JP2707710B2 - スラブの成形方法及び成形設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は連続鋳造ライン又は圧延ラインにおけるスラ
ブの成形方法及び成形設備に関するものである。

［従来の技術］ 従来のスラブの成形方法及び成形設備は、例えば特開
昭62−68646号公報に記載されているように、幅圧下プ
レスの下流に複数基の水平圧延機を配設して、スラブを
先ず幅圧下プレスで幅方向にプレスした後、スラブを水
平圧延機で複数回に亘って厚さ圧下を行なうことにより
スラブの成形を行なっていた。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら上記従来のスラブの成形方法及び成形設
備では、スラブの厚さ方向の圧延を水平圧延機を用いて
行なっていたため、以下のような問題が生じていた。

水平圧延機は一基当たりの圧下量が小さいので、所望
の圧下量を得るためには複数基の水平圧延機を設けなけ
ればならず、全体として圧延設備が長大化していた。

例えば第８図に示すように狭幅のスラブａを幅圧下プ
レスで強幅圧下する場合、強幅圧下による肉厚増加がス
ラブａの幅中央部にまで及ぶため、プレスされたスラブ
ｂの幅方向の断面形状は中高のいわゆる太鼓型になって
しまう。又、太鼓型に膨らんだスラブｂを下流の水平圧
延機で厚さ圧下すると、スラブｂの前後端に第９図に示
すようなタングｃが発生して、切断しなければならない
クロップ量ｄが増加するので、歩留りが悪化していた。

又、水平圧延機は前記したように１基当たりの圧下量
が小さいため、鋳造時にスラブの内部に形成されたポロ
シティと呼ばれる空洞部を押しつぶすことができず、ポ
ロシティが残ったままの肉質の悪いスラブしか得ること
ができなかった。

本発明は上述の実情に鑑み、全長の短縮化や、スラブ
の断面形状の矩形化や、歩留りの向上や、肉質改善効果
が得られるスラブの成形方法及び成形設備を提供するこ
とを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は位置を固定されたハウジングの内部に、ライ
ン方向へ往復移動させつつ幅プレス可能な金型を備えた
走間幅圧下プレスを用いてスラブを幅方向にプレスした
後、走間幅圧下プレスの下流側に走間幅圧下プレスとは
別体に配設され、位置を固定されたハウジングの内部
に、ライン方向へ往復移動させつつ厚さプレス可能な金
型を備えた走間厚さ圧下プレスを用いてスラブを厚さ方
向にプレスすることを特徴とするスラブの成形方法及び
位置を固定されたハウジングの内部で、ライン方向へ往
復移動させつつ幅プレス可能な金型を備えた走間幅圧下
プレスの下流に、位置を固定されたハウジングの内部
で、ライン方向へ往復移動させつつ厚さプレス可能な金
型を備えた走間厚さ圧下プレスを別体に配設したことを
特徴とするスラブの成形設備にかかるものであり、又、
スラブの幅中央部を厚さ方向にプレスした後、該スラブ
を幅方向にプレスすることを特徴とするスラブの成形方
法及びスラブの幅方向中央の位置に突出部を有する金型
を取り付けた走間厚さ圧下プレスの下流に、走間幅圧下
プレスを配設したことを特徴とするスラブの成形設備に
かかるものである。

［作用］ 走間幅圧下プレスでスラブを幅方向にプレスすると、
スラブは肉厚増加が幅中央部まで及ぶため断面形状が太
鼓型となる。この太鼓型のスラブを大きな圧下量が得ら
れる走間厚さ圧下プレスで厚さ方向にプレスすると、少
ないプレス回数で断面形状が矩形となる。

又、スラブの幅方向中央の位置に突出部を有する金型
を取り付けた走間厚さ圧下プレスでスラブを厚さ方向に
プレスすると、スラブの幅中央部のみがプレスされてへ
こみが生じる。幅中央部がプレスによりへこんだスラブ
を幅圧下プレスで幅方向にプレスすると、肉厚増加がス
ラブの幅中央部に及ぶことによりスラブの幅方向の断面
形状が矩形となる。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図〜第５図は本発明の一実施例であり、ライン方
向１上流から加熱炉２、走間幅圧下プレス３、走間厚さ
圧下プレス４を順に配設してスラブ５の成形設備を構成
する。

前記走間幅圧下プレス３は第２図・第３図に示すよう
な構成を備えている。

スラブ５を内部に通すようにしたハウジング６の両側
に軸受７を介して上下方向に伸びるクランク軸８を回転
自在に支持し、該クランク軸８にモータ９及び減速機10
等を回転駆動できるように接続する。

前記クランク軸８の偏心部11にスラブ５に向けて伸び
るコネクティングロッド12を嵌合し、該コネクティング
ロッド12のスラブ５側に形成した中空部分にウォーム1
3、ウォームホイール14を介してスラブ５に向けて突出
収納できるようスクリュー軸15を螺合する。

一方、前記ハウジング６内部のスラブ５両側部近傍に
ライン方向１に伸びる案内部材16を設け、該案内部材16
に沿い案内ローラ17により移動可能な走行ガイドブロッ
ク18を配設し、該走行ガイドブロック18にライン方向１
に向けて伸縮するシリンダ19を接続する。

前記走行ガイドブロック18内部にライン方向１と直交
する方向に伸びる貫通孔20を形成し、該貫通孔20に金型
21を交換自在に保持するスライド22を摺動自在に嵌入
し、該スライド22の反スラブ５側に形成した中空部分に
球面座23、ストッパ24を介して前記スクリュー軸15のス
ラブ５側端部の球面圧力受け25を連結する。

前記ハウジング６内部のスラブ５上下部に押えロール
26を配設し、該押えロール26をハウジング６に取り付け
た上下方向に伸びるシリンダ27で昇降可能に支持する。

前記走間厚さ圧下プレス４は第４図・第５図に示すよ
うな構成を備えている。

スラブ５を内部に通すようにしたハウジング28の上下
に軸受29を介して水平方向に伸びるクランク軸30を回転
自在に支持し、該クランク軸30にモータ31及び減速機32
等を回転駆動できるように接続する。

前記クランク軸30の偏心部33にスラブ５に向けて上下
方向に伸びるコネクティングロッド34を嵌合し、該コネ
クティングロッド34のスラブ５側に形成した中空部分に
ウォーム35、ウォームホイール36を介してスラブ５に向
けて突出収納できるようスクリュー軸37を螺合する。

一方、前記ハウジング28内部のスラブ５上下部近傍に
ライン方向１に伸びる案内部材38を設け、該案内部材38
に沿い案内ローラ39により移動可能な走行ガイドブロッ
ク40を配設し、該走行ガイドブロック40にライン方向１
に向けて伸縮するシリンダ41を接続する。

前記走行ガイドブロック40内部に上下方向に伸びる貫
通孔42を形成し、該貫通孔42に金型43を交換自在に保持
するスライド44を摺動自在に嵌入し、該スライド44の反
スラブ５側に形成した中空部分に球面座45、ストッパ46
を介して前記スクリュー軸37のスラブ５側端部の球面圧
力受け47を連結する。

次に作動について説明する。

ライン方向１に送られてきたスラブ５を先ず加熱炉２
で加熱する。その後高温となったスラブ５を走間幅圧下
プレス３を用いて以下のように幅方向にプレスする。

即ち、モータ９を駆動すると共にシリンダ19を作動す
ると、モータ９、減速機10を介してクランク軸８が回転
し、該クランク軸８の回転により偏心部11に嵌合された
コネクティングロッド12がスラブ５に対して近接・離反
する往復運動を行ない、同時に走行ガイドブロック18が
シリンダ19によりライン方向１へ向けて往復運動し、こ
れにより走行ガイドブロック18に嵌合されたスライド22
を介して金型21が楕円状に移動してスラブ５は送られつ
つ幅方向にプレスされる。

すると、幅圧下されたスラブ５は従来例と同様に肉厚
増加がスラブ５の幅中央部にまで及ぶため第８図に示す
ように幅方向の断面形状が中高の太鼓型となる。

次に断面形状が太鼓型となったスラブ５を走間厚さ圧
下プレス４を用いて以下に示すように厚さ方向にプレス
する。

即ち、モータ31を駆動すると共にシリンダ41を作動す
ると、モータ31、減速機32を介してクランク軸30が回転
し、該クランク軸30の回転により偏心部33が嵌合された
コネクティングロッド34がスラブ５に対して近接・離反
する往復運動を行ない、同時に走行ガイドブロック40が
シリンダ41によりライン方向１へ往復運動し、これによ
り走行ガイドブロック40に嵌合されたスライド44を介し
て金型43が楕円状に移動してスラブ５は送られつつ厚さ
方向にプレスされる。

このようにすることにより、厚さ圧下プレス４は大き
な圧下量が得られるので、幅方向にプレスされて幅方向
の断面形状が太鼓型となったスラブ５を１回の厚さ方向
のプレス或いは少ない回数のプレスにより矩形断面とす
ることができる。

これにより成形設備の全長を大幅に短縮することがで
きる。

又、スラブ５は、走間厚さ圧下プレス４で一度に厚さ
方向に大きくプレスされた場合には、水平圧延機で複数
回に亘って少しずつ厚さ圧下される場合に比べて、前後
方向への延びが少なく抑えられるので、スラブ５先後端
へのタングの発生が防止され、歩留りが向上する。

更に、厚さ圧下プレス４は大きな圧下量が得られるた
め、鋳造時にスラブ５内部に形成されたポロシティと呼
ばれる空洞部やその他の欠陥を押しつぶすことができる
ので、スラブ５の肉質を改善して良好なスラブ５とする
ことができる。

第６図は本発明の他の実施例であり、走間幅圧下プレ
ス３を下流側に走間厚さ圧下プレス４を上流側に配設す
るようにしたものである。

本実施例では、走間厚さ圧下プレス４に、第７図に示
すようなスラブ５の幅方向中央の位置に突出部48を有す
る金型49を取り付けて、スラブ５の幅中央部50のみを厚
さ方向に圧下してスラブの幅中央部50にへこみを生じさ
せるようにする。

その結果、下流で幅圧下プレス３を用いてスラブ５を
幅方向にプレスしたときに、幅方向のプレスによる肉厚
増加が、へこみを生じたスラブ５の幅中央部50に及ぶこ
とによりスラブ５の断面形状が丁度矩形となる。しか
も、スラブ５の幅中央部50に肉厚増加が生じる分だけ前
後方向への延びが抑えられるので、スラブ５の前後端に
タングが発生することが防止される。

又、このようにして得られたスラブ５は矩形断面とな
っているため、後工程で厚さ方向にプレスや圧延を行な
われた場合でもタングが発生しにくく、歩留りの向上が
得られる。

このようにすることにより、前記実施例と同様に成形
設備の全長を短縮することや、スラブ５の断面を矩形化
すること、歩留りを向上すること、肉質を改善すること
ができる。

尚、本発明のスラブの成形方法及び成形設備は、上述
の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨
を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは
勿論である。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明のスラブの成形方法及び
成形設備によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し
得る。

走間幅圧下プレスに大きな圧下量が得られる走間厚さ
圧下プレスを組み合わせて厚さ方向のプレスを行うよう
にしたので、成形設備の全長を短縮することができる。

走間厚さ圧下プレスを用いているため、少ないプレス
回数でスラブを矩形断面とすることができ、且つ、スラ
ブ前後端へのタングの発生が防止されてスラブの歩留り
が向上する。

大きな圧下量が得られる走間厚さ圧下プレスを用いた
ので、スラブの肉質を改善して良好なスラブを得ること
ができる。

位置を固定されたハウジングの内部で金型部分のみを
ライン方向へ往復移動させることのできる走間幅圧下プ
レスや走間厚さ圧下プレスを用いたので、走間動作のた
めの設備を大幅に小型化することができると共に、走間
動作によってハウジングが振動を起こすこともなく、
又、走間幅圧下プレスと走間厚さ圧下プレスが別体化さ
れているので金型交換も容易化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の全体平面図、第２図は第１
図の走間幅圧下プレスの正面図、第３図は第２図の平面
図、第４図は第１図の走間厚さ圧下プレスの正面図、第
５図は第４図の側面図、第６図は本発明の他の実施例の
全体平面図、第７図は第６図の走間厚さ圧下プレスに使
用する金型を正面から見た図、第８図は幅方向にプレス
されたスラブの幅方向の断面図、第９図は第８図のスラ
ブを厚さ方向に圧延した状態を示すスラブの平面図であ
る。 図中３は走間幅圧下プレス、４は走間厚さ圧下プレス、
５はスラブ、48は突出部、49は金型、50は幅中央部を示
す。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】位置を固定されたハウジングの内部に、ラ
   イン方向へ往復移動させつつ幅プレス可能な金型を備え
   た走間幅圧下プレスを用いてスラブを幅方向にプレスし
   た後、走間幅圧下プレスの下流側に走間幅圧下プレスと
   は別体に配設され、位置を固定されたハウジングの内部
   に、ライン方向へ往復移動させつつ厚さプレス可能な金
   型を備えた走間厚さ圧下プレスを用いてスラブを厚さ方
   向にプレスすることを特徴とするスラブの成形方法。
2. 【請求項２】位置を固定されたハウジングの内部で、ラ
   イン方向へ往復移動させつつ幅プレス可能な金型を備え
   た走間幅圧下プレスの下流に、位置を固定されたハウジ
   ングの内部で、ライン方向へ往復移動させつつ厚さプレ
   ス可能な金型を備えた走間厚さ圧下プレスを別体に配設
   したことを特徴とするスラブの成形設備。
3. 【請求項３】スラブの幅中央部を厚さ方向にプレスした
   後、該スラブを幅方向にプレスすることを特徴とするス
   ラブの成形方法。
4. 【請求項４】スラブの幅方向中央の位置に突出部を有す
   る金型を取り付けた走間厚さ圧下プレスの下流に、走間
   幅圧下プレスを配設したことを特徴とするスラブの成形
   設備。