JP2721857B2 - 搬送台車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は搬送台車に関し、特に中高層ビル等の建築工
事現場における各階フロアで、建築用各種ボード，パネ
ル，その他の建築資材を搬送するのに適した搬送台車に
関するものである。

〔従来の技術〕

一般にビル建築現場では、各種の建築資材を各階フロ
アに搬送するために、工事用エレベータを付設している
が、各階フロアにおける工事用エレベータから所定場所
への資材の移動は、工事用エレベータに積重ねられた資
材を適当数に分割しながら手押台車等を用いて行ってお
り、人手に頼ることが多かった。

〔発明が解決しようとする課題〕

そのため少量の運搬しかできず、また手押台車の移動
も重たいので作業能率が悪く、作業員の労力も大変であ
り、搬送作業の改善が望まれていた。

そこで本発明は、人力に頼らずに大量の資材を搬送す
ることのできる搬送台車を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記した目的を達成するために本発明は、走行輪によ
り走行可能に支持された車体に搬送用のパレットを積載
して搬送する搬送台車において、該搬送台車は、車体前
後方向の回転軸に回転可能に設けられて傾動装置により
傾動する荷台支持装置と、該荷台支持装置に支持されて
荷台駆動装置により車体の側方に向かって突出する荷台
と、該荷台の突出端近傍に設けられて支持輪作動装置に
より作動して荷台の突出端を昇降可能に支持する支持輪
と、該荷台に載置されるパレットを荷台突出端に向かっ
て移動させる移動装置とを備えたことを特徴としてい
る。

〔実施例〕

以下、本発明を、図面に示す実施例に基づいてさらに
詳細に説明する。

まず第１図乃至第３図において、搬送台車１の車体２
は、キャスター3aにより回動可能に軸支された前輪3b
と、車体２に固設された後輪3cとで走行可能に支持され
ており、該車体２には、車体２の前後のフレーム2a,2a
間に架設された回転軸４に回転可能に設けられた前後一
対の荷台支持装置5,5と、該荷台支持装置5,5にリニアベ
アリング（図示せず）を介して支持され、車体２の一側
方に突出可能に設けられた車体の前後に一対の荷台6,6
と、該荷台６の突出端6a下部に設けられ、突出端6aを昇
降可能に支持する支持輪7,7、及び前記荷台６上に載置
されるパレット８を荷台６の突出端6a方向に移動させる
移動装置として内部に電動機を内蔵するとともに表面に
滑り止め用のゴム等を被覆した適数の駆動ローラー9a,9
aを有するローラーコンベア９とが備えられている。

前記車体２の前後のフレーム2a,2aを支持するシャー
シ2bは、前記荷台６の突出方向と反対側の車体２の側部
に前後方向に設けられたサイドフレーム2cと、車体２の
中央部の前後方向に設けられたセンターフレーム2dと、
車体２の前後にそれぞれ幅方向に設けられたフロントフ
レーム2e及びリアフレーム2fとで形成されている。

前記回転軸４は、荷台６上に積載したパレット８及び
資材10の荷重を荷台支持装置５を介してバランスよく支
えることができるように、車体２の幅方向の中心部に設
けられている。

また前記荷台支持装置５には、搬送台車１の走行時に
荷台６を格納位置に保持するための傾動装置11と、荷降
ろしの際に荷台６を車体２側方に移動させる荷台駆動装
置12とが設けられている。

上記傾動装置11は、電動機11a,スクリュージャッキ11
b及び回転用リンクアーム11cからなるもので、スクリュ
ージャッキ11bと回転用リンクアーム11cの連結部11dに
は長孔11eが形成され、上下方向に所定の遊びが設けら
れている。また上記荷台駆動装置12は、電動機12a,ウォ
ーム減速機12b及び荷台６側面に設けられたラック12cに
歯合するピニオン12dとで構成されている。

前記荷台６に設けられた支持輪７は、その回転方向が
荷台６の移動方向と平行に設けられており、車体２の一
側に設けられたシャーシ2bに搭載されている油圧ユニッ
ト13aと荷台６の下部に設けられた油圧シリンダ13bから
なる支持輪作動装置13の作動により支持脚7aが回動して
上下動するもので、搬送台車１の走行時には荷台６の下
面に格納されており、荷降ろし時には、この支持輪７が
床面Ｆに接地して荷重を支えることにより、車体２の転
倒を防止する。

さらに車体２の下部には、荷降ろし時の車体２の横振
れ等を防止するため、電動機14aと該電動機14aに駆動さ
れて伸縮するスクリュージャッキ14bからなる車体固定
装置14が設けられており、車体２の前部には、連結用の
連結器15aと電気カプラ15bからなる連結装置15が設けら
れている。

また搬送台車１に積載されるパレット８には、その下
面に一対の脚部8a,8aが形成されている。この脚部8aの
高さＨは、車体２の形状、特に荷台６とシャーシ2bの構
成により適宜設定されるもので、積載時に脚部8aとセン
ターフレーム2dとが干渉せず、かつ荷積み，荷降ろしに
支障のない形状に形成される。さらにパレット８の側面
には、フォークリフトによる搬送も考慮してフォーク爪
挿入穴8b,8bが形成されている。

次に、本発明の搬送台車を用いた資材の搬送手順を、
第４図乃至第６図に基づいて説明する。

本発明の搬送台車１は、牽引車20によって牽引されて
走行するもので、この牽引車20は、舵取り車輪21aと駆
動輪21bとにより支持された車体22内に、駆動用電源と
なるバッテリーや、アンテナ23aで受信した制御信号に
より走行や舵取り等の制御を行う制御駆動部23が搭載さ
れている。この牽引車20と搬送台車１との間は、前記搬
送台車１の連結装置15に接続される連結器24a及び電気
カプラ24bからなる連結装置24で接続されており、電気
カプラ24b及び電気カプラ15bを介して搬送台車１の各装
置に駆動用電源を供給するとともに、各装置の制御を行
っている。

工事用エレベータ30により各階フロアに搬送された資
材搭載パレット８は、適宜の移送手段により、例えば前
記荷台６と同様のローラーコンベア等により搬送台車１
の荷台６上に積載される。資材搭載パレット８を積載し
た搬送台車１は、前記牽引車20に連結されて所定の走行
ルート31を無線操縦等により走行して所定の荷降ろし位
置32に移動し、第６図に示す荷降ろし手順に従って資材
搭載パレット８を車体２の側方の床面に荷降ろしする。

即ち、搬送台車１が所定の位置に停車して荷降ろし信
号を受けると、車体固定装置14が作動してスクリュージ
ャッキ14b下端が接地して車体２を固定するとともに、
支持輪作動装置13が作動して支持輪７を接地させる（第
６図（Ａ））。

次に、荷台駆動装置12が作動して荷台６を車体２の側
方に突出させるとともに、傾動装置11が作動する。この
傾動装置11の作動は、前記スクリュージャッキ11bと回
転用リンクアーム11cとの連結部11dに設けられた遊びに
より吸収され、荷台支持装置５は回転せず、そのまま格
納位置にあり、荷台６にかかる荷重は、車体２の回転軸
４を介してこの荷台支持装置５と前記支持輪７とにより
支えられている。（第６図（Ｂ））。

この状態で、荷台６に設けられたローラーコンベア９
の駆動ローラー9aを回転させて、パレット８を荷台突出
端6a方向に前進させる。パレット８の前進位置は、後述
の荷台６の傾斜によりパレット８及び資材10が転倒しな
いように設定されるとともに、荷降ろし時にパレット８
の車体側端部8cが車体２に接触しない位置に設定される
（第６図（Ｃ））。

パレット８が所定位置まで前進したら、支持輪作動装
置13を逆方向に作動させて荷台６の突出端6aを降下させ
る。荷台突出端6aの降下量は、パレット８の脚部8a先端
が接地して荷台突出端6a上面とパレット８下面との間に
僅かに隙間が生じた状態となるように設定制御される。
この設定は、油圧シリンダ13bの作動量，荷台６の傾斜
角度，支持脚7aの回転角度等をあらかじめ設定しておく
ことにより行うこともできるが、荷台６の突出端6aある
いはローラーコンベア９の先端部のローラ部分等に、リ
ミットスイッチや荷重センサ等の検出手段を設けて荷台
突出端6aとパレット８下面との離接を検出するようにし
て行うこともできる（第６図（Ｄ））。

続いて、ローラーコンベア９をパレット前進方向に作
動させながら荷台駆動装置12を荷台格納方向に作動さ
せ、荷台突出部6aをパレット８の車体側端部8cまで移動
させる。この作動量も前記荷台６の降下と同様にして制
御することができる。この時の荷台６は、荷台６の後退
とともに荷台支持装置５を介して車体２の回転軸４を中
心に回動するので、荷台突出部6aの高さを上昇させるこ
となく後退し、パレット８の車体側端部8cも接地方向に
近付く（第６図（Ｅ））。

この状態で支持輪７をさらに格納方向に移動させて荷
台突出部6aを降下させ、パレット８の脚部8a全体を接地
させる。これにより、パレット８が所定の位置に荷降ろ
しされた状態となる（第６図（Ｆ））。

そして荷台駆動装置12を後退方向に作動させて荷台６
をパレット８と接触しない位置まで後退させるととも
に、傾動装置11を作動させて荷台支持装置５、即ち荷台
６を格納位置に上昇させ、同時に車体固定装置14も上方
に格納して各部を走行状態に復帰させる（第６図
（Ｇ））。

これらの作業手順は、一般的なシーケンス制御によっ
て容易に行うことができ、搬送台車１が荷降ろし位置32
に到着した時に、適宜な荷降ろし開始信号を制御回路に
与えることが人力によらず全ての作動を機械的に行うこ
とができる。

荷降ろし後の搬送台車１は、牽引車20に牽引されて工
事用エレベータ30位置まで走行して資材10を積載したパ
レット８を積込み、上記手順を繰返して資材10を所定位
置に搬送する。また資材使用後の空のパレット８は、上
記荷降ろし手順を逆にして搬送台車１に積載して、ある
いは他の適宜な手段により回収されて再使用される。

尚、搬送台車１を工事用エレベータ30に積込んで資材
搭載パレット８を積載した状態で各階フロアに配送し、
また荷降ろし後の搬送台車１を工事用エレベータ30に積
込んで資材置場等に回送して資材の搬送及び空パレット
の回収等を行うこともできる。

次に第７図乃至第９図は、本発明の搬送台車の他の実
施例を示すものである。

この搬送台車40は、車体41と前後輪42,42との間を油
圧シリンダ43aと傾動アーム43bからなる昇降装置43で連
結し、該昇降装置43を作動させることによって、車体41
を昇降させるように構成している。即ち、昇降装置43を
作動させて前後輪42,42を車体41に対して第７図想像線
の位置まで上昇させることにより、車体41を降下させて
車体41の下面を接地させることができる。これにより車
体41自体が車体固定装置の作用を有するとともに、第９
図に示すように荷降ろし時の荷台６に対する床面位置Fa
を相対的に上昇させ、走行時の床面位置Fbに比べて荷降
ろし時の床面位置Faを荷台６に近付けるように作用す
る。

このように車体41を降下させて荷台６の高さを低くす
ることにより、荷降ろし時の荷台６、即ちパレット８の
傾斜角を小さくすることができるので、重心位置の高い
資材等の搬送も安全に行うことができる。

また荷台支持装置５を傾動させる機構には、荷台支持
装置５を保持する回転軸４の端部に回転リンクアーム44
aと電動アクチュエータ44bからなる傾動装置44を設けて
いる。さらに、車体41に各機構，装置を低く納めて長尺
資材の搬送も可能としている。また本実施例に示すパレ
ット８の脚部8a,8aは、パレット８の幅方向両側の前後
に各１つずつ、計４本が形成されている。

尚、前記実施例と同一要素のものには同一符号を付し
て詳細な説明を省略するが、本実施例に示す搬送台車40
も前記実施例の搬送台車１と略同様の手順により、パレ
ット８に搭載した大量の資材10を容易に所定の位置に搬
送して荷降ろしすることができる。

また上記両実施例においては、荷台を車体の前後に各
１基配置しているが、車体中央部に幅広の荷台を１基の
み設けたり、あるいは適宜な箇所に３基以上設けたりす
ることもできる。さらに荷台に設けたローラコンベアに
代えてベルトコンベア等としたり、該コンベアと別にパ
レットを移動させる移動装置として、パレットを押動す
るシリンダやパレットと係合するチェーン，歯車等を用
いることができる。これら各部の構成は、車体やパレッ
トの形状，資材の種類等により適宜選定されるもので、
動力源としての各電動機を油圧機器等の圧力機器にした
り、あるいは一部を手動として行うこともできる。

さらに搬送台車自体に走行装置を設けて自走式とする
こともでき、無線操縦の他、運転者の乗務，各種ガイド
装置による自動運転等、走行型式も様々な形態を採用す
ることができ、建築現場のみならず、工場や配送センタ
ー等でも各種資材，商品等の搬送用として使用すること
が可能である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明の搬送台車は、車体前後
方向の回転軸に回転可能に設けた荷台支持装置に、車体
の側方に向かって突出及び格納可能に荷台を設けるとと
もに、該荷台の突出端を昇降可能に支持する支持輪と、
該荷台に載置されるパレットを荷台突出端に向かって移
動させる移動装置とを備えたから、パレットを載置した
荷台を車体の側方に突出させて傾斜させ、前記支持輪や
移動装置を作動させることで、簡単に荷降ろしを行うこ
とができる。この荷降ろし作業は、人力に頼らずに機械
的に行うことができるので、作業者の負担を軽減すると
ともに、大量の資材を搬送することができ、作業者の負
担を軽減して作業性の向上とともに安全性も高めること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明の搬送台車の一実施例を示す
もので、第１図は搬送台車の側面図、第２図は同じく平
面図、第３図は同じく正面図、第４図乃至第６図は搬送
台車の作業状態を例示するもので、第４図は牽引車に連
結された状態を示す側面図、第５図は搬送経路を示す説
明図、第６図は荷降ろし作業の手順を示す説明図、第７
図乃至第９図は本発明の他の実施例を示すもので、第７
図は搬送台車の側面図、第８図は同じく平面図、第９図
は走行時の床面位置と荷降ろし時の床面位置を比較して
示す正面図である。 1,40……搬送台車、2,41……車体 ４……回転軸、５……荷台支持装置、６……荷台 ７……支持輪、８……パレット、９……ローラーコンベ
ア、10……資材、11,44……傾動装置、12……荷台駆動
装置、13……支持輪作動装置 14……車体固定装置、15……連結装置、20……牽引車、
30……工事用エレベータ、32……荷降ろし位置、Ｆ……
床面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河崎 義信 大阪府大阪市東区本町４丁目27番地 株 式会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 中西 一吉 大阪府大阪市東区本町４丁目27番地 株 式会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 古田 周三 大阪府大阪市東区本町４丁目27番地 株 式会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 柴田 ▲きょう▼伺 大阪府大阪市東区本町４丁目27番地 株 式会社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 菊池 公男 大阪府南河内郡美原町木材通３丁目１番 ８号 株式会社竹中工務店技術研究所大 阪支所内 (72)発明者 伊藤 達雄 愛知県名古屋市熱田区三本松町１番１号 日本車輌製造株式会社内 (72)発明者 酒井 克彦 愛知県名古屋市熱田区三本松町１番１号 日本車輌製造株式会社内 (56)参考文献 特開 平４−90965（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−20769（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−29883（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】走行輪により走行可能に支持された車体に
   搬送用のパレットを積載して搬送する搬送台車におい
   て、該搬送台車は、車体前後方向の回転軸に回転可能に
   設けられて傾動装置により傾動する荷台支持装置と、該
   荷台支持装置に支持されて荷台駆動装置により車体の側
   方に向かって突出する荷台と、該荷台の突出端近傍に設
   けられて支持輪作動装置により作動して荷台の突出端を
   昇降可能に支持する支持輪と、該荷台に載置されるパレ
   ットを荷台突出端に向かって移動させる移動装置とを備
   えたことを特徴とする搬送台車。