JP2705165B2 - 多気筒内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の燃料噴射量制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、エアフロメータを用いて検出された吸気流
量に基づき気筒内に流入する吸気量を推定し、該推定結
果に応じて燃料噴射量を制御する多気筒内燃機関の燃料
噴射量制御装置に関する。
[従来の技術] 従来より、内燃機関の燃料噴射量制御装置の一つとし
て、エアフロメータを用いて内燃機関吸気系での吸気流
量GNを検出し、この検出結果GNと内燃機関の回転速度NE
とに基づき燃料噴射量を制御する装置が知られている。
この種の制御装置は、吸気行程時に気筒内に流入する吸
気量GAが、エアフロメータで検出された吸気流量GNと回
転速度NEとにより、 GA=K・GN/NE (但し、K:定数) と記述できることに着目してなされたもので、吸気流量
GNと回転速度NEとに基づき燃料噴射量を決定すること
で、気筒内に流入する燃料混合気の空燃比を所望の値に
制御している。
[発明が解決しようとする課題] ところが上記のように燃料噴射量制御を行なった場
合、内燃機関が定常運転されている場合には、制御を良
好に行なうことができるものの、内燃機関の運転条件が
変化する過渡運転時には、空燃比を内燃機関の運転状態
に応じて良好に制御することができないといった問題が
あった。
これは吸気の脈動を抑えるために吸気通路に設けられ
たサージタンクによって、エアフロメータで検出された
吸気流量GNと、実際に気筒内に流入する吸気量GAとが対
応しなくなってしまうからである。
つまり内燃機関の加速開始時には、エアフロメータを
通過した空気が一時サージタンク内に蓄えられ、気筒内
への吸気量がGN/NEで推定される値より少なくなると
か、逆に内燃機関の減速開始時には、サージタンク内の
空気が内燃機関の気筒内に入り、エアフロメータで検出
された以上の空気が気筒内に入るといったことがあり、
従来の装置では、例えば第6図に点線で示す如く、時点
t1で内燃機関が加速されるとその後しばらくの間空燃比
が目標空燃比よりリッチ側に大きくずれ、逆に時点t2で
内燃機関が減速されると、その後しばらくの間空燃比が
目標空燃比よりもリーン側に大きくずれてしまうのであ
る。
そこで本願出願人は、特願昭63−125292号により、エ
アフロメータで検出された吸気流量から内燃機関の気筒
内に実際に吸入される吸気量GAを推定する吸気量推定装
置を提案した。この提案の推定装置は、内燃機関に於け
る吸気の質量保存則を記述した物理モデルに基づき設定
された次式(1)を用い、 GA(k+1)=α・GN/NE+β・GA(k) …(1) (但し、α,β:定数、GA(k):前回の推定値) 所謂現代制御理論に則って吸気量GAを推定するものであ
るため、気筒内に実際に流入する吸気量GAを精度よく推
定することができ、この推定結果を用いて燃料噴射量を
決定すれば、空燃比の制御精度を向上できる。
ところでこの提案の吸気量推定装置では、吸気量GAを
推定するための上記(1)式が、内燃機関の吸気サイク
ルをサンプリング周期として設定されるため、吸気量GA
の推定は内燃機関の吸気サイクルに同期して行なう必要
があり、例えば4気筒4サイクル内燃機関では内燃機関
の2回転に4回,6気筒4サイクル内燃機関では内燃機関
2回転に6回というように、多気筒内燃機関では内燃機
関の1回転当りに複数回吸気量GAの推定を行なう必要が
ある。
このためこの吸気量推定装置を多気筒内燃機関の燃料
噴射量制御装置に適用して、燃料噴射量算出用の吸気量
GAを推定するには、燃料噴射量を算出するための演算時
間及び燃料噴射弁の開弁時間を考慮して、内燃機関の吸
気サイクル毎に上記(1)式を用いた吸気量の推定を複
数回演算を行ない、吸気流量の検出時点から所定の吸気
サイクル先(例えば内燃機関の3ストローク先)の吸気
量GAを推定しなければならい。
従って上記吸気量推定装置を燃料噴射量制御にそのま
ま適用しただけでは、吸気量GAの推定後の運転変動に伴
い生ずる吸気量変動に対しては何等対処することはでき
ず、従来の装置よりは空燃比の制御精度を向上できるも
のの、内燃機関の過渡運転時に空燃比が目標空燃比から
ずれてしまうといったことがあった。
そこで本発明は、上記演算式(1)を用いて内燃機関
の吸気量を推定し、その推定結果に基づき内燃機関の燃
料噴射量を制御する装置において、内燃機関の過渡運転
時にも、空燃比を精度よく制御できるようにすることを
目的としてなされた。
[課題を解決するための手段] 即ち上記目的を達するためになされた本発明は、第1
図に例示する如く、 内燃機関M1の吸気通路M2を流れる吸気の流量を検出す
る吸気流量検出手段M3と、 内燃機関M1の回転速度を検出する回転速度検出手段M4
と、 内燃機関M1における吸気の質量保存則を記述した物理
モデルに基づき設定され、内燃機関各気筒の吸気行程に
同期した吸気サイクルをサンプリング周期として離散化
された次式(1) GA(k+1)=α・GN/NE+β・GA(k) …(1) (但し、α,β:定数、GA(k):前回の推定値、GN:
吸気流量、NE:内燃機関の回転速度) を用いて、上記吸気サイクルに同期した周期で、上記各
検出手段M3,M4の検出結果に基づき、所定の吸気サイク
ル先に吸気行程となる気筒内への吸気量を推定する吸気
量推定手段M5と、 該推定された吸気量に基づき、該吸気量と対応する気
筒に対する燃料の同期噴射量を算出する同期噴射量算出
手段M6と、 上記吸気量推定手段M5が吸気量を推定した後、該吸気
量に対応する気筒が実際に吸気行程に入るまでの間、内
燃機関M1の吸気サイクルに同期した周期で、上記演算式
(1)を用いて、該気筒内への吸気量を再推定する吸気
量再推定手段7と、 内燃機関M1の各気筒毎に、上記吸気量再推定手段M7に
て再推定された吸気量と上記吸気量推定手段M5にて推定
された吸気量とを大小比較し、再推定された吸気量の方
が大きい場合に、該吸気量に対応する気筒に対する非同
期噴射量を、各吸気量の偏差に応じて算出する非同期噴
射量算出手段M8と、 上記同期噴射量算出手段M6にて同期噴射量が算出され
ると、該同期噴射量に応じて、該同期噴射量に対応する
気筒に設けられた燃料噴射弁を駆動し、燃料の同期噴射
を行うと共に、上記非同期噴射量算出手段M8にて非同期
噴射量が算出されると、該非同期噴射量に応じて、該非
同期噴射量に対応する気筒に設けられた燃料噴射弁を駆
動し、燃料の非同期噴射を行う燃料噴射制御手段M9と、 を備えたことを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射
量制御装置を要旨としている。
[作用] 以上のように構成された本発明の多気筒内燃機関の燃
料噴射量制御装置では、吸気流量検出手段M3が、吸気通
路M2を通って内燃機関M1に吸入される空気の流量を検出
し、回転速度検出手段M4が、内燃機関M1の回転速度を検
出する。すると吸気量推定手段M5がその検出結果に基づ
き上記(1)式を用いて、所定の吸気サイクル先に吸気
行程となる気筒内に流入する吸気量を推定し、同期噴射
量算出手段M6が、その推定された吸気量に基づき対応す
る気筒に対する同期噴射量を算出する。
また吸気量推定手段M5が、所定の吸気サイクル先に吸
気行程となる気筒内に流入する吸気量を推定すると、吸
気量再推定手段M7が動作し、吸気量推定手段M5が吸気量
を推定した気筒が実際に吸気行程に入るまでの間、その
気筒に流入する吸気量を再推定する。すると非同期噴射
量算出手段M8が、この再推定結果と吸気量推定手段M5に
よる推定結果とを比較し、再推定結果が吸気量推定手段
M5による推定結果より大きければ、その偏差に応じた燃
料の非同期噴射量を算出する。
そして、燃料噴射制御手段M9は、同期噴射量算出手段
M6にて同期噴射量が算出されると、その算出された同期
噴射量に応じて、対応する気筒に設けられた燃料噴射弁
を駆動し、燃料の同期噴射を行うと共に、非同期噴射量
算出手段M8にて非同期噴射量が算出されると、その算出
された非同期噴射量に応じて、対応する気筒に設けられ
た燃料噴射弁を駆動し、燃料の非同期噴射を行う。
つまり、本発明では、内燃機関の各気筒毎に、その気
筒内に流入する吸気量を推定して、同期噴射によって各
気筒に噴射供給する燃料量を制御する。そして、吸気量
推定後の内燃機関の運転変動によって、推定した吸気量
が実際の吸気量よりも小さくなった場合にも、燃料噴射
量を実際の吸気量に応じて制御できるようにするため
に、吸気量を推定した後も、その気筒が実際に吸気行程
に入るまでの間、吸気量を推定し直し、再推定した吸気
量が同期噴射量の算出に用いた吸気量より大きくなる
と、その偏差に応じて非同期噴射量を算出して、対応す
る気筒に燃料を非同期噴射する。
[実施例] 以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
まず第2図は本発明が適用された4気筒4サイクルの
内燃機関とその周辺装置の構成を表す概略構成図であ
る。
図に示す如く、内燃機関2の吸気通路4には、内燃機
関2に吸入される空気の流量,即ち吸気流量GNを検出す
るためのエアフロメータ6、内燃機関2の各気筒#1〜
#4に流入する吸気量(以下、単に吸気量という。)を
制御するためのスロットルバルブ8、及び吸気の脈動を
抑えるためのサージタンク10が備えられ、排気通路16に
は、排気を浄化するための三元触媒コンバータ20が備え
られている。
また内燃機関2には、その運転状態を検出するための
センサとして、上述のエアフロメータ6の他、ディスト
リビュータ22の回転から内燃機関2の回転速度NEを検出
するための回転速度センサ24、同じくディストリビュー
タ22の回転から内燃機関2の吸気サイクルを検出するた
めのクランク角センサ26、及び冷却水温THWを検出する
ための水温センサ28が備えられている。
尚、ディストリビュータ22はイグナイタ30からの高電
圧を所定の点火タイミングで各気筒#1〜#4の点火プ
ラグ32−1〜32−4に順次印加するためのものである。
また本実施例では、内燃機関2が4気筒4サイクルエン
ジンであり、吸気サイクルは内燃機関2の180℃A毎と
なるため、クランク角センサ26からは、内燃機関2が18
0℃A回転して各気筒が吸気行程に入る度に検出信号が
出力される。またこのクランク角センサ26は、内燃機関
2が720℃A回転して特定の気筒が吸気行程に入る度
に、その旨を表す識別信号を出力するようにされてい
る。
そして上記各センサからの検出信号は論理演算回路と
して構成された電子制御回路40に出力され、各気筒#1
〜#4の吸気分岐管41−1〜41−4に夫々設けられた燃
料噴射弁42−2〜42−4からの燃料噴射量を制御するの
に用いられる。
即ち電子制御回路40は、予め設定された制御プログラ
ムに従って燃料噴射制御のための演算処理を実行するCP
U50、CPU50で演算処理を実行するのに必要な制御プログ
ラムや初期データが予め記録されたROM52、同じくCPU50
で演算処理を実行するのに用いられるデータが一時的に
読み書きされるRAM54、上記各センサからの検出信号を
入力するための入力ポート56、及びCPU50での演算結果
に応じて燃料噴射弁42に駆動信号を出力するための出力
ポート58、等から構成され、内燃機関2の各気筒#1〜
#4に流入する燃料混合気の空燃比が予め設定された目
標空燃比になるように燃料噴射弁42−1〜42−4からの
燃料噴射量を制御する。
このように構成された電子制御回路40では、各気筒#
1〜#4毎に、第3図に示す如き制御則に従って燃料噴
射制御が行なわれる。以下この制御則について簡単に説
明し、その後この制御則の設計手順等について説明す
る。尚、第3図は各気筒毎の燃料噴射制御系を示す図で
あって、ハード的な構成を示すものではなく、実際には
第4図のフローチャートに示したプログラムを実行する
ことにより実現される。またこの図は本発明における同
期噴射量を算出するための制御則を表しており、非同期
噴射量の算出については、第4図のフローチャートに沿
って後で詳しく説明する。
第3図に示すように、本実施例の燃料噴射制御系で
は、まず第1演算部P1で、エアフロメータ6により検出
された吸気流量GNと回転速度センサ24により検出された
回転速度NEとに基づき、前述の(1)式を用いて気筒内
に流入する吸気量GAが算出される。
この第1演算部P1で算出された吸気量GAは第1乗算部
P2に出力され、内燃機関2の運転状態に応じて設定され
る目標燃空比λrに乗算される。即ち、第1乗算部P2で
は、吸気量GAと目標燃空比λrとを乗算することで、内
燃機関2の吸気行程時に気筒内に供給すべき燃料量(以
下、目標燃料供給量という。)GA・λrを算出するので
ある。そして第1乗算部P2で算出された目標燃料供給量
GA・λrは、係数f3乗算部P3に出力され、予め設定され
た係数f3が乗算される。
次に第1演算部P1で算出された吸気量GAは、第2演算
部P4にも出力される。第2演算部P4は、吸気量GAに基づ
き吸気圧力PMを算出するためのもので、その算出結果
は、水温センサ28により検出された冷却水温THWと共に
第3演算部P5に入力される。すると第3演算部P5では、
その入力された冷却水温THWから吸気分岐管41内での飽
和蒸気圧PSを求め、その値と吸気圧力PMとから吸気分
岐管41の内壁面に付着した燃料の一定時間当りの蒸発量
(以下、燃料蒸発量という。)Vfを算出する。そしてそ
の算出された燃料蒸発量Vfは、除算部P6に入力され、回
転速度センサ24により検出された内燃機関2の回転速度
NEによって除算される。またその除算結果Vf/NEは係数f
4乗算部P7に入力され、予め設定された係数f4が乗算さ
れる。
次に上記除算部P6の除算結果Vf/NEはオブザーバP8に
も出力される。オブザーバP8は、除算部P6の除算結果Vf
w(=Vf/NE)と、燃料噴射弁42からの燃料噴射量τと、
前回推定した吸気分岐管41内壁面への付着燃料量w及
び吸気分岐管41内での蒸発燃料量vとから、付着燃料
量fwと蒸発燃料量fvとを推定するためのもので、その推
定結果w及びvには、係数f1乗算部P9及び係数f2乗
算部P10で、夫々係数f1及びf2が乗算される。
そしてこれら乗算部P9及びP10による乗算結果は、他
の係数乗算部P3及びP7での乗算結果と共に、加算部P11
〜P13で加算され、これによって燃料噴射弁42からの燃
料噴射量τが決定される。
即ち本実施例の制御系は、まず気筒内に流入する吸気
量GAを算出し、その算出された吸気量GAと気筒内に流入
する燃料量との比が所望の空燃比となるように燃料噴射
弁42からの燃料噴射量τを決定するように構成されてい
る。
ここで第1演算部P1で吸気量GAを算出するのに用いら
れる前述の(1)式は次のように設定される。
まず吸気通路4内部での空気量の変化は、吸気の質量
保存則により次式(2)の如く記述できる。
(但し、V:吸気通路の容積、C:空気中の音速、PM:吸気
通路内圧力(吸気圧力)、GN:吸気通路を流れる空気流
量(吸気流量)、 上記(2)式から、吸気圧力PMの時間変化は次式
(3)の如く記述でき、 この(3)式を離散化すると、次式(4)が得られる。
また本実施例では、吸気管圧力PMは各気筒の吸気行程
毎に変化するため、上記(4)式のサンプリング周期と
しては内燃機関2の吸気サイクル(180℃A)と対応さ
せればよく、その時間は回転速度NEを用いて30/NEと記
述できるので、上記(4)式は、 と記述できる。(但し、GA:吸気量) 一方内燃機関の体積効率ηを次式(6)の如く仮定す
ると、 η=A・PM+B …(6) (但し、A,B:定数) 吸気量GAは、次式(7)の如く記述できる。
GA=η・ν=A・ν・PM+B・ν …(7) (但し、ν:気筒容積) 従って上記(7)式から、上記(5)式に於ける吸気
圧力PM(k),PM(k+1)は夫々次式(8),(9)
の如く記述できるようになり、 PM(k)={GA(k)−B・ν}/A・ν …(8) PM(k+1)={GA(k+1)−B・ν}/A・ν …(9) これら各式を(5)式に代入すると次式(10)が得られ
る。
GA(k+1)=A・ν・30・GN・C2/NE・V +GA(k)・{1−A・ν・C2/V} …(10) この(10)式は吸気量GAの挙動を表わしており、(A
・ν・30・C2/V)を定数αとし、(1−A・ν・C2/V)
を定数βとすると、上記(10)式は前述の(1)式の如
く記述できる。従って各定数α及びβを周知の同定法に
よって決定すれば、吸気サイクル(180℃A)をサンプ
リング周期として吸気量GAを求めるための前述の演算式
(1)が設定できる。
また次に第3図の制御系は、各気筒の吸気分岐管41内
壁面への付着燃料量fwと吸気分岐管41内での蒸発燃料量
fvとを状態変数として、内燃機関2における燃料挙動を
記述した物理モデルに則って設計されたものである。そ
こで次にこの制御系の基準となる物理モデルの構築,及
びこれに基づく制御系の設計方法について説明する。
尚、この種の制御系の設計方法としては、例えば、古
田勝久著「実システムのデジタル制御」システムと制
御,Vol.28,No.12(1984年)計測自動制御学会等に詳し
いので、ここでは簡単に説明する。また本実施例では、
スミス−デェビソン(Smith−Davison)の設計法を使用
するものとする。
まず内燃機関2の1サイクル(即ち720℃A)当りに
各気筒内に流入する燃料の総量(総燃料量)Fcは、各燃
料噴射弁42からの噴射燃料の総量(総燃料噴射量)Tau
と、各吸気分岐管41壁面への付着燃料の総量(総付着燃
料量)Fwと、各吸気分岐管41内での蒸発燃料の総量(総
蒸発燃料量)Fvとを用いて次式(11)のように記述する
ことができる。
Fc=γ1・Tau+γ2・Fw+γ3・Fv …(11) 即ち総燃料量Fcは、各燃料噴射弁42からの噴射燃料の
直接燃料量γ1・Tauと、その噴射燃料が付着した吸気
分岐管41からの間接流入量γ2・Fwと、噴射燃料或は壁
面付着燃料の蒸発により吸気分岐管41内部に存在する蒸
発燃料の流入量γ3・Fvとの総和であると考えられるこ
とから、上式(11)のように総燃料量Fcを記述すること
ができるのである。
上式(11)において、総燃料噴射量Tauは各燃料噴射
弁42の制御量の総和によって定まるので、吸気分岐管41
での総付着燃料量Fw及び総蒸発燃料量Fvを知ることがで
きれば総燃料量Fcを予測することができる。
そこで次にこの総付着燃料量Fw及び総蒸発燃料量Fvに
ついて考える。
まず総付着燃料量Fwは、各気筒の吸気行程毎に気筒内
へ流入することによってその一部γ2が減少する他、吸
気分岐管41内部への蒸発によって減少し、燃料噴射弁42
からの噴射燃料の一部γ4が付着することによって増加
する。また吸気分岐管41壁面からの燃料の蒸発量は、周
囲の温度や圧力によって決定される一定時間当りの燃料
蒸発量(即ち燃料の蒸発速度)Vfと回転速度NEとを用い
てγ5・Vf/NEとして表すことができる。このため吸気
分岐管41壁面への総付着燃料量Fwは、内燃機関2の1サ
イクルをサンプリング周期として、次式(12)に示す如
く記述できる。
Fw(n+1)=(1−γ2)・Fw(n)+γ4・Tau (n)−γ5・Vf(n)/NE(n) …(12) 一方吸気分岐管41内部での総蒸発燃料量Fvは、吸気行
程時の気筒内への流入によってその一部γ3が減少する
他、燃料噴射弁42からの噴射燃料の一部γ6が蒸発する
ことによって増加し、更に上記付着燃料の蒸発によって
増加する。このため吸気分岐管41内の総蒸発燃料量Fv
は、上記(12)式と同様に、内燃機関2の1サイクルを
サンプリング周期として、次式(13)に示す如く記述で
きる。
Fv(n+1)=(1−γ3)・Fv(n)+γ6・Tau (n)+γ5・Vf(n)/NE(n) …(13) 次に気筒内に吸入された総燃料量Fcは、燃料混合気の
燃空比λと各気筒内に流入した吸気の総量GAXとから、
次式(14)のように記述できる。
Fc(n)=GAX(n)・λ(n) …(14) このため上記(12)〜(14)式を整理すれば、内燃機
関2の1サイクルをサンプリング周期として離散系で表
現された、内燃機関2の全気筒における燃料の挙動を記
述するモデル基礎式が次式(15)及び(16)の如く得ら
れる。
そこで次に上記(15)及び(16)式に基づき、内燃機
関2の各気筒毎の燃料挙動を記述したモデル基礎式を作
成する。即ち上記(15)及び(16)式は内燃機関2の全
気筒における燃料の挙動を記述しており、また本実施例
では内燃機関2が4気筒4サイクル型であるため、上記
演算式を1/4にすることで、内燃機関2の180℃Aをサン
プリング周期として各気筒毎の燃料挙動を記述する次式
(17)及び(18)の如きモデル基礎式を作成するのであ
る。
そして上記各式(17)及び(18)の係数δ2〜δ6を
周知のシステム同定の手法により決定すれば、内燃機関
2の吸気サイクルをサンプリング周期として離散系で表
現された、各気筒の吸気分岐管41の内壁面への付着燃料
量fwと蒸発燃料量fvとを状態変数とする状態方程式(1
7)及び出力方程式(18)を得ることができ、これによ
って各気筒毎の燃料挙動を表す物理モデルが定まる。
次に上記(17)及び(18)式で記述された物理モデル
は非線形であるので、上記物理モデルを線形近似する。
まず上式(17),(18)式において、 とおくと、(17),(18)式は と表すことができる。
ここで、 で定常となるとき、 とすると、上式(28)及び(29)は次式(28)′、(2
9)′に示す如くなる。
上式(28),(28)′及び(29),(29)′より、 次に、上式(30),(31)において、 とおくと(30),(31)式は次式(35),(36)の如く
なる。
この(35)及び(36)において、X(k)→0とすれ
ば、Y(k)=0となり, であれば、 となる。従って上式(35)の最適レギュレータを設計す
ればよい。即ち、離散型リカッチ方程式を説くことで、
最適制御は次式(37)の如く求まる。
またこの(37)式は、上記(32)及び(33)式より次
式(38)の如くなる。
従って、上記(28)′及び(29)式において、 について解ければ上式(38)が確定し、 を求めることができるようになる。
本実施例の場合、上式(39)は前述の(19)〜(27)
式より、次式(40)の如くなり、 (即ちfwr、fvr、τr)が夫々次式(41)〜(43)の如
く求まる。
従って上記(38)式より、f1〜f4を定数として、 となり、第3図の制御系が設計できる。
尚上式(44)において、燃料の蒸発量Vfは、各吸気分
岐管41での燃料の飽和蒸気圧Psと吸気分岐管内部の圧力
(吸気圧力)PMとの関数として求めることができ、また
飽和状気圧Psはセンサにより直接検出することは難しい
が、吸気分岐管41の壁面付着燃料の温度Tの関数であ
り、付着燃料温度Tは内燃機関2の冷却水温THW或は吸
気ポート付近のシリンダヘッド温度によって代表させる
ことができる。このため本実施例では、第3演算部P5に
おいて、水温センサ28により検出された冷却水温THW
(゜K)をパラメータとする次式 Ps=β1・THW2−β2・THW+β3 …(45) (但し、β1,β2,β3:定数) により飽和蒸気圧PSを求め、更にその値と吸気圧力PMと
をパラメータとするマップから蒸発量Vfを求めるように
されている。
またこのように蒸発量Vfを算出する場合、吸気圧力PM
を知る必要があるが、本実施例では吸気圧力PMを検出す
るための吸気圧センサが備えられていないので、吸気圧
力PMを直接検出することができない。しかし吸気圧力PM
は、前述の(8)式又は(9)に示す如く、吸気量GAの
関数として記述できる。そこで本実施例では前述の
(8)式(又は(9)式)におけるA・ν及びB・νの
値を夫々定数A1及びB1として周知の同定法により決定
し、第2演算部P4において、第1演算部P1で求めた吸気
量GAに基づき次式(46)を用いて吸気圧力PMを算出する
ように構成されている。
PM=(GA−B1)/A1 …(46) また次に上式(44)における吸気通路4の内壁面への
付着燃料量fw及び吸気通路4内での蒸発燃料量fvはセン
サ等によって直接測定できないため、本実施例ではこの
推定のためのオブザーバP8が備えられている。
この種のオブザーバは、通常、ゴピナスの設計法等に
よって設計されるが、本実施例では各気筒に実際に供給
された燃料混合気の空燃比λを測定できないため、通常
のオブザーバを使用することができない。しかし気筒の
燃料挙動は上記(17)式によって記述できるので、(1
7)式をそのまま用いて付着燃料量fw及び蒸発燃料量fv
を推定することが可能となる。
即ち、まず(17)式において、τ(k)は制御量とし
て電子制御回路40側で知ることができ、またVf(k)は
水温センサ28により検出される冷却水温THWから飽和蒸
気圧Psを求め、この値と前記(46)式によって算出され
た吸気管圧力PMとから検出することができ、更にNE
(k)は回転速度センサ24により検出することができる
ので、右辺第2項、第3項は計算可能である。そこで、 εw(k)=fw(k)−w(k) …(47) εv(k)=fv(k)−v(k) …(48) とおくと、 となる。上式(49)において1−δ2<1、1−δ3<
1であるから(49)式は安定で、εw(k)、εv
(k)→0、即ちw(k)→fw(k)、v(k)→
v(k)となる。従って上記fw(k)、fv(k)とし
て適当な初期値を与えれば、fw(k)及びfv(k)は上
式(17)によって推定できるようになるのである。尚外
乱によって、fw(k)≠w、fv(k)≠vとなって
も、w(k)、v(k)は、fw(k)、fv(k)に
追従するので、上記(44)式により (即ち燃料噴射量τ(k))を問題なく算出できる。
次に上記の如く設計された制御則に従って電子制御回
路40で実行される燃料噴射量算出処理を、第4図に示す
フローチャートに沿って説明する。尚この処理は、クラ
ンク角センサ26からの出力信号に基づき、内燃機関2の
180℃A毎に実行される。また以下の説明において、現
在の処理で検出又は算出される諸量には添え字(k)を
付して表し、前回(180℃A前)及び前々回(360℃A
前)の処理で検出又は算出された諸量には夫々添え字
(k−1)及び(k−2)を付して表す。
図に示す如く燃料噴射量算出処理では、まずステップ
100を実行して、カウンタCをインクリメントし、続く
ステップ110に移行して、カウンタCの値が4以上とな
ったか否かを判断する。そしてC≧4であれば、次ステ
ップ120に移行してカウンタCの値を0にセットした
後、ステップ130に移行し、C<4であればそのままス
テップ130に移行する。尚このカウンタCは、次ステッ
プ130で内燃機関2が180℃A回転する度に変化する吸気
行程の気筒を識別するために用いられるもので、クラン
ク角センサ26から特定気筒が吸気行程に入ったときに出
力される識別信号により初期化される。
次にステップ130では、現時点から内燃機関2が180℃
A回転する間吸気行程となる気筒をX1気筒,次に吸気行
程となる気筒をX2気筒,その次に吸気行程となる気筒を
X3気筒,更にその次に吸気行程となる気筒をX4気筒とし
て、これら各気筒に対応する気筒番号#1〜#4を、上
記カウンタCの値に基づき次表に示す如きマップを用い
て設定する。尚、以下の説明においてこれら各気筒X1〜
X4に対して算出される諸量には、夫々対応する添え字X1
〜X4を付して表す。
そして続くステップ140では、上記各センサからの出
力信号に基づき、吸気流量GN(k),回転速度NE
(k),及び冷却水温THW(k)を検出し、次ステップ1
50に移行する。
ステップ150では、ステップ140で検出した吸気流量GN
(k)と回転速度NE(k)とに基づき、ステップ130で
設定したX1気筒,X2気筒,X3気筒の吸気行程時に各気筒内
に流入する吸気量GA X1(k),GA X2(k),GA X3
(k)を夫々推定する。この吸気量GA X1(k),GA X2
(k),GA X3(k)の算出には、前述の(1)式が用い
られ、まず吸気流量GN(k)と、回転速度NE(k)と、
前回(即ち180℃A前)この処理を実行したときに算出
した吸気量GA X1(k−1)とに基づきX1気筒の吸気量G
A X1(k)を算出し、次にこの吸気量GAX 1(k)と吸
気流量GN(k)と回転速度NE(k)とに基づきX2気筒の
吸気量GA X2(k)を算出し、その次にこの吸気量GA X2
(k)と吸気流量GN(k)と回転速度NE(k)とに基づ
きX3気筒の吸気量GA X3(k)を算出する、といった手
順で各吸気量GA X1(k),GA X2(k),GA X3(k)が
推定される。
尚このステップ150の処理は吸気量推定手段M5及び吸
気量再推定手段M7に相当し、この処理で算出されたX3気
筒の吸気量GA X3(k)はステップ160以降の処理でX3気
筒の同期噴射量を算出するのに用いられ、吸気量GA X2
(k)及びGA X1(k)は、夫々、ステップ210以降,或
はステップ300以降の処理で、X2気筒及びX1気筒の非同
期噴射制御を行なうのに用いられる。
このようにX1,X2,X3気筒の吸気量GA X1(k),GA X2
(k),GA X3(k)が算出されると、ステップ160に移
行し、今度は前述の(46)式を用いてX3気筒の吸気量GA
X3(k)からX3気筒の吸気圧力PM X3(k)を推定する
第2演算部P4としての処理を実行する。そして続くステ
ップ170に移行し、その算出された吸気圧力PM X3(k)
とステップ140で検出した冷却水温THW(k)とに基づ
き、X3気筒の吸気分岐管41X3からの燃料蒸発速度VfX3
(k)を求め、その値を内燃機関2の回転速度NE(k)
で除算して、内燃機関2が180℃A回転する間に吸気分
岐管41X3から蒸発する燃料量,即ち燃料蒸発量VfwX3
(k)(=VfX3(k)/NE(k))を算出する第3演算
部P5及び除算部P6としての処理を実行する。
次にステップ180では、ステップ150で推定したX3気筒
の吸気量GA X3(k)と、ステップ170で推定した吸気分
岐管41X3からの燃料蒸発量VfwX3(k)と、前回の処理
の際に後述のステップ390で推定した付着燃料量fwX4
(k−1)及び蒸発燃料量fvX4(k−1)とに基づき、
前述の演算式(44)を用いてX3気筒の燃料噴射量τX3
(k)を算出する。そして続くステップ190では、この
算出された燃料噴射量τX3(k)をX3気筒の同期噴射量
として、X3気筒の燃料噴射弁42X3を所定の同期噴射タイ
ミングで駆動する図示しない駆動回路にセットする。
つまり同期噴射制御を実行するには、燃料噴射量の演
算時間及び燃料噴射弁の開弁時間等を考慮すると、2〜
3ストローク,即ち内燃機関2が360℃A〜540℃A回転
するのに要する時間が必要となるので、本実施例ではス
テップ150で、吸気流量GNの検出時点から3ストローク
後に吸気行程が終了するX3気筒の吸気量GA X3(k)を
推定し、この吸気量GA X3(k)に基づきX3気筒の同期
噴射量τX3(k)を算出して同期噴射制御を良好に実行
できるようにしているのである。
尚燃料噴射量τX3(k)の算出に、前回の処理の際に
X4気筒の値として算出された付着燃料量fwX4(k−1)
及び蒸発燃料量fvX4(k−1)を使用するのは、内燃機
関2の回転によって、前回の処理の際にX4気筒と設定さ
れた気筒が、今回の処理ではX3気筒となるためである。
そしてこのように同期噴射のための処理が実行される
と、ステップ200に移行して、この燃料噴射量τX3
(k)と、ステップ170で算出した燃料蒸発量VfwX3
(k)と、前回この処理を実行した際にステップ400で
算出した,現時点のX3気筒に対応する付着燃料量wX4
(k−1)及び蒸発燃料量vX4(k−1)とに基づ
き、内燃機関2の180℃A回転後のX3気筒の付着燃料量f
wX3(k)及び蒸発燃料量fvX3(k)を推定するオブザ
ーバP8としての処理を実行する。
次にステップ210では、ステップ150で求めたX2気筒の
吸気量GA X2(k)と、前回この処理を実行した際にス
テップ150で推定した,現時点のX2気筒に対応する吸気
量GA X3(k−1)とを大小比較する。そして吸気量GA
X2(k)が吸気量GA X3(k−1)より大きければ、続
くステップ220に移行し、上記ステップ160と同様に吸気
量GA X2(k)からX2気筒の吸気圧力PM X2(k)を推定
する。また続くステップ230では、上記ステップ170と同
様に、吸気圧力PM X2(k)と、冷却水温THW(k)と、
回転速度NE(k)とから、X2気筒の吸気分岐管41X2から
の燃料蒸発量VfwX2(k)を算出し、ステップ240に移行
する。
ステップ240では、上記ステップ180と同様に、この算
出した燃料蒸発量VfwX2(k)と、ステップ150で推定し
たX2気筒の吸気量GA X2(k)と、前回の処理の際にス
テップ200で推定した,現時点のX2気筒に対応する付着
燃料量fwX3(k−1)及び蒸発燃料量fvX3(k−1)と
に基づき、X2気筒に対する燃料噴射量τX2(k)を算出
し、続くステップ250に移行して、この算出された燃料
噴射量τX2(k)から、前回の処理の際にステップ180
で算出した,現時点でのX2気筒に対応する燃料噴射量τ
X3(k−1)を減算して、偏差ΔτX2(k)を算出す
る。そして続くステップ260では、この偏差ΔτX2
(k)をX2気筒の非同期噴射量として、X2気筒の燃料噴
射弁42X2を駆動する図示しない駆動回路にセットし、続
くステップ270に移行する。
即ち、X2気筒は、前回の処理の際に、吸気量GA X3
(k−1)に基づき算出された燃料噴射量τX3(k−
1)により同期噴射量が設定された気筒であるが、その
後内燃機関2が180℃A回転する間に内燃機関2が加速
されると、吸気量GA X3(k−1)がX2気筒に実際に吸
入される吸気量とは対応しなくなってしまうことから、
本実施例では、同期噴射量設定後、内燃機関2が180℃
A回転したときX2気筒の吸気量GA X2(k)を推定し直
し、その値GA X2(k)が前回X2気筒の吸気量として求
めた値GA X3(k−1)より大きければ内燃機関2が加
速運転に入ったと判断して、GA X2(k)に対応する燃
料噴射量τX2(k)を求め、この値と同期噴射量τX3
(k−1)との偏差分ΔτX2(k)だけ非同期噴射を実
行するようにされているのである。
次にステップ210で吸気量GA X2(k)が吸気量GA X3
(k−1)以下であると判断されると、内燃機関2は加
速運転されていないので、ステップ280に移行して、前
回の処理の際にステップ170で推定した,現時点のX2気
筒に対応する燃料蒸発量VfwX3(k−1)をそのままX2
気筒の燃料蒸発量VfwX2(k)としてセットし、ステッ
プ290で非同期噴射量ΔτX2(k)として0をセットし
た後、ステップ270に移行する。
そしてステップ270では、上記ステップ200と同様に、
X2気筒の非同期噴射量ΔτX2(k)と、燃料蒸発量VfwX
2(k)と、前回この処理を実行した際にステップ200で
算出した,現時点のX2気筒に対応する付着燃料量wX3
(k−1)及び蒸発燃料量vX3(k−1)とに基づ
き、内燃機関2の180℃A回転後の付着燃料量fwX2
(k)及び蒸発燃料量fvX2(k)を推定する。
次にステップ300では、ステップ150で求めたX1気筒の
吸気量GA X1(k)と、前回この処理を実行した際にス
テップ150で推定した,現時点のX1気筒に対応する吸気
量GA X2(k−1)とを大小比較する。そして吸気量GA
X1(k)が吸気量GA X2(k−1)より大きければ、続
くステップ310に移行し、上記ステップ160或はステップ
220と同様に、吸気量GA X1(k)からX1気筒の吸気圧力
PM X1(k)を推定する。また続くステップ320では、上
記ステップ170又は230と同様に、吸気圧力PM X1(k)
と冷却水温THW(k)と回転速度NE(k)とから、X1気
筒の吸気分岐管41X1からの燃料蒸発量VfwX1(k)を算
出し、ステップ330に移行する。
ステップ330では、上記ステップ180或はステップ240
と同様に、この算出した燃料蒸発量VfwX1(k)と、ス
テップ150で推定したX1気筒の吸気量GA X1(k)と、前
回の処理の際にステップ270で推定した,現時点のX1気
筒に対応する付着燃料量fwX2(k−1)及び蒸発燃料量
fvX2(k−1)とに基づき、X1気筒に対する燃料噴射量
τX1(k)を算出し、続くステップ340に移行する。そ
してステップ340では、この算出された燃料噴射量τX2
(k)から、前回の処理の際にステップ250又はステッ
プ290で設定された非同期噴射量ΔτX2(k−1)と、
前々回,即ち360℃A前に当該処理を実行したの際にス
テップ180で算出した,現時点でのX1気筒に対応する燃
料噴射量τX3(k−2)とを減算して、偏差ΔτX1
(k)を算出する。また続くステップ350では、この算
出した偏差ΔτX1(k)をX1気筒の非同期噴射量とし
て、X1気筒の燃料噴射弁42X1を駆動する図示しない駆動
回路にセットし、続くステップ360に移行する。
即ち、X1気筒は、前々回の処理の際に、吸気量GA X3
(k−2)に基づき算出された燃料噴射量τX3(k−
2)により同期噴射量が設定され、前回の処理の際に、
吸気量GA X2(k−1)が吸気量GA X3(k−2)より大
きいときに非同期噴射が実行された気筒であるが、前回
のこの処理を行った後内燃機関2が加速された場合に
は、同期噴射量τX3(k−2)或は非同期噴射量ΔτX2
(k−1)が、X1気筒に実際に吸入される吸気量とは対
応しなくなってしまうことから、本実施例では、同期噴
射量設定後内燃機関2が360℃A回転したときにもX1気
筒の吸気量GA X1(k)を推定し、その値GA X1(k)が
前回X1気筒の吸気量として求めた値GA X2(k−1)よ
り大きければ、吸気量GA X1(k)に対応する燃料噴射
量τX1(k)を求め、この値とX1気筒への燃料噴射量
(τX3(k−2)+ΔτX2(k−1))との偏差分Δτ
X1(k)だけ更に非同期噴射を実行するようにされてい
るのである。
一方ステップ300で吸気量GA X1(k)が吸気量GA X2
(k−1)以下であると判断されると、内燃機関2は加
速運転されていないので、ステップ370に移行して、前
回の処理の際にステップ230又はステップ280で設定し
た,現時点のX1気筒に対応する燃料蒸発量VfwX2(k−
1)をそのままX1気筒の燃料蒸発量VfwX1(k)として
セットし、ステップ380で非同期噴射量ΔτX1(k)と
して0をセットした後ステップ360に移行する。
そしてステップ360では、上記ステップ200或はステッ
プ270と同様に、X1気筒の非同期噴射量ΔτX1と、燃料
蒸発量VfwX1(k)と、前回この処理を実行した際にス
テップ270で算出した,現時点のK1気筒に対応する付着
燃料量wX2(k−1)及び蒸発燃料量vX2(k−1)
とに基づき、内燃機関2の180℃A回転後の付着燃料量f
wX1(k)及び蒸発燃料量fvX1(k)を推定する。
また次にステップ390では、前回の処理の際にステッ
プ320又はステップ370で設定した,現時点のX4気筒に対
応する燃料蒸発量VfwX1(k−1)をX4気筒の燃料蒸発
量VfwX4(k)としてセットし、ステップ400に移行して
内燃機関2の180℃A回転後のX4気筒の付着燃料量fwX4
(k)及び蒸発燃料量fvX4(k)を推定する。尚この推
定処理は、上記ステップ200,ステップ270,或はステップ
360と同様に実行されるが、X4気筒には燃料噴射を行わ
ないので、燃料噴射量は0として推定を行なう。
以上説明したように本実施例では、第5図に示す如
く、内燃機関の各気筒毎に、吸気行程終了時点(図に示
す540℃Aの点)より3ストローク前(図に示す0℃A
の点)に検出した吸気流量GNに基づき、吸気行程時に気
筒内に流入する吸気量GA X3を推定し、その推定結果に
基づき燃料の同期噴射量τX3を算出して同期噴射を行な
うと共に、吸気流量GA X3推定後内燃機関2が180℃A回
転する度に、新たに検出した吸気流量検出値GNから吸気
行程時に気筒内に流入する吸気量GA X2,GA X1を推定し
直し、その推定値GA X2,GA X1が180℃A前の推定値より
大きいときには、その推定値GA X2,GA X1から燃料噴射
量てX2,τX1を算出して、過去に求めた燃料噴射量との
偏差量ΔτX2,ΔτX1により非同期噴射を行うようにさ
れている。
この結果、第6図に実線で示す如く、前述の演算式
(1)式により内燃機関2の気筒内に流入する吸気量を
推定することで燃料噴射制御の制御精度を向上できるだ
けでなく、時点t1で内燃機関2が加速運転された場合の
空燃比制御精度をより向上することができるようにな
る。
また本実施例では、制御則が内燃機関における燃料挙
動を記述した物理モデルに基づき設定されており、燃料
噴射弁からの噴射燃料が吸気分岐管壁面への付着燃料及
び吸気分岐管内部での蒸発燃料として吸気分岐管内部に
残留し、しかもその残留した燃料の一部が吸気行程時に
気筒内に流入することを考慮して燃料噴射量を決定する
ようにされているので、これによっても燃料噴射制御の
制御精度を向上できる。
尚本実施例においては、ステップ160〜ステップ180の
処理が同期噴射量算出手段M6に、ステップ210〜ステッ
プ250及びステップ300〜ステップ340の処理が非同期噴
射量算出手段M8に、ステップ190,ステップ260及びステ
ップ350の処理が燃料噴射制御手段M9に、夫々相当す
る。
ここで上記実施例では、内燃機関における燃料挙動を
記述した物理モデルに基づき設定された制御則により燃
料噴射制御を行なう、所謂現代制御理論に基づく燃料噴
射制御装置に本発明を適用した場合について説明した
が、例えば、内燃機関の回転速度NEと吸気流量GNとに基
づき(1)式を用いて吸気量GAを推定し、その推定推定
された吸気量GAに基づき基本燃料噴射量を求め、その値
を冷却水温等に応じて補正するように構成しても、本発
明を適用して燃料噴射制御の制御精度を向上することが
できる。
また上記実施例では、4気筒4サイクル内燃機関の燃
料噴射量制御装置を例にとり説明したので、吸気量GAの
演算周期をその吸気サイクルに対応して180℃Aとした
が、例えば6気筒4サイクル内燃機関の場合には、その
吸気サイクルが120℃Aとなるので、(1)式による演
算周期も120℃Aとなる。またこの場合、上記と同様の
制御則で燃料噴射制御を実行するには、前述の(15)式
及び(16)式から制御則の基本となる物理モデルを設定
する際に、各演算式(15)及び(16)を1/6にして、内
燃機関の120℃Aをサンプリング周期とした(17)式及
び(18)式の如きモデル基礎式を作成し、その係数をシ
ステム同定の手法によって決定して、制御則を設計する
ようにすればよい。
[発明の効果] 以上説明したように本発明の多気筒内燃機関の燃料噴
射量制御装置によれば、吸気行程時に内燃機関の各気筒
内に流入する吸気量を、前述の(1)式を用いて、内燃
機関の回転速度と吸気流量とから推定し、その推定結果
に基づき、各気筒への燃料噴射量を各々決定するように
されているため、内燃機関の回転速度と吸気流量とから
直接燃料噴射量を算出する従来の装置のように内燃機関
の過渡運転時に空燃比が大きくずれるといったことはな
く、空燃比の制御精度を向上できる。また本発明では、
各気筒毎に吸気量を推定して燃料の同期噴射量を算出し
た後、その気筒が実際に吸気行程に入るまでの間に、吸
気量を推定し直し、この再推定値が同期噴射量の算出に
用いた吸気量より大きくなると、その偏差に応じた非同
期噴射量を算出して、対応する気筒に対する燃料の非同
期噴射を実行するようにされているため、内燃機関が加
速運転に入ったときの空燃比の制御精度をより向上する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成を表すブロック図、第2図は実施
例の4気筒4サイクル内燃機関及びその周辺装置を表す
概略構成図、第3図は燃料噴射制御の制御則を説明する
ブロック図、第4図は燃料噴射量算出処理を表すフロー
チャート、第5図は同期噴射及び非同期噴射の動作を説
明する説明図、第6図は従来の燃料噴射制御による空燃
比の変化及び実施例の燃料噴射制御による空燃比の変化
を表す説明図、である。 M1,2……内燃機関、M2,4……吸気通路 M3……吸気流量検出手段(6……エアフロメータ) M4……回転速度検出手段(24……回転速度センサ) M5……吸気量推定手段 M6……同期噴射量算出手段 M7……吸気量再推定手段 M8……非同期噴射量算出手段 M9……燃料噴射制御手段、40……電子制御回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の吸気通路を流れる吸気の流量を
    検出する吸気流量検出手段と、 内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段と、 内燃機関における吸気の質量保存則を記述した物理モデ
    ルに基づき設定され、内燃機関各気筒の吸気行程に同期
    した吸気サイクルをサンプリング周期として離散化され
    た次式(1) GA(k+1)=α・GN/NE+β・GA(k) …(1) (但し、α,β:定数、GA(k):前回の推定値、GN:
    吸気流量、NE:内燃機関の回転速度) を用いて、上記吸気サイクルに同期した周期で、上記各
    検出手段の検出結果に基づき、所定の吸気サイクル先に
    吸気行程となる気筒内へ流入する吸気量を順次推定する
    吸気量推定手段と、 該推定された吸気量に基づき、該吸気量と対応する気筒
    に対する燃料の同期噴射量を算出する同期噴射量算出手
    段と、 上記吸気量推定手段が吸気量を推定した後、該吸気量に
    対応する気筒が実際に吸気行程に入るまでの間、上記吸
    気サイクルに同期した周期で、上記演算式(1)を用い
    て、該気筒内へ流入する吸気量を再推定する吸気量再推
    定手段と、 内燃機関の各気筒毎に、上記吸気量再推定手段にて再推
    定された吸気量と上記吸気量推定手段にて推定された吸
    気量とを大小比較し、再推定された吸気量の方が大きい
    場合に、該吸気量に対応する気筒に対する非同期噴射量
    を、各吸気量の偏差に応じて算出する非同期噴射量算出
    手段と、 上記同期噴射量算出手段にて同期噴射量が算出される
    と、該同期噴射量に応じて、該同期噴射量に対応する気
    筒に設けられた燃料噴射弁を駆動し、燃料の同期噴射を
    行うと共に、上記非同期噴射量算出手段にて非同期噴射
    量が算出されると、該非同期噴射量に応じて、該非同期
    噴射量に対応する気筒に設けられた燃料噴射弁を駆動
    し、燃料の非同期噴射を行う燃料噴射制御手段と、 を備えたことを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射量
    制御装置。
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