JP2712140B2 - 差動制限装置の制御方法 - Google Patents

差動制限装置の制御方法

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JP2712140B2
JP2712140B2 JP2242890A JP24289090A JP2712140B2 JP 2712140 B2 JP2712140 B2 JP 2712140B2 JP 2242890 A JP2242890 A JP 2242890A JP 24289090 A JP24289090 A JP 24289090A JP 2712140 B2 JP2712140 B2 JP 2712140B2
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祐三 小柳
冨士男 籾山
謙一 大森
慎一 奥
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三輪精機株式会社
日野自動車工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、車両に備えられる差動装置の本来の機能で
ある差動機能を制限して同差動機能から派生する急旋回
時や高速時に横風を受けた際の走行時のスリップ率状態
や発進時におけるスリップ状態を速やかに解消すること
により、走行性能や運転操作性の向上を図る差動制限装
置の制御方法に関するものである。
[従来の技術] 一般に、差動装置を備えている車両には、車両がぬか
るみ地等の路面摩擦係数の小さい路面にはまった場合や
急旋回時や横風を受けた場合には車輪がスリップを起こ
し易いという問題点があった。そして、これらのスリッ
プの発生は、前記差動装置の本来の機能である差動機能
によって助長される事情にあったため、従来からこの問
題点を解消するために差動制限装置が用いられ、前記本
来の差動機能に制限を加えることによって、この差動機
能から派生するスリップの抑制が図られていた。
ところで、前記従来の差動制限装置は、通常の走行時
には差動機能に対する制限動作は何等行わず、本来の差
動装置としての機能を発揮させ、他方、車両がぬかるみ
地等にはまって脱出不能に陥った場合等には差動装置を
完全にロックして駆動力を直接的に両輪に伝達すること
により、空転やスリップをしていない車輪に対しても駆
動力を伝達することによって前記問題点を解消しようと
いうものであった。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記従来の差動制限装置は、必要に応
じて差動装置として機能させたり、差動装置を完全にロ
ックさせることはできるものの、選択的にしかできなか
ったため、ぬかるみ地等にはまって片輪にスリップが生
じ、そこからの脱出が困難な場合等において、前記従来
の差動制限装置を用いて差動装置を完全にロックして脱
出を図った場合には、その路面摩擦係数や路面勾配等の
路面条件によっては、却ってスリップを生じていない側
の車輪へのトルク伝達が大きくなり過ぎて両輪スリップ
を起こし易くなることが考えられる。
他方、通常の走行時においては、差動制限装置は何等
の制限動作を行わず、本来の差動装置として機能してい
るため、横風を受けたり、不整地等に入り一方の車輪に
少しのスリップ現象でも生じると、他方の車輪への駆動
力の伝達が減少して走行性能を害するという問題があっ
た。
本発明は、従来技術の有するこれらの問題点に鑑みて
なされたもので、走行時ないし発進時にスリップが生じ
た場合には、片輪スリップか両輪スリップかを判断して
それぞれに最適の制御を実施することにより、スリップ
状態の速やかな解消を図ることを目的とするものであ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手
段を採用したものである。
請求項1の発明においては、各車輪の車輪速等を検出
して少なくとも各駆動車輪のスリップ率を求め、いずれ
かの駆動車輪のスリップ率が所定値以上になった場合
は、差動制限力制御用の指令制御値を所定値まで急速に
増加してから所定の勾配で増加させるようにし、その指
令制御値に基づいて差動制限装置の差動制限力を所定値
まで急速に増加させた後、所定の勾配で徐々に増加させ
るという技術的手段を採用した。
請求項2の発明においては、差動制限力を急速に増加
させる前記指令制御値の所定値を発進時制御の場合と走
行時制御の場合に分け、走行時制御における所定値を発
進時制御における所定値より低く設定するという技術的
手段を採用した。
請求項3の発明においては、差動制限力を急速に増加
させる前記指令制御値の所定値を前回の片輪スリップ状
態から両輪スリップ状態に移行した際の指令制御値を基
礎に演算した値をもって置換するという技術的手段を採
用した。
請求項4の発明においては、両方の駆動車輪のスリッ
プ率が所定値以上の場合の両輪スリップ制御を差動制限
力をゼロに制御する解除制御と、解除後に差動制限力を
所定の勾配で増加させる負荷制御との組合せから構成す
るという技術的手段を採用した。
請求項5の発明においては、両方の駆動車輪のスリッ
プ率が所定値以上の場合は、一度差動制限力制御用の指
令制御値をゼロに制御し、その後前記駆動車輪の一方の
スリップ率が所定値以下に下がるのを待って、前記指令
制御値を所定の勾配で増加させるという技術的手段を採
用した。
[作用] 本発明は、以上の解決手段を採用した結果、差動制限
装置の差動制限力が、その時々の状況に適った値に自動
制御されるため、急旋回や横風を受けたときや不整地等
の路面摩擦係数の一定していない路面の走行時や、発進
時においてスリップが生じた場合には直ちに認識され、
前記差動制限力が的確に自動制御され、そのスリップが
速やかに解消されるため、走行性能及び運転操作性が大
幅に改善され、延いては運転の安全性の向上が図られ
る。すなわち、走行時ないし発進時にいずれかの駆動車
輪に所定のスリップが発生した場合には、自動的に差動
制限制御が開始され、差動制限装置に対する差動制限力
が両輪スリップの可能性などを考慮して設定された所定
値までは急速に増加され、しかる後、所定の勾配で徐々
に増加されるので、微妙なクラッチ操作を要せず、スリ
ップした側の駆動車輪に対する動力伝達が的確かつ速や
かに行われる。また、両輪スリップが発生した場合に
は、差動制限力をゼロにする解除制御と所定の勾配で増
加させる負荷制御とを組合わせ、差動制限力を一度解除
して前記駆動車輪の一方が路面をグリップしやすい状態
にしてから差動制限力を所定の勾配で増加することによ
り伝達される駆動力を徐々に大きくするという制御方式
を採用したので、前記両輪スリップ状態からより的確に
脱出することができる。そして、前記指令制御値をゼロ
に設定し、差動制限力が解除された後、スリップ率が所
定値以下に下がるのを待って、所定の勾配で差動制限力
を増加させることにより、確実かつ速やかなスリップ状
態の解消が得られる。
[実施例] 次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は差動制限装置の制御装置の全体構成図を示し
たもので、各車輪には車輪速の検出手段を構成する車輪
速センサ1a〜1dを設けると共に、ブレーキにはブレーキ
作動を検出するブレーキセンサ2を設け、これらの車輪
速センサ1a〜1d及びブレーキセンサ2からの検出信号を
コントローラ3に入力する。このコントローラ3は差動
制限装置本体4とエアータンク5とを連通する空気圧供
給管路6(6a,6b)に設けられたコントロールバルブ7
を制御して下流側の空気圧供給管路6bの圧力値、すなわ
ち差動制限力制御用の制御値である制御圧力値を制御す
ることにより、前記差動制限装置本体4の差動制限力を
制御する。
第2図は第1図に示した制御装置の要部説明図で、コ
ントローラ3のCPU8において、前輪(非駆動車輪)の車
輪速センサ1a,1bからの検出信号に基づいて車速を演算
すると共に、これら左右前輪の車輪速センサ1a及び1bか
らの検出信号の差分に基づいて操舵角を演算し、更に前
後輪の車輪速センサ1a及び1dあるいは1b及び1cからの検
出信号の差分に基づいて左右の各後輪(駆動車輪)のス
リップ率を演算する。なお、前輪駆動の車両等、駆動
輪、非駆動輪の位置関係が変われば、それに応じて前記
各車輪速センサ1a〜1dの対応関係も変わるのは当然であ
る。
更に、前記コントローラ3のCPU8においては、前記演
算された車速及びスリップ率に応じて、通常走行時制
御、走行時スリップ制御あるいは発進時スリップ制御の
いずれかの制御形態が選択され、その制御が実行され
る。なお、前記通常走行時制御は、スリップの生じてい
ない通常走行時に選択され、スリップの発生を予防しな
がら走行できるように前記差動制限装置本体4に対する
差動制限力の制御が行われる制御形態である。また、前
記走行時スリップ制御は、走行時に片輪スリップが検出
された場合に選択され、そのスリップを速やかに解消す
るように前記差動制限力の制御が行われる制御形態であ
る。更に前記発進時スリップ制御は、ぬかるみ地等から
の発進時に片輪スリップが検出された場合、すなわちぬ
かるみ地等からの脱出時に選択され、その脱出が可能か
つ速やかに行われるように前記差動制限力の制御が行わ
れる制御形態である。なお、いずれの場合であっても、
両輪スリップが発生した場合には、差動制限力制御用の
前記制御圧力値はゼロに制御される。
このため、前記コントローラ3の記憶手段、例えばCP
U8のメモリには、前記3種の制御形態のための制御デー
タが予め記憶されている。
すなわち、前記通常走行時制御用の制御データとして
は、車速v、操舵角α等に対応した制御圧力値(各条件
下において予め実験において求められた前記差動制限力
の最適値を生ぜしめる前記空気圧供給管路6bの圧力値)
としての指令値、すなわち指令制御圧力値pが予め前記
記憶手段にマップとして記憶され、走行条件に応じて前
記空気圧供給管路6bの圧力、すなわち前記差動制限力を
制御する制御圧力の最適値が前記マップから検索されて
制御データとして提供される。
また、前記走行時スリップ制御用の制御データ及び発
進時スリップ制御用の制御データとしては、後述する各
種の所定値a1,a2,b1,b2や前記差動制限力を適切な勾
配、すなわち第4図の線Aあるいは線Bの勾配で増大し
ていくための刻々の指令制御圧力値pあるいはそれを演
算して算出するための関数関係等を予め実験等において
求めて前記記憶手段に記憶しておく。なお、この差動制
限力を増加する場合の勾配として多数の勾配を記憶して
おき、これを検出されたスリップ率に応じて選択し得る
ようにすることも可能である。
第3図は前記マップの一例を示したものである。この
マップは、走行中においてスリップが生じていない通常
走行時に選択されるマップで、この通常走行時において
最良の走行性能が得られるように、特にスリップの生じ
易い急旋回をしたときや横風を受けたとき等を考慮し
て、前記制御圧力値を車速v及び操舵角αの関数として
予め実験的に求めて作成したものである。なお、直線走
行時の前記指令制御圧力値pをある程度大きくとってお
くと横風を受けたときのスリップを予防し得るし、制御
圧力をアナログ的に制御するようにしておくと運転フィ
ーリング上、違和感をなくすことができる。
第4図は前記走行時スリップ制御及び発進時スリップ
制御において前記コントローラ3のCPU8から前記制御圧
力値の制御目標値として出力される指令制御圧力値pと
時間tとの関係を示したもので、図中線Aは前記走行時
スリップ制御における関係を、また線Bは発進時スリッ
プ制御における関係を示す。ここで、線A又はBの勾配
は予め実験等において求めた最適の勾配が採用されてい
る。特に、線Bの勾配は、前記従来の差動制限装置の下
でのクラッチ及びアクセル等の運転操作だけでは脱出の
困難な路面条件の坂道のぬかるみ地等からの脱出をも可
能にすると共に、しかも速やかな脱出を可能にするため
のきわめて重要な要素となる。また図中a1,a2,b1,b2は
それぞれの所定値を示し、所定値a1及びa2は前記走行ス
リップ制御における後述のステップ状に変化させる場合
の値及び指令制御圧力値pの上限値を、所定値b1及びb2
は前記発進時スリップ制御における停止時の指令予圧力
値及び指令制御圧力値pの上限値を示す。ここで、走行
時スリップ制御における前記所定値a2をある程度低く押
えたのは、この走行時スリップ制御中に急加速が行われ
た場合等にプロペラシャフトを含む駆動系に無理がかか
るのを防止するためである。他方、発進時スリップ制御
における前記所定値b2の方をある程度高く設定したの
は、坂道からの発進等においては前記差動制限装置をよ
りロック状態に近づけないと路面をグリップしている側
の車輪へ伝達される駆動力が足りない場合が生じるから
である。また、前記所定値a1に学習機能を付与し、前回
の走行時スリップ制御において両輪スリップが生じた際
の制御圧力値から所定値引いた値あるいは所定の割合値
をもって置き換えるようにすることも可能である。更
に、前記学習機能により所定値a1が前記値に置き換えら
れた直後の前記走行時スリップ制御においては、前記線
Aの勾配をより緩やかなものに変えたり、勾配をなくす
ようにすることも可能である。
このようにしてコントローラ3より前記指令制御圧力
値pが出力されると、これに基づいて前記差動制限装置
本体4における差動制限力が制御されることになる。す
なわち、前記差動制限装置本体4における具体的な制御
手段として摩擦式差動制限装置が用いられた場合を例に
とると、この差動制限装置においては、本来の差動機能
に対して加える制限の大きさを決定する差動制限力は、
この摩擦式差動制限装置の多板クラツチ9の押圧力をそ
の背圧室等の制御圧力値を前記コントローラ3から出力
される指令制御圧力値pに基づいて制御することによっ
て制御することになる。
このため、前記多板クラッチ9の背圧室には、詳細な
接続関係は省略するがスイベルジョイント等を介して、
前記コントロールバルブ7を構成する前記エアータンク
5に接続された電磁弁A及び大気へ開放された分岐管路
に接続された電磁弁Bを接続した前記空気圧供給管6の
下流側6bが接続され、前記コントローラ3からの指令制
御圧力値信号と圧力センサ10を介して前記コントローラ
3にフィードバックされるフィードバック信号とに基づ
いて前記電磁弁A,Bの開閉、開度を制御することによっ
て、前記空気圧供給管路6の下流側6b内の制御圧力値を
指令制御圧力値pに制御して、前記多板クラッチ9の押
圧力を最適値に制御するように構成されている。
なお、前記差動制限装置としては、各種公知の差動制
限装置の作用が可能で、要は差動機能に対する制限を量
的に制御し得るものであればよく、機械的、電気的等ど
のような構造のものでもよい。また、前記多板クラッチ
の押圧力等の差動制限力を調整する手段としては、電
気、電磁的手段を用いてもよく、さらに前記空気圧供給
管路6の下流側6b内の制御圧力値を制御する手段として
は、PMW信号で駆動される電磁弁、リリース弁、減圧弁
等を用いてもよく、制御方式としてはオープン制御でも
よい。また、操舵角αの検知手段としては、操舵装置に
取り付けた操舵角センサを用いてもよいのはもちろんで
ある。更に、手動スイッチ11を付加し、この手動スイッ
チ11の操作によって、指令制御圧力値を一定の所定値、
例えば前記所定値b1あるいはb2に切り換えられるように
構成することも可能である。
次に、この実施例の動作を第5図のフローチャートに
従って説明する。
まず、車速がゼロで停車している場合は、前記空気圧
供給管路6の下流側6b内の制御圧力値が初期値としての
所定の指令予圧力値b1に制御され、差動制限装置本体4
に対してある程度の差動制限力が付加される。
次に、車両がスタートし、車速が所定値、例えば時速
5〜6km程度に達して通常走行に移行した場合は、ブレ
ーキの作動時には、アンチスキッド制御を優先させるた
め、前記空気圧供給管路6の下流側6b内の制御圧力値を
ゼロに制御して差動制限力をゼロにすると共に、ブレー
キの作動がなく、かつ両輪のスリップ率が所定値以下の
場合(この場合は、スリップなしと認識する。なお、そ
の所定値としては例えば20〜30%程度に設定する。)に
は、前記通常時走行制御が選択され、前記第3図のマッ
プ上の指令制御圧力値pに従って前記空気圧供給管路6
の下流側6b内の制御圧力値を車速vと操舵角αに応じて
制御することによって、前記差動制限力が最適値に制御
される。
次に、走行中、スリップ率が所定値以上になり(この
場合は、スリップありと認識する。)、かつ片輪スリッ
プの場合は、前記走行時スリップ制御が選択され、前記
空気圧供給管路6の下流側6b内の制御圧力値を所定値a1
までステップ状に増加させ、その後第4図の線Aの勾配
に従って増加させることにより、前記差動制限力を所定
値までステップ状に急速に増加させ、その後は所定の勾
配で増加させる。
ここで、差動制限力の増加等によって両輪のスリップ
が発生し、その両輪のスリップ率が所定値以上になった
場合には、前記空気圧供給管路6の下流側6b内の制御圧
力値を急速にゼロに制御する。その結果、本来の差動機
能が回復されて左右いずれかの車輪が路面をグリップし
てそのスリップ率が所定値以下になって片輪スリップの
状態に戻った場合には、前記走行時スリップ制御が再選
択され、両輪のスリップ率が所定値以下になるまで、以
上の制御動作を繰り返す。
なお、以上の制御において、片輪スリップ時に制御圧
力を増加していく過程において、両輪スリップが発生し
た場合、その両輪スリップが発生した時点での制御圧力
値を記憶しておき、両輪スリップ制御から片輪スリップ
制御に移行する際、この記憶された前記制御圧力値から
所定値引いた値あるいはその所定の割合値まで前記制御
圧力値を一気に上げ、その後前記第4図の線Aの勾配に
従って制御するように学習機能をもたせてもよい。ま
た、両輪スリップが生じ、前記空気圧供給管路6の下流
側6b内の制御圧力値をゼロにする場合には所定の勾配で
減圧するようにしてもよい。
また、以上の制御の過程において、ブレーキが作動さ
れた場合には、前記空気圧供給管路6の下流側6b内の制
御圧力値をゼロに制御し、前記差動制限力をゼロにして
アンチスキッド制御を優先させることは、前記通常走行
時制御の場合と同様である。
次に、車速が所定値以下で片輪のスリップ率が所定値
以上の場合、例えばぬかるみ地等からの脱出の場合は、
前記発進時スリップ制御が選択され、前記制御圧力値が
車速がゼロの場合の前記指令予圧力値である所定値b1か
ら上限の指令制御圧力値である所定値b2まで第4図の線
Bの勾配に従って増加される。
ここで、前記制御圧力値の増加によって両輪スリップ
が発生してその両輪のスリップ率が所定値以上になった
場合には、前記空気圧供給管路6の下流側6b内の制御圧
力値を急速にゼロに制御して、前記差動制限力をゼロに
する。その結果、左右のいずれかの車輪が路面をグリッ
プしてその一方の車輪のスリップ率が所定値以下になっ
たときは、前記発進時スリップ制御が再選択され、両輪
のスリップ率が所定値以下になるまで以上の制御動作が
繰り返される。
なお、以上の制御において、片輪スリップ時に制御圧
力値を増加していく過程において、両輪スリップが発生
した場合、その両輪スリップが発生した時点での制御圧
力値を記憶しておき、両輪スリップ制御から片輪スリッ
プ制御に移行する際、この記憶された前記制御圧力値か
ら所定値引いた値あるいはその所定の割合値まで制御圧
力値を一気に上げ、その後第4図の線Bの勾配に従って
制御するように学習機能をもたせてもよい。また、両輪
スリップが生じ、前記空気圧供給管路6の下流側6b内の
制御圧力値をゼロに制御する場合には所定の勾配で減圧
するようにしてもよい。
次に、第6図に従って本発明を適用した場合の制御態
様の時間的経過について説明すると、先ずt0時点以前の
停車状態においては、前記空気圧供給管路6の下流側6b
内の制御圧力値は指令予圧力値b1に保持されている。次
に坂道のぬかるみ地等からの発進を想定し、発進時に片
輪スリップが発生したとすると、発進当初は当然車速が
所定値以下であるから前記発進時スリップ制御が選択さ
れ、第4図の線Bに従って指令制御圧力値pが増加す
る。これに伴い差動制限装置本体4に対する差動制限力
も増加されるため、スリップをしていない側の車輪に伝
達する駆動力も徐々に増加してゆき、やがて車両も徐々
に発進を始める。その結果、t1時点において片輪スリッ
プをしながらも車速が所定値、例えば時速5〜6km程度
に達したとすると、そこで制御形態が前記発進時スリッ
プ制御から走行時スリップ制御に切り換えられることに
なる。その結果、指令制御圧力値pの増加の勾配は第4
図の線Bの勾配から線Aの勾配へと変わる。そして、そ
の後前記線Aの勾配に従って指令制御圧力値pが増加を
続けてt2時点において前記差動制限力が大きくなり過
ぎ、その結果スリップをしていなかった側の車輪へ伝達
する駆動力が大きくなり過ぎて両輪スリップが発生する
と、これを前記車輪速センサ1a〜1dが検出して前記指令
制御圧力値pをゼロに制御する。その結果、前記差動制
限力もゼロになり本来の差動機能が完全に回復すると、
スリップし易い側の車輪のみに駆動力が逃げて、やがて
他方の車輪が路面をグリップすることになる。すると、
前記車輪速センサ1a〜1dが前記一方の車輪が路面をグリ
ップしたことを検出して、制御形態を前記走行時スリッ
プ制御に移行することになる。従って、指令制御圧力値
pは第4図の所定値a1までステップ状に変化し、その後
線Aの勾配に従って増加する。そして、t4時点で両車輪
のスリップ率が所定値以下になれば、スリップが解消さ
れたものと認識して、制御形態も通常走行時制御に移行
する。その結果、刻々変わるその時々の操舵角α及び車
速vに対応した最適値を前記コントローラ3の記憶手段
に記憶した前記マップから選択して、これに基づいて前
記指令制御圧力値pを出力することになる。そして、t5
時点において何等かの原因によって再度片輪スリップが
発生したとすると、これを前記車輪速センサ1a〜1dが検
出して、再度走行時スリップ制御へ移行する。この場
合、その直前の指令制御圧力値pが前記所定値a1より大
きいため、指令制御圧力値pはその直前の値より直ちに
前記線Aの勾配に従って増加する。そして、t6時点にお
いて前記スリップが解消すると、更に通常時走行制御へ
移行し、前述の如くその時々の操舵角α及び車速vで決
まる指令制御圧力値pに従って前記差動制限力が制御さ
れることになる。そして、更にその後の走行においても
同様の制御動作が繰り返し継続されていくことになる。
なお、以上の記載において、制御圧力値ないし差動制
限力を所定の勾配で増加するとは、必ずしも厳密な意味
での直線的な増加の場合だけには限られず、要はスムー
ズな増加であればよいから、多少曲線的な要素や微細な
ステップ状等が含まれたものであってもよい。
[発明の効果] 本発明は、上述の構成を採用した結果、次に記載する
効果を奏する。
請求項1の制御方法によれば、走行時ないし発進時に
スリップが発生した場合には、差動制限力が両輪スリッ
プの可能性などを考慮して設定された所定値までは急速
に増加され、しかる後、実験等から求められた最適な勾
配で徐々に増加制御されるので、動作時間が効率的に短
縮され、確実かつ速やかなスリップの解消が可能にな
る。
請求項2の制御方法によれば、差動制限力を急速に増
加させる前記指令制御値の所定値を走行時と発進時とに
分け、走行時制御における所定値を発進時制御における
所定値より低く設定したので、走行時スリップ制御中に
急加速が行われた場合等にプロペラシャフトを含む駆動
系に無理がかかるのを防止することができると共に、発
進時における前記差動制限装置をよりロック状態に近づ
けて路面をグリップしている側の車輪へ伝達される駆動
力を大きくとることができるから合理的な制御が可能に
なる。
請求項3の制御方法によれば、差動制限力を急速に増
加させる前記指令制御値の所定値に関して学習機能を付
加したので、より的確かつ速やかな制御が可能になる。
請求項4の制御方法によれば、両輪スリップが発生し
た場合には、差動制限力をゼロにする解除制御と所定の
勾配で増加させる負荷制御とを組合わせ、差動制限力を
一度解除して前記駆動車輪の一方が路面をグリップしや
すい状態にしてから差動制限力を前記勾配で増加するこ
とにより伝達される駆動力を徐々に大きくするという制
御方式を採用したので、前記両輪スリップ状態からより
的確に脱出することができる。
請求項5の制御方法によれば、両輪スリップの発生に
基づいて前記指令制御値がゼロに設定され、差動制限力
が解除された後、スリップ率が所定値以下に下がるのを
待って、以上の所定の勾配で差動制限力を増加させるの
で、一方の駆動車輪が路面をグリップして確実かつ速や
かにスリップ状態を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は差動制限装置の制御装置の全体構成図、第2図
は同制御装置の要部説明図、第3図は通常走行時制御に
おける指令制御圧力値pの分布を示したマップ、第4図
は走行時スリップ制御及び発進時スリップ制御における
指令制御圧力値pと時間tとの関係を示したp−t関係
図、第5図は本発明の一実施例における制御動作を示し
たフローチャート、第6図は本発明の一実施例における
制御動作の時間的経過を示したp−t関係図である。 1a〜1d……車輪速センサ 2……ブレーキセンサ 3……コントローラ 4……差動制限装置本体 5……エアータンク 7……コントロールバルブ 9……多板クラッチ、10……圧力センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大森 謙一 東京都日野市日野台3丁目1番地1 日 野自動車工業株式会社内 (72)発明者 奥 慎一 東京都日野市日野台3丁目1番地1 日 野自動車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−141834(JP,A) 特開 平2−37043(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各車輪の車輪速等を検出して少なくとも各
    駆動車輪のスリップ率を求め、いずれかの駆動車輪のス
    リップ率が所定値以上になった場合は、差動制限力制御
    用の指令制御値を所定値まで急速に増加してから所定の
    勾配で増加させるようにし、その指令制御値に基づいて
    差動制限装置の差動制限力を所定値まで急速に増加させ
    た後、所定の勾配で徐々に増加させるように制御するこ
    とを特徴とする差動制限装置の制御方法。
  2. 【請求項2】差動制限力を急速に増加させる前記指令制
    御値の所定値を発進時制御の場合と走行時制御の場合に
    分け、走行時制御における所定値を発進時制御における
    所定値より低く設定したことを特徴とする請求項1記載
    の差動制限装置の制御方法。
  3. 【請求項3】差動制限力を急速に増加させる前記指令制
    御値の所定値を前回の片輪スリップ状態から両輪スリッ
    プ状態に移行した際の指令制御値を基礎に演算した値を
    もって置換するようにしたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の差動制限装置の制御方法。
  4. 【請求項4】各車輪の車輪速等を検出して少なくとも各
    駆動車輪のスリップ率を求め、両方の駆動車輪のスリッ
    プ率が所定値以上の場合の両輪スリップ制御を、差動制
    限力をゼロに制御する解除制御と、解除後に差動制限力
    を所定の勾配で増加させる負荷制御との組合せから構成
    したことを特徴とする差動制限装置の制御方法。
  5. 【請求項5】各車輪の車輪速等を検出して少なくとも各
    駆動車輪のスリップ率を求め、両方の駆動車輪のスリッ
    プ率が所定値以上の場合は、一度差動制限力制御用の指
    令制御値をゼロに制御し、その後前記駆動車輪の一方の
    スリップ率が所定値以下に下がるのを待って、前記指令
    制御値を所定の勾配で増加させるように制御することを
    特徴とする差動制限装置の制御方法。
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JPH075032B2 (ja) * 1986-12-03 1995-01-25 日産自動車株式会社 車両用差動制限制御装置
JP2805067B2 (ja) * 1988-07-27 1998-09-30 トヨタ自動車株式会社 4輪駆動車の前後輪差動制御装置

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