JP2693597B2 - 環状オレフィン系ランダム共重合体の製造方法 - Google Patents

環状オレフィン系ランダム共重合体の製造方法

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JP2693597B2
JP2693597B2 JP23240089A JP23240089A JP2693597B2 JP 2693597 B2 JP2693597 B2 JP 2693597B2 JP 23240089 A JP23240089 A JP 23240089A JP 23240089 A JP23240089 A JP 23240089A JP 2693597 B2 JP2693597 B2 JP 2693597B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、環状オレフィン系ランダム共重合体の製造
方法に関し、さらに詳しくは、耐熱性、耐熱老化性およ
び種々の機械的特性などに優れる環状オレフィン系ラン
ダム共重合体の製造方法に関する。
発明の技術的背景 透明性に優れた合成樹脂としては、ポリカーボネート
やポリメタクリル酸メチルあるいはポリエチレンテレフ
タレートなどが知られている。たとえばポリカーボネー
トは透明性とともに耐熱性、耐熱老化性、耐衝撃性にも
優れた樹脂である。しかし強アルカリに対しては容易に
侵されて耐薬品性に劣るという問題点がある。またポリ
メタクリル酸メチルは、酢酸エチル、アセトン、トルエ
ンなどに侵され易く、エーテル中で膨潤し、さらに耐熱
性も低いという問題点がある。さらにポリエチレンテレ
フタレートは、耐熱性あるいは機械的性質には優れるも
のの強酸やアルカリに弱く、加水分解を受け易いという
問題点がある。
一方、凡用樹脂として広く利用されているポリオレフ
ィンは、耐薬品性、耐溶剤性に優れ、しかも機械的性質
にも優れているが、耐熱性に乏しいものが多く、結晶性
樹脂であるため透明性に劣る。このため一般にポリオレ
フィンの透明性を改善するには、ポリオレフィンを製造
する際に造核剤を反応系に添加してポリオレフィンの結
晶構造を微細化するか、もしくは急冷を行って結晶の成
長を止める方法(急冷法)が用いられるが、その効果は
充分とは言い難い。むしろ造核剤のような第三成分を反
応系に添加することは、ポリオレフィンが本来有してい
る優れた諸性質を損なう虞があり、また急冷法は、装置
が大掛かりになるほか、結晶化度の低下に伴ってポリオ
レフィンの耐熱性あるいは剛性などが低下する虞があ
る。
エチレンと崇高なコモノマーとの共重合体について
は、たとえば米国特許公報第2,883,372号明細書に、エ
チレンと2,3−ジヒドロキシジシクロペンタジエンとの
共重合体が開示されている。この共重合体は、剛性、透
明性のバランスには優れているが、ガラス転移温度が10
0℃程度であって耐熱性に劣るという問題点がある。ま
た、エチレンと5−エチリデン−2−ノルボルネンとの
共重合体も同様の問題点がある。
また、特公昭46−14910号公報には、1,4,5,8−ジメタ
ノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a,−オクタヒドロナフタレンの単
独重合体が提案されているが、該重合体は耐熱性や耐熱
老化性に劣る。さらに、特公昭58−127728号公報には、
1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレンの単独重合体または該環状オレフィンとノル
ボルネンタイプのコモノマーとの共重合体が提案されて
いるが、該重合体は、いずれも開環重合体であることが
前記公報の記載から明らかである。このような開環重合
体は、重合体主鎖中に不飽和結合を有しているので、耐
熱性、耐熱老化性に劣るという問題点がある。
また、本出願人は先に、エチレンと特定の崇高な環状
オレフィンとを共重合させて得られる環状オレフィン系
ランダム共重合体が優れた透明性を有し、しかも耐熱
性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性、機械
的性質のバランスのとれた合成樹脂であり、かつ光学メ
モリディスクや光学ファイバーなどの光学材料の分野に
おいて優れた性能を発揮することを見出し、すでに特願
昭59−16995号公報、特願昭59−220550号公報、特願昭5
9−236828号公報、特願昭59−236829号公報、特願昭59
−242336号公報に提案した。
このようなエチレンと特定の環状オレフィンとを共重
合させて環状オレフィン系ランダム共重合体を製造しよ
うとする際には、通常、撹拌機付槽型重合器が用いられ
ている。この撹拌機付槽型重合器を用いて、エチレンと
環状オレフィンとの重合反応を行なおうとすると、反応
条件によっては、撹拌機付槽型重合器内の気液界面付近
の壁面に、エチレン成分の含有量が多くかつこの重合反
応を行なう際に用いられる炭化水素溶媒に不溶な共重合
体(以下溶媒不溶性共重合体ということがある)が生成
しやすかった。そして、撹拌機付槽型重合器内の気液界
面付近の壁面に溶媒不溶性共重合体が生成すると、この
溶媒不溶性共重合体によって、撹拌機付槽型重合器内の
気液界面の状態が刻々と変化したり、あるいは、溶媒不
溶性共重合体の生成量が多い場合には、気液接触面積が
減少したりしてしまうことがあった。そのため、エチレ
ンと環状オレフィンとの共重合反応が充分に行なわれな
かったり、あるいはまた、撹拌機付槽型重合器の内壁に
生成し、付着した溶媒不溶性共重合体が内壁から液相に
脱落し、該重合器内に生成したエチレン−環状オレフィ
ン系ランダム共重合体とともに抜出しラインに至り、該
抜出しラインに設けられた濾過装置に捕捉され、このよ
うにして捕捉された溶媒不溶性共重合体が濾過装置の閉
塞を起こしたりするなど、重合器および濾過装置を含む
一連のエチレン−環状オレフィン系ランダム共重合体製
造装置を連続かつ安定に運転することができないという
問題点があった。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決
することを目的とするものであって、エチレンと環状オ
レフィンとを共重合させて環状オレフィン系ランダム共
重合体を製造するに際し、特定条件下に設定された重合
器内でエチレンと環状オレフィンとの共重合反応を行な
うことにより、上記のような共重合反応を円滑に進行さ
せて、該重合器を含む一連のエチレン−環状オレフィン
系ランダム共重合体製造装置の運転を長期に亘り、連続
的かつ安定して行なうことができ、しかも品質が均一で
あり、耐熱性、耐熱老化性および種々の機械的特性など
に優れた環状オレフィン系ランダム共重合体の製造方法
を提供することを目的とする。
発明の概要 本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体の製
造方法は、重合器内で、触媒および溶媒の存在下に、エ
チレンと、下記一般式[I]で表わされる環状オレフィ
ンとを液相中で共重合させて環状オレフィン系ランダム
共重合体を製造するに際して、前記一般式[I]で表わ
される少なくとも1種の環状オレフィンもしくは該環状
オレフィンと溶媒との混合物を、前記重合器内の気液相
界面よりも上部の重合器内周壁に供給しつつ、エチレン
と該環状オレフィンとを共重合させることを特徴として
いる。
(式中、nは0もしくは正の整数であり、R1〜R12はそ
れぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、
ハロゲン原子または炭化水素基であるか、R9(またはR
10)とR11(またはR12)とは互いに結合して、単環また
は多環を形成していてもよい。) 本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体の製
造方法は、上記のような特徴を有しているので、エチレ
ンと環状オレフィンとの共重合反応を円滑に進行させる
ことができ、従って、該重合器を含む一連のエチレン−
環状オレフィン系ランダム共重合体製造装置の運転を連
続的かつ安定して行なうことができ、しかも品質が均一
であり、耐熱性、耐熱老化性および種々の機械的特性な
どに優れた環状オレフィン系ランダム共重合体を製造す
ることができる。
発明の具体的説明 以下、本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合
体の製造方法について、その製造工程に従って順次具体
的に説明する。
重合用原料 本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体の製
造方法において、重合原料として使用される環状オレフ
ィンは、一般式[I]で表わされる少なくとも1種の環
状オレフィンである。
(式中、nは0もしくは正の整数であり、R1〜R12はそ
れぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、
ハロゲン原子または炭化水素基であるか、R9(またはR
10)とR11(またはR12)とは互いに結合して、単環また
は多環を形成していてもよい。) 換言すれば、このような環状オレフィンは下記式[I
a]で表わすこともできる。
ただし、上記式[I a]において、nは0もしくは1
であり、mは、0もしくは正の整数である。
そして、式[I a]においてR1〜R18は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
群から選ばれる原子もしくは基を表す。ここで、ハロゲ
ン原子としては、たとえば、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子およびヨウ素原子を挙げることができる。また、
炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常は炭素原子
数1〜10のアルキル基、炭素原子数5〜7のシクロアル
キル基を挙げることができ、アルキル基の具体的な例と
しては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基を挙げることができ、
シクロアルキル基の具体的な例としては、シクロヘキシ
ル基を挙げることができる。
さらに、上記式[I a]において、R15〜R18のうちの
いずれか2者が、それぞれ共同して単環または多環の基
を形成していてもよく、且つ該単環または多環の基が二
重結合を有していてもよい。
また、R15とR16とが、またはR17とR18とがそれぞれ独
立にアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜10のアルキリ
デン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例
としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプ
ロピリデン基を挙げることができる。
このような環状オレフィンは、シクロペンタジエン類
と相応する環状オレフィン類とをディールス・アルダー
反応によって縮合させることにより容易に製造すること
ができる。
環状オレフィンとして、具体的には、表1に記載した
化合物、あるいは1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,
8a−オクタヒドロナフタレンのほかに、2−メチル−1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−プロピル−1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ステアリ
ル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メ
チル−3−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−クロロ−1,4,5,8
−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、2−ブロモ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,
8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロヘキシ
ル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン、2−n−ブチル−1,4,5,8−ジメタノ
−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−
イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−
オクタヒドロナフタレンなどのオクタヒドロナフタレン
類を例示することができる。
また、本発明では、環状オレフィン系ランダム共重合
体を製造するに際して、前記エチレンと前記環状オレフ
ィンとを共重合させるが、該必須の二成分の他に本発明
の目的を損わない範囲で必要に応じて他の共重合可能な
不飽和単量体成分を共重合させることもできる。
このような共重合可能な不飽和単量体として、具体的
には、たとえば生成するランダム共重合体中のエチレン
成分単位と等モル未満の範囲のプロピレン、1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコ
センなどの炭素原子数が3〜20のα−オレフィン、生成
するランダム共重合体中の前記環状オレフィン成分単位
と等モル未満のシクロペンテン、シクロヘキセン、3−
メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−
テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン などのシクロオレフィン、1,4−ヘキサジエン、4−メ
チル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジ
エン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5
−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノ
ルボルネンなどの非共役ジエン類、ノルボルネン−2、
5−メチルノルボルネン−2、5−エチルノルボルネン
−2、5−イソプロピルノルボルネン−2、5−n−ブ
チルノルボルネン−2、5−i−ブチルノルボルネン−
2、5,6−ジメチルノルボルネン−2、5−クロロノル
ボルネン−2、2−フルオロノルボルネン−2、5,6−
ジクロロノルボルネン−2等のノルボルネン類などを例
示することができる。
溶媒 本発明では環状オレフィン系ランダム共重合体を製造
するに際して、エチレンと環状オレフィンとの共重合反
応は炭化水素溶媒中で行なわれる。この際用いられる炭
化水素溶媒としては、たとえばヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、前記重
合性不飽和単量体などを例示することができ、これらの
2種以上の混合溶媒であってもよい。
触媒 本発明では、環状オレフィン系ランダム共重合体を製
造するに際して、エチレンと環状オレフィンとの共重合
反応は触媒の存在下に行なわれるが、このような触媒と
しては、重合反応系の炭化水素溶媒に可溶性のバナジウ
ム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用
いられる。バナジウム化合物としては、具体的には、一
般式VO(OR)aXbまたはV(OR)cXd(ただし、Rは炭化
水素基、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0
≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表わされる
バナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物
が用いられる。より具体的には、VOCl3、 VO(OC2H5)Cl2、 VO(OC2H52Cl、 VO(O−iso−C3H7)Cl2、 VO(O−n−C4H9)Cl2、 VO(OC2H5、VOBr2、VCl4、 VOCl2、VO(O−n−C4H9、 VCl3・2OC8H17OHなどのバナジウム化合物が用いられ
る。
また、該可溶性バナジウム触媒成分を調製する際に用
いられることのある電子供与体としては、アルコール、
フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機
酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無
水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモ
ニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電
子供与体などが挙げられる。より具体的には、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサ
ノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルア
ルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、
フェニルエチルアルコール、イソプロピルアルコール、
クミルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールな
どの炭素数1〜18のアルコール類;フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェ
ノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフト
ールなどの低級アルキル基を有してよい炭素数6〜20の
フェノール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、
ベンゾキノンなどの炭素数3〜15のケトン類;アセトア
ルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒ
ド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデ
ヒドなどの炭素数2〜15のアルデヒド類;ギ酸メチル、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、
酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチ
ル、酪酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジ
クロル酢酸エチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸
メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸
エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プ
ロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸
シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジ
ル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸
アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、マレ
イン酸n−ブチル、メチルマロン酸ジイソブチル、シク
ロヘキセンカルボン酸ジn−ヘキシル、ナジック酸ジエ
チル、テトラヒドロフタル酸ジイソプロピル、フタル酸
ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn−ブチ
ル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、γ−ブチロラクト
ン、δ−バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エ
チレンなどの炭素数2〜30の有機酸エステル類;アセチ
ルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリ
ド、アニス酸クロリドなどの炭素数2〜15の酸ハライド
類;メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエ
ーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒド
ロフラン、アニソール、ジフェニルエーテルなどの炭素
数2〜20のエーテル類;酢酸アミド、安息香酸アミド、
トルイル酸アミドなどの酸アミド類;メチルアミン、エ
チルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピペ
リジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピ
コリン、テトラメチレンジアミンなどのアミン類;アセ
トニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどのニト
リル類;ケイ酸エチル、ジフェニルジメトキシシランな
どのアルコキシシラン類などを挙げることができる。こ
れらの電子供与体は、2種以上用いることができる。
本発明に使用される有機アルミニウム化合物触媒成分
としては、少なくとも分子内に1個のAl−炭素結合を有
する化合物が用いられ、たとえば、 (i)一般式R1 mAl(OR2nHpXq (ここでR1およびR2は炭素数、通常1〜15個、好ましく
は1〜4個を含む炭化水素基で互いに同一でも異なって
いてもよい。Xはハロゲン、mは0≦m≦3、nは0≦
n<3、pは0≦n<3、qは0≦q<3の数であっ
て、しかもm+n+p+q=3である)で表わされる有
機アルミニウム化合物、 (ii)一般式M1AlR1 4(ここでM1はLi、Na、Kであり、R
1は前記と同じ)で表わされる第1族金属とアルミニウ
ムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
前記の(i)に属する有機アルミニウム化合物として
は、次のものを例示できる。
一般式R1 mAl(OR23-m (ここでR1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは1.5
≦m<3の数である)。
一般式R1 mAlX3-m (ここでR1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好ましく
は0<m<3である)。
一般式R1 mAlH3-m (ここでR1は前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3で
ある)。
一般式R1 mAl(OR2nXq (ここでR1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0<
m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3で
ある)。
(i)に属するアルミニウム化合物において、より具
体的には、トリエチルアミニウム、トリブチルアルミニ
ウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプロピ
ルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエ
チルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブ
トキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニ
ウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセス
キアルコキシドのほかに、R1 2.5Al(OR20.5などで表
わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化された
アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリ
ド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニ
ウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウ
ムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド
などのアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルア
ルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリ
ド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアル
ミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたア
ルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、
ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミ
ニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロ
ピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウ
ムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアル
ミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチ
ルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウム
エトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハ
ロゲン化されたアルキルアルミニウムを例示できる。ま
た(i)に類似する化合物たとえば酸素原子や窒素原子
を介して、2以上のアルミニウムが結合した有機アルミ
ニウム化合物であってもよい。このような化合物とし
て、具体的には、 (C2H52AlOAl(C2H5、 (C4H92AlOAl(C4H9などを例示できる。
前記(ii)に属する化合物としては、LiAl(C
2H5、LiAl(C7H15などを例示できる。これらの
中では、とくにアルキルアルミニウムハライド、アルキ
ルアルニウムジハライドまたはこれらの混合物を用いる
ことが好ましい。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体の製
造方法において、共重合反応は後述するように、連続法
で行なわれる。その際に、重合反応系に供給される可溶
性バナジウム化合物の濃度は、通常、重合反応系内の可
溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは7
〜1倍、さらに好ましくは5〜1倍の範囲である。
また、重合反応系内のバナジウム原子に対するアルミ
ニウム原子の比(Al/V)は2以上、好ましくは2〜50、
とくに好ましくは3〜20の範囲である。
該可溶性バナジウム化合物および該有機アルミニウム
化合物は、それぞれ、通常、前記炭化水素溶媒で希釈し
て供給される。ここで、該可溶性バナジウム化合物は、
前記濃度範囲に希釈することが望ましいが、有機アルミ
ニウム化合物は重合反応系における濃度のたとえば50倍
以下の任意の濃度に調製して重合反応系に供給する方法
が採用される。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体の製
造方法において、共重合反応系内の可溶性バナジウム化
合物の濃度は、バナジウム原子として、通常は、0.01〜
5グラム原子/、好ましくは0.05〜3グラム原子/
の範囲である。
重合 本発明では、環状オレフィン系ランダム共重合体を製
造するに際して、上記したような重合用原料を用い、ま
た上記したような溶媒および触媒の存在下に、エチレン
と環状オレフィンとの共重合反応を行なうが、この反応
を行なうに際しては、たとえば、撹拌機付重合器が用い
られる。この撹拌機付重合器には、たとえば、重合温度
を一定に保つための多管式冷却器と、撹拌機付重合器の
底部より重合溶液を抜出し該多管式冷却器に重合溶液を
循環させて、再び撹拌機付重合器に返す循環ラインと、
循環ライン中に設けられた循環ポンプとが備えられる。
上記した重合器内には、液相部および気相部が存在
し、気相部にはエチレンが存在する他、分子量調整剤で
ある水素ガスが存在してもよく、また気相部には不活性
ガスが存在してもよい。一方、液相部には環状オレフィ
ン、溶媒および触媒が存在する。
重合器内に存在するこれらの成分の内で、環状オレフ
ィンの少なくとも一部または環状オレフィンと溶媒の両
者の少なくとも一部は、重合器内の気液相界面より上部
の重合器内周壁(重合器内気相部内周壁)に供給され内
壁を伝わって、液相に導入される。
環状オレフィンまたは、該環状オレフィンと溶媒との
混合物を、重合器内気液相界面より上部内周壁に供給す
るための具体的方法としては、たとえば次のような方法
が挙げられる。
(イ)重合器内の気相部にスプレーディスクを設け、こ
のスプレーディスクから重合器内気相部内周壁に向け
て、環状オレフィンまたは、該環状オレフィンと溶媒と
の混合物を、流下あるいは散布し、該気相部内周壁を伝
わらせ、液相部に混入させる方法。
(ロ)重合器内の気相部にノズルを設け、このノズルか
ら重合器内気相部内周壁に向けて、直接、環状オレフィ
ンまたは、該環状オレフィンと溶媒との混合物を、流下
あるいは散布し、該気相部内周壁を伝わらせ、液相部に
混入させる方法。
なお、(イ)、(ロ)いずれの方法においても、流下
あるいは散布を連続的に行なってもよく、また断続的に
行なってもよい。
このように、重合器内の気液相界面よりも上部の重合
器内周壁に、環状オレフィンまたは、該環状オレフィン
と溶媒との混合物を供給することにより、エチレン成分
の含有量が、本発明に係る環状オレフィン系ランダム共
重合体よりも多くかつ用いられる溶媒に不溶な共重合体
(溶媒不溶性共重合体)が前記内周壁に生成することを
抑制することができる。
重合器内気相部内周壁に、環状オレフィンと溶媒との
混合物を供給する場合には、この溶媒と、重合器内液相
中の溶媒とは、通常は同一であるが、異なっていてもよ
い。
また、液相部と気相部の界面を常に同じ位置に保つた
めに液面コントロールバルブで自動制御するのが好まし
い。
本発明において、エチレンと環状オレフィンとの共重
合反応は、−50〜100℃、好ましくは−30〜80℃、さら
に好ましくは−20〜60℃の温度で行なわれる。
本発明では、エチレンと環状オレフィンとの共重合反
応は、通常、連続法で行なわれる。その場合、重合原料
のエチレン、環状オレフィン、必要に応じて共重合され
る共重合可能成分、触媒成分の可溶性のバナジウム化合
物成分、有機アルミニウム化合物成分および炭化水素溶
媒が重合反応系に連続的に供給され、重合反応混合物が
重合反応系から連続的に抜出される。
上記のような共重合反応を行なうに際して、重合反応
混合物の平均滞留時間は、重合原料の種類、触媒成分の
濃度および温度によっても異なるが、通常は5分〜5時
間、好ましくは10分〜3時間の範囲である。また共重合
反応を行なう際の圧力は、通常は0を超えて50kg/cm2
好ましくは0を超えて20kg/cm2である。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体を製
造するに際して、エチレン/環状オレフィンのモル比
は、通常では99/1〜1/99、好ましくは98/2〜2/98さらに
好ましくは90/10〜10/90の範囲である。
上記のようにしてエチレンと環状オレフィンとの共重
合反応を行なうと、環状オレフィン系ランダム共重合体
の炭化水素溶媒溶液が得られる。
このように、エチレンと該環状オレフィンとを共重合
体させて得られた環状オレフィン系ランダム共重合体中
においては、環状オレフィンは一般式[II]で表わされ
る構造を形成している。
一般式 (式[II]中、n、R1〜R12は前記式[I]と同じであ
る。) この式[II]で表される構造をさらに具体的に表現す
れば、下記式[II a]で表される。
ただし、上記式[II a]において、nおよびmならび
にR1〜R18は、前記式[I a]と同じ意味である。
このような共重合体溶液中に含まれる環状オレフィン
系ランダム共重合体の濃度は、通常、2.0〜100重量%、
好ましくは40〜60重量%の範囲にあり、該生成共重合体
溶液中には、触媒成分である可溶性バナジウム化合物成
分および有機アルミニウム化合物成分も含まれている。
上記のようにして得られた環状オレフィン系ランダム
共重合体の炭化水素溶媒溶液には、通常、下記するよう
な脱灰からペレタイズに至る一連の処理が行なわれ、環
状オレフィン系ランダム共重合体のペレットが得られ
る。
脱灰 重合器より抜出した重合体溶液に、通常、たとえば、
濃度5〜40重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加え、重
合反応を停止させるとともに、重合体溶液中に残存する
触媒残渣を、この重合体溶液から除去(脱灰)する。
次いで、通常、脱灰した後の重合体溶液を、次の析出
工程に入る前に一旦、所定の撹拌機付容器に貯蔵する。
析出 脱灰工程を経た所定量の重合体溶液と所定量の析出溶
媒たとえばアセトンとを、通常、撹拌機付析出ドラム
(第1析出ドラム)に供給し、所定の温度および撹拌下
に、重合体を第1析出ドラム内に析出させる。
次いで、この第1析出ドラム内に析出した重合体のア
セトン分散液を、通常、邪魔板および撹拌機を備えた析
出ドラム(第2析出ドラム)に供給し、再び重合体を析
出させる。
濾過分離 第2析出ドラムで得られた分散液を濾過し、濾液と、
重合反応により得られた重合体のウエットケーキとして
の固形分とに分離する。濾液中には、未反応モノマーお
よび溶媒たとえば重合工程で用いられたシクロヘキサン
と析出工程で用いられたアセトンとが含まれている。
分離された濾液は、各成分に分離され、再使用に供さ
れる。
抽出 次いで、重合体ウエットケーキをアセトンなどの溶媒
に分散させた溶液(共重合体分散液)を抽出槽で、加圧
下に加熱する。
このように、共重合体分散液を加熱することにより、
前記した重合体ウエットケーキに残存する未反応モノマ
ーを溶媒中に抽出させることができる。
抽出槽は二槽以上並列に用いることもできる。
遠心分離 上記したような抽出工程を経た共重合体分散液を、通
常、遠心分離機を用いて固液分離することにより、共重
合体を分取することができる。
乾燥 上記したような遠心分離工程を経て得られた該共重合
体(ウエットケーキ)を、まず、常圧乾燥器を用いて常
圧乾燥する。
このような常圧乾燥を行なう際には、通常、100〜190
℃の温度の蒸気を常圧乾燥器内に通して、該共重合体の
ウエットケーキを加熱する。また、この常圧乾燥時間
は、常圧乾燥器内を移動する該共重合体のウエットケー
キの速度によっても異なるが、通常、5〜60分間であ
る。
上記のようにして常圧乾燥された該共重合体のウエッ
トケーキを、次いで、真空乾燥器を用いて真空乾燥す
る。
このような真空乾燥を行なう際には、真空乾燥器を、
通常、100〜190℃の温度の蒸気を用いて加熱する。真空
乾燥時間は、通常、1〜4時間である。真空乾燥時の最
終圧力は、通常、1〜30Torrである。このように該共重
合体のウエットケーキを加熱乾燥すれば、該共重合体の
パウダーが得られる。
また上記したような脱灰工程を経て得られた環状オレ
フィン系ランダム共重合体溶液に加熱工程を加えて、溶
媒を充分に除去した後フラッシュ乾燥することによっ
て、該共重合体を乾燥させてもよい。
ペレタイズ 上記したような乾燥工程を経て得られた該共重合体の
パウダーを、押出機を用いて溶融し、さらにペレタイザ
ーを用いてペレットにする。
発明の効果 本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体の製
造方法においては、エチレンと環状オレフィンとの共重
合反応を長期間連続的に行なっても重合器内壁に、溶媒
不溶性共重合体、すなわちエチレン成分の含有量が多く
しかも炭化水素溶媒に不溶な共重合体の生成は抑制され
る。また、溶媒不溶性共重合体によって、重合器から該
共重合体を抜出すラインに閉塞等を生ずることも通常の
製造方法に比べて少ない。従って、本発明に係る環状オ
レフィン系ランダム共重合体の製造方法によれば、上記
した一連の装置の運転を長期間に亘り、連続して行なう
ことができる。
また本発明によれば、品質が均一で、耐熱性、耐熱老
化性および種々の機械的特性などに優れた環状オレフィ
ン系ランダム共重合体を製造することができる。
次に、本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合
体の製造方法を実施例により具体的に説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において得られた環状オレ
フィン系ランダム共重合体中に存在する該共重合体架橋
物の割合を次に示す方法により求めた。
ゲル分率;環状オレフィン系ランダム共重合体をパラキ
シレンに溶解させ、目の荒さが0.45μmおよび10μmの
フィルターで濾過し、フィルター重量の増加分を測定し
てゲル分率を求めた。
実施例1 [触媒調製] VO(OC2H5)Cl2をヘキサンで希釈し、バナジウム濃度
が6.7mモル/−シクロヘキサンであるバナジウム触媒
を調製した。
一方、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C
2H51.5Cl1.5)をシクロヘキサンで希釈し、アルミニ
ウム濃度が107mモル/−ヘキサンである有機アルミニ
ウム触媒を調製した。
[重合] 内径が700mmであり、全容量が560であり、反応容積
が280である撹拌機付重合器と、伝熱面積が19.4m2
あるたて型の多管式冷却器と、撹拌機付重合器の底部よ
り重合溶液を抜出し、該多管式冷却器に重合溶液を循環
させて、再び重合器に返す循環ラインと、循環ライン中
に設けられた循環ポンプとを備えた重合装置システムを
用い、エチレンと、 [テトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセン]
で示される環状オレフィン(以下単にテトラシクロドデ
センということがある。)との共重合反応を連続的に行
なった。この反応を行なう際に、前記方法によって調製
されたバナジウム触媒(V触媒)を、重合器内で重合溶
媒として用いられたシクロヘキサンに対するV触媒濃度
が0.6ミリモル/になるような量で重合器内に供給し
た。しかも重合器に供給される直前におけるV触媒濃度
が、重合器内での触媒濃度に対し、希釈倍率で2倍以下
になるように、重合溶媒のシクロヘキサンを用いて、予
めこのV触媒を希釈して供給した。
一方、有機アルミニウム化合物のエチルアルミニウム
セスキクロリドをAl/V=8.0となるような量で重合器内
に供給した。重合溶媒として用いるシクロヘキサンを、
205kg/Hの量で重合器内に供給した。エチレンを2.84kg/
Hの量で、分子量調整剤の水素ガスを0.2N/Hの量で重
合器内気相部に供給し、またテトラシクロドデセンを30
0g/Hの量で重合器内液相部に供給した。
重合器外部に取り付けられたジャケットおよび多管式
冷却器シエル側に、25重量%メタノール水を溶媒として
循環させることにより、重合温度が10℃になるように温
度をコントロールした。重合圧力が1.0kg/cm2Gとなるよ
うに、チッ素ガスを重合器内に導入して圧力をコントロ
ールした。
重合器内壁を洗浄するために、次のような方法を用い
た。すなわち、撹拌機と撹拌翼とを連結するシャフトの
気相部に、一部に穴をあけた受け皿(スプレーディス
ク)を取り付けた。そして、このスプレーディスク内に
シクロヘキサン溶媒を50kg/Hの量で、また、テトラシク
ロドデセンを12.66kg/Hの量で供給するとともに、シャ
フトを回転させ、シクロヘキサンおよびテトラシクロド
デセンを、シャフトの回転により生じた遠心力でスプレ
ーディスクの穴から飛散させ、重合器内壁へ散布した。
散布されたテトラシクロドデセンおよびシクロヘキサン
は、内壁を伝わって液相部に混入した。
上記した条件下で連続的にエチレンとテトラシクロド
デセンとの共重合反応を行なったところ、エチレン・テ
トラシクロドデセン共重合体のシクロヘキサン溶液が得
られた。
[脱灰] 重合器より抜出したエチレンとテトラシクロドデセン
との共重合体溶液に、ボイラー水およびpH調節剤とし
て、濃度が25重量%のNaOH溶液を添加し、共重合反応を
停止させるとともに共重合体溶液中に残存する触媒残渣
をこの共重合体溶液から除去(脱灰)した。
脱灰後の共重合体溶液を、次の析出操作にはいるまえ
に一旦、内径が900mmであり、有効容積が1.0m3である撹
拌機付容器に貯蔵した。
[析出] 脱灰後の共重合体溶液を、265kg/Hの量で、また、析
出溶媒(アセトン、水分1.0重量%)を1060kg/Hの量で
第1析出ドラムに供給した。この第1析出ドラムは、内
径が450mmであり、有効容積が100の析出ドラムであ
り、内部には、邪魔板および撹拌機が設けられている。
この析出ドラムに備え付けられた撹拌機は、6枚タービ
ン翼を有しており、この析出を行なった際の撹拌機の回
転数は600rpmであった。析出を行なった際の液温は、30
〜35℃であった。析出した共重合体の分散液を、オーバ
ーフローさせて、一旦内径1.3m、有効容積2.7m3の邪魔
板および撹拌機付の第2析出ドラムに供給し、更に未析
出のエチレンと環状オレフィンとの共重合体を析出させ
て共重合体分散液を得た。この際の、第2析出ドラムに
備え付けられた撹拌機の回転数は200rpmであった。
[濾過分離] 外径が70mmであり、内径が50mmであり、長さが1mであ
るセラミックフィルター13本からなる、たて型の日本シ
ューマッハ社製濾過機(CF−26型)に、上記した第2析
出ドラムで得られた共重合体分散液を供給し、濾過し
た。濾液を蒸留系に供給し、未反応モノマーと溶媒のシ
クロヘキサンとアセトンとを、それぞれ分離精製し、再
使用した。上記した濾過操作に伴って該濾過機のセラミ
ックフィルター外表面に付着した、主にエチレンと環状
オレフィンとの共重合体およびアセトンを含むウエット
ケーキを、アセトンを用いた間欠的な逆洗を行なうこと
により、濾過機下部に設けられた抽出槽に落下させた。
すなわち円筒形セラミックフィルターの外表面に付着
していたウエットケーキを、チッ素ガスにより4〜5kg/
cm2に加圧されたアセトンホールディングドラムから、
円筒形セラミックフィルターに約200/1回の量でアセ
トンを吹出させることによって、抽出槽に落下させた。
なお、上記した逆洗を約30分間隔で行なった。
[抽出] 前記した濾過機から落下してきたエチレンと環状オレ
フィンとの共重合体およびアセトンを含むウエットケー
キおよび逆洗に用いたアセトンを受ける抽出槽には、内
径が1850mmであり、有効容積が6m3である、邪魔板およ
び撹拌機付抽出槽を用いた。このような抽出槽を用い
て、上記落下物を加圧下に78℃の温度で2時間加熱し、
共重合体ウエットケーキに残存するテトラシクロドデセ
ンをアセトン中に抽出した。なお、この抽出処理を行な
う際には、該抽出槽をAとBの2基用い、一方の抽出槽
Aを用いて、重合体ウエットケーキをアセトンに分散さ
せた溶液(共重合体分散液)を加熱し、未反応モノマー
の抽出処理を行なっている際には、他方の抽出槽Bで、
濾過機から落下してきた共重合体ウエットケーキおよび
アセトンを受け、反対に、一方の抽出槽Bを用いて共重
合体分散液を加熱し、未反応モノマーの抽出処理を行な
っている際には、濾過機より落下してきた重合体ウエッ
トケーキおよびアセトンを他方の抽出槽Aで受けるとい
うように抽出槽AおよびBを交互に使用した。
[遠心分離] 上記したように抽出処理を行なった後の該共重合体分
散液を巴工業社製スーパーデカンター(型番P−4400)
を用いて、固液分離して、共重合体のウエットケーキを
分取した。
[乾燥] 上記したような遠心分離工程を経た該共重合体のウエ
ットケーキを、まず、常圧乾燥器(奈良機械製,NPD−3W
−W型)を用いて常圧乾燥した。
この常圧乾燥を行なった際には、常圧乾燥器のジャケ
ットおよびスクリューに、120℃の温度の蒸気を通し
て、共重合体ウエットケーキを加熱した。
この常圧乾燥時間は、常圧乾燥器に備え付けられてい
るスクリューによる、共重合体のウエットケーキの搬送
速度によって決定されるが、実績上20〜30分であった。
上記のように常圧乾燥された共重合体のウエットケー
キを、次いで、真空乾燥器(玉川機械製、容積2m3、真
空撹拌乾燥器)を用いて、真空乾燥した。
この真空乾燥を行なった際には、真空乾燥器のジャケ
ットおよび撹拌翼に140℃の温度の蒸気を通すことによ
り、該共重合体のウエットケーキを加熱した。
また、この真空乾燥時間は、2.5時間とした。真空乾
燥時の最終圧力は実績上、5〜10Torrであった。上記し
たように共重合体のウエットケーキを乾燥して得られた
共重合体パウダーを、容積が2m3のパウダーサイロに一
時貯蔵した。
[ペレタイズ] 2軸押出機(日本製鋼(株)製TEX−44)を用いて、
共重合体のパウダーを溶融し、次いでペレタイズした。
このペレタイズを行なう際に、ホットカット方式のペレ
タイザーを用いた。また、上記したペレタイズを行なう
に際し、溶融ポリマー中の微細な異物を除去するため
に、押出機とペレタイザーとの間に目の荒さが5μmま
たは10μmのフィルターを設置した。
上述したような、エチレンおよび環状オレフィンの共
重合反応工程からエチレン−環状オレフィン系ランダム
共重合体のペレタイズ工程に至る一連の装置を2ヶ月間
連続運転したところ、循環ポンプの送液が不安定となっ
た。そこで、装置の運転を止め、重合器を開放して点検
したところ、V触媒のフィードノズルにフットボール大
のかたまりが生成していた。そして、このかたまりが生
成したために、循環ポンプによる送液が不安定化したも
のと推定された。また、重合器内の気液界面部に、オビ
状に付着している、シクロヘキサンに不溶なエチレンと
環状オレフィンとの共重合体が発見された。しかしなが
ら、押出機とペレタイザーとの間に設けられたポリマー
フィルターの寿命は、目の荒さが10μmのものでは、1
ヶ月を達成していた。
上記した重合方法により得られた該共重合体中に占め
るシクロヘキサン不溶解分の割合(ゲル分率)を表2に
示すとともに、重合器の運転寿命、および押出機とペレ
タイザーとの間に設けたポリマーフィルターの寿命を表
2に示す。
比較例1 実施例1の重合工程において、受け皿に供給する液体
を溶媒であるシクロヘキサンのみに限り、テトラシクロ
ドデセンを、多管式冷却器から重合器に連結されたライ
ンに供給した以外は、実施例1の重合工程と同様な条件
下で連続的にエチレンとテトラシクロドデセンとの共重
合反応を行なったところ、エチレン−テトラシクロドデ
セン共重合体のシクロヘキサン溶液が得られた。以下、
脱灰工程からペレタイズ工程に至る一連の工程について
は、実施例1と同様にしてエチレン−テトラシクロドデ
セン共重合体の製造運転を行なった。
以上の運転を3週間連続して行なったところ、循環ポ
ンプの消費電流が不安定となった。そこで、循環ポンプ
を開放したところ、循環ポンプの中に詰まっているシク
ロヘキサンに不溶な共重合体が検出された。そこで、上
記した運転を止め重合器の内部を点検したところ、重合
器気液界面部にオビ状に付着しているシクロヘキサンに
不溶な共重合体が検出された。従って、ポンプの詰り物
は重合器気液界面部に生成したこのシクロヘキサンに不
溶な共重合体がはがれ落ちて重合器から流出し、循環ポ
ンプに詰ったものと推定された。また、シクロヘキサン
に不溶な共重合体の組成を分析したところ、エチレン成
分の含有量は90%であった。
上記したような重合方法を用いて得られた共重合体中
に占めるシクロヘキサン不溶解分の割合(ゲル分率)を
表2に示すとともに、重合器の運転寿命および前記した
ポリマーフィルターの寿命を表2に示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合器内で、触媒および溶媒の存在下に、
    エチレンと、下記一般式[I]で表わされる不飽和環状
    オレフィンとを液相中で共重合させて環状オレフィン系
    ランダム共重合体を製造するに際して、一般式[I]で
    表わされる不飽和環状オレフィンもしくは該環状オレフ
    ィンと溶媒との混合物を、前記重合器内の気液相界面よ
    りも上部の重合器内周壁に供給しつつ、エチレンと該環
    状オレフィンとを共重合させることを特徴とする環状オ
    レフィン系ランダム共重合体の製造方法: (式中、nは0もしくは正の整数であり、R1〜R12はそ
    れぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、
    ハロゲン原子または炭化水素基であるか、R9(またはR
    10)とR11(またはR12)とは互いに結合して、単環また
    は多環を形成していてもよい。)
  2. 【請求項2】不飽和環状オレフィンもしくは該環状オレ
    フィンと溶媒との混合物を、重合器内の気液相界面より
    も上部の重合器内周壁に向けて流下あるいは散布するこ
    とにより、重合器内の気液相界面よりも上部の重合器内
    周壁に供給することを特徴とする請求項第1項に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】溶媒が、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素
    または芳香族炭化水素である請求項第1項に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】触媒が、溶媒に可溶性のバナジウム化合物
    と有機アルミニウム化合物とからなる請求項第1項に記
    載の方法。
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