JP2695660B2 - 電圧非直線抵抗体 - Google Patents
電圧非直線抵抗体Info
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Description
非直線抵抗体に関するものである。
体には、その具備すべき能力として電圧非直線性に優
れ、サージ吸収能力が大きく、かつ課電劣化を起しにく
く長寿命である等が要求されている。さらに、装置の小
型化、簡略化を目的とし、種々の電気機器に内蔵される
避雷器も増加している。この場合、さらに耐環境性(高
湿度下、腐蝕性雰囲気下、油中での使用など)に優れる
ことも必須である。
鉛電圧非直線抵抗体の側面部における外部閃絡がある。
すなわち、電圧非直線抵抗体素子端面での微小放電をト
リガとする場合が多く、このため、通常第10図に示すよ
うに、電極(2)を持つ電圧非直線抵抗体本体(1)の
側面部に高抵抗層(3)を形成してこれを防止する方法
がとられている。
には、従来3つの方法が知られている。
述べられているように、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アン
チモン(Sb2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)の混合粉末を
有機バインダと混練してペースト状とし、これを電圧非
直線抵抗体本体(1)となる成形体の側面に塗布した
後、電圧非直線抵抗体本体(1)と同時に焼結して高抵
抗層(3)を有する電圧非直線抵抗体を形成するもので
ある(第10図参照)。この高抵抗層(3)の微細構造
は、数μm〜数十μm程度の大きさのケイ酸亜鉛(Zn2S
iO4)とアンチモン酸亜鉛(Zn7Sb2O12)の微結晶集合体
からなる多結晶体であり、この多結晶体の周囲を埋める
ように所々に酸化ビスマス(Bi2O3)が散見される。
で外部閃絡せずに電圧非直線抵抗体を安定して動作させ
るか、いわゆるインパルス耐量であるが、これを向上さ
せるために、混合粉末組成の最適化と高抵抗層(3)の
厚さを厚くするなどの手段が講じられている。この高抵
抗層(3)の構造は、高抵抗層(3)の厚さを厚くする
と、電圧非直線抵抗体本体(1)に近い方にケイ酸亜鉛
(Zn2SiO4)が比較的多い層、その外側にアンチモン酸
亜鉛(Zn7Sb2O12)が多い層が生じるなど完全な混合層
ではなく、層別化する傾向がみられる。またこの時、ケ
イ酸亜鉛層と電圧非直線抵抗体本体(1)の間には、空
隙(ボイド)が生じ易いことなども判明してきている。
記載されたように、一担焼成した電圧非直線抵抗体本体
(1)の側面に、ガラスフリットを有機バインダと共に
ペースト状として塗布し、これを加熱しガラス化して高
抵抗層(4)とするものである(第11図参照)。この方
法は、一般に第1番目の方法に比較して緻密な層を形成
することができるため、水、油、反応性ガスに対して電
圧非直線抵抗体本体(1)を保護する効果は大きい。
抵抗層(3)、(4)を同時に有する第12図に示したよ
うな構造のもので、例えば特公昭第53−29375号公報に
詳しく記載されている。この方法は、インパルス電流通
電時の外部閃絡防止、周囲の雰囲気に対する諸特性の安
定化すなわち耐環境性の向上を、2つの異る高抵抗層を
形成によって図るものである。特に、極めて苛酷な条件
下、例えば高湿下で課電される電圧非直線抵抗体素子の
場合には、最外表面部を緻密化した第3番目の方法は、
ある条件下では耐湿性、閃絡防止に奏効した。例えば、
室温(約30℃)、高湿下(95%RH)に放置した後のV
10μA(10μAの電流を流すのに要する電圧)の経時変
化を第2図に示す。図中、曲線Bは第1の方法によるも
ので、その変化率は30%以上と大きい。なお、多結晶集
合体の形成による平均層厚が100μmの場合には層厚が
厚いため、インパルス耐量は100KA以上を確保できる。
次に曲線Cは、第3番目の方法を適用したものである。
すなわち、第1層の多結晶集合体が100μm程度の厚さ
を有する曲線Bの電圧非直線抵抗体素子の上に、第2層
としてガラス層を形成したものである。この場合、短期
的には有効性を示すが、極めて長期放置後には、やはり
低電流側でのもれ電流の増大がみられることが明らかに
なった。
目の方法により製造した場合、緻密な第2層が存在して
も第1層の層厚が電圧非直線抵抗体素子の側面層の安定
性に重大な影響を与えることが確められた。すなわち、
この原因は第1層目の高抵抗層と電圧非直線抵抗体本体
との界面付近の低抵抗化によるもれ電流の増大のためで
あると判明した。しかし、このような傾向は、当然苛酷
な環境下での電圧非直線抵抗体素子の使用を考えると望
ましいものではなく、例えば電圧非直線抵抗体素子自体
の短寿命化をまねく可能性があるなどという問題点があ
った。また、逆の極端な場合、例えば第1層をなくして
しまうなどの場合には、雷インパルス大電流試験におけ
る放電耐量が小さくなるという問題点があった。すなわ
ち、第1層の層厚にはある範囲の最適値が存在すること
が判明した。
たもので、第1層および第2層の形成条件を最適化する
ことにより、長寿命で耐環境性の向上した放電耐量を有
する電圧非直線抵抗体を得ることを目的とする。
分とし少なくとも酸化ビスマスを含む原料を成形後焼成
した電圧非直線抵抗体本体の側面に、平均値として5μ
m以上、30μm未満の厚さで形成され、ケイ酸亜鉛、ア
ンチモン酸亜鉛及び酸化ビスマスからなる多結晶混合高
抵抗層(第1層)を形成し、さらにこの多結晶混合高抵
抗層の外側に20μm以上の厚さでガラス層(第2層)を
形成したものである。
に、所定厚さの多結晶混合高抵抗層(第1層)及びガラ
ス層(第2層)を形成したので、電圧非直線抵抗体の表
面が緻密化され、電圧非直線抵抗体の耐量が増大され、
さらにその耐湿性の向上が図られる。
を概略的に示す断面図であり、電圧非直線抵抗体本体
(1)は、酸化亜鉛を主成分とし少なくとも酸化ビスマ
スを含む原料を成形後焼成したものであり、この電圧非
直線抵抗体本体(1)の上面及び下面には電極(2)が
設けられている。また、電圧非直線抵抗体本体(1)の
両側面には、ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4)、アンチモン酸亜
鉛(Zn7Sb2O12)および酸化ビスマス(Bi2O3)からなる
多結晶混合高抵抗層(第1層)(3A)が、平均値として
5μm以上、30μm未満の厚さで形成されている。さら
に、この多結晶混合高抵抗層(3A)(以下、高抵抗層
(3A)とする)の外側には、ガラス層(第2層)(4A)
が20μm以上の厚さで形成されている。
が上記の範囲に限定されるのは、多結晶質高抵抗層の微
細構造に依る。すなわち、この高抵抗層(3A)は、実質
的には数μm〜数十μm程度のZn2SiO4、Zn7Sb2O12など
の微結晶体の集合である。ところが、形成される高抵抗
層(3A)の厚さが厚くなるに従い、例えば100μm以上
の厚さの場合、高抵抗層(3A)内部でボイドが発生した
り、微結晶の剥離、外部粒子のはげ落ちなどにより、そ
の高抵抗層(3A)の付着状況の悪化が顕著となることが
判明した。このような場合、例えば第2図の曲線Bで示
すようにV10μAの変化率が低下する。なお、第2図
中、曲線Aは第1層及び第2層の平均厚さがそれぞれ20
μm及び40μm、曲線Bは第1層の平均厚さが120μ
m、曲線Cは第1層及び第2層の平均厚さがそれぞれ10
0μm及び30μmの層を側面に形成した電圧非直線抵抗
体についてV10μAの変化率を測定したものである。
悪化は、第3図によっても示される。第3図は、100μ
m程度に厚く形成した高抵抗層(3A)の断面構造の模式
図であり、電圧非直線抵抗体本体(1)の部分には酸化
亜鉛粒子(5)及び電圧非直線抵抗体本体内スピネル
(Zn7Sb2O12)(6)が散在し、高抵抗層(3A)の部分
には多結晶高抵抗層内スピネル(Zn7Sb2O12)(7)及
び多結晶高抵抗層内酸化ケイ素(8)が散在する。とこ
ろが、高抵抗層(3A)及び電圧非直線抵抗体本体(1)
の境界付近には、数十μmものボイド(10)が集中して
存在している。このボイド(10)によって、電圧非直線
抵抗体本体(1)の内部を保護すべき高抵抗層(3A)部
分に水分等の浸入を許し、電圧非直線抵抗体素子の表面
劣化を引き起すと考えられる。
層(3A)の原料となるペーストの乾燥塗布量を変え、こ
れを焼成した後、95%RHの高湿度環境下に約200時間放
置し、この焼成体を高湿度環境下からとり出した後、V
10μAの変化率を調べた。図中、A〜H点におけるデー
タ(塗布量、厚さ、変化率)は、次のとおりである。但
し、塗布量と厚さとの関係は、30mg/cm2で100μmの厚
さが得られるものとして計算した。
以上、30μm未満の範囲では、変化率がほぼ−1.5%以
内であり、この−1.5%以内の変化率は、V10μAの変
化率として実用上許容できる範囲である。これに対し、
10mg/cm2(33μm)付近では変化率が急激に大きくなっ
ているが、これは表面劣化を起こしているためである。
つまり、高抵抗層(3A)がある程度薄い場合には、電圧
非直線抵抗体本体(1)と高抵抗層(3A)との密着はよ
く湿度の影響は小さいが、その厚さが厚くなると湿度の
影響をうけ易くなる。しかし、高抵抗層(3A)が全く存
在しなくなると、無論この場合は電圧非直線抵抗体の特
性が大きく劣化し、問題にならない。なお、第4図にお
いて、ペーストは、酸化ビスマス:8モル%、酸化アンチ
モン:20モル%、酸化ケイ素:72モル%を含み、ペースト
乾燥重量で表したものであり、95%RH、30℃に約200時
間保存した結果を示したものである。
(3A)が同一であっても、その層が厚い程大電流領域ま
で外部閃絡を起さないことも分かって来た。例えば第5
図に示すように、高抵抗物質である高抵抗層(3A)の塗
布量が増える程耐量は増加するが、最終的には飽和す
る。なお、第5図中、縦軸のインパルス耐量は、5KAず
つ印加電圧をステップアップして4×10μsで外閃又は
絶縁破壊した時の電流値を表している。ペーストは第4
図に示したものと同一のものを使用した。また、100μ
m程度の厚さの高抵抗層(3A)を得るには、大むね30mg
/cm2程度のペースト塗布が必要である。
すなわち、従来の第1層のいわゆるビスマス、アンチモ
ン、ケイ素の酸化物の混合物の塗布焼成のみで、大電流
による閃絡を防止しようとすると、第1層の厚さを厚く
しなければならない。その結果、全体的には厚いもの
の、詳細にその微細構造を見れば、上述した欠陥の多い
高抵抗層(3A)が形成されることになる。これに対し、
第1層の厚さを適度に薄くすれば、第4図にみられるよ
うに耐湿性は安定し、第6図に示すように高抵抗層(3
A)は比較的緻密なものとなるが、耐量不足となる(第
5図参照)。また、高抵抗層(3A)を構成する3つの酸
化物の割合は、すでに特公昭53−21516号公報に示され
る範囲であれば、そう大きく耐量の変化はなく、むしろ
厚みの効果の方が支配的であった。
薄く形成した高抵抗層(3A)上に更にオーバーコート
し、全体の厚みをかせぐとともに、表面を緻密化し、耐
量を大きくするとともに、耐湿性の向上も図れるように
した。
層(3A)を厚く形成した上に、第2層のガラス層(4A)
を形成したとしても、ガラス層(4A)の存在にもかかわ
らずもともとの第1層のみの耐湿性との差異はそうみら
れない(第2図、曲線C)。逆に、第1層をなくし、第
2層のみの構造にした場合、第7図に示すように、厚み
を十分にとっているにもかかわらず、耐量は低下する。
なお、第7図において、「○」、「×」は4×10μsに
おける「良好」及び「外閃」をそれぞれ示す。すなわ
ち、第1層及び第2層両者が相いまって良好な複合高抵
抗層を形成し、夫々の役割を演じながら素子特性が改善
されるのである。以上の諸点から、第1層である高抵抗
層(3A)の厚さは5μm以上,30μm未満の範囲とし、
第2層であるガラス層(4A)の厚さは20μm以上とする
のが望ましい。これらの原因についてはあらためて後述
するが、簡単に言えば電圧非直線抵抗体本体、高抵抗
層、高抵抗層の界面及びガラス層の界面がそれぞれ関与
するものと考えられる。
としては、酸化物ガラスフリット例えばPbO−SiO2−B2O
3、ZnO−SiO2−B2O3系などである。これらのガラスは、
作業温度の点だけでなく、その膨張係数が電圧非直線抵
抗体の焼結体の膨張係数に近い値(±10%以内)のもの
が市販されているため、適宜選択して好適に使用でき
る。膨張係数の差が±10%を越えると、ガラスの付着が
困難になったり、電圧非直線抵抗体が変形するため好ま
しくない。
る。
ル%の酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化
マンガン、酸化ケイ素、酸化ビスマス、及び1.0モル%
の酸化アンチモンを加えたものを十分混合し、造粒後成
形する。この成形体を950℃で焼成して電圧非直線抵抗
体本体とする。次いで、酸化ビスマス(8モル%)、酸
化アンチモン(20モル%)、酸化ケイ(72モル%)の割
合で十分よく混合した酸化物粉末を、ニトロセルロー
ス、エチルセルロース等をバインダとし、これらを溶解
した溶剤とともに混合、混練してペースト作成する。こ
のペーストを上記電圧非直線抵抗体本体の側面に塗布す
る。ここで重要なのはその塗布量であって、平均値とし
て5μm以上、30μm未満の厚さの多結晶混合高抵抗層
(第1層)を得るには、約1.5〜9.0mg/cm2の範囲(ただ
し乾燥重量)で塗布すること、及びこれらの塗布乾燥物
を酸化亜鉛を主成分とする粗粉体中に完全に埋設し焼成
することである。例えば1200℃で5時間焼成し、焼成完
了後電圧非直線抵抗体を粗粉体中より取り出し、側面を
切断観察すると、主にZn2SiO4粒子及びZn7Sb2O12粒子か
らなる多結晶層が所望の範囲の厚さで得られる。なお、
その多結晶層形成の反応過程において、粗粉体中の酸化
亜鉛が深く関与するようて、酸化亜鉛を主成分とする粗
粉中に電圧非直線抵抗体を完全に埋設しないと必ずしも
指定厚みにはならない。すなわち、3つの酸化物混合粉
のペースト塗布乾燥後単に大気中で焼成しただけでは、
多結晶高抵抗層は所定の厚さにはならず薄くなってしま
い、また、特に均一性に極めて欠ける。さらに、乾燥重
量で表現した塗布量と多結晶高抵抗層厚さは、敷粉埋設
焼成法と強く関連しており、均一厚で指定厚さを有する
多結晶高抵抗層を得るにはこの方法は不可欠である。こ
のような酸化亜鉛、その他酸化ビスマス等を含む敷粉中
に埋設し焼成する技術はすでに公知であり、焼成工程で
安定した特性を有する製品を得るには必須の技術であ
り、両者を同時に実現する意味でこの方法は勝ってい
る。このように、第1層についてはそのペースト塗布量
と焼成方法を規定することが重要である。
後、線膨張係数が焼成体の線膨張係数(約70×10-71/
℃)の±10%以内で、作業温度域が550℃付近のガラス
フリットを選び、この粉末をニトロセルロースなどのバ
インダを含む溶剤と混合塗布し、これを大気中、十分酸
化性な雰囲気のもとで加熱することによって、ガラス層
すなわち第2層が第1層上に形成される。
定するが、これはサージ耐量を最低限保証する厚さで、
不必要に厚くするのは経済性、ガラスのクラック発生な
どがあり、得策ではない。実験的には100μm以下が望
ましく、さらに望ましくは50μm付近の厚さとする。無
論、塗布方法(スクリーン印刷、テープ法)との兼ねあ
いで適度な厚さを選択すればよい。テープ法の場合(ガ
ラスを薄い樹脂内に分散させテープ状にして素子にロー
ラ等による熱融着させ、これら全体を加熱し、樹脂を除
いてからガラスとする方法)には特に有機物の残存しな
いよう、ガラスの軟化点と分解温度には注意する必要が
あるが、溶剤を使わないため塗布時の雰囲気がクリーン
となる点有利である。
抗体の交流課電劣化を高湿度中で調べたのが第8図であ
り、この図において第1層の厚さが20μm、第2層の厚
さが50μmの場合を曲線Dで示した。なお、比較例とし
て第1層のみ(約100μm厚)で構成した場合を曲線E
で示し、第2層のガラスのみ(50μm厚)で構成した場
合を曲線Fで示した。測定は周囲温度80℃、周囲湿度80
%RH、誘電率0.6で行った。この第8図から、ガラス層
のみの場合(曲線F)と、本発明による2層構造(曲線
D)の特性が勝っていることがわかる。
厚さが5μm以上、30μm未満の範囲にあるとき、ガラ
ス層(第2層)の厚さを20μm以上とすると、第2図に
示したようにV10μAの変化率の経時変化が良好であ
り、また第7図に示したように雷インパルス大電流試験
の結果も良好であり、さらに第8図に示したように高湿
度下における課電劣化特性も良好である。
ろ、通常の大気中では第7図と同様であり、ガラス層の
みの場合耐量不足は明らかであり、限定厚を持つ第1
層、第2層が形成された電圧非直線抵抗体の場合は、優
れた素子特性を示すのは明白である。
(第8図曲線Dの特性を持つもの)の断面構造の模式図
を第9図に示した。この模式図から判るように、酸化亜
鉛粒子(5)及び電圧非直線抵抗体本体内スピネル(Zn
7Sb2O12)(6)が散在する電圧非直線抵抗体本体
(1)と高抵抗層(3A)との界面には、第3図に見られ
たようなボイド(9)は存在せず、Zn2SiO4結晶すなわ
ち多結晶高抵抗層内酸化ケイ素(8)を主体とし、Zn7S
b2O12結晶すなわち多結晶高抵抗層内スピネル(Zn7Sb2O
12)(7)が存在するような形態で第1層である多結晶
混合高抵抗層を形成しており、その密着色も良好であ
る。
体に、酸化ビスマス、酸化アンチモン、酸化珪素の混合
物をペースト状としたものを30mg/cm2程度塗布し、これ
を種々の温度で反応させ、電圧非直線抵抗体本体との反
応状況を調べた。その結果、中間体として酸化ビスマス
と酸化アンチモンとの化合物(BiSbO4)が生成し、これ
が次第にZn7Sb2O12やZn2SiO4を形成し始める温度域約10
00℃付近で、電圧非直線抵抗体本体と高抵抗層間に亀裂
を生じさせる。この亀裂の発生は、高抵抗層内部で反応
が起るための収縮現象によるものと思われる。引き続き
温度を上昇していくと、高抵抗層と電圧非直線抵抗体本
体自身および敷粉から供給される亜鉛イオンとの反応が
活発となり、生成したこれらの多結晶物質Zn7Sb2O12、Z
n2SiO4は再び電圧非直線抵抗体本体との密着を起し始め
るが、上記の亀裂部分はとり残され、大きなボイドを形
成してしまうようである。この亀裂の発生は、ペースト
厚の厚い場合が顕著であるのは当然で、ペーストの厚さ
が薄い程これらの亀裂は起りにくい。
は、第1層の表面の凹凸を完全に濡らし、凹凸部分を完
全に埋めて取り囲むように形成され、高抵抗層(3A)と
ガラス層(4A)との境界は明瞭ではない。無論、目だっ
たボイドは無い。なお、第9図ではガラス層(4A)を簡
略化して示したがフィラーを含む結晶部分を有するガラ
ス層でもよいし、完全な非結晶質系ガラスでもよく、要
は、ガラス化して電圧非直線抵抗体本体(1)及び高抵
抗層(3A)と密着性の良いもの(すなわち膨張係数の相
当するもの)であればよく、同様に使用できる。
第7図で示したが、これはガラス層と電圧非直線抵抗体
本体の密着性は、この第1層を介した場合の方が良いこ
とを示し、恐らくは第1層、第2層の2つの層の界面
が、ガラスの濡れによりアンカ効果を示し強固となつた
ためだと考えられる。
としたが、もれ電流および寿命の絶対値にこそ差はあ
れ、油、腐蝕性ガス中での経時変化の傾向はほぼ同一
で、側面の2重構造が効を奏していることはすでに確認
している。
たが、すでに特開昭61−204902号公報において本発明者
らが示したように、酸化ビスマスの結晶相がある特定の
結晶構造を特定量有する場合、その電圧非直線抵抗体の
寿命は(雰囲気には関連なくその素子自体の本来の通電
安定性)長期化して望ましい。このような結晶構造は、
通常体心立方晶を含む立方晶、正方晶の混晶状態であ
り、この体心立方晶を含ませるためには幾つかの方法が
ある。最も制御しやすいのは、立方晶、正方晶又はいず
れかの状態の酸化ビスマスを有する1200℃付近で焼成し
たあとの電圧非直線抵抗体本体を、500℃以上の適当な
温度で加熱処理することである。この温度と、時間を適
宜変化させることによってその体心立方晶酸化ビスマス
の量も変化させ得る。交流課電および直流課電の寿命に
対する体心立方晶の存在比は、必ずしも同じでないこと
を上記特開昭61−204902号公報では述べた。いずれにし
ても、電圧非直線抵抗体の用途に対応し最適熱処理温度
と、同一とガラス封着温度を有しかつ熱膨張係数の適切
なガラスフリットを使用すれば、1回の加熱で、結晶転
移と、ガラス化が実施でき、工程省略の観点から非常に
有意義である。
であり、このため電圧非直線抵抗体を素手で扱っても特
性の変化などは生じることはなく、また電圧非直線抵抗
体保管に対しても細い配慮(湿度コントロール、防塵)
が簡易化される利点もある。
し少なくとも酸化ビスマスを含む原料を成形後焼成した
電圧非直線抵抗体本体と、この電圧非直線抵抗体本体の
側面に平均値として5μm以上、30μm未満の厚さで形
成され、ケイ酸亜鉛、アンチモン酸亜鉛及び酸化ビスマ
スからなる多結晶混合高抵抗層(第1層)と、この多結
晶混合高抵抗層の外側に20μm以上の厚さで形成された
ガラス層(第2層)とを備えたので、耐環境性(耐湿、
耐油、耐ガスなど)に優れ、長寿命かつ、インパルス電
流の通電に対して、側面閃絡を起しにくい優れた電圧非
直線抵抗体素子が得られることが判明し、素子特性の著
しい改良がなされるという効果を奏する。
概略断面図、第2図はこの発明の一実施例及び従来例に
よる高抵抗層及びガラス層を形成した電圧非直線抵抗体
におけるV10μAの変化率の経時変化を示す線図、第3
図は厚い高抵抗層を形成した電圧非直線抵抗体の断面構
造を示す模式図、第4図はペースト乾燥塗布量と高湿度
下で保管された電圧非直線抵抗体のV10μAの変化率と
の関係を示す線図、第5図はペースト塗布量と4×10μ
sのインパルス耐量との関係を示す線図、第6図は適度
に薄い高抵抗層を形成した電圧非直線抵抗体の断面構造
を示す模式図、第7図は種々の高抵抗層及びガラス層を
形成した電圧非直線抵抗体の雷インパルス大電流試験の
結果を示す図、第8図は種々の高抵抗層及びガラス層を
形成した電圧非直線抵抗体の高湿度下における課電劣化
特性を示す線図、第9図は高抵抗層及びガラス層を形成
した電圧非直線抵抗体の断面構造を示す模式図、第10図
〜第12図は従来の電圧非直線抵抗体の概略断面図であ
る。 図において、(1)は電圧非直線抵抗体本体、(2)は
電極、(3A)は高抵抗層、(4A)はガラス層である。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (1)
- 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とし少なくとも酸化ビス
マスを含む原料を成形後焼成した電圧非直線抵抗体本体
と、 この電圧非直線抵抗体本体の側面に平均値として5μm
以上、30μm未満の厚さで形成され、ケイ酸亜鉛、アン
チモン酸亜鉛及び酸化ビスマスからなる多結晶混合高抵
抗層(第1層)と、 この多結晶混合高抵抗層の外側に20μm以上の厚さで形
成されたガラス層(第2層)と を備えたことを特徴とする電圧非直線抵抗体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP1141246A JP2695660B2 (ja) | 1989-06-05 | 1989-06-05 | 電圧非直線抵抗体 |
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JP1141246A JP2695660B2 (ja) | 1989-06-05 | 1989-06-05 | 電圧非直線抵抗体 |
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JPH036801A JPH036801A (ja) | 1991-01-14 |
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JP (1) | JP2695660B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
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Family Cites Families (1)
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---|---|---|---|---|
JPS63136603A (ja) * | 1986-11-28 | 1988-06-08 | 日本碍子株式会社 | 電圧非直線抵抗体の製造方法 |
-
1989
- 1989-06-05 JP JP1141246A patent/JP2695660B2/ja not_active Expired - Lifetime
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