JP2696138B2 - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

複合材料及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、周期律表第IVa〜VIa族元素のうちの少なく
とも1種の硼化物と炭化珪素(SiC)とからなり、繊維
状の上記硼化物を含有する複合材料に関するものであ
り、機械部品等に応用することができるものである。
〔従来の技術〕
炭化珪素は高温で優れた機械的及び化学的性質を示す
ため、高温機械部品への応用が試みられている。特に、
特公昭57-32035号や特公昭59-34147号にあるような、硼
素または硼素化合物系統の焼結助剤を使用した場合に
は、1500度以上の温度でも強度低下が見られず、逆に室
温より強度が増加する傾向を示す。このため、1400度以
上の高温で作動するガスタービンエンジン用材料等とし
て有望視されている。
しかしながら、その最大の欠点は破壊靭性値(K
IC値)が低いことであり、例えばIM(インデンテーショ
ン・マイクロフラクチャー)法で測定した場合、Bを添
加したホットプレスSiC、あるいはB及びCを添加した
常圧焼結SiCのKIC値は2.7〜2.8MPa・m1/2であり、Si3N4
焼結体のKIC値(5〜7MPa・m1/2)の2分の1の値であ
る。これは、B添加系SiCの破壊が粒内破壊のため、破
壊によって生じる表面積が小さく、結果的に消費される
破壊エネルギーが小さいことに由来している。SiC質材
料も、Al2O3を焼結助剤に用いた場合には、主に粒界を
通じて破壊は進行し、6MPa・m1/2を越えるKIC値も報告
されている(鈴木、第4回高温材料基礎討論会、1984、
P31〜P34)。しかしながら、Al2O3添加SiCは1200℃を越
える高温で強度低下が見られるため、ガスタービンエン
ジン等への応用を制限される。
SiC質材料の破壊靭性を改善するため、他の物質の粒
子をSiC質材料に分散させることが試みられている。そ
の一つの試みとして、SiC質材料に二硼化チタン(Ti
B2)粒子を分散させることがある(特開昭57-27975号、
Am.Cream.soc.Bull.,vol.66,No.2,1987,P322-324、及び
325-329)。このTiB2粒子分散のSiC質材料は、高い破壊
靭性値を示す。該SiC質材料の製造方法としては、SiCと
TiB2とを焼結助剤と共に混合し、成形、焼成する方法、
あるいはTiB2をSiCに加え、BとCとを添加し、これを
ホットプレスする方法等がある。
また、TiB2以外にも二硼化ジルコニウム(ZrO2)等の
粒子を分散させる試みもある(窯業協会誌、vol.93、N
o.3、1985年、P123-129)。
しかしながら、これらの報告で用いられている硼化物
は等軸形状の粒子であり、破壊靭性の改善には限界があ
る。
添加する粒子のアスペクト比を大きくし、短繊維形状
の物にすれば複合材料のKIC値が著しく増加すること
は、理論的にも知られており(K.T.Faber and A.G.Evan
s,Acta metall,vol.31,No.4,P565-576)、また、実験で
も、SiCウィスカーを添加したアルミナのKIC値がSiC粒
子を添加したアルミナよりも高い値に達することからも
確認される(谷、和田、窯業協会東海支部学術研究発表
会講演要旨集、1986年、P21)。
しかしながら、金属硼化物の短繊維は知られておら
ず、わずかにCVD法によりTiB2の長繊維が試作されてい
るにすぎない。CVD法により製造された無機繊維は高価
であり、しかも直径が100μm以上と太いため、通常の
粉末プロセスによるセラミック複合材には不向きであ
る。しかも、比表面積の大きい金属硼化物となり、これ
は水と反応しやすいため、取り扱いが難しいと予想され
る。
〔第1発明の説明〕 本第1発明(特許請求の範囲第(1)項に記載の発
明)は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであ
り、高靭性の炭化珪素質からなる複合材料を提供しよう
とするものである。
本第1発明の複合材料は、周期律表の第IVa〜VIa族元
素のうちの少なくとも1種の硼化物5〜50体積%と、残
部が炭化珪素とから成り、上記硼化物は少なくとも10%
がアスペクト比が3以上の繊維状であることを特徴とす
るものである。
本第1発明の複合材料は、非常に高い靭性を有する。
この優れた効果を有するのは以下の理由によると考えら
れる。
本第1発明の複合材料中に亀裂が発生し、亀裂が伝播
する際に、材料中の繊維状の上記硼化物により、亀裂の
屈曲(クラック・デフラクション)率が粒子状の上記硼
化物よりも高い上、分岐(クラック・ブランチング)も
生じやすく、更に繊維の引き抜き(プルアウト)が生ず
るため、大きな破壊エネルギーを消費する。このため、
亀裂は伝播しにくい。従って、従来の粒子状硼化物のみ
が分散した炭化珪素質からなる複合材料よりも高い破壊
靭性値を実現する。
〔第2発明の説明〕 以下、本第1発明を具体的にした発明(第2発明とす
る。)を説明する。
本第2発明にかかる複合材料は、周期律表の第IVa〜V
Ia族元素のうちの少なくとも1種の硼化物(以下、金属
元素硼化物とする)と炭化珪素(SiC)とからなり、該
金属元素硼化物の少なくとも一部が繊維状をなしている
ものである。
本第2発明において、SiCは、α型、β型のいずれの
結晶形態のものでもよい。
上記金属元素硼化物の金属元素は、周期律表の第IVa
族元素(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)、第Va族
元素(バナジウム、ニオブ、タンタル)、第VIa族元素
(クロム、モリブデン、タングステン)のうちの少なく
とも1種である。
また、金属元素硼化物は、一硼化物(金属元素をMと
するとMB)、二硼化物(MB2)等いずれのものでもよい
が、二硼化物は、低比重、高熱伝導率、低膨張率などの
特徴を示すため望ましい。
複合材料中の金属元素硼化物とSiCとの含有割合は、
金属元素硼化物が5〜50体積%、残部SiCとする。金属
元素硼化物の含有量が5体積%未満では、金属元素硼化
物を含まないSiCと比べ、破壊靭性に顕著な差はない。
また、50体積%を越える場合には、高温における耐酸化
性が著しく低下する。
また、金属元素硼化物としては、その少なくとも一部
が繊維状をなしているものであり、金属元素硼化物中の
繊維状のものが占める割合としては、10%以上とする。
10%未満では、粒子状の金属元素硼化物のみが含有して
なるSiC質の複合材料と比べて破壊靭性値に顕著な差は
ない。更に高い靭性を得るには、SiCと金属元素硼化物
との合計における繊維状金属元素硼化物が占める割合を
5体積%以上とするのがよい。
この金属元素硼化物の繊維としては、アスペクト比
(繊維の長さ/繊維の直径)が3以上のものとする。通
常のセラミックス粒子はやや角張った球に近い形状で、
アスペクト比は一般に1〜2である。例えば、市販のTi
B2やZrB2粒子をSEMにより観察したところ、アスペクト
比は3未満であった。なお、アスペクト比が3未満のも
のでは、粒子状の金属元素硼化物を用いた物と比べ破壊
靭性に顕著な差はなく、アスペクト比の増加と共に破壊
靭性は急激に向上する。
また、金属元素硼化物とSiCとの存在形態としては、S
iCをマトリックスとして、その中に金属元素硼化物が均
一に分散してなる形態が望ましい。該形態であれば、非
常に優れた破壊靭性を有する。
本発明にかかる複合材料は、炭素、炭化硼素等の製造
工程中に用いた焼結助剤等が含有していても差し支えな
い。
金属元素硼化物は電気伝導度が高いため、SiC:金属元
素硼化物=85:15(体積比)以上金属元素硼化物が多量
に含むSiC質材料は電気抵抗率が1Ωcm以下となり、放
電加工によりワイヤーカット、型彫り加工等を容易に行
うことができる。
本発明にかかる複合材料は、エンジン部品等の高温構
造材料、メカニカルシール等の摺動部材等に利用するこ
とができる。
〔第3発明の説明〕 本第3発明(特許請求の範囲第(2)項に記載の発
明)は、前記の高靭性な複合材料を製造する方法を提供
しようとするものである。
本第3発明の複合材料の製造方法は、炭化珪素と、周
期律表第IVa〜VIa族元素に換算して少なくともその10%
はアスペクト比が3以上の繊維状である第IVa〜VIa族元
素のうちの少なくとも1種を含有する物質と、硼素含有
物質と、必要に応じて添加した炭素または熱分解により
炭素を生成する有機化合物の一方または双方とからな
り、下記の混合比の混合物を調製する第1工程と、上記
混合物を成形する第2工程と、上記成形体を真空または
非酸化性雰囲気中で焼成する第3工程とから成ることを
特徴とするものである。
上記混合物の混合比は、製造する複合材料中の第IVa
〜VIa族元素のうちの少なくとも1種の硼化物をMxB
y(Mは第IVa〜VIa族元素のうちの少なくとも1種、
x、yは整数である)、その分子量をMB、その密度を
dB、Mの原子量をMmとすると、炭化珪素100重量部に対
して、第IVa〜VIa族元素のうちの少なくとも1種を含有
する物質が第IVa〜VIa族元素に換算して1.64x・dB・Mm
/MB〜31.2x・dB・Mm/MB重量部、硼素含有物質が硼素
に換算して0.2+17.7y・dB/MB〜8+336y・dB/MB重量
部である。
本第3発明によれば、前記のごとき優れた複合材料を
得ることができる。また、製造工程中で繊維状の金属元
素硼化物を形成して炭化珪素と複合化するため、簡便に
複合材料を製造することができる。
〔第4発明の説明〕 次に、本第3発明を具体的にした発明(本第4発明と
する。)を説明する。
本第4発明の複合材料の製造方法は、複合材料の原料
混合物を調製する第1工程と、該原料混合物を成形する
第2工程と、この成形体を焼成する第3工程とから成
る。
上記第1工程における原料混合物は、SiCと、少なく
とも一部が繊維状であり、第IVa〜VIa族元素のうちの少
なくとも1種を含有する物質と、硼素含有物質とから成
り、更に必要に応じて炭素あるいは熱分解により炭素を
生成する有機化合物の一方または双方を添加してなるも
のである。
上記SiCは、α型、β型のいずれでもよく、望ましく
は平均粒径が1μm以下の粉末が、緻密な複合材料を得
るのに好都合である。
上記第IVa族元素(Ti、Zr、Hf)、第Va族元素(V、N
b、Ta)、または第VIa族元素(Cr、Mo、W)のうちの少
なくとも1種を含有する物質(以下、金属元素含有物質
とする)としては、TiO、TiO2、Ti2O3、ZrO、ZrO2、HfO
2、VO、VO2、V2O3、V2O5、NbO、NbO2、Nb2O5、Ta2O5、C
r2O5、MoO2、MoO3、WO2、WO3等の酸化物、TiC、ZrC、Hf
C、VC、NbC、Nb2C、TaC、Ta2C、Cr3C2、Cr7C3、Cr
23C6、Mo2C、MoC、W2C、WC等の炭化物、TiN、ZrN、Hf
N、VN、NbN、TaN、Cr2N、Mo2N、MoN、W2N、WN等の窒化
物、またはTi(C,N),(Ta,Zr)C等の上記物質(酸化
物等)間の固溶体、TiZrO4、ZrW2O8等の上記物質間の化
合物、ZrSiO4(ジルコン)等の上記物質とケイ素化合物
との化合物または固溶体、Al2TiO5等の上記物質とアル
ミニウム化合物との化合物または固溶体、加熱により分
解して上記物質となる塩類、アルコキシド類、有機物質
等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を使用す
る。これらの物質の形態としては、粒子状でも繊維状で
も液状でもよい。例えば、繊維状の金属元素含有物質を
使用すれば、この金属元素含有物質が硼素含有物質と反
応することにより繊維状の金属元素硼化物を生成する。
従って、金属元素硼化物のうち10%以上が繊維状のもの
にするためには、金属元素含有物質のうち金属元素に換
算して10%以上が繊維状のものとする。
例えば、繊維状のチタン含有物質としてよく知られて
いるものはチタン酸アルカリ金属繊維であり、一般に市
販されているチタン酸カリウム繊維がこれに該当する。
これはK2O・nTiO2の化学式で表される、直径0.2〜1μ
m、長さ10〜50μmのウィスカーである。これをチタン
含有物質として使用した場合、1000℃以上でK2Oの揮発
が始まるため、結果的にTiO2繊維となる。しかしながら
K2Oは炉を侵食することに加え、チタン酸カリウムは130
0〜1400℃で融解するため、でき得れば、予め酸処理に
よりK2O成分を抽出してTiO2・nH2O(n=1〜6)のチ
タニア水和物繊維となし、次いで水和物繊維を200〜110
0℃の温度で加熱脱水することにより得たTiO2繊維を用
いた方が良い。
また、繊維状のジルコニウム含有物質としてよく知ら
れているものはジルコニア(ZrO2)繊維であり、添加剤
のない単斜晶ZrO2繊維の他、CaOやY2O3添加により正方
晶が安定化されている繊維やMgOが添加されている単斜
晶繊維が市販されている。最も適切なものは、添加剤の
ない単斜晶ZrO2であり、純粋なZrB2が合成できる。但
し、繊維の直径は平均5μmとやや太く、数十μmに達
するものも混入している。太いZrO2繊維を原料として用
いると合成されるZrB2は、繊維状ではなく、等軸状粒子
が棒状につながった「トウモロコシ状」となるため、予
め太いZrO2繊維を除き、細い繊維のみを用いるのがよ
い。望ましくは、直径10μmを越えるZrO2繊維は、沈澱
法により除去して使用するのがよい。
また、TiN、TiC、ZrC、ZrN、ZrO2、Cr3C2等のウィス
カーが気相反応法にて得られるので、これらを利用する
こともできる。この他に、上記金属元素を含む粘稠なゾ
ルから紡糸した物を加熱脱水したり、これらの元素を含
む塩類の水溶液やゾルをレーヨンなどの有機繊維に圧入
したロード・プリカーサー繊維を焼成することにより、
金属元素の酸化物の繊維が得られるが、どうしても直径
の大きな物になりやすいので、上述のチタン酸アルカリ
金属から得たTiO2短繊維や気相法で得たウィスカーに比
べると、混合の際に均一に分散しにくく、「トウモロコ
シ」状金属元素硼化物が生成しやすい難点がある。
また、繊維状の金属元素含有物質のアスペクト比につ
いてもその繊維状がそのまま金属元素硼化物の繊維状に
変化するので、3以上のアスペクト比とする。
また、硼素含有物質としては、硼素(B)、炭化硼素
(B4C)、窒化硼素(BN)、酸化硼素(B2C3)、カルボ
ラン類(BxCyHz)等の各種無機あるいは有機物質であ
り、これらのうちの少なくとも1種を使用する。このう
ち、B4Cは水と反応しにくく、金属元素硼化物を生成し
やすいことから最も望ましい。
硼素含有物質は、平均粒径が10μm以下の粉末で十分
に金属元素硼化物を析出するが、微細であるほど反応性
がよく、望ましくは平均粒径は2μm以下とするのがよ
い。
この金属元素含有物質と硼素含有物質とが、SiC質材
料を製造する際の焼成段階で反応して金属元素硼化物を
生成し、該硼化物がSiC質材料中に析出分散する。従っ
て、金属元素含有物質、硼素含有物質とも金属元素硼化
物を用いる必要はなく、更に、金属元素硼化物を出発原
料として用いると該金属元素硼化物は水と反応しやすい
ことから原料の混合時に水を使用することができず、原
料としては上記金属元素硼化物以外のものを用いるのが
よい。析出分散する金属元素硼化物は、いずれも数種の
化学量論比のものがある。例えば、Nbの硼化物として
は、Nb2B、Nb3B2、NbB、Nb3B4、NbB2の5種がこれまで
挙げられている。このうち、最も低比重、高熱伝導率、
低熱膨張率であるのが二硼化ニオブ(NbB2)であり、Si
Cと複合材料を構成した場合にも、比強度、耐熱衝撃性
に最も優れている。他の金属元素についても同様であ
り、二硼化物(以下、MB2とする。)を析出させるのが
最も望ましい。ただし、MoとWについては、Mo2B5、W2B
5が知られており、これも良い特性を示す。
このMB2の生成に必要な両者の割合は、モル比でM:B=
1:2である。
また、硼素含有物質は、焼結助剤としても作用するこ
とができ、金属元素硼化物の生成に寄与しない硼素含有
物質は、焼結助剤として使用することができる。したが
って、焼結助剤として硼素含有物質を用いる場合には、
上記金属元素硼化物の生成に必要な量よりもさらに過剰
の硼素含有物質を用いる。この過剰の硼素含有物質の量
としては、SiC100重量部に対して、Bに換算した量で0.
2〜8重量部とするのが望ましい。0.2重量部未満では焼
結は困難であり、8重量部を越える量も必要ない。
また、金属元素含有物質として酸化物(MOx)を用い
る場合、焼成段階での金属元素硼化物の生成反応におい
て、炭素が必要になる。すなわち、硼素含有物質として
Bを用い、MB2を形成する場合、下記式(1)に示すよ
うに、MOxを還元するためのCが必要となる。
MOx+2B+xC→ MB2+xCO↑ ……(1) このMB2生成に必要な場合は、モル比でM:B:C=1:2:x
である。例えば、MOxがNb2O5の場合、Nb:B:C=1:2:2.5
である。また、このCは、硼素含有物質がB4Cの場合、B
4Cからも供給することができる。従って、例えば、Nb2O
5を用いる場合、硼素含有物質以外に更に供給すべき炭
素量は、硼素含有物質がBまたはBNの場合5モル、硼素
含有物質がB4Cの場合4モルである。
また、M2B5を生成させる場合、下記式(2)に示すよ
うに、必要な割合はモル比でM:B:C=2:5:2xである。
2MOx+5B+2xC→ M2B5+2xCO↑ ……(2) なお、金属元素含有物質としてZrSiO4のようなケイ酸
化合物(金属元素酸化物とケイ酸との複酸化物)、また
はAl2TiO5のような金属元素酸化物とAl2O3との複酸化物
等の複酸化物、あるいは加熱により分解して金属元素酸
化物となる塩類等の金属元素酸化物の前駆体を用いる場
合にも、これらを還元するための炭素が必要である。
金属元素含有物質が酸化物、複酸化物、あるいは酸化
物の前駆体であっても、併用する金属元素含有物質また
は硼素含有物質が炭化物である場合には、金属元素硼化
物が生成する際に、この炭化物から炭素を生成して、こ
の炭素を上記酸化物、複酸化物、あるいは酸化物の前駆
体の還元に使用できる。また、上記炭化物から生じる炭
素では上記酸化物等の還元が不足な場合、あるいは金属
元素含有物質、硼素含有物質のいずれもが炭化物でない
場合には、上記酸化物等を還元するための炭素が必要で
あり、上記物質とは別にさらに炭素または熱分解により
炭素を生成する有機化合物のうちの少なくとも1種を添
加する必要がある。
また、焼成段階で加圧焼結以外により焼成を行う場
合、焼結助剤として、前記硼素含有物質の他、炭素が必
要である。金属元素含有物質または硼素含有物質が炭化
物である場合には、金属元素硼化物が生成する際に、炭
素が生成して、この炭素を焼結助剤として使用すること
ができる。
また、上記炭化物から生じる炭素では焼結助剤として
は不足な場合、あるいは金属元素含有物質、硼素含有物
質のいずれもが炭化物でない場合には、焼結助剤として
の炭素が必要であり、上記物質とは別にさらに炭素ある
いは熱分解により炭素を生成する有機化合物のうちの少
なくとも1種を添加する必要がある。特に、金属元素含
有物質が酸化物である場合には、酸化物を還元するため
の炭素に加え、焼結助剤としての炭素を添加することが
望ましいため、多量の炭素あるいは熱分解により炭素を
生成する有機化合物のうちの少なくとも1種を添加する
のがよい。
上記焼結助剤として用いる炭素(C)量としては、Si
C100重量部に対して5重量部以下とするのが望ましい。
5重量部を越える添加は緻密化を阻害する。特に、金属
元素含有物質、硼素含有物質のいずれもが炭化物でない
場合には、0.5〜5重量部の範囲とするのが望ましい。
0.5重量部未満でも、5重量部を越える添加でも、緻密
な焼結体を得ることは困難である。
なお、加圧焼結により焼成する場合には、焼結助剤と
しての炭素は必要としない。
また、金属元素含有物質と硼素含有物質の配合割合
は、上記両物質が反応して生成した金属元素硼化物が最
終的に製造したSiC質材料中にSiC:金属元素硼化物=95:
5〜50:50(体積比)の範囲で分散するような割合とす
る。
すなわち、金属元素硼化物をMxBy(x、yは整数)、
金属元素(M)の原子量をMm、金属元素硼化物の分子量
をMB、密度をdBとすると、上記配合割合は、SiC100重量
部に対して、金属元素含有物質は金属元素に換算して1.
64x・dB・Mm/MB〜31.2x・dB・Mm/MB重量部、硼素含有
物質はBに換算して0.2+17.7y・dB/MB〜8+336ydB
MBの範囲である。
以上のことより、例えば、金属元素硼化物として二硼
化物(MB2)を分散させたSiC質材料を製造する場合、Si
C100重量部に対して金属元素含有物質は、金属元素に換
算して1.64dB・Mm/MB〜31.2dB・Mm/MB重量部、硼素含
有物質は、Bに換算して0.2+35.4dB/MB〜8+673dB
MB重量部の範囲内で混合する。なお、金属元素含有物質
として酸化物を用いる場合には、還元に必要な炭素量に
焼結に必要な炭素量を加えた量を用いる。酸化物を用い
ない場合には、焼結助剤としてのCを供給するためのみ
に炭素あるいは熱分解により炭素を生成する物質のうち
の少なくとも1種を添加すればよい。
なお、金属元素含有物質として金属元素を用いること
も可能であるが、微細な金属元素粉末は高価であり、し
かも反応性が高く、爆発的な反応を起こしやすい難点が
ある。
熱分解により炭素を生成する有機化合物としては、フ
ェノール樹脂、コールタールピッチ、フラン樹脂等が挙
げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いる。
例えば、金属元素含有物質として酸化物(MOx)と炭
化物(MCy)とを用い、硼素含有物質としてB4Cを用い、
MB2を生成させる場合、 により示される反応が生じる混合比 が存在する。この場合、酸化物を還元するための炭素が
不要であり、焼結助剤としての炭素を添加するのみで十
分である。この反応の場合、金属元素含有物質として酸
化物のみを用いた場合よりも焼結による収縮率を小さく
することができる。例えば、MOxとしてTiO2、MCyとして
SiCを選んだ場合、TiO2:TiC:B4Cの混合モル比を1:1:1と
なるように混合すると、 TiO2+TiC+B4C→ 2TiB2+2CO↑ の反応が生じる。また、MOxとしてTa2O5、MCyとしてTaC
を選んだ場合、TaC:Ta2O5:B4Cの混合モル比を8:3:7と
なるように混合すると、 8TaC+3Ta2O5+7B4C→ 14TaB2+15CO↑ の反応が生じる。
これらの原料混合物を調製する方法としては、SiC、
金属元素含有物質、硼素含有物質、及び必要に応じて炭
素或いは熱分解により炭素を生成する有機化合物のうち
の少なくとも1種を混合することにより上記混合物を得
る方法がある。
上記組成物の混合は、乾式でも湿式でもよいが、湿式
の方が十分に均一な混合物を作り得るので望ましい。湿
式の場合、混合媒は水でも有機溶媒でもよく、乾燥は噴
霧乾燥、凍結乾燥、吸引ろ過等どんな乾燥方でもよい。
また、上記乾燥は真空中、不活性雰囲気、酸化雰囲気、
還元雰囲気のいずれでもよい。
なお、熱分解により炭素を生成する有機化合物を添加
する場合には、湿式混合の混合媒としては、有機溶媒を
用いる。また、炭素粉末を添加する場合には、湿式混合
の際に少量の界面活性剤を加えれば、炭素粉末の分散性
を改善することができる。
また、繊維状金属元素含有物質の凝集をなくし、分散
性を改善するには、予め超音波照射を行い、混合媒中に
分散させておくのが良い。
混合の際、繊維状金属元素含有物質は切断され、短く
なる。例えばボールミルを用いて5時間混合した実験で
は、10〜30μmの長さであったチタン酸カリウム繊維が
ほとんど10μm以下になっていた。しかしながらその少
なくとも9割以上はアスペクト比が5以上の値を保って
いた。
上記の原料混合物に、Al、AlN、Al4C3等の焼結助剤を
さらに添加してもよい。AlまたはAl化合物の添加は焼結
温度を下げる効果を有する。
また、第2工程の成形は、セラミックスの成形に通常
行われる方法のいかなる方法も採用することができ、例
えば、スリップキャスト、射出成形、押出成形、金型成
形、静水圧成形、湿式プレス成形、ドクターブレード等
広範な利用ができる。このうち、特に射出成形、押出成
形は、繊維状金属元素硼化物を強く配向させることがで
きる。その他の成形法でも、繊維は少なからず配向す
る。従って、最終製品である複合材料中でもそれぞれの
配向度に応じて繊維状金属元素硼化物も配向する。
次に、第3工程の焼成段階では、前記成形体を真空ま
たは非酸化性雰囲気中で焼成する。
雰囲気を真空または非酸化性にするのには、成形体が
酸化されることなく、速やかに複合材料を製造するため
である。
焼成温度としては、1900〜2300℃の範囲内が望まし
い。この範囲内であると、理論密度の90%以上の焼結体
を得ることができる。
ただし、クロムおよびモリブデンの硼化物は融点が約
2200℃と低いため、2100℃を越えない温度で焼成するの
が望ましい。なお、加圧焼結以外の方法で製造する場合
には、1100〜1800℃の範囲で選ばれた温度までは、SiC
表面のSiO2を還元除去する反応を促進するため、真空排
気を行いながら昇温するのが望ましい。
この焼成の途中段階で金属元素含有物質と硼素含有物
質とが反応することにより金属元素硼化物が生成し、Si
C中に分散析出する。繊維状金属元素含有物質と硼素含
有物質との反応で生成する繊維状金属元素硼化物は微細
な繊維状金属元素含有物質を用いた場合にはほぼ元の繊
維のアスペクト比を保っている。
金属元素含有物質として酸化物を用いる場合など、硼
化物生成反応の速度が小さい反応の場合、生成反応が生
じ、かつ望ましくはSiCの緻密化が大きく進行する温度
よりも低い温度(1800℃以下)にて十分な時間保持を行
い、硼化物生成反応を完了してから再昇温するのがよ
い。この際、反応に伴ってCOやN2のようなガスが発生す
る場合には、保持する間真空排気して発生するガスを除
去すれば、反応はさらに速く進む。例えば、SiC、Ti
O2、B4C、Cを原料とし、SiC中の30体積%のTiB2が分散
析出したSiC質材料を製造する場合、焼成途中に1400〜1
500℃の温度で真空排気しながら少なくとも2時間以上
保持するのが望ましく、このような真空保持を行った
後、Arガス等の非酸化性雰囲気中で再昇温し、1900〜23
00℃で焼成を完了することにより、高密度なSiC+TiB2
焼結体が得られる。一方、この真空保持時間が不足して
いるもの、例えば上記試料で1500℃×1hrの保持しか行
わなかったものは60〜70%の低い相対密度の焼結体しか
得られない。この焼成途中温度で中間保持を行う条件
は、反応系の種類、ガス発生の量、炉の構造、特に発生
するガスの排気されやすさ、等により異なる。
Cが析出しない組合せ、例えば、金属元素含有物質と
して窒化物、硼素含有物質としてBまたはBNを用いた場
合、ホットプレス以外で焼成する際には、別に炭素また
は熱分解により炭素を生成する有機化合物のうちの少な
くとも1種を添加することが不可欠であり、この炭素と
余剰のBまたはBNが焼結助剤として作用する。金属炭化
物あるいはB4Cを用いた時も、その量が少ない場合に
は、炭素または熱分解により炭素を生成する有機化合物
のうちの少なくとも1種を別に付与しなければならな
い。
焼成方法としては、常圧焼結、あるいはホットプレス
等の加圧焼結等、どのような方法も利用することができ
る。なお、ホットプレスを行う場合には、成形と焼結と
を同時に行うことができる。また、焼結体にさらにHIP
(熱間静水圧)処理を施すことにより、さらに緻密な焼
結体を得ることができる。その中の1つのポストHIPで
は、予め常圧焼結あるいはホットプレスを行い開気孔が
ほぼあるいは全て消滅するまで緻密化させた焼結体を、
さらに1700〜2200℃の温度域で非酸化性雰囲気で静水圧
を加えることにより、さらに密度および強度をたかめる
ことができる。静水圧力は、10MPa以上であれば効果が
あるが、50MPa以上の圧力を加えることが望ましい。ま
た、直接HIPでは、金属硼化物生成反応の際にガスの発
生のない組成物の場合は生成形体をそのまま、ガス発生
のある組成物の場合は予め生成形体を熱処理して金属元
素硼化物生成反応を完了させた後に、成形体をガラスカ
プセル中に真空封入しHIP処理を行う(ガラスカプセル
法)、ガラス系の粉末の中に埋め込んでHIP処理を行う
(ガラス浴法)、ガラス粉末を成形体表面に塗布した
後、加熱により塗布層を焼結させて気密のシール層に変
換して、HIP処理を行う(焼結ガラス法)、成形体をガ
ラス粉末に埋め込んだ状態で加熱し、一軸加圧してガラ
スを気密なシール層とした後HIP処理を行う(プレスシ
ール法)等の方法が採用され、やはりポストHIP法と同
様の条件下でHIP処理することにより緻密なSiC質複合材
料が得られる。
このようにして、焼成の第1段階にて金属元素含有物
質と硼素含有物質との反応で金属元素硼化物(繊維状の
ものを含む)が生成析出し、第2段階にて焼結助剤の作
用によりSiCマトリックスの緻密化が達成される。
以上の方法により製造された炭化珪素質複合材料は本
質的にSiCと金属元素硼化物とから成り、金属元素硼化
物のうち少なくともその一部はアスペクト比が3以上の
繊維状金属元素硼化物である。
しかしながら、硼素含有物質の添加量が多い時は該材
料中に炭化硼素として残留することがある。また、炭素
または熱分解後に炭素となる有機化合物のうちの少なく
とも1種の添加量が多い時、および金属元素の炭化物ま
たはB4Cを原料として用い、これから析出する炭素の量
が焼結助剤として必要な炭素量を上回る時は、該材料中
に炭素が残留することがある。これらの炭素あるいは炭
化硼素は複合材料中に残留していてもよいが、耐酸化性
などの材料の特性を損なわないためには5体積%以下の
残留量とするのが望ましい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1 SiC粉末(α型、平均粒径0.4μm)100重量部に対
し、それぞれ第1表に示すような量のTiO2短繊維(直径
0.2〜0.5μm、長さ5〜20μm)およびTiO2粉末(アナ
ターゼ型、平均粒径0.4μm)およびB4C粉末(平均粒径
1.5μm)およびカーボンブラック粉末(平均粒径0.02
μm)を水と共にボールミルにて混合し、スプレードラ
イヤーにて乾燥した。乾燥造粒粉を300kg/cm2で金型成
形し、その後3000kg/cm2の静水圧成形を施した。この成
形体を黒鉛容器に入れ、2150℃×4hrの条件で非加圧焼
結した。その際、1500℃まで真空排気しながら昇温し、
真空中1500℃で4時間保持した後、炉内にArガスを導入
し、Ar1気圧で焼結を完了させた。
また、比較例として、TiO2を添加しないもの(試料N
o.C1)、及びTiO2短繊維を用いずTiO2粒子のみを添加し
たもの(試料No.C2〜C5)についても上記と同様にして
焼結体を製造した。上記の試料について、相対密度、お
よびIM法によるKIC値を測定した。その結果を第1表に
示す。
TiO2を原料に添加した試料はいずれもSiCとTiB2およ
び3体積%以下の炭素から成っていた。SiCとTiB2の体
積比は、組織観察により、設定値にほぼ等しいことが確
認できた。TiO2繊維を添加した試料は、アスペクト比が
3〜10程度の繊維状TiB2を含んでいることが、破面のSE
M観察及び研磨面の光学顕微鏡観察より確認できた。ま
た、本実施例の試料はいずれも粒子状TiB2のみが析出し
た比較例よりも 高い破壊靭性値を示した。試料No.2の原料混合物のX線
回折チャートを第1図に、焼結体のX線回折チャートを
第2図に示す。また、試料No.3、4は1Ωcm以下の電気
抵抗率であり、放電加工により容易にワイヤーカットが
できた。
実施例2 SiC粉末(β型、平均粒径0.3μm)100重量部に対
し、それぞれ第2表に示すような繊維状チタン含有物質
と硼素含有物質、およびカーボンブラックを添加した。
K2O・6TiO2ウィスカーはφ0.2〜0.5μm×10〜20μm、
TiNウィスカーはφ0.1〜0.3μm×2〜10μm、TiCウィ
スカーもφ0.1〜0.3μm×2〜10μm、B4Cは平均粒径
1.5μm、B(アモルファス)は平均粒径1μm、カー
ボンブラックは平均粒径0.02μmのものを使用した。
上記原料粉末は実施例1と同様にして2150℃で常圧焼
結した。ただし、試料No.6と7は混合媒としてエタルー
ルを使用し、また、途中温度での真空中保持は行ってい
ない。また、試料No.5は、 1500℃での真空中保持に先立って1200℃×4hrの真空中
保持を行い、K2O・6TiO2が融解し形を崩す前にK2Oを除
去した。
得られた焼結体はいずれも繊維状のTiB2が析出してお
り、SiCとTiB2の体積比は約90:10であった。その他に、
試料No.5は約1体積%のB4Cが、No.7は約1体積%のC
(黒鉛)が検出された。本実施例の焼結体のKIC値は、
実施例1における粒子状TiB2のみがSiC:TiB2=90:10で
析出しているもの(試料No.C3)よりも高い値であっ
た。
実施例3 SiC粉末(α型、平均粒径0.7μm)100重量部に対し
て、第3表に示すように、TiO2粒子(ルチル型、平均粒
径0.4μm)、TiO2短繊維(直径0.2〜0.5μm、長さ5
〜20μm)、B4C粉末(平均粒径1.5μm)、C粉末(平
均粒径0.02μm)を添加し、水と共にボールミルで混合
した後、スプレードライヤーにて乾燥した。乾燥造粒粉
を300kg/cm2で金型成形し、成形体を黒鉛型に入れ、215
0℃×30min、25MPaの圧力でホットプレスした。その
際、1500℃まで真空排気しながら昇温し、真空中1500℃
で4時間保持した後、炉内にArを導入しながら再昇温
し、Ar1気圧中でホットプレスを完了させた。また比較
のため、第3表に示すようにTiO2を添加しないもの(試
料No.C6)、TiO2短繊維を用いずTiO2粒子のみを添加し
たもの(試料No.C7〜C10)、TiO2粒子/繊維の比を19:1
として繊維状TiB2の量を約2.5重量%としたもの(試料N
o.C11)、および析出するTiB2粒子の98%のアスペクト
比が3未満(平均アスペクト比1.7)のもの(試料No.C1
2)についても上記と同様にしてホットプレス体を製造
した。なお、試料No.C12の原料のTiO2繊維は、予めボー
ルミルにて200h粉砕した物を用いた。
上記の試料を実施例1と同様にして相対密度及びKIC
値を測定した。その結果を第3表に示す。上記の試料
は、すべてSiCとTiB2及び微量 の炭素(黒鉛)から成っていた。組織観察により、SiC
とTiB2の体積比は、設定値にほぼ等しいことが確認でき
た。TiO2を添加した試料のうち、試料No.8〜11、C11
は、アスペクト比が3〜10程度の繊維状TiB2を含んでい
ることが、破面のSEM観察及び研磨面の光学顕微鏡観察
から確認できた。本実施例の試料は、比較例の試料に比
べて高い破壊靭性値を示した。また、試料No.9〜11は、
1Ω・cm以下の電気抵抗率であり、放電加工により容易
にワイヤカット及び型彫り加工を行うことができた。
実施例4 SiC粉末(α型、平均粒径0.4μm)100重量部に対
し、それぞれ第4表に示すような量のZrO2短繊維(直径
0.5〜10μm、長さ20〜100μm)およびZrO2粉末(単斜
晶型、平均粒径0.4μm)およびB4C粉末(平均粒径1.5
μm)およびカーボンブラック粉末(平均粒径0.02μ
m)を水と共にボールミルにて混合し、スプレードライ
ヤーにて乾燥した。乾燥造粒粉を300kg/cm2で金型成形
し、その後300kg/cm2の静水圧成形を施した。この成形
体を黒鉛容器に入れ、2100℃×4hrの条件で非加圧焼結
した。その際、1500℃まで真空排気しながら昇温し、真
空中1500℃で4時間保持した後、炉内にArガスを導入
し、Ar1気圧で焼結を完了させた。
また、比較例として、ZrO2を添加しないもの(試料N
o.C1)、及びZrO2短繊維を用いずZrO2粒子のみを添加し
たもの(試料No.C13〜C16)についても上記と同様にし
て焼結体を製造した。上記の試料について、相対密度、
およびIM法によるKIC値を測定した。その結果を第4表
に示す。
ZrO2を原料に添加した試料はいずれもSiCとZrB2およ
び3体積%以下の炭素から成っていた。SiCとZrB2の体
積比は、組織観察により、設定値にほぼ等しいことが確
認できた。ZrO2繊維を添加した試料は、アスペクト比が
3〜8程度の繊維状ZrB2を含んでいることが、 破面のSEM観察及び研磨面の光学顕微鏡観察より確認で
きた。また、本実施例の試料はいずれも粒子状ZrB2のみ
が析出した比較例よりも高い破壊靭性値を示した。試料
No.13の原料混合物のX線回折チャートを第3図に、焼
結体のX線回折チャートを第4図に示す。なお、原料組
成物中の炭素は非晶質炭素であるため、第3図に回折ピ
ークは現れていない。また、試料No.14、15は1Ωcm以
下の電気抵抗率であり、放電加工により容易にワイヤー
カットができた。
実施例5 SiC粉末(β型、平均粒径0.3μm)100重量部に対
し、それぞれ第5表に示すような繊維状ジルコニウム含
有物質と硼素含有物質、およびカーボンブラックを添加
した。ZrNウィスカーはφ1〜10μm×0.1〜1mm、ZrCウ
ィスカーもφ1〜10μm×0.1〜1mm、B(アモルファ
ス)は平均粒径1μm、カーボンブラックは平均粒径0.
02μmのものを使用した。
上記原料粉末は実施例4と同様にして2150℃で常圧焼
結した。ただし、混合媒としてはエタノールを使用し、
また、途中温度での真空中保持は行っていない。
得られた焼結体はいずれも繊維状のZrB2が析出してお
り、SiCとZrB2の体積比は約90:10であった。その他に、
No.17は約1体積%のC(黒鉛)が検出された。本実施
例の焼結体のKIC値は、実施例4における粒子状ZrB2
みがSiC:ZrB2=90:10で析出しているもの(試料No.C1
4)よりも高い値であった。
実施例6 SiC粉末(α型、平均粒径0.7μm)100重量部に対し
て、第6表に示すように、ZrO2粒子(単斜晶型、平均粒
径0.4μm)、ZrO2短繊維(直径0.5〜10μm、長さ20〜
100μm)、B4C粉末(平均粒径1.5μm)、C粉末(平
均粒径0.02μm)を添加し、水と共にボールミルで混合
した後、スプレードライヤーにて乾燥した。乾燥造粒粉
を300kg/cm2で金型成形し、成形体を黒鉛型に入れ、210
0℃×30m in、25MPaの圧力でホットプレスした。その際、1500℃
まで真空排気しながら昇温し、真空中1500℃で4時間保
持した後、炉内にArを導入しながら再昇温し、Ar1気圧
中でホットプレスを完了させた。また比較のため、第3
表に示すようにZrO2を添加しないもの(試料No.C6)、Z
rO2短繊維を用いずZrO2粒子のみを添加したもの(試料N
o.C17〜C20)、ZrO2の粒子/繊維の比を19:1として繊維
状ZrB2の量を約2.5重量%としたもの(試料No.C21)、
および析出するZrB2粒子の98%のアスペクト比が3未満
(平均アスペクト比1.7)のもの(試料Co.C22)につい
ても上記と同様にしてホットプレス体を製造した。な
お、試料No.C12の原料のZrO2繊維は、予めボールミルに
て200h粉砕した物を用いた。
上記の試料を実施例1と同様にして相対密度及びKIC
値を測定した。その結果を第6表に示す。上記の試料
は、すべてSiCとZrB2及び微量の炭素(黒鉛)から成っ
ていた。組織観察により、 SiCとZrB2の体積比は、設定値にほぼ等しいことが確認
できた。ZrO2を添加した試料のうち、試料No.18〜21、C
21は、アスペクト比が3〜8程度の繊維状ZrB2を含んで
いることが、破面のSEM観察及び研磨面の光学顕微鏡観
察から確認できた。本実施例の試料は、比較例の試料に
比べて高い破壊靭性値を示した。また、試料No.19〜21
は、1Ω・cm以下の電気抵抗率であり、放電加工により
容易にワイヤカット及び型彫り加工を行うことができ
た。
実施例7 SiC粉末(β型、平均粒径0.3μm)100重量部に対
し、それぞれ第7表に示すような繊維状金属元素含有物
質を硼素とを添加した。なお、Cr3C2ウィスカは直径0.1
〜2μm、長さ10〜200μm、TaCウィスカは直径0.1〜
5μm、長さ10〜500μm、B(アモルファス)は平均
粒径1μmのものを使用した。
上記原料粉末をアセトンと共にボールミルにて混合
し、吸収ロ過および100℃のオーブンにて乾燥した後、
軽く粉砕し、Ar中2000℃×30min、25MPaの圧力でホット
プレスした。
得られた焼結体はいずれも繊維状のCrB2、TaB2が析出
しており、SiCとこれら硼化物の体積比は約90;10であ
り、この他に黒鉛相が検出された。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1におけるTiO2短繊維とB4C粉末とC
粉末とからなる混合物のX線回折チャート、第2図は、
上記混合物を用いて製造した焼結体のX線回折チャー
ト、第3図は、実施例4におけるSiC粉末とZrO2短繊維
とB4C粉末とC粉末とからなる混合物のX線回折チャー
ト、第4図は、上記混合物を用いて製造した焼結体のX
線回折チャートである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周期律表第IVa〜VIa族元素のうちの少なく
    とも1種の硼化物5〜50体積%と、残部が炭化珪素から
    成る複合材料であって、上記硼化物は少なくとも10%が
    アスペクト比が3以上の繊維状であることを特徴とする
    複合材料。
  2. 【請求項2】炭化珪素と、周期律表の第IVa〜VIa族元素
    に換算して少なくともその10%はアスペクト比が3以上
    の繊維状である第IVa〜VIa族元素のうちの少なくとも1
    種を含有する物質と、硼素含有物質と、必要に応じて添
    加した炭素または熱分解により炭素を生成する有機化合
    物の一方または双方とからなり、下記の混合比の混合物
    を調製する第1工程と、上記混合物を成形する第2工程
    と、上記成形体を真空または非酸化性雰囲気中で焼成す
    る第3工程とから成ることを特徴とする複合材料の製造
    方法。 上記混合物の混合比は、製造する複合材料中の第IVa〜V
    Ia族元素のうちの少なくとも1種の硼化物をMxBy(Mは
    第IVa〜VIa族元素のうちの少なくとも1種、x、yは整
    数である)、その分子量をMB、その密度をdB、Mの原子
    量をMmとすると、炭化珪素100重量部に対して、第IVa〜
    VIa族元素のうちの少なくとも1種を含有する物質が第I
    Va〜VIa族元素に換算して1.64x・dB・Mm/MB〜31.2x・d
    B・Mm/MB重量部、硼素含有物質が硼素に換算して0.2+
    17.7y・dB/MB〜8+336y・dB/MB重量部である。
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