JP2009184625A - 路面摩擦係数推定装置、及び、この路面摩擦係数推定装置を備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

路面摩擦係数推定装置、及び、この路面摩擦係数推定装置を備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加減速の広い運転領域でレスポンス良く精度の良い路面摩擦係数を推定する。
【解決手段】加速条件成立時には第1の路面摩擦係数推定部4で車輪に付加する推定駆動力Fmと車両が発生している発生駆動力Fdを演算し、これらを基に第1の路面摩擦係数μ1を推定する。また、減速条件成立時には第2の路面摩擦係数推定部5で車体減速度Gxと前後輪すべり率差dsとを演算し、これらを基に第2の路面摩擦係数μ2を推定する。路面摩擦係数設定部6は、加速条件成立の際には、第1の路面摩擦係数μ1と、保持されていた第2の路面摩擦係数μ2とを比較して、小さい値の方の路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数μnとして設定し、減速条件成立の際には、そのまま第2の路面摩擦係数μ2を今回の路面摩擦係数μnとして設定し、それ以外の際には、前回設定した路面摩擦係数μn-1を今回の路面摩擦係数μnとして設定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、走行状態に応じて精度良く路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定装置、及び、この路面摩擦係数推定装置を備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置に関する。
近年、車両においてはトラクション制御,制動力制御,あるいはトルク配分制御等について様々な制御技術が提案され、実用化されている。これらの技術では、必要な制御パラメータの演算、あるいは、補正に路面摩擦係数を用いるものも多く、その制御を適切に実行するためには、正確な路面摩擦係数を推定する必要がある。
例えば、特開2003−237558号公報では、4輪の平均車輪速度を車体速度として求め、この車体速度を微分して車両の前後加速度として演算し、主ブレーキ制動時に動力配分制御装置の油圧多板クラッチの締結を解放方向にさせ、後輪の車輪速度と前輪の車輪速度の差を前輪の車輪速度で除してすべり速度差変数を演算し、車両の前後加速度、すべり速度差変数を基に、予め設定しておいたマップを基に路面状態を推定する技術が開示されている。
特開2003−237558号公報
しかしながら、上述の特許文献1の技術では、例えば前後駆動力配分機構を有する4輪駆動車において、その制御を一般的に良く知られている、駆動トルクに応じたフィードフォワード制御と車輪差回転に応じたフィードバック制御により実行する場合、加速時に路面摩擦係数を推定できない問題が生じる。つまり、前後駆動力配分機構を有する4輪駆動車において、通常、加速時は、前後輪に車輪速の差が発生したとしてもその車輪速の差を打ち消すように締結方向に前後駆動力配分機構を制御し、トラクションを最大限発揮できるようにしている。したがって、前後輪に車輪速の差が発生しない加速時においては前後輪のすべり速度差変数(前後輪すべり率差)を利用して路面摩擦係数を推定する手法が適用できない。さらに、全輪が駆動状態であるため前後輪の駆動力(及びスリップ率)が時々刻々と変化し、前後輪すべり率差をその時々で正しく算出できない問題もある。さらに、4輪駆動車、2輪駆動車に関わらず、前後すべり率差を利用して路面摩擦係数を推定する手法は旋回時に路面摩擦係数を精度良く推定できない問題もある。つまり、旋回中においては旋回半径に応じた前後輪のすべり率差が発生してしまうため、路面摩擦係数による前後輪のすべり率差以外の外的要因が加わってしまい、路面摩擦係数を誤判定してしまう虞がある。そして結果として、直進付近でしか推定の原理を適用できないという問題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、加速時や減速時の広い運転領域でレスポンス良く精度の良い路面摩擦係数を推定できる路面摩擦係数推定装置、及び、この路面摩擦係数推定装置を備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することを目的とする。
本発明による路面摩擦係数推定装置は、車輪に付加した駆動力と車両が発生した駆動力とに基づいて路面摩擦係数を推定する第1の路面摩擦係数推定手段と、減速度と前後輪すべり率差とに基づいて路面摩擦係数を推定する第2の路面摩擦係数推定手段と、予め設定した加速条件が成立する際は、少なくとも上記第1の路面摩擦係数推定手段で推定した路面摩擦係数を用いて今回の路面摩擦係数を設定し、予め設定した減速条件が成立する際は、少なくとも上記第2の路面摩擦係数推定手段で推定した路面摩擦係数を用いて今回の路面摩擦係数を設定する路面摩擦係数設定手段とを備えたことを特徴としている。
また、本発明による4輪駆動車の駆動力配分制御装置は、前後輪への駆動力配分を可変制御する4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の路面摩擦係数推定装置を備え、前記駆動力配分制御装置は加速時に前後輪の車輪速差を打ち消すよう締結方向に前後駆動力配分を制御する一方、減速時は前後輪の車輪速差を許容する方向に前後駆動力配分を制御することを特徴としている。
本発明によれば、加速時は車輪に付加した駆動力と車両に実際に発生している駆動力とから路面摩擦係数を推定している。ここで、車輪に付加した駆動力と車両に実際に発生している駆動力は前後輪すべり率差に依存していないため、駆動力配分機構を有する4輪駆動車のように加速時に前後輪すべり率差を打ち消すように締結方向に駆動力配分制御する場合であっても適用できる。また、車輪に付加した駆動力と車両に実際に発生している駆動力は旋回による影響を受けないため精度良く路面摩擦係数を推定することが可能となる。一方、減速時は減速度と前後輪すべり率差とから精度良く路面摩擦係数を推定できる。つまり、例えば4輪駆動車の前後の駆動力配分制御は減速時に作動するアンチロックブレーキシステム(ABS;Anti-lock Brake System)や横滑防止装置が効果的に働くよう前後輪のすべり率差を許容する方向に制御している。そのため前後すべり率差を時々刻々算出できるため精度良く路面摩擦係数を推定できる。なお、加速時の路面摩擦係数を推定する手法、つまり車輪に付加した駆動力と車両が発生した駆動力とに基づいて路面摩擦係数を推定する手法を減速時に適用することも可能であるが、減速時に適用した場合、次の問題が生じるため、本発明のように減速時は減速度と前後輪すべり率差から路面摩擦係数を推定した方が良い。減速時に加速時の路面摩擦係数を推定する手法を適用した場合、車輪に付加した制動力と車両が発生した制動力とに基づいて路面摩擦係数を推定することになる。ここで、車両が発生した制動力はタイヤに直接設置したトルクセンサや前後加速度センサから精度良く求めることができる。一方、車輪に付加した制動力は主ブレーキのブレーキ液圧から算出することになる。ここで、車輪に付加した制動力はディスクブレーキのブレーキパッドやロータ等のバラツキが外乱として作用し、ブレーキ液圧からは精度良く車輪に付加した制動力を算出できない問題が生じる。したがって、減速時は加速度の路面摩擦係数を推定する手法は有効に適用できず、本発明のように減速度と前後すべり率差から路面摩擦係数を推定した方が良い。
以上より、本発明によれば、走行状態に応じて最適な手法で路面摩擦係数を推定することで加速時や減速時の広い運転領域でレスポンス良く精度の良い路面摩擦係数を推定できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図13は本発明の実施の第1形態を示し、図1は路面摩擦係数推定装置の構成を示す機能ブロック図、図2は第1の路面摩擦係数推定部の構成を示す機能ブロック図、図3は第2の路面摩擦係数推定部の構成を示す機能ブロック図、図4は路面摩擦係数推定プログラムのフローチャート、図5は第1の路面摩擦係数推定処理ルーチンのフローチャート、図6は第2の路面摩擦係数推定処理ルーチンのフローチャート、図7は図6から続くフローチャート、図8はドライビングスティフネス係数と車速と第1の路面摩擦係数の特性マップの一例を示す説明図、図9はドライビングスティフネス係数と車速とスリップ率の関係を示す説明図、図10は路面摩擦係数とスリップ率のタイヤ特性曲線の説明図、図11は車両の旋回を2輪車モデルで示す説明図、図12は前後輪すべり率差とステアリング舵角の関係を示す説明図、図13は車体減速度と前後輪すべり率差と路面摩擦係数の関係を示す説明図である。
図1において、符号1は特に4輪駆動車に搭載されて、路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定装置を示し、この路面摩擦係数推定装置1から出力された路面摩擦係数の値は、前後駆動力配分の配分量を決定する1パラメータとして用いられる。
路面摩擦係数推定装置1の制御部2には、4輪の車輪速センサ11、アクセル開度センサ12、前後加速度センサ13、ハンドル角センサ14、ブレーキペダルスイッチ15等のセンサ、スイッチ類が接続され、4輪車輪速ωfl(左前輪車輪速)、ωfr(右前輪車輪速)、ωrl(左後輪車輪速)、ωrr(右後輪車輪速)、アクセル開度θACC、前後加速度Gxs、ハンドル角(ステアリング舵角)θH、ブレーキの作動信号が入力される。
また、制御部2には、エンジン制御部16、及び、トランスミッション制御部17が接続されており、エンジン回転数Ne、スロットル開度θth、タービン回転数Nt、トランスミッションギヤ比iが入力される。
更に、車両には、駆動輪のスリップ状態またはスリップしそうな状態となった場合に駆動力を低減する公知のトラクションコントロール装置18、制動時における制動力を制御して車輪のロック状態の発生を防止する公知のアンチロックブレーキシステム(ABS;Anti-lock Brake System)19、車両の横滑りの挙動を防止する横滑防止装置20が搭載されており、これらの作動信号も制御部2に入力される。尚、上述の横滑防止装置20は、例えば、実際のヨーモーメントと、車両の運動方程式に基づいて求める目標ヨーモーメントとを比較して、現在の車両の運転状態がアンダーステア傾向の場合には、旋回内側後輪に所定の制動力を付加し、オーバーステア傾向の場合には、旋回外側前輪に所定の制動力を付加することにより車両の横滑りを防止するものとなっている。
そして、路面摩擦係数推定装置1の制御部2は、上述の各入力信号に基づき、後述する路面摩擦係数推定プログラムを実行し、路面摩擦係数μnを推定して出力する。すなわち、制御部2は、図1に示すように、加減速判定部3、第1の路面摩擦係数推定部4、第2の路面摩擦係数推定部5、路面摩擦係数設定部6から主要に構成されている。
加減速判定部3は、4輪車輪速センサ11から各車輪の車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrが入力され、アクセル開度センサ12からアクセル開度θACCが入力され、ブレーキペダルスイッチ6からブレーキのON−OFF信号が入力される。
そして、アクセル開度θACCが一定開度以上(例えば、5%以上)で、且つ、4輪の車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrの最小値が一定速以上(例えば、2km/h以上)の際に加速条件成立と判定する。また、ブレーキがONの際には減速条件成立と判定する。
こうして得られる3つの判定結果、すなわち、加速条件成立、減速条件成立、加速条件も減速条件も非成立の判定結果は、第1の路面摩擦係数推定部4、第2の路面摩擦係数推定部5、路面摩擦係数設定部6に出力される。
第1の路面摩擦係数推定部4は、第1の路面摩擦係数推定手段として設けられており、4輪の車輪速センサ11から4輪車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrが入力され、前後加速度センサ13から前後加速度Gxsが入力され、エンジン制御部16からエンジン回転数Ne、スロットル開度θthが入力され、トランスミッション制御部17からタービン回転数Nt、トランスミッションギヤ比iが入力され、加減速判定部3から加速条件成立、減速条件成立、加速条件も減速条件も非成立の判定結果が入力される。
そして、第1の路面摩擦係数推定部4は、加速条件が成立した際に、上述の各入力信号に基づき、後述する第1の路面摩擦係数推定処理ルーチンを実行し、第1の路面摩擦係数μ1を推定して路面摩擦係数設定部6に出力する。
すなわち、第1の路面摩擦係数推定部4は、図2に示すように、車速演算部4a、発生駆動力演算部4b、推定駆動力演算部4c、発生駆動力差分値演算部4d、推定駆動力差分値演算部4e、ドライビングスティフネス係数演算部4f、第1の路面摩擦係数設定部4gから主要に構成されている。
車速演算部4aは、4輪車輪速センサ11から各車輪の車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrが入力され、これらの平均を演算することで車速V(=(ωfl+ωfr+ωrl+ωrr)/4)を演算し、第1の路面摩擦係数設定部4gに出力する。
発生駆動力演算部4bは、前後加速度センサ13から前後加速度Gxsが入力され、例えば、以下の(1)式により、発生駆動力Fdを演算し、発生駆動力差分値演算部4dに出力する。
Fd=((M・r+Jw)/r)・Gxs …(1)
ここで、Mは車重、rはタイヤ半径、Jwは車輪と車軸などを併せた回転部分の慣性モーメントである。
推定駆動力演算部4cは、エンジン制御部16からエンジン回転数Ne、スロットル開度θthが入力され、トランスミッション制御部17からタービン回転数Nt、トランスミッションギヤ比iが入力される。そして、例えば、以下の(2)式により、推定駆動力Fmを演算し、推定駆動力差分値演算部4eに出力する。
Fm=Tm/r …(2)
ここで、Tmは駆動トルクであり、例えば、以下の(3)式により、演算される。
Tm=Te・i・if・tconv …(3)
ここで、Teは予め設定しておいたエンジン回転数Neとスロットル開度θthの特性マップを基に演算されるエンジン出力トルク、ifは終段減速機のギヤ比、tconvはトルクコンバータ(図示せず)のトルコン比であり、このトルコン比tconvは、トルクコンバータの速度比e(=Nt/Ne)を基に予め設定されたマップから求められる。尚、エンジン出力トルクTeはエンジン制御部16等から直接入力される値を用いても良く、トルコン比tconvはトランスミッション制御部17等から直接入力される値を用いても良い。
発生駆動力差分値演算部4dは、発生駆動力演算部4bから発生駆動力Fdが入力される。そして、発生駆動力Fdの今回の値Fd(k)と、過去の値(本実施の第1形態では前回の値:Fd(k-1))との差分値(発生駆動力差分値)ΔFdを演算し、ドライビングスティフネス係数演算部4fに出力する。すなわち、
ΔFd=Fd(k)−Fd(k-1) …(4)
尚、本実施の第1形態では、今回の値Fd(k)と前回の値Fd(k-1)とで発生駆動力差分値ΔFdを演算するようにしているが、前回の値ではなく数サンプリング前の値を過去の値として用いるようにしても良い。
推定駆動力差分値演算部4eは、推定駆動力演算部4cから推定駆動力Fmが入力される。そして、推定駆動力Fmの今回の値Fm(k)と、過去の値(本実施の第1形態では前回の値:Fm(k-1))との差分値(推定駆動力差分値)ΔFmを演算し、ドライビングスティフネス係数演算部4fに出力する。すなわち、
ΔFm=Fm(k)−Fm(k-1) …(5)
尚、本実施の第1形態では、今回の値Fm(k)と前回の値Fm(k-1)とで推定駆動力差分値ΔFmを演算するようにしているが、前回の値ではなく数サンプリング前の値を過去の値として用いるようにしても良い。
ドライビングスティフネス係数演算部4fは、発生駆動力差分値演算部4dから発生駆動力差分値ΔFdが入力され、推定駆動力差分値演算部4eから推定駆動力差分値ΔFmが入力される。そして、これら発生駆動力差分値ΔFdと推定駆動力差分値ΔFmにより、後述する、スリップ率λと路面摩擦係数μの関係を示すタイヤ特性のドライビングスティフネス係数Qを演算し、第1の路面摩擦係数設定部4gに出力する。本実施の第1形態では、ドライビングスティフネス係数Qを時系列データから推定する方法として、一般的なパラメータ同定手法の一つである固定トレース法を用いる。すなわち、固定トレース法によれば、φの推定値であるφeを求める式は、以下の(6)式で与えられる。尚、式中の添字(k)は今回の値、(k−1)は前回の値であることを示す。
φe(k)=φe(k-1)−(F(k-1)・p(k))/(ζ+p(k)・F(k-1)・p(k))
・(p(k)・φe(k-1)−y(k)) …(6)
ここで、ζは以下の(7)式で与えられる。
ζ=1/(1+F(k-1)・p(k)) …(7)
すなわち、ドライビングスティフネス係数Qは、後述の(14)式に示すように、Q=ΔFd/ΔFmで与えられる。発生駆動力差分値ΔFdには、時々刻々変化するピッチング運動やサスペンション系の変動が含まれるため、パラメータ同定手法を用いて求めることにより、安定した精度の良いドライビングスティフネス係数Qが得られるようになっている。
そして、上述の(6)式、(7)式に対し、以下のようにパラメータを代入し、ドライビングスティフネス係数Qを推定するのである。
φe(k)=Q、p(k)=p(k)=ΔFm、y(k)=ΔFd
尚、トレースゲインであるF(k-1)は、例えば、0.0001とする。
また、本実施の第1形態では、ドライビングスティフネス係数演算部4fにおいてドライビングスティフネス係数Qをパラメータ同定手法を用いて求めるようになっているが、発生駆動力差分値ΔFdと推定駆動力差分値ΔFmの値を安定して求めることができるのであれば、単に、発生駆動力差分値ΔFdと推定駆動力差分値ΔFmとの比率により、ドライビングスティフネス係数Qを推定するようにしても良い。
第1の路面摩擦係数設定部4gは、車速演算部4aから車速Vが入力され、ドライビングスティフネス係数演算部4fからドライビングスティフネス係数Qが入力される。そして、車速Vとドライビングスティフネス係数Qを基に予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと第1の路面摩擦係数μ1との関係を示す特性マップ(図8)を参照して第1の路面摩擦係数μ1を設定する。そして、今回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k)と前回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k-1)とを比較して小さい方の値を出力する。このように小さい方の値を出力することにより、低μ路をできるだけ早期に且つ安定して検出し、特に加速時に要求される4輪駆動車の前後駆動力配分制御にレスポンス良く対応できるようになっている。
ここで、図8のドライビングスティフネス係数Qと車速Vと第1の路面摩擦係数μ1との関係を示すマップについて説明する。Mを車重、Mwを回転部分重量、Vを車体速度、Vwを4輪平均車速、ωを駆動輪回転速度、Nを垂直荷重、μを路面摩擦係数とおくと、一輪モデルより車輪の運動方程式は、以下の(8)式となる。
Mw・(dVw/dt)=Fm−Fd …(8)
また、車体の運動方程式は、以下の(9)式で与えられる。
M・(dV/dt)=Fd …(9)
但し、車輪の運動は、Mw=Jw/r、Fm=Tm/r、Vw=r・ωとする。
また、路面とタイヤ間の特性(タイヤ特性)は、スリップ率と路面摩擦係数の路面摩擦関数(図10参照)により記述され、μは次式で定義される。
μ=Fd/N …(10)
ここで、駆動時のスリップ率λは次式で表される。
λ=(Vw−V)/Vw …(11)
以下では駆動時のみを考え、タイヤ・路面系を動作点の近似により取り扱う。ここで、あるスリップ率λ0における路面摩擦係数μの傾きをaと定義する。(8)式〜(11)式の摂動システムを作りスリップ率λを消去すると、以下の(12)、(13)式が得られる。
(dx/dt)=A・x+B・ΔFm …(12)
ΔFd=C・x …(13)
但し、
Figure 2009184625
ここで、V0、Vw0は、それぞれ動作点における車体速度と駆動輪速度である。
以上によりタイヤに与えたトルクから駆動力までの伝達関数を計算すると、ドライビングスティフネス係数Qについての以下の(14)式を得る。
Q=ΔFd/ΔFm=K/(1+τ0・s) …(14)
ここで、
K=(M・(1−λ0))/(Mw+M・(1−λ0)) …(15)
τ0=((Mw・Vw0)/(a・N))
・(M/(Mw+M・(1−λ0)) …(16)
上述の(14)式を基に、ドライビングスティフネス係数Qとスリップ率λの関係を示すと、図9に示す特性図となる。
そして、図10に示す、路面摩擦係数とスリップ率のタイヤ特性曲線を基に、スリップ率が路面摩擦係数がピークとなる前のスリップ率(例えば、7%)を目標に、路面摩擦係数μを、例えば、0.3とおき、車速V、ドライビングスティフネス係数Q、路面摩擦係数μの関係を設定すると、図8に示すような、ドライビングスティフネス係数Qと車速Vと第1の路面摩擦係数μ1の特性マップが得られるのである。
次に、第2の路面摩擦係数推定部5について説明する。第2の路面摩擦係数推定部5は、第2の路面摩擦係数推定手段として設けられており、4輪の車輪速センサ11から4輪車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrが入力され、アクセル開度センサ12からアクセル開度θACCが入力され、ハンドル角センサ14からステアリング舵角θHが入力され、ブレーキペダルスイッチ15からブレーキのON−OFF信号が入力され、トラクションコントロール装置18、ABS19、横滑防止装置20からそれぞれの作動信号が入力され、加減速判定部3から加速条件成立、減速条件成立、加速条件も減速条件も非成立の判定結果が入力される。
そして、第2の路面摩擦係数推定部5は、減速条件が成立した際に、上述の各入力信号に基づき、後述する第2の路面摩擦係数推定処理ルーチンを実行し、第2の路面摩擦係数μ2を推定して路面摩擦係数設定部6に出力する。
すなわち、第2の路面摩擦係数推定部5は、図3に示すように、速度演算部5a、減速度演算部5b、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5c、前後輪すべり率差演算部5d、路面摩擦係数瞬間値演算部5e、路面判定実行条件判定部5f、第2の路面摩擦係数設定部5gから主要に構成されている。
速度演算部5aは、4輪車輪速センサ11から各車輪の車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrが入力され、以下の(17)式により前輪車輪速Vf、以下の(18)式により後輪車輪速Vrを演算し、この後輪車輪速Vrを擬似車体速Vとして設定する。
Vf=(ωfl+ωfr)/2 …(17)
Vr=V=(ωrl+ωrr)/2 …(18)
そして、車体速Vは、減速度演算部5b、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5c、前後輪すべり率差演算部5dに出力され、前輪車輪速Vfと後輪車輪速Vrは、前後輪すべり率差演算部5dに出力される。
減速度演算部5bは、速度演算部5aから車体速Vが入力され、この車体速Vを微分処理することにより、車体減速度Gxを演算し、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5c、路面摩擦係数瞬間値演算部5e、路面判定実行条件判定部5f、第2の路面摩擦係数設定部5gに出力する。
前後輪すべり率差演算実行条件判定部5cは、アクセル開度センサ12からアクセル開度θACCが、ハンドル角センサ14からステアリング舵角θHが、速度演算部5aから車体速Vが、減速度演算部5bから車体減速度Gxが入力される。
そして、以下の4つの条件の1つでも満足する場合は、前後輪すべり率差演算部5dにおける前後輪すべり率差dsの演算、及び、第2の路面摩擦係数設定部5gにおける車体減速度Gx−前後輪すべり率差ds−路面摩擦係数μの関係を用いた新たな路面摩擦係数μ2の推定に適さないと判定する。この判定結果の信号は、前後輪すべり率差演算部5d、第2の路面摩擦係数設定部5gに出力される。
・条件1…V≦Vc(例えば、20km/h)
・条件2…|θH|≧θH1(例えば、60deg)
・条件3…θACC≧θACC1(例えば、0%)
・条件4…Gx≧Gxc1(例えば、4m/s
ここで、上述の各条件について説明する。まず、条件1について説明する。
本実施の第1形態では、路面摩擦係数瞬間値演算部5eにおいて、前後輪すべり率差dsの基準値として、前後輪すべり率差dsが、例えば0.006(0.6%)以下の時を、路面摩擦係数が0.75以上の高μ値と判断している。従って、車輪速情報は、0.006(0.6%)の前後輪すべり率差dsを検出できるだけの精度を有している必要がある。4輪車輪速センサ11により検出される車輪速の分解能が、例えば0.05とすると、次式から、路面判定が可能な最低車速(車速閾値)Vcが求められる。
Vc=0.05/0.006=8.3(km/h) …(19)
また、路面摩擦係数の推定中(例えば、800msの時間がかかると推定)の車速低下や、その他の誤差等を考慮し、前後輪すべり率差dsの演算、第2の路面摩擦係数μ2の推定を行う車速閾値をVc=20km/hと設定する。
尚、上述の(19)式からも明らかなように、4輪車輪速センサ11により検出される車輪速の分解能が更に粗くなる場合や、前後輪すべり率差dsの基準値をより小さな値にする場合は、車速閾値Vcは、より大きな値に設定する必要がある。
次に、条件2について、図11を基に説明する。
前後輪の速度差は操舵を行っても発生する。操舵による前後輪速度比が最も大きくなるのは低速走行時であるから、アッカーマンジオメトリによりロジックが動作可能な舵角範囲を求める。図11において、前輪車輪速Vf=Rf・ω、後輪車輪速Vr=Rr・ωであるから、前後輪すべり率差dsは次式で求められる。
ds=(Vf−Vr)/Vr=(Rf・ω−Rr・ω)/Rr・ω
=(Rf−Rr)/Rr=Rf/Rr−1
=(1/cos(δf))−1 …(20)
ここで、δfは前輪舵角であり、δf=θH/n(nはステアリングギヤ比:例えば16.5)である。この(20)式で得られる特性を、図12に示す。
上述の(20)式において、前後輪すべり率差dsが基準値である前述の0.006(0.6%)以下となるステアリング舵角θH2を逆算すると、θH2=105(deg)となる。すなわち、105(deg)程度操舵すると、0.006(0.6%)の閾値を越えることがわかる。外乱等を考慮すると実際の操舵閾値は、更に小さな角度に設定する必要があり、本実施の第1形態では、ステアリング舵角の絶対値|θH|がθH1=60(deg)よりも大きい場合(前後輪すべり率差dsが0.001(0.1%)に相当する場合)は、前後輪すべり率差dsの演算、第2の路面摩擦係数μ2の設定を行わないように設定する。
次に、条件3について説明する。
主ブレーキ制動中に駆動力をかけた場合、前後輪すべり率差dsが乱れ、判定不可能となる虞があるため、本実施の第1形態では、アクセル開度θACCがθACC1(例えば、0%)より大きいときは、前後輪すべり率差dsの演算、第2の路面摩擦係数μ2の設定を行わないように設定する。
次に、条件4について説明する。
車体減速度Gxが大きくなると、車体減速度Gxと前後輪すべり率差dsの関係が非線形となる。また、車体減速度Gxが小さな領域でのみロジックを作動させようとすると、判定精度の低下が懸念される。従って、本実施の第1形態では、車体減速度GxがGxc1(例えば、4m/s)以上の場合に前後輪すべり率差dsの演算、第2の路面摩擦係数μ2の設定を行わないように設定する。
前後輪すべり率差演算部5dは、速度演算部5aから車体速V、前輪車輪速Vf、後輪車輪速Vrが入力され、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5cから前後輪すべり率差dsの演算を行うか否かの判定結果の信号が入力される。そして、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5cから前後輪すべり率差dsの演算を行うとの判定結果の際に、以下の(21)式により前後輪すべり率差dsを演算し、路面摩擦係数瞬間値演算部5eに出力する。
ds=|Vf−Vr|/V …(20)
路面摩擦係数瞬間値演算部5eは、減速度演算部5bから車体減速度Gxが、前後輪すべり率差演算部5dから前後輪すべり率差dsが入力される。そして、予め記憶しておいた車体減速度Gxと前後輪すべり率差dsと路面摩擦係数μの関係を示すマップを参照し、一時的に路面摩擦係数(本実施の第1形態では、路面摩擦係数瞬間値と呼ぶ)μMを設定し、この路面摩擦係数瞬間値μMを第2の路面摩擦係数設定部5gに出力する。
尚、予め記憶しておいた車体減速度Gxと前後輪すべり率差dsと路面摩擦係数μの関係を示すマップは、例えば、図13に示すように、横軸を車体減速度Gxとし、縦軸を前後輪すべり率差dsとしたマップであり、車体減速度Gxが小さくなる高μ値の側の上述の0.006(0.6%)の値に、路面摩擦係数が0.75となる直線(基準値)が予め実験等により求め設定されている。また、実験等により、路面摩擦係数が0.4となる所定の傾きを有する直線が基準として定められており、これらの基準線を基に、その中間の領域の路面摩擦係数の値が補間計算により推定されるようになっている。
路面判定実行条件判定部5fは、ブレーキペダルスイッチ15からブレーキのON−OFF信号が入力され、減速度演算部5bから車体減速度Gxが入力される。そして、ブレーキがONで、且つ、車体減速度GxがGxc2(例えば、0.5m/s)以上の状態が、一定時間(例えば、800ms)継続しているか否か判定され、一定時間継続している場合には、今回の第2の路面摩擦係数の推定値は、安定した条件の下で推定された精度の良い値であると判定し、今回の推定値の採用を許可する信号を第2の路面摩擦係数設定部5gに出力する。
第2の路面摩擦係数設定部5gは、トラクションコントロール装置18、ABS19、横滑防止装置20からそれぞれの作動信号が入力され、減速度演算部5bから車体減速度Gxが入力され、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5cから判定結果の信号が入力され、路面摩擦係数瞬間値演算部5eから路面摩擦係数瞬間値μMが入力され、路面判定実行条件判定部5fから今回の推定値の採用の判定結果の信号が入力される。そして、トラクションコントロール装置18、ABS19、横滑防止装置20の何れかの装置が作動している場合には、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを低μの値(例えば、0.3)として設定し、この今回の第2の路面摩擦係数μ2nを第2の路面摩擦係数μ2として出力する。
また、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5cからの判定結果が設定を実行せず、或いは、路面判定実行条件判定部5fからの判定結果が設定を実行せずの場合には、前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1を今回の第2の路面摩擦係数μ2nとして設定し、この今回の第2の路面摩擦係数μ2nを第2の路面摩擦係数μ2として出力する。
更に、トラクションコントロール装置18、ABS19、横滑防止装置20の何れも動作しておらず、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5c及び路面判定実行条件判定部5fからの判定結果が実行許可の場合には、路面摩擦係数瞬間値μMがμMH(例えば、1.0)以上で、且つ、車体減速度GxがGXH(例えば、1.7m/s)以上の場合、或いは、路面摩擦係数瞬間値μMがμMM(例えば、0.75)以上で、且つ、車体減速度GxがGXM(例えば、1.3m/s)以上の場合、或いは、路面摩擦係数瞬間値μMがμML(例えば、0.3)以上で、且つ、車体減速度GxがGXL(例えば、0.5m/s)以上の場合は、今回の路面摩擦係数μ2nを路面摩擦係数瞬間値μMで更新し、この更新した今回の路面摩擦係数μ2nを第2の路面摩擦係数μ2として出力する。μMH>μMM>μML、GXH>GXM>GXLである(図13参照)。すなわち、制動力(=車体減速度)が大きいほど、前後輪の車輪速差が大きくなり路面判定の精度が向上する。しかしながら、これを考慮して大きな制動力を判定開始の条件とすると、路面判定の頻度が低下する。本実施の第1形態では、応答性と精度の両立を図るため、路面摩擦係数瞬間値μM毎に応じた判定開始の減速度閾値を設定しているのである。
一方、路面摩擦係数設定部6は、加減速判定部3から加速条件成立、減速条件成立、加速条件も減速条件も非成立の判定結果が入力され、第1の路面摩擦係数推定部4から第1の路面摩擦係数μ1が入力され、第2の路面摩擦係数推定部5から第2の路面摩擦係数μ2が入力される。そして、加速条件が成立する際は、第1の路面摩擦係数推定部4からの第1の路面摩擦係数μ1と、最後に第2の路面摩擦係数推定部5から出力された(保持されていた)第2の路面摩擦係数μ2とを比較して、小さい値の方の路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数μnとして設定し、出力する。すなわち、
μn=MIN(μ1,μ2) …(21)
また、減速条件が成立する際は、第1の路面摩擦係数μ1を1.0に更新すると共に、第2の路面摩擦係数推定部5からの第2の路面摩擦係数μ2を今回の路面摩擦係数μnとして設定し、出力する。
更に、加速条件も減速条件も非成立の際には、前回設定した路面摩擦係数μn-1を今回の路面摩擦係数μnとして設定し、出力する。
ここで、加速条件成立の際に、上述の如く、第1の路面摩擦係数μ1と、保持されていた第2の路面摩擦係数μ2とを比較して、小さい値の方の路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数μnとして設定するのは、低μ路をできるだけ早期に且つ安定して検出し、特に加速時に要求される4輪駆動車の前後駆動力配分制御にレスポンス良く対応できるようにするためである。
尚、低μ路をできるだけ早期に且つ安定して検出するべく今回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k)と前回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k-1)とを比較して小さい方の値を出力するようになっている第1の路面摩擦係数推定部4による第1の路面摩擦係数μ1は、減速条件が成立する際に、確実に1.0(高μ値)にリセットされる。
このように、路面摩擦係数設定部6は、路面摩擦係数設定手段としての機能を有して構成されている。
次に、上述の路面摩擦係数推定装置1の制御部2で実行される路面摩擦係数推定プログラムを、図4のフローチャートで説明する。
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、アクセル開度θACC、4輪車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrr、ブレーキのON−OFF信号を読み込み、S102に進んで、加減速判定部3で、予め設定しておいた加速条件が成立するか否か、すなわち、アクセル開度θACCが一定開度以上(例えば、5%以上)で、且つ、4輪の車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrの最小値が一定速以上(例えば、2km/h以上)か否か判定する。
そして、このS102の判定の結果、加速条件が成立する場合は、S103に進み、第1の路面摩擦係数推定部4で、後述する第1の路面摩擦係数μ1の推定処理を実行し、S104に進んで、路面摩擦係数設定部6で、第1の路面摩擦係数推定部4からの第1の路面摩擦係数μ1と、最後に第2の路面摩擦係数推定部5から出力された(保持されていた)第2の路面摩擦係数μ2とを比較して、小さい値の方の路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数μnとして設定し(μn←MIN(μ1,μ2))、S110に進む。
また、上述のS102の判定の結果、加速条件が非成立の場合は、S105に進み、加減速判定部3で、予め設定しておいた減速条件が成立するか否か、すなわち、ブレーキがONか否か判定する。
そして、このS105の判定の結果、減速条件が非成立の場合は、S106に進み、前回の路面摩擦係数μn-1の値を今回の路面摩擦係数μnとして設定し(μn←μn-1)、S110に進む。
また、S105の判定の結果、減速条件が成立する場合は、S107に進み、路面摩擦係数設定部6は、第1の路面摩擦係数μ1を1.0(高μ値)にリセット(μ1←1.0)する。
次いで、S108に進み、第2の路面摩擦係数推定部5で、後述する第2の路面摩擦係数μ2の推定処理を実行し、S109に進んで、第2の路面摩擦係数μ2を今回の路面摩擦係数μnとして設定し(μn←μ2)、S110に進む。
S104、S106、S109の何れかで今回の路面摩擦係数μnを設定してS110に進むと、この今回の路面摩擦係数μnが出力される。
そして、S111に進み、今回の路面摩擦係数μnを前回の路面摩擦係数μn-1の値と入れ替え(μn-1←μn)、プログラムを抜ける。
次に、上述のS103で実行される第1の路面摩擦係数μ1の推定処理について、図5のフローチャートで説明する。
まず、S201で、必要パラメータ、すなわち、4輪車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrr、、前後加速度Gxs、エンジン回転数Ne、スロットル開度θth、タービン回転数Nt、トランスミッションギヤ比iを読み込む。
次に、S202に進み、車速演算部4aで車速Vを演算する。
次いで、S203に進み、発生駆動力演算部4bで、上述の(1)式により、発生駆動力Fdを演算し、推定駆動力演算部4cで、上述の(2)式により、推定駆動力Fmを演算する。
次に、S204に進み、発生駆動力差分値演算部4dで、上述の(4)式により、発生駆動力差分値ΔFdを演算し、推定駆動力差分値演算部4eで、上述の(5)式により、推定駆動力差分値ΔFmを演算する。
次いで、S205に進み、ドライビングスティフネス係数演算部4fで、発生駆動力差分値ΔFdと推定駆動力差分値ΔFmにより、パラメータ同定手法の一つである固定トレース法を用い、すなわち、上述の(6)式を用いて、ドライビングスティフネス係数Qを推定する。
そして、S206に進み、第1の路面摩擦係数設定部4gで、車速Vとドライビングスティフネス係数Qを基に予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと第1の路面摩擦係数μ1との関係を示す特性マップ(図8)を参照して第1の路面摩擦係数μ1を設定し、今回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k)と前回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k-1)とを比較して小さい方の値を出力して、ルーチンを抜ける。
次に、上述のS108で実行される第2の路面摩擦係数μ2の推定処理について、図6、図7のフローチャートで説明する。
まず、S301で、必要パラメータ、すなわち、4輪車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrr、アクセル開度θACC、ステアリング舵角θH、ブレーキのON−OFF信号、トラクションコントロール装置18、ABS19、横滑防止装置20それぞれの作動信号を読み込む。
次に、S302に進み、前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1が読み込まれる。尚、前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1の初期値としては、中μの値として、例えば、0.7が読み込まれる。
次いで、S303に進み、速度演算部5aで、前述の(17)式、(18)式により、前輪車輪速Vf、後輪車輪速Vr、擬似車体速Vを演算する。
次に、S304に進み、減速度演算部5bで、車体速Vを微分処理することにより、車体減速度Gxを演算する。
次いで、S305に進み、第2の路面摩擦係数設定部5gは、トラクションコントロール装置18、ABS19、横滑防止装置20の何れかが作動しているか否か判定し、作動している場合には、S306に進んで、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを低μの値(例えば、0.3)として設定し(μ2n←0.3)、S326へと進む。
また、何れも作動していない場合は、S307へと進む。S307〜S310の処理は、前後輪すべり率差演算実行条件判定部5cで実行される処理であり、S307では、車体速Vと車速閾値Vc(例えば、15km/h)との比較が行われ、V>Vcの場合は、S308に進む。
S308では、ステアリング舵角の絶対値|θH|と操舵閾値θH1(例えば、60deg)との比較が行われ、|θH|<θH1の場合は、S309に進む。
S309では、アクセル開度θACCとアクセル開度の閾値θACC1(例えば、0%)との比較が行われ、θACC<θACC1の場合は、S310に進む。
S310では、車体減速度Gxと車体減速度の閾値Gxc1(例えば、4m/s)との比較が行われ、Gx<Gxc1の場合は、S311に進む。
一方、S307でV≦Vc、或いは、S308で|θH|≧θH1、或いは、S309でθACC≧θACC1、或いは、S310でGx≧Gxc1の場合は、前後輪すべり率差dsの演算、今回の第2の路面摩擦係数μ2nの推定を行わずS314に進んで、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1の値に設定し(μ2n←μ2n-1)、S326へと進む。
上述のS310からS311に進むと、前後輪すべり率差演算部5dは、前述の(20)式により、前後輪すべり率差dsを演算する。
次いで、S312に進み、路面摩擦係数瞬間値演算部5eは、予め記憶しておいた車体減速度Gxと前後輪すべり率差dsと路面摩擦係数μの関係を示すマップを参照し、路面摩擦係数瞬間値μMを設定する。
次に、S313に進み、路面判定実行条件判定部5fで、ブレーキがONで、且つ、車体減速度GxがGxc2(例えば、0.5m/s)以上の状態が、一定時間(例えば、800ms)継続しているか否か判定され、一定時間継続している場合には、今回の第2の路面摩擦係数の推定値は、安定した条件の下で推定された精度の良い値であると判定し、S315に進み、上記条件が成立していない場合は、S314に進んで、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1の値に設定し(μ2n←μ2n-1)、S326へと進む。
S313で上述の条件が成立し、S315に進むと、第2の路面摩擦係数設定部5gで、路面摩擦係数瞬間値μMと、路面摩擦係数瞬間値の閾値μMH(例えば、1.0)とが比較される。この比較の結果、路面摩擦係数瞬間値μMがμMH以上(μM≧μMH)の場合は、S316に進み、車体減速度Gxと車体減速度の閾値GXH(例えば、1.7m/s)とを比較し、車体減速度GxがGXH以上(Gx≧GXH)の場合はS317に進み、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを路面摩擦係数瞬間値μMで更新し(μ2n←μM)、S326に進む。また、車体減速度GxがGXHよりも小さい(Gx<GXH)場合はS318に進み、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1の値に設定し(μ2n←μ2n-1)、S326へと進む。
また、上述のS315の判定の結果、路面摩擦係数瞬間値μMがμMHより低い(μM<μMH)場合は、S319に進み、路面摩擦係数瞬間値μMと、路面摩擦係数瞬間値の閾値μMM(例えば、0.75)とが比較される。この比較の結果、路面摩擦係数瞬間値μMがμMM以上(μM≧μMM)の場合は、S320に進み、車体減速度Gxと車体減速度の閾値GXM(例えば、1.3m/s)とを比較し、車体減速度GxがGXM以上(Gx≧GXM)の場合はS321に進み、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを路面摩擦係数瞬間値μMで更新し(μ2n←μM)、S326に進む。また、車体減速度GxがGXMよりも小さい(Gx<GXM)場合はS322に進み、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1の値に設定し(μ2n←μ2n-1)、S326へと進む。
また、上述のS319の判定の結果、路面摩擦係数瞬間値μMがμMMより低い(μM<μMM)場合は、S323に進み、路面摩擦係数瞬間値μMと、路面摩擦係数瞬間値の閾値μML(例えば、0.3)とが比較される。この比較の結果、路面摩擦係数瞬間値μMがμML以上(μM≧μML)の場合は、S324に進み、車体減速度Gxと車体減速度の閾値GXL(例えば、0.5m/s)とを比較し、車体減速度GxがGXL以上(Gx≧GXL)の場合はS325に進み、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを路面摩擦係数瞬間値μMで更新し(μ2n←μM)、S326に進む。また、車体減速度GxがGXLよりも小さい(Gx<GXL)場合はS314に進み、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1の値に設定し(μ2n←μ2n-1)、S326へと進む。
上述のS306、S314、S317、S318、S321、S322、S325の何れかで今回の第2の路面摩擦係数μ2nを設定し、S326に進むと、この今回の第2の路面摩擦係数μ2nを第2の路面摩擦係数μ2として設定し、出力する。
そして、S327に進み、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを前回の第2の路面摩擦係数μ2n-1の値と入れ替え(μ2n-1←μ2n)、ルーチンを抜ける。
このように、本実施の第1形態によれば、加速時において実行される第1の路面摩擦係数推定部4での第1の路面摩擦係数μ1の推定は、車両の駆動源の出力トルクに基づき車輪に付加する推定駆動力Fmを演算し、車両の前後加速度に基づき車両が発生している発生駆動力Fdを演算し、推定駆動力Fmの今回の値と過去の値との推定駆動力差分値ΔFmと発生駆動力Fdの今回の値と過去の値との発生駆動力差分値ΔFdを演算し、推定駆動力差分値ΔFmと発生駆動力差分値ΔFdによりパラメータ同定手法を用いてドライビングスティフネス係数Qを推定し、車速Vとドライビングスティフネス係数Qを基に、予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと第1の路面摩擦係数μ1との関係を示す特性マップを参照して第1の路面摩擦係数μ1を設定する。特に、この第1の路面摩擦係数μ1の推定には、前輪の車輪速度と後輪の車輪速度の差を使用しないため、旋回に伴い発生する前輪と後輪の車輪速度差の影響を受けず、旋回・直進に関わらず路面摩擦係数の推定が可能である。このため、加速、操舵の幅広い運転領域で精度の良い路面摩擦係数の推定ができ、汎用性に優れるという優れた効果を奏する。
また、予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと第1の路面摩擦係数μ1との関係を示す特性マップは、スリップ率が路面摩擦係数がピークとなる前のスリップ率(例えば、7%)を目標に予め設定されるので、小さいスリップ率での判定が可能であり、応答性が良い。
更に、ドライビングスティフネス係数Qの推定は、発生駆動力差分値ΔFdと推定駆動力差分値ΔFmによりパラメータ同定手法を用いて行われるため、それぞれの差分値により道路勾配等による誤差が排除でき、精度の良い路面摩擦係数の推定を行うことができる。
また、第1の路面摩擦係数μ1の推定では、今回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k)と前回設定した第1の路面摩擦係数μ1(k-1)とを比較して小さい方の値を出力するため、低μ路をできるだけ早期に且つ安定して検出し、特に加速時に要求される4輪駆動車の前後駆動力配分制御にレスポンス良く対応することができる。
一方、減速時において実行される第2の路面摩擦係数推定部5での第2の路面摩擦係数μ2の推定は、車体減速度Gxと前後輪すべり率差dsとを演算し、予め設定されたGx−ds−μの関係を示すマップを参照し路面摩擦係数瞬間値μMを設定し、路面摩擦係数瞬間値μMがμMH以上で且つ車体減速度GxがGXH以上の場合、或いは、路面摩擦係数瞬間値μMがμMM以上で且つ車体減速度GxがGXM以上の場合、或いは、路面摩擦係数瞬間値μMがμML以上で且つ車体減速度GxがGXL以上の場合は、今回の第2の路面摩擦係数μ2nを路面摩擦係数瞬間値μMで更新し、この更新した今回の第2の路面摩擦係数μ2nを第2の路面摩擦係数μ2として設定する。すなわち、制動力が大きいほど、前後輪の車輪速差が大きくなり路面判定の精度が向上する。しかしながら、これを考慮して大きな制動力を判定開始の条件とすると、路面判定の頻度が低下する。第2の路面摩擦係数μ2の推定では、路面摩擦係数瞬間値μM毎に応じた判定開始の減速度閾値を設定するようにしたので、路面摩擦係数の推定頻度の向上と推定精度の向上の両立を図り、安定して使い勝手が良いという優れた効果を奏する。尚、本実施の第1形態では、路面摩擦係数瞬間値μMの領域としてμMH以上、μMM以上、μML以上の3種類を設定し、それぞれに車体減速度Gxの閾値GXH、GXM、GXLを設定するようにしているが、路面摩擦係数瞬間値μMの領域を2種類とし、それぞれに車体減速度Gxの閾値を設けるようにしても良く、或いは、路面摩擦係数瞬間値μMの領域を4種類以上設定し、それぞれに車体減速度Gxの閾値を設けるようにしても良い。
また、加速条件成立の際には、第1の路面摩擦係数μ1と、保持されていた第2の路面摩擦係数μ2とを比較して、小さい値の方の路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数μnとして設定するので、低μ路をできるだけ早期に且つ安定して検出し、特に加速時に要求される4輪駆動車の前後駆動力配分制御にレスポンス良く対応することができる。
このように本実施の第1形態によれば、予め設定した加速条件が成立する際は、第1の路面摩擦係数推定部4で推定した第1の路面摩擦係数μ1を用いて今回の路面摩擦係数μnを設定し、予め設定した減速条件が成立する際は、第2の路面摩擦係数推定部5で推定した第2の路面摩擦係数μ2を用いて今回の路面摩擦係数μnを設定するので、加速時や減速時の広い運転領域でレスポンス良く精度の良い路面摩擦係数を推定することが可能となる。
以上のように設定される路面摩擦係数を、例えば、前軸:後軸のトルク配分が、100:0〜50:50の間でトランスファクラッチにより可変できる4輪駆動車の前後駆動力配分制御に用いる場合、燃費改善と前後駆動力配分制御とを両立させる為には、高μ路では不要な後輪伝達トルクを減らし内部循環トルクを低減させる一方、低μ路では安定性を重視して所定の後輪伝達トルクを発生させる必要がある。そのため、推定した路面摩擦係数推定値μnに応じてトランスファクラッチトルクの締結力を制御し、後輪トルク配分率を連続的に変化させるようにする。
次に、図14は本発明の実施の第2形態による、路面摩擦係数推定プログラムのフローチャートである。尚、本実施の第2形態は、加速条件成立の際には、そのまま第1の路面摩擦係数μ1を今回の路面摩擦係数μnとして設定し、減速条件成立の際には、そのまま第2の路面摩擦係数μ2を今回の路面摩擦係数μnとして設定するようにしたことが前記第1形態と異なり、他の構成、作用は前記第1形態と同様であるので、同じ構成には同じ符号を記し、説明は省略する。
すなわち、図14に示すように、S102の判定の結果、加速条件が成立する場合は、S103に進み、第1の路面摩擦係数推定部4で、第1の路面摩擦係数μ1の推定処理を実行した後、S401に進み、第1の路面摩擦係数μ1を今回の路面摩擦係数μnとして設定し(μn←μ1)、S110に進む。
また、上述のS102の判定の結果、加速条件が非成立の場合は、S105に進み、加減速判定部3で、予め設定しておいた減速条件が成立するか否か、すなわち、ブレーキがONか否か判定する。
そして、このS105の判定の結果、減速条件が非成立の場合は、S106に進み、前回の路面摩擦係数μn-1の値を今回の路面摩擦係数μnとして設定し(μn←μn-1)、S110に進む。
また、S105の判定の結果、減速条件が成立する場合は、S108に進み、第2の路面摩擦係数推定部5で、後述する第2の路面摩擦係数μ2の推定処理を実行し、S109に進んで、第2の路面摩擦係数μ2を今回の路面摩擦係数μnとして設定し(μn←μ2)、S110に進む。
S401、S106、S109の何れかで今回の路面摩擦係数μnを設定してS110に進むと、この今回の路面摩擦係数μnが出力される。
そして、S111に進み、今回の路面摩擦係数μnを前回の路面摩擦係数μn-1の値と入れ替え(μn-1←μn)、プログラムを抜ける。
このように、加速条件成立の際には、そのまま第1の路面摩擦係数μ1を今回の路面摩擦係数μnとして設定し、減速条件成立の際には、そのまま第2の路面摩擦係数μ2を今回の路面摩擦係数μnとして設定するようにして、この路面摩擦係数μnを、例えば、図示しない外部表示装置に出力し、インストルメントパネルでの表示等によりドライバの注意を喚起するように用いるようにしても良い。また、エンジン制御部、トランスミッション制御部、前後軸間或いは左右輪間の駆動力配分制御部、ブレーキ制御部(何れも図示せず)等に出力して、各制御部における制御量の設定に寄与するようにしても良い。
なお、本発明の実施形態では、第1の路面摩擦係数を推定するにあたり、推定駆動力Fm(車輪に付与した駆動力)の今回の値と過去の値との差分である推定駆動力差分値ΔFmと発生駆動力Fd(車両が発生した駆動力)の今回の値と過去の値との発生駆動力差分値ΔFdとを用いてドライビングスティフネス係数を推定し、車速とドライビングスティフネス係数とから路面摩擦係数を推定している。しかし、第1の路面摩擦係数を推定する手法はそれに限定されず、車輪に付加した駆動力と車両が発生した駆動力とからマップ参照により車両のスリップ率を算出し、スリップ率から路面摩擦係数を推定してもよく、第1の路面摩擦係数を推定する手法は実施形態に限定されることはない。
また、本発明の実施形態では、特に本発明の優位性を発揮できる、前後駆動力配分機構を有する4輪駆動車を例に説明したが、本発明はFF(フロントエンジン・フロントドライブ)やFR(フロントエンジン・リヤドライブ)等の車両にも適用することができることは言うまでもない。
また、本発明の実施形態では、駆動源としてエンジンを用いる車両を例に説明したが、本発明はそれに限定されず、ホイールインモータなどの他の駆動源を有する車両にも適用することができる。この場合、第1の路面摩擦係数の推定に必要な車輪に付加した駆動力は、エンジン出力トルクではなく、各輪に設置されたモータのモータ出力トルクに置き換えることができる。
また、本発明の実施形態では前後加速度センサを用いる車両を例に説明したが、本発明はそれに限定されず、各車輪に設置されたトルクセンサを用いた車両にも適用することができる。この場合、第1の路面摩擦係数の推定に必要な車両が発生した駆動力は前後加速度センサによる前後加速度ではなく、各輪のトルクセンサによる各輪が発生したトルクの合算に置き換えることができる。
本発明の実施の第1形態による、路面摩擦係数推定装置の構成を示す機能ブロック図 同上、第1の路面摩擦係数推定部の構成を示す機能ブロック図 同上、第2の路面摩擦係数推定部の構成を示す機能ブロック図 同上、路面摩擦係数推定プログラムのフローチャート 同上、第1の路面摩擦係数推定処理ルーチンのフローチャート 同上、第2の路面摩擦係数推定処理ルーチンのフローチャート 同上、図6から続くフローチャート 同上、ドライビングスティフネス係数と車速と第1の路面摩擦係数の特性マップの一例を示す説明図 同上、ドライビングスティフネス係数と車速とスリップ率の関係を示す説明図 同上、路面摩擦係数とスリップ率のタイヤ特性曲線の説明図 同上、車両の旋回を2輪車モデルで示す説明図 同上、前後輪すべり率差とステアリング舵角の関係を示す説明図 同上、車体減速度と前後輪すべり率差と路面摩擦係数の関係を示す説明図 本発明の実施の第2形態による、路面摩擦係数推定プログラムのフローチャート
符号の説明
1 路面摩擦係数推定装置
2 制御部
3 加減速判定部
4 第1の路面摩擦係数推定部(第1の路面摩擦係数推定手段)
5 第2の路面摩擦係数推定部(第2の路面摩擦係数推定手段)
6 路面摩擦係数設定部(路面摩擦係数設定手段)

Claims (5)

  1. 車輪に付加した駆動力と車両が発生した駆動力とに基づいて路面摩擦係数を推定する第1の路面摩擦係数推定手段と、
    減速度と前後輪すべり率差とに基づいて路面摩擦係数を推定する第2の路面摩擦係数推定手段と、
    予め設定した加速条件が成立する際は、少なくとも上記第1の路面摩擦係数推定手段で推定した路面摩擦係数を用いて今回の路面摩擦係数を設定し、予め設定した減速条件が成立する際は、少なくとも上記第2の路面摩擦係数推定手段で推定した路面摩擦係数を用いて今回の路面摩擦係数を設定する路面摩擦係数設定手段と、
    を備えたことを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
  2. 上記路面摩擦係数設定手段は、上記予め設定した加速条件が成立する際は、上記第1の路面摩擦係数推定手段により推定した路面摩擦係数に加え、上記第2の路面摩擦係数推定手段により推定した路面摩擦係数も用い、上記第1の路面摩擦係数推定手段で推定した路面摩擦係数と、上記第2の路面摩擦係数推定手段で推定されて保持された路面摩擦係数とを比較して、小さい値の方の路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数として設定することを特徴とする請求項1記載の路面摩擦係数推定装置。
  3. 上記路面摩擦係数設定手段は、上記予め設定した減速条件が成立する際は、上記第2の路面摩擦係数推定手段で推定した路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数として設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の路面摩擦係数推定装置。
  4. 上記路面摩擦係数設定手段は、上記予め設定した加速条件と上記予め設定した減速条件が非成立の際には、過去に設定した路面摩擦係数を今回の路面摩擦係数として設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の路面摩擦係数推定装置。
  5. 前後輪への駆動力配分を可変制御する4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の路面摩擦係数推定装置を備え、
    前記駆動力配分制御装置は加速時に前後輪の車輪速差を打ち消すよう締結方向に前後駆動力配分を制御する一方、減速時は前後輪の車輪速差を許容する方向に前後駆動力配分を制御することを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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