JP2702738B2 - 溶射法 - Google Patents
溶射法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は溶射被覆中の残留応力を制御する溶射法、あ
るいは、溶射被覆または母材の形状を制御する溶射法で
あり、溶射材の熱膨脹率が母材の熱膨脹率より小さい溶
射材の溶射法に関する。
るいは、溶射被覆または母材の形状を制御する溶射法で
あり、溶射材の熱膨脹率が母材の熱膨脹率より小さい溶
射材の溶射法に関する。
(従来の技術) 産業の進歩と技術の発展により近年材料はますますき
びしい環境で使用されるようになってきた。例えば、宇
宙開発では再利用を前提とした宇宙船(いわゆるスペー
スシャトル)が開発されているが、大気圏への再突入の
際の宇宙船の加熱から内部を守るため宇宙船表面には断
熱被覆を施す必要がある。現在該断熱被覆はタイルを張
り合わせることにより形成されている。しかしタイルの
形状を厳密に制御せねばならなく、タイルを貼る作業は
能率が低く、さらには再突入の際にタイルが剥げるとい
う重大な問題がある。従って、母材と被覆の密着性が優
れたコーティングを施すことが必要とされている。
びしい環境で使用されるようになってきた。例えば、宇
宙開発では再利用を前提とした宇宙船(いわゆるスペー
スシャトル)が開発されているが、大気圏への再突入の
際の宇宙船の加熱から内部を守るため宇宙船表面には断
熱被覆を施す必要がある。現在該断熱被覆はタイルを張
り合わせることにより形成されている。しかしタイルの
形状を厳密に制御せねばならなく、タイルを貼る作業は
能率が低く、さらには再突入の際にタイルが剥げるとい
う重大な問題がある。従って、母材と被覆の密着性が優
れたコーティングを施すことが必要とされている。
一方、コーティングの方法にはPVD法、CVD法、溶射法
が知られている。コーティングは耐食性、耐高温腐食
性、耐酸化性、耐摩耗性、濡れ性の改善、電気的または
熱的伝導性の付与または絶縁性の付与などを目的とす
る。例えば、宇宙船の外壁などには断熱性を付与するこ
とを目的として比較的厚い膜をコーティングするが、厚
い膜を得る方法はこの中でも溶射法が適している。溶射
法において密着性を向上させるためには母材を高温にし
て溶射することが有効であることが知られている(井藤
三千寿、林和範、武田紘一、日本溶射協会第45回学術講
演会大会講演論文集pp.6(1986))。しかし、母材を高
温にして溶射した場合にも、残留応力のために被覆層が
溶射後に割れたり剥離したりすることがたびたびある。
特に被覆層の厚みを厚くするときや、母材と被覆材の熱
膨脹率が著しく違うときは(例えば軟鋼を母材としモリ
ブデンを溶射する場合は熱膨脹率はそれぞれ、17×10-6
(K-1)、8.8×10-6(K-1)である)残留応力のため被
覆層が割れ、または被覆層が剥げてコーティングの目的
が達成されないばかりでなく、母材および被覆層が変形
するという問題も深刻化する。したがって被覆を高速で
施す方法である溶射法は、厚膜の形成法として有力であ
るが残留応力のため被覆の厚みは高々数百μmが限界で
あるとされている。以上のように溶射の際にもたらされ
る残留応力を軽減することが現在の課題となっている。
が知られている。コーティングは耐食性、耐高温腐食
性、耐酸化性、耐摩耗性、濡れ性の改善、電気的または
熱的伝導性の付与または絶縁性の付与などを目的とす
る。例えば、宇宙船の外壁などには断熱性を付与するこ
とを目的として比較的厚い膜をコーティングするが、厚
い膜を得る方法はこの中でも溶射法が適している。溶射
法において密着性を向上させるためには母材を高温にし
て溶射することが有効であることが知られている(井藤
三千寿、林和範、武田紘一、日本溶射協会第45回学術講
演会大会講演論文集pp.6(1986))。しかし、母材を高
温にして溶射した場合にも、残留応力のために被覆層が
溶射後に割れたり剥離したりすることがたびたびある。
特に被覆層の厚みを厚くするときや、母材と被覆材の熱
膨脹率が著しく違うときは(例えば軟鋼を母材としモリ
ブデンを溶射する場合は熱膨脹率はそれぞれ、17×10-6
(K-1)、8.8×10-6(K-1)である)残留応力のため被
覆層が割れ、または被覆層が剥げてコーティングの目的
が達成されないばかりでなく、母材および被覆層が変形
するという問題も深刻化する。したがって被覆を高速で
施す方法である溶射法は、厚膜の形成法として有力であ
るが残留応力のため被覆の厚みは高々数百μmが限界で
あるとされている。以上のように溶射の際にもたらされ
る残留応力を軽減することが現在の課題となっている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はかかる現状に鑑み、被覆層および母材中の残
留応力を低減し、被覆層および母材の変形を防ぐ方法を
提供するものである。
留応力を低減し、被覆層および母材の変形を防ぐ方法を
提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは上記の目的を達成するべく種々実験、検
討を重ねた結果、ある溶射材と母材の組合せに対して
は、溶射時の母材(及び被覆層)がある温度に於いて残
留応力が極小化することを見出した。(以後溶射中の母
材及び被覆層の温度を溶射温度と言う。)更に残留応力
を極小とする該溶射温度が、溶射材および母材の物性
値、厚み及び被覆の使用される温度から後述する方法に
より求められることを見出した。かつ溶射材の熱膨脹率
が母材の熱膨脹率より小さい場合は該方法から求めた温
度で溶射を行うことで被覆の割れ、剥がれ、または変形
無しに溶射できることを見出した。
討を重ねた結果、ある溶射材と母材の組合せに対して
は、溶射時の母材(及び被覆層)がある温度に於いて残
留応力が極小化することを見出した。(以後溶射中の母
材及び被覆層の温度を溶射温度と言う。)更に残留応力
を極小とする該溶射温度が、溶射材および母材の物性
値、厚み及び被覆の使用される温度から後述する方法に
より求められることを見出した。かつ溶射材の熱膨脹率
が母材の熱膨脹率より小さい場合は該方法から求めた温
度で溶射を行うことで被覆の割れ、剥がれ、または変形
無しに溶射できることを見出した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものでつまり
本発明は、溶射法によって母材上に金属、合金あるいは
セラミックスを被覆するに際し、残留応力を母材および
溶射材の物性値、母材および溶射材の厚みおよび溶射被
覆が使用に供される際の使用温度および溶射温度の関数
として求め、該関係から残留応力が極小化する溶射温度
を求めまたは該関係から残留応力を所定量の引張または
圧縮の残留応力となるよう溶射温度を求め、母材を該溶
射温度に設定して溶射する事を特徴とする溶射法であ
る。
本発明は、溶射法によって母材上に金属、合金あるいは
セラミックスを被覆するに際し、残留応力を母材および
溶射材の物性値、母材および溶射材の厚みおよび溶射被
覆が使用に供される際の使用温度および溶射温度の関数
として求め、該関係から残留応力が極小化する溶射温度
を求めまたは該関係から残留応力を所定量の引張または
圧縮の残留応力となるよう溶射温度を求め、母材を該溶
射温度に設定して溶射する事を特徴とする溶射法であ
る。
本発明の概要を以下にのべる。
本発明に於いては、物性値などから溶射温度を計算に
より予測するが、物性値全てが知られていないときは試
行錯誤適に溶射温度を実験により予測してもよい。
より予測するが、物性値全てが知られていないときは試
行錯誤適に溶射温度を実験により予測してもよい。
計算により溶射温度を予測する場合には溶射温度の
予測、溶射温度を制御した溶射を行えばよく、残留
応力を測定することによって、所期の目的を達成できた
ことを確認できる。この際、以下に示した1次元のモデ
ル以外のモデルで溶射温度を予測してもよい。正確な物
性値が知られていないときや、母材の形状が板状でない
ときなどは、暫定的な物性値などを用いて計算を行う。
この際、所定の残留応力が得られず溶射温度の補正が必
要な時は、′溶射温度の補正、溶射温度を制御した
溶射、残留応力の判定の手順を踏む。
予測、溶射温度を制御した溶射を行えばよく、残留
応力を測定することによって、所期の目的を達成できた
ことを確認できる。この際、以下に示した1次元のモデ
ル以外のモデルで溶射温度を予測してもよい。正確な物
性値が知られていないときや、母材の形状が板状でない
ときなどは、暫定的な物性値などを用いて計算を行う。
この際、所定の残留応力が得られず溶射温度の補正が必
要な時は、′溶射温度の補正、溶射温度を制御した
溶射、残留応力の判定の手順を踏む。
試行錯誤的に溶射温度を実験により予測する場合には
暫定的な溶射温度を仮定し溶射温度を制御した溶射、
残留応力の判定の手続きの後、所定の残留応力が得ら
れていないときは′溶射温度の補正、溶射温度を制
御した溶射、残留応力の判定の手順を踏む。
暫定的な溶射温度を仮定し溶射温度を制御した溶射、
残留応力の判定の手続きの後、所定の残留応力が得ら
れていないときは′溶射温度の補正、溶射温度を制
御した溶射、残留応力の判定の手順を踏む。
以下本発明を詳細に説明する。(式の各項目は第一表
に示す。) −1 溶融している溶射粒子が母材に衝突し冷却され
る際に生ずる応力を求める。
に示す。) −1 溶融している溶射粒子が母材に衝突し冷却され
る際に生ずる応力を求める。
溶射材の応力歪曲線が第一図で示されるとき、凝固点
で第一図の原点(0)の応力状態である粒子は基板温度
に冷却される際に収縮しようとするが母材が溶射粒子に
比べて十分に大きいため母材は変形しないとみなし得
る。従って溶射粒子内には相対的に引っ張り応力が誘起
される。溶射粒子 の変形歪(ε2)は次式で表わさる。
で第一図の原点(0)の応力状態である粒子は基板温度
に冷却される際に収縮しようとするが母材が溶射粒子に
比べて十分に大きいため母材は変形しないとみなし得
る。従って溶射粒子内には相対的に引っ張り応力が誘起
される。溶射粒子 の変形歪(ε2)は次式で表わさる。
ε2=αc(TM−TS) …(1) (記号は第一表で定義される。以下同様) 第一図から溶射粒子は弾性限(1)まで弾性変形した
のち塑性変形をして点(2)の応力状態にいたる。
(2)での応力(σ2)は次式で表わされる。
のち塑性変形をして点(2)の応力状態にいたる。
(2)での応力(σ2)は次式で表わされる。
σ2=EPαc(TM−TS)+(Ec−EP)ε1 …(2) εcは弾性変形歪(εE)と塑性変形歪(εP)とに
分けられる。弾性変形歪(εE)は、次式で表わされ
る。
分けられる。弾性変形歪(εE)は、次式で表わされ
る。
εE=σ2/Ec …(3) −2 溶射中に起こる母材及び皮膜の変形及び応力を
求める。
求める。
−1で求めた応力は粒子一個のものであるが、これ
が積もり積もると母材及び皮膜が変形しながら溶射が進
行する。任意の溶射被覆厚(t)に於て、溶射の進行に
よる母材及び被覆の長さの変化率は、長さの釣合と応力
の釣合から次式で表わされる。
が積もり積もると母材及び皮膜が変形しながら溶射が進
行する。任意の溶射被覆厚(t)に於て、溶射の進行に
よる母材及び被覆の長さの変化率は、長さの釣合と応力
の釣合から次式で表わされる。
厚みが限りなく薄いときは、長さは溶射直前の母材の
長さ(L0)である。この条件の下で(4)式の解は、次
式で与えられる。
長さ(L0)である。この条件の下で(4)式の解は、次
式で与えられる。
−3 溶射終了後所定の温度に冷却する過程の母材及
び被膜の変形及び応力を求める。
び被膜の変形及び応力を求める。
溶射時(Tsにおける)の基板及び被覆の自然長は−
2からそれぞれL0、Ln(x)として求められる。従って
所定の温度(TR)に冷却するとそれぞれの自然長はL
0{1−αs(Ts−TR)}、Ln(x){1−αc(Ts−T
R)}である。この際所定の温度が室温である場合、お
よび溶射被覆の使用温度である場合も含まれる。−2
と同様に長さの釣合と応力の釣合を考えることにより被
覆及び母材の長さ、それぞれの歪、それぞれの応力が求
められる。被覆内の平均残留応力(σc)は次式の通り
となる。
2からそれぞれL0、Ln(x)として求められる。従って
所定の温度(TR)に冷却するとそれぞれの自然長はL
0{1−αs(Ts−TR)}、Ln(x){1−αc(Ts−T
R)}である。この際所定の温度が室温である場合、お
よび溶射被覆の使用温度である場合も含まれる。−2
と同様に長さの釣合と応力の釣合を考えることにより被
覆及び母材の長さ、それぞれの歪、それぞれの応力が求
められる。被覆内の平均残留応力(σc)は次式の通り
となる。
−4 所定の応力となる溶射温度を求める。
残留応力を0にしたい時は(11)式のσcに0を、引
張にしたい時は正の値を、圧縮にしたい時は負の値を与
える。更に、被覆及び母材の物性値、厚みなどを与え、
(11)式を満たすように溶射温度を求める。この際物性
値を温度の関数として与えても良いが、暫定的温度での
物性値を与え仮の溶射温度を求めた後該溶射温度での物
性値を再度与えて溶射温度を求めるという繰り返し計算
を行っても良い。また被膜の物性値としてはバルクの値
を与えても良いが、一度被膜を作製した後物性値の測定
を行い該物性値を与えた方が良い。全ての物性値が正確
に解らないとき、母材の形状が板状でないときは、仮の
値を与えて溶射温度を求めてのごとく溶射しのごと
く応力の判定を行い、′に示すように溶射温度の補正
を行う。
張にしたい時は正の値を、圧縮にしたい時は負の値を与
える。更に、被覆及び母材の物性値、厚みなどを与え、
(11)式を満たすように溶射温度を求める。この際物性
値を温度の関数として与えても良いが、暫定的温度での
物性値を与え仮の溶射温度を求めた後該溶射温度での物
性値を再度与えて溶射温度を求めるという繰り返し計算
を行っても良い。また被膜の物性値としてはバルクの値
を与えても良いが、一度被膜を作製した後物性値の測定
を行い該物性値を与えた方が良い。全ての物性値が正確
に解らないとき、母材の形状が板状でないときは、仮の
値を与えて溶射温度を求めてのごとく溶射しのごと
く応力の判定を行い、′に示すように溶射温度の補正
を行う。
′溶射温度の補正 全ての物性値が正確に解らないとき、母材の形状が板
状でないとき、さらには所定の残留応力とならない時は
溶射温度の補正を行う。被覆内に所定の残留応力より引
張の応力が残るときは、溶射温度を高くする。被覆内に
所定の残留応力より圧縮の応力が残るときは、溶射温度
を低くする。溶射温度の変更巾(ΔTS)は、試行錯誤に
よっても良いが、(11)式を溶射温度で微分しても求め
ることができる。すなわち、溶射温度の変更巾は次式に
より求められる。
状でないとき、さらには所定の残留応力とならない時は
溶射温度の補正を行う。被覆内に所定の残留応力より引
張の応力が残るときは、溶射温度を高くする。被覆内に
所定の残留応力より圧縮の応力が残るときは、溶射温度
を低くする。溶射温度の変更巾(ΔTS)は、試行錯誤に
よっても良いが、(11)式を溶射温度で微分しても求め
ることができる。すなわち、溶射温度の変更巾は次式に
より求められる。
溶射温度を制御した溶射を行う。
母材または被覆の温度を熱電対または放射温度計など
で測定する。または′で求めた溶射温度に母材を保
持し溶射を行う。この際、溶射法の手段が減圧プラズマ
溶射法、大気圧プラズマ溶射法、アーク溶射法、燃焼炎
溶射法などのいずれの方法であってもよい。また、被覆
が使用時には母材から剥がされ単独で用いられる被覆で
あってもよい。溶射材が2種以上の金属、合金あるいは
セラミックスの混合物である溶射材であってもよい。こ
の際プラズマ入力、基板位置、圧力、ガス流量、粉体供
給速度などの溶射パラメーターと基板温度との関係を前
もって調べて置けば溶射中に温度測定を行わなくても良
い。母材を溶射温度に加熱するには、プラズマフレーム
により加熱することもできる。この際母材に電位を与え
プラズマとの間に電流を流すことも可能である。また、
母材を通電加熱しても良い。さらには、赤外炉などの炉
によっても加熱することも可能である。
で測定する。または′で求めた溶射温度に母材を保
持し溶射を行う。この際、溶射法の手段が減圧プラズマ
溶射法、大気圧プラズマ溶射法、アーク溶射法、燃焼炎
溶射法などのいずれの方法であってもよい。また、被覆
が使用時には母材から剥がされ単独で用いられる被覆で
あってもよい。溶射材が2種以上の金属、合金あるいは
セラミックスの混合物である溶射材であってもよい。こ
の際プラズマ入力、基板位置、圧力、ガス流量、粉体供
給速度などの溶射パラメーターと基板温度との関係を前
もって調べて置けば溶射中に温度測定を行わなくても良
い。母材を溶射温度に加熱するには、プラズマフレーム
により加熱することもできる。この際母材に電位を与え
プラズマとの間に電流を流すことも可能である。また、
母材を通電加熱しても良い。さらには、赤外炉などの炉
によっても加熱することも可能である。
残留応力の判定 全ての物性値が正確に解らないとき、母材の形状が板
状でないときなどには、溶射温度を一回で予測すること
はできないから実際に溶射を行った溶射被覆の残留応力
を判定して溶射温度を補正することが必要となる。残留
応力は溶射被膜と母材の形状の変化から判定できる。す
なわち、所定の温度に於て被覆が母材側にしなる時(第
二図(a))または剥がれる時(第二図(b))は圧縮
の応力があり、被覆が表面にしなる時(第二図(c))
または亀裂が生ずる時(第二図(d))は引張の応力が
ある。更に厳密に測定するには、X線回折法などにより
格子定数を測定する、被覆の曲率から計算するなどの方
法で残留応力を求める。ここで母材及び被覆の変形また
は残留応力が許容範囲内でないときは′により溶射温
度の補正を行う。
状でないときなどには、溶射温度を一回で予測すること
はできないから実際に溶射を行った溶射被覆の残留応力
を判定して溶射温度を補正することが必要となる。残留
応力は溶射被膜と母材の形状の変化から判定できる。す
なわち、所定の温度に於て被覆が母材側にしなる時(第
二図(a))または剥がれる時(第二図(b))は圧縮
の応力があり、被覆が表面にしなる時(第二図(c))
または亀裂が生ずる時(第二図(d))は引張の応力が
ある。更に厳密に測定するには、X線回折法などにより
格子定数を測定する、被覆の曲率から計算するなどの方
法で残留応力を求める。ここで母材及び被覆の変形また
は残留応力が許容範囲内でないときは′により溶射温
度の補正を行う。
以下に本発明の実施例について説明する。から
は、上述の手順からに対応する。
は、上述の手順からに対応する。
(実施例1) 母材としてSS41、溶射材としてMoを選んだ。第二表に
溶射温度を予測するために用いた物性値を示す。
溶射温度を予測するために用いた物性値を示す。
所定の膜厚を様々な値を選び厚み比(tc/TS)が0.01
から1までについて、(11)式により溶射温度を求めた
(第三図)。これにより厚み比が1の時溶射温度は1300
Kであると求められた。
から1までについて、(11)式により溶射温度を求めた
(第三図)。これにより厚み比が1の時溶射温度は1300
Kであると求められた。
母材厚12mm、被覆厚12mmの時、この条件で溶射を行っ
た結果、被覆層に亀裂は生じず母材及び被覆の変形も
みられなかった。更にX線回折により残留応力はないと
判定された。
た結果、被覆層に亀裂は生じず母材及び被覆の変形も
みられなかった。更にX線回折により残留応力はないと
判定された。
更に比較として試行錯誤的に溶射温度を予測した。
暫定的な溶射温度を1150Kと仮定した場合、溶射を行
った結果被覆層に亀裂が入っており(第四図)被覆内に
引っ張り応力が生じていると判定された。(11)式から
求められた基板温度応力線図(第五図)からdσC/dTS
が−1,000,000Pa/Kと求められた。さらに、残留応力は1
50,000,000Paと求められたので、残留応力の誤差(Δσ
C)は、−150,000,000Paであるので、溶射温度の補正
巾(ΔTS)は150Kと求められた。
った結果被覆層に亀裂が入っており(第四図)被覆内に
引っ張り応力が生じていると判定された。(11)式から
求められた基板温度応力線図(第五図)からdσC/dTS
が−1,000,000Pa/Kと求められた。さらに、残留応力は1
50,000,000Paと求められたので、残留応力の誤差(Δσ
C)は、−150,000,000Paであるので、溶射温度の補正
巾(ΔTS)は150Kと求められた。
逆に1450Kで溶射を行うと被覆は剥げ被覆内に圧縮応
力が生じていると判定された。(11)式から求められた
基板温度応力線図(第五図)からdσC/dTSが1,000,000
Pa/Kと求められた。さらに、残留応力は−150,000,000P
aと求められたので、残留応力の誤差(ΔσC)は、15
0,000,000Paであるので、溶射温度の補正巾(ΔTS)は
−150Kと求められた。
力が生じていると判定された。(11)式から求められた
基板温度応力線図(第五図)からdσC/dTSが1,000,000
Pa/Kと求められた。さらに、残留応力は−150,000,000P
aと求められたので、残留応力の誤差(ΔσC)は、15
0,000,000Paであるので、溶射温度の補正巾(ΔTS)は
−150Kと求められた。
以上試行錯誤的方法によっても溶射温度を求めること
ができた。
ができた。
(実施例2) 実施例1と同様に母材としてSS41、溶射材としてMoを
選んだ。溶射温度を予測するために用いた物性値を上述
の第二表に示す。所定の膜厚を様々な値を選び厚み比
(tC/tS)が0.01から1までについて、(11)式により
溶射温度を求めた(第三図)。これにより厚み比が1の
時溶射温度は1300Kであると求められた。
選んだ。溶射温度を予測するために用いた物性値を上述
の第二表に示す。所定の膜厚を様々な値を選び厚み比
(tC/tS)が0.01から1までについて、(11)式により
溶射温度を求めた(第三図)。これにより厚み比が1の
時溶射温度は1300Kであると求められた。
母材厚12mmであるが形状は板でなく管であるとき、被
覆厚12mmを目標にこの条件で溶射を行った。
覆厚12mmを目標にこの条件で溶射を行った。
被覆に亀裂が入っており被覆内に引っ張り応力が生じ
ていると判定された。
ていると判定された。
′(11)式から求められた基板温度応力線図(第五
図)からdσC/dTSが−1,000,000Pa/kと求められた。さ
らに、残留応力は50,000,000Paと求められたので、残留
応力の誤差(ΔσC)は、−50,000,000Paであるので、
溶射温度の補正巾(ΔTS)は50Kと求められた。以上か
ら溶射温度の補正を行い1350Kを得た。
図)からdσC/dTSが−1,000,000Pa/kと求められた。さ
らに、残留応力は50,000,000Paと求められたので、残留
応力の誤差(ΔσC)は、−50,000,000Paであるので、
溶射温度の補正巾(ΔTS)は50Kと求められた。以上か
ら溶射温度の補正を行い1350Kを得た。
この条件で溶射を行った。
亀裂が生じていない被覆が得られた。母材及び被覆の
変形がみられなかった。更にX線回折により残留応力は
ないと判断された。
変形がみられなかった。更にX線回折により残留応力は
ないと判断された。
(実施例3) 母材としてSS41、溶射材としてAl2O3を選んだ。第三
表に溶射温度を予測するために用いた物性値を示す。
表に溶射温度を予測するために用いた物性値を示す。
厚み比が1の時溶射温度は950Kであると求められた。
母材厚2mm、被覆厚2mmの時、この条件で溶射を行っ
た。
た。
被覆に亀裂が入っており被覆内に引っ張り応力が生じ
ていると判定された。
ていると判定された。
′(11)式から求められた基板温度御応力線図(第五 図)からdσC/dTSが−1,500,000Pa/kと求められた。さ
らに、残留応力は75,000,000Paと求められたので、残留
応力の誤差(ΔσC)は、−75,000,000Paであるので、
溶射温度の補正巾(ΔTS)は50Kと求められた。以上か
ら溶射温度の補正を行い1000Kを得た。
らに、残留応力は75,000,000Paと求められたので、残留
応力の誤差(ΔσC)は、−75,000,000Paであるので、
溶射温度の補正巾(ΔTS)は50Kと求められた。以上か
ら溶射温度の補正を行い1000Kを得た。
(発明の効果) 以上述べたように本発明によれば残留応力が制御さ
れ、亀裂が無い被覆が得られ母材の変形もない、これに
より耐食性、耐高温腐食性、耐酸化性、耐摩耗性、濡れ
性、電気的または熱的伝導性または絶縁性など表面被覆
が目的とする特性を改善する事が可能であり、産業上の
発展に貢献するところきわめて大である。
れ、亀裂が無い被覆が得られ母材の変形もない、これに
より耐食性、耐高温腐食性、耐酸化性、耐摩耗性、濡れ
性、電気的または熱的伝導性または絶縁性など表面被覆
が目的とする特性を改善する事が可能であり、産業上の
発展に貢献するところきわめて大である。
第一図は予測に用いた応力歪関係図である。 第二図は溶射被覆層の残留応力と変形の関係図である。 第三図は予測された最適溶射温度を被覆層と基板との厚
み比にたいして示した図 第四図は最適溶射温度でないため被覆層に亀裂が生じた
例の図 第五図は被覆層と基板との厚み比が1の時の被覆層内平
均残留応力と溶射温度の関係図である。 1……被覆層、2……母材(基板)、3……剥離、4…
…亀裂。
み比にたいして示した図 第四図は最適溶射温度でないため被覆層に亀裂が生じた
例の図 第五図は被覆層と基板との厚み比が1の時の被覆層内平
均残留応力と溶射温度の関係図である。 1……被覆層、2……母材(基板)、3……剥離、4…
…亀裂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−143576(JP,A) 特開 昭57−145970(JP,A) 特開 平1−100254(JP,A) 金属、昭和59年臨時増刊号 P.48− 53 溶接技術、28[2](1980)、P.21 −36 Surface and Coati ngs Technology,27[3 ] (1986),P.257−267 Thin Solid Films、 119[2] (1984)、P.185−193
Claims (1)
- 【請求項1】溶射法によって母材上に熱膨張率が母材の
熱膨張率より小さい溶射材である金属、合金あるいはセ
ラミックスを被覆するに際し、被覆層の残留応力を、下
記1式により母材および溶射材の物性値、母材および溶
射材の厚み、溶射被覆が使用に供されるされる際の使用
温度の関数として求め、該関係から残留応力を所定の残
留応力となるよう溶射温度を求め、母材を該溶射温度に
設定して溶射し、さらに、所定の残留応力とならないと
きは下記2式で溶射温度を補正し溶射することを特徴と
する溶射法。 但し各符号の内容は以下のとおり。 σC:被覆内の平均残留応力(Pa) ts:母材の厚み(m) tc:被覆の厚み(m) Es:母材の弾性率(Pa) Ec:被覆材の弾性率(Pa) EP:溶射材の塑性変形域に於ける応力歪曲線の傾き(P
a) αs:母材の熱膨張率(1/K) αc:被覆材の熱膨張率(1/K) Ts:溶射温度(K) TR:使用温度(K) TM:溶射材の凝固温度(K) β:{1−αc(TS−TR)}/{1−αs(TS−TR)} γ:(Ectc)/(Ests) ε1:弾性限の歪 σ2:EpαC(TM−TS)+(EC−EP)ε1(Pa) εE:σ2/Ec 弾性変形歪 ΔTs:溶射温度の補正幅(K) ΔσC:被覆内の平均残留応力の誤差(Pa)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63159488A JP2702738B2 (ja) | 1988-06-29 | 1988-06-29 | 溶射法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63159488A JP2702738B2 (ja) | 1988-06-29 | 1988-06-29 | 溶射法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0211750A JPH0211750A (ja) | 1990-01-16 |
JP2702738B2 true JP2702738B2 (ja) | 1998-01-26 |
Family
ID=15694865
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63159488A Expired - Lifetime JP2702738B2 (ja) | 1988-06-29 | 1988-06-29 | 溶射法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2702738B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003510457A (ja) * | 2000-02-23 | 2003-03-18 | スプレーフォーム ホールディングス リミテッド | 溶射被覆法 |
JP5638809B2 (ja) * | 2010-01-12 | 2014-12-10 | 株式会社中山アモルファス | アモルファス皮膜付き金属材およびアモルファス皮膜形成方法 |
JP6246666B2 (ja) | 2014-06-11 | 2017-12-13 | 日本発條株式会社 | 積層体の製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57145970A (en) * | 1981-03-03 | 1982-09-09 | Nippon Steel Corp | Spraying method for metal |
US4588607A (en) * | 1984-11-28 | 1986-05-13 | United Technologies Corporation | Method of applying continuously graded metallic-ceramic layer on metallic substrates |
-
1988
- 1988-06-29 JP JP63159488A patent/JP2702738B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (4)
Title |
---|
Surface and Coatings Technology,27[3] (1986),P.257−267 |
Thin Solid Films、119[2] (1984)、P.185−193 |
溶接技術、28[2](1980)、P.21−36 |
金属、昭和59年臨時増刊号 P.48−53 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0211750A (ja) | 1990-01-16 |
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