JP2693899B2 - Ecrプラズマ加工方法 - Google Patents

Ecrプラズマ加工方法

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JP2693899B2
JP2693899B2 JP4272046A JP27204692A JP2693899B2 JP 2693899 B2 JP2693899 B2 JP 2693899B2 JP 4272046 A JP4272046 A JP 4272046A JP 27204692 A JP27204692 A JP 27204692A JP 2693899 B2 JP2693899 B2 JP 2693899B2
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和夫 大場
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エッチング、コーティ
ングに利用する高精度ECRプラズマ加工方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のECRプラズマ加工方法は、0.
0875Tの一定磁界による電子サイクロトロン共鳴を
利用し、イオン散乱現象をエッチングやコーティングに
利用するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁場中の電子はフレミ
ングの法則にしたがってサイクロトロン運動をする。電
子のサイクロトロン運動の角周波数とマイクロ波の角周
波数とが等しくなると共鳴が生じ、電子サイクロトロン
共鳴(ECR)現象が生じる。これにより電子とガス分
子との衝突が多くなり、分子の分解とイオン化が起こ
り、同数の電子とイオンが入れ乱れた状態(プラズマ)
が容器内で生じる。この現象を利用した加工法がECR
プラズマ加工方法である。
【0004】従来のECRプラズマ加工方法では、一定
磁界のみのため、イオン旋回流が速く、イオンが散乱
し、図3に示すようにイオン流の試料中における回り込
み角θが大きくなって異方性処理が困難となり、さらに
連続照射のため、蒸気によって空洞泡を発生したり、周
囲は広い範囲に加熱され、加工形状精度に問題があっ
た。
【0005】そこで本発明ではECRプラズマ加工にお
いて高精度加工を可能にするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁力線がマイ
クロ波の進行方向と平行に、又は垂直に、又は垂直にそ
して平行に、磁界を与えて生じる電子サイクロトロン共
鳴(ECR)現象を利用したECRプラズマ加工方法に
おいて、マイクロ波出口とイオン集束用回転磁界発生装
間のプラズマ中に加速用パルス電圧を印加し、上記イ
オン集束用回転磁界発生装置にパルス電流を流してイオ
ン流を集束し、回転磁界の下流にある加速用電極板と被
加工材との間にも加速用パルス電圧を印加するECRプ
ラズマ加工方法である。又、磁力線がマイクロ波の進行
方向と平行に、又は垂直に、又は垂直そして平行に与え
る磁界発生コイルにもパルス電印加するとよい。
【0007】上記において、回転磁界発生コイルにパル
ス電印加してイオン流を集束するということは下記
のとおりである。磁界の磁束軌跡がじょうご形状になる
ように、すなわち、プラズマ中のイオンが大きい渦巻か
ら被加工材面方向に近づくにしたがい小さい渦巻になっ
て行くような形状又は回転径が大きい形状から小さい形
状となる磁界発生機構とした回転磁界発生コイルに、パ
ルス電印加することにより装置の出口付近において
は強力な渦巻又は大小形状輪の磁界を形成させるように
し、それによってプラズマ中のイオン流を集束するよう
にしたものである。
【0008】上記回転磁界発生装置に流すパルス電流の
通電時間は、0.01〜500msの範囲のパルス時間
のみ加えると良く、同時にプラズマ中にマイクロ波出口
の陽極と被加工材の陰極の両極間にパルス電界を与える
ことにより、マイクロ波出口と回転磁界発生装置間のプ
ラズマ中及び加速用電極板と被加工材間にパルス電圧が
印加されさらには磁力線がマイクロ波の進行方向と平行
に、又は垂直に、又は垂直にそして平行に与える磁界発
コイルにもパルス電印加することにより、被加工
材の急峻な温度勾配をもつことになり、高精度の加工が
できる。
【0009】又、上記において回転磁界発生装置とは図
2に示す如く、鉄心にコイルを別々に巻いておき、各コ
イル端子にパルス電圧を印加することによって発生させ
る。図2の場合は、コイル1つおきの4個に同時にパル
ス電流を流し、次に残りの4個にパルス電流を流すこと
によって、イオン流はフレミングの左手の法則にしたが
って集束し、イオン流が通過する穴の中心部分に収束さ
れイオン散乱が少くなって高精度加工が可能となる。
【0010】加速用電極の板は回転磁界発生装置中央よ
り試料面に向ったイオンビーム速度をさらに高速とする
ことによりエッチング加工速度を速くする。又、コーテ
イング速度を速くする効果があり、しかもイオンビーム
を絞ることにより加工精度を高める効果がある。加速用
電極板にパルス電圧を与えることにより、イオン流を強
く加速させ、イオン衝撃点の位置決めをする。同時にプ
ラズマ中にマイクロ波出口の陽極と被加工体の陰極との
間にパルス電圧を印加することにより、すべてのイオン
が基板表面に急速イオン移動させる。
【0011】
【実施例】実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】図1において、1は被加工材で、2は被加
工材受台で陰極でもある。3は加速用電極板で、4はイ
オン流集束用回転磁界発生装置である。5はマイクロ波
の進行方向に平行な磁力線を発生させるコイル、6はヨ
ーク、7はイオン源においてマイクロ波の進行方向に垂
直な磁力線の一定磁界を発生させるコイル、8はイオン
源であり、9は冷却水排出口、10は2.45GHzの
マイクロ波の進行方向を示す。11は反応ガス導入口
で、12は冷却水供給口である。13はパルス電源、1
4と15は抵抗器である。そして所望に応じて、コイル
5,7および回転磁界発生装置4、加速用電極板3(さ
らに陽極16)にパルス電圧を印加する。
【0013】次に具体的な加工例について説明する。
【0014】例えばSiO2を被加工材1とした場合、
エッチングガスとして、CF4+20%H2を反応ガス導
入口11より流し、雰囲気を0.05Torrとした。
コイル5に一定電圧を印加し、磁力線がマイクロ波の進
行方向と平行方向になる様に一定磁界0.0875Tな
る磁界を与えた。更にイオン集束用として回転磁界発生
装置4のコイルにパルス電流を流し、しかも被加工材1
加速用電極板3との間にもパルス電圧例えば200V
を印加した。その上、プラズマ中にマイクロ波出口の
極と被加工体を陰極としてパルス電圧例えば800V
印加し、加工を行った。その結果、表1に示すようにエ
ッチング速度0.33μ/minの高速で従来の6倍以
上のエッチング速度が得られ、回り込み角13°に対し
て0.9°であり良好な加工形状精度である。
【0015】
【表1】
【0016】次に同一条件で、ただ磁力線がマイクロ波
の進行方向と垂直方向になる様に平均磁界0.0875
Tなる磁界を与えた場合、表2に示すごとく、エッチン
グ速度は平行に比べてやや遅いが回り込み角は0.7°
と良好となる。
【0017】これは垂直方向の場合イオン速度が遅いた
めであるがイオンの散乱が少ないことで回り込み角が良
好である。
【0018】
【表2】
【0019】そこで更に同一な条件であるが、ただ、コ
イル5に電圧を印加し磁力線がマイクロ波の進行方向と
平行方向になる様に平均磁界0.0875Tとなる磁界
を与え、さらにイオン濃度を高め、イオン温度を低温化
させるための閉じ込め磁場としてコイル7に電圧を印加
して、磁力線がマイクロ波の進行方向と垂直方向になる
様に0.0875Tの磁界を与えた。そしてイオン集束
用として回転磁界発生装置4のコイルにパルス電流を流
し、ついで被加工材1と加速用電極板3との間にもパル
ス電圧を与えて、プラズマ中にマイクロ波出口の陽極と
被加工材を陰極としてパルス電圧を印加し、被加工材1
に急峻な温度勾配をもつような加工を行った。
【0020】その結果、表3に示すように最高0.45
μ/minの高速エッチングを行うことができ、従来の
9倍のエッチング速度が得られた。従来の回り込み角1
3°に対して0.6°であり、極めて良好な加工形状精
度である。
【0021】
【表3】
【0022】又、被加工材としてAl23についてもプ
ラズマ加工した結果、表4に示す如く、イオン断続照射
効果が得られ、回り込み角が小さいことがわかった。
【0023】
【表4】
【0024】次に、Siを被加工材としてAlの薄膜抵
抗体コーティングテストを行った。ガスとしてAl(C
252を流し、1Torrの雰囲気中でコーティング
処理を行った。電子サイクロトロン共鳴現象を生じさせ
るため、0.0875Tの磁界を与えた。回転磁界用と
して1.7Tの平均磁界を与えてコーティングを行っ
た。結果を表5に示す。
【0025】
【表5】
【0026】パルス電界を印加することにより、例えば
Pは1000V、τonが0.005msの場合、被覆
速度は4μm/min、面精度は0.075μHma
x、厚み差は0.027μm/mm2であって極めて均
一であった。
【0027】さらに上記SiO2の例において、マイク
ロ波の進行方向と平行に、又は垂直、又は平行と垂直
方向にパルス磁界を与えて、平均磁界0.0875Tと
した場合の試験結果を表6,7,8として示す。
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】
【表8】
【0031】表8の処理条件において被処理材をAl2
3とした場合の処理結果は表9に示すごとくエッチン
グ速度が10倍近い速度でエッチング加工ができ、回り
込みも極めて良好な結果となった。
【0032】
【表9】
【0033】同一条件でAlのコーティングを行なった
ところ被覆速度が6.2μm/minとなり、面粗度、
厚み差も表10に示すごとく優れた結果が得られてい
る。
【0034】
【表10】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、回転磁界発生コイル
パルス電流を流して、磁力線を回転させ、プラズマ中の
イオンを漏斗形に沿って集束し、さらに加速用電極板
もパルス電圧を印加し、さらに被加工材を陰極として高
電圧パルス電を印加し、又、場合によっては磁力線が
マイクロ波の進行方向と平行に、又は垂直になる様に磁
界発生コイルにパルス電流を流すことで、高異方性エッ
チング並びにコーティング処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の説明図である。
【図2】本発明に用いる回転磁界発生装置の説明図であ
る。
【図3】プラズマ加工による回り込み角の説明図であ
る。
【符号の説明】 1 被加工材 2 被加工材受台 3 加速用電極板 4 集束用電磁レンズ 5 コイル 6 ヨーク 7 コイル 8 イオン源 9 冷却水排出口 10 マイクロ波進行方向 11 反応ガス導入口 12 冷却水供給口 13 パルス電源 14 抵抗器 15 抵抗器
フロントページの続き (72)発明者 嶋 好範 神奈川県川崎市麻生区王禅寺768番地15 (72)発明者 大場 章 埼玉県朝霞市浜崎1丁目9番地の3− 205

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁力線がマイクロ波の進行方向と平行
    に、又は垂直に、又は垂直にそして平行に、磁界を与え
    て生じる電子サイクロトロン共鳴(ECR)現象を利用
    したECRプラズマ加工方法において、マイクロ波出口
    とイオン集束用回転磁界発生装置間のプラズマ中に加速
    用パルス電圧を印加し、上記イオン集束用回転磁界発生
    装置にパルス電流を流してイオン流を集束し、回転磁界
    の下流にある加速用電極板と被加工材との間にも加速用
    パルス電圧を印加することを特徴とするECRプラズマ
    加工方法。
  2. 【請求項2】 印加するパルス電圧は電圧波形τon
    0.1μs〜1×106μsの範囲でる請求項1記載
    のECRプラズマ加工方法。
  3. 【請求項3】 磁力線がマイクロ波の進行方向と平行
    に、又は垂直に、又は垂直にそして平行に与える磁界発
    コイルにパルス電印加する請求項1又は2記載の
    ECRプラズマ加工方法。
JP4272046A 1992-10-09 1992-10-09 Ecrプラズマ加工方法 Expired - Lifetime JP2693899B2 (ja)

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