JP2711727B2 - エポキシ樹脂用硬化剤及びそれを用いるエポキシ樹脂の硬化法 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化剤及びそれを用いるエポキシ樹脂の硬化法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂の硬
化法に関する。更に詳しくは環状脂肪族ジアミンから成
り、着色が少なく、耐熱性、耐薬品性のすぐれたエポキ
シ樹脂硬化物を与える硬化剤及びこれを用いるエポキシ
樹脂の硬化法に関する。
従来の技術 ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタ
ン(商品名BASF社ラロミンC−260)、イソホロンジア
ミン等の環状脂肪族アミン類は概して直鎖状脂肪族アミ
ン類より耐薬品性、耐候性に優れたエポキシ樹脂硬化物
を与えることが多いため、無溶剤型エポキシ塗料、接着
剤、電気部品の注型等に広く使用されているが、耐熱性
がやや不充分である。
一方芳香族アミン類は耐熱性、耐薬品性、電気的特性に
優れたエポキシ樹脂硬化物を与えるため、電気・電子部
品、成形材料等に広汎に使用されているが、毒性(発ガ
ン性)の疑いのあるものが多く、また硬化速度が遅く、
作業性が悪いという欠点を有している。
発明が解決しようとする課題 低温でも十分速い硬化速度でエポキシ樹脂を硬化する
ことができ、着色が少なく、耐熱性、耐薬品性、耐候性
の優れたエポキシ樹脂硬化物を与える硬化剤の開発が望
まれている。
課題を解決するための手段 本発明者らは前記したような問題点を解決すべく、鋭
意エポキシ樹脂の硬化法につき検討した結果、硬化剤と
して特定の環状脂肪族ジアミンを硬化剤として用いるこ
とにより、低温でも十分速い硬化速度を有し、耐熱性、
耐薬品性がすぐれ、着色の少ないエポキシ樹脂硬化物が
得られることを見出し本発明に到った。
即ち本発明は式(1)で示される環状脂肪族ジアミン (式(1)においてR1は低級アルキル基を示す)から
なるエポキシ樹脂硬化剤及びこの硬化剤を用いるエポキ
シ樹脂の硬化法を提供する。
本発明の硬化剤及び硬化法を詳細に説明する。
式(1)で示される環状脂肪族ジアミンは、3,3′−
ジアルキル−4,4′−ジアミノビシクロヘキシルであ
り、シス体とトランス体の混合物である。このものは例
えば3,3′−ジアルキル−4,4′−ジアミノビフェニルを
ロジウム、ルテニウム等の貴金属触媒を用いて、高圧水
素還元することにより得ることができる。シス体とトラ
ンス体の混合割合により異なるが、通常は融点が50℃以
下の白色固体乃至常温で液体の化合物である。式(1)
で表される化合物で好ましいものは、3,3′−ジエチル
−4,4′−ジアミノビシクロヘキシルである。本発明の
硬化剤を用いることにより、従来用いられているビス
(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、4,
4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジ
アミン等の公知の環状脂肪族ジアミン系の硬化剤に比
べ、耐熱性の優れたエポキシ樹脂硬化物を得ることがで
きる。尚式(1)の化合物は異種の化合物を互いに混合
して用いることも出来る。
本発明の硬化剤が適用できるエポキシ樹脂の具体例と
しては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、臭素化ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また必要に応じて常法によりエポキシ樹脂中に微粉末無
機フィラー、顔料、カーボンブラック等を添加すること
ができる。エポキシ樹脂の硬化速度の調節、液状化、相
溶性の改善等の目的で、エポキシアダクト、マイケル付
加物等通常の方法により式(1)の化合物を変性したも
のを用いることもできる。
エポキシ樹脂に本発明の硬化剤を混合してエポキシ樹脂
を硬化する際、室温で硬化はよく進むが、完全硬化する
ために100〜150℃で加熱する。(後硬化)硬化速度をよ
り早めるために、サリチル酸、チオサリチル酸、トリス
(ジメチルアミノメチル)フェノール、アルキルアミン
錯塩等を触媒としてエポキシ樹脂と硬化剤の混合物中に
加えることもできる。
本発明の硬化剤は硬化すべきエポキシ樹脂に対して、
通常はエポキシ当量と式(1)で表されるジアミンの活
性水素当量の比が0.7〜1.3になるように使用するのが好
ましい。
接着強さや耐熱性を向上させるために、本発明の硬化剤
を他の環状脂肪族ジアミン類、スピロアセタールジアミ
ン、芳香族ジアミン類、ジシアンジアミドと混合して用
いることも更にエポキシ樹脂と本発明の硬化剤の混合物
を所望によりケトン類(MEK、イソブチルケトン等)、
セルソルブ類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ
等)等で希望してもよい。
実施例 本発明を実施例によって更に具体的に説明する。
実施例1 3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビシクロヘキシル
29.5部及びエピコート828(油化シエルエポキシ社製、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100部を室温でよく
混合し、ゲルタイムテスター(安田精機製)を用いて50
℃のゲルタイムを測定した。
硬化剤をさらに90℃1時間、120℃4時間150℃5時間加
熱硬化した後、TMA試験機(セイコー電子工業製)を用
いてガラス転位温度(Tg)を測定した。また硬化物の物
性をJIS法によって測定した。表1にその結果を示す。
比較例 ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシルメタン
31.5部及びエピコート828 100部からなる樹脂組成物に
つき実施例1と同様の方法によりゲルタイムを測定し
た。また実施例1と同様の方法により硬化した硬化物の
Tg及び物性を測定した。表1にその結果を示す。
表から明らかなように本発明の硬化剤を用いた場合50℃
という比較的低い温度でも速い硬化(ゲル化)をおこ
し、又得られたエポキシ硬化物は代表的な環状脂肪族ア
ミン硬化剤であるビス(4−アミノ−3−メチルシクロ
ヘキシル)メタン(ラローミンC−260)より高いガラ
ス転位温度を示し、耐熱性、機械的性質、耐薬品性が良
好であった。
発明の効果 低温でも十分速い効果速度を有し、耐熱性、耐薬品性
の優れたエポキシ樹脂用硬化物を与える硬化剤及び硬化
法が見出された。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)で示される環状脂肪族ジアミン (式(1)においてR1は低級アルキル基を示す)から
    なるエポキシ樹脂用硬化剤
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載のエポキシ樹
    脂用硬化剤を用いることを特徴とするエポキシ樹脂の硬
    化法
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