかなる個所にも所望の折曲
げを設けることができると共に、いかなる角度のもので
も金型を取替えれば自在の形状に折り曲げることのでき
る角パイプ屈曲機構の提供を目的とするものである。
【0004】更に、その後改良に改良を加えて、特開昭
63-199029 号の角パイプ屈曲機構を開発した。この改良
発明は、中空角パイプの切欠用刃部を有する柱状金型を
取付けた上型と、該柱状金型の嵌挿溝と中空角パイプの
固定溝とを有する下型とかな成る中空角パイプの切欠装
置を用いて、中空角パイプを屈曲成形加工する角パイプ
屈曲機構において、前記柱状金型の刃部に傾斜面の肉厚
部を有する刃稜を形成し、かつ突先部にθ1及びθ2の
傾斜角を形成して成り、該刃部による中空角パイプへの
裁断力と押圧力とを調整保持させることを特徴とする角
パイプ屈曲機構であり、その目的とするところは中空角
パイプを簡単容易にしかも良好で良質な切断部を得ると
ころにある。
【0005】しかし、この改良方法は図6に示すように
柱状金型21の刃稜25が刃部の突先部26を中心にして左右
の傾斜角度が同角(イ図参照)になっているため、中空
角パイプPを切欠裁断した場合は(ロ)図のように切欠
部分の角度が同角(45度と45度)となる。その結果、切
欠裁断した中空角パイプPを(ハ)図のように折り曲げ
て屈曲接合部Tを接合すると、bとcの部分は完全に密
着させることはできるがaの部分には隙間が生じてしま
う。この隙間(aの部分)が生ずることによって、一般
的なアーク熔接や電気熔接を用いて熔接する場合はよい
が、レーザー熔接を導入する場合は、その熔接加工が不
可能若しくは困難となり加工工作上あるいは作業効率上
において種々の問題が生じていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来加工方
法の問題点を解消するところに本発明が解決しようとす
る課題があり、その最大の課題は従来加工方法により生
じていた加工時の隙間(図6のロ)を無くすところにあ
る。すなわち、本発明は「FITS工法」(FLEXI
BLE INTEGRATED TOOLING SY
STEM)に関するものであり、いわゆる「一筆書工
法」(ひとふでがきこうほう)による中空角パイプ屈曲
加工方法の開発である。
【0007】
【課題を解決るための手段】本発明は上記の如き課題を
解決するために開発したものであって、中空角パイプの
切欠用刃部を有する柱状金型を取付けた上型と、該柱状
金型の嵌挿溝と中空角パイプの固定溝とを有する下型と
から成る中空角パイプの切欠装置を用いて中空角パイプ
を屈曲加工する方法において、前記柱状金型による中空
角パイプの切欠角度を左右変えて裁断し、該切欠加工パ
イプの屈曲成形時における屈曲接合部に隙間を無くすと
共に、前記屈曲接合部の接合にレーザー光線を介して熔
接加工する方法にあり、また中空角パイプの切欠用刃部
を有する柱状金型を取付けた上型と、該柱状金型の嵌挿
溝と中空角パイプの固定溝とを有する下型とから成る中
空角パイプの切欠装置を用いて中空角パイプを屈曲加工
する機構において、前記柱状金型の刃部に傾斜面の肉厚
部を有する刃稜を形成し、かつ該刃稜の突先部を中心と
して左右に傾斜角度を変形させた柱状金型から成り、該
金型を介して中空角パイプの切欠部に左右相異する傾斜
面を成形加工すると共に、前記柱状金型の刃稜角度をほ
ぼ40.5度とほぼ49.5度に形成した金型の提供にある。
【0008】
【作用】
(1) 中空角パイプの切欠用刃部を有する柱状金型を取付
けた上型と、該柱状金型の嵌挿溝と中空角パイプの固定
溝とを有する下型とから成る中空角パイプの切欠装置を
用いて中空角パイプを屈曲加工する方法において、前記
柱状金型による中空角パイプの切欠角度を左右変えて裁
断し、該切欠加工パイプの屈曲成形時における屈曲接合
部に隙間を無くすると共に、前記屈曲接合部の接合にレ
ーザー光線を介して熔接加工する中空角パイプ屈曲加工
方法にすることによって、従来の加工方法において生じ
ていた屈曲加工時の隙間が完全に無くなるのでレーザー
光線を介して熔接加工をすることができる。
【0009】(2) 中空角パイプの切欠用刃部を有する柱
状金型を取付けた上型と、該柱状金型の嵌挿溝と中空角
パイプの固定溝とを有する下型とから成る中空角パイプ
の切欠装置を用いて中空角パイプを屈曲加工する機構に
おいて、前記柱状金型の刃部に傾斜面の肉厚部を有する
刃稜を形成し、かつ該刃稜の突先部を中心として左右の
傾斜角度を変形させた柱状金型から成り、該金型を介し
て中空角パイプの切欠部に左右相異する傾斜面を成形加
工すると共に、前記柱状金型の刃稜角度をほぼ40.5度と
ほぼ49.5度に形成した中空角パイプ屈曲加工金型にする
ことによって、中空角パイプに切欠部を成形する際に隙
間部を生じないように構成されているので、屈曲加工時
において簡単容易に折り曲げることができると共にその
後のレーザー熔接も可能となる。
【0010】
【実施例】以下、図面に従って本発明の実施例について
説明する。図1乃至図3は、本発明の中空角パイプ屈曲
加工方法に用いる加工金型を図示したものであり、1は
その柱状金型である。柱状金型1は、基台部2と柱状部
3と刃部4とから構成されている。基台部2には、切欠
きの際に生ずる屑を除去する半円形状のR部が形成され
ており、柱状部3はほぼ三角形状をなし基台部2と一体
形成されている。刃部4には稜部の突先部6から基台部
2のR部の両縁の一端に傾斜させて直線状の刃稜5が突
設されている。稜部に沿って突先部6にまるみを持たせ
てあるのは、切込みを良好ならしめると共に突先部6を
強靱化するためである。このように構成されている柱状
金型1は、刃稜5に傾斜面と肉厚部とを有する刃部4を
設け、更に突先部6に傾斜面が形成されている。これは
従来の波形のウエイブ状に形成した刃部と同じ効果が得
られるようにしたものである。この傾斜面によって、裁
断力と押圧力のバランスを保持させ角パイプの切除を合
理的に行なうができる。
【0011】図4は、図1に示した本発明の柱状金型を
用いて中空角パイプを成形加工する方法を示したもので
ある。まず、イ図の柱状金型1によりロ図に示すように
中空の角パイプPの任意個所に切欠部Sを成形し、次に
ハ図に示すように屈曲部を折り曲げて屈曲接合部Tのよ
うに接合する。この接合方法は、手動若しくは器具を用
いて内側に折曲げるだけでよい。屈曲接合部Tにbのよ
うなまるみをもたせたのは、折り曲げを容易にすると共
に所望の角度に折り曲げて塑性による肉のつまりや、ぶ
つかり合いを避けてスプリングバックを排除するためで
ある。特に本発明から成る柱状金型1において、刃稜5
の傾斜角を40.5度と49.5度にしたのは、図4(ハ)に示
すように屈曲接合部Tのa部分に隙間を無くして完全に
接合させるためである。
【0012】なお、本実施例では中空角パイプ直角形状
の屈曲方法を説明したが、折り曲げ部材はこれに限らず
いかなる角パイプでも同一効果が得られると共に、いか
なる形状にも折り曲げることができ、更に角パイプのみ
ならずこの原理によれば三角形、円形、台形などいかな
る形状のパイプでも同一効果が得られる。
【0013】図5は、本発明から成る柱状金型の使用に
用いて角パイプの屈曲成形加工装置を図示したものであ
る。本図からも明らかのように、本装置の上型に柱状金
型1を固定し、断面凹状に成形した下型Gとから構成さ
れている。この下型Gに中空角パイプPを置き上型Hを
下方向に押込めば、角パイプPを三角形状に切欠くこと
ができる。すなわち、中空角パイプPの辺の内壁面に柱
状金型1の突先部の刃稜をくい込ませると、同時に中空
角パイプPの辺に刃稜を切り込ませる。この場合、刃稜
は立ち気味になるので、いわゆる「くさびの原理」によ
って刃部が辺を能率よく切り開いて行くのである。そし
て、刃稜が次第に臥せ気味になってくるので、前記同様
にして「くさびの原理」により辺を切り開く力は弱めら
れるが、切り欠くべき辺部分を押圧する力は大きくなる
ので、押圧力が加圧され「てこの原理」によって切口を
裂こうとする刃部の切開力が加わり、更に切り込みが進
んで切屑がR部に巻かれるようにして切り落とされて行
くのである。
【0014】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているか
ら、従来方法よりも中空角パイプの切欠が良好でしかも
良質となるので良質な屈曲パイプ製品が得られるると共
に折り曲げ成形加工の形状変更をより一層高品質に維持
できるばかりか高い製造効率も得られる。更に、次のよ
うな多くの具体的な効果も得られる。 ア、スマートで、より強固な設計ができる。 イ、熔接個所の肉盛りが無くなり、しかも熱歪みが少な
いので変形が少なくなる。 ウ、仕上個所が少なくなり、安定した品質が得られる。 エ、レーザー熔接以外の熔接でも従来加工方法と同様な
効果が得られる。
【0015】なお、この加工方法によって更に次によう
な多くの効果も得られる。 ア、従来の切断から熔接する工法による折曲げ方法に比
べ、より正確で確実な折曲げ加工ができるばかりか、熔
接が届かない内隅肉まで材料がうずまっているので隅肉
熔接と同様の強度が得られる。 イ、切欠く場合にも芯金を用いないので、高度のプレス
加工の熟練を必要とせず、誰にでも容易に切欠き操作が
できる。 ウ、切欠いた後、部材によっては簡単で両手でもって折
曲げることができるので、切欠部材を作業現場にて折り
曲げ加工できる。 エ、折り曲げ部分がきれいになると共に、種々の形状に
折曲げられるので装飾用などに利用でき、しかも広範囲
に応用することができる。 オ、切欠きと折り曲げ作業が簡単であると共に、量産加
工が可能となるので経済性に富んでいる。 カ、数種類の金型を1個づつ製造しておけば長年使用で
きるので、低コストの切欠装置が得られて実用化がはか
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明から成る柱状金型を示した斜視図。
【図2】図1に示した金型の形状を示した概要説明図。
【図3】図1に示した金型の要部を示した概要説明図。
【図4】図1に示した金型の使用状態を示した概要説明
図。
【図5】図1に示した金型を用いた加工装置の概要説明
図。
【図6】従来柱状金型を図4と対した説明図。
【符号の説明】
1、21 柱状金型 2、22 基台部 3、23 柱状部 4 刃部 5、25 刃稜 6、26 突先部 P 中空角パイプ S 切欠部 T 屈曲接合部 H 上型 G 下型

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空角パイプの切欠用刃部を有する柱状
    金型を取付けた上型と、該柱状金型の嵌挿溝と中空角パ
    イプの固定溝とを有する下型とから成る中空角パイプの
    切欠装置を用いて中空角パイプを屈曲加工する方法にお
    いて、前記柱状金型による中空角パイプの切欠角度を左
    右変えて裁断し、該切欠加工パイプの屈曲成形時におけ
    る屈曲接合部に隙間を無くしたことを特徴とする中空角
    パイプ屈曲加工方法。
  2. 【請求項2】 前記屈曲接合部の接合にレーザー光線を
    介して熔接加工する請求項1記載の中空角パイプ屈曲加
    工方法。
  3. 【請求項3】 中空角パイプの切欠用刃部を有する柱状
    金型を取付けた上型と、該柱状金型の嵌挿溝と中空角パ
    イプの固定溝とを有する下型とから成る中空角パイプの
    切欠装置を用いて中空角パイプを屈曲加工する機構にお
    いて、前記柱状金型の刃部に傾斜面の肉厚部を有する刃
    稜を形成し、かつ該刃稜の突先部を中心として左右に傾
    斜角度を変形させた柱状金型から成り、該金型を介して
    中空角パイプの切欠部に左右相異する傾斜面を成形加工
    することを特徴とする中空角パイプ屈曲加工金型。
  4. 【請求項4】 前記柱状金型の刃稜角度をほぼ40.5度
    と、ほぼ49.5度に形成した請求項3記載の中空角パイプ
    屈曲加工金型。
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