JP3260847B2 - 環状オレフィン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

環状オレフィン系共重合体およびその製造方法

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JP3260847B2 JP24103792A JP24103792A JP3260847B2 JP 3260847 B2 JP3260847 B2 JP 3260847B2 JP 24103792 A JP24103792 A JP 24103792A JP 24103792 A JP24103792 A JP 24103792A JP 3260847 B2 JP3260847 B2 JP 3260847B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は環状オレフィン系共重合体
およびこの共重合体を製造する方法に関する。さらに詳
しくは本発明は、耐熱性、耐油性に優れた環状オレフィ
ン系共重合体およびこの共重合体を製造する方法に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】テトラシクロドデセンなどの環状
オレフィン類とエチレンなどのα-オレフィン類との共
重合体である環状オレフィン系共重合体(環状オレフィ
ン系ランダム共重合体)は、透明性に優れ、しかも耐熱
性、耐熱老化性、誘電特性および剛性の特性のバランス
の良い合成樹脂である。従って、この環状オレフィン系
共重合体は、光学的メモリーディスクおよび光ファイバ
ーなどの光学材料の形成素材として有用性が高く、既に
使用されている(例えば、特開昭60-168,708号、同61-9
8,780号、同61-115,912号、同61-115,916号、同61-120,
816号および同62-252,407号の各公報参照)。
【0003】しかしながら、これら環状オレフィン系共
重合体は、上記のように特に透明性、耐熱性、剛性に優
れた樹脂であるが、耐油性、耐溶剤性などの特性につい
ては充分ではない。
【0004】従って、環状オレフィン系共重合体が本質
的に有している優れた特性を損なうことなく、耐油性、
耐溶剤性を向上させることが求められている。環状オレ
フィン系共重合体の耐油性、耐溶剤性を向上させる方法
として、従来は、例えばナイロンのような結晶性ポリマ
ーを混合する方法が採られており、結晶性ポリマーを混
合することにより耐油性は向上する。
【0005】しかしながら、結晶性ポリマーの混合によ
って透明性が犠牲になると共に、環状オレフィン系共重
合体が本来有している吸水性が低く、寸法安定性が良い
等の優れた特性が低下する傾向があり、充分な改良効果
があるとはいえなかった。
【0006】本発明者らは、上記のような従来技術にお
ける問題点を解決すべく鋭意検討したところ、バナジウ
ム系触媒の存在下に環状オレフィンとα-オレフィンと
を特定の比率で重合させたα-オレフィン/環状オレフ
ィン共重合体は、驚くべきことに従来の力学的性質およ
び透明性などの特性を保持したまま耐油性が向上するこ
とを見いだして、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術におけ
る問題点を解決しようとするものであって、環状オレフ
ィン系ランダム共重合体が有する優れた特性を損なうこ
となく、特に耐油性が改善された環状オレフィン系共重
合体およびこのような特性を有する環状オレフィン系共
重合体を製造する方法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【発明の概要】本発明の環状オレフィン系共重合体は、 (i) 可溶性バナジウム化合物、および (ii) 有機アルミニウム化合物の存在下に共重合され
た、 (a) 炭素数が2以上である、少なくとも一種類のα-オ
レフィンと、 (b) 下記式[I]または[II]で表される、少なくとも
一種類の環状オレフィンとの共重合体であって、該共重
合体中におけるα-オレフィン(a)から誘導される繰り返
し単位と環状オレフィン(b)から誘導される繰り返し単
位とのモル比が、47/53〜60/40の範囲内にあ
り、該共重合体中における環状オレフィン(b)から誘導
される繰り返し単位の含有率(=Xモル%)と、10℃
/分の昇温速度の条件下におけるDSC曲線からガラス
転移温度を測定した際に、DSC曲線が下降しはじめる
温度(T1)とDSC曲線が再び平坦になる温度(T2)との差
(T2-T1=ΔT=Y)とが、次式[A]、[B]および
[C]で表される関係を有し、かつ、該環状オレフィン
系共重合体の沸騰シクロヘキサン不溶分が20重量%以
上であることを特徴としている。
【0009】ここでXとYとは、 Xが、40≦X<45において、 Y≧−X+50 ・・・[A] Xが、45≦X<51において、 Y≧5 ・・・[B] Xが、51≦X≦53において、 Y≧X−46 ・・・[C] の関係を有する。
【0010】ここでΔTの値は、共重合体の組成分布の
大きさの尺度である。
【0011】
【化5】
【0012】…[I] 上記式[I]中、nは0または1であり、mは0または
正の整数であり、rは0または1であり、R1〜R18
らびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハ
ロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原
子もしくは基を表し、R15〜R18は、互いに結合して単
環または多環の基を形成していてもよく、かつ該単環ま
たは多環の基が二重結合を有していてもよく、また、R
15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を
形成していてもよい。
【0013】
【化6】
【0014】・・・[II] 上記式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数で
あり、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R19
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族
炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およ
びアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基
を表し、R9が結合している炭素原子とR13が結合して
いる炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11
が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3
のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n
=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに
結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよ
い。
【0015】また、本発明の環状オレフィン系共重合体
の製造方法は、 (i) 可溶性バナジウム化合物、および (ii) 有機アルミニウム化合物の存在下に、液相中で、 (a) 炭素数が2以上である、少なくとも一種類のα-オ
レフィンと、 (b) 上記式[I]または[II]で表される、少なくとも
一種類の環状オレフィンとを共重合させるに際して、重
合液中に供給する上記環状オレフィン(b)とα-オレフィ
ン(a)との濃度比[(b)/(a)]がモル比で5.0以上にな
るように環状オレフィン(b)およびα-オレフィン(a)を
重合液に供給すると共に、重合液中に供給する水素/α
-オレフィン(a)の濃度比がモル比で0.025以下にな
るように水素ガスを重合液に供給すると共に、得られる
共重合体中における環状オレフィン系共重合体の沸騰シ
クロヘキサン不溶分が20重量%以上となるよう重合す
ことを特徴としている。
【0016】本発明の環状オレフィン系共重合体は、上
記のように特定のランダム共重合体であり、耐油性に優
れているともに透明性、剛性、耐熱性に優れている。こ
のような環状オレフィン系ランダム共重合体は、光学材
料などの機能性材料、耐熱性を生かした構造材料など広
範囲に応用できる。しかも耐化学薬品性、耐油性の要求
される分野での使用が可能である。
【0017】そして、本発明の環状オレフィン系共重合
体は、環状オレフィン(b)とα-オレフィン(a)との供給
濃度比および水素/α-オレフィン(a)の供給濃度比を調
整することにより効率よく製造することができる。
【0018】
【発明の具体的説明】次に本発明の環状オレフィン系共
重合体について具体的に説明する。本発明の環状オレフ
ィン系共重合体は、可溶性バナジウム化合物および有機
アルミニウム化合物の存在下に共重合された炭素数2以
上のα-オレフィンと特定の環状オレフィンとの共重合
体である。
【0019】炭素数2以上のα-オレフィン(a)とし
ては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、
1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチ
ル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセ
ン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、
3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデ
セン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセ
ンおよび1-エイコセン等が挙げられる。これらは単独で
あるいは組み合わせて使用することができる。
【0020】これらのうち、エチレンまたはプロピレン
が好ましく、さらにエチレンが特に好ましい。環状オレ
フィン(b)としては、式[I]または[II]で表され
る環状オレフィンが用いられる。
【0021】ここで環状オレフィン(b)は、次式
[I]または[II]で表すことができる。
【0022】
【化7】
【0023】…[I] ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、rは0または1であ
る。なお、rが1の場合には、RaおよびRbは、それぞ
れ独立に、下記の原子または炭化水素基を表し、rが0
の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成
する。
【0024】また、R1〜R18ならびにRaおよびR
bは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または
炭化水素基である。ここで、ハロゲン原子としては、例
えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原
子が挙げられる。また、炭化水素基としては、それぞれ
独立に、通常は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
3〜15のシクロアルキル基が挙げられる。より具体的
にはアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基
が挙げられる。またシクロアルキル基の例としては、シ
クロヘキシル基が挙げられる。
【0025】さらに、上記式[I]において、R15とR
16とが、R17とR18とが、さらにR1 5とR17とが、R16
とR18とがR15とR18とが、あるいは、R16とR17とが
それぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環
の構造を形成していてもよく、しかも、このようにして
形成された単環または多環の構造が二重結合を有してい
てもよい。
【0026】ここで単環または多環の構造の例を以下に
示す。
【0027】
【化8】
【0028】なお、上記の例示した構造において、1お
よび2の番号を賦した炭素原子は、式[I]において、
15(R16)およびR17(R18)で表される基が結合し
ている脂環構造の炭素原子を表す。
【0029】また、R15とR16とで、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基は、通常は炭素数2〜20のアルキリデ
ン基が挙げられ、具体的な例としては、エチリデン基、
プロピリデン基およびイソプロピリデン基が挙げられ
る。
【0030】次に式[II]で表される環状オレフィンに
ついて説明する。
【0031】
【化9】
【0032】・・・[II] ただし、上記式[II]において、pは0または正の整数
であり、好ましくは0〜3である。また上記式[II]に
おいて、mおよびnは0、1または2である。さらに、
qは0または正の整数であり、好ましくは0または1で
ある。
【0033】そして、R1〜R19は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここ
で、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。また、
炭化水素基の例としては、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数5〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜1
2の芳香族基が挙げられる。アルキル基の具体的な例と
しては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブ
チル基、n-アミル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、
n-オクチル基、n-デシル基および2-エチルヘキシル基等
が挙げられる。シクロアルキル基の具体的な例として
は、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基および
エチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳香族
基の具体的な例としては、アリール基およびアラルキル
基が挙げられ、具体的にはフェニル基、トリル基、ナフ
チル基、ベンジル基、フェニルエチル基およびビフェニ
ル基等が挙げられる。これらの基は低級アルキル基を有
していてもよい。
【0034】また、アルコキシ基の例としては、メトキ
シ基、エトキシ基およびプロポキシ基が挙げられる。こ
れらの基はハロゲン原子で置換されていてもよい。ここ
で、R9およびR10が結合している炭素原子とR13が結
合している炭素原子またはR11が結合している炭素原子
とは、直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介し
て結合していてもよい。すなわち、上記2個の炭素原子
がアルキレン基を介して結合している場合には、R9
よびR13が、または、R10およびR1 1が互いに共同し
て、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)または
プロピレン基(-CH2CH2CH2-)のうちのいずれかのアルキ
ル基を形成していることが好ましい。
【0035】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の好ましい例と
しては、n=m=0のときR15とR12がさらに芳香族環
を形成している以下に記載する基が挙げられる。
【0036】
【化10】
【0037】上記式において、qは式[II]におけるの
と同じ意味である。前記式[I]または[II]で表わさ
れる環状オレフィンは、シクロペンタジエン類と相応す
るオレフィン類あるいは相当する環状オレフィン類と
を、ディールス・アルダー反応を利用して縮合させるこ
とにより製造することができる。
【0038】本発明において使用される上記式[I]ま
たは[II]で表わされる環状オレフィンとしては、具体
的には、以下に記載する化合物およびこれらの誘導体が
挙げられる。
【0039】ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシク
ロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、ペンタシク
ロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ヘキサデセ
ン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3
-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン
誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-
ペンタデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシ
クロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エ
イコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.1
12,17.02,7.011,16]-5-エイコセン誘導体、ヘプタシク
ロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ヘン
エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタ
シクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.
012,17]-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.
14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-ペ
ンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.
116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセン誘
導体。
【0040】1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフル
オレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒ
ドロアントラセン誘導体、シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物。
【0041】そして、上記のような式[I]および[I
I]で表される環状オレフィンの具体的な化合物の例と
しては、以下に記載する化合物が挙げられる。
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】
【0045】
【化14】
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】
【化19】
【0051】
【化20】
【0052】
【化21】
【0053】
【化22】
【0054】
【化23】
【0055】
【化24】
【0056】
【化25】
【0057】
【化26】
【0058】
【化27】
【0059】
【化28】
【0060】
【化29】
【0061】
【化30】
【0062】
【化31】
【0063】
【化32】
【0064】本発明の環状オレフィン系共重合体は、上
記のようなα-オレフィンと環状オレフィンとが、後述
する可溶性バナジウム化合物(i)および有機アルミニウ
ム化合物(ii)の存在下に共重合された共重合体であり、
この共重合体は上記α-オレフィン(a)から誘導される繰
り返し単位と環状オレフィン(b)から誘導される繰り返
し単位とを47/53〜60/40、好ましくは48/
52〜58/42、特に好ましくは49/51〜55/
45の範囲内のモル比で含有している。このようなモル
比で(a)成分および(b)成分から誘導される繰り返し単位
を有することにより、他の環状オレフィン系共重合体に
はない耐油性、耐溶剤性が良好になる。すなわち、従来
知られていた環状オレフィン(b)から誘導される繰り返
し単位が低く上記範囲に満たない環状オレフィン系樹
脂、および、上記範囲を著しく超える環状オレフィン系
の樹脂は、油剤および溶剤に対する耐性は低いが、(a)
および(b)の組成が上記範囲内にある本発明の重合体
は、極めて高い耐油性および耐溶剤を示すようになる。
【0065】また、この共重合体について昇温速度10
℃/分の条件で、DSC曲線によりガラス転移温度を測
定すると、図1に示すように吸熱が始まり曲線が下降し
始める温度T1と、吸熱に伴う曲線の下降が終了して曲
線が再び平坦に戻る温度T2とが観察される。ここでT1
はオンセット(Onset)温度、T2をファイナル(Final)温
度という。このファイナル温度T2とオンセット温度T1
との差、ΔTの大きさは、共重合体の組成分布の広さの
尺度となる。このΔTをY軸にとり、本発明の環状オレ
フィン系共重合体中における環状オレフィン(b)から誘
導される繰り返し単位の含有率X(モル%)をX軸にと
ると、図2に示すように、本発明の環状オレフィン系共
重合体は、環状オレフィン(b)から誘導される繰り返し
単位の含有率Xが、40≦X<45の範囲においては、 Y≧−X+50 ・・・[A] 同じくXが、45≦X<51の範囲においては、 Y≧5 ・・・[B] 同じくXが、51≦X≦53の範囲においては、 Y≧X−46 ・・・[C] で表される領域にある。すなわち本発明の環状オレフィ
ン系共重合体は、図2において斜線を付して表した領域
にある。なお、環状オレフィン(b)から誘導される繰り
返し単位の含有率Xが、40≦X≦53の範囲内におい
て、ΔTの最大値、すなわちYの上限は通常は40であ
り、通常はY≦40の関係も成立する。このΔTの最大
値は図2に一点鎖線で示してある。これ以上となるとポ
リマーの組成分布が極端に広がり、透明性が低下する。
【0066】なお、本発明の環状オレフィン系共重合体
のガラス転移温度、即ちオンセット温度(T1)は、以
下に述べるように用いる環状オレフィンの種類により異
なるが、通常は−50〜280℃の範囲である。
【0067】共重合している環状オレフィンの種類によ
り好ましい環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度
は全く異なるため、共重合体の好ましい範囲を一括して
示すことはできないが、以下、原料となる環状オレフィ
ンの種類別に主な共重合体のガラス転移温度を示す。
【0068】環状オレフィン別の好ましいTgの範囲を
例示する。 テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン Tg
150〜200℃ ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン Tg
100〜140℃ 5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン Tg
130〜170℃ 5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン Tg
90〜130℃ 5-エチルシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン Tg
80〜120℃ 5-n-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン Tg
−40〜 30℃ 上記図2において、斜線で示した領域にある本発明の環
状オレフィン系共重合体は、優れた耐油性、耐溶剤性を
示す。すなわち、本発明の共重合体の沸騰シクロヘキサ
ン不溶分の含有率は、通常は20重量%以上、好ましく
は40重量%以上、さらに好ましくは45重量%以上で
ある。この沸騰シクロヘキサン不溶分の含有率は、本発
明の共重合体1グラムを300メッシュのステンレス製
網にいれて、熱シクロヘキサンで4時間ソックスレー抽
出を行うことにより測定することができる。
【0069】また本発明の共重合体から形成された成形
体はトルエンに対しても優れた耐溶剤性を示す。例えば
0.1×15×35mm(重量約0.12g)のプレスフィ
ルムを室温で96時間トルエン中に浸漬しても外観に変
化が生ずることは少なく、またこのフィルムは、トルエ
ン浸漬による重量変化も少ない。例えば、上記条件でト
ルエンに浸漬し、次いで窒素気流中で1時間乾燥させた
後のフィルムの重量変化率は、通常は−30〜+20重
量%、多くの場合−20〜+10重量%の範囲内にあ
る。
【0070】また、本発明の環状オレフィン系共重合体
の極限粘度は、135℃のデカリン中で測定が可能な場
合、通常は0.1〜5.0dl/g、好ましくは0.2〜2.0
dl/g、特に好ましくは0.3〜1.5dl/gの範囲内にあ
る。このような範囲内にある環状オレフィン系共重合体
は、成形性に優れている。なお、本発明の環状オレフィ
ン系共重合体は、上記のように溶剤に対する溶解性が低
いため、135℃でデカリンを用いた極限粘度の測定が
できないこともある。
【0071】さらに、本発明の環状オレフィン系共重合
体の軟化温度(TMA)は、通常は−50〜300℃の
範囲にある。共重合している環状オレフィンの種類によ
り好ましい環状オレフィン系共重合体の軟化温度は全く
異なるため、共重合体の好ましい範囲を一括して示すこ
とはできないが、以下、原料となる環状オレフィンの種
類別に主な共重合体の軟化温度を示す。
【0072】環状オレフィン別の好ましいTMAの範囲
を例示する。 テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン TMA
160〜210℃ ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン TMA
110〜150℃ 5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン TMA
140〜180℃ 5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン TMA
100〜140℃ 5-エチルシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン TMA
90〜130℃等。
【0073】また、この環状オレフィン系共重合体につ
いてASTM−D1003−52に準拠して測定したヘ
イズは、通常は1〜20%、好ましくは1〜15%であ
り、透明性に優れている。
【0074】本発明の環状オレフィン系共重合体にはα
-オレフィン(a)から誘導される繰り返し単位と環状オレ
フィン(b)から誘導される繰り返し単位とが、実質的に
線状に配列されており、さらにこれらの繰返し単位はラ
ンダムに配列されている。
【0075】そして、式[I]で表される環状オレフィ
ンから誘導される繰返し単位は、次式[I-A]で表わさ
れる構造を形成していると考えられる。
【0076】
【化33】
【0077】…[I-A] ただし、上記式[I-A]において、n、m、rおよびR1
〜R18並びにRaおよびRbは[I]と同じ意味である。
【0078】また、式[II]で表される環状オレフィン
から誘導される繰返し単位は、次式[II-A]で表わされ
る構造を形成していると考えられる。
【0079】
【化34】
【0080】…[II-A] ただし、上記式[II-A]において、n、m、p、qおよ
びR1〜R19は[II]と同じ意味である。
【0081】環状オレフィン(a)から誘導される繰り返
し単位が上記式[I-A]または[II-A]で表される構造
を有していることは、本発明の共重合体について測定し
13C−NMRスペクトルの結果から確認することがで
きる。
【0082】本発明の環状オレフィン系共重合体は、 (i) 可溶性バナジウム化合物、および (ii) 有機アルミニウム化合物の存在下に、液相中で、
(a) 炭素数が2以上であるα-オレフィンと、(b) 上記
式[I]または[II]で表される環状オレフィンとを共
重合させることにより製造することができる。
【0083】ここで使用される可溶性バナジウム化合物
は、具体的には下記式で表される。 式 VO(OR)ab、または、 式 V(OR)cd
【0084】ただし、上記の式において、Rは炭化水素
基であり、Xはハロゲン原子であり、a、b、cおよび
dは、それぞれ、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b
≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4の関係
を有する。
【0085】これらのバナジウム化合物の例としては、
VOCl3、VO(OC25)Cl2、VO(OC25
2Cl、VO(O-iso-C37)Cl2、VO(O-n-C4
9)Cl2、VO(OC253、VOBr2、VCl4
VOCl2、VO(O-n-C493およびVCl3・2
(OC817OH)等が挙げられる。これらのバナジウ
ム化合物は単独で、あるいは組合わせて使用することが
できる。
【0086】さらに、可溶性バナジウム化合物(i)は、
次式で表されるように、第3級アルコキシ基を有するバ
ナジウム化合物であってもよい。 VO(OCR1 3ab または V(OCR2 3cd ただし、上記式においてR1、R2は、炭素数1〜5の直
鎖状または分岐状アルキル基であり、Xは塩素原子また
は臭素原子である。また、a、b、c、dは、0.5≦
a≦3、0≦b≦2.5、2≦a+b≦3、0.5≦c≦
4、0≦d≦3.5、3≦c+d≦4を満たす。
【0087】上記式で表される第3級アルコキシ基を配
位子として有する可溶性バナジウム化合物としては、具
体的には以下に記載する化合物が挙げられる。 VO(tert-ブチルオキシ)Cl2、VO(tert-ブチル
オキシ)2Cl、VO(tert-ブチルオキシ)3、VO
(2,3-ジメチル-2-ブチルオキシ)Cl2、VO(2,3-ジ
メチル-2-ブチルオキシ)2Cl、VO(2,3-ジメチル-2
-ブチルオキシ)3、VO(2-メチル-2-ペンチルオキ
シ)Cl2、VO(2-メチル-2-ペンチルオキシ)2
l、VO(2-メチル-2-ペンチルオキシ)3、VO(3-メ
チル-3-ペンチルオキシ)Cl2、VO(3-メチル-3-ペ
ンチルオキシ)2Cl、VO(3-メチル-3-ペンチルオキ
シ)3、VO(2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ)C
2、VO(2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ)2Cl、
VO(2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ)3、VO(3-エ
チル-3-ペンチルオキシ)Cl2、VO(3-エチル-3-ペ
ンチルオキシ)2Cl、VO(3-エチル-3-ペンチルオキ
シ)3、VO(2-メチル-2-ヘキシルオキシ)Cl2、V
O(2-メチル-2-ヘキシルオキシ)2Cl、VO(2-メチ
ル-2-ヘキシルオキシ)3など。
【0088】V(tert-ブチルオキシ)Cl3、 V(tert-ブチルオキシ)2Cl2 V(tert-ブチルオキシ)3Cl V(2,3-ジメチル-2-ブチルオキシ)Cl3 V(2,3-ジメチル-2-ブチルオキシ)2Cl2 V(2,3-ジメチル-2-ブチルオキシ)3Clなど。
【0089】V(tert-ブチルオキシ)Cl3 V(tert-ブチルオキシ)2Cl2 V(tert-ブチルオキシ)3Clなど。
【0090】これらの第3級アルコキシ基を有するバナ
ジウム化合物では、VO(アルコキシ基)Cl2が好ま
しい。さらに、可溶性バナジウム化合物(i)は、次式で
表されるように、β-ジケトンを配位子として有するバ
ナジウム化合物であってもよい。
【0091】 VO(acac)ef または V(mmh)gh ただし、上記式においてacacは、次式で表されるアセチ
ルアセトナト基を表し、mmhは2-メチル-1,3-ブタンジオ
ナト基を表す。またYは、アルキル基、アルコキシ基ま
たはハロゲン原子であり、さらに、e、f、g、hは、1≦
e≦2、0≦f≦1、2≦e+f≦3、1≦g≦3、0
≦h≦3、3≦g+h≦4を満たす。
【0092】
【化35】
【0093】上記式で表されるβ-ジケトンを配位子と
して有する可溶性バナジウム化合物としては、具体的に
は以下に記載する化合物が挙げられる。なお、以下に示
す式において、XはCl、F、Br、I、アルキル基、
第1級アルコキシ基、第2級アルコキシ基のいずれかを
表すが、好ましくはClである。
【0094】VO(acac)2、VO(mmh)2、VO(aca
c)X2、VO(acac)X、VO(mmh)X2、VO(mm
h)Xなど。V(acac)3、V(mmh)3、V(acac)
22、V(acac)2X、V(mmh)22、V(mmh)2Xな
ど。
【0095】これらのβ-ジケトンを配位子として有す
る可溶性バナジウム化合物ではVO(acac)2、VO(m
mh)2、V(acac)3、V(mmh)3が好ましい。さらにこ
のバナジウム化合物は、上記式で表わされるバナジウム
化合物に電子供与体が付加した付加物であってもよい。
【0096】ここで、上記のバナジウム化合物と付加物
を形成する電子供与体の例としては、アルコール、フェ
ノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸ま
たは無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水
物、および、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、
ならびにアンモニア、アミン、ニトリル、および、イソ
シアネート等の含窒素電子供与体が挙げられる。
【0097】このような電子供与体として用いられる具
体的な化合物の例としては、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノー
ル、2-エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノー
ル、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベ
ンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミル
アルコール、イソプロピルアルコールおよびイソプロピ
ルベンジルアルコールのような炭素数1〜18のアルコ
ール類;トリクロロメタノール、トリクロロエタノール
およびトリクロロヘキサノールのような炭素数1〜18
のハロゲン含有アルコール類;フェノール、クレゾー
ル、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノ
ール、ノニルフェノール、クミルフェノールおよびナフ
トールのような炭素数6〜20のフェノール類(これら
のフェノール類は低級アルキル基を有してよい);アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
アセトフェノン、ベンゾフェノンおよびベンゾキノンの
ような炭素数3〜15のケトン類;アセトアルデヒド、
プロピルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアル
デヒド、トリアルデヒドおよびナフトアルデヒドのよう
な炭素数2〜15のアルデヒド類;ギ酸メチル、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オ
クチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪
酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル
酢酸エチル、メタクリル酸エチル、クロトン酸エチル、
シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安
息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安
息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フ
ェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイ
ル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチ
ル、アリス酸メチル、アリス酸エチル、エトキシ安息香
酸エチル、γ-ブチルラクトン、δ-バレロラクトン、ク
マリン、フタリドおよび炭酸エチルのような炭素数2〜
30の有機酸エステル類;アセチルクロリド、ベンゾイ
ルクロリド、トルイル酸クロリドおよびアリス酸クロリ
ドのような炭素数2〜15の酸ハライド類;メチルエー
テル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチル
エーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニ
ソールおよびジフェニルエーテルのような炭素数2〜2
0のエーテル類;無水酢酸、無水フタル酸および無水安
息香酸のような酸無水物;ケイ酸エチルおよびジフェニ
ルメトキシシランのようなアルコキシシラン;酢酸N,N-
ジメチルアミド、安息香酸N,N-ジメチルアミドおよびト
ルイル酸N,N-ジメチルアミドのような酸アミド類;トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、
トリベンジルアミンおよびテトラメチルエチレンジアミ
ンのようなアミン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル
およびトリニトリルのようなニトリル類;ならびにピリ
ジン、メチルピリジン、エチルピリジンおよびジメチル
ピリジンのようなピリジン類が挙げられる。これらの電
子供与体は、単独であるいは組合わせて使用することが
できる。
【0098】本発明で上記バナジウム化合物と共に用い
られる有機アルミニウム化合物(ii)は、分子内に少なく
とも1個のAl-炭素結合を有する化合物である。この
有機アルミニウム化合物の例としては、下記式(イ)お
よび(ロ)で表される化合物が挙げられる。
【0099】(イ)式 R1 mAl(OR2npq
表わされる有機アルミニウム化合物。ここでR1および
2は炭素数が、通常は1〜15、好ましくは1〜4の
炭化水素基で、これらは互いに同一でも異なっていても
よい。Xはハロゲン、mは0≦m≦3、nは0≦n<
3、pは0≦n<3、qは0≦q<3の数であって、か
つm+n+p+q=3である。
【0100】(ロ)式 M1AlR1 4 で表わされる第
I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。ここでM
1はLi、NaまたはKであり、R1は前記と同じ意味で
ある。
【0101】前記の式(イ)で表わされる有機アルミニ
ウム化合物の例としては、具体的には以下に記載する化
合物が挙げられる。 式 R1 mAl(OR23-m ・・・(1) で表わされる化合物;ここでR1およびR2は前記と同じ
意味であり、mは好ましくは1.5≦m<3の数であ
る。
【0102】 式 R1 mAlX3-m ・・・(2) で表わされる化合物;ここでR1は前記と同じ意味であ
り、Xはハロゲン原子、mは好ましくは0<m<3であ
る。
【0103】 式 R1 mAlH3-m ・・・(3) で表わされる化合物;ここでR1は前記と同じ意味であ
り、mは好ましくは2≦m<3である。
【0104】 式 R1 mAl(OR2nq ・・・(4) で表わされる化合物;ここでR1およびR2は前記と同じ
意味であり、Xはハロゲン原子、0<m≦3、0≦n<
3、0≦q<3で、m+n+q=3である。
【0105】上記式(1)で表わされる有機アルミニウ
ム化合物の具体的な例としては、トリエチルアミルミニ
ウムおよびトリブチルアルミニウムのようなトリアルキ
ルアルミニウム;トリイソプロペニルアルミニウムのよ
うなトリアルケニルアルミニウム;ジエチルアルミニウ
ムエトキシドおよびジブチルアルミニウムブトキシドの
ようなジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルア
ルミニウムセスキエチリド、ブチルアルミニウムセスキ
ブトキシドおよび式R1 2.5Al(OR20.5等(R1
2はアルキル基)で表わされる平均組成を有する部分
的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウムが挙げら
れる。
【0106】上記式(2)で表わされる有機アルミニウ
ム化合物の具体的な例としては、ジエチルアルミニウム
クロリド、ジブチルアルミニウムクロリドおよびジエチ
ルアルミニウムブロミドのようなジアルキルアルミニウ
ムハライド;エチルアミルニウムセスキクロリド、ブチ
ルアルミニウムセスキクロリドおよびエチルアルミニウ
ムセスキブロミドのようなアルキルアルミニウムセスキ
ハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルア
ルミニウムジクロリドおよびブチルアルミニウムジブロ
ミドのようなに部分的にハロゲン化されたアルキルアル
ミニウムが挙げられる。
【0107】上記式(3)で表わされる有機アルミニウ
ム化合物の具体的な例としては、ジエチルアルミニウム
ヒドロドおよびジブチルアルミニウムヒドリドのような
ジアルキルアルミニウムヒドリド;ならびにエチルアル
ミニウムジヒドリドおよびプロピルアルミニウムジヒド
リドのように部分的に水素化されたアルキルアルミニウ
ムが挙げられる。
【0108】上記式(4)で表わされる有機アルミニウ
ム化合物の具体的な例としては、エチルアルミニウムエ
トキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド
およびエチルアルミニウムエトキシブロミドのように部
分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルア
ルミニウムが挙げられる。
【0109】さらに有機アルミニウム化合物は、例え
ば、酸素原子あるいは窒素原子を介して、2以上のアル
ミニウムが結合した有機アルミニウム化合物のように式
(イ)で表わされる化合物に類似する化合物であっても
よい。
【0110】このような化合物の具体的な例としては、 (C252AlOAl(C252、(C492Al
OAl(C492および(C252AlN(C65
Al(C252が挙げられる。
【0111】また、前記の式(ロ)で表わされる有機ア
ルミニウム化合物の例としては、LiAl(C254
およびLiAl(C7154が挙げられる。これらの中
では、特にアルキルアルミニウムハライド、アルキルア
ルミウムジハライドまたはこれらの混合物を用いるのが
好ましい。
【0112】また、本発明では有機アルミニウム化合物
として、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノオキ
サン)を使用することができる。このアルミノオキサン
は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、また
ベンゼン不溶性のアルミノオキサンであってもよい。
【0113】従来公知のアルミノオキサンは、具体的に
は次式で表される。
【0114】
【化36】
【0115】上記式において、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基およびブチル基などの炭化水素基であ
り、好ましくはメチル基またはエチル基、特に好ましく
はメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の
整数である。
【0116】ここで、このアルミノオキサンは、式(O
Al(Ra))で表されるアルキルオキシアルミニウム
単位および式(OAl(Rb))で表されるアルキルオ
キシアルミニウム単位からなる混合アルキルオキシアル
ミニウム単位から形成されていてもよい。ここでRa
よびRbは、上記式におけるRと同様の炭化水素基であ
って、互いに異なる炭化水素基である。
【0117】上記のような従来公知のアルミノオキサン
は、例えば以下に記載する方法により、通常は芳香族炭
化水素溶液として得られる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する
塩類(例:塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫
酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1
セリウム水和物)を懸濁した芳香族炭化水素溶媒に、ト
リアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を
添加して反応させてアルミノオキサンを含有する芳香族
溶媒を得る方法。
【0118】(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどの媒体中でトリアルキルア
ルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水
(水、氷または水蒸気)を作用させて、アルミノオキサ
ンを含有する芳香族溶媒を得る方法。
【0119】これらの内では上記(1)に記載した方法が
好ましい。上記のようなアルミノオキサンを製造する際
に用いられる有機アルミニウム化合物の例としては、ト
リメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ
プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウ
ム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチ
ルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキ
シルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデ
シルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウムお
よびトリシクロオクチルアルミニウムのようなトリアル
キルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジ
エチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブ
ロミドおよびジイソブチルアルミニウムクロリドのよう
なジアルキルアルミニウムハライド;ジエチルアルミニ
ウムハイドライドおよびジブチルアルミニウムハイドラ
イドのようなジアルキルアルミニウムハイドライド;ジ
メチルアルミニウムメトキシドおよびジエチルアルミニ
ウムエトキシドのようなジアルキルアルミニウムアルコ
キシド;ジエチルアルミニウムフェノキシドのようなジ
アルキルアルミニウムアリーロキシドが挙げられる。こ
れらのうちでは、トリアルキルアルミニウムが特に好ま
しい。
【0120】また、有機アルミニウム化合物として、下
記式で表されるようなイソプレニルアルミニウムを用い
ることもできる。 (i-C49xAly(C510z 上記式中、x、yおよびzは、それぞれ独立に正の数で
あり、z≧2xである。
【0121】上記のような有機アルミニウム化合物は、
単独であるいは組み合わせて用いられる。上記従来のア
ルミノオキサンはベンゼンに対して可溶であるが、本発
明では、このようなベンゼンに可溶な従来のアルミノオ
キサンの外に、ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキ
シ化合物(アルミノオキサン)を使用することができ
る。この有機アルミニウムオキシ化合物はベンゼンに不
溶であり、従来のベンゼンに可溶なアルミノオキサンと
は異なるものである。
【0122】このようなベンゼン不溶性の有機アルミニ
ウム化合物は、例えば、アルミノオキサンの溶液と、水
または活性水素含有化合物とを接触させる方法、あるい
は、上記のような有機アルミニウム化合物と水とを接触
させる方法などにより製造することができる。
【0123】このベンゼン不溶性の有機アルミニウムオ
キシ化合物について測定した赤外線分光法(IR)か
ら、1220cm-1付近における吸光度(D1220)と12
60cm -1付近における吸光度(D1260)を求めて、D
1260/D1220の比を算定すると、この比は通常は0.0
9以下、好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.0
4〜0.07の範囲内にある。
【0124】上記のようなベンゼン不溶性の有機アルミ
ニウム化合物は、下記式で表されるアルキルオキシアル
ミニウム単位を有していると推定される。
【0125】
【化37】
【0126】上記式中、R3は、炭素数1〜12の炭化
水素基である、このような炭化水素基の例としては、メ
チル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブ
チル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オク
チル基、デシル基、シクロヘキシル基およびシクロオク
チル基が挙げられる。これらの中では、メチル基または
エチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、
上記式において、R3は単一であってもよく、また異な
る種類のR3を有していてもよい。
【0127】このベンゼン不溶性の有機アルミニウムオ
キシ化合物は、上記式で表されるアルキルオキシアルミ
ニウム単位の外に、下式で表されるオキシアルミニウム
単位を有していてもよい。
【0128】
【化38】
【0129】上記式中、R4は、炭素数1〜12のアル
コキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、水酸基、
ハロゲン原子または水素原子である。また、この式にお
けるR4と前記式におけるR3とは互いに異なる基を表
す。
【0130】ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ
化合物が、上記式で表されるオキシアルミニウム単位を
有する場合に、このベンゼン不溶性の有機アルミニウム
オキシ化合物中にアルキルオキシアルミニウム単位は、
通常は30モル%以上、好ましくは50モル%以上、特
に好ましくは70モル%以上の量で含まれている。
【0131】本発明で用いられる有機アルミニウムオキ
シ化合物(ii)は、その特性を損なわない範囲内の量で、
アルミニウム以外の金属を有する有機化合物成分を含有
していてもよい。
【0132】本発明において上述した可溶性バナジウム
化合物(i)および有機アルミニウム化合物(ii)は、その
まま使用することもできるし、担体に担持させて使用す
ることもできる。ここで担体化合物としては、Si
2、Al23、B23、MgO、ZrO2、CaO、T
iO2、ZnO、ZnO2、SnO、BaO、ThOなど
の無機担体化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ビ
ニルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができ
る。これらの担体化合物は単独であるいは組み合わせて
使用することができる。
【0133】本発明の環状オレフィン系共重合体は上記
のようなバナジウム化合物(i)および有機アルミニウム
化合物(ii)の存在下に、液相で、前述の炭素数2以上の
α-オレフィン(a)と環状オレフィン(b)とを共重合させ
る。ただし、本発明の環状オレフィン系共重合体の特性
を損なわない範囲内で他の単量体が共重合していてもよ
い。ここで使用される他のオレフィン化合物の例として
は、シクロペンテン、シクロヘキセン、3-メチルシクロ
ヘキセン、シクロオクテンおよび3a,5,6,7a-テトラヒド
ロ-4,7-メタノ-1H-インデン等のシクロオレフィン;1,4
-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル
-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペン
タジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび5-ビニ
ル-2-ノルボルネン等の非共役ジエン類;ノルボルネン-
2、5-メチルノルボルネン-2、5-エチルノルボルネン-
2、5-イソプロピルノルボルネン-2、5-n-ブチルノルボ
ルネン-2、5-i-ブチルノルボルネン-2、5,6-ジメチルノ
ルボルネン-2、5-クロロノルボルネン-2、2-フルオロノ
ルボルネン-2および5,6-ジクロロノルボルネン-2等のノ
ルボルネン類を挙げることができる。
【0134】炭素数2以上のα-オレフィン(a)と上記特
定の環状オレフィン(b)との共重合反応は、通常は液相
で行われる。この反応には、通常は炭化水素溶媒が用い
られる。
【0135】ここで用いられる炭化水素溶媒の例として
は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、灯油のような脂肪族炭化水素およびその
ハロゲン誘導体;シクロヘキサン、メチルシクロペンタ
ンおよびメチルシクロヘキサンのような脂環族炭化水素
およびそのハロゲン誘導体;ベンゼン、トルエン、キシ
レンのような芳香族炭化水素およびクロロベンゼンのよ
うなハロゲン誘導体が挙げられる。また、この共重合反
応は、反応原料として用いるα-オレフィンおよび環状
オレフィンのうち、反応条件で液体のα-オレフィンま
たは環状オレフィンを反応溶媒として使用することもで
きる。これらの溶媒は混合して用いてもよい。
【0136】反応は、バッチ式または連続式のいずれの
方式でも実施できるが、連続式で行うのが効率的であ
る。このような重合溶媒中に可溶性バナジウム化合物
(i)は、重合液1リットルあたり、通常は0.01〜50
ミリモル、好ましくは0.05〜3ミリモルの量で、ま
た有機アルミニウム化合物(ii)は、重合液中のバナジウ
ム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、
通常は2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは
3〜20の量で供給される。
【0137】可溶性バナジウム化合物(i)および有機ア
ルミニウム化合物(ii)は、通常は、それぞれ反応溶媒で
希釈して重合液中に供給される。この際、可溶性バナジ
ウム化合物(i)は、通常は重合液中における可溶性バナ
ジウム化合物(i)の濃度の10倍以下、好ましくは1〜
7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度に希釈して供給
される。また、有機アルミニウム化合物(ii)は、通常は
重合液中における濃度の50倍以下の濃度に希釈して供
給される。
【0138】本発明では、上記のような量で可溶性バナ
ジウム化合物(i)および有機アルミニウム化合物(ii)が
供給されている重合液中に、上記環状オレフィン(b)と
α-オレフィン(a)との供給濃度比[(b)/(a)]がモル比
で5.0以上、好ましくはこの濃度比が5.5〜500、
特に好ましくは6.0〜400になるように、環状オレ
フィン(b)の供給量および/またはα-オレフィン(a)の
供給量を調整して供給する。
【0139】環状オレフィン(b)とα-オレフィン(a)と
の供給濃度比[(b)/(a)]の求め方は、供給液を実際に
分析し、おのおのの成分の濃度を求めてから算出するこ
ともできるが、一般には供給する(b)の量がわかってい
れば、(b)の濃度が算出でき、供給する(a)の量がわかっ
ていれば(a)の濃度が算出できる。(a)がガスの場合は、
(a)の分圧がわかっていればヘンリーの法則により求め
ることができる。
【0140】さらに、本発明では、重合液に水素を供給
しながら、α-オレフィン(a)と環状オレフィン(b)とを
共重合させることが好ましい。水素は、重合液中に供給
する水素/α-オレフィン(a)の濃度比が、モル比で0.
025以下、好ましくは0.020以下、特に好ましく
は0.015以下になるように調整されて重合液に供給
される。
【0141】供給する水素/α-オレフィンの濃度比の
求め方は、供給液を実際に分析し、おのおのの成分の濃
度を求めてから算出することもできるが、一般には供給
する水素の分圧がわかっていれば、ヘンリーの法則によ
り水素濃度が算出でき、供給するα-オレフィンがガス
の場合は供給するα-オレフィンの分圧がわかっていれ
ば、ヘンリーの法則によりα-オレフィン濃度が算出で
き、α-オレフィンが液体の場合も、供給するα-オレフ
ィンの量、全体の体積がわかっていれば算出できる。
【0142】このように環状オレフィン(b)とα-オレフ
ィン(a)との供給濃度比、および、水素/α-オレフィン
(a)の供給濃度比の両者を上記のように調整して供給す
ることにより、耐油性、耐溶剤性などに優れた本発明の
環状オレフィン系共重合体を製造することができる。
【0143】本発明では、上記のような可溶性バナジウ
ム化合物(i)および有機アルミニウム化合物(ii)を用い
て、α-オレフィン(a)と環状オレフィン(b)とを、反応
温度を通常は−50〜100℃、好ましくは−30〜8
0℃、さらに好ましくは−20〜60℃、圧力を通常は
0を超え50Kg/cm2以下、好ましくは0を超え20Kg/c
m2以下に設定して反応させる。こうした条件における反
応時間は、単量体の種類、触媒濃度、重合温度等の反応
条件により異なるが、通常は5分〜5時間、好ましくは
10分〜3時間である。なお、この反応時間は、連続式
で共重合させる場合には重合液の平均滞留時間を意味す
る。
【0144】上記のような条件で反応させることにより
環状オレフィン系共重合体を含む溶液あるいはスラリー
が得られる。この重合液中に、環状オレフィン系共重合
体は、通常は1〜500g/リットル、好ましくは5〜
300g/リットルの濃度で含まれいている。この重合
液を常法に従って処理することにより環状オレフィン系
共重合体が得られる。
【0145】例えば、α-オレフィン(a)と環状オレフィ
ン(b)とを反応させた後、重合液に、シクロヘキサン/
メタノール混合液(容量混合比=1:1)のような混合
溶媒を添加して反応を停止させ、次いで、この混合液と
酸性水溶液とを強攪拌下に接触させて触媒残渣を水相に
移行させ、水相を除去することにより共重合体から触媒
を分離する。さらに必要により重合液の水洗を繰り返し
て精製する。次いで、この重合液を強攪拌下に大過剰
(例えば3倍量以上)のアセトンなどの貧溶媒中に投入
して環状オレフィン系共重合体を析出させる。析出した
共重合体を濾別して、アセトンなどの共重合体に対する
貧溶媒で洗浄し、未反応の環状オレフィンを除去し、次
いで乾燥させる。
【0146】本発明の環状オレフィン系共重合体は、上
記のようにα-オレフィン(a)と環状オレフィン(b)とを
特定の条件下に共重合することにより製造することがで
きるが、さらに上記のようにして製造された共重合体を
例えば沸騰シクロヘキサンなどの溶剤で抽出処理して沸
騰シクロヘキサン可溶分を除去した後使用することもで
きる。このように溶剤処理することにより、さらに耐溶
剤性が向上し、耐溶剤性の向上に伴って、耐油性も著し
く向上する。
【0147】本発明の環状オレフィン系共重合体は、通
常の熱可塑性樹脂と同様に公知の方法で成形加工するこ
とができる。例えば、単軸押出機、ベント式押出機、2
本スクリュー押出機、円錐型2本スクリュー押出機、コ
ニーダー、プラティフィケーター、ミクストルーダー、
2軸コニカルスクリュー押出機、遊星ねじ押出機、歯車
式押出機またはスクリューレス押出機等の成形機を用い
て押出成形、射出成形、ブロー成形または回転成形等を
行うことにより所望の形状の成形体を得ることができ
る。
【0148】成形加工に際して、必要に応じて、酸化防
止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、帯電防止
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑
剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合
することができ、その配合割合は適宜設定することがで
きる。
【0149】任意成分として配合される安定剤として
は、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定
剤、脂肪酸金属塩系安定剤、脂肪酸エステル系安定剤な
どが使用できる。
【0150】例えば、フェノール系酸化安定剤の具体的
な例としては、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル) プロピオン
酸アルキルエステルおよび2,2'-オキザミドビス[エチル
-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオ
ネートなどがを挙げられる。
【0151】脂肪酸金属塩の具体的な例としては、ステ
アリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび12-ヒド
ロキシステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。多価
アルコールの脂肪酸エステルの具体的な例としては、グ
リセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレー
ト、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパル
ミテート、グリセリンジステアレートおよびグリセリン
ジラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ペンタエ
リスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトール
モノラウレート、ペンタエリスリトールジラウレート、
ペンタエリスリトールジステアレートおよびペンタエリ
スリトールトリステアレート等のペンタエリスリトール
の脂肪酸エステルが挙げられる。
【0152】本発明では特に、フェノール系酸化防止剤
および多価アルコールの脂肪酸エステルとを組み合わせ
て用いることが好ましく、この多価アルコールの脂肪酸
エステルは3価以上の多価アルコールのアルコール性水
酸基の一部がエステル化された多価アルコール脂肪酸エ
ステルであることが好ましい。組み合わせの例として
は、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜
鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せ等が挙
げられる。
【0153】このようなフェノール系酸化防止剤は、環
状オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常は
0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部、さらに好ま
しくは0〜2重量部の量で用いられる。また多価アルコ
ールの脂肪酸エステルは環状オレフィン系共重体100
重量部に対して、通常は0〜10重量部、好ましくは0
〜5重量部の量で用いられる。
【0154】また、本発明においては、本発明の目的を
損なわない範囲で、環状オレフィン系共重合体に、シリ
カ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイ
ト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウ
ム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アス
ベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、
ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、
グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロ
ン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリ炭素数2以上のα−オレ
フィン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、
ポリアミド繊維等の充填剤を配合してもよい。
【0155】さらに、本発明の環状オレフィン系共重合
体は単独で使用することもできるし、他の高分子化合物
と混合して使用することもできる。本発明の環状オレフ
ィン系共重合体と混合して使用することができる高分子
化合物に特に制限はなく、熱可塑性樹脂、反応硬化性樹
脂またはゴム状物質を用いることができる。
【0156】ここで使用される高分子化合物の例を以下
に示す。ポリオレフィン(例:低密度ポリエチレン乃至
高密度ポリエチレンの他、LLDPE、VLDPE、さ
らに変性ポリエチレンなどのポリエチレン類、ポリプロ
ピレン類、ポリ-4-メチルペンテン-1類、ポリブテン-1
類);ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビ
ニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エ
チレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩
化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-ブタジ
エン共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合
体、塩化ビニル-スチレン-アクリロニトリル三元共重合
体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体、
ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リトリフルオロクロルエチレンおよびポリフッ化ビニリ
デン;ポリビニルアルコールおよびポリアリルアルコー
ルのような不飽和アルコールの(共)重合体;ポリビニ
ルエーテルおよびポリアリルエーテルのようなの不飽和
エーテルの(共)重合体;アクリル酸およびメタクリル
酸のような不飽和カルボン酸の(共)重合体;ポリ酢酸
ビニル等のポリビニルエステル;ポリフタル酸等のポリ
アリルエステル;ポリアクリル酸エステル、ポリメタク
リル酸エステル、並びに、マレイン酸エステル若しくは
フマル酸エステルの(共)重合体;アクリロニトリルま
たはメタクリロニトリルの(共)重合体;マロノニトリ
ルまたはフマロニトリルの(共)重合体;ポリシアン化
ビニリデン;ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、
ポリp-メチルスチレン、スチレン-α-メチルスチレン共
重合体、スチレン-p-メチルスチレン共重合体、ポリビ
ニルベンゼンおよびポリハロゲン化スチレン;ポリビニ
ルピリジン、ポリN-ビニルピロリジンおよびポリN-ビニ
ルピロリドン;ポリカーボネート;ナイロン6、ナイロ
ン6・6、ポリパラフェニレンテレフタルアミド;無水
マレイン酸および無水フマル酸等の酸無水物の(共)重
合体、並びに、これらの酸無水物をイミド化した化合物
の(共)重合体;ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホンおよびポリアリレート;不飽和ポリエステル樹脂、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン
樹脂、ジアリルフタレート樹脂およびシリコン樹脂;ポ
リブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴ
ム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム、エチ
レン-プロピレン共重合体ゴムおよびイソプレン-イソブ
チレン共重合体ゴム;ポリビニルカルバゾールのように
カルバゾール骨格を有する重合体;エチルセルロースお
よび再生セルロース等のセルロース類。
【0157】これらの高分子化合物と本発明の環状オレ
フィン系共重合体とは、通常の混練装置を用いて混練す
ることができる。
【0158】
【発明の効果】本発明の環状オレフィン系共重合体は、
上記のように特定のランダム共重合体であり、耐油性に
優れているともに透明性、剛性、耐熱性に優れている。
すなわち、本発明の環状オレフィン系共重合体は、α-
オレフィンと環状オレフィンとの共重合比およびΔTと
共重合モノマー組成を特定することにより、環状オレフ
ィン系共重合体が本質的に有している透明性、剛性およ
び耐熱性などの特性を損なうことなく、耐油性を著しく
向上させることができる。従って、本発明の環状オレフ
ィン系共重合体が従来使用されていた光学材料などの機
能性材料、耐熱性を生かした構造材料など広範囲に使用
できることはもとより、耐化学薬品性、耐油性の要求さ
れる分野においても使用が可能である。
【0159】そして、本発明の環状オレフィン系共重合
体は、環状オレフィン(b)とα-オレフィン(a)との供給
濃度比および水素/α-オレフィン(a)の供給濃度比を調
整することにより効率よく製造することができる。
【0160】
【実施例】次に本発明の実施例および比較例を示して本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによっ
て限定されるものではない。
【0161】本発明における各種物性の測定方法および
評価結果を次に示す。 [評価方法] (1)極限粘度[η] 135℃、デカリン溶液(1g/リットル)中でウブロ
ーデ型粘度計を用いて測定した。
【0162】(2)ガラス転移点(Tg) セイコー電子社製、DSC−220Cを用いて10℃/
分の昇温速度で測定した。図1に示すように、DSC曲
線が下降して吸熱が開示する温度をオンセット温度(T
1)、吸熱が終了して曲線が再び平坦になる温度をファ
イナル温度(T2)とした。また、DSCの測定には、
共重合反応により得られた共重合体であって、反応終了
後に一度溶融状態に至る熱履歴を経たサンプルを用い
た。
【0163】(3)軟化温度(TMA) デュポン社製Thermo Mechanical Analyzerを用いて厚さ
1mmのシートの熱変形挙動により測定した。即ち、シー
ト上に石英製針をのせ、荷重49gを付加し、5℃/分
の速度で昇温して、石英製針がシートに0.635mm侵
入した時の温度をTMAとした。
【0164】(4)ヘイズ 透明性(Haze)の測定は、ASTM−D1003−
52に準拠したヘイズ計を用いて、厚さ1mmのプレス
シートについて測定した。
【0165】(5)耐油性 1.沸騰シクロへキサンに対する溶解性 共重合体のパウダー1.0gを300メッシュのステン
レス製金網で包み、ソックスレー抽出を4時間行うこと
により、共重合体を沸騰シクロヘキサン不溶部と可溶部
とに分別し、それぞれ重量を求めた。
【0166】2.トルエンに対する溶解性 共重合体約0.12gを用い、0.1×15×35mmの
プレスフィルムを作製した。室温、トルエン中にこれを
96時間浸漬し、外観の変化を観察した。また取り出し
たフィルムを窒素気流下、室温で1時間減圧乾燥し、重
量変化を測定した。
【0167】
【実施例1】攪拌翼を備えた容量1リットルのガラス製
重合器を用いて、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.
17,10]-3-ドデセン(以下TCD−3と略す)との共重
合を次の方法により連続的に行った。
【0168】重合器上部からTCD−3のシクロヘキサ
ン溶液を、重合器内へのTCD−3供給濃度が60g/
リットルとなるように、0.4リットル/時間の量で連
続的に供給した。
【0169】また、重合器上部から、触媒であるVO
(O-Et)Cl2のシクロヘキサン溶液を、重合器内で
のバナジウム濃度が0.5ミリモル/リットルとなるよ
うに、0.7リットル/時間の量で連続的に供給した。
この時の供給バナジウム濃度は、重合器中のバナジウム
濃度の2.86倍である。また、エチルアルミニウムセ
スキクロリド(AlEt1.5Cl1.5)のシクロヘキサン
溶液を、重合器内でのアルミニウム濃度が4.0ミリモ
ル/リットルとなるように、0.4リットル/時間の量
で連続的に供給した。この時の供給アルミニウム濃度
は、重合器中のアルミニウム濃度の5倍である。さら
に、シクロヘキサンを0.5リットル/時間の量で重合
器内に連続的に供給した。
【0170】また、重合液にバブリング管を用いてエチ
レンを18.0リットル/時間、窒素を52.6リットル
/時間、水素を1.4リットル/時間の量で供給した。
重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環さ
せて重合液を10℃に保持しながら共重合反応を行っ
た。上記共重合反応によって生成するエチレン・TCD
−3ランダム共重合体を含む重合液を重合器上部から、
重合器内部の重合液が常に1リットルとなるように(す
なわち平均滞留時間が0.5時間となるように)連続的
に抜き出した。
【0171】この抜きだした重合液に、シクロヘキサン
/メタノール混合液(1:1)を添加して重合反応を停
止させた。その後、水1リットルに対して濃塩酸5ミリ
リットルを添加した水溶液と、抜き出した重合液とを
1:1の容量比でホモミキサーを用い、強攪拌下に接触
させ、触媒残渣を水相へ移行させた。
【0172】この接触混合液を静置した後、水相を分離
除去した後、さらに蒸留水で2回水洗して、重合液相を
精製分離した。次いで、精製分離された重合液と3倍量
のアセトンとを強攪拌下に接触させて固体を析出させた
後、固体部を濾過により採取し、アセトンで充分洗浄し
た。さらに、ポリマー中に存在するTCD−3を抽出す
るため、分離洗浄した固体部を、40g/リットルとな
るようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条
件下で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過に
より採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで
24時間乾燥した。
【0173】以上のようにして、エチレン・TCD−3
共重合体を、36.2g/時間(すなわち18.1g/リ
ットル)の量で得た。得られた共重合体を13C−NMR
分析で測定したところ、エチレン含量は56.8モル%
であった。また、この共重合体について135℃デカリ
ン中で測定した極限粘度[η]は0.40dl/gであ
った。DSC法により10℃/分の昇温速度でガラス転
移温度(Tg)を測定したところ、オンセット温度(T
1)は164.5℃、ファイナル温度(T2)は182.4
℃であった。
【0174】得られた結果を表1、2に示した。
【0175】
【実施例2】実施例1において、TCD−3の重合器中
への供給濃度が120g/リットルとなるようにTCD
−3の供給量を調整して供給した他は、実施例1と同様
にしてエチレン・TCD−3共重合体を合成した。
【0176】共重合体は、20.4g/時間、すなわち
10.2g/リットルの量で得られた。得られた共重合
体について13C−NMR分析で測定したエチレン含量は
55.4モル%であった。また、この共重合体について
135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は0.5
2dl/gであった。DSC法により10℃/分の昇温
速度でガラス転移温度(Tg)を測定したところ、オン
セット温度(T1)は170.2℃、ファイナル(T2
は183.1℃であった。
【0177】得られた結果を表1、2に示した。
【0178】
【比較例1】実施例1において、エチレンを36.0リ
ットル/時間で、水素を3リットル/時間で、窒素を3
3.0リットル/時間で供給した以外は実施例1と同様
にしてエチレン・TCD−3共重合体を合成した。
【0179】得られた共重合体について13C−NMR分
析で測定したエチレン含量は、62.3モル%であっ
た。また、この共重合体について135℃デカリン中で
測定した極限粘度[η]は0.59dl/gであった。
DSC法により10℃/分の昇温速度でガラス転移温度
(Tg)を測定したところ、オンセット温度(T1)は
130.8℃、ファイナル温度(T2)は143.0℃で
あった。
【0180】得られた結果を表1、2に示した。
【0181】
【比較例2】実施例1において、エチレンを18.0リ
ットル/時間で、水素を10.0リットル/時間で、窒
素を44.0リットル/時間で流した以外は、実施例1
と同様にしてエチレン・TCD−3共重合体を合成し
た。
【0182】得られた結果を表1、2に示した。
【0183】
【表1】
【0184】
【表2】
【0185】
【実施例3】実施例1において、VO(Oエチル)Cl
2のシクロヘキサン溶液を、重合器内でのバナジウム濃
度が1.0ミリモル/リットルとなるように、エチルア
ルミニウムセスキクロリド(AlEt1.5Cl1.5)のシ
クロヘキサン溶液を重合器内でのアルミニウム濃度が
8.0ミリモル/リットルとなるように供給し、またT
CD−3、エチレン、窒素、水素を表1に示すように供
給する以外は、実施例1と同様にしてエチレン・TCD
−3共重合を行った。
【0186】得られた結果を表2に示す。
【0187】
【実施例4】攪拌翼を備えた500ミリリットルのガラ
ス製重合器を用いて、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]-3-ドデセン(以下TCD−3と略す)との
共重合を次の方法により行った。
【0188】重合器に、TCD−3およびシクロヘキサ
ンを、重合器内でのTCD−3濃度が60g/リットル
となるように仕込んだ。エチルアルミニウムセスキクロ
リド(AlEt1.5Cl1.5)のデカン希釈溶液(1.0
ミリモル/ミリリットル)を、重合器での濃度が10ミ
リモル/リットルとなるように仕込んだ。次いで重合系
内を10℃に保ち、激しく攪拌しながら、バブリング管
を用いてエチレン24.4リットル/時間、水素1.0リ
ットル/時間、窒素40.0リットル/時間の量で10
分間流通させた。続いて、触媒として、VO(O-E
t)Cl2のデカン希釈溶液(0.1ミリモル/ミリリッ
トル)を、重合器内でのバナジウム濃度が1.0ミリモ
ル/リットルとなるように投入する。重合系を10℃に
保持しながら共重合反応を行った。
【0189】10分後にメタノールを添加して重合反応
を停止させた。その後、水1リットルに対し、濃塩酸5
ミリリットルを添加した水溶液と重合液とを1対1の割
合でホモミキサーを用い、強攪拌下で接触させ、触媒残
渣を水槽へ移行させた。この接触混合液を静置した後、
水相を分離除去した後、さらに蒸留水で2回水洗を行
い、重合液相を精製分離した。
【0190】次いで、精製分離された重合液を3倍量の
アセトンと強攪拌下で接触させた後、固体部を濾過によ
り採取し、アセトンで充分洗浄した。さらに、ポリマー
中に存在するTCD−3を抽出するため、洗浄した固体
部を40g/リットルとなるようにアセトン中に投入し
た後、60℃で2時間の条件下で抽出操作を行った。抽
出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、1
30℃、350mmHgで24時間乾燥した。
【0191】以上のようにして、エチレン・TCD−3
共重合体を、21.2g/リットルの量で得た。得られ
た共重合体を13C−NMR分析で測定したエチレン組成
は57.5モル%、135℃デカリン中で測定した極限
粘度[η]は0.50dl/gであった。DSC法によ
り10℃/分の昇温速度でガラス転移温度(Tg)を測
定したところ、オンセット温度(T1)は158.5℃、
ファイナル温度(T2)は170.1℃であった。ΔT
(=T1−T2)は11.6℃であった。
【0192】得られた結果を表3,4に示した。
【0193】
【実施例5】実施例3において、エチレン、窒素の供給
量を表3のように変更した以外は実施例3と同様にして
エチレン・TCD-3の共重合を行った。
【0194】
【比較例3】実施例3において、重合時間を2分間とし
た以外は実施例3と同様にしてエチレン・TCD−3の
共重合を行った。
【0195】得られた結果を表3に示す。また、得られ
た共重合体の物性を表4に示す。
【0196】
【表3】
【0197】
【表4】
【0198】
【実施例6〜9】実施例1において、重合条件を表3の
ように変更した以外は実施例1と同様にして重合を行っ
た。
【0199】得られた結果を表5,6にまとめて示す。
【0200】
【表5】
【0201】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、DSC曲線におけるオンセット温度
(T1)とファイナル温度(T2)との関係の例を示す図
である。
【図2】図2は、本発明の環状オレフィン系共重合体に
おけるΔTと共重合成分組成との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−189806(JP,A) 特開 平3−172312(JP,A) 特開 平3−106909(JP,A) 特開 平3−14805(JP,A) 特開 昭62−252407(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 210/00 C08F 232/08 C08F 4/68

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i) 可溶性バナジウム化合物、および (ii) 有機アルミニウム化合物の存在下に共重合され
    た、 (a) 炭素数が2以上である、少なくとも一種類のα-オ
    レフィンと、 (b) 下記式[I]または[II]で表される、少なくとも
    一種類の環状オレフィンとの共重合体であって、 該共重合体中におけるα-オレフィン(a)から誘導される
    繰り返し単位と環状オレフィン(b)から誘導される繰り
    返し単位とのモル比が、47/53〜60/40の範囲
    内にあり、かつ 該共重合体中における環状オレフィン(b)から誘導され
    る繰り返し単位の含有率X(モル%)と、10℃/分の
    昇温速度の条件におけるDSC曲線によりガラス転移温
    度を測定した際に、DSC曲線が下降し始める温度(T1)
    とDSC曲線が再び平坦になる温度(T2)との差Y(T2-T
    1=ΔT)とが、次式[A]、[B]および[C]で表さ
    れる関係を有し、かつ、該環状オレフィン系共重合体の
    沸騰シクロヘキサン不溶分が20重量%以上であること
    を特徴とする環状オレフィン系共重合体; Xが、40≦X<45において、 Y≧−X+50 ・・・[A] Xが、45≦X<51において、 Y≧5 ・・・[B] Xが、51≦X≦53において、 Y≧X−46 ・・・[C] の関係を有する; 【化1】 [式[I]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、rは0または1であり、 R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、
    水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群か
    ら選ばれる原子もしくは基を表し、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい]; 【化2】 [式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であ
    り、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R
    19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪
    族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基お
    よびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは
    基を表し、R9が結合している炭素原子とR13が結合し
    ている炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR
    11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜
    3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、
    n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互い
    に結合して単環または多環の芳香族環を形成していても
    よい]。
  2. 【請求項2】炭素数2以上のα−オレフィンが、エチレ
    ンであることを特徴とする請求項第1項記載の環状オレ
    フィン系共重合体。
  3. 【請求項3】 (i) 可溶性バナジウム化合物、および (ii) 有機アルミニウム化合物の存在下に、 (a) 炭素数が2以上である、少なくとも一種類のα-オ
    レフィンと、 (b) 下記式[I]または[II]で表される、少なくとも
    一種類の環状オレフィンとを共重合するに際して、 重合液中に供給する上記環状オレフィン(b)とα-オレフ
    ィン(a)との濃度比[(b)/(a)]がモル比で5.0以上に
    なるように環状オレフィン(b)およびα-オレフィン(a)
    を重合液に供給すると共に、重合液中に供給する水素/
    α-オレフィン(a)の濃度比がモル比で0.025以下に
    なるように水素ガスを重合液に供給すると共に、得られ
    る共重合体中における環状オレフィン系共重合体の沸騰
    シクロヘキサン不溶分が20重量%以上となるよう重合
    することを特徴とする環状オレフィン系共重合体の製造
    方法; 【化3】 [式[I]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、rは0または1であり、 R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、
    水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群か
    ら選ばれる原子もしくは基を表し、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい]; 【化4】 [式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であ
    り、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R
    19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪
    族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基お
    よびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは
    基を表し、R9が結合している炭素原子とR13が結合し
    ている炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR
    11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜
    3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、
    n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互い
    に結合して単環または多環の芳香族環を形成していても
    よい]。
  4. 【請求項4】 炭素数2以上のα-オレフィンが、エチ
    レンであることを特徴とする請求項第3項記載の環状オ
    レフィン系共重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 環状オレフィン系共重合体中におけるα-
    オレフィン(a)から誘導される繰り返し単位と環状オレ
    フィン(b)から誘導される繰り返し単位とのモル比が、
    47/53〜60/40の範囲内にあり、 該共重合体中における環状オレフィン(b)から誘導され
    る繰り返し単位の含有率X(モル%)と、10℃/分の
    昇温速度におけるDSC曲線によりガラス転移温度を測
    定した際に、DSC曲線が下降し始める温度(T1)とDS
    C曲線が再び平坦になる温度(T2)との差Y(T2-T1
    T)とが、次式[A]、[B]および[C]で表される
    関係を有することを特徴とする請求項3または4に記載
    の環状オレフィン系共重合体の製造方法; Xが、40≦X<45において、 Y≧−X+50 ・・・[A] Xが、45≦X<51において、 Y≧5 ・・・[B] Xが、51≦X≦53において、 Y≧X−46 ・・・[C] の関係を有する。
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