JP2721657B2 - 焼却炉 - Google Patents

焼却炉

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JP2721657B2
JP2721657B2 JP3079196A JP3079196A JP2721657B2 JP 2721657 B2 JP2721657 B2 JP 2721657B2 JP 3079196 A JP3079196 A JP 3079196A JP 3079196 A JP3079196 A JP 3079196A JP 2721657 B2 JP2721657 B2 JP 2721657B2
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徹 米澤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、焼却炉に関し、
特に一般家庭で使用されるような簡易形の焼却炉に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の簡易形焼却炉は、それぞ
れ鉄板製の底壁板と側壁板とで燃焼室を構成するととも
に、該燃焼室の上部に煙突を取付けている。又、この種
の焼却炉では、燃焼熱の大部分は煙突を通って上方に排
出されるが、燃焼中は燃焼室の壁面が熱せられて、該壁
面(特に側壁板)からその周囲に高温の輻射熱が放出さ
れるようになる。
【0003】又、従来の簡易形焼却炉の中には、燃焼時
に高温となる燃焼室の壁面(特に側壁板)の外側に、直
接、人や物が接触するのを防止するためのガード部材を
設けたものがある。このガード部材としては、例えば網
状板や柵などが使用されている。
【0004】又、従来のこの種の簡易形焼却炉では、燃
焼室は底壁板と側壁板で構成されており、焼却物は、燃
焼室内の底壁板上に直接投入してそこで燃焼させるよう
にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の焼却炉では、燃焼室の側壁板からの輻射熱でその側
部周囲の空気を熱くするようになり、例えば焼却物の投
入作業等で焼却炉に近づくと、強烈な熱気を浴びること
になる。従って、特に気温の高い夏季では、この種の簡
易形焼却炉でゴミ焼却をする作業が苦痛になる。又、燃
焼室側壁板が剥き出しのままであると、該側壁板に不用
意に人や物が接触するおそれがあり、火傷や焼け焦げあ
るいは火災の心配がある。尚、燃焼室側壁板の外側にガ
ード部材を設けたものでは、該側壁板への接触防止に役
立つが、燃焼室側壁板から高温の輻射熱が周囲の外気中
に放射されるので、人の身長程度の高さ付近までの空気
が加熱されることに変わりがない。従って、ガード部材
を設けたものであっても、焼却炉に近づくとかなりの熱
気を感じるという問題があった。
【0006】又、従来の簡易形焼却炉では、焼却物を燃
焼室の底壁板上に直接投入してそこで燃焼させているの
で、燃焼室の底壁面あるいは内側面付近にある焼却物に
新しい空気が接触しにくくなって、焼却時間が長くなる
とともに未焼却状態で残る部分が発生することもあると
いう問題があった。
【0007】本願発明は、上記した従来の焼却炉の問題
点に鑑み、焼却炉の側壁面から外気中に放出される熱気
を極力少なくし得るようにするとともに、燃焼室内での
燃焼効率を良好にし得るようにした焼却炉を提供するこ
とを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記課題を
解決するための手段として次の構成を有している。
【0009】本願請求項1の発明 本願請求項1の焼却炉は、燃焼室を形成する環状の側壁
板の外側を環状の遮熱板で囲うとともに、該側壁板と遮
熱板間に所定間隔の空気層を形成している。側壁板と遮
熱板間の空気層は、例えば3〜10cm程度の間隔で両板
間の全周に亘って形成されている。尚、側周板と遮熱板
間の空気層は、上部側を上方に開放させるようにするこ
とが好ましい。
【0010】遮熱板は、その内面を鏡面加工して熱反射
面としている。該遮熱板としては、アルミニウム板ある
いはステンレス鋼板等の鏡面加工をし易い金属板が好適
である。
【0011】本願請求項2の発明 本願請求項2の焼却炉では、燃焼室内に、焼却物を収容
し得る内かごを設けている。この内かごは、燃焼室の底
壁面及び内側面からそれぞれ所定間隔(例えば3〜5cm
程度)だけ離間させた位置に設置している。
【0012】本願各発明の焼却炉には、燃焼室の上部に
焼却物の投入口(蓋つき)が形成され、且つ該燃焼室の
下方部分に空気取入口が形成されている。
【0013】そして、本願各発明の焼却炉では、投入口
から燃焼室内の内かご内に焼却物を投入し、該焼却物を
内かご内で燃焼させる。そのとき、内かご底面と燃焼室
底壁面との間、及び内かご外側面と燃焼室内側面との間
にそれぞれ所定間隔の空間(空気層)が形成され、その
空間に空気取入口から新しい空気が導入されるので、内
かご内の焼却物に、その全周囲から新しい空気が接触す
るようになる。又、燃焼室内で焼却物が燃焼すると、そ
の熱で燃焼室の側周板を加熱して、該側周板から外方に
輻射熱が放射されるが、側周板の外周には遮熱板で囲わ
れた空気層があり、その空気層で断熱作用を発揮する。
さらに、遮熱板の内面を鏡面加工して熱反射面としてい
るので、側周板と遮熱板間の空気層に放出された輻射熱
を遮熱板で内方側に反射させる作用をする。
【0014】
【発明の実施の形態】図1〜図3に示す本願発明の実施
形態を説明すると、この実施形態の焼却炉では、例えば
一般家庭で使用されるような簡易形焼却炉が採用されて
いる。
【0015】図1〜図3に示す実施形態の焼却炉では、
底壁2と側周板3とで燃焼室1を構成し、該燃焼室1の
外側部を遮熱板4で囲うとともに、該遮熱板4の外側部
をガード板5で被覆している。又、燃焼室1の内部に
は、焼却物を収容するための内かご6が設置されてい
る。
【0016】燃焼室1を形成している側周板3には、鉄
板が使用されている。この側周板3は、円筒状の下部板
31と円錐状の上部板32とを隙間なしに連続させて一
体に形成している。側周板3の上部板32の上端には、
適宜長さの煙突7が連設されている。尚、この焼却炉
は、胴部の外径が例えば70〜100cm程度で、煙突7
の基端部までの高さが110〜160cm程度である。
又、煙突7の長さは適宜に設定できるが、図示では、焼
却炉の煙突上端までの高さが3m程度である。
【0017】燃焼室1の底壁2には、例えば耐火レンガ
のような耐熱材を使用している。この底壁2の上面は、
中心部に向けて下り傾斜させており、焼却済みの灰が中
心部に集まり易くしている。尚、この底壁2は、底板2
aで支持されている。又、底板2aの下面には、合計4
つのキャスター9が取付けられている。
【0018】遮熱板4は、側周板3の下部板31の外側
を被覆する円筒状の下部板41と、側周板3の上部板3
2の外側を被覆する円錐状の上部板42とを有してい
る。この遮熱板4の下部板41と上部板42間には、小
間隔(例えば2〜3cm程度の間隔)の隙間43が形成さ
れている。尚、他の実施形態では、この隙間43は、無
くてもよい。
【0019】遮熱板4(下部板41と上部板42)は、
側周板3(下部板31と上部板32)と同芯状に配置さ
れており、該側周板3と遮熱板4間は、例えば3〜10
cm程度の間隔の環状の空気層40となっている。又、側
周板3と遮熱板4間の上端部は、符号44で示すように
上方に開放されている。
【0020】この遮熱板4(特に、遮熱板4の下部板4
1)の内面には、鏡面加工を施している。このように、
鏡面加工を施すには、遮熱板4の材料として、アルミニ
ウム板あるいはステンレス鋼板等の金属板を使用するこ
とが好ましい。この遮熱板4の内面に鏡面加工を施す理
由は、燃焼時に燃焼室1の側周板3から外方に放出され
る輻射熱を内方に反射させて、該遮熱板4に熱が吸収さ
れにくくするためである。
【0021】ガード板5は、遮熱板4と同様に、円筒状
の下部板51と円錐状の上部板52とを有し、且つ該下
部板51と上部板52間に小間隔の隙間53を設けてい
る。このガード板5は、遮熱板4の外側に小間隔(例え
ば2〜3cm程度)をもって被覆され、該ガード板5と遮
熱板4間に空気層50を形成している。又、ガード板5
の上端部52aは、煙突7の基端部外側を小間隔をもっ
て所定長さだけ被覆させており、さらに該ガード板上端
部52aは上方に向けて開口(符号54)させている。
尚、この開口54の上方には、笠52bが被されてい
る。ガード板5の下部板51には、多数の通気口55,
55・・が形成されている。
【0022】燃焼室1内の内かご6は、底受部61とそ
の外周部に立設する側周部62を有している。底受部6
1は、多数本の細鉄筋を例えば1〜2cm程度の間隔をも
って組付けて形成している。尚、この底受部61は、多
数本の細鉄筋を格子状に組付けて形成してもよい。又、
側周部62は、多数本の細鉄筋を周方向に例えば5〜1
0cm程度の間隔をもって環状に組付けて形成している。
この側周部62の外径は、側周板3の下部板31の内径
よりやや小径となっており、又該側周部62の各細鉄筋
の上部は外側に折曲させて、該各細鉄筋の上端をそれぞ
れ側周板3の下部板31の上端内面に当接させている。
このようにすると、後述する投入口10から投入した焼
却物が確実に内かご6内に収容される。この内かご6
は、底受部61を小長さ(例えば3〜5cm程度)の脚6
3,63で燃焼室底壁2上に支持させている。従って、
該内かご6は、底受部61の下面が燃焼室1の底壁2の
上面から、又側周部62の外面が側周板3の内面から、
それぞれ小間隔(例えば3〜5cm)だけ離間した状態
(空間30を有する状態)で設置されている。
【0023】この焼却炉には、上半部分の斜面部に焼却
物の投入口10が形成されている。この投入口10には
蓋11が設けられており、該蓋を部号11′で示すよう
に下方に開いて投入口10を開放させるようになってい
る。尚、蓋7は横開きに取付けもよい。又、焼却炉の下
部寄り位置には、燃焼室1内に空気を導入するための空
気取入口12が形成されている。尚、この空気取入口1
2は、火付け口としても利用できる。燃焼室1の底壁2
部分には、燃焼した灰を収容するための灰受容器13が
出し入れ自在に設置されている。
【0024】さらに、この焼却炉では、燃焼室1の上部
寄り位置に、燃焼室1内で発生する燃焼ガスを蛇行させ
るための邪魔板8が設置されている。この実施形態で
は、邪魔板8として、下部側に位置するかなり大径の笠
形板81と、その上部に位置する穴あきの皿形板82と
を有している。このように燃焼室1の上部寄り位置に邪
魔板8を設けると、燃焼室1内で焼却物が燃焼したとき
に、その燃焼ガスが、まず矢印Gaで示すように笠形板
81の下面に衝突し、次に矢印Gbで示すように笠形板
81の外周からその上方に回り混み、続いて矢印Gcで
示すように皿形板82の中心部にある穴83を通って煙
突7側に流れるようになる。このように、燃焼室1内で
発生した燃焼ガスを、蛇行させながら煙突7側に流出さ
せるようにすると、燃焼ガス中に含まれるスス成分を分
離・除去することができるようになり、スス成分の少な
い燃焼ガスを煙突7の上端から外気中に放出することが
できる。
【0025】煙突7の基端側入口には、大きい灰が通過
するのを阻止するための網71が設けられている。又、
煙突7の上端出口には、雨水の侵入を防止するための笠
72が設けられている。
【0026】図示の焼却炉では、燃焼室1内の内かご6
内で焼却物を燃焼させるが、内かご6と燃焼室1の内壁
面(底面及び側周面)との間に空間30,30が形成さ
れているので、内かご6内の焼却物に周囲からも新しい
空気が接触するようになり、燃焼効率が良好となる。
又、燃焼室1内で焼却物が燃焼すると、側周板3が加熱
されて、該側周板3の外面から外方に輻射熱が放出され
るが、側周板3の外側には遮熱板4で囲われた空気層4
0があるので、該空気層40が断熱層となって遮熱板4
への熱伝達を緩和するようになる。又、遮熱板4の内面
には、鏡面加工を施しているので、側周板3から外側に
輻射された熱が該鏡面加工部分で反射されて、該遮熱板
4が熱吸収しにくくなる。従って、遮熱板4自体は、さ
ほど高温にならない。又、この実施形態では、遮熱板4
の外側に空気層50を介してガード板5を設けており、
焼却炉の外面となるガード板5はほとんど加熱されるこ
とがなくなるとともに、焼却炉の側方周囲の空気もほと
んど加熱されることがない。尚、側周板3と遮熱板4間
の空気層40内で加熱された空気は、その間隔中を上昇
してかなり高位置にある開口54から外気中に放出され
る。尚、その開口54から放出された熱気は、外気中を
上昇する性質があるので、人の身長程度の高さ付近まで
の空気は、焼却炉からの熱でほとんど加熱されることが
ない。
【0027】又、燃焼室1内で焼却物が燃焼すると、ス
ス混じりの燃焼ガスが発生するが、その燃焼ガスは、邪
魔板8で蛇行させられながら煙突7側に流れるようにな
り、その間に燃焼ガス中のスス成分が分離・除去され
て、きれいな燃焼ガスのみが煙突7から外気中に放出さ
れるようになる。尚、内かご6内で焼却された灰は、底
受部61の隙間から燃焼室底壁2上に落下し、さらに灰
受容器13内に収容される。そして、灰受容器13内に
多量の灰が溜まれば、灰受容器13を外方に引き出し
て、中の灰を捨てればよい。
【0028】
【発明の効果】本願発明の焼却炉によれば、次のような
効果がある。
【0029】(1) 燃焼室1を形成する側周板3の外側を
空気層40を介して環状の遮熱板4で囲っているので、
燃焼室1内で燃焼中に、該空気層40が断熱層となって
遮熱板4への熱伝達を緩和することができる。又、遮熱
板4の内面を鏡面加工して熱反射面としているので、側
周板3の外面からの輻射熱を該遮熱板4の内面で内方に
反射させることができ、遮熱板4が熱吸収するのを緩和
させることができる。従って、それらの作用により、遮
熱板4がさほど熱くならず、該遮熱板4に人や物が触れ
ても安全であるとともに、焼却炉の側方周囲の空気が加
熱されないので、焼却作業位置の環境が良好となる。
尚、燃焼室1内において発生する熱は、ほとんど焼却炉
の上方に放出されるようになるが、このように上方に放
出されるた熱で人の身長高さ程度までの外気を加熱する
ことはない。
【0030】(3) 燃焼室1内に内かご6を収容し、且つ
該内かご6を燃焼室1の内壁面から離間させて設置して
いるので、内かご6内で焼却される焼却物の全周に新し
い空気を接触させることができ、それによって燃焼効率
を向上させることができる。即ち、焼却時間を短縮でき
るとともに、燃え残りを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施形態にかかる焼却炉の縦断面図
である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【符号の説明】
1は燃焼室、2は底壁、3は側周板、4は遮熱板、5は
ガード板、6は内かご、7は煙突、8は邪魔板、10は
投入口、12は空気取入口、30は空間、40は空気層
である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室(1)の周壁部分を形成する環状
    の側壁板(3)と、該側壁板(3)の外周を囲う環状の
    遮熱板(4)とを備え、前記側壁板(3)と前記遮熱板
    (4)間に所定間隔の空気層(40)を形成する一方、
    前記遮熱板(4)の内面を鏡面加工して熱反射面とした
    ことを特徴とする焼却炉。
  2. 【請求項2】 請求項1において、燃焼室(1)内に焼
    却物を収容し得る内かご(6)を備え、該内かご(6)
    を前記燃焼室(1)の底壁面及び内壁面からそれぞれ所
    定間隔だけ離間させて設置したことを特徴とする焼却
    炉。
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