JP2698429B2 - シアン化第二金塩の製造方法 - Google Patents

シアン化第二金塩の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金或いは金合金メッキ用シアン化金塩の製
造方法に関するものである。
(従来技術とその問題点) 従来、金或いは金合金メッキにおいて、メッキ浴とし
て、酸性、中性、およびアルカリ性の浴がその目的、用
途に応じて適宜用いられており、そのいずれにおいても
メッキ用試薬として、シアン化第一金塩が広く使用され
ている。
しかし、シアン化第一金塩は、酸性域において不安定
なため、メッキ操作上種々の工夫を要し、浴の管理も容
易ではない、という問題があった。
最近、金或いは金合金メッキにおいて、シアン化第二
金塩が酸性域においても安定的に挙動し、メッキ用試薬
として好適であるとのことで利用度が高まっている。
このシアン化第二金塩は、金塩化物をシアン化アルカ
リで錯化して得ることができる。シアン化金(III)を
シアン化アルカリで錯化する方法もあるが、シアン化金
(III)は金塩化物を出発物質とするので、前述の製造
方法に帰結する。
金塩化物をシアン化アルカリで錯化してシアン化第二
金塩を得るプロセスについては、ザ・メタラジィ・オブ
・ゴールド 第7版 1937年 第74頁〔THE METALLURGY
OF GOLD 7th Edition,1937,P74(Charles Griffin &
Company Ltd.)〕に例示があり、塩化金(III)や塩化
金酸の水溶液にシアン化アルカリを作用させてシアン化
第二金塩の母液とし、ついで冷却・晶析・乾燥してシア
ン化第二金塩結晶を得る方法が公知である。
改良プロセスとしては、特開昭61−38127に公知の塩
化金(III)の水溶液にシアン化カリウムを加えて反応
させ、反応生成物を晶出し、次いでシアン化第二金塩は
溶解し塩化カリウムを溶解しない有機系溶剤により一旦
溶解したのち再度濃縮・晶析を行い、乾燥の後シアン化
第二金塩結晶を得る方法がある。
前者の方法は、シアン化第二金塩結晶の基本的な製法
について示したものであるが、塩化金(III)や塩化金
酸の水溶液にシアン化アルカリを加えて錯化させる際に
有毒なシアン化水素ガスが発生すること。錯化する際の
条件によっては、シアン化第二金塩のほかにシアン化第
一金塩が生成すること。シアン化第二金塩結晶中に反応
副成物である塩化カリウムなどの塩化物が混入すること
などの問題点を有する。
後者の方法では、シアン化第二金塩結晶中に反応副成
物である塩化カリウムなどの塩化物が混入することにつ
いての改良について示しているが、シアン化水素ガスの
発生やシアン化第一金塩の生成について何ら解決策を提
示していない。
(発明の目的) 本発明は、有毒なシアン化水素ガスの発生を抑止する
とともに、シアン化第一金塩の生成を抑える目的でなさ
れたものであり、簡単な操作でしかも高品質のシアン化
第二金塩の製造方法を提供するものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、金塩化物を含む酸性溶液より有機溶媒で金
を抽出した後、該金抽出有機溶媒に炭酸塩を含むシアン
化アルカリ溶液を接触させて水相に逆抽出しつつ反応さ
せることにより、シアン化第二金塩溶液を得ることを特
徴とするシアン化第二金塩の製造方法であり、また逆抽
出反応において、水相の水素イオン濃度を5〜10の間に
調製しかつ、反応で消費されるシアン化アルカリを水相
に補充しつつ逆抽出反応を行うことを特徴とするもので
ある。
すなわち従来の製造方法では、シアン化水素の発生
は、強酸性である金の塩化物溶液に対してシアン化アル
カリ溶液を直接加える為に起こっていた。しかし本発明
では、金塩化物を含む酸性溶液から有機溶媒で金を塩化
物として一旦抽出し、該金抽出有機溶媒に炭酸塩を含む
シアン化アルカリ溶液を作用させて、逆抽出しつつ錯化
させるようにしているので従来の方法にくらべシアン化
水素の発生が起こり難い。
また炭酸塩は、シアン化アルカリ溶液が強酸性となる
のを防止する緩衝剤として働き、炭酸ガスの発生により
酸性度が上がらなくなるとともにシアン化水素ガスの発
生を防止する。
シアン化第二金は、強アルカリ性とすると還元してシ
アン化第一金となる性質を有しており、加熱などにより
助長される。従来の製造方法では、錯化の際に強アルカ
リ性であるシアン化アルカリを加えるので、撹拌が不十
分であったり、錯化の際の反応熱で温度が上がり過ぎた
りするような条件の違いによりシアン化第一金塩が生成
したりする傾向がある。
前述の炭酸塩は、ここにおいても、溶液が強アルカリ
性とならない様に緩衝作用を及ぼし、シアン化第一金塩
の生成を防止する。
本発明により得たシアン化第二金塩の溶液は、溶液の
まま使用したり、濃縮や晶析などの工程を経て結晶とし
て取り出して使用する。さらに従来より知られている再
結晶化や特公昭61−38127に示される工程を経れば、容
易に高純度化が可能である。
本発明方法では、塩化カリウムなどに副成する不純物
について言及しないのは、本発明方法の主目的がシアン
化第二金塩を製造する際の錯化工程に関するものであ
り、塩化カリウムなどの副成する不純物については従来
より知られている再結晶化や特公晶61−38127に示され
る有機溶剤浸出などの工程を利用するからである。
本発明における金塩化物とは、塩化金(III)、塩化
金酸などの三価の金塩化物である。酸性溶液とするに
は、塩酸酸性が好ましいが、塩化金も塩化金酸も水溶液
中では、強酸性を示すので特に酸で調製しなくとも良
い。
金塩化物の酸性溶液としては、金を硝酸と塩酸の混酸
に溶解し、次式により塩化金(III)酸溶液を生成し、
加熱濃縮して脱硝したものなどがある。
Au+HNO3+4HCl →HAuCl4+2H2O+NO 有機溶媒としては、金抽出試薬を含んだ非水性を有機
溶媒を用いる。金抽出試薬を含んだ非水性の有機溶媒と
しては、メチルイソブチルケトン、エチルエーテル、メ
チルエチルエーテルなど有機溶媒自身が金抽出試薬とし
て作用するもの、ジブチルカルビトール、トリブチルリ
ン酸、TOPOなどのように適当な有機溶剤を希釈して作用
させた方がよいものなどがある。一般的で入手し易い点
で、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」とよぶ。)
やエーテル類が好ましい。
また金抽出試薬を含んだ非水性の有機溶媒は、金以外
の金属を抽出する特性を有するものがある。金塩化物の
酸性溶液中に不純物として金以外の金属を含んでいる場
合には、酸性度を変えたり、抽出後の有機溶媒をスクラ
ビングする等の操作が必要になる。
金を抽出有機溶媒に炭酸塩を含むシアン化アルカリ溶
液を接触させると、有機溶媒中の金塩化物と水相中のシ
アン化アルカリとが反応してシアン化第二金塩が生成す
る。シアン化第二金塩は、有機溶媒に対して分配比が小
さいので、生成したシアン化第二金塩が有機相側へ移る
ことはほとんどない。
有機溶媒を用いた金塩化物の抽出系では、塩化金はHA
uCl3OH、塩化金酸はHAuCl4のように酸の形でイオン対抽
出される。従って前述の有機相から水相への逆抽出反応
において水相のpHが低下する傾向にある。反応の進行に
伴い、炭酸イオンが消費されるので、いずれは緩衝性を
有しなくなってしまう。この傾向は、塩化金(HAuCl3O
H)よりも塩化金酸(HAuCl4)のほうがより顕著であ
る。
こうした反応は、シアン化水素の発生の点で好ましく
ないので、水相の反応はpH=4より高い範囲にする必要
がある。工業的に好ましい操作条件には、水相溶液中に
過剰の炭酸イオンを残すことによりpHの急激な変動を抑
え、シアン化水素の発生を防止するような条件である。
その際のpHは5以上にすると過剰炭酸イオン分が安全率
となりより好ましく実用的である。
さらに、アルカリ側にあまり高くすると前述のシアン
化第二金塩のほかにシアン化第一金塩が生成する問題が
おこるので、水相のpHは、10以下とするのが良い。
本発明の特許請求の範囲第2項において、水相のpHを
5から10の間に調製するようにしているのはこの理由に
よるもので、水酸化アルカリや炭酸塩などでおこなう。
また炭酸塩には、製造するシアン化第二金塩がカリウム
塩の場合はカリウム塩を、ナトリウム塩の場合はナトリ
ウム塩を使用するなどアルカリ金属を同一のものとする
のが良く、シアン化アルカリや水酸化アルカリについて
も同様のことが言える。
シアン化第二金カリウムを製造する場合には、炭酸水
素カリウムや炭酸カリウムなどを単体でもしくは混合し
て使用する。さらにまた炭酸塩の水相中の濃度は、0.2
モル/以上になるように添加しておくと良い。
シアン化アルカリを水相に補充しつつ反応させるの
は、つぎのような理由による。
シアン化アルカリは、強アルカリ性を示し水相中に多
重に添加すると緩衝塩の存在下であっても前述の水相の
pH条件である10を超えてしまう。また、より高濃度のシ
アン化第二金カリウムの溶液とするためには、より多く
のシアン化アルカリを必要とするので、前述のpHを維持
するのに困難がともなうからである。
従って、炭酸塩を含んだ溶液と金を含んだ溶液とを接
触させつつ、前述のpH条件の範囲内でシアン化アルカリ
を補充しながら逆抽出反応をさせた方が反応の制御が容
易である。
以下、本発明に係わる実施例について説明するが、該
実施例は本発明を限定するものではない。
実施例・1 金濃度500g/の塩化金(III)溶液500mlにメチルイ
ソブチルケトン(MIBK)700mlを加えて1の分液ロー
ト中で約15分間混合撹拌した後、静置して、有機相と水
相を分離させた。金を抽出した結果、有機相と水相の比
重が逆転し、下層が金を抽出した有機相となっ4た。
下層の金を抽出した有機相を、次の分液ロート(5
)にあけ、当該有機相に1あたり炭酸水素カリウム
50gとシアン化カリウム100gを含むpH9.2とした溶液を、
反応当量の1.05倍にあたる3,450mlを約500ml毎、7回に
分けて添加・混合した。
炭酸水素カリウム500gとシアン化カリウム100gの混合
溶液を加える度に、有機相の黄色の着色が薄くなり、3,
450ml目では、有機相の着色が無くなり透明になった。
また混合溶液側である水相は、僅かに褐色澄明を示し
た。さらに有機相と水相が再び逆転し、上層が有機相、
下層が水相となった。
水相を、次の分液ロート(5)にあけ、さらにn−
ヘキサン100mlを加えてスクラビングし、水相に微量に
溶存するMIBKを除いた。
n−ヘキサン処理した水相を取り出し、イオンクロマ
トグラフィーでシアン化第二金カリウムとシアン化第一
金カリウムの分離定量分析をおこなったところ、シアン
化第一金カリウムは全く認められなかった。
また、7回の操作中の分液ロート内のシアン化水素ガ
スをガス検知管分析法で測定したところ、6回目まで
は、10ppm以下で、7回目は35ppmであった。さらに操作
終了後の、水相のpHは、8.5であった。
以上のように、本発明方法によるシアン化第二金塩の
製造方法は、シアン化第一金カリウムの生成が無く、シ
アン化水素ガスの発生も少ない。
比較例 1 実施例1に対応する比較例として、炭酸塩である炭酸
水素カリウムを添加しない場合について例示する。
実施例1と同様にして、金濃度500g/の塩化金(II
I)溶液500mlにメチルイソブチルケトン(MIBK)700ml
を加えて1の分液ロート中で約15分間混合撹拌した
後、静置して、有機相と水相を分離させた。
ついで下層の金を抽出した有機相を、次の分液ロート
(5)にあけ、当該有機相に1あたりシアン化カリ
ウム100gを含むpH12.6の溶液を、反応当量の1.05倍にあ
たる3,450mlを約500ml毎、7回に分けて添加・混合し
た。
シアン化カリウムの溶液を加える度に、有機相の黄色
の着色が薄くなり、3,450mlでは、有機相の着色が無く
なり透明になった。また混合溶液側である水相は、僅か
に褐色澄明を示した。さらに有機相と水相が再び逆転
し、上層が有機相、下層が水相となった。
水相を、次の分液ロート(5)にあけ、さらにn−
ヘキサン100mlを加えてスクラビングし、水相に微量に
溶存するMIBKを除いた。
n−ヘキサン処理した水相を取り出し、イオンクロマ
トグラフィーでシアン化第二金カリウムとシアン化第一
金カリウムの分離定量分析をおこなったところ、シアン
化第二金塩125g/に対してシアン化第一金塩2.3g/が
検出された。
また、7回の操作中の分液ロート内のシアン化水素ガ
スをガス検知管分析法で測定したところ、1〜3回目ま
では、10ppm以下であったが、4回目が25ppm、5回目が
18ppm、6回目が150ppm、7回目は650ppmであった。さ
らに操作終了後の、水相のpHは、4.9であった。
本比較例に示すように、炭酸塩が添加されていない
と、シアン化第一金塩が生成したり、シアン化水素ガス
の発生量が多い。また水相のpH変動も大きい。
従来例 1 本従来例は、公知技術であるTHE METALLURGY OF GOLD
7th Editionや特公昭61−38127に示される金塩化物の
シアノ錯体化工程に基づくものである。
金濃度500g/の塩化金(III)溶液500mlを2倍に希
釈し、次いで反応当量の1.05倍に相当するシアン化カリ
ウム溶液(250g/)1,400mlを撹拌下で徐々に添加し
た。
溶液の液色は、当初オレンジ色であったが、やがて濃
茶褐色になり、徐々に着色が薄くなり、1,400ml目で
は、着色が無くなり透明になった。
得られた溶液を、3,500mlまで希釈し、イオンクロマ
トグラフィーでシアン化第二金カリウムとシアン化第一
金カリウムの分離定量分析をおこなったところ、シアン
化第二金塩120g/に対してシアン化第一金塩0.8g/が
検出された。
またシアン化カリウム溶液を撹拌下で徐々に添加する
際には、シアン化水素ガスの発生があり、500ml目で
は、120ppm、1,000ml目では、80ppm、反応終了後は、15
0ppmであった 本従来例に示すように、従来の錯化工程では、シアン
化第一金塩が生成したり、シアン化水素ガスの発生量が
多いことを示している。
実施例 2 本実施例は、工業的規模でのシアン化第二金カリウム
の製造について示す。
(原料) 金塩化物溶液は次の方法により得る。
純度99.99%以上の金属金粉末4,000gと12.5の王水
(塩酸10:硝酸2.5)をガラス製の反応容器中で加
熱しつつ反応させ、金を溶解し、約5になるまで濃縮
し、ついで塩酸を約0.5滴下しつつ脱硝をおこない、
塩酸滴下完了後に8まで希釈・濾過の後、金濃度約50
0g/の金塩化物溶液とした。
この金塩化物溶液は、塩化金(III)と塩化金酸を含
む混合溶液で、塩化金(III)だけの溶液よりは、酸性
度が高い溶液である。この溶液を用いるのは、一旦塩化
金(III)や塩化金酸の試薬とするよりも工業的に製造
が容易であり、本発明の実施に何ら差し支えが無いから
である。
その他の薬品については市販の薬品を使用した。
(装置) 図は、本発明の実施に用いたシアン化第二金カリウム
の製造設備の模式図で、金塩化物を有機溶媒中に抽出す
る操作と水相に逆抽出しつつシアン化アルカリと反応さ
せる操作を行うための装置である。
原料や薬品の投入用配管1が接続され、pH計2、撹拌
機3、反応熱を逃がすための冷却用ジャケット、排気ダ
クト5を備え、底部6には液抜き弁7を設けてある。
(金塩化物の抽出操作) 図に示す装置内に、有機層としてMIBKを30をあらか
じめ入れておく。次いで本実施例の(原料)の項で述べ
た金塩化物溶液8を加え、約30分間撹拌機3を廻し
て、強く混合撹拌を行った。
水相9中の金塩化物は、有機相8であるMIBKに抽出さ
れ、反応開始前に橙色であった水相9は、僅かに黄色味
がかった色となり、一方有機相8は、橙色に着色する。
混合撹拌後、約30分間静置すると、上段が金を抽出し
た有機相8、下段が水相9となった。
金の量が多かったり、MIBKの量が少ないと比重差が無
くなり分離が困難になり、場合によっては、下段が金を
抽出した有機相8、上段が水相9となるので注意が必要
である。
実施例1と異なり、MIBK量を調整し下段に水相9がな
る様にしている理由は、水相9を装置外へ排出しやすく
するためである。
静置後は、装置の底部にある液抜き弁を開き、水相部
分のみを排出した。
(逆抽出反応操作) 次いで、装置内の金を抽出した有機相8(MIBK相)に
10%の炭酸水素カリウム(KHCO3)溶液5を加え、さ
らに強撹拌しつつ20%のシアン化カリウム(KCN)溶液
を徐々に加えた。またシアン化カリウムを徐々に加える
際に、pH計2の指示値が6以下になったら、10%の水酸
化カリウム(KOH)溶液をpH8になるまで加えるように
し、pH条件から外れない様に反応させた。
シアン化カリウムを加えてゆくにつれて、有機相8の
橙色の着色が薄くなり、MIBK層が無色透明になったとこ
ろを反応の終点とし、シアン化カリウム溶液を加えるの
をやめ、さらに約30分間混合撹拌を続けた後、撹拌を停
止した。反応を停止させるまでに、シアン化カリウム溶
液は27.7を要し、また水酸化カリウム溶液は1.5を
要した。
また反応中は、反応熱が発生して温度が上昇するの
で、冷却水を冷却用ジャケットに流し、80℃以上の温度
にならない様にしながら反応をさせた。
混合撹拌後、約30分間静置すると、上段がMIBKによる
有機相8、下段がシアン化第二金カリウムを含む水相9
となったので、装置の底部6にある液抜き弁7を開き、
シアン化第二金カリウムを含む水相9部分のみを排出し
た。
MIBKは、装置内に残しておき次の製造の際に再度使用
する。
(MIBK除去操作) 図と同様の装置を用い水相9中に僅かに残るMIBKを除
く目的で、揮発しやすいn−ヘキサン中に移すことによ
り洗浄する工程である。
図に示す装置内に、有機相8としてn−ヘキサンを10
をあらかじめ入れておく。次いで本実施例の(逆抽出
反応操作)の項で得た、シアン化第二金カリウムを含む
水相9部分を加え、55℃で約10分間撹拌機を廻して、強
く混合撹拌を行った。
この操作により、シアン化第二金カリウムを含む水相
9中の僅かにのこるMIBKは、n−ヘキサン側に移る。
混合撹拌後、約10分間静置すると、上段がn−ヘキサ
ンの有機相8、下段がn−ヘキサン処理後のシアン化第
二金カリウムを含む水相9となったので、装置の底部6
にある液抜き弁7を開き、水相9部分のみを排出した。
(晶析工程) MIBK除去操作を行った後のシアン化第二金カリウムを
含む水相9(約30)は、ステンレス製のビーカー(15
)3ケにおのおの等量になるように分け、冷媒を張り
込んだ冷却桶中で0℃になるまで撹拌しつつ晶析した。
ついで、285φのブフナー漏斗で濾過してシアン化第
二金カリウムの粗結晶(湿った状態で約10kg)を得た。
再結晶操作によって純度を上げるために、このシアン
化第二金カリウムの粗結晶を2分して、前述のステンレ
ス製のビーカー2ケに入れ、各々に85℃の熱純水を5
加えてとかした。
70℃で濾過を行って、溶液中に残るゴミなどを除き、
再びステンレス製のビーカー2ケに入れ、20℃まで冷却
桶中で冷却してシアン化第二金カリウムの再晶析結晶と
した。
(乾燥・分析) シアン化第二金カリウムの再晶析結晶は、角形のステ
ンレス皿にあけ、熱風式の乾燥機中で、70℃で12時間乾
燥を行い、シアン化第二金カリウム・無水塩の結晶5,95
0gを得た。
分析によりこの結晶を評価したところ、含金率57.88
重量%、水分0.01重量%とほぼシアン化第二金カリウム
・無水塩の理論値に相当し、また不純物としてのシアン
化第一金カリウムは認められず、塩化カリウムの含量も
0.005重量%と極めて純度の高いものであり、メッキ用
や試薬と使用しても全く差し支えの無いものであった。
実施例・3 金濃度500g/の塩化金(III)酸溶液(6N塩酸酸性)
1にMIBK300mlを加えて分液ロートで混合撹拌して静
置したのち、塩酸層を分離し、分液ロート内の金を抽出
したMIBKに炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム各18g/
を含むシアン化ナトリウム300g/の濃度の溶液を撹
拌下でゆっくりと加え、MIBK層が無色透明になったとこ
ろで水酸化ナトリウムを含むシアン化ナトリウム溶液を
加えるのをやめ、1時間静置し金を逆抽出した。
その後、5℃まで冷却してシアン化第二金ナトリウム
を晶析させ、この晶析物を濾過分離し5℃の脱イオン水
で洗浄後、乾燥機内80℃で12時間乾燥してシアン化第二
金ナトリウムの粉末結晶を得た。
この粉末を分析したところ、NaAu(CN)の純度99.8
5%、NaAu(CN)20.05%以下、銀イオン1ppmであった。
また、操作中のシアンガス測定をしたところ7ppmであ
った。
従来例・2 金濃度500g/の塩化金(III)水溶液に400g/シア
ン化カリウム特級試薬を溶解して調整した溶液を加えて
撹拌下で反応させ、溶液の色が淡黄色から無色透明にな
るまで加え、上記反応が終わった溶液を、液表面に皮膜
が形成し始めるまで100℃で加熱濃縮した後、5℃まで
冷却し晶出物を得た。
次いで、該晶出物をエチルアルコールで2段抽出を行
い、濾過して得られたエチルアルコール抽出液に純水を
加え撹拌後80℃で蒸留を行い、表面に結晶被膜ができる
まで濃縮した。
これを5℃まで冷却し、減圧濾過し得た晶出物を80℃
で12時間真空乾燥して粉末結晶を得た。
この粉末を分析したところ、KAu(CN)の純度99.36
%、KAu(CN)20.50%、KCl0.15%、銀イオン20ppmであ
った。
また、操作中のシアンガスを測定したところ75ppmで
あった。
(発明の効果) 本発明により、有毒なシアン化水素ガスの発生を抑止
するとともに、シアン化第一金塩の生成を抑えることが
できる。
本発明方法により得られたシアン化第二金塩には従来
法と比べシアン化第一金塩の含有率も少なく、溶媒抽出
条件の設定によっては銀イオンの含有率も少ない、高品
質のシアン化第二金塩を得ることができる。また、操作
中のシアンガスの発生も少ないため、従来の方法にくら
べより安全に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の一実施例を示す模式図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金塩化物を含む酸性溶液より有機溶媒で金
    を抽出した後、該金抽出有機溶媒に炭酸塩を含むシアン
    化アルカリ溶液を接触させ水相に逆抽出しつつ反応させ
    ることにより、シアン化第二金塩溶液を得ることを特徴
    とするシアン化第二金塩の製造方法。
  2. 【請求項2】逆抽出反応において、水相の水素イオン濃
    度を5〜10の間に調製しかつ、反応で消費されるシアン
    化アルカリを水相に補充しつつ逆抽出反応を行うことを
    特徴とする請求項1に記載の方法。
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