JP2694430B2 - ハタケシメジの育種栽培方法 - Google Patents

ハタケシメジの育種栽培方法

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JP2694430B2
JP2694430B2 JP7330968A JP33096895A JP2694430B2 JP 2694430 B2 JP2694430 B2 JP 2694430B2 JP 7330968 A JP7330968 A JP 7330968A JP 33096895 A JP33096895 A JP 33096895A JP 2694430 B2 JP2694430 B2 JP 2694430B2
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郁郎 青山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菌糸を菌根形成さ
せる多年性植物を利用したハタケシメジの育種栽培方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ハタケシメジは畑や庭先などに発
生し、ホンシメジの近縁種であるが菌根菌ではなく、地
下部位に埋もれた木材を分解する腐生菌と言われ、現在
では原木栽培は無く、試験的段階ののこ屑による栽培だ
けである。例えば、施設利用の袋栽培法として、バーク
堆肥を培地の主成分とし、これに生コメヌカやフスマを
加えた培地で栽培するものがあるが、ハタケシメジの発
生には覆土処理の効果はない。また、この外に石粉、モ
ミガラ、コーンプランを混合した培地を調整し、広口ビ
ンに詰めて種菌を接種した施設利用のビン栽培法や、バ
ーク堆肥と生コメヌカの混合培地により接種培養し、完
全に培地内に菌糸が蔓延し、熟成したものを野外につく
った床に埋め込んで自然条件下で発生させる野外床利用
による袋栽培法、さらには杉おが屑とコメヌカの混合培
地をビンに詰めて植菌し、菌糸がビン内で蔓延した後培
地をビンから取り出し素焼鉢の中に入れて山砂に埋める
ことにより茸を発生させる素焼鉢利用によるビン栽培法
等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
育種栽培方法では、資材のコストが高く、栽培期間が長
いわりに収量が少ないという欠点があり、量産化に乏し
くて実用化には問題が多い。
【0004】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、低コストで量産化が可能なハタケシメジの育種栽培
方法を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明にあっては、保水粘土性を有する土壌質に
植え付けられた多年性草本のかやまたは杉生木等の樹木
の根にハタケシメジの菌を寄生または共生させてハタケ
シメジを発生育種させると共に、該育種されたハタケシ
メジを増殖発生させ大きく栽培させる栄養源として前記
根の近傍に自然乾燥した杉原木またはそのおが屑を埋設
したことを特徴とする。
【0006】本発明に係る育種栽培方法にあって、多年
性植物であるところのかや又は杉生木の根にハクケシメ
ジの茸菌を寄生または共生を行ない、その茸菌の栄養源
として埋設された杉原木またはそののこ屑には菌糸を蔓
延させ、ハタケシメジを発生させる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明するに、図において示される符号1は、
木材等を分解する腐生菌といわれる茸菌であるハタケシ
メジ菌2を寄生または共生に基づき根3である主根およ
び細根に菌根形成させてハタケシメジを発生させる多年
性植物としてのかやであり、該かや1の根3の近傍には
ハタケシメジ菌2の栄養源として菌糸を蔓延させ、ハタ
ケシメジを多量に且つ大きく発生させるための杉原木4
を埋設している。具体的には、山取りしたかや1を数株
例えば1株または2株等を適当な間隔例えば約30cm
〜40cm位に植え、約半年から1年程度に自然乾燥さ
せた杉原木4等を約20cm〜30cm位に玉切りに
し、かや1の根3の近傍に地表部より約20cm〜30
cm位のところに埋設している。予め自然採取したハタ
ケシメジからその胞子を水溶液中に自然落下させその水
溶液を上記かや1の根3の近傍に播くかまたは茸をかや
1の根3におき接種させることで自然環境の露地栽培下
においてハタケシメジの発生を待つものとしている。こ
のかや1の根3に一度ハタケシメジ菌2が活着すれば数
十年間多量に発生して、この栄養源となる杉原木4等を
埋め足していけばその発生年数が伸びるようにしてい
る。栄養源となる杉原木4は杉の間伐材等で良く、また
その他の樹木およびのこ屑、おが屑等の形態でも良い。
また、杉林の林間等を利用して発生することも可能と
し、杉林の二次的利用ができるようにしても良い。
【0008】次いで、本発明に係る育種栽培方法の栽培
条件について説明すれば、かや1の休眠期であることと
雑菌が少ないという理由により、かや1の植え込みと杉
原木4の埋設時期は冬期に行なう。また、ハタケシメジ
の胞子の接種時期は自然条件下で発生する9月下旬から
10月中旬に接種を行なう。このとき、多量接種が可能
である。さらに、かや1の植え付ける土性としての土壌
質および杉原木4を埋設するところの土性は粘土分を多
く含む土が好ましい。これは栄養分となる腐植質が少な
いため雑菌が少なく、保水力もあることが理由である。
そして、夏期にはハタケシメジ菌の死滅を防ぐために地
温が高温にならないよう直射光線を防ぐダイオシェード
や寒冷沙等で被覆するかまたはビニール布で覆う。ま
た、杉林等の林地にかや1を植え付けるようにすると地
温は1年中安定することができる。上記した気温、光、
日長、降雨等の環境条件は自然環境である露地栽培に委
ねるものとする。これは、茸が発生するまで期間が長い
という欠点はあるが一度発生してしまうと数十年間多量
に収穫できるという利点がある。また、極端に降雨が少
ない時は散水を施す。そして、雑菌を防ぐために施肥等
は行なわない。上記栽培条件により育成されたハタケシ
メジの用途は生食用、缶詰加工用品として一般向けに販
売されたり、鉢等に植え付けて鉢物用としても良い。
【0009】
【実施例】以上のような育種栽培方法に基づき、以下の
育種過程の実験により好結果を得た。すなわち、この育
種は1993年〜1995年にかけて露地栽培および杉
林地間で行なった。かや1の植え付けおよび杉原木4の
埋設は1993年の冬期に行なった。胞子の接種は19
93年9月下旬から10月中旬に行なった。ハタケシメ
ジの茸実体の発生は1995年10月上旬に1株(約3
本程度)であった。1995年に発生したかや1を掘り
起こし、かや1の根3に菌糸を確認し、また杉原木4に
菌糸が伸びているのが確認できた。従来のハタケシメジ
の栽培は、腐生菌としての生態的特徴を利用して、のこ
屑等による茸の発生はあるが、まだその技術自体が確立
されていないのが現状である。本発明は、腐生菌として
の生態的特徴を生かすと共に、マツタケが松の根に菌根
形成するようにハタケシメジ菌をかやまたは杉の主根お
よび細根の幼根先端部の表面に菌根形成を行なわせ茸を
発生させる。腐生菌であるハタケシメジに菌根の形成を
行なわすことが本発明の生態的特徴であり、これによ
り、かやの根および埋設した杉原木から菌糸束が伸びて
多量に安定した茸が発生するものである。そして、従来
ののこ屑(試験的段階)等による栽培は、種菌をのこ屑
培地等に接種するのに対して、本発明の栽培において
は、胞子をかやおよび杉の根に活着させることが大きな
生理的差異である。のこ屑等による栽培では約3ケ月程
度人工培養し、のこ屑培地に菌糸を蔓延させ茸を発生さ
せるのに対して、本発明は1年から2年と菌根形成する
まで期間が必要であるが、一度茸が発生すると、それ程
の管理も必要とせず、毎年、数十年間は茸が発生すると
いう生理的特徴を本発明は有する。
【0010】尚、本実施の形態においては育種栽培方法
に利用される植物として、多年性草本のかやを採用して
いるが、他に杉の生木の根等を利用しても良く、また本
発明は菌糸の発生を可能とさせる植物であれば、これら
に限定されることはないことは勿論である。
【0011】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
特に多年性草本等の根に一度腐生菌性の菌が活着すれば
数十年間多量に発生し、その植物の根の近傍に埋設され
た栄養源となる杉原木またはそのおが屑によって発生年
数が伸びるので、低コストで多量にそして大きくハタケ
シメジを発生させることができ、またハタケシメジの量
産化を可能とする。また、杉林の林間等を利用してハタ
ケシメジを発生することができ、杉林の二次的利用が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示したハタケシメジ育種
栽培の断面図である。
【符号の説明】
1…かや 2…ハタケシメジ菌 3…根 4…杉原木

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保水粘土性を有する土壌質に植え付けら
    れた多年性草本のかやまたは杉生木等の樹木の根にハタ
    ケシメジの菌を寄生または共生させてハタケシメジを発
    生育種させると共に、該育種されたハタケシメジを増殖
    発生させ大きく栽培させる栄養源として前記根の近傍に
    自然乾燥した杉原木またはそののこ屑を埋設したことを
    特徴とするハタケシメジの育種栽培方法
JP7330968A 1995-11-13 1995-11-13 ハタケシメジの育種栽培方法 Expired - Lifetime JP2694430B2 (ja)

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