JP2698600B2 - 印刷インキ用ビヒクル - Google Patents

印刷インキ用ビヒクル

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、印刷インキ用ビヒクルに関するものであ
る。更に詳しくは、プラスチックフィルムの印刷に有用
なグラビア印刷インキ用の、特定のポリアミド樹脂を用
いた耐熱性及び耐もみ性に優れた印刷インキ用ビヒクル
に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
煎餅、あられ等の米菓をはじめ、ピーナッツやビスケ
ット、さらには乾物等のいわゆるドライフーヅの包装に
は多くの機能を持った多層ラミネート体を使用する他
に、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ビニリデン
コート、ポリプロピレン、各種防湿セロハン及びアルミ
箔等の表面にインキを印刷し、裏面には何もしないか又
はパートコート剤、ホットメルト接着剤をコートしただ
けの比較的安価な包装材が多用されている。これらの包
装は、作業性の向上から高速自動製袋機の導入と共に短
時間高温シールが一般的になっており、インキの耐熱性
はより高いものが要求される様になってきた。
現在、これらの用途に使用される表刷印刷用の耐熱性
インキとしては、ポリアミド樹脂及び硝化綿を主バイン
ダーとし、より耐熱性を向上させるべくさらにアルキル
チタネート系キレート剤を添加したインキが多く使用さ
れている。
従来のポリアミド樹脂は、混合溶剤可溶型ポリアミド
と言われ、その組成はポリアルキレンポリアミン、重合
脂肪酸及び水酸基を有しないモノカルボン酸との重縮合
物であり、その特徴は、表刷インキに最も必要な条件で
ある光沢があり、各種印刷フィルム、特にポリオレフィ
ンフィルム、防湿セロハン、塩化ビニリデンコートポリ
プロピレン及びアルミ箔等に対して接着温度の巾があ
り、また、インキの流動性、顔料分散性が良好であり、
印刷効果に優れているという利点を有しているが、反
面、耐熱性が十分でなく、シールバーがインキ面に当た
った場合60〜80℃程度からシールバーにインキが付着し
始めるという欠点があった。
一方、これに併用される硝化綿は耐熱性が高く、210
℃以上でもシールバーに付着することはないが、ポリア
ミド樹脂に対して硝化綿の比率を多くすると印刷フィル
ムへの接着性が劣化し、またポリアミド樹脂の特徴であ
るインキ塗膜綿の光沢が損なわれ、ポリアミド樹脂に対
する硝化綿の比率は印刷効果の第1である光沢の良さを
損なわない範囲である必要があるので、硝化綿の併用の
みではインキの耐熱性向上を解決することができなかっ
た。
また、従来の技術として耐熱性をさらに向上させる為
にアルキルチタネート系キレート剤を添加する場合があ
るが、過剰に添加するとインキの黄変及びインキ安定性
が悪くなり、インキの状態でゲル化・増粘の現象が現れ
るので、その添加量には限界があり、インキの黄変・増
粘等不都合が起きない範囲でインキの耐熱性を十分向上
させることが出来なかった。
即ち、ポリアミド樹脂と硝化綿とを併用し、さらにア
ルキルチタネート系キレート剤を添加した場合でも、従
来の技術ではプラスチックフィルムに表刷印刷を行い包
材を作った場合、耐熱性が十分ではなかった。例えばシ
ート時間1秒の場合、シール温度が120℃以上になると
印刷インキがヒートシールバーに取られ、商品のイメー
ジダウンにつながるなどの問題があった。
ヒートシールバーにインキが取られない様にするため
に、ヒートシール温度を120℃以下にすることは可能で
あるが、十分なヒートシール強度を得るにはシール時間
を長くする必要があるので、作業性の低下につながった
り、時にはシール条件以下の温度になり、シール強度が
不足するなどの問題が起きるケースもあった。
現在のところ、従来のポリアミド樹脂と硝化綿とを併
用し、かつアルキルチタネート系キレート剤を添加し
た、或いは添加しないインキ組成物において、良好な光
沢,接着性を保ちつつ、130℃、1秒以上のヒートシー
ル条件に耐えるインキはなかった。
本発明の目的は、耐熱性の優れたインキを開発するこ
とにより、製袋スピードを向上させ、作業能率の向上を
図るとともに、従来、インキの耐熱性がなかったために
不可能であったデザインを可能にし、また包材としてシ
ール温度が高い条件でも使用可能にすることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を
重ねた結果、特定のポリアミド樹脂がアルキルチタネー
ト系キレート剤なしで、或いはアルキルチタネート系キ
レート剤を配合した場合に、従来のポリアミド系インキ
と比較して飛躍的に耐熱性が優れていることを見出し、
本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、 (A)一般式 H2N(RNH)nH …(I) (式中、Rは炭素数2〜3のアルキレン基、nは1〜5
の整数を表す) で示されるポリアルキレンポリアミンからなるポリアミ
ン成分と、 (B)水酸基を有する炭素数18〜22の脂肪族モノカルボ
ン酸を含有する脂肪族モノカルボン酸成分と、 (C)重合脂肪酸を主成分とする多価カルボン酸成分と
を (B)成分の酸当量/(C)成分の酸当量=0.05〜1.0
とし、ポリアミン成分とカルボン酸成分とをほぼ等当量
で縮合重合せしめたポリアミン樹脂を含有する印刷イン
キ用ビヒクルを提供するものである。
本発明の印刷インキ用ビヒクルを用いたインキ組成物
は、140℃、1秒のヒートシール条件にも耐え得るもの
であり、更にアルキルチタネート系キレート剤を併用し
た場合には160℃、1秒という苛酷な条件にも耐え得る
ものである。
本発明に用いられるポリアミン成分のポリアルキレン
ポリアミンとしては、前記の一般式(I)で表されるも
のであれば何れのものでも良く、また数種類を混合して
用いても良い。具体的には、エチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレン
ジアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテ
トラミン等の単独又は混合物が例示される。一般式
(I)においてnが5よりも大きいものを用いると、で
きたポリアミド樹脂の軟化点が低くなり、インキ性状等
に不都合な影響を与えるので好ましくない。特に好まし
いのは、ポリアミン成分としてn=1のものを50当量%
以上用いる場合である。
本発明に用いられる(B)成分として使用される水酸
基を有する炭素数18〜22の脂肪族モノカルボン酸として
は、12−ヒドロキシオレイン酸、12−ヒドロキシステア
リン酸、9,10−ジヒドロキシステアリン酸などが挙げら
れる。(B)成分として水酸基を有する脂肪族モノカル
ボン酸のみを使用してもよいことは勿論であるが、その
場合には得られるポリアミドをインキとした場合の乾燥
速度が低下するので、水酸基を有しない脂肪族モノカル
ボン酸と混合して使用することが好ましい。かかる水酸
基を有しない脂肪族モノカルボン酸としては炭素数2〜
22のもの、例えば酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、オ
レイン酸、リノール酸、ステアリン酸、エルカ酸などが
使用される。なお、この際の水酸基を有しない脂肪族モ
ノカルボン酸の使用量は(B)成分中の0〜95モル%の
範囲で適宜選択される。
本発明に使用される(C)成分の重合脂肪酸は、乾性
又は半乾性油脂肪酸或いはそのエステルの重合によって
得られるものである。即ち、重合脂肪酸とは、多不飽和
脂肪酸を含む一塩基性脂肪酸或いはそのエステルで8〜
24の炭素数をもつものを重合したもので、その成分とし
て一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸、三量化重合脂肪
酸等を含むものであり、その重合にあたっては、無触媒
で高温加熱によっても得られるし、公知の酸性粘土、過
酸化物等の触媒を用いての加熱によっても得ることがで
きる。現在、重合脂肪酸として市販されているものは、
炭素数18の不飽和脂肪酸に基づくものが多く、その典型
的なものは次のような組成を有するものである。
炭素数18の一塩基酸 0〜 5重量% 炭素数36の二塩基酸 16〜100重量% 炭素数54の三塩基酸以上の酸 0〜 30重量% 尚、上記の三塩基酸以上の酸とは、上記乾性又は半乾
性油脂肪酸或いはそのエステルの重合により三量化のも
のと、四量化以上に多量化された多量化重合脂肪酸との
混合物であることを意味する。
(C)成分としては、重合脂肪酸のみでよいのである
が、必要に応じて他のジカルボン酸、トリカルボン酸等
の多価カルボン酸を併用しても良い。かかる他の多価カ
ルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、トリメリット酸などの芳香族のもの、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族のものの何
れも使用できる。
本発明のポリアミド樹脂は通常の方法で製造され、原
料であるカルボン酸とポリアミンとは両者の当量比で0.
9〜1.1程度の等当量付近で反応させることが、得られる
樹脂物性上好ましい。この当量比が余りにずれると当然
縮重合は進行しないし、余りずれなくても上記の範囲を
外れると樹脂物性が劣る。
また、(B)成分であるモノカルボン酸の使用量が少
なすぎると耐熱性向上の効果が失われるし、多すぎると
縮重合が進行しなくなるので、その使用量は酸当量で比
較して、(B)成分の酸当量/(C)成分の酸当量=0.
05〜1.0、好ましくは0.1〜0.6の範囲で使用される。
また、本発明のポリアミド樹脂はアルキルチタネート
系キレート剤を併用することが好ましい。かかるアルキ
ルチタネートとしては、例えばテトライソプロピルチタ
ネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−
エチルヘキシル)チタネート等を挙げることができる。
本発明のビヒクル中の前記ポリアミド樹脂の含有量は
10〜50重量%の範囲が好ましく、又、アルキルチタネー
ト系キレート剤の含有量は0.1〜3.0重量%の範囲が好ま
しい。
〔実施例〕
次に実施例にて本発明を更に詳細に説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、特に断らない限り、「部」は重量部、「%」は重
量%を示す。
実施例1〜10、比較例1〜5 (A)ポリアルキレンポリアミン、(B)モノカルボ
ン酸、(C)重合脂肪酸及びその他のジカルボン酸を、
温度計、攪拌器、脱水管及び窒素吹込管を備えた四ツ口
丸底フラスコへ入れる。混合物を攪拌し温度を200℃ま
で上げ、内容物の着色防止のため窒素を流しながら200
℃に5時間保持する。その後、200℃、減圧下(約100mm
Hg)で1時間反応し、ポリアミド樹脂を得た。仕込原料
とその使用量を表1に示した。
実施例11〜20、比較例6〜10 実施例1〜10及び比較例1〜5で得られたポリアミド
樹脂をトルエン/イソプロパノール=2/1混合溶剤に溶
解し、各々35%樹脂濃度の溶液(G)を調製した。一
方、ブロッキング防止並びに耐熱性の向上のために硝化
綿RS1/2を酢酸エチルに溶解し、25%不揮発分としたも
の(H)を調製した。
これら(G)及び(H)を含み、以下に示す組成を有
する混合物をボールミルに仕込み16時間分散し、得られ
た白インキを処理ポリエチレンフィルム、処理延伸ポリ
プロピレンフィルムにワイヤーコータ#15で印刷し、一
夜室温で乾燥後、印刷物の接着性、耐水性、耐油性、耐
熱性を調べた。試験結果を表2に示す。
<組 成> 樹脂溶液(G) 53部 硝化綿溶液(H) 8部 顔 料 32部 酸化チタン(タイペークR−670) 溶 剤 7部 (トルエン/イソプロパノール=2/1) 尚、試験方法及び判定基準は次の通りである。
(i)接着性:感圧テープによる接着性(ニチバンセロ
テープ使用) 印刷面が全くセロテープに取られないもの ……○ 印刷面の一部がセロテープに取られるもの ……△ 印刷面の大部分がセロテープ側に取られるもの……× (ii)耐水性:印刷面を4時間水道水中に浸漬し、水中
で10回もむ。
印刷面が完全なもの ……○ ひびが入っているが面脱落のないもの ……△ 面脱落したもの ……× (iii)耐油性:印刷面をサラダ油に1時間浸漬し取り
出し後、サラダ油を紙で拭き取り、こすり合わせるよう
に10回もむ。
印刷面のインキ塗膜が完全なもの ……○ ひびが入っているがインキの脱落のないもの ……△ インキ脱落したもの ……× (iv)耐熱性:熱傾斜型試験機(東洋精機製作所)を用
い、表2に示す所定温度で2kg/cm2、1/2秒間熱圧着し直
ちに剥離させ、印刷物を肉眼で判定する。
所定温度で印刷物が完全なもの ……○ 所定温度で印刷面の一部分のインキ塗膜がヒートシー
ルバーに取られるもの ……△ 所定温度で印刷面のインキ塗膜の大半がヒートシール
バーに取られるもの ……× 実施例21〜29、比較例11〜15 実施例11〜20、比較例6〜10で得られた白インキ100
部に対し、キレート剤(テトライソプロピルチタネート
4部をアセチルアセトン6部に溶解したもの)1部を添
加した白インキを実施例11〜20、比較例6〜10と同様に
印刷し、同様の方法で印刷物の接着性、耐水性、耐油
性、耐熱性を調べた。
結果を表3に示す。
〔発明の効果〕 以上の説明から明らかなように、本発明のポリアミド
を用いた印刷インキ用ビヒクルを使用するグラビアイン
キは耐熱性が大幅に上昇する。また、キレート剤を配合
したインキは印刷インキが必要とする接着性、耐もみ
性、耐水性、耐油性においても十分満足できるものであ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式 H2N(RNH)nH …(I) (式中、Rは炭素数2〜3のアルキレン基、nは1〜5
    の整数を表す) で示されるポリアルキレンポリアミンからなるポリアミ
    ン成分と、 (B)水酸基を有する炭素数18〜22の脂肪族モノカルボ
    ン酸を含有する脂肪族モノカルボン酸成分と、 (C)重合脂肪酸を主成分とする多価カルボン酸成分と
    を (B)成分の酸当量/(C)成分の酸当量=0.05〜1.0
    とし、ポリアミン成分とカルボン酸成分とをほぼ等当量
    で縮合重合せしめたポリアミド樹脂を含有する印刷イン
    キ用ビヒクル。
  2. 【請求項2】ポリアミド樹脂とともに更にアルキルチタ
    ネート系キレート剤を含有する請求項1記載の印刷イン
    キ用ビヒクル。
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