JP2539568B2

JP2539568B2 - 焼却炉

Info

Publication number: JP2539568B2
Application number: JP3353852A
Authority: JP
Inventors: 光弘元井
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1991-12-17
Filing date: 1991-12-17
Publication date: 1996-10-02
Anticipated expiration: 2011-10-02
Also published as: JPH05164312A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般の燃えるごみは勿
論のこと、焼却時に化学的に有害な物質を発生しないも
のに限り、産業廃棄物も焼却処理できる焼却炉に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の焼却炉には、焼却炉本体の上部ま
たは中間部に閉鎖可能な焼却物投入口を設け、焼却炉本
体の下部に送風口を設け、焼却炉本体の上部に煙道を介
して煙突を設け、煙道に焼却時に発生する煤煙等を除去
する除塵装置を付設したものがあった。

【０００３】また、本願出願人は、直立する円筒形の炉
本体の中間部に密閉可能な焼却物用投入口を設け、その
投入口より少し上方の炉本体周壁に多数の送気孔を全周
にわたって穿設し、炉本体内上部に除塵装置を取り付
け、炉本体の上壁に煙突を立てた焼却炉を開発してい
る。

【０００４】本願出願人の開発した上記焼却炉は、炉本
体内に焼却物を投入し、焼却物に点火して焼却物用投入
口を密閉すると、炉本体内下部では空気（酸素）が殆ど
流入しないので焼却物がほぼ蒸焼き状態となって不完全
燃焼し、そこで生じた可燃性ガスが炉内を上昇するのに
伴い、炉本体の中間部周壁に設けた多数の送気孔から炉
外の空気（酸素）を吸込み、炉本体内上部で完全燃焼
し、外部には殆ど煤煙が排出されないという長所があっ
た。

【０００５】特にこの焼却炉は、焼却物が使用済みの古
タイヤやウレタンバンパーあるいはオイルエレメントな
どのように、一般の焼却炉で処理すると大量の黒煙を生
ずるものでも、外部に殆ど煤煙を排出することなく焼却
処理できるものであった。

【０００６】また、送風機や着火装置など以前の焼却炉
にはあった付帯設備の多くが不要なので運転コストが安
く、広い設置場所が要らず比較的狭いところでも使用で
き、大変利用価値の高いものであった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の焼
却炉は、可燃性ガスの燃焼に要する空気を炉本体の中間
部周壁の多数の送気孔を通じて直接炉外から取入れてい
るので、焼却炉を設置した屋外に強風が吹いたりする
と、炉本体への空気の取込量が大きく変動し、その過不
足や炉本体内の高温などの条件が複雑に絡んで上方の煙
突から一時的ではあるが黒煙が大量に排出されたり、炉
本体内で小規模な爆発が起きて炉本体の中間部の送気孔
から周囲に黒煙が噴出したりすることがあった。

【０００８】そこで本発明は前記事情に基いて成された
ものであり、一般の燃えるごみは勿論のこと、焼却時に
化学的に有害な物質を発生しないものであれば古タイヤ
等の産業廃棄物なども、殆ど黒煙を出すことなくいつで
も安全に焼却処分でき、維持費も殆どかからず経済的な
焼却炉を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明による焼却炉は、炉内に投入される焼却物の上
限位置より上方となる周壁の中間高さ位置に適数の吸気
孔を周方向に適宜間隔で穿設し、周壁の外周面に樋状の
補強材をその開口側で各吸気孔を覆う状態で上下方向に
沿って取付け、周壁と補強材とで各吸気孔に通じる縦方
向の通気路を形成し、通気路は下部で炉外に通じ、煙突
より少し下方の炉内上部に周壁より一回り小さな邪魔板
を取付けて周壁との間に狭い隙間を形成し、少なくとも
周壁と邪魔板が厚肉の鋼材からなることを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明による焼却炉では、炉内下部で焼却物が
不完全燃焼して生じた可燃性ガスの上昇流により、通気
路及び焼却物の上方位置の吸気孔を通じて炉外の空気を
炉内に引込んでいるが、燃焼済ガスが邪魔板と周壁との
狭い隙間を通るので、炉内の滞留時間が長くなり、炉外
からの空気流入量が抑制され、しかも吸気孔が通気路を
介して炉外に通じているので、炉外に強風が吹いたりし
ても空気流入量の変動が少く安定している。

【００１１】また、可燃性ガスが炉内上部で燃焼して邪
魔板を加熱するので、燃焼済ガスが邪魔板と周壁との狭
い隙間を通過する際、燃焼済ガス中に残存する可燃性ガ
スや煙（煤煙）が高温の邪魔板により加熱されて完全燃
焼し、煙突から排出される煤煙が極めて少なくなる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明による焼却炉について具体的に
説明する。図１乃至図４は本発明の第一実施例を示すも
のである。この実施例の焼却炉では円筒形の周壁１の前
面の中間高さ位置に焼却物用の投入口２を、その下方に
燃え滓（焼却物に混入する金属など）用の排出口３を閉
鎖可能に設け、投入口２の形成箇所を除いた両側面から
背面にわたり、周壁１の中間高さ位置に７個の吸気孔４
を周方向にほぼ等間隔で穿設するとともに、コ字型鋼材
（チャンネル）からなる７本の補強材７をその開口側が
周壁１の外周面に向き合い且つ各吸気孔を覆う状態で周
壁１の上端から下端にわたって取付け、周壁１と補強材
７とにより各吸気孔４と連通する縦方向の通気路９を形
成してある。

【００１３】天井壁５は周壁１より外径が大きく、周壁
１の外周側まで延出した鍔部６を有し、この鍔部６によ
り通気路９の上端を塞いでいる。補強材７のうち周方向
に等間隔の位置にある３本には、周壁１より下方まで延
出し、下端に接地板１９を付設した脚部８を設け、通気
路９が各補強材７の下端部で炉外に連通するようになっ
ている。

【００１４】天井壁５の少し下方に吊り板１０を介して
周壁１より一回り小さな円盤状の邪魔板１１を取付け、
周壁１と邪魔板１１との間に狭い環状の隙間１２を形成
してある。天井壁５の中央に適宜長さの煙突１４を連結
するためのフランジ１５付き煙突基部１３を立設してあ
る。

【００１５】尚、上記実施例の焼却炉の場合、投入口２
と排出口３に夫々密閉用の片開き扉１７，１８を付設
し、周壁１や天井壁５、邪魔板１１、炉床１６等の高温
に接する主要部材にはいずれも厚肉（16mm〜22mm）の鋼
材を用い、焼却炉の外表面に耐熱塗料を塗ってある。

【００１６】また、図５乃至図７は本発明焼却炉の第二
実施例を示すもので、第一実施例の焼却炉と同様な点に
ついては図面に記号を付すだけに止め、説明を省略す
る。この実施例の焼却炉が第一実施例と異なる主な点
は、概形、すなわち周壁１をほぼ正方形の角筒状とした
点にある。したがって、邪魔板１１は周壁１より一回り
小さなほぼ正方形としてある。また周壁１の下端の四隅
にアングル板を別途に取付け、それぞれ下端に接地板１
９を付設して脚体８としてある。

【００１７】この焼却炉を使用する場合、まず投入口２
を開けて炉内に焼却物（一般の可燃ごみ等）を投入し、
着火してから扉１７を閉める。この際、排出口３の扉１
８は閉めておく。炉内に投入する焼却物の量は焼却炉の
大きさにもよるが、最高でも吸気孔４の少し下までとす
る。また焼却物としては一般の可燃ごみの他、使用済み
の古タイヤやウレタンバンパーあるいはオイルエレメン
ト等、焼却時に化学的に有害な物質を発生しないもので
あれば産業廃棄物も投入し得る。尚、比較的大きな廃棄
木材等を焼却する場合には、容量の大きな焼却炉を使用
する。

【００１８】扉１７を閉めた後、炉内下部には空気（酸
素）が殆ど流入しないので、焼却物が酸欠状態で（不完
全）燃焼して可燃性ガスを生じ、可燃性ガスは多少の煤
等と一緒に炉内を上昇し、可燃性ガスの上昇に伴って各
吸気孔４に周壁１の外側から炉内へ向かう空気流を生ず
る。そして周壁１と補強材７とからなる通気路９の炉外
に開放された下端部から炉外の新鮮な空気が通気路９内
に入込み、周壁１に沿って通気路９内を上昇し、各吸気
孔４を通って炉内に流入する。

【００１９】この際、炉外からの新鮮な空気が通気路９
内を上昇中に主に周壁１で幾らか温められるので、炉内
での可燃性ガスの燃焼効率が良くなる。また逆に周壁１
は補強材７が放熱フィンの役目を果たして幾らか冷却さ
れ、燃焼時の損耗が抑制されるので、高温で燃焼する古
タイヤやウレタンバンパーを焼却する場合には、耐火レ
ンガやキャスタブル耐火物を用いた焼却炉に比べても耐
熱・耐久性に優れている。

【００２０】通気路９から各吸気孔４を通って炉内へ流
入する空気は、一部が炉内下部へ流れて焼却物が（不完
全）燃焼するために消費されるが、殆どは炉内をそのま
ま上昇して可燃性ガス及び幾らかの煤が完全燃焼するた
めに消費される。ここで、上昇する可燃性ガスが吸気孔
４からの空気を消費して燃焼する際、その火炎の最も高
温の上炎部が邪魔板１１を高温に加熱するように、投入
口２や吸気孔４、邪魔板１１等の位置を設定してある
が、焼却物の投入量によっても火炎の大きさが変化する
ので、投入口２の少し下まで焼却物を投入しておくこと
が望ましい。

【００２１】燃焼済みガスは邪魔板１１を加熱しながら
邪魔板１１下面に沿って周囲へ迂回し、邪魔板１１と周
壁１の狭い隙間１２を通って煙突１４から排出されるの
で、高温の邪魔板１１の下面側で暫く停滞する。この滞
留中に燃焼済みガスに残る煤や可燃性ガスなど可燃物は
高温の邪魔板１１で加熱されて完全燃焼するので、隙間
１２を通って煙突１４から排出される燃焼済みガスは殆
ど無色透明となる。

【００２２】また、この狭い隙間１２によって燃焼済み
ガスの流出量（排出量）が抑制されて安定するので、通
気路９から吸気孔４を通して炉内に吸込まれる空気量も
安定し、従って、炉外に強風が吹いていたりしても、吸
込まれる空気量に殆ど変動がなく安定し、煙突１４から
排出される燃焼済みガスは殆ど無色透明となる。

【００２３】尚、当焼却炉は送風設備や除塵設備等を別
途に設ける必要がないので、小型のものであれば、１ｍ
²〜２ｍ²の狭い場所でも設置できる。また万一、炉内
で可燃性ガスが暴発しても、吸気孔４及び通気路９が防
爆弁の機能を果たし、下方に抜けるので、焼却炉の破損
する恐れが少なく安全性が高い。さらに周壁１や邪魔板
１１等の主要部材に厚肉の鋼材を用いているので、耐久
性に優れ、溶接等により補修も容易に行える。

【００２４】

【発明の効果】本発明による焼却炉は、上記の如く炉内
下部で焼却物が不完全燃焼して生じた可燃性ガスの上昇
流により、通気路及び焼却物の上方位置の吸気孔を通じ
て炉外の空気を炉内に引込むものであるから、別途に送
風装置を取付ける必要がないことは勿論、燃焼済ガスを
邪魔板と周壁との狭い隙間を通し、炉内の滞留時間を長
くして炉外からの空気流入量を抑制するとともに、通気
路の下端側を炉外に通じさせてあるので、炉外に強風が
吹いたりしても空気流入量が変動し難く安定し、焼却物
を暴発の恐れのない安定した良好な条件下で焼却物を上
から順番に安全且つ完全に焼却することができる。

【００２５】また、可燃性ガスが炉内上部で燃焼して邪
魔板を高温に加熱し、燃焼済ガスが邪魔板と周壁との狭
い隙間を通過する際、燃焼済ガス中に残存する可燃性ガ
スや煤煙を高温の邪魔板により加熱して完全燃焼させる
ものであるから、別途に除塵装置を取付けずとも煙突か
ら排出される煤煙を極めて少なくできる。

【００２６】以上述べたように本発明焼却炉を用いれ
ば、一般の燃えるごみは勿論のこと、化学的に有害な物
質を発生しないものであれば古タイヤ等の産業廃棄物
も、殆ど黒煙を出さずに経済的にしかも安全に焼却処理
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるの焼却炉の第一実施例を示す縦断
面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線矢視の横断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線矢視の横断面図である。

【図４】本発明による焼却炉の第一実施例を示す正面図
である。

【図５】本発明による焼却炉の第二実施例を示す一部切
欠側面図である。

【図６】図５のＣ−Ｃ線矢視の横断面図である。

【図７】図５のＤ−Ｄ線矢視の横断面図である。

【符号の説明】

１周壁２投入口４吸気孔７補強材９通気路１１邪魔板１２隙間１４煙突

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】炉内に投入される焼却物の上限位置より
上方となる周壁（１）の中間高さ位置に、適数の吸気孔
（４）を周方向に適宜間隔で穿設し、周壁（１）の外周
面に樋状の補強材（７）をその開口側で各吸気孔（４）
を覆う状態で上下方向に沿って取付け、周壁（１）と補
強材（７）とで吸気孔（４）に通じる縦方向の通気路
（９）を形成し、通気路（９）は下端部で炉外と通じ、
煙突（１４）より下方の炉内上部に周壁（１）より一回
り小さな邪魔板（１１）を取付けて周壁（１）との間に
狭い隙間（１２）を形成し、少なくとも周壁（１）と邪
魔板（１１）が厚肉の鋼材からなることを特徴とする焼
却炉。