JP2718996B2 - 電気集塵装置の水洗浄運転方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は空気中の塵を取り除く電気集塵機の水洗浄運
転方法に関するものである。

従来の技術 一般に、トンネル換気等で使用される可変風量型送風
機を用いた電気集塵設備は、対象とされる設備の換気状
況によって要求される換気能力、空気清澄度を満足する
風量で運転される。そして集塵過程で集塵機本体内部の
帯電部ユニットおよび集塵部ユニットの放電線・電極板
等に煤塵が堆積するが、これが過大となり異常放電が発
生するのを防止するため定期的に煤塵を洗い落とす水洗
浄装置を備えている。

第１図はその一例を示すもので、１は集塵機本体で、
流入側および流出側にダンパー２、２′を有し、内部に
は帯電部ユニット３、集塵部ユニット４が納められてお
り、帯電部ユニット３の流入側および集塵部ユニット４
の流出側には図示されていないノズル等で構成される水
洗浄装置５が設けられている。そして帯電部ユニット
３、集塵部ユニット４には高圧電源６より高電圧が印加
されている。前記電気集塵機本体１は風路７内に複数設
置され集塵ブロック8a〜8cを構成している。集塵ブロッ
ク8a〜8cの後方には図示されない可変翼機構あるいは回
転数制御機構等を備えた風量可変型送風機９が設置され
ている。

上記構成において、帯電部ユニット３に流入した煤塵
はコロナ放電により帯電し、その下流の集塵部ユニット
４で形成される電界中に入りクーロン力により集塵部ユ
ニット４に捕集される。風量可変型送風機９は、集塵機
本体１の通過風速が対象とされる設備の換気状況より設
定された値Ｖとなるよう風量制御されている。このよう
にして捕集された煤塵は定期的にダンパー２を閉じ、高
圧電源６を断とし水洗浄装置５よりスプレー水を噴射す
ることにより洗い流される。第３図は従来の電気集塵装
置の洗浄タイムチャートを示すもので、前記洗浄工程は
各集塵ブロック8a〜8cごとに順次行われる。水洗浄後、
帯電部ユニット３、集塵部ユニット４は水で濡れて絶縁
が低下した状態となっており直ちに高電圧を加えること
ができないが、この状態からできるだけ早く絶縁を回復
させるため、最初の集塵ブロック8aの洗浄終了時点から
全集塵ブロック8a〜8cの洗浄後一定時間ｔが経過するま
で電気集塵機本体１を通過する風速が定格最大風速とな
るよう風量可変型送風機９を制御し強制乾燥が行われる
ものであった。

発明が解決しようとする課題 一般に電気集塵機は、いったん集塵部ユニット４に付
着した煤塵の一部が通過する風により再飛散する現象が
あり、煤塵の捕集量としては（集塵部に付着した煤塵
量）−（集塵部から再飛散した煤塵量）となるが、再飛
散する煤塵量は電気集塵機本体１の通過風速が遅い時は
少なくなるため、電気集塵装置が対象とする換気状況に
より低風速長時間の運転が続いた場合、集塵部ユニット
４に定格最大風速にて集塵した時に比較して過大の煤塵
量を捕集することとなる。前記従来の制御方法では、最
初の集塵ブロック1aの洗浄終了後の定格最大風速による
強制乾燥開始時、次のブロック1bは洗浄に入りダンパー
が閉じているので良いが、まだ洗浄が行われていない集
塵ブロック1cより過大に堆積した煤塵を一時的に飛散さ
せ電気集塵装置流出側の煤塵濃度を悪化させてしまうと
いう課題を有していた。

本発明はこのような課題を解決するもので強制乾燥開
始時の煤塵飛散を少なくすることを目的としたものであ
る。

課題を解決するための手段 この課題を解決するために本発明は、風路内に、複数
の集塵ブロックと風量可変型送風機を設け、前記それぞ
れの集塵ブロックは、ダンパーと集塵部を洗浄する水洗
浄装置を備え、設定された洗浄周期になると前記集塵ブ
ロックごとに順次前記ダンパーを閉じて水洗浄を行い、
最初の集塵ブロックの洗浄が終了した後には電気集塵機
を通過する風速が定格最大風速の40〜60％となるよう送
風機を運転し、すべての集塵ブロックの洗浄が終了した
後には定格最大風速で一定時間運転するよう送風機を運
転するものである。

作用 上記制御方法により、洗浄直後の強制乾燥運転時の風
速が定格最大風速の40〜60％となるため一時的な煤塵の
再飛散を防止することとなる。

実 施 例 以下本発明の一実施例を第１図〜第３図にもとづき説
明する。

電気集塵装置の構成は第１図の従来例と同様であるの
で省略する。第２図は本発明の一実施例の洗浄タイムチ
ャートを示すもので、通常時は集塵機本体１の通過風速
が対象とされる設備の換気状況より設定された値Ｖとな
るよう風量可変型送風機９が風量制御されている。洗浄
工程では各集塵ブロック8a〜8cごとに順充洗浄が行わ
れ、最初の集塵ブロック8aの洗浄が終了したのち風量可
変型送風機９を集塵機本体１の通過風速が定格最大風速
の40〜60％となるような風量に制御し、全ての集塵ブロ
ック1a〜1cの洗浄が完了した時点で集塵機本体１の通過
風速が定格最大風速となる風量に風量可変型送風機９を
制御して一定時間ｔの間強制乾燥が行われ前記帯電部ユ
ニット３、集塵部ユニット４の絶縁が回復した後高電圧
がかけられ通常の集塵運転に入る。ここで、電気集塵装
置が低風量長時間運転され集塵ユニットに過大に捕集さ
れた煤塵は第４図で示されるよう電気集塵機本体を通過
する風速が定格最大風速の60％以下の風速ならば集塵ユ
ニットからの煤塵の飛散は僅かであること、および図５
のグラフよりの定格最大風速の40％以上の場合、定格最
大風速の場合に比較して乾燥時間が延びるが、その割合
は若干であることが実験より確かめられており実用上支
障がないこととなる。

発明の効果 以上の実施例の説明から明らかなように、本発明によ
れば、最初の集塵ブロックの洗浄終了時から全集塵ブロ
ックの洗浄が完了するまで集塵機本体の定格最大通過風
速の40〜60％で風量可変型送風機を運転制御することに
より、洗浄前まで低風速長時間運転され集塵部ユニット
に過大に煤塵が捕集された状態でも、最初の集塵ブロッ
クの洗浄終了後の強制乾燥運転時に未洗浄の集塵ブロッ
クより煤塵が再飛散するのを防止することができる。そ
して全ブロックの洗浄が終了した時点で、各集塵ブロッ
クの集塵ユニットに捕集された煤塵は全て洗い落とされ
るため、煤塵の再飛散の問題がなくなり定格最大風速で
乾燥運転を行うことができ、結果的に乾燥運転時間は従
来と比較してそれほど増大しない。

【図面の簡単な説明】

第１図は電気集塵装置の構成図、第２図は本発明の電気
集塵装置における水洗浄運転方法の一実施例を示すタイ
ムチャート、第３図は従来の電気集塵装置における水洗
浄運転方法を示すタイムチャート、第４図は集塵機本体
通過風速と煤塵の再飛散量を示す特性図、第５図は集塵
機本体通過風速と集塵ユニット乾燥必要時間を示す特性
図である。 １……集塵機本体、３……帯電部ユニット、４……集塵
部ユニット、５……水洗浄装置、６……高圧電源、8a〜
8c……集塵ブロック、９……風量可変型送風機。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】風路内に、複数の集塵ブロックと風量可変
   型送風機を設け、前記それぞれの集塵ブロックは、ダン
   パーと集塵部を洗浄する水洗浄装置を備え、設定された
   洗浄周期になると前記集塵ブロックごとに順次前記ダン
   パーを閉じて水洗浄を行い、最初の集塵ブロックの洗浄
   が終了した後には電気集塵機を通過する風速が定格最大
   風速の40〜60％となるよう送風機を運転し、すべての集
   塵ブロックの洗浄が終了した後には、定格最大風速で一
   定時間運転するよう送風機を運転する電気集塵装置の水
   洗浄運転方法。