JP2712365B2 - 位置検出器における自動誤差補正方法 - Google Patents

位置検出器における自動誤差補正方法

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JP2712365B2
JP2712365B2 JP22385088A JP22385088A JP2712365B2 JP 2712365 B2 JP2712365 B2 JP 2712365B2 JP 22385088 A JP22385088 A JP 22385088A JP 22385088 A JP22385088 A JP 22385088A JP 2712365 B2 JP2712365 B2 JP 2712365B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、例えば産業用ロボット、NC工作機その他位
置検出を必要とする装置、機器等に使用することのでき
る位置検出器、特に電磁的な検出器において適用して好
適な自動誤差補正方法に関し、更に具体的には、検出部
の出力に高調波成分を含む場合の位置検出器において、
高調波による誤差を自動的に補正することができるよう
にした自動誤差補正方法に関する。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 位置検出技術は、種々の分野、用途に広く利用され
る。
位置検出のための検出器の構造、その検出方式等につ
いては、各種のものがあり、適用する装置、機器あるい
はシステムに応じて、また、必要とされる検出精度、性
能、使用場所乃至は状況等によって、適合する位置検出
器が利用されるが、特に、堅牢性、耐振動性、耐高温性
などを重視する場合には、レゾルバを位置検出手段とし
て使用することができる。
レゾルバには、ブラシレスタイプのものもあり、ブラ
シレスレゾルバは、信号を取り出すのにブラシを用い
ず、ブラシレス化して電気的接触部をなくしたものであ
り、より高信頼性を維持しようとするときは、かかるタ
イプのものが使用される場合も多い。
レゾルバは、一種の回転トランスであり、従って、電
磁的な検出手段であって、原理的には、ロータと検出の
ためのコイルとを有し、ロータの回転に伴い回転角に応
じた信号が出力され、これが位置を示す角度情報として
取り出される。
この種の位置検出器、特にブラシレスレゾルバは、多
様な使用環境下で作動されることが想定される自動機械
等に用いるのに適している。すなわち、検出部として例
えばホール素子を用いるものの場合や、あるいはエンコ
ーダを使用した検出器などの場合に比べても、先にも触
れた如く、構造上、基本的に電子回路がなく堅牢である
こと、高温に強いこと、振動、衝撃に強いこと、高気
圧、真空、放射線等特殊用途でも使用できる等の利点を
有しており、しかも、本来はアナログ検出器であるが、
コンバータすなわちレゾルバ/ディジタル変換器(RCD;
Resolver to Digital Converter)と組み合わせて使用
することにより、ディジタル化への対応も可能となった
ことから、ディジタル制御を必要とするロボット、工作
機等各種自動機械のサーボシステムにおける位置制御
(ポジション制御)にも採用されるようになってきてい
る。
上記のような検出手段は、かように耐環境性等に優れ
るものであり、また、変換器と組み合わせるときは位置
情報をディジタル出力として得ることもできるものであ
るけれども、実際の使用における検出部本体からの信号
には高調波成分が乗っている。すなわち、ロータの形状
のばらつき、コイルの特性、ギャップのばらつき等があ
るので本体部より出力される信号(アナログ信号)が歪
むため、検出信号に高次調波が含まれる。従って、高調
波成分が乗っている信号に基づいて検出した位置と実際
の位置とにずれが発生し、かかる高調波による誤差は、
高分解能が要求される場合の制御においては、精度向上
の制約となる。
信号に含まれる高調波成分は、その程度が使用検出部
個体間でバラツキがあり、更には、当初は個体差がなく
ても、使用に伴う作用荷重の変化とか、経年変化、例え
ば軸受の油圧変化、部品の劣化等に起因して位置ずれに
影響を与える信号中の高調波成分の量が変わってくる。
従来は、位置検出器において検出精度を自分自身で補正
する機能を有してはいない。
検出精度の自己診断は、既述したレゾルバの場合であ
っても、これが実現できれば、更にその有用性の拡大に
寄与できる。すなわち、レゾルバは、既述したように、
耐環境性に優れているのがその利点の一つであり、それ
故多様な環境条件下で使用され得る産業用ロボット等に
も適用されるわけであるが、このようなレゾルバであっ
ても経時的な検出特性の変化を皆無とすることはできな
いから、使用レゾルバ本体につき予め検出誤差分を測定
しておいて、これにより誤差補正を施すようにした場合
でも、その後使用に伴って誤差量も変化した時、要求さ
れる補正量は当初設定したものからズレてくるのは避け
られず、従って、かかる手法によるときは、使用個体毎
に予め補正量を求めておくなどの手間が要求されるのは
勿論、補正が仕用状態とか経年変化によって左右される
結果、適正な誤差補正をなし得ないこととなる。特に、
精密で高分解能が要求されるロボット等の制御系におい
て、長期に亘り高精度の位置制御(例えば、15万分割/
回転以上)を維持、確保しようとする場合、これに応え
るのは容易ではない。
特開昭59−148812号公報には、検出側におけるレゾル
バの位相誤差補正技術が記載されており、また、特公昭
61−44245号公報には、レゾルバ検出誤差補正技術が開
示されている。各公報に示されるものは、いずれも、レ
ゾルバに接続される回路として、いわゆる移相器方式に
よるものを使用している。
前者の公報によるものは、位相検出型のレゾルバにお
いて検出器誤差をキャンセルする方法で、この検出器は
位置、速度のセンサとして利用できるものであるが、該
公報に所載の2つの方法では、補正量はそれぞれφ(ω
t), と示されており、これが適用されるようになっている。
補正量の求め方については、特にその具体的手段を開
示してはいないが、移送誤差φ(θ)は予め測定して知
ることができるとされ、そして、位相誤差に相当するφ
(ωt, を用いるとされていることから、このものは、検出器誤
差をキャンセルするために使用検出器につき別途予め測
定して補正量の設定を行うことが必要とされることとな
る。
後者の公報によるものは、位相差(移相差)により位
置、速度の検出を行うレゾルバの検出誤差を補正するも
のであって、レゾルバの位相出力を対象としており、前
者の場合と同様である。このものでも、その基本的な考
え方は、誤差に対応する補正量を設定しておけば、誤差
をキャンセルすることが可能であるとされていることか
ら、使用個体毎に例えば該公報に示されるようなレゾル
バ誤差曲線に応じて補正量を設定しておくこととなり、
従って、やはり、検出精度を使用検出器自身で逐次補正
していくという機能はない。
本発明の目的は、誤差補正にあたり、検出精度を事前
に別途測定しておくなどしないでも自動的に誤差補正を
行っていくことを可能ならしめる位置検出器における自
動誤差補正方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記目的を達成するため、直交性を有する
二相信号を使用し位置検出を行う位置検出器における誤
差補正方法であって、二相信号を極座標に変換し、振幅
情報を利用することにより高調波成分を推定し、補正値
を求めて検出位置と実際の位置との位置のずれを補正す
ることを特徴としている。
(作用) 本発明では、極座標に変換した振幅情報から高調波成
分を推定し、正しい位置を求め、位置検出器に自ら検出
情報を補正する機能を与えている。。検出精度の自己診
断は、誤差補正にあたり、予め使用検出手段個々の精度
誤差を測定して記憶させておくなどの作業を排除するの
に役立ち、また、経年変換による高調波成分に変化があ
っても割り出し精度に影響を与えず、精度維持に寄与す
る。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は、本発明に従う自動誤差補正方法を適用した
位置検出器のブロック図を示す。
図示の位置検出器は、レゾルバにおける高調波による
誤差の自動補正のためのものであって、電磁的な検出本
体部としてのレゾルバ本体100と、レゾルバ出力信号を
処理する回路とを含んで構成されている。
レゾルバ本体100は、図示の例では、3相の場合のも
のであり、相A,相B,相Cの各巻線1a〜1cを有する。
回転トランス形ブラシレスレゾルバの場合、回転トラ
ンス部と、ステータ巻線と、ロータ巻線とを備え、ブラ
シに当たる回転トランス部で、ロータ巻線への電圧印
加、ロータ巻線からの回転角に応じた電圧の取り出しを
行わせる構造とすることができる。バリアブルリアクタ
ンス(VR)形の場合には、ロータ巻線は不要な構造とす
ることができる。
本例では、限定的ではなく後者の型式を採用してお
り、従って、この場合は、上記巻線1a〜1cはステータに
巻回されたコイルであり、これらが検出コイルとして働
くことになる。
巻線1a〜1cのステータへの巻回等に関しては、具体的
には、歯を有するロータを用いると共に、これと対向し
て複数の極片を有するステータを使用し、ステータ極片
にも半径方向に歯を突出形成しておき、各ステータ極片
にコイルを形成する構造とすることできる。多極(マル
チポール)構造のレゾルバは、一回転内を高精度に分割
したい場合には、より有効である。ロータの回転位置の
検出は、巻線に現れる電流を検知することによって行う
ことができ、ステータ巻線を定交流定電圧源に接続して
交流を供給し、ロータが回転するときの誘導リアクタン
スの変化を検知して回転角に応じた検出出力を取り出す
ことができる(ステータ極片歯とロータの歯が整合され
ると、励磁されたステータ極片の巻線のインダクタン
は、歯が非整合のときよりも高くなり、インダクタンス
のこの変化を利用して検出することができる)。
第1図の検出回路系は、交流源としての発振器201が設
けられていると共に、電流検知用の抵抗202a〜202cが用
いられている。レゾルバ本体100の各巻線1a〜1cの各一
端は、上記発振器201の一端に接続され、各巻線1a〜1c
の各他端は、そぞれ各相の直列な電流検知抵抗202a〜20
2cを介して接地されると共に、発振器201の他端も抵抗2
03を介して接地されている。
各巻線1a〜1cと各電流検知抵抗202a〜202cとのそれぞ
れの接続点は、回路210に接続され、各接続点における
信号、従って各電流検知抵抗202a〜202cの両端に発生す
る電圧は、個別の相入力として回路210へ与えられ、ま
た、上記発振器201と抵抗203との接続点は、回路210の
基準信号入力端に接続されている。レゾルバ本体100か
らの3相の出力は、各相に直列になっている抵抗202a〜
202cにおける電圧降下として現われるので、各相の巻線
1a〜1cを通って流れる電流を検出しロータの回転位置を
示す信号を取り出すのに用いるため回路210に供給され
る。
回路210への入力は、ロータの回転に伴うインダクタ
ンスの変化を利用して位置検出を行うものであるので、
アナログ信号である。レゾルバの信号処理系の一部を成
す上記回路210は、ディジタル位置情報を発生させるた
め、高速のA/Dコンバータとサンプリング回路とから構
成され、3相とキャリア信号を高速のA/Dコンバータ,
サンプリング回路によりディジタル化するのに使用され
る。
回路210からのディジタル出力がデータとして与えら
れる処理部220は、CPU,DSPなどのプロセッサを含んで構
成されており、検出器用ボードに設けられている。処理
部220での処理には、図示の場合には、2相のレゾルバ
ではなく3相であるため、レゾルバ本体100で得られる
3相の入力からの3相・2相変換処理が含まれ、また、
二相信号を直交座標から極座標に変換する極座標変換処
理の他、検出位置と実際の位置との位置のずれを補正す
るのに振幅情報を利用し、振幅成分により検出誤差を推
定し、使用レゾルバにおける高調波による誤差の自動補
正処理が含まれている。すなわち、第1図に示す構成の
位置検出器は、当該位置検出器において自分自身で検出
精度を補正する機能を有している。
以下、これを第2図乃至第9図を参照して、更に具体
的に説明する。
まず、第2図は、比較例として示す位置検出方式とそ
の補正方法の説明に供する検出器ブロック図である。な
お、第2図中、第1図と同様の構成要素等については同
一の参照符号を付してある。
第2図において、レゾルバ本体100については、比較
例のため、第1図と同様、3相のものを示してあり、従
ってこの場合は、レゾルバは3相2相変換器250に接続
され、また、該変換器250を介してRCD(レゾルバ・ディ
ジタル変換器)260が接続されている。変換器250からの
sin出力,cos出力がRDC260に供給される一方、発振器201
と抵抗203との接点がRDC260に接続され、該接続点の信
号が基準信号としてRDC260に入力される。
参照符号300は、補正用ROMを示し、これについての詳
細は後述する。
ディジタル化のため、本来アナログ検出器であるレゾ
ルバと組み合わせてRDCを用いる第2図の位置検出方式
による検出器のものにおける動作原理は、2つの信号を
直交座標から極座標に変換し、その位相成分を用いて位
置検出を行うことができるものであり、第2図ではレゾ
ルバ本体100とRDC260を含む回路系とにより位置検出器
全体が構成されている。
RDCとそれに組み合わせ使用されるレゾルバの基本原
理につき述べるに、まず、レゾルバとして最も簡易なも
のは、2相だけのものがあり、励磁方式に着目すると、
1相励磁/2相出力のものと2相励磁/1相出力のものとに
大別される。位置検出は、ロータの回転位置に応じて誘
起される電圧を取り出すようにし、これに基づいて回転
角を求めることによって行う。
第4図は、前者の方式による場合の概念図を示し、こ
の場合の入出力関係は、回転角がθのとき、次式で示さ
れる。
励磁 Vin=Esinωt …(1) SIN出力 Vsin=kEsinωt・sinθ COS出力 Vcos=kEsinωt・cosθ …(2) 上記(2)式に示される如く、1相励磁/2相出力方式
のときは電圧検出である。
しかして、かかる検出胞子の場合にはRDCとしてトラ
ッキング方式によるものが使用される(2相励磁/一相
出力方式は移相検出であり、この場合には、変換方式と
して移相器方式(前掲公報参照)の構成によるRDCが用
いられる)。
第5図は、トラッキング方式に従うRDCの基本構成を
示しており、RDCは、図示の如く、乗算器501,502と、減
算器503と、同期整流手段504と電圧制御発振器(VCO)5
05と、カウンタ506とを用いて構成することができる。
図示の構成のトラッキング方式による場合は、乗算器50
1,502、減算器503を用いて、レゾルバ出力に対し、カウ
ンタ506から得られるディジタル出力中のcosφ,sinφを
掛け、下記演算を行う。
(V1sinωt・sinθ)×cosφ−(V1sinωt・cosθ)
×sinφ =V1sinωt(sinθ・cosφ−cosθ・sinφ) =V1sinωt・sin(θ−φ) …(3) 次いで、上記(3)式の信号を励磁信号で同期整流す
れば、(3)式中のsinωt部はDCに変換され、Esin
(θ−φ)で表わされる信号を得ることができる。しか
して、sin(θ−φ)=0、すなわちθ=φとなるよう
に内部サーボ系が追従する。
上述のように、その一例を第5図に示した組み合わせ
によるトラッキング方式では、移相器方式のものがSIN/
COS2相励磁の電圧バランス、位相ずれが精度に影響を与
え易く、また、温度ドリフトも生じ易く、組み合わせた
ときのケーブル長によりデータがずれるなどするのに対
し、かかる面での難点がなく、性能的に優れており、所
要分解能の絶対値検出が可能で速度検出も行うことがで
きる。
第2図に示したRDC260としては、この種のトラッキン
グ方式によるものを用いることができ、3相2相変換器
250からの出力信号に基づきRDC260を使用して位置θを
求めるようにしている。
ところが、レゾルバ本体100より出力される信号φA,
φB,φCに高次調波が含まれている場合、検出された位
置θには誤差が含まれ、かように入力信号に高調波成分
が存在する場合には、検出した位置と実際の位置とに位
置のずれが生ずるので、第2図では、補正用のデータを
用いて誤差補正を行う。
かかる処理に使用されるのが、既述した補正用ROM300
である。補正用ROM300は、使用位置検出手段個体毎に固
有の補正データを格納、記憶させたものを用意して用い
ることができる。すなち、ROM300に、予め検出角度が何
度のときには、どちら側に何度ずれるかに応じてデータ
をいれておけば、これによって補正を行なうことがで
き、検出位置θを示すデータがROM300に入力されたと
き、ROM300からは誤差が補正された実際の位置を示すデ
ータが出力されることになる。
補正用ROMデータの作成は、外部に基準検出器を付加
してこれを行うことができる。補正データを使用レゾル
バ個々に応じて得るための装置としては、例えば、第3
図に示すように、対象となるレゾルバ30に測定用軸310
及びカップリング320を介して基準検出器(例えばエン
コーダ)330を連結する構成とし、このような装置で基
準検出器330との差を誤差として求め、補正用データと
する。
精密な用途に使用されるものでは、第3図の如く、事
前に基準検出器330をつけて測定を行うようにし、基準
検出器330でえられる信号と比べて誤差を出して補正用
のROMデータを作成し、第2図のように補正用ROM300を
連続した状態で使用すれば、高調波成分が含まれていて
も位置ずれを補正することが可能である。
上記第2図、第3図で説明した補正方法に対し、第1
図の構成では、誤差補正は、検出精度を外部の検出器に
測定せずにこれを行う。
既述したように、第1図の位置検出器は、RDCを使用
しないで、3相とキャリア信号を回路210でディジタル
化し、3相2相変換,極座標変換の各処理についてはプ
ロセッサを使用して行う。例えば、3相2相変換は、数
学的に処理部220の中で行わせることができる。これに
加えて、該位置検出器は、検出精度を自分自身で補正し
ていく機能を具備する。
高調波成分に起因する誤差の補正において、第3図に
示したような装置を使用することもなく、第1図のレゾ
ルバ本体100と信号を処理する回路(全体として位置検
出器を構成する)の中に補正の機能を取り入れ、位置検
出器において自動的に検出精度を自分自身で補正するこ
とができるのは、以下のような知見に基づく。
第2図の位置検出方式はは、既述の如く、2つの信号
を直交座標から極座標に変換し、その位相成分を用いて
いる。このような位置検出器としているが、その補正に
ついては、誤差を測定し、補正用ROM300を使用するとい
う構成を採用しており、この場合振幅成分は情報として
何ら利用されていない。しかるに、本発明者は、かかる
場合の振幅情報に着眼し、位置検出器をして振幅成分に
より検出誤差を測定せしめ、誤差補正にあたり、検出器
が検出精度を自分自身で補正していくことができるよう
にすることとしている。
第6図乃至第8図は、検出誤差の推定原理を示す。同
各図において、Aは基本波の振幅値、A″は高次調波の
振幅値、A′は基本波+高次調波の振幅値を示してい
る。
本来、第6図のような理想的な波形がレゾルバから求
められれば、検出値に位置ずれは生じない。θを得る場
合、同図の如く、理想的な信号で回転磁界が真円を描く
ようなときには、二成分が分かれば、θは一義的に正確
に決まることになる。
第6図のように理想的な信号の場合、θは実際の位置
に合致したものとして、次式に従って求められる。
Vα=sinθ …(4) Vβ=cosθ …(5) これに対し、信号に高調波が乗ってくると、例えば第
8図に示すようなA″成分が存在すると、理想的な信号
の場合の振幅値は、絶対値そのものがA′に変化するこ
とになり、この結果、第7図に示すように、高調波成分
があるため振幅値成分は歪んでしまう。
第6図に示したように軌跡が円形ならば、すなわち理
想的なものならば、問題はなく、本来ならばこのような
状態でレゾルバから求められればよいのだが、高調波成
分が乗ってくると、これが誤差の要因となり、第8図に
示すように、θとθの関係において、両者に差Δθが生
じてしまう。
上記のように高調波成分が含まれている場合、例えば
4次成分までを考えたとき、誤差を含むθについては、
h1,h2,h4を各次の高調波の係数として、以下のように
表わすことができる。
Vα=h1sinθ−h2sin2θ+h4sin4θ …(8) Vβ=h1cosθ−h2cos2θ+h4cos4θ …(9) なお、上記では、高調波成分として4次までを対象と
するが、これは第1図の位置検出器において、当該位置
検出器が位置検出に用いられる用途等に対応してどの程
度の精度が要求されているものであるか、あるいは後述
のように高調波成分係数を推定するべくコンピュータで
演算処理を行わせる場合におけるその処理速度、性能な
ど使用するプロセッサその他の要素を含めて、適宜設定
することができ、従って、4次を超える更に高次の高調
波成分を考慮するようにしてもよく、また、逆に上記よ
り低い次数までの場合を対象とすることを妨げるもので
はない。
上述したような絶対値が変化する情報は、位置検出に
おいて使用されていなかったが、処理部220では、これ
を自動誤差補正に活用し、絶対値の量を考えて高調波成
分を推定し、これにより補正をしていく。
絶対値の変化情報の利用にあたっては、高調波の各係
数等を、4次までの場合には、次のように仮定してお
く。
fs(θ)=h1sinθ−h2sin2θ+h4sin4θ …(12) fc(θ)=h1cosθ−h2cos2θ+h4cos4θ …(13) ここで、上記高調波の係数h1,h2,h4を求めれば、第
8図に示したように、高調波成分によって差Δθが発生
する関係にあることから、求めた高調波成分から検出位
置と実際の位置とのずれを補正するのに必要な補正値を
算出することができる。しかも、かかる補正値の算出
は、上記処理部220、従って位置検出器自体が高調波成
分を推定して逐次行っていくから、事前にエンコーダ等
の基準検出器を用いなくても、誤差を自動的に補正して
いくことができる。
高調波成分の導出については、最小2乗近似法その他
を適用することができる。
以下、この場合の推定機構について説明する。
処理部220の処理内容には、既述の如く相変換処理、
極座標変換処理が含まれるが、下記説明において、高調
波成分を含むレゾルバからの原信号は三相で頂点に対し
て偶関数になっているものとし、また、高調波成分は位
置ずれに大きな影響を与える4次成分までを考慮するこ
ととする。
以上の条件下において、信号処理系への入力信号は、
次式で表わされる。
fu=h1cosθ−h2cos2θ+h3cos3θ+h4cos4θ …(16) fv=h1cos(θ−120°)+h2cos2(θ−120°)+h3cos
3(θ−120°)+h4cos4(θ−120°) …(17) fw=h1cos(θ+120°)+h2cos2(θ+120°)+h3cos
3(θ+120°)+h4cos4(θ+120°) …(18) 上式を三相・二相変換することにより3の倍数調波は
相殺されるので、この場合の二相信号は次式で示され
る。
従って、上式の二相信号から算出される位置θ′、振
幅A(θ)は次式のように表わされる。
ここで、入力信号の高調波成分の各係数値が分かれ
ば、後述のように、検出位置θ′と実際の位置θとの偏
差Δθを求めることができる。
第9図には、検出位置θ′に対する振幅の波形が示さ
れており、図示のθ′−A(θ′)特性から振幅が各高
調波成分係数h1,h2,h4により変化していることが分か
る。
レゾルバにおける高調波による誤差の自動補正にあた
り、本方式では、この変化を捕らえて推定を行う。
推定は、推定モデルを用いて行うことができる。すな
わち、所定のモデルを設定し、それに当てはめて推定を
行い、しかして求めた係数を決めて補正値を算出する。
本例では、具体的には、推定機構では、上述した(1
6)〜(22)式と同じ機構を持ち、 とした数学モデルを用意する。
ここで、該モデルで対象とする式には、上記(16)〜
(22)式に示されるように、相変換以降の処理が含まれ
ており、一方、第1図の構成では、回路210の出力に基
づき相変換処理をも含めて以後の処理を処理部220で実
行させることとしている。すなわち、回路210でディジ
タル化したならば、相変換,極座標変換の各処理もプロ
セッサを使用して行う構成を採用している。
これに対し、比較例として示した第2図では、相変換
は、別途RDC260の前段に専用の変換器250を設けて行う
構成である。従って、振幅情報を利用して推定を行うべ
く相変換処理をも含む上記(16)〜(22)式と同じ機構
を持ったモデルを用意せんとする場合、第1図に示すよ
うに、相変換以降の処理も処理部220においてプロセッ
サを使用して行わせる構成は、上述のような数学モデル
を設定する上で、第2図の如く別々に変換器250とRCD26
0を用いる構成のものに比べても、この点でも、適した
ものとなる。また、前掲公報のものと比較するに、それ
は位相検知型であるところ、これに対するに、直交性を
有する二相信号(sinωtsinθ,sinωtcosθ)という信
号を使用しているので、2信号の振幅値より検出する型
式(トラッキング方式)であり、二相信号の振幅を利用
するものである。
しかして、処理部220において、推定機構では上記数
学モデルが用意されており、ここで、θ′に対するAの
特性と に対するの特性を比較する。もし、これら2つの特性
が一致したならば、モデルの高調波成分係数12
4は、レゾルバの高調波成分と一致しているはずであ
る。
そこで、高調波成分導出に、既知の最小2乗法、停留
原理、ニュートン・ラフソン法を用いる。
高調波成分を算出するために最小2乗法を適用する
と、評価関数Iは次式のようになる。
かかる評価関数は、一般に、最小2乗近似を行う場合
に用いられるもので、この場合には、A(θ)と との差(誤差)の2乗を積分した量を表わし、これが最
小となるように係数を定めるのに使用される。I→最小
となるように各係数を決定するには、停留原理を用い
る。停留原理では、Iが各係数に関して最小となるに
は、各係数は、 を満足する必要がある。
従って、上記評価関数Iを最小とするために停留原理
を用いると次式のようになる。
次いで、上式にニュートン・ラフソン法を適用する。
ニュートン・ラフソン法は、周知のように、正確な近似
値を得る手段の一つであって、所定のアルゴリズムに従
って複数回計算を繰り返し行わせ、接近させていく手法
である。かかるニュートン・ラフソン法を適用し、収束
計算させることにより、高調波成分が求まる。このよう
にして、入力信号の高調波成分の値が決定されたなら
ば、その高調波成分から、検出位置θ′と実際の位置θ
との偏差Δθは次式で簡単に求められる。
かくして、Δθを用いて補正すれば、真の角度を出す
ことができる。
以上のようにして、レゾルバの信号処理系において、
入力の二相信号を直交座標から極座標に変換し、その角
度情報を用いて位置を検出する場合、高調波成分の存在
によって検出した位置と実際の位置とにずれが生ずると
きでも、角度情報と従来用いられていなかった振幅情報
を併用することにより高調波成分を推定し、位置のずれ
を適切に補正することができる。高調波成分に起因する
誤差を、その高調波成分を推定して補正を行っていくこ
とができるものであるから、第1図の位置検出器は、位
置検出器自らが検出精度を補正する機能を有する。これ
は、検出精度の自己診断ができることを意味する。誤差
補正は、検出精度を外部の検出器により測定するなどし
ておかなくても行うことができ、また、ディジタル化の
ためハードの構成が簡単であり、ノイズにも強く、温度
補償などの付加機能をつけることもできる。しかも、誤
差推定機構があるので経年変化も起きにくい。第2図、
第3図で説明したようなものであっても、使用に伴い補
正に必要な補正量が変わってきてしまうようなときは、
適正な補正は期待できないのに対し、かかる場合でも対
応でき、従って、長期に亘り高精度の位置検出が必要と
される場合でも、これに応えられる。
第1図の位置検出器は、独立の位置検出器としても勿
論使用可能であるが、モータを制御する場合の位置検出
にも適用できる。
第10図は、レゾルバを位置検出手段として組み込んだ
高トルクモータの制御系の構成を示す。
モータ制御部は、電流制御部401と、パワーアンプ回
路402と、レゾルバ制御回路403とを備えており、電流制
御部401はレゾルバ制御回路403から出力される位置信号
によって制御される。高トルクモータ400は、3相駆動
のモータであって、パルスモータ(ステップモータ)と
して動作し、パワーアンプ回路402を介して駆動され
る。
モータ400は、第11図に示すように、高負荷容量軸受4
10によってロータが支持されており、ロータの上部近傍
に回転検出器411としてレゾルバが内蔵されていると共
に、モータのステータ部412がロータを両側から、すな
わち内外周側からかかえるような構造となっている。
上記構成の場合は、ステータ部が内外両方にあるので
約2倍のトルクを発生させることができ、歯車などの減
速機構が不要で、低速で高トルクが得られるので、負荷
との直結が可能であり、ロボット等の駆動源として好適
であり、また、内蔵のレゾルバを使用して高い位置決め
精度を得ることができる。
以上の説明では、本発明を特定の実施例について、あ
るいは必要に応じ随時変形例等を含めて述べたが、本発
明はこれらに限定されるものではない。相変換処理は、
3相のものの場合には必要とされるが、直接二相信号を
取り扱うもの、例えば位置検出手段として2相のレゾル
バであれば、不要である。また、モータの制御に用いる
場合、モータは直動型のものでもよいし、直動型のもの
でなくてもよい。
適用するモータが、高トルクモータであり、かつ、駆
動対象をギヤを介さず直接駆動するモータである場合に
おいて、本発明方法に従う位置検出器を組み合わせたと
きは、ロボット等のシステム全体の位置制御を極めて高
精度で行わせるのに効果的である。
(発明の効果) 本発明によれば、位置検出器において検出精度を自分
自身で補正する機能を持たせることができるので、自動
的に誤差補正を行っていくことが可能であり、検出精度
を事前に外部の検出器により測定するなどしないでも誤
差補正ができ、しかも、使用条件の変化とか経年変化に
よる誤差も起きにくくすることができ、たとえ使用位置
検出手段に経時的な特性の変化が生ずるときでも、適切
な補正を行うことができる。また、モータの制御に適用
すれば、高精度、高信頼性の位置制御の維持、確保を実
現させることができ、特に精密な産業用ロボット、NC工
作機等の場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す位置検出器のブロック
図、第2図は比較例として示す位置検出方式及びその補
正方法の説明に供する検出器ブロック図、第3図は第2
図の補正用ROMに格納すべきデータを得るための測定装
置の一例を示す図、第4図は1相励磁/2相出力方式のレ
ゾルバの基本概念図、第5図はトラッキング方式のRDC
の基本構成の一例を示す図、第6図乃至第8図は本発明
の説明に供する検出誤差の推定原理を示すものであっ
て、第6図は理想的な信号の場合、第7図は高調波成分
が含まれている場合、第8図はθと との関係を示す図、第9図は同じく本発明の説明に供す
る高調波成分が存在する場合の検出位置に対する振幅の
波形の一例を示す図、第10図はモータの制御に適用した
場合の例を示す図、第11図は第10図のモータの構成の一
例を示す図である。 1a〜1c…捲線、100…レゾルバ本体、201…発振器、202a
〜202c…電流検知抵抗、203…抵抗、210…ディジタル化
用回路、220…処理部、400…高トルクモータ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−148812(JP,A) 特公 昭61−44245(JP,B2) 特公 平6−43892(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直交性を有する二相信号を使用し位置検出
    を行う位置検出器における誤差補正方法であって、二相
    信号を極座標に変換し、振幅情報を利用することにより
    高調波成分を推定し、補正値を求めて検出位置と実際の
    位置との位置のずれを補正することを特徴とする位置検
    出器における自動誤差補正方法。
  2. 【請求項2】補正して得られた前記位置検出器の出力に
    よりモータを制御することを特徴とする請求項1記載の
    位置検出器における自動誤差補正方法。
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