JP2698403B2 - パラジウムの回収方法 - Google Patents

パラジウムの回収方法

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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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    • Y02P10/20Recycling

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、パラジウムの回収方法に係わり、さらに詳
しくはチタン酸バリウムを誘電体成分として含むチップ
コンデンサのセラミック積層体部よりパラジウムを分離
抽出する方法に関するものである。
(従来技術とその問題点) チップコンデンサは、チタン酸バリウムなどからなる
誘電体層と金属パラジウムなどからなる電極層を交互に
積層したセラミック積層体部と銀などの金属を使用した
外部接続用電極部からなるコンデンサのことである。
このチップコンデンサは優れた特性を有するので近年
急速に普及したが、それに伴い不良品や廃品も発生して
いる。
チップコンデンサにはパラジウムが数%から10%程度
含まれているが、こうしたチップコンデンサより高価な
パラジウムを回収することは工業上の重要なことであ
る。
従来、これらチップコンデンサよりパラジウムを回収
する方法として、原料である不良品や廃品となったチッ
プコンデンサやそのセラミック積層体部を微粉砕したの
ち、磁気分離させる方法(特公昭61−35251号)や王水
で抽出する方法が知られている。
前者の方法は、パラジウムとチタン酸バリウムの磁気
的性質を利用し常磁性のパラジウムを着磁物として回収
し、反磁性体のチタン酸バリウムとを分離する方法であ
る。
しかしこの方法では、回収率が96〜99%と高い反面、
非着磁物側では難濾過性であるチタン酸バリウムのスラ
リーが大量に発生し、目的であるパラジウム抽出以外の
濃縮脱水や公害処理に大きな手間がかかること、磁場を
強くするための電磁石の電力コストが膨大であることな
ど多くの問題点を有している。
後者の方法は、原料中のパラジウムを王水で溶解し、
チタン酸バリウム沈澱物とパラジウム溶液とに固液分離
抽出した後に、パラジウムを金属として回収する方法で
ある。
しかしこの方法では、固液分離操作としての濾過に困
難が伴い、原料を細かく砕くとパラジウム抽出率は高く
なるが、濾過が益々困難となる。また原料を粗く砕くと
濾過は問題がないがパラジウム抽出率が低下する。
80メッシュ通過程度の粉砕粒度では、パラジウムの王
水による抽出率は60〜70%程度であり、複数回の抽出に
よっても90%の以上の抽出率を確保することは困難であ
るなどの問題点を有している。
以上のように、従来の方法はその処理方法に大きな問
題を有しており、良い回収方法が望まれていた。
(発明の目的) 発明者は、貴金属を回収する方法の研究の結果、本発
明を成すに至った。
本発明の目的は、パラジウム抽出率の向上と難濾過性
成分であるチタン酸バリウムの問題を解決するところに
あり、チタン酸バリウムを誘電体を含むチップコンデン
サのセラミック積層体部よりパラジウムを分離抽出する
方法を提供するところにある。
発明者は、チップコンデンサのセラミック積層体部の
主成分であるチタン酸バリウムが王水処理に際して分解
し、塩酸に難溶性である塩化バリウムを形成するため
に、濾過性の低下やパラジウム抽出の妨害をすることを
見出した。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、チタン酸バリウムを誘電体成分として含む
チップコンデンサのセラミック積層体部よりパラジウム
を分離抽出するに際し、従来の王水に変わり硝酸で抽出
することにより飛躍的に抽出率を向上させることができ
るとともに、濾滓中に含まれるパラジウムも硝酸により
洗浄することにより濾過性も向上する。
(作用) 以下、本発明をより明瞭ならしめるために、本発明の
作用について説明する。
本発明方法においては、パラジウムを含むチタン酸バ
リウムを誘電体主成分とするセラミック積層体をあらか
じめ粉砕しておく必要がある。粉砕粒度が粗いと抽出率
の低下を招くので、粉砕においてはより微細に粉砕して
おくことが好ましく、粉砕粒度はおおむね100メッシュ
以下としておくと良い。
次いで前記粉砕物を、硝酸と反応させることにより粉
砕物中に含まれる金属パラジウムを溶解浸出させる。
チップコンデンサのセラミック積層体部の主成分であ
るチタン酸バリウムは硝酸処理に際して分解し、硝酸バ
リウムを形成するが、可溶性であるために王水抽出法の
ように難溶性塩を形成することがない。
またパラジウムの溶解において、塩酸の塩素イオン成
分が塩化バリウムとして固定され、王水中の塩酸濃度が
低下するので酸度の低下とともに薬効も低下するが、本
発明方法では硝酸を用いているので硝酸イオンが固定さ
れることがなく薬効の低下が起こりにくい特徴がある。
パラジウムの溶解抽出に使用する硝酸は、市販の濃硝
酸(15規定)を使用すればよいが、7.5規定程度の稀硝
酸でもパラジウムの溶解抽出をすることができる。しか
し5規定以下になると、溶解抽出効率の低下がおこり始
めるので、5規定以上の硝酸濃度のもので溶解抽出する
のが適当である。
次なる工程であるパラジウムの溶解浸出液と残滓とを
分離する固液分離操作においても、濾滓の洗浄にも硝酸
を使用する。洗浄に使用する硝酸は1規定以上のものが
良く、通常は2〜5規定程度のものを使用するのが良
い。これより濃度の高いものであっても差し支え無い
が、洗浄に使用するコストを考慮するとあまり高いもの
は好ましくない。また1規定以下の硝酸では、酸化チタ
ンの白沈が生じ、濾過速度が低下するので好ましくな
い。塩酸や硫酸では、難溶性塩であるバリウム塩が形成
するので、やはり濾過性の低下を招く。
本発明は、これらの作用にもとずくものであるが、い
ずれの工程においても硝酸以外の酸では、高い抽出率を
得ることができず、濾過性の改善は困難である。これ
は、前記難溶性塩の形成によるものであり、チタン酸バ
リウムを誘電体に使用したチップコンデンサよりパラジ
ウムを溶解抽出する際におこる特有の問題といえる。
以下、本発明をより明瞭ならしめるために、本発明の
実施の一例についてのべる。なお、実施例の説明におい
て硝酸濃度を表現する際、JIS規格K8001「試薬試験方法
通則」の希釈溶液調製方法の名称を用いる。例えば硝酸
(1+4)とは、濃硝酸(60%)1と水4とを混合
した硝酸を意味する。
(実施例 1) チタン酸バリウムを誘電体成分として含むチップコン
デンサ廃棄物を、平均粒径40ミクロン程度に微粉砕した
ものについて本発明を実施した。
微粉砕したチップコンデンサ廃棄物8,000gを10の磁
性蒸発皿2皿に各4,000gとり、これに各々硝酸(工業用
60%)4を加え、強加熱しつつ微粉砕したチップコン
デンサ廃棄物中のパラジウムを80〜110℃で撹拌しつつ
溶解浸出した。
パラジウムの溶解浸出を始めて、約1時間は赤い窒素
酸化物が発生したが、以降赤い窒素酸化物の発生が収ま
ったので1時間30分後に加熱を中止し、50℃になるまで
自然放冷した。
自然放冷後、濾紙(東洋濾紙製、No.131(下段),No.
26(上段)を敷いた285φのブフナー漏斗上にあけ吸引
濾過を行ったところ、約10分で濾過が終了したので、続
いて硝酸(1+4)4を加えてよく洗浄し、チップコ
ンデンサ廃棄物中のパラジウムを抽出回収した。洗浄液
の濾過には、約30分を要した。
パラジウムの抽出率は、各々88.9%、93.1%と高いも
のであった。また濾過洗浄時間も計40分であった。
(従来例 1) チタン酸バリウムを誘電体成分として含むチップコン
デンサ廃棄物を、平均粒径40ミクロン程度に微粉砕した
ものについて従来技術である王水抽出法を適用した。
微粉砕したチップコンデンサ廃棄物8,000gを10の磁
性蒸発皿2皿に各4,000gとり、これに各々王水(硝酸:
塩酸=1:3)4を加え、強加熱しつつ微粉砕したチッ
プコンデンサ廃棄物中のパラジウムを70〜100℃で撹拌
しつつ溶解浸出した。
パラジウムの溶解浸出を始めて、約1時間は赤い窒素
酸化物が発生したが、以降赤い窒素酸化物の発生が収ま
ったので1時間30分後に加熱を中止し、50℃になるまで
自然放冷した。
自然放冷後、濾紙(東洋濾紙製、No.131(下段),No.
26(上段))を敷いた285φのブフナー漏斗上にあけ吸
引濾過を行ったところ、約70分で濾過が終了したので、
続いて硝酸(1+4)4を加えてよく洗浄し、チップ
コンデンサ廃棄物中のパラジウムを抽出回収した。洗浄
液の濾過には、約240分を要した。
パラジウムの抽出率は、各々72.5%、70.8%と硝酸抽
出法に比べ低いものであった。また濾過洗浄時間も計31
0分かかり、実施例1に比べて約8倍を要した。
濾滓を再び王水で再処理したところパラジウムの抽出
率の合計は、各々94.2%、91.5%となり、王水法では2
回抽出を行わないと硝酸を使用した本発明方法と同様の
効果が期待できず、また溶解、濾過、洗浄に要する時間
も膨大なものになる。
(比較例 1) チタン酸バリウムを誘電体成分として含むチップコン
デンサ廃棄物を、平均粒径40ミクロン程度に微粉砕した
ものについて本発明を実施した。
微粉砕したチップコンデンサ廃棄物8,000gを10の磁
性蒸発皿2皿に各4,000gとり、これに各々硝酸(工業用
60%)4を加え、強加熱しつつ微粉砕したチップコン
デンサ廃棄物中のパラジウムを80〜110℃で撹拌しつつ
溶解浸出した。
パラジウムの溶液浸出を始めて、約1時間は赤い窒素
酸化物が発生したが、以降赤い窒素酸化物の発生が収ま
ったので1時間30分後に加熱を中止し、50℃になるまで
自然放冷した。
自然放冷後、濾紙(東洋濾紙製、No.131(下段),No.
26(上段))を敷いた285φのブフナー漏斗上にあけ吸
引濾過を行ったところ、約10分で濾過が終了したので、
続いて硝酸(1+20)4を加えてよく洗浄し、チップ
コンデンサ廃棄物中のパラジウムを抽出回収した。洗浄
液の濾過には、約280分を要した。
パラジウムの抽出率は、各々88.6%、87.5%と実施例
1と同様に高いものであったが、濾過洗浄時間は計290
分を要し実施例に比べ時間がかかった。
(実施例 2) 本実施例は、本発明方法の濾過速度を検討したもの
で、前記実施例1と同様のパラジウム溶解浸出工程を経
たものについて洗浄に使用する硝酸濃度を変えて濾過洗
浄にかかった時間を測定したものである。
4,000gチップコンデンサ廃棄物を硝酸で処理し、パラ
ジウムを溶解浸出した後、50℃になるまで自然放冷した
もの5点について、濾紙(東洋濾紙製、No.131(下
段),No.26(上段))を敷いた285φのブフナー漏斗上
にあけ吸引濾過を行った。
次いで各々濃硝酸、硝酸(1+1)、硝酸(1+
5)、硝酸(1+9)、硝酸(1+14)4による洗浄
を行い洗浄に使用する硝酸濃度と濾過時間との関係を洗
浄液を加えてから濾滓上の洗浄液がなくなるまでの時間
で測定した。測定結果を表−1にしめす。
(比較例 2) 本比較例は、本発明方法の濾過速度を検討したもの
で、前記実施例2よりも硝酸濃度が低いものについて濾
過洗浄にかかった時間を測定したものである。
4,000gチップコンデンサ廃棄物を硝酸で処理し、パラ
ジウムを溶解浸出した後、50℃になるまで自然放冷した
もの2点について、濾紙(東洋濾紙製、No,131(下
段),No.26(上段))を敷いた285φのブフナー漏斗上
にあけ吸引濾過を行った。
次いで各々硝酸(1+19)、純水4による洗浄を行
い洗浄に使用する硝酸濃度と濾過時間との関係を洗浄液
を加えてから濾滓上の洗浄液がなくなるまでの時間で測
定した。測定結果を表−1にしめす。
表−1のように、硝酸(1+14)を境にして濾過時間
に大きな差がある。硝酸(1+14)は約1規定に相当す
るので、発明方法による残滓の洗浄に使用する硝酸濃度
は1規定以上とすべきである。
(実施例 3) 本実施例は、チップコンデンサ粉砕物から、パラジウ
ムを溶解浸出する際の硝酸濃度と抽出率との関係を検討
したものである。
チップコンデンサ粉砕物の量は、1,000gとし濃硝酸4
、硝酸(2+1)4、硝酸(1+1)4、硝酸
(1+2)4を使用した場合について溶解浸出をし
た。濾過洗浄には実施例1と同様に硝酸(1+5)を使
用し抽出率を求め、測定結果を表−2に示す。
(比較例 3) 本比較例は、チップコンデンサ粉砕物から、パラジウ
ムを溶解浸出する際の硝酸濃度が低い場合についての抽
出率を求めたものである。
チップコンデンサ粉砕物の量は、1,000gとし硝酸(1
+3)4を使用した場合について溶解浸出をした。濾
過洗浄には実施例1と同様に硝酸(1+5)を使用し抽
出率を求め、測定結果を表−2にあわせて示す。なお比
較例3の濾過洗浄には約60分を要したが王水法のものよ
りも速かった。
表−2からわかるように、硝酸(1+2)以上の濃度
ものについては抽出率が80%以上と高いものであるが、
硝酸(1+3)の濃度のものでは抽出率が68.3%と低
く、従来例1と同程度であった。硝酸(1+2)は約5
規定に相当するので本発明において、パラジウムの溶解
浸出に使用する硝酸の濃度は5規定以上とすべきであ
る。
(実施例 4) 本実施例は、抽出率を向上させる目的で硝酸で2回溶
解浸出処理するとともに、スケールアップにより20kgの
チップコンデンサ粉砕物よりパラジウムを抽出回収した
例について示す。
ステンレス製のミキサー式反応溶解釜(容量50)に
前記チップコンデンサ粉砕物20kgと硝酸20を投入し、
強撹拌しつつ115℃で約90分間加熱下で反応させパラジ
ウムを溶解し、次いで600φの濾過器で濾過洗浄した。
濾滓を取り出し前記ミキサー式反応溶解釜に投入し、
再び濃硝酸20を加えて、強撹拌しつつ115℃で約90分
間加熱下で反応させパラジウムを溶解させ、再度600φ
の濾過器で濾過洗浄した。
濾液中のパラジウム濃度よりパラジウムの抽出度合い
を求めたところ、1回目91.2%、2回目6.9%となり、
計98.1のパラジウムを抽出回収することができた。
(発明の効果) 以上のように本発明によるパラジウムの回収方法は、
チタン酸バリウムを誘電体成分として含むチップコンデ
ンサ粉砕物よりパラジウムを抽出するに際して、5規定
以上の硝酸を用い、溶解浸出後の洗浄に1規定以上の硝
酸を使用している。その結果として難溶性塩の生成を防
止するとともに溶解抽出液の力価の低下を抑えるので、
従来の方法に比べ濾過性が改善されるとともに、抽出率
が大幅に向上させることができるといった特徴を有す
る。また反応容器として従来は、グラスライニングやチ
タン製のように破損しやすかったり、高価であるものを
使用していたが、本発明方法においては、ステンレス製
の反応容器を使用することができるなどの全く別の効果
もある。
本発明は、工業上重要であるパラジウムを容易にか
つ、高収率で回収することができるので発明の効果大な
るものといえる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン酸バリウムを誘電体主成分としパラ
    ジウムを含むセラミック積層体からパラジウムを回収す
    る方法において、前記セラミック積層体を粉砕する工程
    と、5規定以上の硝酸と反応させてパラジウムを溶解浸
    出する工程と、洗浄水として1規定以上の硝酸を使用し
    て固液分離する工程とから成ることを特徴とするパラジ
    ウムの回収方法。
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