JP2718190B2 - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置

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JP2718190B2
JP2718190B2 JP16348689A JP16348689A JP2718190B2 JP 2718190 B2 JP2718190 B2 JP 2718190B2 JP 16348689 A JP16348689 A JP 16348689A JP 16348689 A JP16348689 A JP 16348689A JP 2718190 B2 JP2718190 B2 JP 2718190B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、内燃機関のシリンダ内に流入する燃料の挙
動を記述した燃料挙動モデルに基づき設定された制御則
に則って燃料噴射量を制御する内燃機関の燃料噴射量制
御装置に関する。
[従来の技術] 従来より、内燃機関に供給される燃料混合気の空燃比
が目標空燃比になるように燃料噴射量を制御する装置の
一つとして、例えば特開昭59−196930号公報に記載の如
く、内燃機関の回転速度と吸入空気量とから求められる
基本燃料噴射量を補正する補正値を制御入力、空燃比セ
ンサを用いて検出される空燃比の実測値を制御出力と
し、該制御入力と制御出力との間に線形な近似が成り立
つものとして同定を行い、内燃機関の動的な振舞いを記
述する数式モデルを求め、これに基づき設計された制御
則により燃料噴射量を制御する、所謂線形制御理論に基
づく制御装置が知られている。
しかし上記制御入力と制御出力との関係は本来非線形
であり、上記のように単に線形近似により数式モデルを
求めたのでは内燃機関の動的な振舞いを極めて狭い運転
条件下でしか記述することができず、制御を良好に行な
うには、例えば特開昭59−7751号公報に記載の如く、線
形近似が成り立つとみなし得る複数の運転領域毎に数式
モデルを設定し、これに基づき各運転領域毎に制御則を
決定しなければならなかった。このため従来では、制御
則を内燃機関の各運転領域毎に切り換えなければなら
ず、制御が煩雑になるといった問題があった。また各運
転領域の境界点では制御則の切り換えのために制御が不
安定になるといった問題もある。
そこで本願出願人は、特願昭62−189889号,特願昭62
−189891号等により、内燃機関における燃料挙動を記述
した燃料挙動モデルに基づき、非線形補償された制御則
を決定することで、上記のように制御則を切り換えるこ
となく(即ち一つの制御則で)燃料噴射量制御を実行で
きる燃料噴射量制御装置を提案した。
[発明が解決しようとする課題] しかし上記燃料挙動モデルによっても内燃機関の燃料
挙動を常に正確に記述することは難しく、実際には、内
燃機関吸気系の特性変化等によって、燃料挙動モデルが
実際の燃料挙動と対応しなくなってしまうことがある。
こうしたモデル誤差に伴う制御誤差は、制御則を周知の
サーボ系に拡大して積分動作によって補償することがで
きるが、積分補償の割合を大きくすると応答性が悪くな
るといったことがあり、制御性をより向上するには、モ
デル誤差を何等かの方法で求めて制御則を補正すること
が望まれる。
そこで本願出願人は、こうしたモデル誤差に対しても
制御を良好に実行できる装置として、特願昭63−24483
号により、上記燃料噴射量制御装置に、燃料噴射量や空
燃比等から燃料挙動モデルのモデルパラメータを推定す
る同定器を設け、その同定結果から制御則を補正して燃
料噴射量制御を行なう装置を提案した。
ところがこの提案の装置では、最小二乗推定式という
数学的原理に基づき燃料挙動モデルを同定するようにし
ていたため、同定のための演算式が複雑で、従来内燃機
関制御装置で使用している安価な8ビットマイクロコン
ピュータでは計算に時間がかかりすぎ、実現が困難であ
った。また燃料挙動モデルの同定には、空燃比センサを
用いた空燃比の検出結果をそのまま使用しているのて、
空燃比センサの特性変動、外乱ノイズ、排気の流速変化
に伴う空燃比の検出遅れ等により、同定結果に誤差を生
じ易く、これを防止するための空燃比検出結果の平滑処
理、安定性判定が複雑になるといった問題もある。
本発明はこうした問題に鑑みなされたもので、燃料挙
動モデルに基づく制御則により燃料噴射量を制御する装
置において、燃料挙動モデルの誤差を簡単に、しかも制
度よく推定して、制御則を補正できるようにすることを
目的としている。
[課題を解決するための手段] 即ち上記目的を達するためになされた本発明は、第1
図に例示する如く、 内燃機関E/Gの運転状態を検出する運転状態検出手段M
1と、 該運転状態検出手段M1の検出結果に基づき、内燃機関
E/Gのシリンダ内に流入する燃料の挙動を記述した燃料
挙動モデルに基づき予め設定された制御則に従って、内
燃機関E/Gへの燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手
段M2と、 該燃料噴射量算出手段M2の算出結果に応じて内燃機関
E/Gに燃料を噴射供給する燃料噴射実行手段M3と、 を備えた内燃機関の燃料噴射量制御装置において、 内燃機関E/Gの排気成分に基づき内燃機関E/Gに供給さ
れた燃料混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段M4
と、 上記燃料噴射量算出手段M2の算出結果に所定の変動成
分を重畳して、上記燃料噴射実行手段M3からの燃料噴射
量を変動させる燃料噴射量変動制御手段M5と、 該燃料噴射量変動制御手段M5が上記燃料供給量算出手
段M3の算出結果に重畳する変動成分の特性を変更する変
動成分特性変更手段M6と、 該変動成分特性変更手段M6により変動成分特性が変更
される度に、上記空燃比検出手段M4の検出結果に基づき
空燃比の変動量を算出する空燃比変動量算出手段M7と 該空燃比変動量算出手段M7にて算出される各変動成分
特性毎の空燃比の変動量に基づき、上記燃料挙動モデル
の誤差を推定するモデル誤差推定手段M8と、 該推定されたモデル誤差に基づき、上記燃料噴射量算
出手段M3の制御則を補正する補正手段M9と、 を設けたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御
装置を要旨としている。
[作用] 以上のように構成された本発明の燃料噴射量制御装置
においては、まず燃料噴射量算出手段M2が、運転状態検
出手段M1により検出された内燃機関E/Gの運転状態に基
づき、燃料挙動モデルに基づき予め設定された制御則に
従って燃料噴射量を算出し、燃料噴射量変動制御手段M5
が、この算出された燃料噴射量に所定の変動成分を重畳
する。また燃料噴射量変動制御手段M5が燃料噴射量に重
畳する変動成分の特性は、変動成分特性変更手段M6によ
り変更される。
このように燃料噴射量に変動成分が重畳されると、そ
の変動成分の特性に応じて内燃機関E/Gに供給される燃
料混合気の空燃比が変動し、更に変動成分の特性が変更
されると、その変更された変動成分特性に応じて空燃比
の変動量が変化するが、こうした各変動成分特性毎の空
燃比の変動量は、空燃比変動量算出手段M7によって、空
燃比検出手段M4の検出結果に基づき算出される。
するとモデル誤差推定手段M8が、この算出された各変
動成分特性毎の変動量に基づき、上記制御則の設定に用
いた燃料挙動モデルの誤差を推定し、補正手段M9が、こ
の推定されたモデル誤差に基づき制御則を補正する。
即ち本発明の燃料噴射量制御装置は、内燃機関への燃
料噴射量に特性の異なる変動成分を与え、これによって
生ずる各変動成分特性毎の空燃比の変動量から、燃料挙
動モデルの誤差を推定して、制御則を補正するようにさ
れている。
[実施例] 以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
まず第2図は本発明が適用された内燃機関2及びその
周辺装置の構成を表す概略構成図である。
図に示す如く、内燃機関2の吸気管4には、吸入空気
を浄化するエアクリーナ6、吸入空気量を制御するスロ
ットルバルブ8、吸気の脈動を抑えるサージタンク10、
サージタンク10内の圧力(吸気管圧力)PMを検出する吸
気圧センサ12、及び吸気温度THAを検出する吸気温セン
サ14が備えられ、排気管16には、排気を浄化する三元触
媒18、及びこの三元触媒18より上流で排気中の酸素濃度
に基づき内燃機関2に供給された燃料混合気の空燃比を
検出する空燃比センサ19が備えられている。
また当該内燃機関2には、その運転状態を検出するた
めのセンサとして、上記吸気圧センサ12,吸気温センサ1
4及び空燃比センサ19の他、ディストリビュータ20の回
転から内燃機関2の回転速度ωを検出するための回転速
度センサ22、同じくディストリビュータ20の回転から内
燃機関2への燃料噴射タイミングを検出するためのクラ
ンク角センサ24、及び内燃機関2の冷却水温THWを検出
する水温センサ26が備えられている。尚ディストリビュ
ータ20はイグナイタ28からの高電圧を所定の点火タイミ
ングで点火プラグ29に印加するためのもので、内燃機関
2の回転に同期して回転する。
次にこれら各センサからの検出信号は、マイクロコン
ピュータを中心とする論理演算回路として構成された電
子制御回路30に入力され、燃料噴射弁32を駆動して燃料
噴射弁32からの燃料噴射量を制御するのに用いられる。
電子制御回路30は、予め設定された制御プログラムに
従って燃料噴射量制御のための演算処理を実行するCPU4
0、CPU40で演算処理を実行するのに必要な制御プログラ
ムや初期データが予め記録されたROM42、同じくCPU40で
演算処理を実行するのに用いられるデータが一時的に読
み書きされるRAM44、上記各センサからの検出信号を入
力するための入力ポート46、及びCPU40での演算結果に
応じて燃料噴射弁32に駆動信号を出力するための出力ポ
ート48、等から構成され、内燃機関2のシリンダ2a内に
流入する燃料混合気の空燃比が予め設定された目標空燃
比になるように燃料噴射弁32からの燃料噴射量を制御す
る。
次にこの電子制御回路30で実行される燃料噴射量制御
の制御則を第3図に示すブロック図に基づいて説明す
る。
尚第3図は、当該実施例の制御則を示す図であって、
ハード的な構成を示すものではなく、実際の燃料噴射制
御は後述の第4図及び第5図のフローチャートに示した
一連の制御プログラムの実行により実現される。
またこの制御則は、内燃機関2のシリンダ2a内に流入
する燃料の挙動を記述した次式(1)及び(2)に示す
燃料挙動モデルに基づき設計されたものである。
(但し上式において、fw:吸気管壁面付着燃料量、fv:吸
気管内蒸発燃料量、fi:燃料噴射量、V fw:吸気管壁面か
らの燃料蒸発量、fc:筒内流入燃料量、P,Q,R,S,D:定
数、である。) 第3図に示すように、本実施例では、まず吸気圧セン
サ12で検出された吸気管圧力PMと水温センサ26で検出さ
れた冷却水温THWとが燃料蒸発速度算出部B1に入力され
る。
燃料蒸発速度算出部B1は、吸気管圧力PMと冷却水温TH
Wとから、吸気管壁面からの単位時間当りの燃料蒸発量
(燃料蒸発速度)Vfを算出するためのもので、まず冷却
水温THWから吸気管4内での燃料の飽和蒸気圧Psを求
め、この飽和蒸気圧Psと吸気管圧力PMとから燃料蒸発速
度Vfを算出する。
つまり、吸気管壁面からの燃料蒸発速度Vfは、吸気管
4内での燃料の飽和蒸気圧Psと吸気管4内部の圧力(吸
気管圧力)PMとの関数として求めることができ、また飽
和蒸気圧Psは吸気管壁面への付着燃料温度Tqの関数であ
り、付着燃料温度Tqは内燃機関2の冷却水温THW或は吸
気ポート付近のシリンダヘッド温度によって代表させる
ことができるので、本実施例においては、まず冷却水温
THW(°K)をパラメータとする次式(3)を用いて飽
和蒸気圧Psを求め、 Ps=β1・THW2−β2・THW+β3 …(3) (但し、β1,β2,β3:定数) その後この算出した飽和蒸気圧Psと吸気管圧力PMとから
燃料蒸発速度Vfを算出するようにされているのである。
次にこの燃料蒸発速度算出部B1で算出された燃料蒸発
速度Vfは燃料蒸発量算出部B2に入力される。この燃料蒸
発量算出部M2は、燃料蒸発速度Vfを回転速度センサ22を
用いて検出された内燃機関2の回転速度ωで除算するこ
とにより内燃機関2の1回転当りに吸気管壁面から蒸発
する燃料量V fw(=Vf/ω)を算出するためのもので、
その算出結果(燃料蒸発量)V fwは計数f4乗算部B3に入
力されて、予め設定された計数f4が乗算される。
また次に吸気管圧力PM及び回転速度ωは、吸気温セン
サ14により検出された吸気温THAと共に管内流入空気量
算出部P4にも入力される。筒内吸入空気量算出部P4は、
これら入力された吸気管圧力PM,回転速度ω及び吸気温T
HAに基づき、次式(4) mc={β×(ω)・PM−βy(ω)}/THA …(4) (但し、β×(ω),βy(ω):回転速度ωの関
数) を用いて、内燃機関2の吸気行程時にシリンダ2a内に流
入する空気量mcを算出するためのもので、その算出結果
mcは目標燃料量算出部B5に入力される。すると目標燃料
量算出部B5では、その算出された空気量mcと予め設定さ
れた目標燃空比(目標空燃比の逆数)λrとを乗算し
て、シリンダ2a内に流入すべき燃料量(即ち目標燃料
量)f crを算出する。またこの目標燃料量f crは、係数
f3乗算部B6に入力され、予め設定された係数f3が乗算さ
れる。
一方蒸気燃料蒸発量算出部B2で算出された燃料蒸発量
V fwは、状態変数推定部B7にも入力される。状態変数推
定部B7は、予め設定された演算式を用いて、上記入力さ
れた燃料蒸発量V fwと、一時遅延部B8を介して入力され
る前回算出した燃料噴射量fi(k−1)と、後述のモデ
ル誤差算出部B16で算出されたモデルパラメータP,Rの誤
差ΔP,ΔRと、当該状態変数推定部B7で前回推定した状
態変数量w(k−1)及びv(k−1)とから、次
回の燃料噴射量fi(k)を算出するための状態変数量fw
及びfvを推定する。そしてこの推定結果w及びvに
は、係数f1乗算部B9及び係数f2乗算部B10にて、夫々係
数f1及びf2が乗算される。
また次に空燃比センサ19による空燃比の検出結果A/F
は、切換スイッチB11を介して、第1A/F変動量算出部B12
又は第2A/F変動量算出部B13に入力される。これら各A/F
変動量算出部B12,B13は、空燃比センサ19により検出さ
れた空燃比の時系列データからその変動幅(A/F変動
量)ΔAF1,AF2を夫々算出するためのもので、その算出
結果ΔAF1,ΔAF2は、筒内流入空気量算出部B4で算出さ
れた空気量mcと共に、第1流入燃料変動量算出部B14,第
2流入燃料変動量算出部B15に夫々入力される。すると
各流入燃料変動量算出部B14,B15は、この入力データΔA
F1及びmc,或はΔAF2及びmcに基づき、シリンダ2a内への
流入燃料量fcの変動量(流入燃料変動量)f cD1,f cD2
を夫々算出し、その算出結果f cD1,f cD2をモデル誤差
算出部B16に出力する。
モデル誤差算出部B16は、この流入燃料変動量f cD1,f
cD2に基づき、予め設定されたマップを用いて、上記
(1)及び(2)式で記述された燃料挙動モデルにおけ
るモデルパラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRを算出するため
のもので、その算出結果ΔP,ΔRは、上記状態変数推定
部B7の他、係数f5乗算部B17及び係数f6乗算部B18に夫々
出力され、各係数乗算部B17,B18にて係数f5,係数f6が乗
算される。またこれら係数乗算部B17,B18の乗算結果f5
・ΔP,f6・ΔRは、夫々、状態変数乗算部B19,噴射量乗
算部B20に出力され、これら各部B19,B20にて、状態変数
推定部B7で推定された状態変数w,一時遅延部B8を介し
て入力される前回算出した燃料噴射量fi(k−1)が乗
算される。
そしてこの状態変数乗算部B19及び噴射量乗算部B20に
よる乗算結果は、上述の各種係数乗算部B3,B6,B9,B10で
の乗算結果と共に加算部B21〜B25で加算され、これによ
って燃料噴射量fiが算出される。
また次にこの算出された燃料噴射量fiは、加算部B26
に入力され、正弦波発生部B27から出力される正弦波sin
2πfTを増幅部B28にてA倍に増幅することにより得られ
る変動成分Δfi(=Asin2πfT)が加算される。尚この
加算結果(fi+Δfi)は、燃料噴射弁32から実際に燃料
噴射を行なう燃料量TAUとなる。
次に正弦波発生部B27は、周波数fの異なる2種の正
弦波sin2πf1T,sin2πf2Tを出力できるようにされてお
り、この出力信号の切り換えは、切換信号発生部B29か
ら出力される切換信号により所定時間毎に切り換えられ
る。尚この切換信号発生部B29からの切換信号により、
前述の切換スイッチB11も切り換えられ、これによっ
て、A/F変動量を算出するA/F変動量算出部が、正弦波特
性(即ち燃料噴射量fiに重畳する変動成分Δfiの特性)
に応じて変更される。
次に上記制御則の基本となる燃料挙動モデル、及び該
燃料挙動モデルに基づく制御則の設計方法について説明
する。尚この種の制御則の設計方法としては、例えば、
古田勝久著「実システムのデジタル制御」システムと制
御,Vol.28,No.12,1984年,計測自動制御学会等に詳しい
ので,ここでは簡単に説明する。
まず内燃機関2のシリンダ2a内に流入する燃料量fc
は、燃料噴射弁32からの燃料噴射量fiと、吸気管4壁面
への付着燃料量fwと、吸気管4内部での蒸発燃料量fvと
を用いて次式(5)のように記述することができる。
fc=α1・fi+α2・fw+α3・fv …(5) 即ち上記燃料量fcは、燃料噴射弁32からの噴射燃料の
直接流入量α1・fiと、その噴射燃料が付着した吸気管
4からの間接流入量α2・fwと、噴射燃料或は壁面付着
燃料の蒸発により吸気管4内部に存在する蒸発燃料の流
入量α3・fvとの総和であると考えられることから、上
式(5)のようにシリンダ2a内に流入する燃料量fcを記
述することができる。
上式(5)において、燃料噴射量fiは燃料噴射弁32の
開弁時間によって定まるので、吸気管壁面への付着燃料
量fw及び吸気管4内部での蒸発燃料量fvを知ることがで
きれば、燃料量fcを予測することができる。
そこで次に上記付着燃料量fw及び蒸発燃料量fvについ
て考える。
まず吸気管壁面への付着燃料量fwは、吸気行程時のシ
リンダ2a内への流入によって、吸気行程毎にその一部α
2が減少する他、吸気管4内部への蒸発によって減少
し、吸気サイクルと同期して燃料噴射弁32から噴射され
る燃料噴射量fiの一部α4が付着することによって増加
する。また吸気サイクル毎の燃料蒸発量は、単位時間当
りの燃料蒸発量(即ち燃料蒸発速度)Vfと内燃機関2の
回転速度ωとから、α5・Vf/ω(=α5・Vfw,α5:比
例定数)として表すことができる。このため吸気管壁面
への付着燃料量fwは次式(6)に示す如く記述できる。
fw(k+1)=(1−α2)・fw(k)+α4・fi
(k)−α5・Vfw(k) …(6) (但し、k:吸気サイクル) 一方吸気管4内部での蒸発燃料量fvは、吸気行程時の
シリンダ2a内への流入によって、吸気サイクル毎にその
一部α3が減少する他、燃料噴射量fiの一部α6が蒸発
することによって増加し、更に上記付着燃料の燃料蒸発
によって増加する。このため吸気管4内部での蒸発燃料
量fvは次式(7)に示す如く記述できる。
fv(k+1)=(1−α3)・fv(k)+α6・fi
(k)+α5・Vfw(k) …(7) 従って上記(5)〜(7)式において、(1−α2)
をP,(1−α3)をQ,α4をR,α6をS,α5をDとして
整理することにより、吸気管壁面への付着燃料量fwと吸
気管4内部での蒸発燃料量fvとを状態変数として内燃機
関2における燃料挙動を表す前述の(1)及び(2)式
を得ることができ、内燃機関2の吸気サイクルをサンプ
リング周期として離散系で表現された燃料挙動モデルが
定まる。
このような燃料挙動モデルでは、V fwの項によって非
線形補償されているため、各モデルパラメータP,Q,R,S,
Dを周知の同定法により定めれば、内燃機関2の燃料挙
動を内燃機関2の全運転領域で正確に記述することがで
きる。しかし内燃機関2の特性は経時的に変化するた
め、特定の燃料挙動モデルでは内燃機関2の燃料挙動を
正確に記述できなくなることがある。また内燃機関は、
たとえ同一機種であっても各機関毎に特性にばらつきが
あるため、複数の内燃機関の燃料挙動を一つの燃料挙動
モデルで記述することは困難で、量産された内燃機関の
制御則を特定の燃料挙動モデルに基づき設計しても、各
機関毎の制御精度を確保するのは困難である。
そこで本実施例では、こうした内燃機関2の特性変動
やばらつきによって生ずる制御誤差を補償するため、前
述の(1)及び(2)式で記述された燃料挙動モデルを
次式(8)及び(9)式の如く変形し、この変形された
燃料挙動モデルに基づき制御則を決定している。
即ち、まず上記(1)及び(2)式で記述された燃料
挙動モデルにおいて、蒸発燃料量fv及び燃料蒸発量V fw
は、付着燃料量fw,燃料噴射量fiに比べて著しく小さ
く、モデルパラメータR,S,Dに変動があっても制御精度
には殆ど影響しない。そこで本実施例では,(1)及び
(2)式で記述された燃料挙動モデルに、制御精度に大
きな影響を与えるパラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRを加え
ることによって(8)及び(9)式の燃料挙動モデルを
設定し、この燃料挙動モデルに基づき制御則を決定する
ことで、前述のモデル誤差算出部B16において推定され
るモデル誤差ΔP,ΔRを用いて制御則を補正し、燃料噴
射量の制御精度を補償するようにしている。
次に上記(8)及び(9)式で記述された燃料挙動モ
デルに基づく本実施例の制御則の設計手順について説明
する。
上記燃料挙動モデルは非線形であるので、線形制御理
論を適用するために、燃料挙動モデルを線形近似する。
上記(8)及び(9)式において、 とおくと、上記(8)及び(9)式は で表すことができる。
ここで、 で定常となるとき、 とすると、上式(17)及び(18)は次式(19)、(20)
に示す如くなる。
上式(17)〜(20)より、 次に、上式(21),(22)において、 とおくと(21),(22)式は次式(26),(27)の如く
なる。
この(26)及び(27)において、X(k)→0とすれ
ば、Y(k)=0となり, となる。従って上式(26)の最適レギュレータを設計す
ればよい。即ち、離散型リカッチ方程式を解くことで、
最適制御は次式(28)の如く求まる。
またこの(28)式は、上記(23)及び(24)式より次式
(29)の如くなる。
従って、上記(19)及び(20)式において、 について解ければ上式(29)が確定し、 を求めることができるようになる。
本実施例の場合、上式(30)は前述の(10)〜(16)
式より、次式(31)の如くなり、 (即ちfwr、fvr、fir)が夫々次式(32)〜(34)の如
く求まる。
fwr=β11・V fw(k)+β12{f cr(k)−(1−R
−S)・fi(k)}+β13{ΔP・fw(k)+ΔR・fi
(k)} …(32) fvr=β21・V fw(k)+β22{f cr(k)−(1−R
−S)・fi(k)}+β23{ΔP・fw(k)+ΔR・fi
(k)} …(33) fir:β31・V fw(k)+β32{f cr(k)−(1−R−
S)・fi(k)}+β33{ΔP・fw(k)+ΔR・fi
(k)} …(34) (但し、β11〜β33は定数) 従ってこれら各式(32),(33),(34)式を上記
(29)式に代入することによって、制御入力 即ちfi(k)を求めるための演算式(即ち,本実施例の
制御則)が次式(35)の如く求まる。
fi(k+1)=f1・fw(k)+f2・fv(k)+f3・f cr
(k)+f4・V fw(k)+f5・ΔP・fw(k)+f6・Δ
R・fi(k) …(35) 尚、この(35)式は、第3図において燃料噴射量fiを
算出するための各部、即ち各種乗算部B3,B6,B9,B10,B17
〜B20、及び加算部B21〜B25を記述している。またこの
(35)式における状態変数,即ち付着燃料量fw及び蒸発
燃料量fvは、第3図の状態変数推定部B7において算出さ
れるが、状態変数推定部B7は、前述の状態方程式(8)
をそのまま用いて状態変数fw及びfvを算出するようにさ
れている。
一方第3図において、切換スイッチB11,各種算出部B1
2〜B16,加算部B26,正弦波発生部B27,増幅部B28及び切換
信号発生部29は、上記(35)式におけるモデルパラメー
タP,Rの誤差ΔP,ΔRを推定するためのものである。そ
こで次にこうしたモデル誤差推定系の設計方法について
説明する。
既述したように、上記(1)及び(2)式の燃料挙動
モデルにおいて、蒸発燃料量fv及び燃料蒸発量V fwは、
付着燃料量fw,燃料噴射量fiに比べ著しく小さく、モデ
ルパラメータR,S,Dに変動があっても制御精度には殆ど
影響しないため、これら各値を無視する。すると燃料挙
動モデルは次式(36)及び(37)の如く簡素化できる。
fw(k+1)=P・fw(k)+Rfi(k) …(36) fc(k)=(1−P)fw(k)+(1−R)fi(k) …(37) 次に上式において、制御入力をfi、制御出力をfcとし
て、Z変換を行ない、上記モデルの伝達関数を導く。尚
Z変換の手法等については、三谷政昭著「デジタルフィ
ルタデザイン」(昭晃堂)等に詳解されているので、詳
しい説明は省略する。
まず上式(36)及び(37)をZ変換すると、これら各
式は次式(38),(39)の如くなり、 ZFw(Z)=PFw(Z)+RFi(Z) …(38) Fc(Z)=(1−P)Fw(Z)+(1−R)Fi(Z) …(39) (但し、Fw(Z),Fi(Z),Fc(Z)は、夫々、fw,fi,
fcのZ変換値) 上式(38)からFw(Z)は次式(40)の如く記述でき
る。
Fw(Z)=R・Fi(Z)/(Z−P) …(40) そこで上式(40)を(39)式に代入すると、 Fc(Z)=H(Z)・Fi(Z) …(41) 但し、 となり、伝達関数H(Z)が得られる。
そこで次に燃料噴射弁32から実際に燃料噴射を行なう
燃料噴射量fiを、次式(43)の如く、上記演算式(35)
により算出される通常の燃料噴射量f iOに既知変動分f
iDを加えたものとする。
fi=f iO+f iD→Fi(Z)=F iO(Z)+F iD(Z) …(43) この場合燃料噴射量fi0は、通常、空燃比が理論空燃
比(14.7)となるように設定されるため、上記演算式
(35)が実際の内燃機関2の特性に対応しているとする
と、シリンダ2a内への流入燃料量fcは理論空燃比に対応
した燃料量f cOと燃料噴射量fiの既知変動分f iDにより
次式(44)の如くなり、 fc=f cO+f cD …(44) 上記(41)式は、次式の如く記述できる。
Fc(Z)=F cO(Z)+F cD(Z)=H(Z)・F iO
(Z)+H(Z)・F iD(Z) …(45) 従ってシリンダ内への流入燃料量fcの変動量f cDは、
次式(46)の如く記述でき、 F cD(Z)=H(Z)・F iD(Z) …(46) 燃料噴射量に加えた既知変動量f iDによる流入燃料の変
動量f cDが分かれば、次式(47)の如くシステムの伝達
関数H(Z)が分かる。
H(Z)=F cD(Z)/F iD(Z) …(47) 一方、シリンダ2a内流入燃料の変動量f cDは、空燃比
センサ19により検出された空燃比A/Fの理論空燃比から
のずれと、シリンダ2a内に流入した空気量mcとが分かれ
ば、次式(48)の如く計算できる。
(但し、Mc(Z),A/F(Z)は夫々、流入空気量mc,空
燃比検出結果A/FのZ変換値) そこで本実施例では、上記(35)式により求めた燃料
噴射量fiに加える既知外乱f iDとして、振幅A、周波数
fの正弦波を考え、燃料噴射量fiに所定の周期T[se
c.]で逐次加算すると共に、この正弦波の周波数fを所
定時間毎に変更し、この周波数の異なる正弦波毎に生ず
る空燃比の変動量から、モデルパラメータP,Rの誤差Δ
P,ΔRを推定する。
即ち、まず既知外乱f iDを振幅A,周波数fの正弦波と
したときの既知外乱のZ変換値F iD(Z)は、次式(4
9)の如く記述でき、 伝達関数H(Z)のシステムへ上記(49)式の入力を加
えたときの出力振幅,即ち流入燃料変動量は、次式(5
0)の如く算出できる。
このため前述の第3図に示したように、(35)式で求
めた燃料噴射量fiに、周波数fの異なる2種の変動成分
Δfiを順次重畳し、これにより生ずるシリンダ2a内への
流入燃料量の2種の変動成分の振幅を、第1及び第2A/F
変動量ΔAF1及びΔAF2とシリンダ2a内への流入空気量mc
とに基づき、第1及び第2流入燃料変動量f cD1,f cD2
として算出すれば、上記(50)式に基づき、これら各値
f cD1,f cD2からモデルパラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRを
算出することが可能となる。
尚モデルパラメータP,Rの算出は、上記(50)式から
なる連立方程式を解くことにより行なうことができる
が、本実施例では、上記(50)式に基づき、第1及び第
2流入燃料変動量f cD1,f cD2からモデルパラメータP,R
を求めるための第6図に示す如きマップを予め設定して
おき、このマップを用いてモデルパラメータP,Rを算出
するようにされており、その算出結果と設計時のモデル
パラメータP,Rとの差を求めることにより、誤差ΔP,Δ
Rを推定するようにされている。
次に電子制御回路30で実行される燃料噴射制御を第4
図及び第5図に示すフローチャートに基づいて説明す
る。尚、以下の説明では、現在の処理において扱われる
量を添字(k)を付して表わし、前回(即ち,内燃機関
2の1サイクル前)の処理で求めた値を添字(k−1)
を付して表わす。
まず第4図は内燃機関2の始動と共に開始され、内燃
機関2の運転中繰り返し実行される燃料噴射制御のメイ
ンルーチンを表わすフローチャートである。
図に示す如くこの処理が開始されると、まずステップ
100を実行して、付着燃料量w(k−1)、蒸発燃料
量v(k−1)、燃料噴射量fi(k−1)に所定の初
期値を設定誌、続くステップ110に移行して、上記各セ
ンサからの出力信号に基づき、吸気管圧力PM(k)、吸
気温度THA(k)、内燃機関2の回転速度ω(k)及び
冷却水温THW(k)を求める。
次にステップ120では、上記ステップ110で求めた吸気
管圧力PM(k)と、内燃機関2の回転速度ω(k)とに
基づき、内燃機関2の負荷に応じた目標燃空比λrを算
出する。尚このステップ120では、通常、空気過剰率が
1(即ち理論空燃比)となるように目標燃空比λrが設
定され、内燃機関2の高負荷運転時等には燃料を通常よ
り増量して内燃機関の出力を上げるために目標燃空比λ
rがリッチ側に設定され、内燃機関2の軽負荷運転時等
には、燃料を通常より減量して燃費を向上するために目
標燃空比λrがリーン側に設定される。
ステップ120で目標燃空比λr(k)が設定される
と、今度はステップ130に移行し、上記ステップ120で求
めた吸気管圧力PM(k)と吸気温度THA(k)と内燃機
関2の回転速度ω(k)とに基づき、前述の(4)式ま
たはデータマップを用いてシリンダ2a内に流入する空気
量mc(k)を算出する筒内流入空気量算出部B4としての
処理を実行する。
また続くステップ140では、上記ステップ110で求めた
冷却水温THW(k)と吸気管圧力PM(k)とに基づき、
壁面付着燃料の蒸発速度Vfを求め、その値を内燃機関2
の回転速度ω(k)で除算することによって、内燃機関
2の1サイクル間に吸気管4壁面から蒸発する燃料量
(即ち燃料蒸発量)V fw(k)を算出する、燃料蒸発速
度算出部B1及び燃料蒸発量算出部B2としての処理を実行
する。
そして次ステップ150では、ステップ140で求めた燃料
蒸発量V fw(k)と、後述のモデル誤差算出処理で求め
たモデルパラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRと、前回の燃料
噴射量fi(k−1)と、前回求めた状態変数量w(k
−1)及びv(k−1)とに基づき、前述の(8)式
を用いて、状態変数量,即ち付着燃料量w(k)及び
蒸発燃料量v(k)を推定する、状態変数推定部B7と
しての処理を実行する。
また次にステップ160では、ステップ120で設定した目
標燃空比λr(k)とステップ130で求めた空気量m
(k)とを乗算して、シリンダ2a内に流入する目標燃料
量f cr(k){=λr・mc}を算出する、目標燃料量算
出部B5としての処理を実行する。
そして続くステップ170では、上記ステップ140〜ステ
ップ160で求めた燃料蒸発量V fw(k),付着燃料量
w(k),蒸発燃料量v(k)及び目標燃料量λr・
mc(k)と、後述のモデル誤差算出処理で算出されたモ
デルパラメータP,Rの誤差ΔP、ΔRとに基づき、前述
の(35)式を用いて燃料噴射量fi(k)を算出する。
また続くステップ180では、上記求めた燃料噴射量fi
(k)に、後述のモデル誤差算出処理で設定される変動
成分Δfiを加算して、燃料噴射弁32から実際に燃料噴射
を行なうための燃料噴射量TAUを決定し、続くステップ1
90に移行して、上記クランク角センサ24からの検出信号
に基づき決定される燃料噴射タイミングで、ステップ18
0を求めた噴射量TAUに応じて燃料噴射弁32を開弁し、燃
料噴射を行なう燃料噴射実行処理を実行する。
このステップ190で燃料噴射が行なわれ、内燃機関2
への燃料供給が一旦終了すると、ステップ200に移行
し、今回の処理で求めた状態変数量w(k),v
(k)、及び燃料噴射量fi(k)を、次回の処理のため
に、夫々、w(k−1),v(k−1),fi(k−
1)に置き換え、再度ステップ110に移行する。
次に第5図は、上記第4図のメインルーチンに対して
所定時間(本実施例では10msec.)毎の割り込み処理と
して実行されるモデル誤差算出処理を表わすフローチャ
ートである。
図に示す如くこのモデル誤差算出処理では、まずステ
ップ210を実行し、上記ステップ180で燃料噴射弁32から
の燃料噴射量TAUを設定する際に用いられる燃料噴射量f
iの変動成分Δfiを次式(51)を用いて算出する、正弦
波発生部B27及び増幅部B28としての処理を実行する。
Δfi=Asin2πfnT …(51) 但し、n:当該モデル誤差算出処理の実行毎にインクリ
メントされる定数,T:周期(本実施例では10msec.),f:
後述のステップ290又はステップ350にて設定される周波
数,A:振幅(一定値) そして続くステップ220では、空燃比センサ19からの
出力信号に基づき空燃比A/F(n)を検出してRAM44内に
格納し、次ステップ230で上記定数nをインクリメント
して、ステップ240に移行する。
ステップ240では、上記インクリメントされた定数n
の値から、前回次ステップ250以降の処理を実行した
後、所定のサンプリング時間(10sec.)が経過したか否
か、即ち上記ステップ230で空燃比A/Fの検出データが所
定数サンプリングされたか否かを判断する。そしてこの
ステップ240で所定のサンプリング時間が経過していな
いと判断されるとそのまま当該処理を一旦終了し、逆に
所定のサンプリング時間が経過したと判断されると、ス
テップ250に移行して、後述のステップ280及びステップ
340にてセット・リセットされるフラグFがセットされ
ているか否かを判断する。
ここで上記フラグFは、電子制御回路30の起動時に実
行される図示しない初期化の処理によって、制御開始時
にはリセット状態に設定される。またこの初期化の処理
では、上記ステップ210にて燃料噴射量fiの変動成分Δf
iを算出する際に用いる周波数fとして、第1周波数f1
(1Hz)が設定され、更に定数nとして初期値(0)が
設定される。
従ってこのモデル誤差算出処理が開始された直後に
は、変動成分Δfiとして、振幅A,周波数f1の正弦波が生
成され、燃料噴射量fiに重畳される。そして当該モデル
誤差算出処理が繰り返し実行されることにより、ステッ
プ220にて、周波数f1の変動成分Δfiを重畳している際
の空燃比A/Fの検出データが順次サンプリングされ、こ
のサンプリング数が所定値に達すると、ステップ250に
おいてフラグFがリセット状態であると判断されること
となる。
次に上記のようにステップ250にて、フラグFがリセ
ット状態であると判断されると、ステップ260に移行
し、上記ステップ220にてサンプリングされたA/F検出デ
ータから、燃料噴射量fiに周波数f1の変動成分Δfiを重
畳した際に生ずる空燃比の変動量を表わす第1A/F変動量
ΔAF1を算出する、第1A/F変動量算出部B12としての処理
を実行する。
そして続くステップ270では、上記算出された第1A/F
変動量ΔAF1と前述のステップ130にて算出された最新の
空気量mcとを乗ずることにより、第1流入燃料量変動量
f cD1を算出する、第1流入燃料変動量算出部B14として
の処理を実行し、次ステップ280にてフラグFをセット
し、続くステップ290にて上記変動成分Δfiの周波数f
を第2周波数f2(10Hz)に変更し、更にステップ300に
て上記定数nに初期値(0)を設定した後、当該処理を
一旦終了する。
このようにステップ290にて燃料噴射量fiに重畳する
変動成分Δfiの周波数fとして第2周波数f2(10Hz)が
設定された後は、ステップ210の処理によって、燃料噴
射量fiには振幅A,周波数f2の変動成分Δfiが重畳される
ようになる。そして当該モデル誤差算出処理が繰り返し
実行されることにより、ステップ220にて、周波数f2の
変動成分Δfiを重畳している際の空燃比A/Fの検出デー
タが順次サンプリングされ、このサンプリング数が所定
値に達すると、再度ステップ250が実行され、今度はフ
ラグFがセット状態であると判断されることとなる。
このようにステップ250にて、フラグFがセット状態
にあると判断されると、ステップ310に移行し、上記ス
テップ220にてサンプリングされた複数のA/F検出データ
から、燃料噴射量fiに周波数f2の変動成分Δfiを重畳し
た際に生ずる空燃比の変動量を表わす第2A/F変動量ΔAF
2を算出する、第2A/F変動量算出部B13としての処理を実
行する。
そして続くステップ320では、上記算出された第2A/F
変動量ΔAF2と前述のステップ130にて算出された最新の
空気量mcとを乗ずることにより、第2流入燃料量変動量
f cD2を算出する第2流入燃料変動量算出部B15としての
処理を実行し、ステップ330に移行する。
ステップ330では、ステップ270及びステップ320にて
夫々算出された第1及び第2流入燃料変動量f cD1,f cD
2を読み出し、これら各値f cD1,f cD2に基づき、モデル
パラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRを算出するモデル誤差算
出部B16としての処理を実行する。
尚このステップ330は、既述したように、上記各流入
燃料変動量f cD1,f cD2に基づき、まず第6図に示した
如きマップを用いてモデルパラメータP,Rを推定し、こ
の推定値と設計時の値との偏差をとることにより誤差Δ
P,ΔRを算出するといった手順で実行され、例えば第1
流入燃料変動量f cD1が0.67,第2流入燃料変動量f cD2
が0.29の場合には、モデルパラメータPが0.95,モデル
パラメータRが0.70であると算出される。
そしてこのステップ330にて、モデルパラメータP,Rの
誤差ΔP,ΔRが算出されると、次ステップ340にてフラ
グFをリセットし、続くステップ350にて上記変動成分
Δfiの周波数fを第1周波数f1(10Hz)に変更し、更に
ステップ300にて上記定数nに初期値(0)を設定した
後、当該処理を一旦終了する。
この結果ステップ310〜ステップ350の一連の処理が実
行された後は、燃料噴射量fiに重畳する変動成分Δfiは
再度周波数f1の正弦波になり、再びステップ260〜ステ
ップ290の処理が実行されるようになる。
以上説明したように本実施例の燃料噴射制御装置で
は、燃料挙動モデルに則って設定された演算式(35)に
より算出される燃料噴射量fiに、所定時間毎に周波数f
がf1,f2と変化する正弦波変動成分Δfiを加えて、燃料
噴射量TAUを決定し、この燃料噴射量TAUで燃料噴射を行
なうことにより生ずる各周波数f1,f2毎の空燃比の変動
量ΔAF1,ΔAf2から、内燃機関2への流入燃料の変動量f
cD1,f cD2を求め、この流入燃料変動量f cD1,f cD2に
基づき、モデルパラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRを算出し
て、燃料噴射量算出系にフィードバックするようにされ
ている。
この結果、内燃機関の特性変動、或はそのばらつき等
によって設計時の燃料挙動モデルが実際の内燃機関と対
応しなくなっても、これによる制御誤差を良好に補正す
ることが可能となり、空燃比の制御精度を向上できる。
またモデルパラメータの推定に当たっては、従来技術
に記載した装置のように最小二乗推定式等の複雑な演算
式を使用することなく、簡単な計算で推定することがで
きるので、その演算時間を短縮でき、従来より内燃機関
の制御装置に使用されているマイクロコンピュータをそ
のまま使用して実現できる。
また更に誤差ΔP,ΔRの推定には、空燃比センサによ
り検出された空燃比変動量ΔA/Fを用いるため、モデル
パラメータPを精度よく推定することができる。つまり
空燃比の検出値自体に誤差があっても、その変動量は問
題なく検出できるので、誤差ΔP,ΔRを精度よく推定す
ることが可能となり、空燃比の制御精度を向上できる。
また本実施例では、燃料噴射量fiに正弦波変動成分Δ
fiを重畳することにより、空燃比を、目標空燃比(通常
は理論空燃比)を中心に振動させるので、空燃比センサ
19の周囲雰囲気も、リッチからリーンへ、或いはリーン
からリッチへと頻繁に変化することとなり、空燃比セン
サ19を速やかに活性化することができる。
ここで上記実施例では、モデルパラメータP,Rの誤差
ΔP,ΔRを求めるために、正弦波変動成分Δfiの周波数
fを変更するようにしたが、前述の(50)式から明らか
なように流入燃料変動量は変動成分Δfiの振幅Aによっ
ても変化するため、正弦波変動成分Δfiの振幅Aを変更
し、各振幅における流入燃料変動量を求めるようにする
ことによってもモデルパラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRを
算出することができる。
また上記実施例では、2種の流入燃料変動量からモデ
ルパラメータP,Rを求め、この値と設計時のモデルパラ
メータとの偏差から誤差ΔP,ΔRを算出するようにした
が、2種の流入燃料変動量から誤差ΔP,ΔRを求めるた
めのマップを予め作成しておき、制御実行時には2種の
流入燃料変動量からモデルパラメータP,Rの誤差ΔP,Δ
Rを直接算出するようにしてもよい。
また更に上記実施例では、(50)式を導く基礎式とし
て、燃料挙動モデルにおけるモデルパラメータR,S,Dを
無視した(36),(37)式を用いたが、これら各値は固
定値として、Z変換を行ない、上記と同様の手順で上記
(50)式を導き、モデルパラメータ推定系を設計するよ
うにしてもよい。
また上記実施例では、モデル誤差として、制御に大き
な影響を与えるモデルパラメータP,Rの誤差ΔP,ΔRを
推定するように構成したが、燃料噴射量fiに加える変動
成分Δfiの特性を更に増やすことにより、他のモデルパ
ラメータD,Q,Sの誤差ΔD,ΔQ,ΔSについても推定する
ようにしてもよい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の内燃機関の燃料噴射量
制御装置では、内燃機関への燃料噴射量に変動成分を与
えると共に、この変動成分の特性を変更し、各変動成分
の特性毎に生ずる空燃比の変動量からモデル誤差を推定
し、この推定結果に基づき制御則を補正するようにされ
ている。このため内燃機関の特性変動或は特性のばらつ
き等によって、設計時の燃料挙動モデルが実際の内燃機
関に対応しなくなった場合にも、これによる制御誤差を
補償することができ、空燃比の制御精度を向上できる。
またモデル誤差は、従来技術に記載した装置のように最
小二乗推定式のような複雑な演算を行なうことなく、空
燃比の変動量から簡単に求めることができるので、制御
装置に高速処理の可能な高価なマイクロコンピュータを
使用することなく、従来より内燃機関制御装置に使用さ
れているマイクロコンピュータで充分実現が可能とな
る。また更にモデル誤差の推定には、空燃比の検出結果
を直接使用せず、その変動量を用いるため、空燃比を検
出するセンサの劣化等によって空燃比の検出値に誤差が
生じても、モデルパラメータを精度よく推定することが
可能となり、これによっても空燃比の制御精度を向上で
きる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の構成を表すブロック図、第2図は実施
例の内燃機関及びその周辺装置を表す概略構成図、第3
図は電子制御回路による燃料噴射制御のための制御則を
表わすブロック図、第4図は電子制御回路で実行される
燃料噴射制御のためのメインルーチンを表わすフローチ
ャート、第5図は電子制御回路で所定時間毎に実行され
るモデル誤差算出処理を表わすフローチャート、第6図
は流入燃料変動量f cD1,f cD2に基づきモデルパラメー
タP,Rを求めるためのマップを説明する説明図、であ
る。 M1……運転状態検出手段 M2……燃料噴射量算出手段 M3……燃料噴射実行手段 M4……空燃比検出手段 M5……燃料噴射量変動制御手段 M6……変動成分特性変更手段 M7……空燃比変動量算出手段 M8……モデル誤差推定手段 M9……補正手段、E/G,2……内燃機関 12……吸気圧センサ、14……吸気温センサ 19……空燃比センサ、20……回転速度センサ 26……水温センサ、30……電子制御回路 32……燃料噴射弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−238150(JP,A) 特開 平3−117653(JP,A) 特開 平2−91436(JP,A) 特開 昭62−85149(JP,A) 特開 昭63−239340(JP,A) 特開 昭63−259140(JP,A) 特開 昭59−196930(JP,A) 特開 昭56−23531(JP,A) 特開 平1−110853(JP,A) 特公 平7−35743(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の運転状態を検出する運転状態検
    出手段と、 該運転状態検出手段の検出結果に基づき、内燃機関のシ
    リンダ内に流入する燃料の挙動を記述した燃料挙動モデ
    ルに基づき予め設定された制御則に従って、内燃機関へ
    の燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、 該燃料噴射量算出手段の算出結果に応じて内燃機関に燃
    料を噴射供給する燃料噴射実行手段と、を備えた内燃機
    関の燃料噴射量制御装置において、 内燃機関の排気成分に基づき、内燃機関に供給された燃
    料混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、 上記燃料噴射量算出手段の算出結果に所定の変動成分を
    重畳して、上記燃料噴射実行手段からの燃料噴射量を変
    動させる燃料噴射量変動制御手段と、 該燃料噴射量変動制御手段が上記燃料供給量算出手段の
    算出結果に重畳する変動成分の特性を変更する変更成分
    特性変更手段と、 該変動成分特性変更手段により変動成分特性が変更され
    る度に、上記空燃比検出手段の検出結果に基づき空燃比
    の変動量を算出する空燃比変動量算出手段と 該空燃比変動量算出手段にて算出される各変動成分特性
    毎の空燃比の変動量に基づき、上記燃料挙動モデルの誤
    差を推定するモデル誤差推定手段と、 該推定されたモデル誤差に基づき、上記燃料噴射量算出
    手段の制御則を補正する補正手段と、 を設けたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装
    置。
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