JP2717192B2 - ケーキミックス - Google Patents

ケーキミックス

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JP2717192B2
JP2717192B2 JP2045973A JP4597390A JP2717192B2 JP 2717192 B2 JP2717192 B2 JP 2717192B2 JP 2045973 A JP2045973 A JP 2045973A JP 4597390 A JP4597390 A JP 4597390A JP 2717192 B2 JP2717192 B2 JP 2717192B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、粉体とペースト状物を別包装した新規なケ
ーキミックスに関するものであり、さらに詳細には、長
期のチルド流通をした後においても、簡単にキメの細か
い良好なケーキを得ることができるケーキミックスに関
するものである。
(従来の技術) 従来よりケーキミックスとして、粉末状ケーキミック
スおよびペースト状ケーキミックスがある。
前者はさらに2種類あり、一方はケーキミックスに水
を加えて混合した後、オーブン等で焼成するものであ
る。このタイプのケーキミックスは、風味が悪く、ケー
キとしての品質が低い。他の一方は、ケーキミックス
に、別に準備した卵、バター等を加えて混合撹拌した
後、オーブン等で焼成するものである。このタイプのケ
ーキミックスは、材料を準備する手間があり不便であ
る。
後者はそのままオーブン等で焼成するものである。こ
のタイプのケーキミックスは、簡便であるが、チルド流
通で1週間程度の保存性しかなく、品質の経時劣化が大
きい。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、流通時においては充分な保存性を有し、喫
食時においては手間をかけずに高品質のケーキを得るこ
とができるという従来の問題点を全て解消したケーキミ
ックスを提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、ケーキの製造に必要な全ての原材料を
粉体とペーストに分けて包装することにより、前記課題
を達成できるとの知見を得た。上記知見を基に完成され
た本発明の要旨は、小麦粉、膨張剤等からなる粉体を収
納した包装体Aと、卵を品温55〜85℃、1〜1800秒の条
件で均一に加熱し、次いで品温15〜25℃になるまで冷却
したものを油脂に加え、混合、撹拌し、その後アルコー
ルを加えて撹拌、混合して得られるペースト状物を収納
した包装体Bを包装体C中に収納してなることを特徴と
するケーキミックスである。
以下に本発明を詳述する。
本発明において、包装体Aには小麦粉、膨張剤等を収
納する。小麦粉と膨張剤の混合比率は、重量比で100:0.
5〜8程度が好ましい。
包装体Bには、卵を品温55〜85℃、1〜1800秒の条件
で均一に加熱し、次いで品温15〜25℃になるまで冷却し
たものを油脂に加え、混合、撹拌し、その後アルコール
を加えて撹拌、混合して得られるペースト状物を収納す
る。該ペースト状物は、水分活性が0.94以下であり、比
重が0.5〜1g/mlであることが好ましい。ペースト状物の
水分活性は、主にその保存性に影響を与える。また、ペ
ースト状物の比重は、焼成後のケーキの物性に影響を与
える。具体的には、その比重が0.5g/ml未満であると、
家庭でケーキを焼成した際に、オーブンからとり出した
後に萎み現象が生じやすく、反対に比重が1g/mlを超え
ると、含気率が低いため浮きが小さく食感が悪い。
上記した粉体およびペースト状物は1:2〜3.5の重量比
で、それぞれ包装体AおよびBに収納し、さらに、これ
を包装体Cに収納する。ここで、包装体Aで使用する材
質としては、気密性を有するものであれば特に限定され
ない。一方、包装体Bで使用する材質としては、耐水
性、耐油性、および気密性を有するものであれば特に限
定されない。また、包装体Cは特に限定されないが、耐
熱性容器、例えば、結晶化(crystallized)PET、アル
ミ、スチール、耐熱紙等の耐熱温度が220℃以上の材質
の容器が好ましい。また、包装体C自体が耐熱性容器で
ないとしても、包装体C中に上記した耐熱性容器に備え
ることが好ましい。すなわち、耐熱性容器に用いれば、
家庭で包装体AおよびBを開封して、粉体およびペース
ト状物を上記容器内に入れ、混合した後、該容器のまま
加熱してケーキを作ることができるため便利である。
以下に、上記したペースト状物の製造法の一例を説明
する。
まず、卵を準備する。該卵には親水性の乳化剤および
多糖類を混合するのが好ましい。親水性の乳化剤として
は、HLBが7〜16の乳化剤、例えば、ショ糖脂肪酸エス
テル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、親水性のレシチ
ン等を例示することができる。該乳化剤は、卵100重量
部に対して、ショ糖脂肪酸エステルの場合で0〜3重量
部混合するのが好ましい。多糖類としては、ゲル状にな
らずに粘度を増すことができる水溶性のもの、例えば、
キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、ト
ラカントガム、タマリンドガム等を例示することができ
る。上記多糖類のうち、キサンタンガムは、撹拌状態で
粘度が低く、静置状態で粘度が高いため、撹拌の効率が
良いという点で最も好ましい。該多糖類は、卵100重量
部に対して、キサンタンガムの場合で0〜0.4重量部混
合するのが好ましい。また、卵100重量部に対して0.3〜
1重量部の食塩を混合すると、風味が良くなるため好ま
しい。
なお、糖類はペースト状物調製時のいずれの時期に添
加してもよいが、卵を加熱する工程の前に添加すると、
加熱時に卵の凝固を防止することができるため好まし
い。糖類としては、砂糖を単独で使用する他、砂糖にマ
ルチトール、マルトース、グルコース、フラクトース、
ソルビトール、水飴、異性化液糖等の糖類の1種以上を
混合することも可能である。上記糖類は、卵100重量部
に対して70〜150重量部添加する。次に、卵の殺菌、保
存中に生じる卵臭の軽減、保存中に悪くなる焼成時の浮
きの改良をするために、上記卵を品温55〜85℃、1〜18
00秒の条件で均一に加熱する。このとき、加熱温度が55
℃未満であると、卵の殺菌、保存中に生じる卵臭の軽
減、保存中に悪くなる焼成時の浮きの改良が不充分とな
り、また、85℃を超える温度であると、卵が凝固するた
め、本発明の効果を奏し得ない。糖類を前記した時期に
添加しない場合は、品温55〜60℃、時間60〜1800秒の条
件で加熱する。加熱方法としては、上記卵全体が均一に
加熱できる方法、例えば、湯煎をしながら撹拌する方法
等が好ましい。
上記卵は、次に品温が15〜25℃になるまで冷却する。
品温が15℃未満になるまで冷却した場合、および25℃を
超える温度で冷却を中止した場合は、次工程で油脂と混
合、撹拌する際に気泡を含む難くなるため、できあがっ
たケーキの食感が硬くなる。冷却方法としては、自然冷
却、処理卵を入れた容器を冷水に浸漬する方法、冷蔵庫
等で冷蔵する方法等の強制冷却のいずれを採用してもよ
い。なお、加熱冷却後は、1%弱の水分が蒸発している
ため、蒸発した水分を加えて混合するのが好ましい。上
記処理が施された卵を以下、処理卵とする。
次に、上記処理卵とは別に、品温が10〜30℃のマーガ
リン、バター、ショートニング等の油脂の1種以上を準
備する。品温が10℃未満の場合は、該油脂が固いため練
るのが困難であり、また、品温が30℃を超える場合は、
該油脂が軟らかくなりすぎるため、練る際に気泡を含み
難くなり、調理後喫食する際に食感が硬くなる。上記油
脂は練っておくのが好ましい。できあがったケーキをし
っとりさせる場合は、上記油脂100重量部に対して1〜2
0重量部の菜種油、大豆油、ヒマワリ油、コーン油、サ
ラダ油、パーム油等の常温で液体の植物油1種以上を上
記油脂に混合してもよい。
また、該油脂には親油性の乳化剤を混合するのが好ま
しい。親油性の乳化剤としては、HLBが1〜7の乳化
剤、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレング
リコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ショ酸脂肪酸エステル、レシチン等を例示することがで
きる。該乳化剤は、油脂100重量部に対して、グリセリ
ン脂肪酸エスエルの場合で0〜3重量部混合するのが好
ましい。上記処理が施された油脂を、以下、処理油とす
る。
次に、処理油に前記処理卵を混合し、撹拌して混合物
を得る。処理卵は、処理油100重量部に対して150〜300
重量部、好ましくは200〜250重量部混合する。上記混合
物には、さらにアルコールをペースト状物に対して1〜
4重量%混合し、保存性を高める。アルコールは、ラム
酒、ブランデー、またはキュラソー等のリキュール等を
例示することができるが、食品用エチルアルコールをそ
のまま、または上記したラム酒、ブランデーまたはキュ
ラソー等に混合して使用してもよい。上記いずれの場合
においても、含有するアルコールは、ペースト状物に対
して1〜4重量%である。含有するアルコールが1重量
%未満であると、保存性が低くなり、4重量%を超える
と、アルコール臭が強くなり、浮きが小さくなって食感
が悪くなる。また、上記混合物には、所望により適宜牛
乳等の水分を混合してもよい。
このような方法により、ペースト状物を得ることがで
きる。
本発明におけるケーキミックスは、チルド流通で0〜
10℃で保存するの適しているが、これは、包装体B中に
ペースト状物の乳化安定、微生物増殖抑制のための重要
な保存条件である。また、前記条件では約1ケ月の保存
が可能である。
(実施例) 以下の方法でケーキミックスを製造した。
包装体A 小麦粉1000g、膨張剤40gを混合したうちの75gを、包
材の厚みが65μmで、100mm×70mmの偏平なKNY/PE製の
袋に密封充填して、包装体Aを得た。
包装体B ボールに、鶏卵220g、砂糖128g、粉末ソルビット99
g、マルトース7.5g、脱脂粉乳5g、HLB11のショ糖脂肪酸
エステル2.3g、食塩1.4g、キサンタンガム0.4gを入れて
混合し、さらに、マルチトール13gを加えて混合した。
次に、これを湯煎で75℃になるまで加熱し、その温度で
10分間保持した後、ボールの底部を冷水に浸漬し、品温
が20℃になるまで冷却した。その後、蒸発した5gの水を
加えて混合し、476.6gの処理卵を得た。
上記処理卵とは別に、品温が20℃のマーガリン106g、
ショートニング91g、HLB3.5の加熱溶融したグリセリン
脂肪酸エステル0.2gを練って197.2gの処理油を得た。
次に、該処理油197.2gに上記処理卵444g、牛乳32gを
加え、混合、撹拌し、さらに、アルコール分45%のラム
酒34g(ペースト状物に対して2.2重量%のアルコール)
を加え、混合、撹拌して707.2gのペースト状物を得た。
該ペースト状物の水分活性は約0.90であり、比重は0.65
g/mlであった。
上記ペースト状物236gを、包材の厚みが55μmで、11
0mm×150mmの偏平なNY/PP製の袋に密封充填して、包装
体Bを得た。
包装体C 包装体AおよびBを直径160mmのアルミ容器(東洋エ
コー製、ホイルコンテナー)に収納し、これを紙製カル
トンに装填して、本発明に係るケーキミックス包装体C
を得た後、10℃の定温庫に保存した。
上記包装体C中の包装体B、すなわち、本発明に係る
ケーキミックスのペースト状物の状態、および保存性、
ならびに本発明に係るケーキミックス包装体Cを開封し
た後、包装体AおよびBを開封して粉体およびペースト
状物をアルミ容器内に入れ、混合し、次いで、該容器の
ままオーブンで180℃、30分間焼成するという方法によ
り作ったケーキの特性を、ケーキミックス製造後0〜35
日のものについて調べた。なお、包装体Cは10℃の定温
庫に保存した。その結果を第1表および第2表に示す。
第1表より、本発明に係るケーキミックスのペースト
状物は、若干比重が高くなる傾向はあるが、ほとんど経
時劣化がみられなかった。また、第2表より、製造後28
日を経過したケーキミックスから作ったケーキに関して
は、全ての項目が「好ましい」以上の評価となっている
のに対し、製造後35日を経過したケーキミックスから作
ったケーキは、「食感」および「香り」が「やや好まし
い」程度の評価に止まった。すなわち、第1表および第
2表より、本発明に係るケーキミックスは、約1ケ月の
保存性を有することが認められる。
(発明の効果) 本発明によると、粉体とペースト状物を別包装するた
め、チルド流通時においては約1ケ月という長期間の保
存性を有し、品質の経時劣化が少ない。また、喫食時に
おいては、粉体ペースト状物を混合した後、オーブンで
焼成するだけで、他の材料を準備する手間を要すること
なく、風味が良く、キメの細かい高品質のケーキを得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 直美 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭58−55483(JP,U)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】小麦粉、膨張剤等からなる粉体を収納した
    包装体Aと、卵を品温55〜85℃、1〜1800秒の条件で均
    一に加熱し、次いで品温15〜25℃になるまで冷却したも
    のを油脂に加え、混合、撹拌し、その後アルコールを加
    えて撹拌、混合して得られるペースト状物を収納した包
    装体Bを包装体C中に収納してなることを特徴とするケ
    ーキミリクス。
  2. 【請求項2】ペースト状物の水分活性が0.92以下である
    請求項1記載のケーキミックス。
  3. 【請求項3】ペースト状物の比重が0.5〜1g/mlである請
    求項1記載のケーキミックス。
  4. 【請求項4】粉体とペースト状物の重量比が1:2〜3.5で
    ある請求項1記載のケーキミックス。
  5. 【請求項5】アルコールの添加量が、ペースト状物に対
    して1〜4重量%である請求項1記載のケーキミック
    ス。
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