JP3520912B2 - 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力配分制御装置

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JP3520912B2
JP3520912B2 JP2000071949A JP2000071949A JP3520912B2 JP 3520912 B2 JP3520912 B2 JP 3520912B2 JP 2000071949 A JP2000071949 A JP 2000071949A JP 2000071949 A JP2000071949 A JP 2000071949A JP 3520912 B2 JP3520912 B2 JP 3520912B2
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clutch
wheel
drive
sudden acceleration
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/84Data processing systems or methods, management, administration

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  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジントルクを
前輪と後輪に配分する駆動系に設けられたトルク配分ク
ラッチにより前輪と後輪に伝達されるトルク配分比が制
御される四輪駆動車の駆動力配分制御装置の技術分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】従来、四輪駆動車の駆動力配分制御装置
としては、例えば、特開平11−278080号公報に
記載のものが知られている。
【0003】この公報には、駆動輪のスリップを示す前
後回転数差に応じて目標トルクを演算し、演算された目
標トルクをトルク配分クラッチへの電流値に変換し、ト
ルク配分コントローラからトルク配分クラッチに対し変
換された電流値を出力し、電流値の大きさによりトルク
配分クラッチを締結する技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の四輪駆動車の駆動力配分制御装置にあっては、アク
セルペダルを大きく踏み込む急加速操作がなされる場合
であっても、急加速操作後に前後輪回転数差の発生を待
って目標トルクが増大されるものであるため、従動輪へ
のトルク配分が間に合わず、過大な前後回転数差、つま
り、トルク配分クラッチ部で過大な滑りが発生するとい
う問題がある。
【0005】すなわち、例えば、マニュアルトランスミ
ッション車において、発進時にエンジン回転数を上げ、
急クラッチミートで発進するような場合、従動輪へのト
ルク配分が間に合わず、前後回転数差が過大になり、駆
動力配分により駆動輪スリップを抑えた高い発進性能が
得られず、また、トルク配分クラッチ部で過大な滑りに
よりトルク配分クラッチの耐久信頼性が低下してしまう
おそれがある
【0006】なお、この問題は、マニュアルトランスミ
ッション車の場合、走行中にクラッチを断にして、アク
セル踏み込み操作によりエンジン回転数を上げ、その
後、急にクラッチミートするような場合にも発生する。
さらに、オートマチックトランスミッション車におい
て、Dレンジでブレーキを踏み込み、アクセルペダルを
踏んでエンジン回転数を上げ、その後、ブレーキを離す
急発進操作時にも同様に発生する。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、過大な
前後回転数差が発生することを事前に予測し、急発進時
や急加速時において駆動輪スリップを抑えた高い発進性
能や加速性能を得ることができると共に、トルク配分ク
ラッチ部の耐久信頼性を確保することができる四輪駆動
車の駆動力配分制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、エンジントルクを主駆動輪と従駆動輪に配分する駆
動系に設けられたトルク配分クラッチに対するトルク配
分コントローラからの制御指令により主駆動輪と従駆動
輪に伝達されるトルク配分比が制御される四輪駆動車の
駆動力配分制御装置において、駆動力配分が2輪駆動状
態であると推定される時で、かつ、アクセル開度検出値
が大の時、過大な前後回転数差の発生が予測される急加
速操作を判断する急加速判断手段と、急加速操作の判断
がなされると、従駆動輪へ伝達されるトルク配分比を大
きくするようにトルク配分クラッチへの目標トルクを演
算する急加速対応トルク演算手段と、前記急加速対応ト
ルク演算手段で演算された目標トルクを得る制御指令を
前記トルク配分クラッチに出力する急加速対応制御手段
と、を前記トルク配分コントローラに設けたことを特徴
とする。
【0009】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記急加速
判断手段は、車速検出値がほぼゼロで、かつ、駆動力配
分が2輪駆動状態であると推定される時で、かつ、アク
セル開度検出値が大の時、急加速発進操作がなされると
判断することを特徴とする。
【0010】請求項3記載の発明では、請求項1記載の
四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記急加速
判断手段は、車速検出値がほぼゼロで、かつ、アクセル
開度検出値大の時、急加速発進操作時であると判断し、
エンジンと変速機との間のクラッチが断であるとの推定
時で、かつ、アクセル開度検出値大の時、急加速走行操
作時であると判断することを特徴とする
【0011】請求項4記載の発明では、請求項1から3
のいずれかに記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置に
おいて、前記急加速対応トルク演算手段は、完全四輪駆
動状態となるようにトルク配分クラッチへの目標トルク
を演算することを特徴とする。請求項5記載の発明で
は、請求項1から3のいずれかに記載の四輪駆動車の駆
動力配分制御装置において、 前記急加速対応トルク演算
手段は、通常時において前記主駆動輪と従駆動輪との回
転数差を基にトルク配分クラッチへの目標トルクを演算
する前後回転数差対応トルク演算手段で演算する目標ト
ルクに比べ、回転数差に対するトルク配分クラッチへの
目標トルクが大きくなるようにトルク配分クラッチへの
目標トルクを演算することを特徴とする。 請求項6記載
の発明では、請求項1から5のいずれかに記載の四輪駆
動車の駆動力配分制御装置において、 前記急加速対応ト
ルク演算手段にて演算されるエンジン最大トルク時リジ
ッド相当以上のトルクがクラッチ伝達限界トルクを超え
るかどうか判定する伝達可否判定手段を設け、クラッチ
伝達限界トルクを超えると判定された場合、トルク配分
クラッチを解放状態にするクラッチ保護トルクとする制
御指令を出力することを特徴とする。
【0012】
【発明の作用および効果】請求項1記載の発明にあって
は、エンジントルクを主駆動輪と従駆動輪に配分する駆
動系に設けられたトルク配分クラッチに対するトルク配
分コントローラからの制御指令により主駆動輪と従駆動
輪に伝達されるトルク配分比が制御される。このとき、
急加速判断手段において、過大な前後回転数差の発生が
予測される急加速操作の判断がなされると、急加速対応
トルク演算手段において、従駆動輪へ伝達されるトルク
配分比を大きくするようにトルク配分クラッチへの目標
トルクが演算され、急加速対応制御手段において、急加
速対応トルク演算手段で演算された目標トルクを得る制
御指令がトルク配分クラッチに出力される。よって、過
大な前後回転数差の発生が予測される急加速操作である
と判断されるとき、通常の駆動力配分制御に優先して駆
動力配分を4輪駆動状態とすることで、急発進時や急加
速時において駆動輪スリップを抑えた高い発進性能や加
速性能を得ることができると共に、トルク配分クラッチ
部の耐久信頼性を確保することができる。加えて、急加
速判断手段において、駆動力配分が2輪駆動状態である
と推定される時で、かつ、アクセル開度検出値が大の
時、急加速走行操作であると判断される。すなわち、過
大な前後回転数差の発生が予測される急加速走行操作と
は、マニュアルトランスミッション車においては急クラ
ッチミートによる発進時や走行時であり、急加速走行時
は、走行中にクラッチを一時的に切り離し、この状態で
アクセルを大きく踏み込んでいることで推定できる。ま
た、オートマチックトランスミッション車においては、
2輪駆動状態での走行中にアクセルを大きく踏み込んで
いることで急加速走行操作を推定できる。よって、上記
急加速判断とすることで、急加速走行時を、アクセル開
度センサ等からの入力情報に基づいて的確に判断するこ
とができる。
【0013】請求項2記載の発明にあっては、急加速判
断手段において、車速検出値がほぼゼロで、かつ、アク
セル開度検出値大の時、急加速発進操作がなされると
判断される。すなわち、過大な前後回転数差の発生が予
測される急加速発進操作とは、マニュアルトランスミッ
ション車においては急クラッチミートによる発進時であ
り、急加速発進時は、クラッチを切り離した停車状態で
アクセルを大きく踏み込んでいることで推定できる。ま
た、オートマチックトランスミッション車においては、
ブレーキを踏み込んだ停車状態でアクセルを大きく踏み
込んでいることで急加速発進操作を推定できる。よっ
て、上記急加速判断とすることで、急加速発進時を、ア
クセル開度センサや車速センサ等の車載センサからの入
力情報に基づいて的確に判断することができる。
【0014】請求項3記載の発明にあっては、急加速判
断手段において、車速検出値がほぼゼロで、かつ、アク
セル開度検出値大の時、急加速発進操作時であると判断
され、エンジンと変速機との間のクラッチが断であると
の推定時で、かつ、アクセル開度検出値大の時、急加速
走行操作時であると判断される。すなわち、過大な前後
回転数差の発生が予測される急加速操作とは、マニュア
ルトランスミッション車においては急クラッチミートに
よる発進時や走行時であり、急加速発進時は、クラッチ
を切り離した停車状態でアクセルを大きく踏み込んでい
ることで推定でき、急加速走行時は、走行中にクラッチ
を一時的に切り離し、この状態でアクセルを大きく踏み
込んでいることで推定できる。よって、上記急加速操作
を判断することで、マニュアルトランスミッション車に
おいて、急クラッチミートによる急加速発進時と急加速
走行時を、アクセル開度センサや車速センサ等の車載セ
ンサからの入力情報に基づいて的確に判断することがで
きる。
【0015】請求項4記載の発明にあっては、急加速対
応トルク演算手段において、完全四輪駆動状態となるよ
うにトルク配分クラッチへの目標トルクが演算される。
よって、急加速操作であると判断されるとき完全4輪駆
動状態とすることで、急発進時や急加速時において駆動
輪スリップを抑えた高い発進性能や加速性能を得ること
ができると共に、トルク配分クラッチ部の耐久信頼性を
確保することができる。 請求項5記載の発明にあって
は、急加速対応トルク演算手段において、通常時におい
て主駆動輪と従駆動輪との回転数差を基にトルク配分ク
ラッチへの目標トルクを演算する前後回転数差対応トル
ク演算手段で演算する目標トルクに比べ、回転数差に対
するトルク配分クラッチへの目標トルクが大きくなるよ
うにトルク配分クラッチへの目標トルクが演算される。
よって、早期に4輪駆動力配分となることで、急発進時
や急加速時において駆動輪スリップを抑えた高い発進性
能や加速性能を得ることができる。 請求項6記載の発明
にあっては、伝達可否判定手段において、急加速対応ト
ルク演算手段にて演算されるエンジン最大トルク時リジ
ッド相当以上のトルクがクラッチ伝達限界トルクを超え
るかどうかが判定され、クラッチ伝達限界トルクを超え
ると判定された場合、トルク配分クラッチを解放状態に
するクラッチ保護トルクとする制御指令が出力される。
よって、このようなクラッチ伝達限界トルクを超える場
合、トルク配分クラッチを解放状態にするクラッチ保護
トルクとすることで、トルク配分クラッチを熱劣化から
未然に保護することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)
【0017】実施の形態1は請求項1〜4および6に記
載の発明に対応する四輪駆動車の駆動力配分制御装置で
ある。
【0018】まず、構成を説明する。
【0019】図1は実施の形態1における四輪駆動車の
駆動力配分制御装置を示す全体システム図で、1はエン
ジン、2はトランスミッション、3はフロントディファ
レンシャル、4はリヤディファレンシャル、5は右前
輪、6は左前輪、7は右後輪、8は左後輪、9はトルク
配分クラッチ、10はトルク配分コントローラ、11は
右前輪速センサ、12は左前輪速センサ、13は右後輪
速センサ、14は左後輪速センサ、15はアクセル開度
センサ、16はエンジン回転センサ、17はギア位置セ
ンサである。
【0020】この実施の形態1の発明が適用される四輪
駆動車は、主駆動輪である左右の前輪5,6へはエンジ
ン駆動力が直接伝達され、従駆動輪である左右の後輪
7,8へは多板クラッチ構造のトルク配分クラッチ9を
介してエンジン駆動力が伝達される前輪駆動ベースの四
輪駆動車である。即ち、トルク配分クラッチ9が締結解
放状態であれば、前輪:後輪=100:0のトルク配分
比となり、トルク配分クラッチ9がエンジントルクの1
/2トルク以上にてにて締結されていれば、前輪:後輪
=50:50の等トルク配分比となり、トルク配分コン
トローラ10からのトルク配分クラッチ9に対する制御
指令により、前輪5,6と後輪7,8に伝達されるトル
ク配分比が、トルク配分クラッチ9の締結トルクに応じ
て可変に制御される。
【0021】前記トルク配分コントローラ10は、各車
輪速センサ11,12,13,14からの車輪速信号
と、アクセル開度センサ15からのアクセル開度信号
と、エンジン回転センサ16からのエンジン回転信号
と、ギア位置センサ17からのギア位置信号等を入力
し、決められた制御則にしたがった演算処理を行い、そ
の演算処理結果による制御指令をトルク配分クラッチ9
に出力する。
【0022】図2は実施の形態1の駆動力配分制御装置
に採用されたトルク配分コントローラ10でのトルク配
分制御ブロック図である。
【0023】4輪車輪速計算部100では、各車輪速セ
ンサ11,12,13,14からの車輪速信号に基づい
て前輪右車輪速度VwFRと前輪左車輪速度VwFLと後輪
右車輪速度VwRRと後輪左車輪速度VwRLが計算され
る。尚、この計算部100は、アンチスキッドブレーキ
システム(ABS)が搭載された車両では、ABSコン
トローラでの計算結果を流用することで省略しても良
い。
【0024】推定車体速計算部101では、各車輪速度
VwFR,VwFL,VwRR,VwRLに基づいて推定車体速
VFFが計算される。
【0025】ゲイン計算部102では、計算された推定
車体速VFFとゲインマップによりゲインKhが計算され
る。
【0026】前後回転数差計算部103では、左右前輪
車輪速度VwFR,VwFLと左右後輪車輪速度VwRR,V
wRLとの差により前後回転数差△Vwが計算される。
【0027】前後回転数差トルク計算部104(前後回
転数差対応トルク演算手段及び急加速対応トルク演算手
段)では、前後回転数差△Vwに応じた通常走行時の前
後回転数差トルクT△Vが計算される。また、急加速判
断部114において急加速フラグが立つと、前後回転数
差トルクマップに書き込まれた急加速対応トルクマップ
に基づいて前後回転数差△Vwに応じた急加速対応トル
クTαが計算される。
【0028】旋回半径計算部105では、旋回半径Rが
計算される。
【0029】アクセル開度計算部106では、アクセル
開度センサ15からのセンサ信号に基づいてアクセル開
度ACCが計算される。
【0030】駆動力マップトルク計算部108では、推
定車体速VFFと旋回半径Rにより駆動力マップトルクT
ACCが計算される。
【0031】アクセル開度感応トルク計算部109で
は、アクセル開度ACCと旋回半径Rによりアクセル開度
感応トルクTSが計算される。
【0032】目標トルク選択部110では、前後回転数
差トルクT△VとイニシャルトルクTVと駆動力マップ
トルクTACCとアクセル開度感応トルクTSのうちから
目標トルクT1が選択される。
【0033】最終目標トルク決定部111では、目標ト
ルク選択部110により選択された目標トルクT1に対
しトルク増加/減少のフィルタ処理を行って最終目標ト
ルクTが決定される。
【0034】最終目標トルク〜電流変換部112では、
設定された最終目標トルク−電流値に基づいて最終目標
トルクTに対応する電流値iに電流変換される。また、
急加速判断部114において急加速フラグが立っている
場合、伝達可否判断部115から急加速対応トルクTα
が入力されると、急加速対応トルクTαに対応する電流
値iに電流変換される。
【0035】最終出力判断部113では、2WDモード
(i=0)の判断時以外は、最終目標トルク〜電流変換
部112により変換された最終目標トルクTに対応する
電流値i、または、急加速対応トルクTαに対応する電
流値iが、トルク配分クラッチ9内のソレノイドに出力
される。なお、ステップ112及びステップ113は、
急加速対応制御手段に相当する。
【0036】急加速判断部114(急加速判断手段)で
は、アクセル開度ACCと推定車体速(車速)VFFとギヤ
位置信号GPとエンジン回転数Neが入力され、これら
の入力情報に基づいて、過大な前後回転数差△Vwの発
生が予測される急加速操作時であるかどうかが判断さ
れ、急加速操作時であるとの判断時には、急加速フラグ
が立てられる。
【0037】伝達可否判定部115(伝達可否判定手
段)では、急加速判断部114において急加速フラグが
立っている場合、前後回転数差トルク計算部104から
急加速対応トルクTαが入力されると、急加速対応トル
クTαがクラッチ伝達限界トルクを超えているかどうか
が判定され、クラッチ伝達限界トルクを超えると判定さ
れた場合、トルク配分クラッチ9を解放状態にするクラ
ッチ保護トルク(2WD)とする制御指令が限界対応制
御手段としての最終出力判断部113に出力されると共
に、警告灯や警告ブザー等を用いてドライバーに警告が
発せられる。
【0038】次に、作用を説明する。
【0039】[急加速対応制御処理]図3はトルク配分
コントローラ10の急加速判断部114、前後回転数差
トルク計算部104、伝達可否判定部115、最終目標
トルク〜電流変換部112及び最終出力判断部113で
行われる急加速対応制御処理の流れを示すフローチャー
トで、以下、各ステップについて説明する。
【0040】ステップ40では、急加速判断部114に
おいて急加速を判断するための判断信号(アクセル開度
ACCと車速VFFとギヤ位置信号GPとエンジン回転数N
e)が入力される。
【0041】ステップ41では、ステップ40で入力さ
れた判断信号に基づいて急加速操作時かどうかが判断さ
れ、下記のように急加速操作時であるとの判断時には急
加速フラグが立てられる。 急クラッチミートによる発進時判断例: 「車速VFF=ゼロ」かつ「アクセル開度ACCが大」 急クラッチミートによる走行時判断例: 「車速VFFとギヤ位置信号GPとエンジン回転数Neか
らエンジン1とトランスミッション2との間のクラッチ
断を推定」かつ「アクセル開度ACCが大」 ここで、クラッチストロークセンサが設けられている場
合、ストロークセンサ信号によりクラッチ断を推定して
も良い。
【0042】ステップ42では、前後回転数差トルク計
算部104において、急加速フラグに基づき、前後回転
数差△Vwに応じた急加速対応トルクTαが計算され
る。
【0043】ステップ43では、伝達可否判定部115
において、前後回転数差トルク計算部104から急加速
対応トルクTαが入力されると、急加速対応トルクTα
がクラッチ伝達限界トルクを超えているかどうかが判定
される。そして、伝達可能であるとの判定時には、ステ
ップ45へ進み、伝達不可であるとの判定時には、ステ
ップ45へ進む。
【0044】ステップ44では、伝達可否判定部115
から最終目標トルク〜電流変換部112に対し急加速対
応トルクTαが出力され、最終目標トルク〜電流変換部
112において、急加速対応トルクTαに対応する電流
値iに電流変換され、最終出力判断部113において、
急加速対応トルクTαに対応する電流値iがトルク配分
クラッチ9内のソレノイドに出力される。
【0045】ステップ45では、伝達可否判定部115
から最終出力判断部113に対しトルク配分クラッチ9
を解放状態にするクラッチ保護トルク(2WDモード)
とする制御指令が出力される。
【0046】ステップ46では、伝達可否判定部115
から最終出力判断部113に対し警告灯や警告ブザー等
を用いてドライバーに警告を発する指令が出力される。
【0047】[急加速対応制御作用]
【0048】エンジン1及びトランスミッション2から
の駆動トルクは、前輪駆動をベースとし、前輪5,6と
後輪7,8に配分する駆動系に設けられたトルク配分ク
ラッチ9に対するトルク配分コントローラ10からの制
御指令により前輪5,6と後輪7,8に伝達されるトル
ク配分比が制御される。
【0049】このとき、急加速判断部114において、
過大な前後回転数差△Vwの発生が予測される急加速操
作が判断され、前後回転数差トルク計算部104におい
て、急加速判断に基づく急加速フラグが立つと、完全4
輪駆動状態とする急加速対応トルクTα(エンジン最大
トルク時リジッド相当以上のトルク)がトルク配分クラ
ッチ9への目標トルクとされ、最終目標トルク〜電流変
換部112及び最終出力判断部113において、急加速
対応トルクTαを得る電流値iがトルク配分クラッチ9
に出力される。
【0050】すなわち、急クラッチミートによる発進時
等で前後回転数差対応制御を行っても後輪7,8へのト
ルク配分が間に合わず、前後回転数差△Vwが過大にな
り、駆動輪スリップを抑えた高い発進性能が得られず、
また、トルク配分クラッチ9部での過大な滑りによりク
ラッチ耐久信頼性が低下してしまう。
【0051】一方、前後回転数差対応制御で、急クラッ
チミートによる発進時等において、早期に4輪駆動配分
となるように、高ゲインによる目標トルク特性で伝達ト
ルクを付与するようにすると、通常の走行時において、
過剰に4輪駆動配分側となり、旋回時にタイトコーナブ
レーキ現象が発生し、旋回性能を悪化させる。
【0052】よって、過大な前後回転数差△Vwの発生
が予測される急加速操作であると判断されるとき、通常
の駆動力配分制御に優先して完全4輪駆動状態とするこ
とで、急発進時や急加速時において駆動輪スリップを抑
えた高い発進性能や加速性能を得ることができると共
に、トルク配分クラッチ9部の耐久信頼性を確保するこ
とができる。
【0053】[急加速判断作用]
【0054】急加速判断部114において、車速VFFが
VFF=0で、かつ、アクセル開度ACCが大の時、急加速
発進時であると判断され、エンジン1とトランスミッシ
ョン2との間のクラッチが断であるとの推定時で、か
つ、アクセル開度ACCが大の時、急加速走行時であると
判断される。
【0055】すなわち、過大な前後回転数差△Vwの発
生が予測される急加速操作とは、マニュアルトランスミ
ッション車においては急クラッチミートによる発進時や
走行時であり、急加速発進時は、クラッチを切り離した
停車状態でアクセルを大きく踏み込んでいることで推定
でき、急加速走行時は、走行中にクラッチを一時的に切
り離し、この状態でアクセルを大きく踏み込んでいるこ
とで推定できる。
【0056】よって、上記急加速判断とすることで、マ
ニュアルトランスミッション車において、急クラッチミ
ートによる急加速発進時と急加速走行時を、アクセル開
度センサ15やエンジン回転センサ16等の車載センサ
からの入力情報に基づいて的確に判断することができ
る。
【0057】[急加速対応トルク演算作用]
【0058】前後回転数差トルク計算部104の通常走
行時用トルクマップ上に、前後回転数差△Vwの発生に
対し急激に完全4輪駆動状態まで立ち上げる急加速対応
トルクマップが書き込まれ、前後回転数差トルク計算部
104にて急加速対応トルクTαが計算される。
【0059】すなわち、トルク配分コントローラ10に
は、前後回転数差対応トルクマップを持つ前後回転数差
トルク計算部104が既に存在する。また、独立に急加
速対応トルクを演算する場合、急加速対応トルク演算部
を新たに追加する必要がある。
【0060】よって、既存の前後回転数差対応トルクマ
ップを利用し、そこに急加速対応トルクマップを書き込
むことで、急加速対応トルク演算部を新たに追加するこ
とのない簡単な構成としながら、前後回転数差トルク計
算部104にて急加速対応トルクTαを演算することが
できる。
【0061】[限界対応制御作用]
【0062】伝達可否判定部115において、前後回転
数差トルク計算部104にて計算される急加速対応トル
クTαがクラッチ伝達限界トルクを超えるかどうかが判
定され、クラッチ伝達限界トルクを超えると判定された
場合、最終出力判断部113に対し、トルク配分クラッ
チ9を解放状態にするクラッチ保護トルクとする制御指
令が出力されると共に、ドライバーに警告が発せられ
る。
【0063】すなわち、図4に示すように、通常の加速
時には後輪7,8への伝達トルクが限界トルクに達しな
いレベルで推移するが、急クラッチミートによる急加速
時には、アクセル踏み込みすぎにより後輪7,8への伝
達トルクが限界トルクを超えることがある。トランスミ
ッション2を経過したエンジントルクが過大である場
合、トルク配分クラッチ9を最大の締結力で締結しても
クラッチ伝達限界トルクまでしか伝達されず、トルク配
分クラッチ9部では高トルクで密着しながらも滑りが生
じ、高熱が出てしまう。
【0064】よって、このようなクラッチ伝達限界トル
クを超える場合、トルク配分クラッチ9を解放状態にす
るクラッチ保護トルクとすることで、トルク配分クラッ
チ9を熱劣化から未然に保護することができると共に、
警告を発することで、適切でない急加速操作であること
をドライバーに知らせることができる。
【0065】次に、効果を説明する。
【0066】(1) 過大な前後回転数差△Vwの発生が予
測される急加速操作を判断する急加速判断部114と、
急加速判断がなされると、完全4輪駆動状態とするエン
ジン最大トルク時リジッド相当以上のトルクをトルク配
分クラッチ9への目標トルクとする前後回転数差トルク
計算部104と、エンジン最大トルク時リジッド相当以
上のトルクを得る制御指令をトルク配分クラッチ9に出
力する最終目標トルク〜電流変換部112及び最終出力
判断部113をトルク配分コントローラ10に設けたた
め、過大な前後回転数差△Vwの発生に先行する事前の
リジッド4WD制御により、急発進時や急加速時におい
て駆動輪スリップを抑えた高い発進性能や加速性能を得
ることができると共に、トルク配分クラッチ9部の耐久
信頼性を確保することができる。
【0067】(2) 急加速判断部114を、車速VFFがゼ
ロで、かつ、アクセル開度ACCが大の時、急加速発進時
であると判断し、エンジン1とトランスミッション2と
の間のクラッチが断であるとの推定時で、かつ、アクセ
ル開度ACCが大の時、急加速走行時であると判断する手
段としたため、マニュアルトランスミッション車におい
て、急クラッチミートによる急加速発進時と急加速走行
時を、アクセル開度センサ15やエンジン回転数センサ
16等の車載センサからの入力情報に基づいて的確に判
断することができる。
【0068】(3) 前後回転数差トルク計算部104の通
常走行時用トルクマップ上に、前後回転数差△Vwの発
生に対し急激に完全4輪駆動状態まで立ち上げる急加速
対応トルクマップを書き込み、前後回転数差トルク計算
部104にて急加速対応トルクTαを計算する手段とし
たため、急加速対応トルク演算部を新たに追加すること
のない簡単な構成としながら、前後回転数差トルク計算
部104にて急加速対応トルクTαを計算することがで
きる。
【0069】(4) 前後回転数差トルク計算部104にて
計算される急加速対応トルクTαがクラッチ伝達限界ト
ルクを超えるかどうか判定する伝達可否判定部115を
設け、クラッチ伝達限界トルクを超えると判定された場
合、トルク配分クラッチ9を解放状態にするクラッチ保
護トルクとする制御指令を出力すると共に、ドライバー
に警告を発する最終出力判断部113を設けたため、ト
ルク配分クラッチ9を熱劣化から未然に保護することが
できると共に、適切でない急加速操作であることをドラ
イバーに知らせることできる。
【0070】(その他の実施の形態)実施の形態1で
は、前輪駆動ベースの四輪駆動車への適用例を示した
が、後輪駆動ベースの四輪駆動車にも適用することがで
きる。また、マニュアルトランスミッション車への適用
に限らず、オートマチックトランスミッション車にも適
用することができる。
【0071】実施の形態1では、急加速判断時に前後回
転数差トルク計算部において急加速対応トルクTαを計
算する例を示したが、図5に示すように、ゲイン計算部
において、前後回転数差に応じた伝達トルクゲインを通
常時に比べて高めるようにしても良いし(請求項5に相
当)、また、急加速対応トルクとしてエンジン最大トル
ク時リジッド相当以上のトルクを予め定めておいて、こ
れを選択するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における四輪駆動車の駆動力配分
制御装置を示す全体システム図である。
【図2】実施の形態1の駆動力配分制御装置に採用され
たトルク配分コントローラでのトルク配分制御ブロック
図である。
【図3】実施の形態1におけるトルク配分コントローラ
の急加速判断部、前後回転数差トルク計算部、伝達可否
判定部、最終目標トルク〜電流変換部及び最終出力判断
部で行われる急加速対応制御処理の流れを示すフローチ
ャートである。
【図4】実施の形態1における通常の加速時と急加速時
とでの伝達トルク特性を示す対比図である。
【図5】他の実施の形態における急発進予測時と通常時
とでのゲイン特性を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トランスミッション 3 フロントディファレンシャル 4 リヤディファレンシャル 5 右前輪 6 左前輪 7 右後輪 8 左後輪 9 トルク配分クラッチ 10 トルク配分コントローラ 11 右前輪速センサ 12 左前輪速センサ 13 右後輪速センサ 14 左後輪速センサ 15 アクセル開度センサ 16 エンジン回転センサ 17 ギア位置センサ 104 前後回転数差トルク計算部 112 最終目標トルク〜電流変換部 113 最終出力判断部 114 急加速判断部 115 伝達可否判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/34 - 17/35

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジントルクを主駆動輪と従駆動輪に
    配分する駆動系に設けられたトルク配分クラッチに対す
    るトルク配分コントローラからの制御指令により主駆動
    輪と従駆動輪に伝達されるトルク配分比が制御される四
    輪駆動車の駆動力配分制御装置において、駆動力配分が2輪駆動状態であると推定される時で、か
    つ、アクセル開度検出値が大の時、 過大な前後回転数差
    の発生が予測される急加速操作を判断する急加速判断手
    段と、 急加速操作の判断がなされると、従駆動輪へ伝達される
    トルク配分比を大きくするようにトルク配分クラッチへ
    の目標トルクを演算する急加速対応トルク演算手段と、 前記急加速対応トルク演算手段で演算された目標トルク
    を得る制御指令を前記トルク配分クラッチに出力する急
    加速対応制御手段と、 を前記トルク配分コントローラに設けたことを特徴とす
    る四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配分
    制御装置において、 前記急加速判断手段は、車速検出値がほぼゼロで、
    つ、駆動力配分が2輪駆動状態であると推定される時
    で、かつ、アクセル開度検出値が大の時、急加速発進操
    作がなされると判断することを特徴とする四輪駆動車の
    駆動力配分制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配分
    制御装置において、 前記急加速判断手段は、車速検出値がほぼゼロで、か
    つ、アクセル開度検出値大の時、急加速発進操作時であ
    ると判断し、エンジンと変速機との間のクラッチが断で
    あるとの推定時で、かつ、アクセル開度検出値大の時、
    急加速走行操作時であると判断することを特徴とする四
    輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の四輪
    駆動車の駆動力配分制御装置において、 前記急加速対応トルク演算手段は、完全四輪駆動状態と
    なるようにトルク配分クラッチへの目標トルクを演算す
    ることを特徴とする四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から3のいずれかに記載の四輪
    駆動車の駆動力配分制御装置において、 前記急加速対応トルク演算手段は、通常時において前記
    主駆動輪と従駆動輪との回転数差を基にトルク配分クラ
    ッチへの目標トルクを演算する前後回転数差対応トルク
    演算手段で演算する目標トルクに比べ、回転数差に対す
    るトルク配分クラッチへの目標トルクが大きくなるよう
    にトルク配分クラッチへの目標トルクを演算することを
    特徴とする四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の四輪
    駆動車の駆動力配分制御装置において、 前記急加速対応トルク演算手段にて演算されるエンジン
    最大トルク時リジッド相当以上のトルクがクラッチ伝達
    限界トルクを超えるかどうか判定する伝達可否判定手段
    を設け、クラッチ伝達限界トルクを超えると判定された
    場合、トルク配分クラッチを解放状態にするクラッチ保
    護トルクとする制御指令を出力することを特徴とする四
    輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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