JP2691915B2 - 酸化物超伝導材料の製造法 - Google Patents
酸化物超伝導材料の製造法Info
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- JP2691915B2 JP2691915B2 JP63227540A JP22754088A JP2691915B2 JP 2691915 B2 JP2691915 B2 JP 2691915B2 JP 63227540 A JP63227540 A JP 63227540A JP 22754088 A JP22754088 A JP 22754088A JP 2691915 B2 JP2691915 B2 JP 2691915B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とする
酸化物超伝導体の製造法に関するものである。
酸化物超伝導体の製造法に関するものである。
(従来の技術) Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とする酸化物超伝導
体の製造法として、原料粉末を融解温度より若干低い80
0〜900℃程度の温度で焼結した後に徐冷または急冷して
得る方法、あるいは融解温度以上に加熱して生成する融
体を、例えば双ローラ管で急冷して薄片状のガラス片を
形成させた後に、約500℃以上900℃以下の等温下で熱処
理して得る方法、などが知られている。
体の製造法として、原料粉末を融解温度より若干低い80
0〜900℃程度の温度で焼結した後に徐冷または急冷して
得る方法、あるいは融解温度以上に加熱して生成する融
体を、例えば双ローラ管で急冷して薄片状のガラス片を
形成させた後に、約500℃以上900℃以下の等温下で熱処
理して得る方法、などが知られている。
(発明が解決しようとする課題) 現在もっとも広く行われている前記の粉末の焼結によ
る製造法は、空孔が残存しやすいので高密度材料は得ら
れ難く、したがって臨界電流密度は一般に小さく、かつ
機械的強度は低いため実用性に乏しい。
る製造法は、空孔が残存しやすいので高密度材料は得ら
れ難く、したがって臨界電流密度は一般に小さく、かつ
機械的強度は低いため実用性に乏しい。
一方、一般にガラス体を等温下で再加熱することによ
って結晶化させる、いわゆる結晶化ガラス法において
は、体積全体にわたり均一に結晶化させることによって
高強度材料を得ることを目的として、ベース組成に特殊
な結晶核形成剤が添加されている。しかしながら、超伝
導材料を得るためには、この種の結晶核形成剤の添加は
その超伝導特性を低下させることが多い。
って結晶化させる、いわゆる結晶化ガラス法において
は、体積全体にわたり均一に結晶化させることによって
高強度材料を得ることを目的として、ベース組成に特殊
な結晶核形成剤が添加されている。しかしながら、超伝
導材料を得るためには、この種の結晶核形成剤の添加は
その超伝導特性を低下させることが多い。
またガラス体から一軸方向に配向した結晶化ガラス体
を製造する方法としては、本発明者の一人が行ったCaO
−P2O5系ガラスを対象とする事例〔特公昭63−28850〕
があるが、これは機械的曲げ強度の向上を目的としたも
のであり、超伝導特性の向上を意図したものではなかっ
た。
を製造する方法としては、本発明者の一人が行ったCaO
−P2O5系ガラスを対象とする事例〔特公昭63−28850〕
があるが、これは機械的曲げ強度の向上を目的としたも
のであり、超伝導特性の向上を意図したものではなかっ
た。
そこでこの発明の目的は、特殊な結晶核形成剤を加え
ることなく、Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とするガ
ラス体を所定の形状、例えば、長い棒状、管状、コイル
状などの形状において結晶化させることにより、実用に
耐える機械的強度を持ち、かつ好ましい超伝導特性を持
つ材料を製造することにある。
ることなく、Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とするガ
ラス体を所定の形状、例えば、長い棒状、管状、コイル
状などの形状において結晶化させることにより、実用に
耐える機械的強度を持ち、かつ好ましい超伝導特性を持
つ材料を製造することにある。
(課題を解決するための手段) この発明では、Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とす
るガラス体を作製した後、高温側を液相温度以下の温度
とし、低温側との間に温度勾配を与えながら、高温側か
ら低温側に上記ガラス体を移動させることによって移動
方向に連続的に結晶化させることにより結晶化ガラスを
得ることを考案した。詳しくは、高温側の温度は約900
℃以下、低温側との温度勾配は約5℃/cm以上、例えば3
00℃/cmの下でガラス体を移動させる。移動速度は、結
晶化の速度もしくはそれよりやや遅い速度がよい。この
ようにして、ガラス体を温度勾配の下に連続的に移動さ
せることにより、全体が結晶化した超伝導結晶化ガラス
材料が得られる。
るガラス体を作製した後、高温側を液相温度以下の温度
とし、低温側との間に温度勾配を与えながら、高温側か
ら低温側に上記ガラス体を移動させることによって移動
方向に連続的に結晶化させることにより結晶化ガラスを
得ることを考案した。詳しくは、高温側の温度は約900
℃以下、低温側との温度勾配は約5℃/cm以上、例えば3
00℃/cmの下でガラス体を移動させる。移動速度は、結
晶化の速度もしくはそれよりやや遅い速度がよい。この
ようにして、ガラス体を温度勾配の下に連続的に移動さ
せることにより、全体が結晶化した超伝導結晶化ガラス
材料が得られる。
なお、この発明は前段階においてガラス体を生成し、
後段階でこれを結晶化させて超伝導特性を発現すること
ができる全ての組成系、例えば希土類元素−Ba−Cu−O
系、Tl−Ba−Ca−Cu−O系などの組成系に対して適用可
能である。このときのガラス体中には、結晶質が残存し
ていても差し支えはない。また、Bi−Sr−Ca−Cu−O系
を基本組成とするものについては、1価または2価また
は3価の金属酸化物の1種または数種をBi1モルに対し
て全体の添加量が0.4モル以下の割合であれば、添加し
ても差し支えない。
後段階でこれを結晶化させて超伝導特性を発現すること
ができる全ての組成系、例えば希土類元素−Ba−Cu−O
系、Tl−Ba−Ca−Cu−O系などの組成系に対して適用可
能である。このときのガラス体中には、結晶質が残存し
ていても差し支えはない。また、Bi−Sr−Ca−Cu−O系
を基本組成とするものについては、1価または2価また
は3価の金属酸化物の1種または数種をBi1モルに対し
て全体の添加量が0.4モル以下の割合であれば、添加し
ても差し支えない。
(作 用) Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とするガラス体を温
度勾配下で一軸方向に移動させて行う熱処理により、超
伝導結晶化ガラス材料が得られる。
度勾配下で一軸方向に移動させて行う熱処理により、超
伝導結晶化ガラス材料が得られる。
この方法によって得られる超伝導結晶化ガラス材料
は、一般に機械的強度が高く、熱処理前のガラス体の所
定の形状のものが変形なく得られるだけでなく、温度勾
配の大きさを適当に選ぶことによって結晶を配向させ、
臨界電流密度の著しい向上が見られる。
は、一般に機械的強度が高く、熱処理前のガラス体の所
定の形状のものが変形なく得られるだけでなく、温度勾
配の大きさを適当に選ぶことによって結晶を配向させ、
臨界電流密度の著しい向上が見られる。
(実施例) 以下、この発明の実施例を説明する。
市販の試薬特級のBi2O3、SrCO3、CaCO3、CuOの粉末
を、Bi/Sr/Ca/Cu=1/1/1/2のモル比になるように秤量
し、混合した。これを高純度のアルミナ坩堝に入れ、電
気炉で1150℃で15〜30分加熱し、きわめて粘度の低い融
液を得た。この融液は余りにも粘度が低いために直接こ
の融液から棒状のガラス体を引き上げることはできな
い。このため、この融液を内径2〜5mmの溶融シリカガ
ラス管またはパイレックスガラス管に吸入し、放冷、固
化後、ガラス管を撤去することによってガラス体を得
た。
を、Bi/Sr/Ca/Cu=1/1/1/2のモル比になるように秤量
し、混合した。これを高純度のアルミナ坩堝に入れ、電
気炉で1150℃で15〜30分加熱し、きわめて粘度の低い融
液を得た。この融液は余りにも粘度が低いために直接こ
の融液から棒状のガラス体を引き上げることはできな
い。このため、この融液を内径2〜5mmの溶融シリカガ
ラス管またはパイレックスガラス管に吸入し、放冷、固
化後、ガラス管を撤去することによってガラス体を得
た。
このようにして得られるガラス体の形状は、使用する
ガラス管の形状によって任意に選ぶことができる。参考
写真のaはコイル状のガラス体の外観を、また同参考写
真のbは長さ約30cmの棒状のガラス体の外観を夫々を示
す。なおこの参考写真のa,bの間のものは目盛1mmの物差
しである。
ガラス管の形状によって任意に選ぶことができる。参考
写真のaはコイル状のガラス体の外観を、また同参考写
真のbは長さ約30cmの棒状のガラス体の外観を夫々を示
す。なおこの参考写真のa,bの間のものは目盛1mmの物差
しである。
次に、このようにして得たガラス体を高温側の温度約
840℃、低温側との温度勾配約300℃/cmの状態を維持し
ながら約0.1mm/分の速度で移動させ、結晶化を行った。
参考写真のcは、この様にして棒状のガラス体bを結晶
化させた試料の外観を示す。第1図の下方にはガラス体
のX線回折パターン(イ)を、また第1図の上方には結
晶化させた試料のX線回折パターン(ロ)を示す。両者
のX線回折パターンの比較から、前記のような熱処理に
よって結晶化が進行したことが分かる。
840℃、低温側との温度勾配約300℃/cmの状態を維持し
ながら約0.1mm/分の速度で移動させ、結晶化を行った。
参考写真のcは、この様にして棒状のガラス体bを結晶
化させた試料の外観を示す。第1図の下方にはガラス体
のX線回折パターン(イ)を、また第1図の上方には結
晶化させた試料のX線回折パターン(ロ)を示す。両者
のX線回折パターンの比較から、前記のような熱処理に
よって結晶化が進行したことが分かる。
このようにして作製した超伝導結晶化ガラスの超伝導
特性は、電気抵抗がゼロとなる臨界温度は第2図に示す
ように約86K(ケルビン)であり、また臨界電流密度は
約77K、外部磁場ゼロの条件において約80アンペア/cm2
であった。
特性は、電気抵抗がゼロとなる臨界温度は第2図に示す
ように約86K(ケルビン)であり、また臨界電流密度は
約77K、外部磁場ゼロの条件において約80アンペア/cm2
であった。
(発明の効果) Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とする酸化物超伝導
材料は、超伝導線材や超伝導コイルなどの形態でエネル
ギー分野に実用化されることが期待されている。その場
合には機械的強度や臨界電流密度などの特性が実用に耐
えることが重要であるが、この発明の製造法によれば、
こうした目的に沿った機械的強度の高く、かつ臨界電流
密度の高い超伝導特性の優れた超伝導ガラス材料が容易
に得られるものである。
材料は、超伝導線材や超伝導コイルなどの形態でエネル
ギー分野に実用化されることが期待されている。その場
合には機械的強度や臨界電流密度などの特性が実用に耐
えることが重要であるが、この発明の製造法によれば、
こうした目的に沿った機械的強度の高く、かつ臨界電流
密度の高い超伝導特性の優れた超伝導ガラス材料が容易
に得られるものである。
図はこの発明の一実施例を示すもので、第1図は作製し
たガラス体及び結晶化ガラス体のX線回折パターンの比
較図、第2図は作製した結晶化ガラス体の電気抵抗率と
温度との関係を示すグラフ図である。
たガラス体及び結晶化ガラス体のX線回折パターンの比
較図、第2図は作製した結晶化ガラス体の電気抵抗率と
温度との関係を示すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細野 秀雄 愛知県名古屋市熱田区大宝2―4―43 白鳥住宅6―15 (72)発明者 細江 政弘 愛知県小牧市北外山四辻2781 北外山県 営住宅F―63 (72)発明者 久保 幸雄 愛知県名古屋市瑞穂区春山町13―2
Claims (1)
- 【請求項1】Bi−Sr−Ca−Cu−O系を基本組成とするガ
ラス体を、約900℃以下の高温側から、約5℃/cm以上の
温度勾配の下で、低温側に移動させて結晶化することを
熱処理の特徴とする、超伝導材料の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63227540A JP2691915B2 (ja) | 1988-09-13 | 1988-09-13 | 酸化物超伝導材料の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63227540A JP2691915B2 (ja) | 1988-09-13 | 1988-09-13 | 酸化物超伝導材料の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0280348A JPH0280348A (ja) | 1990-03-20 |
JP2691915B2 true JP2691915B2 (ja) | 1997-12-17 |
Family
ID=16862502
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63227540A Expired - Lifetime JP2691915B2 (ja) | 1988-09-13 | 1988-09-13 | 酸化物超伝導材料の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2691915B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6456317A (en) * | 1987-08-26 | 1989-03-03 | Canon Kk | Production of superconductive substance |
-
1988
- 1988-09-13 JP JP63227540A patent/JP2691915B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0280348A (ja) | 1990-03-20 |
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