JP2695259C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車車体用表面処理鋼板としてプレス成形時に必要とする耐パウ
ダリング性及び耐フレーキング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板に関するもの
である。 【従来の技術】 一般的に合金化溶融Znめっき鋼板は、溶融Znめっきを施した後、合金化炉でZn
の融点以上に加熱してめっき層をFeとZnの合金、即ち鋼板側からΓ、δ1、ζの
各相からなる合金層としたものである。この合金化溶融Znめっき鋼板は優れた塗
装後耐食性及び溶接性を兼備しているため、自動車、家電、建材用素材として多
用されている。家電、建材等では比較的軽度の加工で使用されるが、自動車等で
は厳しい絞り加工が行われる。 一般に合金化溶融Znめっき鋼板は、プレス成形時にめっき層が粉状はくり、い
わゆるパウダリングが発生して、プリントスルー(押し疵)が発生しやすい。こ
のパウダリングは、高Fe%の合金化溶融Znめっき鋼板ほど、合金層構造でいえば
Γ相が厚く形成するほど発生しやすいことが知られている。 そこで、パウダリングを抑制するために、めっき層中Fe濃度を低Fe%にして、
Γ相の形成を抑制したζ相主体の合金層構造にしているのが一般的であるが、一
方でこのζ相主体のめっき層は、プレス加工時に鱗片状はくり、いわゆるフレー
キングしやすいという欠点がある。即ち、プレス成形においてΓ相が形成し成長
した高Fe%の合金化溶融Znめっき鋼板は、パウダリングしやすく、逆にζ相が多
い低Fe%の合金化溶融Znめっき鋼板は、めっき層が比較的やわらかいため、型か
じりを起こし、フレーキングしやすい。この合金化溶融Znめっき鋼板のフレーキ
ング性及びパウダリング性については、薄目付(45g/m2以下)の場合、比較的
問題は少ないが、近年厚目付合金化溶融Znめっき鋼板の要求が増し、更に一層の
耐フレーキング性及び耐パウダリング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板の開発
が強く要望されてきた。 【発明が解決しようとする課題】 これらの耐フレーキング性及び耐パウダリング性を改善する技術に関しては、
例えば特開昭64-68456号公報、特開平1−136952号公報では、めっき層中Fe濃度
を低Fe%にしてΓ相の形成を抑制したり、合金化溶融Znめっき鋼板のめっき上層
にFe系めっきを行う方法、また、特開平1−172553号公報では、Fe濃度を高Fe%
にして、ζ相のないδ1、Γ相からなる層にする方法等が提案されている。 これらの方法によってプレス成形時のパウダリング、フレーキングはある程度
抑制されるものの、市販の合金化溶融Znめっき鋼板を入手し調査したところ、Γ
相が形成し成長した、δ1+Γ相主体の合金層構造をもつものがほとんどで、現
状では対策が十分とはいえない。 本発明は、このような問題を解決したプレス成形時の耐フレーキング性および
耐パウダリング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板を提供することを目的とする
。 【課題を解決するための手段】 第1の発明は、鋼板表面に平均Fe含有率が7〜11wt%であり、ζ相10〜60wt%
、残部がδ1相とΓ相からなり、素地鉄界面に形成されるΓ相が0.4μm以下のZn
−Fe合金めっき層を有し、かつ当該めっき層の表面粗度をRmax ≦8μmとした
ことを特徴とするプレス成形時の耐フレーキング性および耐パウダリング性に優
れた合金化溶融Znめっき鋼板である。 また第2の発明は、鉄板表面に平均Fe含有率が7〜11wt%であり、ζ相10〜60
wt%、残部がδ1相とΓ相からなり、素地鉄界面に形成されるΓ相が0.4μm以下
のZn−Fe合金めっき層を有し、その上にP、Niのうちの1種を20%以下含有し、
残部FeからなるFe系めっきを有することを特徴とするプレス成形時の耐フレーキ
ング性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板である。 【作用】 以下に本発明を具体的に説明する。 既に述べたように、一般に合金化溶融Znめっき鋼板のめっき層中Fe%は、パウ
ダリング抑制のため、低Fe%濃度に管理しているが、本発明においても平均Fe含
有率を7〜11wt%とし、めっき相構成としてζ相の割合が10〜60%、残部がδ1
相とΓ相からなり素地鉄界面に形成するΓ相が0.4μm以下にすれば、パウダリ
ングが著しく向上することを見出した。 Feを7〜11wt%にしたのは、7wt%以下であればη相が残存して焼けむらが発
生しやすく、Feが11wt%以上になるとζ相がほとんど形成せず(10wt%以下)、
δ1相主体の合金層となるものの、Γ相が0.4μm以上形成するので、パウダリン
グしやすくなるためである。またFe7〜11wt%とし、ζ相の割合を10〜60wt% としたのは、10wt%以下では上述のごとく、Γ相が厚く形成してパウダリング性
が劣り、60wt%を超えるとζ相がほとんどとなって著しくフレーキングが発生し
やすいためである。 以上述べたように、平均Fe含有率が7〜11wt%で、ζ相10〜60wt%、残部δ1
相とΓ相としためっき層の合金化溶融Znめっき鋼板は、パウダリング性と共にフ
レーキング性が優れていることを見出したが、実プレスに近い厳しい絞り加工を
行うと、フレーキング性の点でまだ完全でないことがわかった。実プレスでは同
一金型で連続プレスするので金型温度が上昇する。そこで実プレスをシュミレー
トした試験機を用いて、60〜70℃の温度で引抜き絞り加工でフレーキング試験し
たところ、上記のめっき組成でもまれにフレーキングが発生することを見出した
。 そこで、このめっき層の合金化溶融Znめっき鋼板をさらに表面処理することに
よってフレーキング性を一層改善できないか検討した結果、第1に、上述の合金
化溶融めっき鋼板の表面粗度をRmax ≦8μmに調整すれば、実プレスに近いこ
の絞り加工においてもフレーキングが発生しないことを新たに見出した。このよ
うな表面粗度を得るためには、圧下率1%以上の調質圧延を施すのがよい。圧下
率1%以下では、一般に行われている調質圧延と同程度のRmax 9〜12μmとな
り、フレーキングを完全に防止することはできない。 更に、第2の発明は、前述の層表面に更にP、Niのうちの1種を20wt%以下含
有したFe系めっきを施した合金化溶融Znめっき鋼板であり、この電気Fe系めっき
することにより、プレス成形時にめっき層の金型への凝着を抑制し、結果的にフ
レーキング性及びパウダリング性を改善することができる。 電気Fe系めっき層中の各P、Niの割合を20wt%以下としたのは、これを超える
とめっきが軟質となって、プレス成形性、特にフレーキング性が低下するからで
ある。また、Fe系めっきの付着量は特に規制しないが、Fe系めっきそのものの密 着性の点から上限は10g/m2以下が望ましい。この電気Fe−Pめっきは、硫酸浴
、塩化物浴のいずれを使用してもよい。 平均Fe含有率が7〜11wt%で、ζ相の割合10〜60wt%、残部δ1相とΓ相から
なり素地鉄界面に形成するΓ相が0.4μm以下のめっき層を有する合金化溶融Zn
めっき鋼板を得る製造条件は、一般的に浴中Al濃度0.10〜0.15wt%、浸入板温43
0〜550℃、浴温450〜490℃でめっきし、460〜510℃の中温合金化温度域で合金化
処理することで得られる。 【実施例】 極低炭素鋼(極低C−Ti−Nb系)を素材に、連続溶融Znめっきラインでめっき
し、合金化処理した。 合金化処理後の目付量、Fewt%、合金層構造、ζ相の割合、及び調質圧延の有
無、上層Fe−Zn、Fe−Ni、Fe−Pめっきの目付量、及びFeと各元素の添加割合等
を比較例と共に第1表に示した。 なお、めっき層に関し、目付量は、めっき層を三酸化アンチモン法(JIS H 04
01)によって溶解し、重量差から目付量を求めた。合金量(ζ相のめっき層に占
める割合)の測定は、めっき層を200g/lNaCl+100g/lZnSO4・7H2O水溶液中
で定電流アノード溶解(20mA/cm2)に、電位一時間曲線を求め、この電位変化
からη、ζ、δ1、Γ各層を定量し、全めっき量に対するζ相の割合を求めた。
電気Fe系めっきは、通常の硫酸浴、塩化物浴を用いて、浴中のFeとP、Ni、Zn各
イオン濃度と電流密度を変えてP、Ni、Zn含有率とめっき付着量を調整した。 耐パウダリング性は、合金化溶融Znめっき鋼板の圧縮曲げ側にセロテープを貼
り、90°曲げ戻しテスト後、セロテープはくりし、テープに付着したはくり量を
Fewt%で測定した。次の5段階に分けて評価した。 耐フレーキング性は10(W)×100(L)mmのサンプルを第1図に示すビード
をもつビード型引抜き試験機で、押え荷重50〜100kgf、引抜き速度500mm/minで
引っ張りテスト後、摺動部をセロテープはくりし、テープに付着したはくり粉か
らフレーキングを目視判定した(試験は無塗油で実施)。フレーキング性の評価
は、次の5段階法によった。 なお第1図において、1はダイス、2はサンプル、3はポンチである。 【発明の効果】 自動車用表面処理鋼板として塗装後耐食性及び溶接性等が優れている合金化溶
融Znめっき鋼板の使用が増大しており、この合金化溶融Znめっき鋼板は、実プレ
スにおいてパウダリング及びフレーキングを起こしやすく、プリントスルーの発
生原因となる。 本発明により、上記の耐パウダリング性及び耐フレーキング性の優れた合金化
溶融Znめっき鋼板が得られ、自動車用表面処理鋼板として益々需要拡大が期待で
きる。
ダリング性及び耐フレーキング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板に関するもの
である。 【従来の技術】 一般的に合金化溶融Znめっき鋼板は、溶融Znめっきを施した後、合金化炉でZn
の融点以上に加熱してめっき層をFeとZnの合金、即ち鋼板側からΓ、δ1、ζの
各相からなる合金層としたものである。この合金化溶融Znめっき鋼板は優れた塗
装後耐食性及び溶接性を兼備しているため、自動車、家電、建材用素材として多
用されている。家電、建材等では比較的軽度の加工で使用されるが、自動車等で
は厳しい絞り加工が行われる。 一般に合金化溶融Znめっき鋼板は、プレス成形時にめっき層が粉状はくり、い
わゆるパウダリングが発生して、プリントスルー(押し疵)が発生しやすい。こ
のパウダリングは、高Fe%の合金化溶融Znめっき鋼板ほど、合金層構造でいえば
Γ相が厚く形成するほど発生しやすいことが知られている。 そこで、パウダリングを抑制するために、めっき層中Fe濃度を低Fe%にして、
Γ相の形成を抑制したζ相主体の合金層構造にしているのが一般的であるが、一
方でこのζ相主体のめっき層は、プレス加工時に鱗片状はくり、いわゆるフレー
キングしやすいという欠点がある。即ち、プレス成形においてΓ相が形成し成長
した高Fe%の合金化溶融Znめっき鋼板は、パウダリングしやすく、逆にζ相が多
い低Fe%の合金化溶融Znめっき鋼板は、めっき層が比較的やわらかいため、型か
じりを起こし、フレーキングしやすい。この合金化溶融Znめっき鋼板のフレーキ
ング性及びパウダリング性については、薄目付(45g/m2以下)の場合、比較的
問題は少ないが、近年厚目付合金化溶融Znめっき鋼板の要求が増し、更に一層の
耐フレーキング性及び耐パウダリング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板の開発
が強く要望されてきた。 【発明が解決しようとする課題】 これらの耐フレーキング性及び耐パウダリング性を改善する技術に関しては、
例えば特開昭64-68456号公報、特開平1−136952号公報では、めっき層中Fe濃度
を低Fe%にしてΓ相の形成を抑制したり、合金化溶融Znめっき鋼板のめっき上層
にFe系めっきを行う方法、また、特開平1−172553号公報では、Fe濃度を高Fe%
にして、ζ相のないδ1、Γ相からなる層にする方法等が提案されている。 これらの方法によってプレス成形時のパウダリング、フレーキングはある程度
抑制されるものの、市販の合金化溶融Znめっき鋼板を入手し調査したところ、Γ
相が形成し成長した、δ1+Γ相主体の合金層構造をもつものがほとんどで、現
状では対策が十分とはいえない。 本発明は、このような問題を解決したプレス成形時の耐フレーキング性および
耐パウダリング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板を提供することを目的とする
。 【課題を解決するための手段】 第1の発明は、鋼板表面に平均Fe含有率が7〜11wt%であり、ζ相10〜60wt%
、残部がδ1相とΓ相からなり、素地鉄界面に形成されるΓ相が0.4μm以下のZn
−Fe合金めっき層を有し、かつ当該めっき層の表面粗度をRmax ≦8μmとした
ことを特徴とするプレス成形時の耐フレーキング性および耐パウダリング性に優
れた合金化溶融Znめっき鋼板である。 また第2の発明は、鉄板表面に平均Fe含有率が7〜11wt%であり、ζ相10〜60
wt%、残部がδ1相とΓ相からなり、素地鉄界面に形成されるΓ相が0.4μm以下
のZn−Fe合金めっき層を有し、その上にP、Niのうちの1種を20%以下含有し、
残部FeからなるFe系めっきを有することを特徴とするプレス成形時の耐フレーキ
ング性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板である。 【作用】 以下に本発明を具体的に説明する。 既に述べたように、一般に合金化溶融Znめっき鋼板のめっき層中Fe%は、パウ
ダリング抑制のため、低Fe%濃度に管理しているが、本発明においても平均Fe含
有率を7〜11wt%とし、めっき相構成としてζ相の割合が10〜60%、残部がδ1
相とΓ相からなり素地鉄界面に形成するΓ相が0.4μm以下にすれば、パウダリ
ングが著しく向上することを見出した。 Feを7〜11wt%にしたのは、7wt%以下であればη相が残存して焼けむらが発
生しやすく、Feが11wt%以上になるとζ相がほとんど形成せず(10wt%以下)、
δ1相主体の合金層となるものの、Γ相が0.4μm以上形成するので、パウダリン
グしやすくなるためである。またFe7〜11wt%とし、ζ相の割合を10〜60wt% としたのは、10wt%以下では上述のごとく、Γ相が厚く形成してパウダリング性
が劣り、60wt%を超えるとζ相がほとんどとなって著しくフレーキングが発生し
やすいためである。 以上述べたように、平均Fe含有率が7〜11wt%で、ζ相10〜60wt%、残部δ1
相とΓ相としためっき層の合金化溶融Znめっき鋼板は、パウダリング性と共にフ
レーキング性が優れていることを見出したが、実プレスに近い厳しい絞り加工を
行うと、フレーキング性の点でまだ完全でないことがわかった。実プレスでは同
一金型で連続プレスするので金型温度が上昇する。そこで実プレスをシュミレー
トした試験機を用いて、60〜70℃の温度で引抜き絞り加工でフレーキング試験し
たところ、上記のめっき組成でもまれにフレーキングが発生することを見出した
。 そこで、このめっき層の合金化溶融Znめっき鋼板をさらに表面処理することに
よってフレーキング性を一層改善できないか検討した結果、第1に、上述の合金
化溶融めっき鋼板の表面粗度をRmax ≦8μmに調整すれば、実プレスに近いこ
の絞り加工においてもフレーキングが発生しないことを新たに見出した。このよ
うな表面粗度を得るためには、圧下率1%以上の調質圧延を施すのがよい。圧下
率1%以下では、一般に行われている調質圧延と同程度のRmax 9〜12μmとな
り、フレーキングを完全に防止することはできない。 更に、第2の発明は、前述の層表面に更にP、Niのうちの1種を20wt%以下含
有したFe系めっきを施した合金化溶融Znめっき鋼板であり、この電気Fe系めっき
することにより、プレス成形時にめっき層の金型への凝着を抑制し、結果的にフ
レーキング性及びパウダリング性を改善することができる。 電気Fe系めっき層中の各P、Niの割合を20wt%以下としたのは、これを超える
とめっきが軟質となって、プレス成形性、特にフレーキング性が低下するからで
ある。また、Fe系めっきの付着量は特に規制しないが、Fe系めっきそのものの密 着性の点から上限は10g/m2以下が望ましい。この電気Fe−Pめっきは、硫酸浴
、塩化物浴のいずれを使用してもよい。 平均Fe含有率が7〜11wt%で、ζ相の割合10〜60wt%、残部δ1相とΓ相から
なり素地鉄界面に形成するΓ相が0.4μm以下のめっき層を有する合金化溶融Zn
めっき鋼板を得る製造条件は、一般的に浴中Al濃度0.10〜0.15wt%、浸入板温43
0〜550℃、浴温450〜490℃でめっきし、460〜510℃の中温合金化温度域で合金化
処理することで得られる。 【実施例】 極低炭素鋼(極低C−Ti−Nb系)を素材に、連続溶融Znめっきラインでめっき
し、合金化処理した。 合金化処理後の目付量、Fewt%、合金層構造、ζ相の割合、及び調質圧延の有
無、上層Fe−Zn、Fe−Ni、Fe−Pめっきの目付量、及びFeと各元素の添加割合等
を比較例と共に第1表に示した。 なお、めっき層に関し、目付量は、めっき層を三酸化アンチモン法(JIS H 04
01)によって溶解し、重量差から目付量を求めた。合金量(ζ相のめっき層に占
める割合)の測定は、めっき層を200g/lNaCl+100g/lZnSO4・7H2O水溶液中
で定電流アノード溶解(20mA/cm2)に、電位一時間曲線を求め、この電位変化
からη、ζ、δ1、Γ各層を定量し、全めっき量に対するζ相の割合を求めた。
電気Fe系めっきは、通常の硫酸浴、塩化物浴を用いて、浴中のFeとP、Ni、Zn各
イオン濃度と電流密度を変えてP、Ni、Zn含有率とめっき付着量を調整した。 耐パウダリング性は、合金化溶融Znめっき鋼板の圧縮曲げ側にセロテープを貼
り、90°曲げ戻しテスト後、セロテープはくりし、テープに付着したはくり量を
Fewt%で測定した。次の5段階に分けて評価した。 耐フレーキング性は10(W)×100(L)mmのサンプルを第1図に示すビード
をもつビード型引抜き試験機で、押え荷重50〜100kgf、引抜き速度500mm/minで
引っ張りテスト後、摺動部をセロテープはくりし、テープに付着したはくり粉か
らフレーキングを目視判定した(試験は無塗油で実施)。フレーキング性の評価
は、次の5段階法によった。 なお第1図において、1はダイス、2はサンプル、3はポンチである。 【発明の効果】 自動車用表面処理鋼板として塗装後耐食性及び溶接性等が優れている合金化溶
融Znめっき鋼板の使用が増大しており、この合金化溶融Znめっき鋼板は、実プレ
スにおいてパウダリング及びフレーキングを起こしやすく、プリントスルーの発
生原因となる。 本発明により、上記の耐パウダリング性及び耐フレーキング性の優れた合金化
溶融Znめっき鋼板が得られ、自動車用表面処理鋼板として益々需要拡大が期待で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は耐フレーキング性のビード型引抜き試験機の説明図である。
【符号の説明】
1…ダイス、
2…サンプル、
3…ポンチ。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 鋼板表面に平均Fe含有率が7〜11wt%であり、ζ相10〜60wt%
、残部がδ1相とΓ相からなり、素地鉄界面に形成されるΓ相が0.4μm以下のZn
−Fe合金めっき層を有し、かつ当該めっき層の表面粗度をRmax ≦8μmとした
ことを特徴とするプレス成形時の耐フレーキング性および耐パウダリング性に優
れた合金化溶融Znめっき鋼板。 【請求項2】 鉄板表面に平均Fe含有率が7〜11wt%であり、ζ相10〜60wt%
、残部がδ1相とΓ相からなり、素地鉄界面に形成されるΓ相が0.4μm以下のZn
−Fe合金めっき層を有し、その上にP、Niのうちの1種を20%以下含有し、残部
FeからなるFe系めっきを有することを特徴とするプレス成形時の耐フレーキング
性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板。
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