JP2711875B2 - 複合材料の製造方法および原料組成物 - Google Patents

複合材料の製造方法および原料組成物

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、炭化珪素(SiC)をマトリックス(母相)
とし、その中に周期律表第IVa〜VIa族元素の炭化物が分
散析出して強化されてなるSiC質の複合材料を製造する
方法及びその原料組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
炭化珪素は高温で優れた機械的及び化学的性質を示す
ため、高温機械部品への応用が試みられている。
しかしながら、その最大の欠点は破壊靱性値(K
IC値)が低いことであり、例えばIM(インデンテーショ
ン・マイクロフラクチャー)法で測定した場合、Bを添
加したホットプレスSiC、あるいはB及びCを添加した
常圧焼結SiCのKIC値は2.7〜2.8MPa・m1/2であり、Si3N4
焼結体のKIC値(5〜7MPa・m1/2)の2分の1の値であ
る。
SiC質材料の破壊靱性を改善するため、他の物質の粒
子をSiC質材料に分散させることが試みられている。そ
の一つの試みとして、SiC質材料に炭化チタン(TiC)、
炭化ジルコニウム(ZrC)等の周期律表第IVa〜VIa族元
素の炭化物からなる粒子を分散させることがある(J.A
m.Ceram.Soc.,vol.67,No.8,1984年,P.571−574、窯業協
会誌、vol.93,No.3,1985年、P123−129)。これら金属
元素の炭化物粒子が分散したSiC質材料は、高い破壊靱
性値を示すと共に高い電気伝導性を示す。該SiC質材料
の製造方法としては、SiCと金属元素の炭化物粒子とを
焼結助剤と共に混合し、ホットプレスする方法がある。
しかしながら、この製造方法では、上記金属元素の炭
化物の原料として金属元素の炭化物粉末をそのまま使用
しており、以下のような欠点がある。
(1)市販の第IVa〜VIa族元素の炭化物粉末の粒子は、
一般に粒径が大きく、10μmを越えるような粗大粒子も
混じっている。この金属元素の炭化物がSiC質材料中に
分散すると、粗大な粒子が破壊起点となりやすく、強度
を低下させる原因となる。
(2)近年、粉砕技術の発達と共に、平均粒径が1μm
を下回る微細な金属炭化物も入手できるようになった
が、やはり粗大な粒子は混入しており、かつこうした微
粉末は、高価であると共にFe等の不純物量が多く、か
つ、水との反応性が高い。このため、原料の混合時に混
合媒体としての水を用いることができず、粉末特性を一
定に保つことが困難であり、このような微細な金属炭化
物を原料として用いたSiC質材料は焼結体の特性のばら
つきが大きくなる。
〔第1発明の説明〕 本第1発明(請求項(1)に記載の発明)は、上記従
来の技術の問題点に鑑みなされたものであり、特性が劣
り、取り扱いの難しい第IVa〜VIa族元素の炭化物を原料
として使用せずに、これらの炭化物が分散したSiC質の
複合材料を製造することができる方法を提供しようとす
るものである。
本第1発明は、炭化珪素をマトリックスとし、該マト
リックス中に第IVa〜VIa族元素のうちの少なくとも1種
の炭化物が分散してなる複合材料の製造方法であって、
炭化珪素と、周期律表第IVa〜VIa族元素のうちの少なく
とも1種を含む酸化物または/および該酸化物の前駆体
と、炭素または/および熱分解により炭素を生成する有
機化合物と、焼結助剤とを混合することにより原料組成
物を調製する工程と、該原料組成物を焼成する工程とか
らなることを特徴とする複合材料の製造方法である。
本第1発明によれば、原料として第IVa〜VIa族元素の
炭化物を使用することなく、該炭化物が分散してなる炭
化珪素質の複合材料を製造することができる方法を提供
することができる。
すなわち、本第1発明では、上記原料組成物を焼成す
る段階で原料組成物中の上記酸化物または/および該酸
化物の前駆体と、炭素または/および熱分解により炭素
を生成する有機化合物とを反応させて上記第IVa〜VIa族
元素のうちの少なくとも1種の炭化物を生成させ、該炭
化物が分散してなる炭化珪素質複合材料を製造するもの
である。
上記酸化物は一般に安価であり、しかも高純度なサブ
ミクロン粉末が容易に入手できる。また、該酸化物の前
駆体からも熱分解等により高純度で微細な酸化物粒子が
得られることから、生成する上記炭化物も微細かつ高純
度となる。
そのため、本第1発明により製造された複合材料は、
その中に分散してなる上記炭化物粒子の粒径が小さいの
で、強度が高く、しかも破壊靱性、強度等の特性が安定
している。
また、上記炭化物を原料として使用しないので、原料
組成物の混合時に水を用いることができ、更に、焼結体
特性のばらつきの小さい複合材料を製造することができ
る。
〔第2発明の説明〕 本第2発明(請求項(2)に記載の発明)は、本第1
発明の製造方法に使用することができる原料組成物を提
供しようとするものである。
本第2発明は、炭化珪素をマトリックスとし、該マト
リックス中に第IVa〜VIa族元素のうちの少なくとも1種
の炭化物が分散してなる複合材料の原料組成物であっ
て、炭化珪素と、周期律表の第IVa〜VIa族元素のうちの
少なくとも1種を含む酸化物または/および該酸化物の
前駆体と、炭素または/および熱分解により炭素を生成
する有機化合物と、焼結助剤とを混合することにより調
製されたことを特徴とする複合材料の製造方法である。
本第2発明によれば、本第1発明の製造方法で用いる
ことができる原料組成物を提供することができる。
〔第1発明および第2発明のその他の発明の説明〕 以下、本第1発明および本第2発明をより具体的にした
その他の発明を説明する。
本発明で使用する原料組成物は、SiCと、周期律表の
第IVa族元素(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)、
第Va族元素(バナジウム、ニオブ、タンタル)、または
第VIa族元素(クロム、モリブデン、タングステン)の
うちの少なくとも1種を含む酸化物または/および該酸
化物の前駆体(以下、金属酸化物とする)と、炭素また
は/および熱分解により炭素を生成する有機化合物と、
焼結助剤とからなる混合物である。なお、該原料組成物
は、粉末の状態で複合材料の製造に使用するのが望まし
い。
上記SiCは、α型、β型のいずれでもよく、あるいは
それらの混合物でもよい。望ましくは平均粒径が1μm
以下の粉末が、緻密な複合材料を得るのに好都合であ
る。
上記金属酸化物としては、TiO、TiO2、Ti2O3、ZrO、Z
rO2、HfO2、VO、VO2、V2O3、V2O5、NbO、NbO2、Nb2O5
Ta2O5、Cr2O3、MoO2、MoO3、WO2、WO3等の酸化物、ある
いは金属酸化物間の固溶体、TiZrO4、ZrW2O8等の上記金
属酸化物間の化合物(複酸化物)、ZrSiO4(ジルコン)
等の上記金属酸化物とケイ素化合物との化合物(SiO2
の複酸化物)または固溶体、Al2TiO5等の上記金属酸化
物とアルミニウム化合物との化合物(Al2O3との複酸化
物)または固溶体、加熱により分解して上記金属酸化物
となる水酸化物塩類、アルコキシド類、有機物質等の前
駆体が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を使用
する。これらの物質の形態としては、粒子状でも繊維状
でも液状でもよい。
ここで、上記金属酸化物は、製造過程中で炭素(熱分
解により炭素を生成する有機化合物を用いる場合、該化
合物から生成する炭素)と反応して複合材料中に分散す
る第IVa〜VIa族元素の少なくとも1種の炭化物(以下、
金属炭化物とする)となるものである。該金属酸化物が
粒子状あるいは液状の場合、生成する金属炭化物は粒子
状となる。また、金属酸化物が粒子状のものであり、製
造過程中で凝集がなければ、金属酸化物1粒子から金属
炭化物1粒子を生成することが多い。そのため、微細な
金属酸化物を用いれば微細な金属炭化物が生成する。酸
化物が炭化物となる際、体積が膨張するものと収縮する
ものがある。しかしながら、通常は少し収縮する程度で
粒径が大きく変わることはなく、サブミクロンの金属酸
化物からはサブミクロンの金属炭化物、0.5μm以下の
金属酸化物からは0.5μm以下の金属炭化物が生成する
と考えられる。
また、上記金属酸化物が繊維状のものであると、製造
過程で繊維の破損がなければ、ほぼそのままの大きさの
繊維状の金属炭化物となる。
また、生成する金属炭化物の形状としては、粒子状で
も繊維状でも、あるいはそれらの混合したものでもよ
い。粒子状の場合には、その平均粒径が1μm以下とす
るのがよく、このように微細な粒子が分散していると、
極めて強度が高い。更に望ましくは、平均粒径が0.5μ
m以下とするのがよい。しかし、繊維状の方が等軸状の
粒子状よりも複合材料の強度が向上する。
炭素、あるいは熱分解により炭素を生成する有機化合
物としては、カーボンブラック類、フェノール樹脂、タ
ールピッチ、フラン樹脂等が挙げられ、これらのうち少
なくとも1種を用いる。
金属酸化物、または炭素または/および熱分解により
炭素を生成する有機化合物を粉末状態で用いる場合は、
微細で凝集のないものほど反応性が良く、かつ微細な金
属炭化物を合成できるので望ましい。
この金属酸化物と炭素とが複合材料を製造する際の焼
成段階で反応して金属炭化物を生成し、該炭化物がSiC
質材料中に析出分散する。
金属炭化物としては、TiC、ZrC、HfC、VC、Nb2C、Nb
C、Ta2C、TaC、Cr3C2、Mo2C、MoC、W2C、WC等が挙げら
れ、これらのうちの少なくとも1種とする。また、これ
らのいずれでも、SiC中に分散析出した場合に高い破壊
靱性改善効果を示す。なお、一般に遷移金属の炭化物は
必ずしも上記の化学量論組成で存在しているとはかぎら
ず、広い固溶範囲を示す。例えば、TiC、ZrC等は一般に
はTiC1-a、ZrC1-a(0≦a<1)の化学式で存在してい
る。これらの固溶体でも十分に高い効果を有する。
上記金属酸化物をMOx、上記金属炭化物をMCyとする
(x、yは正の数)と、MOxと炭素が反応してMCyが生成
する反応は、 MOx+(x+y)C→MCy+xCO↑ で表される。従って、この場合、金属元素M1モルに対
し、(x+y)モルの炭素が必要となる。例えば、TiO2
を原料として用い、TiCが析出した炭化珪素質の複合材
料を製造する場合には、反応式は TiO2+3C→TiC+2CO↑ であり、反応に必要なTiO2/Cの比は、モル比で1/3、重
量比で79.9/36.0となる。
また、金属酸化物と炭素または/および熱分解により
炭素となる有機化合物との配合割合は、上記両物質が反
応して生成した金属元素炭素物が最終的に製造したSiC
質材料中にSiC:金属元素炭化物=95:5/50:50(体積比)
の範囲で分散するような割合が望ましい。該炭化物の量
が上記範囲よりも少ない場合には、靱性改善効果はほと
んど見られず、また、金属炭化物の量が上記範囲よりも
多い場合には高温における耐酸化性が低下してしまう。
上記割合をSiC:金属炭化物=95:5〜50:50(体積比)
とするには、金属酸化物と炭素または/および熱分解に
より炭素となる有機化合物との割合は、以下のようにす
るのがよい。
例えば、金属酸化物としてMOxを用い、金属炭化物と
してMCyを分散させたSiC質材料を製造する場合、MOx
分子量をM1、MCyの分子量をM2、MCxの密度をdcとする
と、SiC100重量部に対して金属酸化物(酸化物の前駆体
の場合には酸化物に換算して)は、1.64dc・M1/M2〜3
1.2dc・M1/M2重量部、炭素または/および熱分解によ
り炭素となる有機化合物は炭素に換算して19.7dc(x+
y)/M2〜374dc(x+y)/M2重量部の範囲内で混合
するのが望ましい。例えば、TiO2を原料としてTiCが分
散したSiC質焼結体を製造する場合、SiC100重量部に対
しTiO210.7〜204重量部、炭素4.8〜91.9重量部が必要で
ある。
焼結助剤としては、いかなるものでもよいが、Alまた
はAl化合物、BeまたはBe化合物を用いるのがよい。更
に、その中でも最も望ましいのはAl、AlN、Al4C3、Al2O
3、Al2O3の前駆体等から選ばれるAl、またはAl化合物で
ある。これらAl、またはAl化合物は、Yおよび希土類元
素の化合物と共に用いるとさらに効果がある。しかし、
BまたはB化合物は、炭化物よりも高温で安定な硼化物
を生成し、焼結助剤として用いることができるB成分が
涸渇するため、望ましくない。
上記焼結助剤は、それらのうちの少なくとも1種を用
いる。
また、焼結助剤として炭素を用いることができ、ホッ
トプレス以外の方法で焼成する場合には効果的である。
この場合、金属酸化物と反応して金属炭化物を生成する
のに必要な炭素に加え、焼結助剤としての炭素を加える
ことになる。
焼結助剤としてAlまたはAl化合物を用いる場合、Alま
たはAl化合物の量は、SiC100重量部に対しAlに換算して
0.5〜20重量部が望ましい。Yおよび希土類元素の化合
物を共に添加する場合には、Yおよび希土類元素に換算
して、共に加えるAlまたはAl化合物のAlに換算したのと
同量程度が適当である。また、焼結助剤として炭素を用
いる場合には、焼結助剤としての炭素量はSiC100重量部
に対し5重量部以下とするのが望ましい。5重量部を越
える添加は焼結体の強度を低下させる。
本発明の原料組成物を調製する方法としては、SiC
と、金属酸化物と、炭素または/および熱分解により炭
素を生成する有機化合物と、焼結助剤とを混合すること
により上記組成物を得る方法がある。
上記組成物の混合は、乾式でも湿式でもよいが、湿式
の方が十分に均一な混合物を作り得るので望ましい。湿
式の場合、混合媒は水でも有機溶媒でも良く、乾燥は噴
霧乾燥、凍結乾燥、吸引ろ過等どんな乾燥法でもよい。
また、上記乾燥は真空中、不活性雰囲気、酸化雰囲気、
還元雰囲気のいずれでもよい。ただし、原料として有機
物質を用いる場合、混合媒は有機溶媒に限定されること
がある。また、AlN、Al4C3のように水と反応しやすい焼
結助剤を用いる時も、有機溶媒を用いるのがよい。
上記以外の場合には、水により混合でき、かつ大気中
で乾燥できるため、通常型、すなわち防爆型でないスプ
レードライヤーにて粉末の多量処理を行うこともでき
る。
また、炭素粉末を添加する場合には、湿式混合の際に
少量の界面活性剤を加えれば、炭素粉末の分散性を改善
することができる。
なお、SiC質複合材料の成形品を製造する場合には、
焼成の前に原料組成物を成形するのがよい。
成形は、セラミックスの成形に通常行われる方法のい
かなる方法も採用することができ、例えば、スリップキ
ャスト、射出成形、押出成形、金型成形、静水圧成形、
湿式プレス成形、ドクターブレード等広範な利用ができ
る。
焼成工程では、前記原料組成物を真空または非酸化性
雰囲気中で焼成するのがよい。雰囲気を真空または非酸
化性にするのは、原料組成物が酸化されることなく、速
やかにSiC質材料を製造するためである。
焼成方法としては、常圧焼結、あるいはホットプレス
等の加圧焼結等、どのような方法も利用することができ
る。なお、ホットプレスを行う場合には、成形と焼結と
を同時に行うことができる。
焼結助剤としてAlまたはAl化合物を用い、ホットプレ
ス以外の方法で焼結を行う場合には、原料組成物中のAl
がAl、Al2O、AlO等の蒸気として揮発していくのを防止
するため、原料組成物の周囲に、AlまたはAl化合物の粉
末、またはこれらと炭化珪素、酸化珪素、炭素、炭素化
合物との混合物から選ばれる粉末を配することが望まし
い。
焼成温度としては、常圧焼結の場合1900〜2300℃、ホ
ットプレスの場合1800〜2300℃の範囲内が望ましい。こ
の範囲内であると、理論密度の90%以上の焼結体を得る
ことができる。ただし、Cr3C2は融点が約1900℃と低い
ため、これを越えない温度で焼成するのが望ましい。
この焼成の途中段階で金属酸化物と炭素とが反応する
ことにより金属炭化物が生成し、SiC中に分散析出す
る。
炭化物生成反応の速度が小さい反応の場合、生成反応
が生じ、かつ望ましくはSiCの緻密化が大きく進行する
温度よりも低い温度(1800℃以下)にて十分な時間保持
を行い、炭化物生成反応を完了してから再昇温するのが
よい。
この焼成途中温度で中間保持を行う条件は、反応系の
種類、ガス発生の量、炉の構造、特に発生するガスの排
気されやすさ、等により異なる。
また、焼結方法として熱間静水圧(HIP)成形を用い
ることができる。その中の1つの焼結HIPでは、予め常
圧焼結あるいはホットプレスを行い開気孔がほぼあるい
は全て消滅するまで緻密化させた焼結体を、さらに1700
〜2200℃の温度域で非酸化性雰囲気で静水圧を加えるこ
とにより、さらに密度および強度をたかめることができ
る。静水圧力は、10MPa以上であれば効果があるが、50M
Pa以上の圧力を加えることが望ましい。また、カプセル
HIPでは、予め生成形体を熱処理して金属炭化物生成反
応を完了させて後に、成形体をガラスカプセル中に真空
封入しHIP処理を行う(ガラスカプセル法)、ガラス系
の粉末の中に埋め込んでHIP処理を行う(ガラス浴
法)、ガラス粉末を成形体表面に塗布した後、加熱によ
り塗布層を焼結させて気密のシール層に変換して、HIP
処理を行う(焼結ガラス法)、成形体をガラス粉末に埋
め込んだ状態で加熱し、一軸加圧してガラスを気密なシ
ール層とした後HIP処理を行う(プレスシール法)等の
方法が採用され、やはり焼結HIP法と同様の条件下でHIP
処理することにより緻密なSiC質複合材料が得られる。
融点の低いCr3C2とSiCとの複合材料を得る場合、常圧焼
結やホットプレスではCr化合物が試料外に逃げ易いた
め、カプセルHIP法を用いるのがよい。
このようにして、焼成の第1段階にて金属酸化物と炭
素との反応で金属炭化物粒子が生成析出し、第2段階に
て焼結助剤の作用によりSiCマトリックスの緻密化が達
成される。
なお、焼結体中にSiC、金属炭化物の他、残留した炭
素、あるいは残留した焼結助剤が存在することがある
が、微量であれば特性を害することはない。
原料組成物の金属酸化物として繊維状の物質を用いた
場合は、混合、成形あるいは加圧焼成中に繊維の破損を
最小限にとどめるよう注意するのが良い。例えば、ホッ
トプレスを行う際には、金属炭化物が生成した後、徐々
に加圧していくのが良い。
本発明により製造されたSiC質複合材料は、亀裂の進
行する際に析出した金属炭化物により亀裂の屈曲(クラ
ック・デフレクション)、分岐(クラック・フランチン
グ)が生ずるため大きな破壊エネルギーを消費し、この
ため高い破壊靱性値を実現する。しかも、金属炭化物は
微細で破壊起点とはなりにくく、強度低下を引き起こす
こともない。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1 SiC(α型、平均粒径0.4μm)、TiO2(ルチル型、平
均粒径0.4μm)、カーボンブラック(平均粒径0.02μ
m)およびAlN(平均粒径1μm)を第1表(表中の配
合量はSiC100重量部に対する量である)のような比率で
秤量し、エタノールを加えてボールミルにて混合した。
スラリーをスプレードライヤーにて乾燥造粒し、造粒粉
を内側にカーボンスプレーにてカーボン粉を吹き付けた
黒鉛ダイスに入れ、30MPaの圧力でホットプレスした。
その際、1500℃まで真空中で加圧せずに昇温し、1500℃
で4時間保持した後、炉内にArガスを導入し、1気圧に
すると共に再昇温し、かつ30MPaの圧力を加え、2050℃
で1時間保持した(試料No.1〜3)。
上記により製造した焼結体(試料No.1〜3)は、いず
れもSiCマトリックス中に平均粒径0.3〜0.5μmのTiC粒
子が分散した組織となっており、第3相はX線回折では
観察されなかった。
また、比較のために、SiCにCとAlNのみを加えた試料
およびTiC粉末(平均粒径0.6μm)を加えた試料も第1
表(表中の配合量はSiC100重量部に対する量である)の
試料No.C1〜C4に示すように用意し、上記と同様にエタ
ノールを加えて混合し、スプレードライヤーで乾燥造粒
した。造粒粉は内側にカーボンスプレーにてカーボン粉
を吹き付けた黒鉛ダイスに入れ、30MPaの圧力でArガス
中2050℃、1時間ホットプレスした。
上記7種類の焼結体について、JIS規格抗析試験片に
加工し、相対密度4点曲げ強度(大気中室温、真空中12
00℃)を測定した。その結果を第1表に示す。
第1表より明らかなように、本実施例の試料No.1〜3
の焼結体は、SiC単相のホットプレス体(試料No.C1〜C
4)よりも高強度であることが分かる。また、原料とし
てTiC粉末を用いたものよりも、同じSiC:TiC体積比のも
ので比較して、密度、強度とも高い値を示した。また、
試料No.2、3は放電加工による切断が可能であった。
試料No.2の原料組成物のX線回折パターンを第1図
(図中、カーボンブラックは非晶質のためピークは現れ
ていない)に、焼結体のX線回折パターンを第2図に示
す。
実施例2 SiC(α型、平均粒径0.7μm)、ZrO2(単斜晶型、平
均粒径0.4μm)、Nb2O5(平均粒径0.4μm)、カーボ
ンブラック(平均粒径0.02μm)およびAl2O3(α型、
平均 粒径0.6μm)を第2表(表中の配合量はSiC100重量部
に対する量である)のような比率で秤量し、水を加えて
ボールミルにて混合した。スラリーを実施例1と同様の
方法で乾燥造粒し、同様の条件でホットプレスした。
ホットプレス体はSiCマトリックス中にZrC、NbCが分
散析出した組織となっており、第2表に示すような特性
が得られた。
試料No.4の原料組成物のX線回折パターンを第3図
(図中、カーボンブラックは非晶質のためピークは現れ
ていない)に、焼結体のX線回折パターンを第4図に示
す。
実施例3 SiC(α型、平均粒径0.4μm)、Cr2O3(平均粒径0.3
5μm)、フェノール樹脂(ノボラック型)およびAlN
(平均粒径1μm)を重量比で100:63.7:39.6:5の割合
で秤量し、キシレンを加えてボールミルで混合し、スラ
リーを凍結乾燥した。乾燥粉は300kg/cm2の圧力で金型
成形後、3000kg/cm2の静水圧成形を 行った。成形体は黒鉛抵抗炉にして、Ar気流中850℃ま
で昇温してフェノール樹脂の熱分解を行った後、炉内を
排気しながら昇温し、真空中で1500℃×6hrの熱処理に
より、成形体中でCr2O3の還元炭化反応を完了した。こ
の成形体をガラスカプセル中に真空封入し、Ar200MPa中
で1750℃×4hrのHIP処理を行った。
HIP後、ガラスを除去したところ、SiCとCr3C2から成
り、SiCマトリックス中にCr3C2粒子が分散してなる、密
度95.2%の複合セラミックスが製造できた。
実施例4 SiC(β型、平均粒径0.3μm)、TiO2(ルチル型、平
均粒径0.4μm)、カーボンブラック(平均粒径0.02μ
m)およびAlN(平均粒径1μm)を重量比にて100:22.
7:13.2:5の割合で秤量し、エタノールを用いてボールミ
ルで混合した。スラリーは吸引ろ過後80℃のオーブンで
乾燥し、#32メッシュ以下に解砕した。この粉末を300k
g/cm2の圧力で金型成形後、3000kg/cm2の静水圧成形を
行った。成形体はAl2O3とSiCの混合粉末中に、Ar雰囲気
中で2100℃×4hrの常圧焼結を行った。その際、昇温途
中で1500℃×4hrの保持を行った。得られた焼結体は、S
iCマトリックス中にTiC粒子が分散した組織となってお
り、相対密度は95.0%であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1における原料組成物のX線回折チャ
ート、第2図は、上記原料組成物を用いて製造した焼結
体のX線回折チャート、第3図は実施例2における原料
組成物のX線回折チャート、第4図は、上記原料組成物
を用いて製造した焼結体のX線回折チャートである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化珪素をマトリックスとし、該マトリッ
    クス中に周期律表の第IVa〜VIa族元素のうちの少なくと
    も1種の炭化物が分散してなる複合材料の製造方法であ
    って、炭化珪素と、周期律表の第IVa〜VIa族元素のうち
    の少なくとも1種を含有する酸化物または/および該酸
    化物の前駆体と、炭素または/および熱分解により炭素
    を生成する有機化合物と、焼結助剤とを混合することに
    より原料組成物を調製する工程と、該原料組成物を焼成
    する工程とからなることを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】炭化珪素をマトリックスとし、該マトリッ
    クス中に周期律表の第IVa〜VIa族元素のうちの少なくと
    も1種の炭化物が分散してなる複合材料の原料組成物で
    あって、炭化珪素と、周期律表の第IVa〜VIa族元素のう
    ちの少なくとも1種を含有する酸化物または/および該
    酸化物の前駆体と、炭素または/および熱分解により炭
    素を生成する有機化合物と、焼結助剤とを混合すること
    により調製されたことを特徴とする複合材料の原料組成
    物。
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