JP2697582B2 - 分割電極めっき装置および電流値決定方法 - Google Patents

分割電極めっき装置および電流値決定方法

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JP2697582B2
JP2697582B2 JP5297185A JP29718593A JP2697582B2 JP 2697582 B2 JP2697582 B2 JP 2697582B2 JP 5297185 A JP5297185 A JP 5297185A JP 29718593 A JP29718593 A JP 29718593A JP 2697582 B2 JP2697582 B2 JP 2697582B2
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靖博 平山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、めっき装置に関し、特
に、アノードを分割して、各アノードに対して個別に電
流値を設定可能な分割電極めっき装置、およびそのめっ
き装置の各アノードの電流値決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術について図面を参照して説明
する。図4は例えば特開昭61−28189号公報に
示される従来の一例を示す図である。
【0003】図4に示すめっき装置は、めっき対象物に
めっきをするための電流を発生させる電源41と、隔壁
48によって区切られた複数の分割アノード47と、前
記分割アノードに電流を流すために接続された給電回路
45または電流を流しにくくする抵抗回路44が選択で
きる切替スイッチ43と、前記給電回路45に流れる電
流が規定値以上流れた場合にそれを検知して前記切替ス
イッチを前記抵抗回44側へ切替る電流検知器43と、
前記切替スイッチ43が前記抵抗回路44側に接続され
たときに設定時間経過後に元の給電回路45側に復帰さ
せるタイマ46を含んでいる。
【0004】このめっき装置では、分割アノード47を
めっき対象物であるプリント基板端子に対応に設け、直
列に電流検知器42と切替スイッチ43とを設け、給電
回路44と抵抗回路45とを切替えることにより、1つ
のアノードでめっきする場合であれば、どうしても避け
られなかった端子の場所によるめっきの厚さのばらつき
を、個々の端子ごとに(ピンごとに)制御できるように
して均一化しているので、より最大電流密度を高くとる
ことができ、これに応じてめっき処理時間を短縮できる
等の効果をもたせている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のめっき
装置は、分割アノードごとに電流値を制御することが可
能ではあるが、この場合の電流値の調整は、あくまでも
同一の形状のめっき対象物に対するめっきの厚さのばら
つきを制御することを目的とし、分割アノードに対応す
るめっき対象物の形状やめっきを施す面積が異なる場合
には、実験(試行錯誤)を繰り返し段々と目標に近付け
ていく以外になく、簡単に対応できないという問題があ
る。
【0006】本発明の目的は、分割アノードに対応する
めっき対象物の形状や面積が異なる場合であっても、め
っきの厚さのばらつきを制御し均一化することができる
めっき装置および電流値決定方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】第一の発明の分割電極め
っき装置は、複数の電源によって、めっき対象物をめっ
きするために必要なめっき電流を供給する電源部と、め
っき槽内で複数の隔壁によって区切られ前記電源の数と
同数の分割アノードに前記電源部より供給される電流に
よってめっき対象物にめっきを施す電極部と、前記電源
部の電源に設定する電流値を決定するための電流値指令
を出す制御部とを含むことを特徴とする。
【0008】第二の発明のめっき電流決定方法は、第一
の発明の分割電極めっき装置の電極部の分割アノードの
分割数に対応させてめっき対象物のめっきすべき範囲を
電極数と同数に分割した各範囲のめっきすべき面積を求
める面積分割手順と、前記面積分割手順で求めた各範囲
のめっきすべき面積と目標めっき膜厚とめっき電流値の
関係を行列で表現する行列表現手順と、前記行列表現手
順で求めた行列表現を用いて過去のめっき実施データを
用いて行列の各要素を求める行列解析手順と、前記行列
解析手順で求めた行列の各要素をもとにめっき電流値を
算出する電流値算出手順を含むことを特徴とする。
【0009】
【実施例】次に、本発明について、図面を参照して詳細
に説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例を示す構成図であ
る。図1に示す分割電極めっき装置は、電極部2におけ
る分割アノード21の分割数だけある電源11によっ
て、めっき対象物3をめっきするために必要なめっき電
流を供給する電源部1と、めっき槽4内で隔壁22によ
って区切られめた分割アノード21で前記電源部1より
供給される電流によってめっき対象物3にめっきを施す
電極部2と、前記電源部1の電源11に設定する電流値
を決定するための電流値指令51を出す制御部5を含ん
で構成される。
【0011】図2は、図1に示した分割電極めっき装置
の各々の電源11に設定する電流値指令51を決定する
手順を示したフローチャートである。図2に示すめっき
電流値決定手順は、電極数に対応させてめっき対象物の
めっきすべき範囲を電極数と同数の範囲に分割し各範囲
のめっきすべき面積を求める面積分割手順101と、前
記面積分割手順101で求めた各範囲のめっきすべき面
積と目標めっき膜厚とめっき電流値の関係を行列で表現
する行列表現手順102と、行列表現手順102で求め
た行列表現を用いて過去のめっき実施データを用いて行
列の各要素を求める行列解析手順103と、行列解析手
順103で求めた行列の各要素をもとにめっき電流値を
算出する電流値算出手順104を含んで構成される。
【0012】図1に示すめっき装置においてめっき対象
物3にめっきを施す場合、制御部5より電流値指令51
によって電源部1の電源11に流す電流値が決定する
が、電源11の各々を電流源としておくことにより一定
の電流値が設定できるようにしておく。
【0013】電流値指令51を求める手順を以下に説明
する。図3(a)のようにアノードの分割が縦横それぞ
れ3分割した合計9分割である場合を考える。
【0014】面積分割手順101では、めっき対象物3
も分割アノード21のA1〜A9に合わせて9分割にし
たものを考え、各範囲を分割アノード21に合わせてP
1〜P9とする。それぞれの範囲内のめっきすべき面積
を求める。めっきすべき面積は、多層セラミック基板の
場合は、配線パターンの面積なので、多層セラミック基
板の設計時のCADデータを用いて求める。CADデー
タには配線パターンの始点と終点の座標や配線パターン
の幅の情報をが入力されており、その情報を用いてP1
〜P9の各範囲内のめっきすべき面積が求められる。め
っきすべき総面積はP1〜P9の面積を加えたものとす
れば良い。
【0015】以下、図3(a)のように電極部2の分割
アノードA1〜A9のそれぞれに流れる電流値をi1〜
i9、A1〜A9の各アノードのそれぞれに対応してい
るめっき対象物3の各範囲をP1〜P9とし、範囲P1
〜P9の各範囲の、めっきすべき面積をs1〜s9とす
る。めっき対象物3の範囲P1〜P9の目標めっき膜厚
をd1〜d9としておく。行列表現手順102の、めっ
きすべき面積と目標めっき膜厚とめっき電流値の関係は
以下の関係から導かれる。
【0016】電流値と膜厚の関係は次の式のように表さ
れる。 i=ρds/(kt) (A) ただし、 d:平均膜厚 k:電気化学当量 i:電流 t:めっき時間 s:めっき面積 ρ:金属の密度 このとき、めっき対象物3の範囲P1を膜厚d1にめっ
きするために必要な電流値をはめっき時間tを一定にし
た場合に以下のようになる。 ρd1s1/(kt) (A) めっき槽内4でめっき対象物3めっきを行う場合、図3
(b)のように、電極A1に流す電流i1のうち範囲P
1に流れ込む電流は電流値(A)のうちのc1,1 倍に相
当する電流値が流れ込むとし、範囲P2に流れ込む電流
は電流i1のc1,2 倍が流れ込むとする。以下同様に電
極Anから範囲Pmに流れ込む電流は範囲Pmに必要な
電流ρdmsm/(kt)のうちのcn,m 倍とする。
【0017】これらの関係から、次式が導かれる。 I=ρ/(kt)・CSD (B) ただし、
【0018】
【0019】電流値算出手順104では、行列表現手順
103で得られた、行列表現の式(B)式を用いて行列
Cの各要素であるci,j を求める。行列Cは、過去のめ
っき電流値、めっきすべき面積、めっき後の測定膜厚の
データを用いれば最小自乗法などで推定できる。行列C
を求めることにより、行列表現の式(B)を用いて制御
部5で設定する電流値指令51を求めることができる。
【0020】このようにして、それぞれの分割アノード
に流す電流値を、過去のデータをもとにして算出するこ
とにより、過去のデータを反映しためっきを行うことが
できるので、めっき膜厚が均一にできるデータをより多
く用いることにより、新たな配線パターンを持った多層
セラミック基板に対してもめっき膜厚を均一にできる電
流値を試行錯誤の回数を大幅に減少させて求めることが
できる。
【0021】また、この分割めっき装置を利用すること
により、多層セラミック基板だけでなく、一般的に、あ
らかじめ設定した電流値のままで一定時間めっきを行う
方式のめっき装置を利用するめっき対象物であれば、本
発明の分割めっき装置、および電流値決定手法を利用す
ることによりめっき膜厚を調整することが可能となる。
例えば、図3(a)において範囲P1〜P3を範囲P4
〜P9に比べて1μm程度厚くするといった場合にも応
用もできる。
【0022】
【発明の効果】分割電極めっき装置に対して電流、面
積、膜厚等の関係を行列を用いて表現することによっ
て、過去の例を用いてめっき対象物のめっきすべき面積
と、分割アノードに応じた分割面積を求めることにより
めっき膜厚を均一にする電流値が決定でき、分割アノー
ドに設定する電流値を決定するまでの、めっき対象物に
めっきを施す試行回数を減少させることによりコストダ
ウンにつながる。
【0023】また、この分割めっき装置を利用すること
により、多層セラミック基板だけでなく、一般的に、設
定した電流値のままで一定時間めっきを行う方式のめっ
き装置を利用するめっき対象物であれば、本発明の分割
めっき装置、および電流値決定手法を利用することによ
りめっき膜厚を調整することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】図1に示すめっき装置のめっき電流決定手順を
示すフローチャートである。
【図3】分図(a),(b)は図1の実施例での電極部
とめっき対象物の関係を示す図である。
【図4】従来のめっき装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 電源部 2 電極部 3 めっき対象物 4 めっき槽 5 制御部 11 電源 12 可変抵抗 21 分割アノード 22 隔壁 51 電流値指令 41 電源 42 電流検知器 43 切替スイッチ 44 抵抗回路 45 給電回路 46 タイマ 47 分割アノード 48 隔壁 51 電流値指令 101 面積分割手順 102 行列表現手順 103 行列解析手順 104 電流値算出手順

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電源によって、めっき対象物をめ
    っきするために必要なめっき電流を供給する電源部と、
    めっき槽内で複数の隔壁によって区切られ前記電源の数
    と同数の分割アノードに前記電源部より供給される電流
    によってめっき対象物にめっきを施す電極部と、前記電
    源部の電源に設定する電流値を決定するための電流値指
    令を出す制御部とを含む分割電極めっき装置において、 分割電極めっき装置の電極部の分割アノードの分割数に
    対応させてめっき対象物のめっきすべき範囲を電極数と
    同数に分割した各範囲のめっきすべき面積を求める面積
    分割手段と、前記面積分割手段で求めた各範囲のめっき
    すべき面積と目標めっき膜厚とめっき電流値の関係を行
    列で表現し、行列表現を用いて過去のめっき実施データ
    を用いて行列の各要素を求める行列解析手段と、前記行
    列解析手段で求めた行列の各要素をもとにめっき電流値
    を算出する電流値算出手段を具備することを特徴とする
    分割電極めっき装置。
  2. 【請求項2】 複数の電源によって、めっき対象物をめ
    っきするために必要なめっき電流を供給する電源部と、
    めっき槽内で複数の隔壁によって区切られ前記電源の数
    と同数の分割アノードに前記電源部より供給される電流
    によってめっき対象物にめっきを施す電極部と、前記電
    源部の電源に設定する電流値を決定するための電流値指
    令を出す制御部とを含む分割電極めっき装置において、 分割電極めっき装置の電極部の分割アノードの分割数に
    対応させてめっき対象物のめっきすべき範囲を電極数と
    同数に分割した各範囲のめっきすべき面積を求める面積
    分割手順と、前記面積分割手順で求めた各範囲のめっき
    すべき面積と目標めっき膜厚とめっき電流値の関係を行
    列で表現する行列表現手順と、前記行列表現手順で求め
    た行列表現を用いて過去のめっき実施データを用いて行
    列の各要素を求める行列解析手順と、前記行列解析手順
    で求めた行列の各要素をもとにめっき電流値を算出する
    電流値算出手順を含むことを特徴とするめっき電流決定
    方法。
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