JP2689282B2 - スプリングヒンジ付き眼鏡 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、眼鏡のつるが所定の開き角度位置よりも
外側に開いて、眼鏡を装着したとき、装着者の顔側面や
こめかみ部分に弾性的に当り、装着感を和らげることが
でき、さらに、眼鏡のつるを開いたり、閉じたりすると
きに、ヒンジのスナップアクション作用でこきみ良く操
作できるスプリングヒンジを有する眼鏡の改良に関す
る。

特に、前記ヒンジは、つる側のヒンジとリム側のヒン
ジとから構成されている。つる側のヒンジには、スプリ
ングによって付勢される摺動子が設けてあり、この摺動
子はつるに設けられた案内ハウジングに納められる。ま
た、前記スプリングを操作するためのロッキング部材が
前記摺動子に関連して形成してある構造を有している眼
鏡の改良に関する。

（従来の技術） スプリングヒンジを備えた眼鏡は、例えば、ドイツ特
許2115596号、同2242044号に開示されている。前者の特
許に開示されているものは、スプリングを付勢させなが
ら所定の位置に畜勢状態で保持するロッキング部材が案
内ハウジングの底部に止着されており、後者の特許に開
示のものは、ロッキング部材に係止ボールが設けてあ
る。いずれの構造にあっても、つる側のヒンジとリム側
のヒンジとがネジで連結された後または前記の係止ボー
ルがインサートされた後に、前記ロッキング部材が所定
の作用位置に保持されるようになっている。しかし、前
記のネジやボールは、極めて小さく、これらの取付け
に、熟練が要求される。

また、ドイツ特許2238730号には、ブロック構造のロ
ッキング部材が開示され、前記案内ハウジングの底部に
形成したブラインド孔へのピンの差し込みで、ロッキン
グ部材を止着する構造が採用され、ピンの取付けに、熟
練が要求される。

また、ドイツ特許出願公開3213174号に開示されたヒ
ンジでは、少なくとも二つの操作でヒンジをロックする
必要があり、熟練が要求される。

さらに、ドイツ特許出願公開2920055号、同3401213
号、同3213174号に開示されたヒンジ構造も、ロッキン
グ部材を取付けるのに、非常な苦労と熟練が要求され
る。

（発明が解決しようとする課題） 前記のように、従来の技術においては、スプリングヒ
ンジの組付けに繁雑でこまかい作業が要求され、熟練、
組付け時間が必要となり、作業上、非能率な問題があ
り、これが、この発明の解決課題である。

（発明の概要） この発明による眼鏡のスプリングヒンジは、リム側の
ヒンジ部とつる側のヒンジ部とからなる。

前記つる側のヒンジ部は、摺動子（２）の前方に設け
られる。この摺動子（２）の後方には、摺動方向に沿っ
て長溝（８）が形成され、この長溝（８）は閉鎖された
前後端部を有する。長溝（８）内の後端部側には圧縮ス
プリング（５）が配置される。圧縮スプリング（５）
は、圧縮コイルスプリングとすることができ、プランジ
ャ（10）のロッド（10a）の周囲に設けられるものとで
きる。このロッド（10a）の長さを圧縮スプリング
（５）より短くすることで、短くした分だけ圧縮スプリ
ング（５）の弾性動作を許す。

前記長溝（８）内の前端部側には、ロッキング部材
（９）が配置される。このロッキング部材（９）は、前
記圧縮スプリング（５）によってプランジャ（10）を介
して前方に押圧され、該押圧により前記長溝（８）内の
前端部との間に挟まれることで、前端（13）が前記長溝
（８）の外に突き出る形状をなしている。このロッキン
グ部材（９）の形状は、押圧方向に沿った縦断面の形状
が平行四辺形であって、平行四辺形の前方の係合溝（1
6）に面する側の角部がウエッジ状（楔状）をなし前記
前端（13）となっている。また、ロッキング部材（９）
の横断面の形状は矩形であって、平面形状が楕円であ
る。

つるの前端部には案内ハウジング（３）が設けられ
る。この案内ハウジング（３）の内部に、前記摺動子
（２）の長溝（８）が形成された後方が、摺動自由に挿
着される。案内ハウジング（３）の内部には係合溝（1
6）が形成され、前記突き出たロッキング部材（９）の
前端（13）が前方に向かって係合する。

前記ロッキング部材（９）は、圧縮スプリング（５）
の押圧力と長溝（８）内の前端部との間に挟まれ前端
（13）が長溝（８）の外に突き出た状態で、前記案内ハ
ウジング（３）内部への挿入が行われる際に、前記突き
出た前端（13）の部分に後方から案内ハウジング（８）
の一部（14、15）が接触することで、前記圧縮スプリン
グ（５）の押圧力に抗して、長溝（８）内に押し込めら
れる形状を有する。なお、長溝（８）内への押込みが行
われた後に、さらに挿入が行われ、ロッキング部材
（９）の前端（13）が係合溝（16）に係合する。

この挿入において、前記摺動子（２）が前記案内ハウ
ジング（３）へ必要以上に挿入されてしまうのを防ぐた
め、前記案内ハウジング（３）へ前記摺動子（２）が内
部へ挿着されるための開口部の開口縁（20）に、係止す
るストッパ（19）を摺動子（２）は有している。

この挿入の後に、リム側のヒンジ部とつる側のヒンジ
部とが枢着される。すなわち、リム側のヒンジ部材が有
する一対のヒンジアイ（６）の間に、つる側のヒンジ部
材のヒンジアイ（１）が挿入され、これらヒンジアイ
（６、１）にネジ（７）が枢着されヒンジ構造を構成す
る。つる側のヒンジ部のヒンジアイ（１）に形成される
孔（22）は、皿もみ面（22a）を有する。これにより、
つる側のヒンジ部が設けられた摺動子（２）を、圧縮ス
プリング（５）およびロッキング部材（９）とともに案
内ハウジング（３）に挿着し、ロッキング部材（９）の
前端（13）が前方に向かって係合溝（16）に係合した状
態で、圧縮スプリング（５）の力に抗して該摺動子
（２）を案内ハウジング（３）から引き出し、プレスト
レスを与える。

前記リム側のヒンジ部が設けられる部分にはカム面
（17）が形成され、前記つる側の案内ハウジング（３）
には前面カム面（17）を案内する案内端面を有する肩部
（18）が形成され、前記カム面（17）の形によって、つ
るの開閉動作の際にスナップアクションが行われる。

なお、この明細書において、（）内の符号は単に理解
のため便宜上に付したものであり、何ら発明の技術的範
囲を限定するものではない。

（発明の作用） 摺動子（２）の後方に形成された長溝（８）内の後端
部側には、圧縮スプリング（５）がプランジャ（10）と
ともに配置される。長溝（８）内の前端部側には、ロッ
キング部材（９）が配置される。このロッキング部材
（９）は、圧縮スプリング（５）によってプランジャ
（10）を介して前方に押圧され、長溝（８）内の前端部
との間に挟まれることで、前端（13）が前記長溝（８）
の外に突き出る。

このプレアッセンブリー状態で、摺動子（２）の後方
が、案内ハウジング（３）の内部に、摺動自由に挿着さ
れる。この時、ロッキング部材（９）の突き出た前端
（13）の部分に、後方から案内ハウジング（３）の一部
（14、15）が接触することで、前記圧縮スプリング
（５）の押圧力に抗して、この突き出た前端（13）の部
分は長溝（８）内に押し込められる。さらに深く装着が
行われると、ロッキング部材（９）の前端（13）が係合
溝（16）に係合する。この係合は、圧縮スプリング
（５）の働きで、弾性的に行われる。

この挿入の終りにおいて、案内ハウジング（３）の開
口部の開口縁（20）に、摺動子（２）のストッパ（19）
が係止する。これにより、摺動子（２）が案内ハウジン
グ（３）へ必要以上に挿入されてしまうのを防ぐ。

この挿入の後に、リム側のヒンジ部とつる側のヒンジ
部とが枢着され連結される。すなわち、リム側のヒンジ
部材が有する一対のヒンジアイ（６）の間に、つる側の
ヒンジ部材のヒンジアイ（１）が挿入され、これらヒン
ジアイ（６、１）にネジ（７）が枢着される。このネジ
（７）の枢着の際に、つる側のヒンジ部のヒンジアイ
（１）に形成される孔（22）の皿もみ面（22a）および
ネジ（７）の働きにより、圧縮スプリング（５）の力に
抗して摺動子（２）を案内ハウジング（３）から引き出
し、プレストレスを与える。このようにしてスプリング
ヒンジが得られる。

そして、リム側のヒンジ部が設けられる部分に形成さ
れたカム面（17）が、前記つる側の案内ハウジング
（３）に形成された肩部（18）の案内端面によって案内
されることで、つるの開閉動作の際にスナップアクショ
ンが行われる。

（実施例） 第１図から第10図に示す第１の実施例において、眼鏡
のスプリングヒンジの構造は、リム側のヒンジ部とつる
側のヒンジ部とから成る。

つる側のヒンジ部のヒンジアイ１は、摺動子２の前方
に設けられている。この摺動子２は、つるの前端部４に
形成された案内ハウジング３に摺動自由に挿着され，圧
縮コイルスプリング５の力に抗して前記案内ハウジング
３から引き出されるようになっている。

リム側のヒンジ部は、二股に分岐した一対のヒンジア
イ６をもち、これらヒンジアイ６の間につる側のヒンジ
アイ１を挿入し、これらのヒンジアイ１、６に、ヒンジ
７が枢着され、リム側とつる側が連結される。

案内ハウジング３は、つるの前端部４に固定して設け
られるもので、この固定手段は、つるが金属製であれ
ば、ハンダ付け、つるがプラスチック製であれば、該つ
るにインサートされた金属部分に対するハンダ付けであ
る。

摺動子２の後方には、圧縮コイルスプリング５等を納
める長溝８が形成してある。第２図に示すように、該長
溝８には、ロッキング部材９、後尾にロッド10aをもつ
スプリング付勢のプランジャ10、スプリング５が配置さ
れる。このような摺動子２は、第１図に示すつるの前端
部４に固定の案内ハウジング３に挿入され、ついで、前
述したようにヒンジアイ１とヒンジアイ６とが、ネジ７
による枢着によって連結される。

この例において、ロッキング部材９は、横断面は概ね
矩形であって、縦断面は平行四辺形であり、その前後両
端面11が第４図に示すように、外側から見れば、斜めに
形成されていて、さらに、平面から見れば、ロッキング
部材９の上面と底面とは、楕円形状になっている（第５
図に示すとおり）。

したがって、ロッキング部材９が摺動子２の長溝８に
挿着されると、ロッキング部材９の前端13（リム側に対
し接近している部分）は、長溝８内の前端部に接触し、
押し出され長溝８の外へ突き出る状態でプレアッセンブ
ルされる。このようにロッキング部材９がプレアッセン
ブルされた摺動子２を案内ハウジング３へ挿入すると、
前記のように一部が突出したロッキング部材９の前端部
13は、案内ハウジング３に形成した斜めの傾斜面をもつ
案内溝14（第４図）の面にそって後方から押圧されなが
ら、前記案内ハウジング３の長溝８の内部へ、スプリン
グ５の付勢力に抗しながら押し込められる。そして、摺
動子２が、前記案内溝14に続く水平面15（第９図）にそ
って内方へ、さらに挿入されると、前記ロッキング部材
９は、前記水平面15の内方に形成された係合溝16に到達
し、圧縮コイルスプリング５で押圧されながらロッキン
グ部材９の傾斜した後端面11を押圧するプランジャ10の
作用で、ロッキング部材９の前端13が係合溝16に係合す
る（第８図から第10図に示すとおり）。

スプリングヒンジが第４図に示す状態で連結されてい
る場合、該ヒンジは、第６図に示すように、つるの開き
制限位置を外側に越えてスイングし、眼鏡をかける人の
こめかみ部分に弾性的にフイットする。このような動き
のために、つる側のヒンジアイ１が設けられる摺動子２
は案内ハウシング３から弾性的に引き出され、リム側の
ヒンジアイ６は、リム側のヒンジ部に対し不動状態にあ
る。

ヒンジアイ６が設けられるリム側のヒンジ部には、案
内ハウジング13と係合するカム面17が形成され、このカ
ム面17の動きを案内するために、案内ハウジング３の前
端面には、内側へ傾斜した案内端面を有する一対の肩部
18が形成されていて、該肩部18により、つるの開閉動作
を助けるスナップアクションがおこなわれる。

つる側のヒンジアイ１が設けられる部分には、後方に
向いた突起19が形成されており、摺動子２を案内ハウジ
ング３内へ挿着する際に、摺動子２のロッキング部材９
の前端13が案内ハウジング３の内部の係合溝16に係合す
るまで押し込んだ後に、前記突起19は案内ハウジング３
の前端面に形成される開口部の開口縁に20に係止し、必
要以上に摺動子２が案内ハウジング３内へ挿入されない
ようにするストッパとして作用する。

ネジ７が枢着されるリム側のヒンジアイ６に形成され
る孔21の一方の孔21aは、皿もみ面となって、ネジ７の
断面円錐形の頭7aを受け（ドイツ実用新案8904802.4参
照）、他方の孔21bにネジ７が螺合する。つる側のヒン
ジアイ１にも前記ネジ７が通される孔22が形成されてい
て、該孔22の両端面には、ネジの頭部または先端を受け
る皿もみ面22aが形成されている。前記ネジ７は、自由
先端7bが断面円錐形に形成されており、つるが左仕様か
右仕様かに応じて前記自由先端7bが前記つる側のヒンジ
アイ１の孔22に形成された皿もみ面22aに嵌まる。

このようなネジ７の頭部と皿もみ面22aとの働きの結
果、摺動子２は圧縮コイルスプリング５の力に抗して、
案内ハウジング３から若干引き出され、案内ハウジング
３に対しプレストレスされる。そして、つる側のヒンジ
アイ１は、オフセット状態（意図的にずれた状態）にさ
れているリム側ヒンジアイ６と摺動子２に対しセンター
位置決めされる。このとき、長溝８内の前端部は、係合
溝16にロックされているロッキング部材９に対して、間
隙23（第４図）をもって隔てられる。

この第１実施例による眼鏡において、前記ロッキング
部材９は、摺動子２の長溝８に配置され、同じく長溝８
に配置される圧縮コイルスプリング５によってプランジ
ャー10を介して後端面11が押圧され、前端13が摺動子２
の長溝８の前端部側に係合する状態となり、この状態で
の摺動子２、圧縮コイルスプリング５、及びプランジャ
ー10をひとまとまりのプレアッセンブリ状態とし、つる
の前端部に設けられた案内ハウジングへ挿着する。この
挿着の際に、ロッキング部材９の前端13を案内ハウジン
グ３の内部に形成された係合溝16に係合させる。この係
合は圧縮コイルスプリング５の働きで弾性的に行われ
る。このようにして摺動子２は案内ハウジング３内で長
手方向に弾性的に摺動でき、これによりスプリングヒン
ジがついたつるを得る。

このようなつるをリムと連結する。この連結はつる側
のヒンジ部とリム側のヒンジ部をネジ７で枢着すること
で行われる。このように連結した後、リムに対しつるは
弾性的に開閉することができる。

以上のように、この実施例においては以下の技術的効
果を得る。

即ち、スプリングヒンジ付き眼鏡を組み立てる際に、
予め摺動子２の長溝８内に圧縮コイルスプリング５、プ
ランジャー10、及びロッキング部材９を配置してプレア
ッセンブリの状態とし、このプレアッセンブリ部材をつ
るに設けた案内ハウジング３に挿着することで、ロッキ
ング部材９の前端13は案内ハウジング３の内部に形成さ
れた係合溝16に係止し、これにより摺動子２やコイルス
プリング５のつる側への取り付けがワンタッチで行われ
る。

つまり、前記したプレアッセンブリ状態でロッキング
部材９は、摺動子２の長溝８に配置され圧縮コイルスプ
リング５に押圧されて、その一部即ち前端13が長溝８か
ら突き出ている。この突き出た前端13は、案内ハウジン
グ３への挿着が行われる際に、案内ハウジング３の案内
溝14及び水平面15に接触しながら、圧縮コイルスプリン
グ５の押圧力に抗して、長溝８内に押し込められる。さ
らに水平面15を通過すると、ロッキング部材９の前端13
は圧縮コイルスプリング５の付勢力により係合溝16に係
合する。

第11図から第14図に示す第２の実施例においても前記
第１実施例とほぼ同様の構造、作用を有する。これらの
図において、前記第１実施例を示す第１図から第10図と
同様の部分については同じ番号を付して説明を省略す
る。

第14図に示すように、ロッキング部材９は、横断面が
矩形であって、平面がＴ字状となっている。後端面9a
は、傾斜面であって、これをプランジャ10の前端が押圧
する。プランジャ10は、断面がシリンドリカルなもので
も矩形でもよい。ロッキング部材９の前端面9bは、傾斜
面であるが、前端の平面形状は、図示のように、丸く湾
曲しており、第１図から第10図に示した第１実施例と同
様に、案内ハウジング３内部に形成した係合溝（この係
合溝は、前記実施例の係合溝16に相当するもので、この
第２実施例の図面においては、図示されていない）に係
合する。

ロッキング部材９は、側面9c、9cの幅寸法が長溝８の
幅員よりもやや狭くなっている。これは、該側面に作用
する摩擦作用を軽減するためである。傾斜面である前端
面9bの母線9dが、摺動子２の長溝８内の前端部側と線接
触し、さらに、該接触で突き出た前端の一部が前記係合
溝内の前端部側と接触し係合する。

ロッキング部材９の後端面9aの左右側部には、わずか
に突出する一対の肩部9eが形成されていて、ロッキング
部材９、コイルスプリング５、プランジャ10を摺動子２
の長溝８に配置するときの自動化処理の際、ロッキング
部材９を懸垂状態で供給するのに役立つ。

案内ハウジング３は、つるの前端部４にそって位置さ
れ、係合溝16内の前端部側には、後方に向くストッパ面
が形成されている。

摺動子２は、長い形状のもので、つる側のヒンジアイ
１と一体または一体的構造になっており、案内ハウジン
グ３内に摺動自由に挿着される。プランジャ10は、摺動
子２の長い長溝８内に摺動自由に配置され、前記ストッ
パ面の後方に位置する。圧縮コイルスプリング５は、長
溝８内のプランジャ10の背後に位置し、長溝８の後端部
側で摺動子２と当接し、長溝８内でプランジャ10を前方
へ押圧する。ロッキング部材９は、前端が突き出ること
で、プランジャ10と前記係合溝16のストッパ面との間に
挾持された状態で長溝８に配置され、圧縮コイルスプリ
ング５の付勢力によって、プランジャ10で押圧され、前
記ストッパ面に係合する。その結果、つるの開閉の際に
は、摺動子２は、圧縮コイルスプリング５の付勢に抗し
て弾性的に案内ハウジング３から外方へ突き出る。

長溝８は、前後端が閉鎖し、係合溝16に対し開放して
いる。ロッキング部材９の傾斜した後端面11は、プラン
ジャ10を介して圧縮コイルスプリング５の付勢力により
押圧される。この押圧が傾斜した後端面11で行われるこ
とでロッキング部材９の前端13は、頭を持ち上げた状態
で突き出て前記係合溝16のストッパ面に係合する。

ロッキング部材９、プランジャ10、圧縮コイルスプリ
ング５を配置しアッセンブリーした摺動子２は、前記つ
るの前端部に配置される案内ハウジング３に挿着され
る。この挿着の際には、長溝８にあるロッキング部材９
の前端13が案内ハウジング３の係合溝16に向く姿勢で挿
入される。案内ハウジング３の内部に続く開口部には、
後方へ、かつ、内方に向け傾斜する傾斜面をもつ案内溝
14が形成してあり、前記摺動子２を案内ハウジング３内
へ挿着する際に、この案内溝14との接触により前記摺動
子２のロッキング部材９が下方へ押され、長溝８内に押
し込められる。そして、ロッキング部材９が前記係合溝
16に到達すると、前記圧縮スプリング５、プランジャ10
の付勢力によって、前記ロッキング部材９の前端13が長
溝８から係合溝16側へ突き出て、該係合溝16のストッパ
面に係合し、摺動子２の全体が案内ハウジング３に挿着
される。これにより、摺動子２の前端とヒンジアイ１の
部分とが圧縮コイルスプリグ５に抗しながら摺動可能に
挿着される。

リム側のヒンジアイ６が設けられるヒンジ部には、カ
ム面17が形成してあり、該カム面17は、前記案内ハウジ
ング３の前端面に向いている。この案内ハウジング３の
前端部には、内側へ傾斜した案内端面を有する一対の肩
部18が形成され、該肩部18は、前記カム面17と共働し、
つるの開閉動作を助けスナップアクションを行う。この
つるの開閉動作のときは、摺動子２は、一時的に案内ハ
ウジング３から弾性的に引き出されて、開閉を円滑に滑
らかにする。したがって、眼鏡をかけた場合に、眼鏡を
かけた人のこめかみや顔の側面を無理に圧迫しない。

案内ハウジング３の前端面には開口部が形成され、そ
の開口部の縁にリム側の開口縁２が形成されている。摺
動子20のヒンジアイ１が設けられる部分に突起19が形成
されている。そして、該突起19が前記開口縁20に係止
し、振動子２のストッパとして作用し、摺動子２が案内
ハウジング３の内部に不必要に挿入されないようにす
る。

摺動子２の長溝８内の前端部には、摺動子２を案内ハ
ウジング３へ挿入する前において、圧縮コイルスプリン
グ５に付勢されたロッキング部材９の前端13が係合し、
ロッキング部材９が前記長溝８に挿着される姿勢を保て
るようになっている。また、プランジャ10は、コイルス
プリング５が周囲に懸装されて設けられるロッド10aを
有し、該ロッド10aの自由先端は、長溝８の後端部側に
係合し、案内ハウジング３からの摺動子２が引き出され
すぎるのを規制する。

この第２実施例においては、ロッキング部材９は平面
がＴ字状となっており、このＴ字状の基部即ちＴ字の上
辺が圧縮コイルスプリング５によりプランジャ10を介し
て押圧され、その一部、即ちＴ字の縦辺の前端が長溝８
から突き出る構成となっている。Ｔ字状の頭部分、即ち
Ｔ字の縦辺の前方部分は、長溝８に着座した状態で前端
面が斜めになるように形成されている。

このようにロッキング部材９をＴ字状にすることで、
Ｔ字状の縦辺の幅寸法が長溝８の幅員よりもやや狭くな
って長溝８との摩擦抵抗をなくし、これによりロッキン
グ部材の前端が突出しやすいようになる。また、ロッキ
ング部材９をＴ字状にすることで、突出する一対の肩部
9eが形成され、この肩部9eにおいてロッキング部材９を
保持し摺動子２の長溝８内へ配置しアッセンブリーを行
う作業を自動化することができる。

（発明の効果） 以上説明したように、この発明のよれば、リム側のヒ
ンジ部とつる側のヒンジ部との枢着はネジで行われるも
のの、つる側のヒンジ部が設けられた摺動子と圧縮スプ
リングとの案内ハウジングへの取り付けは、ネジなどを
必要とせず、摺動子を案内ハウジングへ装着するワンタ
ッチで行われる。

すなわち、摺動子の後方に形成された長溝内の後端部
側に、圧縮スプリングがプランジャとともに配置され、
長溝内の前端部側に、ロッキング部材が配置されたプレ
アッセンブリー状態とする。そして、プレアッセンブリ
部材となった摺動子を、案内ハウジングの内部に、摺動
自由に挿着し、ロッキング部材の突き出た前端の部分
に、後方から案内ハウジングの一部が接触することで、
前記圧縮スプリングの押圧力に抗して、この突き出た前
端の部分は長溝内に押し込められ、さらに深く装着が行
われると、ロッキング部材の前端が係合溝に係合する。
このようにして摺動子と圧縮スプリングの取り付けがワ
ンタッチで簡単に行われるので、熟練を必要とせずにス
プリングヒンジ付き眼鏡を組み立てることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の一実施例における、つるの前端部
に案内ハウジングを形成した構造を示す斜視図である。 第２図は、つる側のヒンジ部を示す斜視図であって、前
記つる側のヒンジ部は、摺動子と一体または一体的構造
で、該摺動子には、ロッキング部材、プランジャ、コイ
ルスプリングが溝部に収容されている構造を示す図であ
る。 第３図は、リム側のヒンジ部の斜視図である。 第４図は、リム側のヒンジとつる側のヒンジがネジによ
り枢着されて、つるとリムとが連結されている構造を示
す一部切断平面図である。 第５図は、リム側のヒンジとつる側のヒンジがネジ枢着
されて、つるとリムとが連結されている構造を示す一部
切断側面図である。 第６図は、つるが所定の角度位置以上に開く状態を示す
一部平面図である。 第７図は、つるが閉じる方向に動かせる状態を示す一時
切断平面図である。 第８図から第10図は、それぞれ摺動子がつるの案内ハウ
ジング内に挿入され、ロッキング部材が前記案内ハウジ
ングの係合溝に係合されるまでの動きを示す説明図であ
る。 第11図は、この発明の他の実施例における、つるの前端
部に案内ハウジングを形成した構造を示す斜視図であ
る。 第12図は、この発明の他の実施例における、つる側のヒ
ンジを示す斜視図であって、前記つる側のヒンジは、摺
動子と一体または一体的構造で、該摺動子には、ロッキ
ング部材、プランジャ、コイルスプリングが溝部に配置
されている構造を示す図である。 第13図は、この発明の他の実施例における、リム側のヒ
ンジの斜視図である。 第14図は、この発明の他の実施例における、ロッキング
部材の斜視図である。 １、６……ヒンジアイ、２……摺動子 ４……つるの前端部、５……圧縮コイルスプリング ７……ネジ、８……長溝 ９……ロッキング部材、10……プランジャ 10a……プランジャのロッド、11……ロッキング部材の
前後端面 16……係合溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭57−11509（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−15021（ＪＰ，Ｕ)

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下記の構成からなるスプリングヒンジ付き
   眼鏡； リム側のヒンジ部； 前記リム側のヒンジ部に枢着されるつる側のヒンジ部； 前記つる側のヒンジ部が前方に設けられる摺動子； 摺動子の後方に摺動方向に沿って形成され閉鎖された前
   後端部を有する長溝； 長溝内の後端部側に配置された圧縮スプリング； 前記長溝内の前端部側に配置され、圧縮スプリングによ
   って前方に押圧され、前記長溝内の前端部に接触して押
   し出されることで、前端が前記長溝の外に突き出る形状
   をなしているロッキング部材； つるの前端部に設けられ、前記摺動子の長溝が形成され
   た後方が摺動自由に内部に挿着される案内ハウジング； 案内ハウジングの内部に形成され、前記突き出たロッキ
   ング部材の前端が前方に向かって係合する係合溝； 前記ロッキング部材は、圧縮スプリングの押圧力により
   前端が長溝の外に突き出た状態で、前記案内ハウジング
   内部への前記挿着が行われる際に、前記突き出た前端の
   部分に後方から案内ハウジングの一部が接触すること
   で、前記圧縮スプリングの押圧力に抗して、長溝内に押
   し込められた後に、ロッキング部材の前端が係合溝に係
   合する構成。
2. 【請求項２】前記ロッキング部材の形状は、押圧方向に
   沿った縦断面の形状が平行四辺形であって、平行四辺形
   の前方の係合溝に面する側の角部がウエッジ状をなして
   いる請求項第１項のスプリングヒンジ付き眼鏡。
3. 【請求項３】前記ロッキング部材の形状は、横断面の形
   状が矩形であって、平面形状が楕円である請求項第２項
   のスプリングヒンジ付き眼鏡。
4. 【請求項４】前記リム側のヒンジ部が設けられる部分に
   はカム面が形成され、前記つる側の案内ハウジングには
   前記カム面を案内する案内端面を有する肩部が形成さ
   れ、前記カム面は、つるの開閉動作の際にスナップアク
   ションが行われる形に形成されている請求項第１乃至３
   項のスプリングヒンジ付き眼鏡。
5. 【請求項５】前記案内ハウジングは前記摺動子が内部へ
   挿着されるための開口部を有し、前記摺動子は前記案内
   ハウジングへ必要以上に挿入されてしまうのを防ぐため
   前記開口部の開口縁に係止するストッパを有している請
   求項第１乃至４項のスプリングヒンジ付き眼鏡。
6. 【請求項６】リム側のヒンジ部材は一対のヒンジアイを
   有し、該一対のヒンジアイの間につる側のヒンジアイが
   挿入され、これらヒンジアイの孔にネジが枢着されるヒ
   ンジ構造を有し、 つる側のヒンジ部のヒンジアイに形成される孔は皿もみ
   面を有し、 前記ネジが、オフセット状態にある前記リム側のヒンジ
   アイの孔と前記つる側のヒンジアイの孔の軸心を一致さ
   せるように螺合することで、 前記圧縮スプリングの力に抗して該摺動子を案内ハウジ
   ングから引き出しプレストレスを与える請求項第１乃至
   ５項のスプリングヒンジ付き眼鏡。
7. 【請求項７】圧縮スプリングは、圧縮コイルスプリング
   であり、プランジャを介してロッキング部材を押圧し、
   プランジャのロッドの周囲に設けられる請求項第１乃至
   ６項のスプリングヒンジ付き眼鏡。
8. 【請求項８】ロッドの長さを圧縮スプリングより短くす
   ることで、短くした分だけ圧縮スプリングの弾性動作を
   許す請求項第７項のスプリングヒンジ付き眼鏡。
9. 【請求項９】前記ロッキング部材の形状は、平面形状は
   少なくとも前方が丸い形になっており、該丸い形の母線
   によって前記摺動子の長溝内の前端部側と線接触が行わ
   れる請求項第２項のスプリングヒンジ付き眼鏡。