JP2691808B2 - 浴槽水加熱用電気ヒータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は浴槽装置に係り、特に浴
槽水を循環ポンプにより強制的に循環させる循環路に配
備する浴槽水加熱用電気ヒータに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、浴槽水を循環ポンプで強制循環さ
せ濾過、殺菌等によって清浄にする清浄化装置を配備し
た浴槽装置の利用が多くなり、特に最近は、この浴槽水
の循環路に加熱装置を配備して、浴槽水を絶えず適温に
保ち、２４時間いつでも快適に入浴できるようにしたい
わゆる２４時間風呂の人気が高まっている。

【０００３】図５には２４時間風呂装置の一例が配管図
として示されており、１は浴槽水２の入った浴槽、３は
清浄化装置であり、清浄化装置３は、フイルターや活性
炭等の清浄化材の充填された清浄化タンク、循環ポンプ
５、加熱装置６、オゾン発生装置７等より成っている。

【０００４】浴槽１内の浴槽水２は、循環ポンプ５の作
動によって給水管８で吸い上げられて清浄化タンク４に
入って汚れを取り除く清浄化処理がまず行われ、その
後、加熱装置６で所定温度に加熱した後、噴水管９の先
端のジエツトノズル１０からから浴槽１内にオゾン発生
装置７で発生したオゾンを含む空気とともにジエツト流
として噴出され。

【０００５】以上のような清浄化処理の結果、浴槽水２
は、汚れが取り除かれたりオゾン殺菌されたりして絶え
ず清浄であるとともに適温に保たれ、２４時間いつでも
快適な入浴が楽しめる。

【０００６】前記したような清浄化装置において浴槽水
を保温加熱するための加熱装置では、電熱線を絶縁セラ
ミツク粉末の充填された金属パイプやセラミツク中埋設
したシーズヒータやセラミツクヒータのような電気ヒー
タが多く利用されていた。

【０００７】

【従来技術の課題】しかしながら、このような絶縁層が
一重の電気ヒータで浴槽水を直接加熱した場合、ヒータ
が金属パイプに腐食等で穴が開いたり、セラミツクがひ
び割れしたりして損傷し絶縁不良となつて浴槽水に漏電
する心配があるので、入浴者にとっては大変危険であ
る。

【０００８】このような漏電の危険を防ぐために、絶縁
油のような熱媒体を電気ヒータで加熱し浴槽水と熱交換
させる間接加熱方式を採る場合もあるが、この場合は、
加熱装置が大きくなるとともにコスト高となつてしま
う。

【０００９】また、電気ヒータを利用しての直接加熱で
漏電の危険を防ぐ対策として、電源供給回路に絶縁トラ
ンスを配備し、電圧を１００Ｖから２４Ｖ程度に下げる
とともに、電源供給の１次側回路とヒータの２次側回路
とを遮断し漏電電流が浴槽内に流れ内容にする方法が採
られる場合もある。

【００１０】しかしながら、このように絶縁トランスで
安全性を保てるのはヒータの容量が小さな場合だけであ
る。

【００１１】なぜなら、ヒータの容量を５００Ｗ程度と
としても、絶縁トランスはかなり大型で高価にるととも
に、流れる電流量は２１Ａ程度と多いので配線にはかな
り太い電線が必要になり、これ以上大きな容量のヒータ
の配備を必要とする場合の浴槽装置には適用できないか
らである。

【００１２】本発明は、前記したような従来技術の欠点
を解消し、１ＫＷ以上の大容量の電気ヒータでの直接加
熱でも絶縁性が高くしかも絶縁劣化の度合いを絶えずチ
ェック出来て絶縁不良に基づく漏電による危険を防いで
安全であると共に、コンパクトでコストも安い加熱装置
を形成するための浴槽水加熱用ヒータを提供することを
目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、浴槽
水の循環路中に配備され絶縁性が高くしかも絶縁の劣化
を素早く検知でき安全性の高い浴槽水加熱用電気ヒータ
であって、絶縁性を高くするため、電熱線を内側の第１
と外側の第２との二重の金属パイプで覆いそれぞれの金
属パイプの空隙部に絶縁材粉末を充填し第１金属パイプ
を介して互いに隔絶した内側の第１と外側の第２との二
重の絶縁材粉末層を形成し、かつ絶縁の劣化を素早く検
知できるよう前記外側の第２絶縁材粉末層に絶縁劣化度
測定回路を容易に接続するため、第２絶縁材粉末層が介
在する第１及び第２金属パイプ又はこれ等金属パイプの
導通部材に第１及び第２絶縁劣化度測定端子をそれぞれ
装着したことを特徴とする浴槽水加熱用ヒータである。

【００１４】

【発明の作用】本発明は以上のように構成され、電熱線
は、内側の第１と外側の第２との二重に覆う金属パイプ
の空隙部に絶縁材粉末を充填し内側の第１金属パイプで
互いに隔絶した内側の第１と外側の第２との絶縁材粉末
層により二重に絶縁されている。

【００１５】この結果、仮に浴槽水に絶えず接触してい
る外側の第２金属パイプが腐食して穴が開き外側の第２
絶縁材粉末層が浴槽水が侵入して絶縁劣化しても、その
内側の第１金属パイプで隔絶された第１絶縁材粉末層
は、浴槽水は侵入しないので絶縁劣化しないで十分な絶
縁を保ち、絶縁性が非常に高く漏電の心配がない。

【００１６】このため、絶縁トランスを配備する必要が
なくなるとともに１００Ｖの電源に直接つなげるのでヒ
ータ容量を１ＫＷ以上に大きくすることも容易でありし
かもコストも安くなる。

【００１７】また、電熱線を覆う二重の金属パイプは空
隙部に充填されている絶縁材料が粉末状であるので折り
曲げ自在であり、自由に折り曲げ加工をして極めてコン
パクトな形状のヒータを作れる。

【００１８】さらに前記したように、外側の第２金属パ
イプは絶えず浴槽水と接触しているので腐食して穴が開
き易くこの中に形成された第２絶縁材粉末層は浴槽水が
侵入して絶縁が劣化し易い。

【００１９】しかしこの絶縁が劣化し易い第２絶縁材粉
末層は、これが介在する第１及び第２金属パイプ又はこ
れ等金属パイプの導通部材に第１及び第２縁劣化度測定
端子をそれぞれ配備してあるので、この第１及び第２絶
縁劣化度測定端子を利用して絶縁劣化度測定回路を容易
に接続し絶縁劣化を素早く検知できるようになる。

【００２０】以上のように本発明は、各々独立した二重
絶縁層により絶縁性を非常に高くすると同時に、二重の
絶縁層の内の劣化し易い外側の絶縁層を絶縁劣化度測定
端子を利用して絶縁劣化度測定回路に容易に接続し絶縁
劣化を素早く検知できるようにし、安全性を非常に高く
した浴槽水加熱用電気ヒータを提供できるようにする。

【００２１】

【実施例】次に本発明の実施例について、図に基づいて
詳細に説明する。

【００２２】図１は、本発明の実施例のヒータを一部を
断面として示す側面図であり、１１がニクロム線のよう
な電熱線、１３が電熱線１１を覆う内側の第１金属パイ
プ、１５が第１金属パイプ１３の外側を覆う第２金属パ
イプである。

【００２３】１２は第１金属パイプ１３の空隙部に絶縁
材粉末を充填して形成した第１絶縁材粉末層、１４は第
２金属パイプ１５の空隙部に絶縁材粉末を充填して形成
した第２絶縁材粉末層である。

【００２４】このようにして電熱線１１は、内側の第１
金属パイプ１３を介して互いに隔絶した二重の絶縁材粉
末層１２及び１４で絶縁されている。

【００２５】この結果、仮に外側の第２金属パイプ１５
に穴が明いて外側の第２絶縁材粉末層１４が浴槽水が侵
入し絶縁劣化しても、内側の第１絶縁材粉末層１２は、
内側の第１金属パイプ１３で遮られて浴槽水は侵入しな
いので絶縁劣化しないで十分な絶縁性を保てるようにな
る。

【００２６】絶縁材粉末層１２、１４を形成する絶縁材
粉末としては、酸化マグネシウムのような絶縁性の高い
金属酸化物の細かな粉末を利用する。

【００２７】また金属パイプ１３、１５は、ＳＵＳ、銅
等の機械的強度が強くしかも腐食に強い金属で形成する
が、内側の第１金属パイプ１３は、外側の第２金属パイ
プ１５よりは強度と耐食性が必要ないので肉厚を薄くし
たり耐食性の低い材料を利用したりしても良い。

【００２８】１６は電熱線１１とスポツト溶接されたね
じ切り部を持つヒータ端子、１７及び１８は第１及び第
２金属パイプの端部開口を絶縁材粉末が漏れないように
塞ぐガラス、シリコーン等の封口材、１９は第２金属パ
イプにねじ部嵌合させて取り付けた取付用フランジであ
る。

【００２９】ヒータを取付板に取り付けた状態が図２及
び３の部分側面図と図４の正面図とに示されており、ヒ
ータはヒータ取付板２０に取付用フランジ１９のフラン
ジ部を水漏れ防止パツキン２１を介して密着させた後、
ねじ部にヒータ取付用ナツト２２を嵌めてねじ止めして
取り付けられている。

【００３０】２３が第１絶縁劣化度測定端子であり、こ
の第１絶縁抵抗測定用端子２３は、第１金属パイプ１３
に、開口端部にセラミツク、ガラス等の絶縁材製のスペ
ーサ２４を嵌合させて押さえ付けた後、ねじ切りされた
ヒータ端子１６にナツト２５を嵌めてねじ止めして取り
付けられている。

【００３１】２７はヒータ端子１６に嵌められた１００
Ｖ或は２００Ｖ等の一般商用電源と接続する電源用端子
であり、ナツト２６によりナツト２５に押し付けられて
ねじ止めされている。

【００３２】２８が第２絶縁劣化度測定用端子であり、
この第２絶縁劣化度測定用端子２８は、第２金属パイプ
１５の導通部材であるヒータ取付板に装着されおり、取
付用フランジ１９のような第２金属パイプ１５に直接取
り付いた部品に装着しても良いが、取付用フランジ１９
を介して第２金属パイプ１５と導通しているヒータ取付
板２０に装着しても絶縁劣化度の測定には何ら支障がな
いことは当然である。

【００３３】この第１及び第２金属パイプ１３及び１５
或いはこの導通部材に配備した第１及び第２の絶縁劣化
度測定端子２３及び２８には、図示しない絶縁抵抗測定
回路のような通常の縁劣化絶度測定回路が接続する。

【００３４】すると第１及び第２金属パイプ１３及び１
５の間に在る絶縁劣化し易い外側の第２絶縁材粉末層１
４は絶縁劣化度測定回路と直列に接続し絶縁劣化度を容
易に検知できる状態になる。

【００３５】すなわち、外側の第２金属パイプ１５に穴
が開き外側の第２絶縁材粉末層１４に水が侵入し絶縁性
が損なわれた場合には、絶縁劣化度測定回路の例えば絶
縁抵抗のような絶縁劣化の度合いを示す特性が急激に小
さくなって絶縁劣化を検知できる。

【００３６】そこで定期的に外側の第２絶縁材粉末層１
４の絶縁劣化度を測定していれば絶縁劣化を素早く検知
できるようになり、これにより絶縁劣化を表示装置に表
示しメンテイナンスを促すことにより漏電の危険を未然
に防いで安全な状態で浴槽水を加熱できるようになる。

【００３７】またヒータの形状は前記実施例ではＵ字型
となつているが、絶縁層が金属パイプで覆われた粉末層
であつて折り曲げ自在であるので、自由に折り曲げてさ
らにコンパクトな形状とすることもできる。

【００３８】

【発明の効果】本発明は以上のような構成及び作用のも
のであり、電熱線に対する絶縁層を金属パイプで互いに
隔絶して内外の二重に設け、外側の金属パイプに穴が開
き浴槽水が侵入して外側の絶縁層が劣化しても、内側の
絶縁層は浴槽水は侵入できないので絶縁が保たれるよう
になっていて絶縁性が非常に高い。

【００３９】その上絶縁層を形成するために絶縁材粉末
を充填した二重の金属パイプ或いはこれ等金属パイプの
導通部材に絶縁劣化度測定端子をそれぞれ配備してある
ので、この絶縁劣化度測定端子を利用して絶縁劣化度測
定回路を接続して劣化し易い外側の絶縁層の絶縁劣化度
を絶えずチェックできる。

【００３７】この結果ヒータは絶縁性が高いと共に絶縁
劣化を容易に素早く検知して適切なメンテイナンスをで
きるようになり、安全性の非常に高い浴槽水加熱用のヒ
ータが提供される。

【００３８】このため、電源回路中に絶縁トランスを設
けることなく大きな加熱容量のヒータを直接商用電源に
接続し、漏電の危険がなく安全でかつ低コストでコンパ
クトな装置で浴槽水の加熱ができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例の側面図、

【図２】 実施例の部分側面図、

【図３】 実施例の部分側面図、

【図４】 実施例の正面図、

【図５】 浴槽水清浄化装置。

【符号の説明】

１１． 電熱線 １２． 第１絶縁材粉末層 １３． 第１金属パイプ １４． 第２絶縁材粉末層 １５． 第２金属パイプ ２３． 第１絶縁劣化度測定端子 ２８． 第２絶縁劣化度測定端子

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】浴槽水の循環路中に配備され絶縁性が高く
   しかも絶縁の劣化を素早く検知でき安全性の高い浴槽水
   加熱用電気ヒータであって、絶縁性を高くするため、電
   熱線を内側の第１と外側の第２との二重の金属パイプで
   覆いそれぞれの金属パイプの空隙部に絶縁材粉末を充填
   し前記第１金属パイプを介して互いに隔絶した内側の第
   １と外側の第２との二重の絶縁材粉末層を形成し、かつ
   絶縁の劣化を素早く検知するため前記外側の第２絶縁材
   粉末層に絶縁劣化度測定回路を容易に接続できるよう、
   第２絶縁材粉末層が介在する第１及び第２金属パイプ又
   はこれ等金属パイプの導通部材に第１及び第２絶縁劣化
   度測定端子をそれぞれ配備したことを特徴とする浴槽水
   加熱用電気ヒータ。