JP2708547B2 - デバイス移植方法 - Google Patents

デバイス移植方法

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JP2708547B2 JP11494189A JP11494189A JP2708547B2 JP 2708547 B2 JP2708547 B2 JP 2708547B2 JP 11494189 A JP11494189 A JP 11494189A JP 11494189 A JP11494189 A JP 11494189A JP 2708547 B2 JP2708547 B2 JP 2708547B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は集束ビームを用いてデバイスを移植する方法
に関し、とくに大規模集積回路などのマイクロエレクト
ロニクス製品やマイクロ光学製品やマイクロメカニクス
製品等のマイクロデバイス製品全般における構成部品
(マイクロデバイス部品)の補修や交換を可能にするデ
バイス移植方法に関する。
【従来の技術】
この種の従来技術としては例えば特公昭63−25660号
公報において述べられているものがある。第3図(a)
はその装置構成図であり、ガリウム液体金属イオン源10
0から放出したイオンビームは静電偏向器105に印加され
た電圧信号により偏向された後対物静電レンズ106によ
り試料200上に集束される。ビーム走査と同期して試料2
00から発生する二次電子を検出器107で輝度信号として
検出しCRTディスプレイ400に表示すると走査イオン顕微
鏡(以下SIMと略す)像が得られ、ビーム径程度の分解
能で試料200の微細構造が観察できる。試料物質にイオ
ンビームを多量照射するとスパッタリング現象により試
料物質をエッチングできる。また、金属ガス雰囲気中で
試料表面にイオンビーム照射を行うとガス中の金属が試
料表面上に堆積し導電膜が形成できる。この従来技術
は、これらの要素技術を組合せて用いることにより、集
積回路内の配線パターンの修正を行うものである。第3
図(b)は配線パターン10の一部分にイオンビームを局
所的に照射し、配線切断部30を形成してパターンを電気
的に切断したものである。この際、ビーム照射部の位置
合わせ等には上記のSIM像が利用できる。第3図(c)
はガス雰囲気中でイオンビームを局所的に照射すること
によって導電膜7を形成したもので、該導電膜7によっ
てパターン10の所望部分間を電気的に接続することが可
能である。
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術によれば、不要となった配線パターン
の切断と新たに必要となった配線パターンによる部品間
の接続とをビーム径程度の微細性をもって実現でき、そ
れにより配線パターンの変更や補修が可能である。しか
し、新たに形成された配線用導電膜の電気抵抗値はまだ
まだ高く、十分な配線機能は果し得ない上に、導電膜以
外の受動素子や能動素子の補修については全く考慮され
ていないのが実情である。 本発明の課題は、マイクロデバイスの補修を配線等の
導電膜のみに限定せず、あらゆる受動素子及び能動素子
等のマイクロエレクトロニクス部品、さらにはマイクロ
光学部品,マイクロメカニクス部品等のマイクロデバイ
ス部品の補修や交換を行なうことを可能とすることにあ
る。
【課題を解決するための手段】
上記課題は、予め製作しておいた新しいマイクロデバ
イス部品を試料上の所望場所に運搬する工程と、集束ビ
ームを利用した上記試料及び上記したマイクロデバイス
部品の観察並びに加工手段により上記のマイクロデバイ
ス部品と上記試料との電気的およびあるいは機械的接続
を行う加工工程とから成るデバイス移植方法を採用する
ことにより達成される。
【作用】
上記したように、故障したり或いは経時変化等により
機能低下したマイクロデバイス製品中の補修または交換
すべき部分品に代ってそれとは別途に製作しておいた新
しい部分品を移植(補充または交換)することにより、
その部分品が受動素子か能動素子かを問わず全ゆる部分
品の補修・交換が可能となり、自由度の高いマイクロデ
バイス製品の補守が可能となる。これにより、製品全体
を新しいものと交換する場合に比べ、高い経時効果も期
待できる。
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。第2図
は本発明の実施例で用いたFIB装置の基本構成図であ
る。液体金属イオン源100から放出したイオンビーム1
はコンデンサーレンズ101と対物レンズ106により試料20
0上に集束する。上記両レンズ間には、アパーチャー10
2,アライナー・スティグマ103,ブランカー104,デフレク
タ105が配されている。試料200は2軸(X,Y)方向に移
動可能なステージ111上に固定されている。ガス源110か
ら発生したガスはガスノズル108によりFIB照射部近傍に
導かれる。FIB照射により試料から発生した二次電子
は、二次電子検出器107により検出され、この二次電子
検出信号をイオンビーム1の偏向制御と同期させて走査
されるCRTディスプレイ400の輝度信号として用いること
によりCRT画面上にSIM像として表示される。3軸(X,Y,
Z)マニピュレータ109はこの装置の最も特徴的な部分で
あり移植したいデバイス部品を試料の所望場所に運搬す
る役割を果たす。ビーム偏向,信号検出,マニピュレー
タ,ステージ,ガス等の制御はシステム・バスを介して
制御コンピューター500により制御される。 第1図は本発明のデバイス移植方法を最もよく表した
実施例であり、電界効果トランジスタ(以下FETと略
す)の移植を試みたものである。第1図(d)は試料の
回路構成の一部分であり、4個のFET20,20a,20b,20cに
より3入力NOR回路を構成している。このデバイスをテ
ストした結果、FET20cの不良が判明したためこのFET20c
を電気回路的に切り離し、そこに良品5を移植する。以
下この手順を述べる。第1図(a)はFIB1の照射による
スパッタリング加工の様子を示したもので、参考のため
その上面図を第1図(e)に示す。まず、不良FET20cを
電気回路的に切断するため、該FET20cに接続されている
配線パターン10をFIB1によるスパッタリング加工によ
り、配線切断穴3を設けることにより切断する。これ
は、試料表面を覆っている絶縁層と配線パターン10を貫
通するFIB1による穴堀り加工である。次に、配線パター
ン10と移植デバイス5との電気的接続を前提に、コンタ
クトホール2を開けておく。これは、試料表面の絶縁層
のみのスパッタリング加工である。また、移植デバイス
5の位置ずれを緩和するため、移植デバイスの落とし込
み穴4を開けておく。これは、試料表面の絶縁膜の浅い
スパッタリング加工である。第1図(b)は、移植デバ
イス5を落とし込み穴4上に運搬する手法を示したもの
である。移植デバイス5は、第1図(f)に示す素子構
造をしたFET素子であり、ゲート電極11,ソース電極12,
ドレイン電極13が表面に形成されている。該素子5は通
常のプロセスにより基板上に拡散層や電極を製作した
後、素子間分離層の外側を傾斜をつけて加工し、背面エ
ッチングにより基板側を削って薄膜化してある。該移植
デバイス5の外周に傾斜を設けたのは、後の配線形成時
の段切れを防止するためである。移植デバイス5はデバ
イス・フレームキャリア6に細いアーム21を介して固定
されている。このフレーム6は第2図中の3軸マニピュ
レーター109によって保持されている。従って、アニピ
ュレーター109及びステージ111を駆動することで、移植
デバイス5を所望場所(ここでは落とし込み穴4)上に
運搬することができる。運搬後、FIB1をアーム21に照射
し、キャリアフレーム6からデバイス5を切り離し、穴
4中に定置させる。第1図(c)はガス導入ノズル108
の先端8から導入された金属元素含有ガス9の雰囲気中
でのFIB1の照射により電極配線となる導電性デポ膜7を
形成する様子を示している。つまり、デポ膜7を各電極
11,12,13に接続すると共にコンタクトホール2を介して
各配線パターン10にコンタクトさせて、移植デバイス5
と配線パターン10との電気的接続を行なう。かくして全
補修工程を完了した。 ウエハースケールの大面積回路システムや比較的欠陥
の多いガリウムヒ素基板に大規模集積回路を形成する際
には、欠陥の発生は避け難い。従って、回路製作後に欠
陥を補修して回路を完動させるようにすることが必要と
なる。例えば、配線の欠陥だけであれば配線切断および
配線接続のみの従来技術を利用しても補修することが可
能であるが、欠陥は基板内部に形成された能動素子にも
発生する。従って、予め回路に冗長性を持たせ、発生し
た欠陥はそのままにして、完動する回路部分のみを接続
してシステムを完動させることが現実的とされてきた。
そのため、回路の集積度は高くできず、配線も長くな
り、動作速度も遅くなってしまう欠点があった。 上記実施例で示した様に、本発明によると微細な能動
素子の移植が可能となるため、回路に冗長性を持たせる
必要が無くなる。従って、大規模,高集積,高速の回路
システムが容易に実現できる。 第4図(a)はデバイス・キャリアフレーム6の全景
及びそれとマニピュレーター109との接続部を示したも
のである。移植するデバイスを試料上の所望場所に運搬
する方法として、例えば、マニピュレーター109の先端
にピンセット機構を設け、それにより最初から分離独立
した移植デバイスを1個ずつはさみとり、マニピュレー
ター109による所望位置への移動後にピンセット機構を
開くことによって運搬を完了する手法が考えられるが、
デバイスの大きさがミクロンレベルになるとピンセット
機構の実現が難しく装置が複雑化してしまう。その点、
キャリアフレーム6を利用した手法は、デバイスが微小
であってもフレーム6とマニピュレーター109をつなぐ
チャック40は大きくて良いため、簡易な構成で微細デバ
イスの運搬が可能となる。また、マニピュレーター109
を圧電素子アクチュエータ等で駆動すると、サブミクロ
ン・レベルの位置合わせが可能である。第4図(b)お
よび(c)はデバイス・キャリア6の一部を示したもの
で、フレーム6に細いアーム21を介して抵抗,コンデン
サ,絶縁膜41,導電パターン42等の受動部品を保持させ
たり、さらには、FET,ゲート,フリップフロップ,デコ
ーダ,マルチプレクサ,CPU,メモリー等の能動部品を搭
載している。これらの部品は用途に合わせ選択的に使用
する。 第5図は本発明の方法を利用した配線パターンの修正
方法を示したものである。第5図(a)は比較的距離の
あるコンタクトホール2,2間に導電配線パターン42,7を
形成したもので、配線パターンの大部分は移植デバイス
である導電パターン42により構成されており、コンタク
トホール2,2の付近のみガス雰囲気中でのFIB照射により
導電膜7,7を堆積させて接続をとった。移植デバイスと
しての導電パターン42は通常のプロセス(例えばスパッ
タ法や真空蒸着法)により別途製作できるため、抵抗値
が低くできる。また、加工時間がかかり抵抗率の高い導
電堆積膜7,7の形成は所要配線長のごく一部分で良い。
従って、コンタクトホール2,2間を低い抵抗値で高速に
接続できる特徴がある。また、導電堆積膜7,7の部分に
レーザービームを照射してアニーリングし、電気抵抗を
下げる技術を併用すると、更に低抵抗値の配線形成が可
能となる。第5図(b)は移植デバイスの一つである絶
縁膜41を導電パターン10の上に被せ、さらにその上に導
電膜7を形成することで交差した導電パターンの形成を
可能としたものである。このように、配線形成において
も、本発明の方法を用いると、従来技術にない特徴を引
き出すことができる。 第6図は運搬された移植デバイス5を試料200上に機
械的に固定する手法を示したものである。第6図(a)
はガス雰囲気中9でのFIB1の照射による堆積膜7により
試料200とデバイス5との機械的な接続を行ったもので
あり、第6図(b)は試料200の表面層をFIB1の照射に
よりスパッタリングし、スパッタリングされた部分4′
から飛散した試料構成物質の再付着膜50によりデバイス
5と試料200との機械的接続を行ったものである。この
際、FIB1の掃引速度は一回の掃引でビーム径程度の深さ
に試料が掘れる程度に遅くし、かつ、掃引ラスターの進
行方向(図中y方向)をデバイス5の側壁面から離れる
方向にとることで、効率良く再付着膜50の形成ができ
る。 第7図は試料基板200上に任意のデバイス5,5a〜5eを
複数個移植したもので、各デバイスの電源は配線7によ
りコンタクトホール2を介し下層から供給するように
し、デバイス相互間の信号配線7′は基板表面に形成し
た。また、移植後、表面に保護膜をかけるとデバイスの
信頼性を高めることができる。この実施例からも分かる
ように、本発明は、任意場所(半導体基板上に限らな
い)に微細なハイブリッドICを形成する手法を提供する
ものである。また、第4図に示す多種類の移植デバイス
を搭載したキャリアフレームを併用して、移植場所に応
じたシステム構成をその場でフレキシブルに実現でき
る。更に、移植デバイスを例えばビーム照射によりプロ
グラム可能なヒューズROM,FIBによるイオン注入により
しきい電圧を設定できるトランジスタのようにビーム照
射によりデバイスの機能及び物理特性を新たに設定でき
る様にすれば、よりフレキシブルにシステムを構成でき
る。第7図は一層構造のハイブリッドICであるが、移植
デバイスを多層に積み重ねて実装することも原理的に可
能で、実装密度を上げることができる。 第8図は基板上に微細回折格子55を移植した実施例で
あり同図(a)のように、フレームキャリア6にアーム
21を介して予め製作された微小回折格子55を保持してお
き、マニピュレーターにより基板200上の所望場所に運
搬し、同図(b)に示すように、フレームキャリア6を
90°回転して微小回折格子55を基板200表面に対し垂直
に置き、FIB1をアーム21に照射して切断してフレームキ
ャリア6から回折格子55を分離し、同図(c)に示すよ
うに、ガス雰囲気9中でFIB1を照射し、堆積膜7により
回折格子55を基板200上に固定した。このように、本発
明によれば、基板に対し所望の角度を持った方向にデバ
イスを移植することも可能である。基板上での移植場所
及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、フ
レームキャリア6のアーム21と移植デバイスとを両者間
に堆積膜を形成することにより再び機械的に接続し、つ
いで移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7をFI
B照射によるスパッタリングにより除去せしめることに
より、再びマニピュレーターによる移植デバイスの移動
を可能とし、再度基板上の新しい位置での新しい向きで
の移植を行うことができる。 上記実施例は、微細なデバイスを試料上の任意の場所
に任意の向きに移植できることを示しており、例えば、
検出すべき物理量を電気信号に変換して検出するセンサ
ー素子を測定用プローブの先端に移植せしめたり、直接
被測定試料上の測定点近傍に移植せしめることが可能と
なるため、被測定試料上の物理量の測定精度及び検出感
度の向上が期待できる。 以上、電子及び光デバイス部品の移植に関する実施例
について述べたが、本発明は微細な機械部品の組立にも
有効であり、以下、その実施例について述べる。 第9図は、試料200上に形成された微細シャフト65に
微小歯車60をはめ、該歯車60の離脱防止用のキャップ61
をシャフト65に接着固定して、シャフト65を軸として回
転する歯車60を有するマイクロ機構を製作する実施例の
工程図である。以下その製作工程を順に説明する。 まず、同図(a)に示すように、ステージ111を移動
してシャフト65の植設された部分をFIB1の光軸付近に移
動する。また、移植すべき歯車60をキャリアフレーム6
に保持して、シャフト65上に搬送する。つまり、歯車60
はアーム21を介しデバイス・キャリアフレーム6に固定
されており、3軸マニピュレーター109により任意方向
への移動が可能にされている。マニピュレーター109を
制御して、歯車60をシャフト65にはめ合わせる。つい
で、同図(b)に示すように、FIB1をアーム21に照射し
てアーム21を切断する。これにより、歯車60はフレーム
6からフリーとなり、シャフト65に回転可能に嵌合され
る。ついで、同図(c)に示すように、マニピュレータ
ー109を駆動し、フレーム6に保持されたキャップ61を
シャフト65上に搬送し、上記と同様にしてキャップ61
を、シャフト65にはめ合わせる。ついで、同図(d)に
示すように、FIB1をアーム21に照射してアーム21を切断
する。これにより、キャップ61はフレーム6からフリー
となり、シャフト65の上端部にはまり合う。最後に、同
図(d)に示すように、ガス雰囲気9中でキャップ61の
最上部にFIB1を照射し堆積膜7を形成し、シャフト65と
キャップ61とを機械的に接続固定する。 以上の工程により、同図(f)に示すように、シャフ
ト65を軸として回転する微細な歯車機構が実現できる。
本実施例では、FIBはアーム21の切断と堆積膜7の形成
にのみ使用したが、FIBは原理的に微小領域にイオン注
入層を形成することも可能であり、例えば、歯車の摩擦
部分の機械的性質(硬さ,摩擦係数等)を改善すること
が可能である。但しイオン種,加速エネルギー,イオン
注入量を最適化する必要がある。 第10図は圧電素子が駆動できる微小なヤットコをデバ
イス移植技術を用いて製作した実施例である。 まず、同図(a)に示すように、台72上にフォトリソ
グラフィーとスパッタ膜形成技術によりシャフト65及び
ガイド71を作成する。ついで、同図(b)に示すよう
に、前述の歯車機構の場合と同じ工程によりシャフト65
に回転アーム73を取付ける。ついで、同図(c)に示す
ように、ガイド71,71の間にスライダ74を装着する。最
後に、同図(d)に示すように、ガイド71の段差部にお
さえ板75を置き、堆積膜7で固定する。また、圧電素子
アクチュエータ70とスライダ74を堆積膜7で接続する。 圧電素子アクチュエータ70に電圧を印加し、図中矢印
方向に伸縮させるとスライダ74が連動し、歯車機構によ
り回転アーム73が動く。このヤットコは微細なデバイス
を挾んだり、放したりできるため、例えばマニピュレー
ター109の先端に装着すると微細なデバイスを自由に運
搬することが可能となる。 以上、微細な機械部品の組立に関する実施例について
述べたが、微小な真空管,微小な荷電粒子光学系を構成
する電極素子を組み立てる際にも本発明のデバイス移植
方法が利用できる。 第11図は第2図のFIB装置にコンピュータ制御可能な
可変アパーチャ300及びレンズ電源302を付加したシステ
ムの構成図である。可変アパーチャ300は、アパーチャ
駆動系303により可変制御され、レンズ電源302はレンズ
電極301に与えるレンズ電圧を可変制御する。 可変アパーチャ300によりアパーチャ径を大きくする
とビーム径が増大するため微細加工は困難になるが、得
られるビーム電流が増大するため、高速の加工が実現で
きる。また、反対に、アパーチャ径を小さくするとビー
ム径が小さくなり、微細加工が可能となるが、電流が微
弱になるため加工速度が落ちる。従って、例えば、第1
図の実施例において、コンタクトホール加工等の良い加
工形状が要求される時に小さい径のアパーチャを用い、
アーム切断のようなあまり加工形状を気にしない時には
大きい径のアパーチャを用いて加工することで、全体の
加工時間が短縮でき、スループットが向上する。 本実施例のイオン光学システムのように前段偏向を行
うシステムは、対物レンズ106と試料200との距離(作業
距離と呼ばれる)を短くできるため、電流密度の高いビ
ーム形成が可能であるが、焦点深度は比較的浅く高さの
異なる試料に焦点を合わせた場合レンズ電源302の電圧
値に顕著な違いが見出せる。これを利用して、マニピュ
レーター109で移動中の移植デバイスと試料表面との距
離をレンズ電源302のフォーカス電圧から求めることが
できる。これにより、マニピュレーター109のZ軸(高
さ方向)に高精度の寸法計測手段が不要となった。X−
Y方向の位置合わせに関してもマニピュレーター109に
高精度の寸法計測手段を設ける方法と、SIM像をもとに
デバイスの位置を割り出し、マニピュレーター109の駆
動系にフィードバックをかける方法がある。 以上の実施例では集束ビームとしてイオンビームを用
いたが、電子ビームやレーザービームを用いても同様の
効果が得られる。 電子ビームを試料及び移動デバイスの位置・形状観察
に用いると、イオンビームと比較し照射損傷が少ない利
点がある。また、電子ビームで加工を行う場合、スパッ
タリング時には塩素ガス等のエッチングガスを、堆積時
にはW(CO)6等の金属ガスを導入する。 レーザービームを加工ビームとする場合、イオンや電
子ビームを用いる場合程の集束特性は期待できないが、
大気中での移植ができるため、例えば、生体系への移植
が可能となる。また、試料及びデバイスの位置・形状観
察には光学顕微鏡が流用できる。
【発明の効果】
本発明によれば、受動素子,能動素子,微細機構部品
を問わず予め製作しておいた高品質のデバイスを試料の
任意場所に移植できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の工程説明図、第2図は本発
明の実施例に用いられる集束イオンビーム・システムの
概略構成図、第3図は従来のパターン修正技術の説明
図、第4図は本発明の実施に際して用いられる移植デバ
イスを搭載したキャリアフレーム及び該キャリアフレー
ムとマニピュレーターとの接続部を示した上面図、第5
図は配線パターン形成を行った実施例の斜視図、第6図
は移植デバイスを試料に機械的に固定する手法の実施例
を示す斜視図、第7図はハイブリッドICを形成した実施
例の斜視図、第8図は基板と垂直方向にデバイスを移植
した実施例の斜視図、第9図は微細歯車機構を実現した
実施例の工程説明図、第10図は微小ヤットコを製作した
実施例の工程説明図、第11図は第2図のFIBシステムに
付加機能を追加したシステムの構成図である。 1…集束イオンビーム、2…コンタクトホール、3…配
線切断孔、4…落とし込み穴、5…移植デバイス、6…
デバイス・キャリアフレーム、7…導電性デポ膜、8…
ノズル、9…金属ガス、10…配線パターン、21…アー
ム、30…配線切断部、40…チャック、41…絶縁膜、42…
導電パターン、50…再付着膜、60…歯車、65…シャフ
ト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅村 馨 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 石谷 亨 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め製作しておいた移植デバイスを試料の
    所望場所に運搬する運搬工程と、集束ビームを利用した
    試料及びデバイスの観察・加工手段によりデバイスと試
    料との少なくとも電気的または機械的接続を行う加工工
    程とを含んでなることを特徴とするデバイス移植方法。
  2. 【請求項2】上記の加工工程は、上記の集束ビームとし
    て集束イオンビーム(以下FIBと略記する)を用い、該F
    IBの偏向走査に同期して検出した二次荷電粒子信号によ
    り試料及びデバイスの像観察を行い、少なくともFIB照
    射によるスパッタリング現象を利用したエッチング加工
    あるいは再付着膜堆積加工、あるいはガス雰囲気中での
    FIB照射による堆積現象を利用した加工を行うことから
    なることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のデバ
    イス移植方法。
  3. 【請求項3】上記の加工工程は、上記の集束ビームとし
    て集束電子ビーム(以下FEBと略記する)を用い、該FEB
    の偏向走査に同期して検出した二次電子もしくは反射電
    子信号により試料及びデバイスの像観察を行い、少なく
    ともエッチングガス雰囲気中でのFEB照射によるエッチ
    ング現象あるいは原料ガス雰囲気でのFEB照射による堆
    積現象を利用した加工を行うことからなることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載のデバイス移植方法。
  4. 【請求項4】上記の加工工程は、上記の観察手段として
    光学顕微鏡を用いて試料及びデバイスの像観察を行い、
    該光学顕微鏡と光学軸を概等しくした集束レーザービー
    ムの照射による溶断現象もしくはガス雰囲気中でのレー
    サービーム照射による堆積現象を利用した加工を行うこ
    とからなることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    のデバイス移植方法。
  5. 【請求項5】上記の加工工程は、イオン,電子,光を利
    用した観察及び加工方法のいずれか2つ以上を組合せて
    行うことであることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載のデバイス移植方法。
  6. 【請求項6】上記の運搬工程は、試料を搭載したステー
    ジ機構と、予め作製しておいたデバイスを保持して移送
    するマニピュレーターとを組合せ使用することにより、
    試料の任意場所にデバイスを運搬することからなること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項から第5項のいずれ
    かに記載のデバイス移植方法。
  7. 【請求項7】上記の運搬工程は、集束ビームの照射によ
    り切断可能な細いアームを介して移植すべきデバイスを
    上記マニピュレータに保持させた状態で運搬することで
    あることを特徴とする特許請求の範囲第6項記載のデバ
    イス移植方法。
  8. 【請求項8】移植するデバイスの機能または物理特性を
    ビーム照射により変更する工程をさらに含むことを特徴
    とする特許請求の範囲第1項から第7項のいずれかに記
    載のデバイス移植方法。
  9. 【請求項9】移植先の試料表面を移植前に加工する工程
    をさらに含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項か
    ら第8項のいずれかに記載のデバイス移植方法。
  10. 【請求項10】試料とデバイスとの高さ方向の距離を、
    試料上に焦点を結ぶ時のビーム集束系の物理パラメータ
    とデバイス上に焦点を結ぶ時のビーム集束系の物理パラ
    メータとの違いから判断する工程をさらに含むことを特
    徴とする特許請求の範囲第1項から第9項のいずれかに
    記載のデバイス移植方法。
  11. 【請求項11】集束ビーム照射により切断可能な細いア
    ームを介して移植デバイスをフレームに固定してなるこ
    とを特徴とする移植用デバイス。
  12. 【請求項12】複数の移植デバイスがアレー状に上記フ
    レームに固定されてなることを特徴とする特許請求の範
    囲第11項記載の移植用デバイス。
  13. 【請求項13】移植デバイスとしての抵抗,コンデン
    サ,配線,絶縁膜等の受動素子、トランジスタ,論理ゲ
    ート,メモリー等の能動素子を複数種類フレームにマウ
    ントしてなることを特徴とする特許請求の範囲第11項ま
    たは第12項記載の移植用デバイス。
  14. 【請求項14】移植デバイスのエッジ部分に傾斜を設
    け、配線形成時の段切れを緩和したことを特徴とする移
    植用デバイス。
  15. 【請求項15】移植デバイスとして、微細な歯車等の機
    械部品または微細な回折格子等の光学部品または微細な
    レンズ電極等の荷電粒子光学部品をフレームに固定して
    なることを特徴とする特許請求の範囲第11項または第12
    項記載の移植用デバイス。
  16. 【請求項16】特許請求の範囲第11項から第15項のいず
    れかに記載の移植デバイスを、基板の表面近傍にデバイ
    スを形成する工程と、基板を背面エッチングする工程と
    により製作することを特徴とする移植デバイスの製造方
    法。
  17. 【請求項17】特許請求の範囲第11項から第15項のいず
    れかに記載の移植用デバイスをマニピュレーターに保持
    して運搬することを特徴とする特許請求の範囲第6項記
    載のデバイス移植方法。
  18. 【請求項18】欠陥部を電気回路的に切り離す工程と、
    特許請求の範囲第1項から第10項及び第17項のいずれか
    に記載のデバイス移植方法を用いて上記欠陥部に代替デ
    バイスを移植する工程とを含むことを特徴とする欠陥修
    正方法。
  19. 【請求項19】特許請求の範囲第18項記載の欠陥修正方
    法により欠陥修正してなることを特徴とする大規模集積
    回路。
  20. 【請求項20】特許請求の範囲第1から10項及び第17項
    のいずれかに記載のデバイス移植方法を用いて基板上に
    任意の移植デバイスを固定・配線することを特徴とする
    ハイブリッドICの製作方法。
  21. 【請求項21】移植デバイスが物理量を電気信号に変換
    するセンサーであることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項から10項及び第17項のいずれかに記載のデバイス移
    植方法。
  22. 【請求項22】特許請求の範囲第15項記載の移植用デバ
    イスを用い、特許請求の範囲第6項または第7項記載の
    デバイス移植方法を利用して微細な機械部品及び光学部
    品及び荷電粒子光学部品の組立てを行なうことを特徴と
    するデバイス組立て方法。
  23. 【請求項23】請求の範囲第1項から第10項及び第17,1
    8,20,21,22項のいずれかに記載のデバイス移植方法に従
    ってデバイス移植を行うことを特徴とするデバイス移植
    装置。
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