JP2695536B2 - チップ型電子部品包装用カバーテープ - Google Patents

チップ型電子部品包装用カバーテープ

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JP2695536B2
JP2695536B2 JP3117089A JP11708991A JP2695536B2 JP 2695536 B2 JP2695536 B2 JP 2695536B2 JP 3117089 A JP3117089 A JP 3117089A JP 11708991 A JP11708991 A JP 11708991A JP 2695536 B2 JP2695536 B2 JP 2695536B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチップ型電子部品の保
管、輸送、装着に際し、チップ型電子部品を汚染から保
護し、電子回路基板に実装するために整列させ、取り出
せる機能を有する包装体のうち、収納ポケットを形成し
たプラスチック製キャリアテープに熱シールされ得るカ
バーテープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ICを始めとして、トランジスタ
ー、ダイオード、コンデンサー、圧電素子レジスター、
などの表面実装用チップ型電子部品は、電子部品の形状
に合わせて、収納しうるエンボス成形されたポケットを
連続的に形成したプラスチック製キャリアテープとキャ
リアテープに熱シールしうるカバーテープとからなる包
装体に包装されて供給されている。内容物の電子部品は
包装体のカバーテープを剥離した後、自動的に取り出さ
れ電子回路基板に表面実装されている。
【0003】カバーテープがキャリアテープから剥離さ
れる際の強度をピールオフ強度と呼ぶが、この強度が低
すぎると包装体移送時に、カバーテープが外れ、内容物
である電子部品が脱落するという問題があった。逆に、
強すぎると、カバーテープを剥離する際キャリアテープ
が振動し、電子部品が装着される直前に収納ポケットか
ら飛び出す現象、即ちジャンピングトラブルを起してい
た。
【0004】従来、キャリアテープに用いられる材質
は、シート成形が容易なポリ塩化ビニル(PVC)もし
くはポリスチロール、ポリエステル(PET)、ポリカ
ーボネート、アクリル系シートが用いられているが、キ
ャリアテープに熱シールされるカバーテープには一般
に、二軸延伸ポリエステルフィルムに、PVC、スチロ
ール系シートに熱シールを可能にするポリエチレン変性
もしくはエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)変性フ
ィルムをラミネートした複合フィルムが用いられてい
た。
【0005】これらのカバーテープは、その剥離機構に
より界面剥離タイプと凝集剥離タイプの二種類がある。
界面剥離タイプの場合シール面と剥離面は同じ界面のた
めカバーテープに本来要求される『強接着−易剥離』と
いう相反する二つの特性を同時に満足することが難し
く、キャリアテープのシールされる表面の状態にも影響
を受けるためにピールオフ強度がばらついて既述の適性
範囲にコントロールすることが難しく、又、カバーテー
プの保管あるいはシール後の保管環境によっても温度・
湿度の影響を受けて、経時的にピールオフ強度が上昇あ
るいは低下して適性範囲から外れる場合があった。一
方、凝集剥離タイプの場合、特公昭61−12936号
公報に開示されている様なフィルムを用いると、シール
面と剥離面が分離されたピールオフ強度が接着層の凝集
力によって得られるカバーテープが作成でき、この系の
カバーテープは経時的にも安定した優れた特性を示し
た。しかしながら、接着層の凝集力がさほど強くないた
めにカバーテープを製品として巻かれた状態で保管され
た時、特に夏場など高温下で保管された場合、巻き芯部
が二軸延伸フィルムとブロッキングを起こしシール不良
あるいは透明性の大幅な低下などのトラブルが発生して
いた。又、『強接着−易剥離』のうち易剥離については
凝集剥離によって到達できたが、強接着については接着
層がキャリアテープに強固には接着しておらずキャリア
テープのシール面の表面状態やシール幅に大きく影響を
受けるために依然として課題を残していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の様な問
題を解決すべく、ピールオフ強度のシール条件依存性、
経時変化の小さくシール性の安定したカバーテープを得
んとして鋭意研究した結果、外層として二軸延伸フィル
ムを使用し、外層と接着層の間の中間層としてキャリア
テープにシールされたカバーテープを剥離する際、中間
層自体の凝集破壊によって剥離が行われるオレフィン系
フィルムを使用し、接着層としてヒートシールラッカー
タイプの熱可塑性接着剤をコーティングした複合フィル
ムが透明であり、良好な特性を持つカバーテープとなり
得るとの知見を得て、本発明を完成するに至ったもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、チップ型電子
部品を収納するポケットを連続的に形成したプラスチッ
ク製キャリアテープに、熱シールし得るカバーテープで
あって、該カバーテープは、外層はポリエステル、ポリ
プロピレン、ナイロンのいずれかである二軸延伸フィル
ムであり、外層と接着層の間の中間層は0.91〜0.9
3g/cm3 までの密度を有するポリエチレンと多くと
も10重量%の酢酸ビニルを含むエチレン−酢酸ビニル
コポリマーから選ばれる55〜95重量%までの少なく
とも1つのエチレンポリマー、5〜30重量%までのポ
リスチレン、及び0〜20重量%までの熱可塑性エラス
トマー状スチレン−ブタジエン−スチレンまたはスチレ
ン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーから成り
キャリアテープにシールされたカバーテープを剥離する
際、中間層自体の凝集破壊によって剥離が行われるオレ
フィン系フィルムであり、接着層はポリウレタン系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン
ビニルアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれ
か、又はこれらの組合せから成る熱可塑性樹脂であるこ
とを特徴とするチップ型電子部品包装用カバーテープで
ある。該カバーテープの接着層と該キャリアテープのシ
ール面の接着力が該カバーテープの中間層の凝集力より
も大きく、該カバーテープの中間層の凝集力がシール幅
1mm当り10〜120grであり、該カバーテープの可
視光線透過率が10%以上であることを特徴とするチッ
プ型電子部品包装用カバーテープである。
【0008】
【作用】本発明のカバーテープ1の構成要素を図1で説
明すると、外層2が二軸延伸ポリエステルフィルム、二
軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィ
ルムいずれかの二軸延伸フィルムであり、厚みが6〜1
00μの透明で剛性の高いフィルムである。6μ以下で
は剛性がなくなり、100μを越えると硬すぎてシール
が不安定となる。外層2の接着剤層3に接する側は、必
要に応じてコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト
処理等の表面処理を施して接着剤層3への密着力を向上
させることが出来る。又外層2の表面を静電処理の目的
で界面活性剤、導電性粉末などをコーティングしてもよ
い。
【0009】中間層4は0.91〜0.93g/cm3
での密度を有するポリエチレンと多くとも10重量%の
酢酸ビニルを含むエチレン−酢酸ビニルコポリマーから
選ばれる55〜95重量%までの少なくとも1つのエチ
レンポリマー、5〜30重量%までのポリスチレン、お
よび0〜20重量%までの熱可塑性エラストマー状スチ
レン−ブタジエン−スチレンまたはスチレン−イソプレ
ン−スチレンブロックコポリマーから成りキャリアテー
プにシールされたカバーテープを剥離する際、中間層自
体の凝集破壊によって剥離が行われるオレフィン系フィ
ルムである。尚、中間層4と接着層5との密着力を向上
させるために中間層4の接着層5に接する側は、必要に
応じてコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理
等の表面処理を施しても良い。
【0010】接着層5は透明性を有する熱可塑性樹脂
(例えばポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレ
ンビエルアセテート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポ
リエステル系樹脂など)のヒートシールラッカータイプ
のものであって、各単体又はその組合せによって、相手
材のプラスチック製キャリアテープ6に熱シールし得る
特性を有するものが選定される。これにより凝集剥離層
はヒートシール接着層により被覆されるため高温保管時
の二軸延伸フィルム側へのブロッキングが防がれ同時に
キャリアテープへの密着性も向上される。
【0011】尚、ヒートシール型接着層の形成方法につ
いては溶融製膜法と溶液製膜法のどちらでもよいが、好
ましくは溶液製膜が望ましい。又接着層の厚みは5μ以
下が好ましく、さらに好ましくは2μ以下がよい。外層
と中間層とのラミネート強度を向上させる目的でイソシ
アネート系、イミン系等の熱硬化型の接着層を介して両
者をラミネートしてもよい。
【0012】又、カバーテープのシール−ピール過程に
おいて、まず、該カバーテープ1は該キャリアテープ6
の両サイドに片方で1mm前後の幅でレール状に連続的
にシールされる(図2)。次にピール時に該カバーテー
プ1を該キャリアテープ6から引き剥す際、該カバーテ
ープ1の接着層5と該キャリアテープ6のシール面の接
着力が、中間層4の凝集力よりも小さいと、ピールオフ
強度は該カバーテープ1の接着層5と該キャリアテープ
6のシール面の接着力と対応し、現在最も一般的な剥離
機構である界面剥離によりピールが行われる。この場
合、カバーテープをキャリアテープに強くシールすると
ピールが難しくなり、逆に、弱くシールすると剥がれて
しまうという様に、本来、カバーテープに要求されるキ
ャリアテープに対する強力なシール性と剥離時の容易な
ピール性という相反する特性を同時に満足する十分な性
能が得られなかった。一方、本発明の様に該カバーテー
プ1の接着層5と該キャリアテープ6のシール面の接着
力が該カバーテープ1の中間層4の凝集力よりも大きい
と、製膜された接着層5及び中間層4のうちヒートシー
ルされた部分7のみが中間層4の層内からキャリアテー
プに残り(図3)、引き剥された後のカバーテープ(図
4)は接着層5及び中間層のヒートシールされた部分7
のみが中間層4の層内から破壊する凝集剥離によりピー
ルが行われる。即ち、ピールオフ強度は中間層4の凝集
力に対応するものとなっており、シール/ピール面は完
全に分離でき、該カバーテープ1のシールはキャリアテ
ープ6に強固に行えると同時に該カバーテープ1のピー
ルはできるだけ容易に行えるよう設計できる。つまり、
剥離面は該カバーテープ1内に設計されておりその中間
層の凝集力をキャリアテープ6の材質に依らず任意に設
定できる。又、該カバーテープ1のシール面は該キャリ
アテープ6に強固にシール可能な接着剤の選定ができ安
定したシール・ピール機構が得られる。
【0013】この場合、該カバーテープ1の中間層4の
凝集力はシール幅1mm当り10〜120gr更に好ま
しくは10〜70grなるようオレフィン系フィルムが
選定される。ピール強度が10grより低いと包装体移
送時に、カバーテープが外れ、内容物である電子部品が
脱落するという問題がある。逆に、120grよりも高
いと、カバーテープを剥離する際キャリアテープが振動
し、電子部品装着される直前に収納ポケットから飛び出
す現象、即ちジャンピングトラブルを起こす。本発明の
凝集剥離機構によれば、従来の界面剥離に比較してより
シール条件の依存性が低く、且つ、保管環境によるピー
ルオフ強度の経時変化が少ない目的とする性能を得るこ
とが出来る。
【0014】又、カバーテープの可視光線透過率が10
%以上好ましくは50%以上になる様に構成されている
ために、キャリアテープに封入された内部の電子部品が
目視あるいは機械によって確認できる。10%より低い
と内の電子部品の確認が難しい。
【0015】
【実施例】本発明の実施例を以下に示すがこれらの実施
例によって本発明は何ら限定されるものではない。 《実施例1,2,3,4,5,比較例1,2,3,4,
5》 二軸延伸フィルムとオレフィンフィルムのラミネート品
のオレフィンフィルム側に酢酸エチル溶剤に熱可塑性樹
脂を希釈溶解させた接着層をグラビアコーターにより膜
厚2μに溶液製膜し表1及び表2に示した層構成のカバ
ーテープを得た。得られたカバーテープを5.5mm 幅に
スリット後、8mm幅のPVC製キャリアテープとヒート
シールを行い、ピール強度を測定した。又、接着層側の
表面抵抗値及びカバーテープ試作品の可視光線透過率の
測定を行いその特性評価結果を表3及び表4に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【発明の効果】本発明に従うと、中間層の凝集力と接着
層のキャリアテープへの接着力の組合せにより、ピール
オフ強度を1mm当り10〜120grの範囲で任意に
設定しうる点、又、ピールオフ強度がカバーテープ内の
中間層の凝集力により決定されるため、キャリアテープ
とのシール条件に影響を受けない点、高温保管でもテー
プ巻芯部のブロッキングが起こらず透明性も低下しない
という3点により、従来の問題点であるピールオフ強度
のシール条件に対する依存性が大きいという問題、及び
保管環境により経時的に変化する問題を解決することが
でき、安定したピールオフ強度を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバーテープの層構成を示す断面図。
【図2】本発明のカバーテープをキャリアテープに接着
し、その使用状態を示す断面図。
【図3】本発明のカバーテープをキャリアテープに接着
し、その使用状態を示す断面図。
【図4】本発明のカバーテープをキャリアテープに接着
し、その使用状態を示す断面図。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チップ型電子部品を収納する収納ポケッ
    トを連続的に形成したプラスチック製キャリアテープ
    に、熱シールしうるカバーテープであって、該カバーテ
    ープは、外層がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロ
    ンのいずれかである二軸延伸フィルムであり、中間層が
    0.91〜0.93g/cm 3 までの密度を有するポリ
    エチレンと多くとも10重量%の酢酸ビニルを含むエチ
    レン−酢酸ビニルコポリマーから選ばれる55〜95重
    量%までの少なくとも1つのエチレンポリマー、5〜3
    0重量%までのポリスチレン、及び0〜20重量%まで
    の熱可塑性エラストマー状スチレン−ブタジエン−スチ
    レンまたはスチレン−イソプレン−スチレンブロックコ
    ポリマーからなり、キャリアテープにシールされたカバ
    ーテープを剥離する際、中間層自体の凝集破壊によって
    剥離が行われるオレフィン系フィルムであって、接着層
    がポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニ
    ル系樹脂、エチレンビニルアセテート系樹脂、ポリエス
    テル系樹脂のいずれか又はこれらの組み合わせて成るこ
    とを特徴とするチップ型電子部品包装用カバーテープ。
  2. 【請求項2】 カバーテープの接着層とキャリアテープ
    のシール面の接着力がカバーテープの中間層の凝集力よ
    りも大きいことを特徴とする請求項1記載のチップ型電
    子部品包装用カバーテープ。
  3. 【請求項3】 カバーテープの中間層の凝集力がシール
    幅1mm当り10〜120grであるところの請求項2
    記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
  4. 【請求項4】 カバーテープの可視光線透過率が10%
    以上である請求項1、2又は3記載のチップ型電子部品
    包装用カバーテープ。
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