JP2694716B2 - 香料組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、特定のビフェニル化合
物を有効成分として含有する芳香特性及び保留性に優れ
た香料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り天然あるいは合成の有香物質を用いて優れた香料を調
香するときには所望の香気を持続するために、有香物質
の芳香特性及び保留性を調整する各種保留剤が香料に有
効成分として配合されている。具体的にはベンジルサリ
シレート、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレー
ト、イソプロピルミリステート、ジエチルフタレート等
が利用されている。しかしながら、ベンジルサリシレー
トは遅発性接触皮膚炎（以下感作性という。）を起こす
ことが報告されており（皮膚、第２３巻、第４号、昭和
５６年８月、ｐ４２１〜４２９、同ｐ４３１〜４４１
等）、また上記の他の保留剤は残香性が低く満足のいく
保留効果を有するものではなかった。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来技術
の難点を解消せんとして鋭意検討を行った結果、後記特
定のビフェニル化合物が、香料の芳香特性及び保留性を
調整するための優れた効果を有することを見いだし、本
発明を完成した。

【０００４】即ち、本発明は下記一般式で表されるビフ
ェニル化合物を含有することを特徴とする香料組成物で
ある。

【０００５】

【化２】

【０００６】（但しＲは炭素数１から４の直鎖及び分岐
鎖状の飽和炭化水素基）

【０００７】本発明に使用されるビフェニル化合物の一
部は公知の物質であり、その合成方法についても報告さ
れている〔日本化学雑誌第８７巻、第６号、６０３頁、
１９６６年及びアクタ ケミカル スカンジナビア（Ac
ta.Chem.Scand.）、第１２巻、第２号、１８８頁、１９
５８年〕。また、公知以外の化合物は前記の合成方法を
用いることにより、容易に合成することが出来る。しか
しながら、これらの化合物を香料組成物として用いるこ
とに関する報告はなされていない。

【０００８】本発明で用いるビフェニル化合物は後述の
如く感作性がないため安全性が高く、かつ通常の香料組
成物に易溶である。その配合量（使用量）は、香料組成
物の総量を基準として０．５〜２０重量％が好ましく、
更に好ましくは１．０〜５重量％である。

【０００９】本発明の香料組成物は、前述のビフェニル
化合物を必須成分とするが、他に水溶性アルコール、テ
ルペン系アルコール、アセテート類、ケトン類、テルペ
ン類、天然精油、その他通常香料を調製する際に用いら
れるものを組み合わせることができる。さらに、本発明
のビフェニル化合物を配合することにより、通常の香料
組成物の香り立ち及び残香性を高めることが可能とな
る。すなわち、所望の芳香特性及び保留性を容易にかつ
再現性良く得られ、その作用効果の特性は著しい。

【００１０】

【実施例】以下、実施例について説明する。実施例にお
けるビフェニル化合物の名称は前記一般式のＲの違いに
より表１の如く略記する。なお、実施例に示す％は、重
量％を意味する。また、感作性、残香性、香り立ち（匂
い）等の試験方法は下記の通りである。

【００１１】

【表１】

【００１２】（１）感作性試験法 マキシミゼイションテストにより実施した。すなわち、
体重３５０〜４００ｇのハートレイ系モルモット（メ
ス）１０匹の肩甲骨上の４×６ｃｍの皮膚を刈毛し、１
列に３ケ所の皮内注射を次の順序にしたがって２列に行
った： フロイント コンプリート アジュバント（Freund's
complete ajuvant ：以下ＦＣＡと略記する）を左右２
ケ所に０．０５ｍｌずつ皮内注射した。 試験サンプル１０％オリーブ油溶液を左右２ケ所に
０．０５ｍｌずつ皮内注射した。 試験サンプル２０％含有ＦＣＡに同量の滅菌水を加え
乳化した溶液を左右２ケ所に０．０５ｍｌ皮内注射し
た。 これらの操作の６日後に同じ部位を刈毛し、１０％ラウ
リル硫酸ナトリウム含有ワセリンを塗擦し、軽度の炎症
を起こさせた。塗擦２４時間後に同部位に試験サンプル
１０％オリーブ油溶液０．２ｍｌをガーゼに塗布して、
４８時間閉塞貼付した。皮内注射後２１日目に腹側部を
刈毛し、試験サンプル５、１０％各オリーブ油溶液を２
４時間閉塞貼付した。判定は、２４時間後と４８時間後
に表２に示した評価基準に従って肉眼により行った。

【００１３】

【表２】

【００１４】（２）残香性試験法 試料香料組成物１５０ｍｇを５．５ｃｍ×１５ｃｍの匂
い紙に均一に塗布し、官能検査室（温度２５℃・湿度６
０％・風速０．１ｍ／秒以下）中に垂直状態で放置し
た。塗布後、２時間および４時間経過した時点で、それ
ぞれの匂い紙に付着した香料組成物の残香強度の比較を
５名の調香専門パネラーにより５回繰り返して判定した
（延べ人数２５名）。

【００１５】（３）香り立ち（匂い）試験法 試料香料組成物を８０％アルコール溶液とし、匂い紙に
同量ずつ塗布し、それぞれの匂い紙に付着した試料香料
組成物の香り立ちの比較を５名の調香専門パネラーによ
り５回繰り返して判定した（延べ人数２５名）。

【００１６】実施例１ 本発明で用いるビフェニル化合物について前記感作性の
試験方法に従って検討した。その結果、表３に示すよう
に感作性は認められなかった。

【００１７】

【表３】 注）ＰＲ：感作率（％）（陽性動物数／使用動物数） ＭＲ：評価点の平均値

【００１８】実施例２及び比較例１〜３ 表４の処方に従って、実施例及び比較例の香料組成物を
調製した。

【００１９】

【表４】

【００２０】（１）感作性試験 実施例２に関して試験を行った。その結果、感作性は認
められず、安全性の高い香料組成物であることが確認さ
れた。

【００２１】（２）残香性試験 実施例２と比較例１〜３を試験した。その結果を表５に
示す。表５から明かなように、本発明の香料組成物は優
れた残香性を有していた。

【００２２】

【表５】

【００２３】（３）香り立ち（匂い）試験 実施例２と比較例１〜３を試験した。その結果を表６に
示す。表６から明かなように、本発明の香料組成物は優
れた香り立ちを有していた。

【００２４】

【表６】

【００２５】実施例３〜５、比較例４ 表７の処方に従って、実施例及び比較例の香料組成物を
調製し、前記残香性試験及び香り立ち（匂い）試験を行
った。その結果を表８に示す。表８から明かなように、
本発明の香料組成物は何れも比較例の香料組成物に比べ
高い残香性、優れた香り立ちを示した。

【００２６】

【表７】

【００２７】

【表８】

【００２８】

【発明の効果】以上記載の如く、本発明のビフェニル化
合物を一般の香料組成物に配合することにより、皮膚に
対する安全性の高い香料組成物を得ることができ、さら
には芳香特性および保留性を高めることが出来る。すな
わち、本発明のビフェニル化合物を配合することにより
香料組成物の残香性および香り立ちが改善され、所望の
香気の持続性を高めることが可能となる。したがって、
香料組成物の商品価値を著しく高めることができ、その
作用効果の特異性は著しい。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記一般式で表されるビフェニル化合物
   を含有することを特徴とする香料組成物。 【化１】 （但しＲは炭素数１から４の直鎖及び分岐鎖状の飽和炭
   化水素基）