JP2720097B2 - 垂直磁気記録再生薄膜ヘッド - Google Patents

垂直磁気記録再生薄膜ヘッド

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JP2720097B2
JP2720097B2 JP16334490A JP16334490A JP2720097B2 JP 2720097 B2 JP2720097 B2 JP 2720097B2 JP 16334490 A JP16334490 A JP 16334490A JP 16334490 A JP16334490 A JP 16334490A JP 2720097 B2 JP2720097 B2 JP 2720097B2
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Description

【発明の詳細な説明】 利用産業分野 この発明は、電算機用、テープ用、映像記録用などの
垂直磁気記録再生薄膜ヘッドの改良に係り、直交配置さ
れ非磁性材を充填する溝部交点直上に成膜積層して、加
工組立後に磁気記録媒体との対向位置となるリターンパ
ス用磁性部材の形状を、主磁極膜の対向方向及びトラッ
ク幅方向にリターンパス用磁性部材が露出させ、かつリ
ターンパス用磁性部材を耐摩耗性にすぐれた非磁性材基
板上に積層することにより、出力特性の改善向上と耐摩
耗性の向上を図った垂直磁気記録再生薄膜ヘッドに関す
る。
背景技術 一般に、垂直磁気記録再生薄膜ヘッド(以下、薄膜磁
気ヘッドという)は、磁気回路が微小であること、高透
磁率、高飽和磁束密度の磁性薄膜を用いるという点で、
磁気記録の高密度化に適しており、半導体テクノロジー
に基づく製造プロセスで製造されるため、高精度の磁気
ヘッドを低コストで製造可能であり、今後、垂直磁気ヘ
ッドの主流となるものと考えられる。
垂直磁気記録再生用薄膜ヘッドは、例えば、第6図に
薄膜ヘッドのトランスジューサー部の媒体対向面及び縦
断側面説明図を示す如く、ソフトフェライト等の磁性部
材(10)と、これにギャップ層となる非磁性材(3)と
薄膜導体コイル(4)と層間絶縁被膜(5)を介して配
設するパーマロイ、センダスト、あるいはCo系アモルフ
ァス等からなり、該主磁極膜の記録時の磁気飽和を防ぐ
ための厚膜主磁極膜(7)と主磁極膜(8)とヘッド保
護膜(9)からなる。
従来技術の問題点 前述した露出する積層端面で記録媒体と対向する構成
の垂直薄膜ヘッドにおいて、第6図(a)に示す如く、
記録媒体(30)に対するリターンパス用磁性部材(10)
の溝部(2)に充填される非磁性材(3)との境界面
(12)が主磁極膜(8)と平行になっているため、主磁
極より発生した磁束は主磁極に対向する面にリターンす
るのみで、十分な再生出力が得られない問題があった。
発明者は、薄膜磁気ヘッドの再生出力を一段と向上さ
せることを目的に、発生磁束を効率よくリターンさせる
ことができるリターンパス用磁性部材について種々検討
した結果、直交溝部の交点直上部に成膜積層した構成と
することにより、発生磁束を主磁極膜の対向方向にリタ
ーンさせるだけでなく、トラック幅方向にも磁束をリタ
ーンさせることができ、再生出力を向上、改善させるこ
とを知見し、上記リターンパス用磁性部材に直交溝部を
有する構成の薄膜ヘッドを提案(特願平2−50292号)
した。
しかし、前記提案の薄膜ヘッドは、リターンパス用磁
性部材がNi−Zn系、Mn−Zn系フェライトのソフトフェラ
イトであるため、硬度が低く、磁気記録媒体との摺動の
際、耐摩耗性の点で問題があった。
そこで、この発明は、かかる現状に鑑み、従来の薄膜
磁気ヘッドの再生出力特性を向上させ、かつ磁気記録媒
体との耐摩耗性の向上を図った垂直磁気記録再生薄膜ヘ
ッドの提供を目的としている。
発明の概要 この発明は、薄膜磁気ヘッドの再生出力を一段と向上
させ、かつ耐摩耗性を向上させることを目的に、耐摩耗
性にすぐれかつ発生磁束を効率よくリターンさせること
ができるリターンパス用磁性部材について種々検討した
結果、薄膜ヘッド用の磁性基板を、耐摩耗性にすぐれた
非磁性材基板の上にガラス等を介して磁性部材を積層し
た構成となし、基板上層のリターンパス用磁性部材に直
交溝部を配置して、直交溝部該交点直上部に成膜積層す
ることにより、露出する積層断面の大半が耐摩耗性にす
ぐれた非磁性材となり、耐摩耗性が著しく向上、該溝構
造により発生磁束を主磁極膜の対向方向にリターンさせ
るだけでなく、トラック幅方向にも磁束をリターンさせ
ることができ、再生出力を向上し、改善させることを知
見し、この発明を完成した。
すなわち、この発明は、 リターンパス用磁性部材の一主面に、磁気記録媒体に
対向する摺動面に平行な主溝部を有し該溝に非磁性材を
充填し、さらに前記主溝部と直交しかつ非磁性材を充填
した主磁極膜幅より 0.5μm〜50μm大きな幅と、深さ2μm〜100μmを
有する細溝部を配設し、 該主溝部と細溝部の直交溝部の交点直上部に、少なく
とも薄膜導体コイル、層間絶縁膜、主磁極膜、ヘッド保
護膜が成膜積層され、かつリターンパス部にて磁性部材
と主磁極膜と接続し、露出する前記積層端面における主
磁極膜近傍にリターンパス用磁性部材を露出させ、磁気
記録媒体と対向させる構成からなる垂直磁気記録再生薄
膜ヘッドにおいて、 上記のリターンパス用磁性部材が、耐摩耗性非磁性材
基板上に積層されていることを特徴とする垂直磁気記録
再性薄膜ヘッドである。
発明の構成 この発明による薄膜ヘッドは、薄膜を成膜する磁性基
板には、耐摩耗性非磁性材基板上にリターンパス用磁性
部材を積層した磁性基板を用いることを特徴とし、さら
に、磁気記録媒体と対向位置となる摺動面のリターンパ
ス用磁性部材の形状を、主磁極膜の対向方向のみでな
く、トラック幅方向にも非磁性材を隔てて、磁性部材が
形成されるように配置したことを特徴とする。
すなわち、第2図に示す如き、溝構造積層基板(1)
を用いることにより、この発明の薄膜ヘッドを容易に効
率よく製造することができる。
詳述すると、溝構造積層基板(1)は、ZrO2系、Al2O
3系セラミックスなどの耐摩耗性にすぐれた非磁性材基
板(11)の上に、Ni−Zn系、Mn−Zn系フェライト等の磁
性材基板(12)をガラス層(13)などを介して積層した
構成からなり、磁性材基板(12)主面に、一定間隔で複
数の平底状の主溝部(2)と、これに直交する細溝部
(20)を一定間隔で設け、溝部にガラス、SiO2、Al
2O3、チタン酸バリウム等の非磁性材(3)を充填して
ある。
換言すると、主磁極とリターンパス用磁性部材間の漏
れ磁束を防止するための主溝部(2)と、該主溝部
(2)に直交してトラック幅より僅かに大きい(0.5μ
m〜50μm)幅を有するギャップ層に相当する細溝部
(20)を有する溝構造積層基板(1)を用い、一連の薄
膜ヘッド製造プロセスにより垂直薄膜ヘッド化すること
により、記録媒体の摺動面となる非磁性材基板上に積層
されたリターンパス用磁性基板形状が、第1図aに示す
如く、主磁性膜(8)に対して特定寸法、形状を有する
細溝部(20)を形成する。
このようにして得られた垂直薄膜磁気ヘッドにおい
て、主磁極膜より発生した磁束は主磁極膜の対向方向の
みならず、トラック幅方向にもリターンし、記録再生特
性を向上させることができる。
製造方法 この発明による薄膜磁気ヘッドを製造する工程を、第
2図、第3図a〜fに基いて説明する。
第2図に示すごとく、ZrO2系、Al2O3系セラミックス
などの耐摩設性にすぐれた非磁性材基板(11)の上にガ
ラス層(13)を介して積層した、Ni−Zn系またはMn−Zn
系フェライトの磁性材基板(12)の主面に、所定間隔で
複数の主溝部(2)及び主溝部(2)に直交する複数の
細溝部(20)を所要パターンにて配設し、各溝部(2)
(20)に、ガラス、SiO2、Al2O3、チタン酸バリウム等
の非磁性材(3)を溶着法、スパッタリング法にて充填
し、その後、溝構造積層基板(1)の前記溝部(2)
(20)を設けた磁性材基板(12)の主面に、メカノケミ
カル研摩を施す。
溝構造積層基板(1)の磁性材基板(12)の前記研摩
面に、Au、Cu、Cr、Al等からなる薄膜導体コイル(4)
をスパッタリング法、真空蒸着法にて形成する。(第3
図a図) なお、前記磁性部材がMn−Zn系フェライトの場合、薄
膜導体コイル形成前に絶縁層を設ける。
この薄膜導体コイル(4)層と後に被着する厚膜主磁
極膜(7)との電気的絶縁のために、SiO2、Al2O3等の
無機酸化膜あるいはポリイミド等の有機膜からなる層間
絶縁被膜(5)を形成する。(第3図b図) 前記薄膜導体コイル(4)による層間絶縁被膜(5)
の凹凸面を除去するため、ダイヤモンド研摩等の精密研
摩あるいはエッチバック法を施して、500Å以下に平坦
化する。
後工程にて被着する厚膜主磁極膜(7)と磁性材基板
(12)を接続するためのリターンパス部(6)を、前記
層間絶縁被膜(5)に、イオンエッチング、ケミカルエ
ッチング等の方法にて形成する。(第3図c図) 層間絶縁被膜(5)面及びリターンパス部(6)の磁
性部材(10)面上に、パーマロイ、センダスト等のFe系
合金あるいはアモルファス等からなる厚膜主磁極膜
(7)をスパッタリング法、蒸着法、めっき法等にて被
着形成し、パターン化する。(第3図d) その後、前記厚膜主磁極膜(7)上に主磁極膜(8)
をスパッタリング法、蒸着法、めっき法等にて被着形成
し、パターン化する。(第3図e図) ヘッド保護膜(9)を積層被着する。(第3図f図) その後、主溝部(2)の所要位置及び細溝部(20)の
所要位置で磁性部材(10)を切断して、所要寸法、形状
に成形することにより、薄膜磁気ヘッドを得る。
すなわち、第2図に示す如く、非磁性材基板(101
の上にガラス層(103)を介して磁性材基板(12)を積
層され、磁気記録媒体に対向する磁性材基板(102)の
摺動面形状は主磁極に対して、特定形状の溝部を有する
薄膜磁気ヘッドが得られる。
この発明に用いる溝構造積層基板(1)において、非
磁性材基板(11)はZrO2系、Al2O3系セラミックスなど
の耐摩耗性にすぐれた非磁性材であれば、いずれの非磁
性材でもよい。
また、溝構造積層基板(1)の磁性材基板(12)に形
成した複数の主溝部(2)は、薄膜ヘッド組立時に厚膜
主磁極膜(7)の先端部からリターンパス部(6)の先
端部までの長さに等しい幅を有し、深さは2μm〜100
μmの寸法を有し、また、前記主溝部(2)に直交する
細溝部(20)は、主磁極膜幅より0.5μm〜50μm、好
ましくは1μm〜20μmより大きな幅及び2μm〜100
μmの深さを有することが好ましい。
実 施 例 以下、この発明の実施例を説明する。
表面を精密仕上げしたZrO2系セラミックス基板の上
に、表面を精密仕上げしたNi−Zn系フェライト基板を10
μm厚みのほう珪酸系ガラスを介して積層して積層基板
を作製した。
前記積層基板のNi−Zn系フェライト基板上に、幅0.20
mm×深さ0.030mm×長さ50mmの溝を複数本、機械加工で
形成する。
また、前記溝部に直交する幅0.06×深さ0.030×長さ5
0mmの溝を複数本、機械加工で形成する。
このようにして得られた溝部に、1μm以上の気泡が
1ケ/mm3以下の状態でAl2O3を充填した後、前記主面に
メカノケミカル研摩を施し、前記研摩面上に、薄膜導体
コイル用Cu膜をスパッタリングにて形成し、所定形状の
パターン化する。
その後、電気的絶縁のための層間絶縁被膜として、ポ
リイミド系樹脂も用いて被膜した後、エッチバック法を
用いて、表面を平坦化した。
その後、Co系アモルファスからなる厚膜主磁極膜をス
パッタリング法にて被着形成パターン化し、さらに、Co
系アモルファスからなる薄膜主磁極膜をスパッタリング
法にて被着形成パターン化し、さらにAl2O3からなるヘ
ッド保護膜を積層被着した。
その後、記録媒体に対向する摺動面のリターンパス用
磁性部材の形状が主磁極膜に対して、特定形状寸法の溝
部を形成するように所要寸法、形状に切断加工し、垂直
薄膜ヘッドを作製した。
また、比較のため、幅0.3×深さ0.025mmの従来のギャ
ップ層を形成する溝にガラスを充填したNi−Zn系フェラ
イト基板より上記と同じ方法で垂直薄膜ヘッドを作製し
た。
このようにして、得られた垂直薄膜ヘッドの特性並び
に摺動耐摩耗性を評価した。
これら、溝形状の異なる2種のヘッドからの再生出力
特性の試験結果を第4図に示す。なお、再生出力特性測
定は自己記録再生により行い、その測定条件は下記の通
りである。
また、摺動耐摩耗性の評価として、下記条件のシュー
シャインテストを行い、その結果を第5図に示す。
第4図より明らかな如く、本発明ヘッドは再生出力特
性において、非常に良好な特性を示している。
さらに、第5図に明らかな如く、耐摩耗性にすぐれた
非磁性材基板の上に磁性材基板をガラスなどを介して積
層した溝構造積層基板を使用することにより、耐摩耗性
が大幅に向上することが分かる。
媒体 CoCr/NiFe 2層膜、垂直保磁力 Hc=500Oe、保護膜/カーボン ヘッド 本発明、従来ともにトラック幅TW=50μm 相対速度 7.5m/sec 回転数 1800rpm メカノケミカル研摩条件 加工機 ;15インチMCP盤 ポリッシャー ;不織布 パウダー ;粒度0.02μm以下、MgO 回転数 ;20rpm 加圧力 ;0.5kg/mm2 ダイヤモンド研摩条件 加工機 ;15インチ片面ラップ盤 ポリッシャー ;Sn盤 ダイヤモンド ;粒度0.5〜1μm 回転数 ;30rpm 加圧力 ;0.5kg/mm2 再生出力波形測定条件 ディスク回転数;1800rpm 媒体 ;Co−Cr/Ni−Fe 記録周波数 ;0.5〜20MHz 記録電流 ;20mAp−P 相対速度 ;v=7.5m/sec シューシャインテスト テストテープ材料;CrO2テープ テープスピード ;3.2m/sec テープ張力 ;250gr
【図面の簡単な説明】
第1図a,b,cはこの発明による薄膜磁気ヘッドの正面説
明図、縦断説明図、上面説明図である。 第2図はこの発明による磁性基板の斜視説明図ある。 第3図a〜fはこの発明による薄膜磁気ヘッドの製造工
程を示す説明図である。 第4図は薄膜磁気ヘッドの再生出力の関係を示すグラフ
である。 第5図は薄膜磁気ヘッドのシューシャイン走行回数と摩
耗量との関係を示すグラフである。 第6図a,bは従来の磁性部材を用いた薄膜磁気ヘッドの
正面説明図、縦断説明図である。 1……溝構造積層基板、11……非磁性材基板、 12……磁性材基板、13……ガラス層、2……主溝部、 20……細溝部、3……非磁性材、4……薄膜導体コイ
ル、 5……層間絶縁被膜、6……リターンパス部、 7……厚膜主磁極膜、8……主磁極膜、 9……ヘッド保護膜、10……磁性部材、 101……非磁性材基板、102……磁性材基板、 103……ガラス層、11……露出面、30……記録媒体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沼澤 潤二 東京都世田谷区砧1丁目10番11号 日本 放送協会放送技術研究所内 (72)発明者 林 直人 東京都世田谷区砧1丁目10番11号 日本 放送協会放送技術研究所内 (56)参考文献 特開 平2−132615(JP,A) 特開 平4−57206(JP,A) 特開 平4−57209(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リターンパス用磁性部材の一主面に、磁気
    記録媒体に対向する摺動面に平行な主溝部を有し該溝に
    非磁性材を充填し、さらに前記主溝部と直交しかつ非磁
    性材を充填した主磁極膜幅より 0.5μm〜50μm大きな幅と、深さ2μm〜100μmを有
    する細溝部を配設し、 該主溝部と細溝部の直交溝部の交点直上部に、少なくと
    も薄膜導体コイル、層間絶縁膜、主磁極膜、ヘッド保護
    膜が成膜積層され、かつリターンパス部にて磁性部材と
    主磁極膜と接続し、露出する前記積層端面における主磁
    極膜近傍にリターンパス用磁性部材を露出させ、磁気記
    録媒体と対向させる構成からなる垂直磁気記録再生薄膜
    ヘッドにおいて、 上記のリターンパス用磁性部材が、耐摩耗性非磁性材基
    板上に積層されていることを特徴とする垂直磁気記録再
    生薄膜ヘッド。
JP16334490A 1990-06-21 1990-06-21 垂直磁気記録再生薄膜ヘッド Expired - Lifetime JP2720097B2 (ja)

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