JP2688782B2 - 糖転移活性の強い耐熱性α―ガラクトシダーゼおよびその複合物の製造法 - Google Patents

糖転移活性の強い耐熱性α―ガラクトシダーゼおよびその複合物の製造法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、キャンディダ・ギリエルモンディー(Cand
ida guilliermondii)菌による糖転移活性の強い耐熱性
α−ガラクトシダーゼおよびその複合物の製造法に関す
るものである。
[従来の技術] α−ガラクトシダーゼは、動物組織、微生物、高等植
物の種子等に広く存在し、α−D−ガラクトシド結合を
加水分解してD−ガラクトースを遊離させる反応を触媒
する酵素である。この酵素は、19世紀末にメリビオース
を加水分解する酵素(メリビアーゼ)として酵母から抽
出されて以来、種々の起源のものが単離され研究されて
きた。特に利用面では、甜菜糖からの蔗糖の分離精製工
程において、蔗糖の結晶化を妨げるラフィノースを、蔗
糖とガラクトースに効率的に加水分解することを目的と
して研究された。しかしながら、α−ガラクトシダーゼ
の糖転移作用については、基質となるα−ガラクトシル
基をもつ化合物の安価な供給源が知られていなかった為
にほとんど研究されていなかった。一方、近年大豆オリ
ゴ糖を中心にα−ガラクトシル基を含むオリゴ糖がビフ
ィズス因子など新たな機能性をもつものとして注目され
ている。このようなオリゴ糖あるいは配糖体の合成法と
しては、糖転移酵素又は加水分解酵素の糖転移作用を利
用する方法や縮合反応を利用する方法が開発されてい
る。このうち、糖転移作用を利用する方法は、縮合反応
によるオリゴ糖あるいは配糖体の合成とは違い、特定の
結合様式を持ったオリゴ糖あるいは配糖体のみを特異的
に合成できる。例えば、β−フラクトフラノシダーゼに
よるフラクトオリゴ糖、β−ガラクトシダーゼによるβ
−ガラクトオリゴ糖の製造がある。同様に、α−ガラク
トシダーゼの糖転移作用を利用してα−ガラクトシル基
を持ったオリゴ糖や配糖体等の有用化合物を製造する方
法が考えられる。この場合、高い収率を得る為には糖転
移活性の強い酵素が必要である。一方、縮合反応は加水
分解反応の逆反応で、どの加水分解酵素も利用できる。
しかし、高い収率を得る為には糖濃度を上げる必要があ
り、糖濃度を上げる為には溶解度の点から反応温度を高
める必要があることから耐熱性をもつ酵素が望ましい。
糖転移活性の強い微生物起源のα−ガラクトシダーゼ
としては、ピクノポラス・シナバリヌス(Pycnoporus c
innabarinus)由来のものや本発明者らが発見したシュ
ードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluoresc
ens)由来のものが知られているが、前者は高い耐熱性
も合せ持つが基質や反応生成物によって強く阻害を受
け、後者は基質や生成物による阻害を受けないが耐熱性
は低い。そこで、本発明者らは、このα−ガラクトシル
基を含むオリゴ糖の合成とその有効利用を目的として土
壌から糖転移活性の強い耐熱性α−ガラクトシダーゼを
生産する菌の分離を試みた。
[発明が解決しようとする問題点] したがって本発明の目的は、糖転移活性が強く且つ耐
熱性に優れたα−ガラクトシダーゼを安価に且つ大量に
生産し得る方法を提供することにある。
[問題点を解決する手段] 本発明者らは、広く自然界より強いα−ガラクトシル
基の転移作用を持つ耐熱性α−ガラクトシダーゼを生産
する微生物を求めて検索した結果、キャンディダ・ギリ
エルモンディーの一菌株が、糖転移活性の強い耐熱性α
−ガラクトシダーゼおよびその複合物を培養上清中(菌
体外分泌型)あるいは菌体(細胞吸着型)に蓄積する事
実を見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明のα−ガラクトシダーゼおよびその
複合物の製造方法は、キャンディダ・ギリエルモンディ
ーを培養することにより、培養物から糖転移活性の強い
耐熱性α−ガラクトシダーゼおよびその複合物を得るこ
とを特徴とするものである。
なお、糖転移活性が強く、耐熱性に優れたα−ガラク
トシダーゼとは、基質としてメリビオースを用いた場
合、基質濃度が1M前後でもほとんど基質阻害を受けず、
生じたガラクトースの80%以上を転移することができる
活性を有すると共に、pH4.5の条件下で60℃にて60分間
以上加熱してもほとんど失活しないα−ガラクトシダー
ゼをいう。
以下に本発明を更に具体的に説明する。
本発明において使用するキャンディダ属菌は酵母に類
似する不完全菌類で、醸造場等糖類の多い場所に混入菌
として見出されるものである。
本発明に用いられるキャンディダ・ギリエルモンディ
ーは、この菌に属するもので、糖転移活性の強い耐熱性
α−ガラクトシダーゼを生産する能力を有する菌株なら
いずれも使用できる。具体的には、その例示菌株として
キャンディダ・ギリエルモンディー(Candida guillier
mondii)H−404が有効に利用される。キャンディダ・
ギリエルモンディーやそのテレオモルフ(Teleomorph)
であるピヒア・ギリエルモンディー(Pichia guillierm
ondii)起源のα−ガラクトシダーゼが報告されている
が、これは糖転移活性が極めて弱いα−ガラクトシダー
ゼであって、本発明の如く強い糖転移活性を有するもの
については全く報告されていない。また、生産されたα
−ガラクトシダーゼが、本菌によるα−ガラクトシダー
ゼの様に多成分によって構成されるものであることも報
告されていない。
次に、本発明者らの見出した一菌株の菌学的性質を示
すと、下記の通りである。
形態学的性質 (a)細胞の形態 液体倍地(48時間) 楕円形で単独とかたまりで存在。
(2−3)×(4−5)μm 寒天培地(48時間) 楕円形、長楕円形で単独に存在。
(2−3)×(7−6)μm (b)培地での生育 液体培地(21日) 毛房状でない沈殿物を形成。皮膜を形成しないかリン
グ状の皮膜を形成 寒天斜面培地(21日) クリーム色で光沢があり表面は滑らか、偏平状 (c)菌子体の形成 CMA上ではチェリーブラッサムタイプの仮性菌子体が
良く発達した。
PDA上では菌子を生じなかった。
(d)無性胞子の形成 射出胞子、分節胞子、芽胞を形成しない。
(e)有性胞子の形成 有性胞子を形成しない。
(f)生理的性質 各炭素源に対する発酵性 グルコース + ガラクトース − マルトース − シュークロース + ラクトース − メリビオース − ラフィノース −(泡の形成) イヌリン − スターチ − メレジトース − トレハロース − α−メチル−D−グルコシド − セロビオース − 炭素化合物の同化性 グルコース + ガラクトース + ソルボース + シュークロース + マルトース + セロビオース + トレハロース + ラクトース − メリビオース + ラフィノース + メレジトース + イヌリン + 溶性澱粉 + D−キシロース + L−アラビノース + D−アラビノース + D−リボース + L−ラムノース + エタノール + グリセロール + エリスリトール − リビトール + ガラクチトール + D−マンニトール + D−ソルビトール + α−メチルグルコシド + サリシン + 乳酸 − コハク酸 + クエン酸 + イノシトール − グルコノラクトン + グルコサミン + メタノール − キシリトール + 窒素化合物の同化性 硫酸アンモニウム + 塩酸エチルアミン + カダベリン + 硝酸カリウム − リジン + その他の生理的性質 油脂の分解性 − 生酸性 + 37℃での生育 + アルブチンの分解 + ウレアーゼ活性 − 澱粉の生成 − ビタミン無添加培地での生育 − 100ppmシクロヘキシミド添加時の生育 + 1000ppmシクロヘキシミド添加時の生育 + 50%グルコース存在下での生育 − 60%グルコース存在下での生育 − 10%塩化ナトリウム存在下での生育 + 1%酢酸存在下での生育 − 以上の諸性状をザ イースト ア タキソノミック
スタディ 第3版(1984)の記載と照合することによ
り、本菌がキャンディダ・ギリエルモンディーであるこ
とを確認し、キャンディダ・ギリエルモンディー(Cand
ida guilliermondii)H−404と命名した。なお、本菌
は、微工研菌寄第11026号(FERM P−11026)として、
工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されている。
本発明のキャンディダ・ギリエルモンディーにより糖
転移活性の強い耐熱性α−ガラクトシダーゼ(本酵素)
を生産するためには、通常、メリビオース、ラフィノー
ス、スタキオース、ガラクトマンナンやその分解物単
独、あるいは、蔗糖、粉飴、ラクトース、澱粉に誘導物
質としてメリビオース、ラフィノース、スタキオース、
ガラクトマンナンやその分解物を添加したものを炭素源
として用い、全脂あるいは脱脂大豆、コーンスティープ
リカー、ポリペプトン、ソイトン、あるいは、酵母エキ
スのような有機または無機の窒素源を含む液体培地を用
いて、20〜40℃で、2〜14日間程度、好気的に培養すれ
ばよい。
本発明で得られる糖転移活性の強い耐熱性α−ガラク
トシダーゼ複合物とは、後述するα−ガラクトシダーゼ
IとIIの2つの成分から構成されるものであるが、菌体
外と菌体の両方に生産される酵素である為、液体培地の
場合、培養後濾過、あるいは、遠心分離によって得た培
養上清を粗酵素液としてそのまま利用できると共に、菌
体そのものを酵素剤として利用できる。培養上清から得
た粗酵素液は、そのまま使用できるが、例えば硫安沈殿
法や溶媒沈殿法並びに限外濾過法等の公知の方法によ
り、粗酵素濃縮液を得ることができる。細胞吸着型の酵
素も、溶剤や界面活性剤処理のような公知の方法により
流離の酵素とすることもできる。なお、この細胞吸着型
酵素は、菌体に吸着されているものと菌体内に保持され
ているものとがある。
このようにして得られた本発明のα−ガラクトシダー
ゼ複合物(本酵素複合物)は、以下に示すような諸性質
を有する。
(1)糖転移活性の強い耐熱性α−ガラクトシダーゼの
多成分性 本酵素複合物は、イオン交換クロマトグラフィー(東
ソー(株)製、DEAE−トヨパール650M)によって2つの
成分に分離され、それぞれ等電点によって区別された。
α−ガラクトシダーゼIは等電点6.16、α−ガラクト
シダーゼIIは等電点6.21であった。また、両酵素のゲル
濾過クロマトグラフィー(東ソー(株)製、トヨパール
HW−55F)を用いたゲル濾過法による分子量はほぼ同じ
で2.7×105に相当した。
(2)作用 本酵素複合物は、終濃度4.4mMのα−ガラクトシル基
を持つ化合物にオルトニトロフェニル−α−ガラクトシ
ド>パラニトロフェニル−α−ガラクトシド>メリビオ
ース>スタキオース>ラフィノースの順でよく作用し
た。
(3)最適作用pH 本酵素複合物の最適作用pH範囲は、pH4〜5に認めら
れた。
(4)安定pH範囲 グリシン−HCl緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、
トリス緩衝液、グリシン−NaOH緩衝液の下で40℃1時間
放置した場合の本酵素複合物の安定pH範囲は、pH3.0〜
9.5であった。
(5)最適作用温度囲 本酵素複合物の最適作用温度は、約75℃であった。
(6)熱安定性 本酵素複合物を0.02M酢酸緩衝液(pH4.5)の下で60℃
で60分間加熱処理した結果、ほぼ100%の活性を維持し
た。
(7)糖転移活性 α−ガラクトシル基の供与体としては、本酵素が基質
となるα−ガラクトシル基を含むオリゴ糖あるいは配糖
体全てが利用できる。ここでは、基質としてメリビオー
スを用いて本酵素の糖転移活性を測定した。各種の濃度
のメリビオースに本酵素複合物を作用させ、反応によっ
て生じた遊離のグルコースとガラクトースをベーリンガ
ー・マンハイム社(西ドイツ)のFキット(商品名)を
用いて定量した。その結果、第1図に示すように本酵素
複合物は、基質濃度が50mM前後から基質の切断によって
生じたガラクトースを転移反応に利用し始め、1M前後で
もほとんど基質阻害を受けず生じたガラクトースの80%
以上を転移するという強い転移活性を有していた。本酵
素複合物の代りに菌体そのものを酵素剤として用いて同
様の実験を行なった結果を第2図に示す。なお、第1図
および第2図において横軸は基質濃度を、縦軸は生成物
の量を示し、+はメリビオースの分解によって生じたグ
ルコース量を、□はガラクトース量を示す。すなわち、
両者の差が糖転移作用に使われたガラクトース量を示し
ている。
(8)受容体特異性 基質として1%パラニトロフェニル−α−ガラクトシ
ド、受容体として4%のガラクトース、グルコース、マ
ンノース、キシロース、フラクトース、シュークロー
ス、グリセリンに本酵素複合物を作用させ反応生成物を
薄層クロマトグラフィーにより確認した。その結果、こ
の受容体の全ての場合に転移生成物が確認され、本酵素
は広い受容体特異性を持つことが確認された。
(9)精製法 遠心分離により得た培養上清を2倍量のエタノールを
用いて溶媒沈殿した。その沈澱を緩衝液に溶解した溶液
をイオン交換クロマトグラフィー(東ソー(株)製、DE
AE−トヨパール650M)に供し二つの活性画分に分離し
た。そこで、その活性画分をα−ガラクトシダーゼIと
IIと名付け別々に精製した。まず、0.4飽和硫安存在下
で疎水クロマトグラフィー(東ソー(株)製、ブチルト
ヨパール650M)、続いてゲルクロマトグラフィー(東ソ
ー(株)製、トヨパールHW−55F)を行ない各々の精製
酵素標品を得た。この酵素標品はディスクゲル電気泳動
的に均一であった。
(10)α−ガラクトシダーゼの活性測定法 10mMパラニトロフェニル−α−ガラクトシド0.2mlと4
0mM酢酸緩衝液(pH4.5)0.2mlにα−ガラクトシダーゼ
溶液0.05mlを加えて40℃10分間反応させた。反応後、0.
2M炭酸ナトリウム0.5mlを加えて反応を止め、遊離した
パラニトロフェニール量を分光光度計にて400nmの吸光
度を計ることにより測定した。酵素活性1単位は、この
条件下で1分間に1μmoleのパラニトロフェノールを生
成する酵素量の定義した。
[発明の効果] 以上のとおり、本発明の糖転移活性の強い耐熱性α−
ガラクトシダーゼ複合物は基質濃度が1M前後でもほとん
ど基質阻害を受けず、生じたガラクトースの80%以上を
転移するという強い糖転移活性をもっていた。また、受
容体特異性もガラクトース、グルコース、マンノース、
キシロース、フラクトース、シュークロース、グリセリ
ンと非常に広く、その酵素的性質がこれまで知られてい
る酵素に較べて優れていた。また、本酵素複合物は60℃
60分間の加熱処理においてもほとんど失活しないという
高い耐熱性をしていた。さらに、本酵素の生産菌体は菌
体そのものを酵素剤として利用可能であった。また、本
酵素複合物は前述のようにα−ガラクトシダーゼIとII
とから構成されているが、これらの各成分を単独で使用
しても同様な効果が得ることができた。このような本酵
素の特徴は、α−ガラクトシダーゼの糖転移作用や縮合
反応を利用したα−ガラクトシル基を含むオリゴ糖ある
いは配糖体の合成において著しい技術進歩をもたらした
ものである。
[実施例] 次に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。
実施例1 1% メリビオース、3% ポリペプトン、0.5%
酵母エキス、0.05% K2HPO4、0.01% MgSO4・7H2O、
0.01% KClを含む液体培地(pH7.0)60mlを500ml坂口
フラスコに入れ、常法によりオートクレーブにより殺菌
後キャンディダ・ギリエルモンディー(Candida guilli
ermondii)H−404を接種し、30℃で4日間振盪培養し
た。培養後、遠心分離により除菌し、得られた培養上清
についてα−ガラクトシダーゼ活性を測定した。その結
果、培養上清中の酵素活性は培養液1ml当り0.8単位であ
った。また、細胞吸着型の酵素活性は湿菌体1g当り約35
単位であった。
実施例2 実施例1において、メリビオースに代えて、1%溶性
澱粉に0.1%メリビオースを誘導源として添加した培地
にキャンディダ・ギリエルモンディー(Candida guilli
ermondii)H−404を植菌し、30℃で4日間振盪培養し
た。培養後遠心分離によって得た培養上清についてα−
ガラクトシダーゼ活性を測定した。その結果、培養上清
中の酵素活性は培養液1ml当り0.6単位であった。また、
細胞吸着型の酵素活性は湿菌体1g当り約30単位であっ
た。
実施例3 実施例1により得られた培養液から遠心分離により得
た培養上清を、まず、2倍量のエタノールを用いて溶媒
沈殿した。その沈澱を緩衝液に溶解した溶液をイオン交
換クロマトグラフィー(東ソー(株)製、DEAE−トヨパ
ール650M)に供し二つの活性画分に分離した。そこで、
その活性画分をα−ガラクトシダーゼIとIIと名付け別
々に精製した。まず、0.4飽和硫安存在下で疎水クロマ
トグラフィー(東ソー(株)製、ブチルトヨパール650
M)、続いてゲルクロマトグラフィー(東ソー(株)
製、トヨパールHW−55F)を行ない各々の精製酵素標品
を得た。この精製法によりα−ガラクトシダーゼIの比
活性は培養上清の約6700倍上昇し、この収率は約42%で
あった。また、α−ガラクトシダーゼIIは比活性が培養
上清の約5400倍上昇し、その収率は約26%であった。
実施例4 1gのメリビオースと1gのシュークロースを含むpH4.5
の酢酸緩衝液5mlに実施例3によって得られたα−ガラ
クトシダーゼI精製酵素標品5単位を添加し、60℃で20
時間反応させた。反応液を10分間煮沸加熱し酵素を失活
させた後、反応液1μを濾紙にスポットしn−ブタノ
ール:ピリジン:水=6:4:3の組成の溶媒系で4重展開
後、フロログルシン法によるケトース呈色を行なうと、
ラフィノースに相当する位置にスポットが検出された。
この反応液を活性炭カラムクロマトグラフィーにかけ、
オリゴ糖類を吸着させた後、エチルアルコールの濃度勾
配により溶出させた。この3量体画分を集め、濃縮し凍
結乾燥標品1.1gを得た。本標品は、(a)α−ガラクト
シダーゼで加水分解するとガラクトースとシュークロー
スを等モル生成すること、(b)β−フラクトシダーゼ
で加水分解すると、等モルのメリビオースとフラクトー
スを生成すること、(c)α−ガラクトシダーゼとβ−
フラクトシダーゼとで加水分解するとガラクトース、グ
ルコース、フラクトースを1モルずつ生成すること、
(d)ペーパークロマトグラフィーの移動度がラフィノ
ースと一致すること、以上のことからラフィノースであ
ると同定した。
実施例5 ガラクトース70gを含むpH4.5の酢酸緩衝液100mlに実
施例2によって得られた菌体(細胞吸着型酵素20単位)
を加え、60℃にて48時間反応させた。反応液を活性炭カ
ラムクロマトグラフィーにかけ、オリゴ糖類を吸着させ
た後、エチルアルコール0%〜20%の濃度勾配により溶
出させた。溶出液を濃縮乾燥して脱水縮合生成物20gを
得た。この化合物は、酸で加水分解するとガラクトース
のみを生成し、ペーパークロマトグラフィーの移動度か
らガラクトビオースと同定した。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は基質のメリビオースに対する本酵
素複合物の糖転移作用を示すグラフで、第1図は酵素に
培養上清の酵素複合物を使用し、第2図は酵素に菌体そ
のものを用いたときの結果を示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャンディダ・ギリエルモンディー(Cand
    ida guilliermondii)に属する菌で糖転移活性の強い耐
    熱性α−ガラクトシダーゼを生産する能力を有する菌を
    培養することからなる糖転移活性の強い耐熱性α−ガラ
    クトシダーゼおよびその複合物の製造法。
  2. 【請求項2】耐熱性α−ガラクトシダーゼおよびその複
    合物がキャンディダ・ギリエルモンディーの菌体外分泌
    型酵素である請求項第(1)項記載の糖転移活性の強い
    耐熱性α−ガラクトシダーゼおよびその複合物の製造
    法。
  3. 【請求項3】耐熱性α−ガラクトシダーゼおよびその複
    合物がキャンディダ・ギリエルモンディーの細胞吸着型
    酵素である請求項第(1)項記載の糖転移活性の強い耐
    熱性α−ガラクトシダーゼおよびその複合物の製造法。
  4. 【請求項4】耐熱性α−ガラクトシダーゼおよびその複
    合物がキャンディダ・ギリエルモンディーの細胞吸着型
    酵素と菌体外分泌型酵素との混合物である請求項第
    (1)項記載の糖転移活性の強い耐熱性α−ガラクトシ
    ダーゼおよびその複合物の製造法。
  5. 【請求項5】キャンディダ・ギリエルモンディーの菌株
    がキャンディダ・ギリエルモンディーH−404株である
    請求項第(1)項ないし第(4)項のいづれか1項記載
    の糖転移活性の強いα−ガラクトシダーゼおよびその複
    合物の製造法。
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