JP2688234B2 - 耐フロン性の優れたabs樹脂組成物 - Google Patents
耐フロン性の優れたabs樹脂組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 技術分野 本発明は、耐フロン性の優れたABS樹脂組成物に関す
る。本発明によるABS樹脂組成物は、その優れた耐フロ
ン性によって、また機械的性質も優れていることによっ
て、電気冷蔵庫の内箱用材料として有用なものである。
る。本発明によるABS樹脂組成物は、その優れた耐フロ
ン性によって、また機械的性質も優れていることによっ
て、電気冷蔵庫の内箱用材料として有用なものである。
問題の所在 従来、電気冷蔵庫の内箱材料として、ABS樹脂が広汎
に使用されている。内箱は、通常、押出機によりまずシ
ートを生産し、これを真空或いは圧空成形により賦形し
て製造される。この内箱成形品と、鋼板製外箱との間に
ウレタンを注入発泡させて冷蔵庫箱体が形成される。
に使用されている。内箱は、通常、押出機によりまずシ
ートを生産し、これを真空或いは圧空成形により賦形し
て製造される。この内箱成形品と、鋼板製外箱との間に
ウレタンを注入発泡させて冷蔵庫箱体が形成される。
近年、冷蔵庫メーカーでは、コストダウンのため、前
述したABS樹脂シート厚さを少しでも薄くしようと検討
している。しかし、板厚が減少することによって発生す
る種々の問題を樹脂の改質によって解決しようとする場
合、単に機械的強度の向上だけでは良好な結果を得られ
ない。ウレタンの注入発泡に付随する冷蔵庫内箱に個有
の問題があるからである。
述したABS樹脂シート厚さを少しでも薄くしようと検討
している。しかし、板厚が減少することによって発生す
る種々の問題を樹脂の改質によって解決しようとする場
合、単に機械的強度の向上だけでは良好な結果を得られ
ない。ウレタンの注入発泡に付随する冷蔵庫内箱に個有
の問題があるからである。
冷蔵庫内箱の厚さを減少させ(以下、ゲージダウンと
いう)る場合の最も大きな問題は、内箱の変形である。
これは、断熱材であるウレタンを発泡剤と共に注入する
時の温度及び圧力によって生ずる。また、反応終了後の
ウレタンフォームとABS樹脂製内箱との界面に空隙(フ
ォームボイド)が存在すると、発泡剤として使用したフ
ロンガス(通常はフロン−11、以下、R−11という)が
この空隙内に滞留し、外気温の変化によるその蒸気圧の
変化が、大気圧との差圧により高温下には「ふくれ」、
低温下には「へこみ」という外観損傷となって現われ
る。この変形は成形品の肉厚による影響を最も大きく受
けるが、ABS樹脂の剛性とR−11の吸収性によっても影
響を受ける。すなわち、ABS樹脂がR−11を多量に吸収
すると、モジュラスが低下し、必然的に変形を受け易く
なる。
いう)る場合の最も大きな問題は、内箱の変形である。
これは、断熱材であるウレタンを発泡剤と共に注入する
時の温度及び圧力によって生ずる。また、反応終了後の
ウレタンフォームとABS樹脂製内箱との界面に空隙(フ
ォームボイド)が存在すると、発泡剤として使用したフ
ロンガス(通常はフロン−11、以下、R−11という)が
この空隙内に滞留し、外気温の変化によるその蒸気圧の
変化が、大気圧との差圧により高温下には「ふくれ」、
低温下には「へこみ」という外観損傷となって現われ
る。この変形は成形品の肉厚による影響を最も大きく受
けるが、ABS樹脂の剛性とR−11の吸収性によっても影
響を受ける。すなわち、ABS樹脂がR−11を多量に吸収
すると、モジュラスが低下し、必然的に変形を受け易く
なる。
また、ゲージダウンに伴なって出現する大きな問題点
として、内箱成形品のクレージングやクラックの発生が
ある。これは、内箱とウレタンフォームが密着している
ため、冷蔵庫内箱が冷却された場合に、内箱ABS樹脂と
ウレタンフォームと外箱鋼板の3材料間の収縮の差によ
って発生する熱応力に起因する。しかし、本発明者らの
つきとめたところによれば、これらのクレージングおよ
びクラックに対しても、発泡剤に使用したR−11が大き
く関与しているのである。
として、内箱成形品のクレージングやクラックの発生が
ある。これは、内箱とウレタンフォームが密着している
ため、冷蔵庫内箱が冷却された場合に、内箱ABS樹脂と
ウレタンフォームと外箱鋼板の3材料間の収縮の差によ
って発生する熱応力に起因する。しかし、本発明者らの
つきとめたところによれば、これらのクレージングおよ
びクラックに対しても、発泡剤に使用したR−11が大き
く関与しているのである。
考えられる解決策 本発明者らの確認したところによれば、クレージング
およびクラックの発生は、ABS樹脂のR−11環境下での
ストレスクラッキング性を改良することにより軽減する
ことができる。
およびクラックの発生は、ABS樹脂のR−11環境下での
ストレスクラッキング性を改良することにより軽減する
ことができる。
従って、電気冷蔵庫内箱用ABS樹脂としては、R−11
存在下における環境応力亀裂に対する抵抗性が大きいこ
と並びにR−11の吸収性が少ないことという特性を具備
すべきことになる。また、このABS樹脂は、内箱構成材
として十分な強度および加工性を持つべきであることは
いうまでもない。
存在下における環境応力亀裂に対する抵抗性が大きいこ
と並びにR−11の吸収性が少ないことという特性を具備
すべきことになる。また、このABS樹脂は、内箱構成材
として十分な強度および加工性を持つべきであることは
いうまでもない。
しかしながら、これらの諸要素を併有するABS樹脂
は、本発明者らの知る限りでは存在しない。すなわち、
本発明者らの知りえたところによると、ABS樹脂のAす
なわちアクリロニトリルの含量を高く、グラフト率およ
び分子量を高く設定することによりR−11吸収量の少な
いABS樹脂を得ることができるが、その樹脂のR−11存
在下での環境応力亀裂はあまり向上しない。そして、こ
れらの設定値を高くしすぎると、加工性が低下してく
る。一方、アクリロニトリル含量およびグラフト率を低
目に設定して得たABS樹脂は、特異的なゴム形態を有し
ていて、環境応力亀裂抵抗性に極めて優れた性質を有す
る。しかし、このもののR−11吸収量は多く、剛性は低
い。
は、本発明者らの知る限りでは存在しない。すなわち、
本発明者らの知りえたところによると、ABS樹脂のAす
なわちアクリロニトリルの含量を高く、グラフト率およ
び分子量を高く設定することによりR−11吸収量の少な
いABS樹脂を得ることができるが、その樹脂のR−11存
在下での環境応力亀裂はあまり向上しない。そして、こ
れらの設定値を高くしすぎると、加工性が低下してく
る。一方、アクリロニトリル含量およびグラフト率を低
目に設定して得たABS樹脂は、特異的なゴム形態を有し
ていて、環境応力亀裂抵抗性に極めて優れた性質を有す
る。しかし、このもののR−11吸収量は多く、剛性は低
い。
発明の要旨 本発明は上記の点に解決を与えることを目的とし、二
律背反的ないし拮抗的関係にある諸特性を二種の特定の
ABS樹脂およびAS樹脂の混合物によって両立させること
によってこの目的を達成しようとするものである。
律背反的ないし拮抗的関係にある諸特性を二種の特定の
ABS樹脂およびAS樹脂の混合物によって両立させること
によってこの目的を達成しようとするものである。
すなわち、本発明による耐フロン性の優れたABS樹脂
組成物は、共役ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単
量体とシアン化ビニル単量体の混合物をグラフト重合さ
せて得られるグラフト重合体からなるABS樹脂(I)
と、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体との共
重合体からなるAS樹脂(II)とを含んでなる樹脂組成物
であって、このABS樹脂(I)が下記の2種類のABS樹脂
XおよびABS樹脂Yを下記の混合比率で混合してなるも
のであること、を特徴とするものである。
組成物は、共役ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単
量体とシアン化ビニル単量体の混合物をグラフト重合さ
せて得られるグラフト重合体からなるABS樹脂(I)
と、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体との共
重合体からなるAS樹脂(II)とを含んでなる樹脂組成物
であって、このABS樹脂(I)が下記の2種類のABS樹脂
XおよびABS樹脂Yを下記の混合比率で混合してなるも
のであること、を特徴とするものである。
(1)ABS樹脂X (i) 樹脂X中のゴム質重合体含量が30〜40重量%で
あること、 (ii) ゴム質重合体に対してその100重量部につき90
〜120重量部の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単
量体が化学的に結合していること、 (iii) 樹脂X中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体との重量比が65/35〜75/25の範囲内にあるこ
と、 (iv) 樹脂X中のゴム質重合体は、0.18〜0.25μの粒
子径を有し、分散した球状の形態的特徴を有すること。
あること、 (ii) ゴム質重合体に対してその100重量部につき90
〜120重量部の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単
量体が化学的に結合していること、 (iii) 樹脂X中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体との重量比が65/35〜75/25の範囲内にあるこ
と、 (iv) 樹脂X中のゴム質重合体は、0.18〜0.25μの粒
子径を有し、分散した球状の形態的特徴を有すること。
(2)ABS樹脂Y (i) 樹脂Y中のゴム質重合体含量が30〜40重量%で
あること、 (ii) ゴム質重合体に対してその100重量部につき35
〜45重量部の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量
体が化学的に結合していること、 (iii) 樹脂Y中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体との重量比が80/20〜85/15の範囲内にあるこ
と、 (iv) 樹脂Y中のゴム質重合体は、0.1〜0.2μの粒子
径を有する球状体が凝集して、0.4〜0.8μの大きさのブ
ドウ状の粒子形態を有すること。
あること、 (ii) ゴム質重合体に対してその100重量部につき35
〜45重量部の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量
体が化学的に結合していること、 (iii) 樹脂Y中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体との重量比が80/20〜85/15の範囲内にあるこ
と、 (iv) 樹脂Y中のゴム質重合体は、0.1〜0.2μの粒子
径を有する球状体が凝集して、0.4〜0.8μの大きさのブ
ドウ状の粒子形態を有すること。
(3)ABS樹脂組成物の混合比率 (i)0.37≦(樹脂Xの重量分率+樹脂Yの重量分率) ≦0.48 発明の効果 本発明によれば、2種類のABS樹脂を使用しかつこれ
をAS樹脂と組合せることによって、ABS樹脂に認められ
た二律背反的ないし拮抗的諸特性を併有した耐フロン性
の優れたABS樹脂組成物が提供される。
をAS樹脂と組合せることによって、ABS樹脂に認められ
た二律背反的ないし拮抗的諸特性を併有した耐フロン性
の優れたABS樹脂組成物が提供される。
本発明組成物では、ABS樹脂Xはアクリロニトリル含
量およびグラフト率が高いことに相当してR−11吸収量
が低い成分であり、ABS樹脂Yはアクリロニトリル含量
およびグラフト率が低いことに相当して環境応力亀裂抵
抗性の高い成分であるといえるが、両者を特定の混合比
率でかつAS樹脂と共にブレンドすることによって、それ
ぞれの成分について認められた問題点、すなわち前者に
ついてはR−11存在下の環境応力亀裂抵抗性が不十分な
ことならびに後者についてはR−11吸収量が多いこと、
が解消した訳である。これらの成分はそれぞれ個有の問
題点を有していたのであるから、それを適当にブレンド
したことによってそれらの問題点が実質的に解消して、
剛性、耐衝撃性および耐フロン性が優れているという有
利な点のみが顕現したということは、思いがけなかった
ことと解される。
量およびグラフト率が高いことに相当してR−11吸収量
が低い成分であり、ABS樹脂Yはアクリロニトリル含量
およびグラフト率が低いことに相当して環境応力亀裂抵
抗性の高い成分であるといえるが、両者を特定の混合比
率でかつAS樹脂と共にブレンドすることによって、それ
ぞれの成分について認められた問題点、すなわち前者に
ついてはR−11存在下の環境応力亀裂抵抗性が不十分な
ことならびに後者についてはR−11吸収量が多いこと、
が解消した訳である。これらの成分はそれぞれ個有の問
題点を有していたのであるから、それを適当にブレンド
したことによってそれらの問題点が実質的に解消して、
剛性、耐衝撃性および耐フロン性が優れているという有
利な点のみが顕現したということは、思いがけなかった
ことと解される。
前記したように、本発明による耐フロン性の優れたAB
S樹脂組成物は、ABS樹脂(I)とAS樹脂(II)を含んで
なるものであり、一方このABS樹脂(I)はABS樹脂Xお
よびABS樹脂Yを混合してなるものである。
S樹脂組成物は、ABS樹脂(I)とAS樹脂(II)を含んで
なるものであり、一方このABS樹脂(I)はABS樹脂Xお
よびABS樹脂Yを混合してなるものである。
I. ABS樹脂(I) (1) 一般的説明 ABS樹脂は、周知のように、共役ジエン系ゴム質重合
体に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体の混合
物をグラフト重合させて得られるグラフト重合体からな
るものである。グラフト重合の常として、「枝」となる
べき単量体がすべて「幹」である共役ジエン系ゴム質重
合体と結合して「枝」となっているとは限らないが、本
発明でいう「グラフト重合体」も、慣用されているとこ
ろに従って、そのような「枝」となっていない「枝」用
単量体由来の重合体の共存を許容するものである(ただ
し、本発明では、「枝」の含量を特定している)。
体に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体の混合
物をグラフト重合させて得られるグラフト重合体からな
るものである。グラフト重合の常として、「枝」となる
べき単量体がすべて「幹」である共役ジエン系ゴム質重
合体と結合して「枝」となっているとは限らないが、本
発明でいう「グラフト重合体」も、慣用されているとこ
ろに従って、そのような「枝」となっていない「枝」用
単量体由来の重合体の共存を許容するものである(ただ
し、本発明では、「枝」の含量を特定している)。
ABS樹脂の共役ジエン系ゴム質重合体は、共役ジエン
としてブタジエンの重合体が典型的であって、具体的に
は、たとえば、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン
共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(い
ずれも、ブタジエン含量が50重量%以上のものが好まし
い)、その他がある。共役ジエンと共重合する単量体と
しては、上記のスチレンおよびアクリロニトリルの外
に、アクリル酸エステル、ビニルピリジン、ジビニルベ
ンゼンその他をスチレンおよび(または)アクリロニト
リルの代りにあるいはそれらと共に使用することができ
る。
としてブタジエンの重合体が典型的であって、具体的に
は、たとえば、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン
共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(い
ずれも、ブタジエン含量が50重量%以上のものが好まし
い)、その他がある。共役ジエンと共重合する単量体と
しては、上記のスチレンおよびアクリロニトリルの外
に、アクリル酸エステル、ビニルピリジン、ジビニルベ
ンゼンその他をスチレンおよび(または)アクリロニト
リルの代りにあるいはそれらと共に使用することができ
る。
芳香族ビニル単量体はスチレンおよび核および(また
は)側鎖置換(特に低級アルキル置換)スチレンが典型
的であって、具体的には、たとえば、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、およびこれらの混
合物がある。
は)側鎖置換(特に低級アルキル置換)スチレンが典型
的であって、具体的には、たとえば、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、およびこれらの混
合物がある。
シアン化ビニル単量体は、アクリロニトリル、メタク
リロニトリルおよびこれらの混合物が典型的である。
リロニトリルおよびこれらの混合物が典型的である。
これらの「枝」用単量体は、上記必須二成分の外に、
少量の第三成分、たとえばメタクリル酸エステル(たと
えばメタクリル酸メチル)、架橋性単量体、たとえばジ
ビニルベンゼンを含んでいてもよい。
少量の第三成分、たとえばメタクリル酸エステル(たと
えばメタクリル酸メチル)、架橋性単量体、たとえばジ
ビニルベンゼンを含んでいてもよい。
グラフト重合は、ゴム質重合体エマルジョン中で
「枝」用単量体を重合(従って、乳化重合)させること
によって行なうことがふつうである。
「枝」用単量体を重合(従って、乳化重合)させること
によって行なうことがふつうである。
(2) ABS樹脂X 本発明で使用するABS樹脂Xは、前記した特定の条件
を満たした限定されたABS樹脂である。
を満たした限定されたABS樹脂である。
すなわち、そのゴム質重合体含量は、30〜40重量%、
好ましくは33〜36重量%、である。ゴム質重合体含量が
この範囲より少ないと、本発明組成物は十分の耐衝撃性
を持たず、一方この範囲より高いと十分な剛性が得られ
ない。
好ましくは33〜36重量%、である。ゴム質重合体含量が
この範囲より少ないと、本発明組成物は十分の耐衝撃性
を持たず、一方この範囲より高いと十分な剛性が得られ
ない。
ABS樹脂Xは、「枝」用単量体が比較的多量に「幹」
重合体と化学的に結合したものである。すなわち、ゴム
質重合体100重量部に対して芳香族ビニル単量体とシア
ン化ビニル単量体の合計量で90〜120重量部、好ましく
は100〜110重量部、が化学的に結合している。「枝」用
単量体の「幹」重合体への化学的結合量、すなわちグラ
フト率、がこの範囲より少ないと、R−11吸収量が増大
する傾向があり、この範囲より多いと加工性が低下する
傾向がある。なお、「枝」用単量体が「幹」重合体に化
学的に結合していることは、ゲル含量によって知ること
ができる。
重合体と化学的に結合したものである。すなわち、ゴム
質重合体100重量部に対して芳香族ビニル単量体とシア
ン化ビニル単量体の合計量で90〜120重量部、好ましく
は100〜110重量部、が化学的に結合している。「枝」用
単量体の「幹」重合体への化学的結合量、すなわちグラ
フト率、がこの範囲より少ないと、R−11吸収量が増大
する傾向があり、この範囲より多いと加工性が低下する
傾向がある。なお、「枝」用単量体が「幹」重合体に化
学的に結合していることは、ゲル含量によって知ること
ができる。
ABS樹脂X中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル
単量体(いずれも、重合した形態のものであることはい
うまでもない)との重量比は、65/35〜75/25、好ましく
は68/32〜72/28、である。この比が75/25より大きい
(すなわち、シアン化ビニル単量体が25%より少量)と
R−11吸収量が大きくなり、65/35より小さい(シアン
化ビニル単量体が35%より多量)と通常のAS樹脂(成分
II(詳細後記))との相溶性が悪くなる。
単量体(いずれも、重合した形態のものであることはい
うまでもない)との重量比は、65/35〜75/25、好ましく
は68/32〜72/28、である。この比が75/25より大きい
(すなわち、シアン化ビニル単量体が25%より少量)と
R−11吸収量が大きくなり、65/35より小さい(シアン
化ビニル単量体が35%より多量)と通常のAS樹脂(成分
II(詳細後記))との相溶性が悪くなる。
ゴム質重合体の粒子径は、0.18〜0.25μ、好ましくは
0.19〜0.22μ、の範囲にある。ゴム質重合体の粒子径が
0.25μより大きいと剛性が低下し、0.18μより小さくな
ると耐衝撃性が低下する。ゴム質重合体粒子は、ABS樹
脂X中に分散した球状の形態を有する。
0.19〜0.22μ、の範囲にある。ゴム質重合体の粒子径が
0.25μより大きいと剛性が低下し、0.18μより小さくな
ると耐衝撃性が低下する。ゴム質重合体粒子は、ABS樹
脂X中に分散した球状の形態を有する。
(3) ABS樹脂Y ABS樹脂Yは、ABS樹脂X同様、特定されたABS樹脂で
ある。
ある。
すなわち、そのゴム質重合体含量は30〜40重量%、好
ましくは33〜36重量%、である。数値限定の理由は、AB
S樹脂Xでのそれと同じである。
ましくは33〜36重量%、である。数値限定の理由は、AB
S樹脂Xでのそれと同じである。
グラフト率は、「幹」重合体100重量部について
「枝」重合体35〜45重量部、好ましくは38〜42重量部、
である。数値限定の理由は、ABS樹脂Xでのそれと同じ
である。
「枝」重合体35〜45重量部、好ましくは38〜42重量部、
である。数値限定の理由は、ABS樹脂Xでのそれと同じ
である。
樹脂Y中の芳香族ビニル単量体/シアン化ビニル単量
体重量比は、80/20〜85/15、好ましくは81/19〜84/16、
である。この比が80/20より小さいと樹脂Y中のゴム粒
子の形態的特徴であるブドウ状(クラスター状ともい
う)の凝集構造をとらなくなって、R−11に対する環境
応力亀裂抵抗性が低下する。一方、この比が85/15より
大きいと、一般的な耐薬品性や機械的物性が低下する。
体重量比は、80/20〜85/15、好ましくは81/19〜84/16、
である。この比が80/20より小さいと樹脂Y中のゴム粒
子の形態的特徴であるブドウ状(クラスター状ともい
う)の凝集構造をとらなくなって、R−11に対する環境
応力亀裂抵抗性が低下する。一方、この比が85/15より
大きいと、一般的な耐薬品性や機械的物性が低下する。
樹脂Yは、ゴム質重合体粒子が0.1〜0.2μの粒子径を
有する球状体が凝集して、0.4〜0.8μの大きさのブドウ
状の粒子形態を有するものであることによって、本発明
組成物に対して良好な対R−11環境応力亀裂抵抗性を与
える。ブドウ状の粒子の径が0.4μより小さいと、この
効果が少なく、一方、0.8μより大きい凝集物では剛性
の低下が大きい。
有する球状体が凝集して、0.4〜0.8μの大きさのブドウ
状の粒子形態を有するものであることによって、本発明
組成物に対して良好な対R−11環境応力亀裂抵抗性を与
える。ブドウ状の粒子の径が0.4μより小さいと、この
効果が少なく、一方、0.8μより大きい凝集物では剛性
の低下が大きい。
このブドウ状凝集物は、ゴム質重合体エマルジョン中
のゴム質重合体粒子(樹脂Yでは粒子径0.1〜0.2μのも
の)(以下、一次粒子という)が、その粒子形状を実質
的に保持したまゝグラフト重合によって数個以上凝集会
合してブドウ状ないしクラスター状となった二次粒子の
ことである。このブドウ状ないしクラスター状の凝集物
からなる二次粒子は、一次ゴム粒子間を化学的にグラフ
ト鎖で連結してなるものであると考られるので、通常の
ABS樹脂の配合混練操作によっては一次粒子に解離する
ことはない。このような二次粒子は電子顕微鏡によって
確認することができる。なお、このブドウ状凝集物、す
なわち二次粒子、の粒子径(0.4〜0.8μ)は、その最大
寸法をいうものとする。
のゴム質重合体粒子(樹脂Yでは粒子径0.1〜0.2μのも
の)(以下、一次粒子という)が、その粒子形状を実質
的に保持したまゝグラフト重合によって数個以上凝集会
合してブドウ状ないしクラスター状となった二次粒子の
ことである。このブドウ状ないしクラスター状の凝集物
からなる二次粒子は、一次ゴム粒子間を化学的にグラフ
ト鎖で連結してなるものであると考られるので、通常の
ABS樹脂の配合混練操作によっては一次粒子に解離する
ことはない。このような二次粒子は電子顕微鏡によって
確認することができる。なお、このブドウ状凝集物、す
なわち二次粒子、の粒子径(0.4〜0.8μ)は、その最大
寸法をいうものとする。
樹脂Yの製造方法の例としては、まず上記の範囲に特
定したグラフト率のグラフト共重合体ラテックス(A)
を製造する。つづいて、残余の芳香族ビニル単量体およ
びシアン化ビニル単量体を共重して共重合体ラテックス
(B)を製造し、ラテックス(A)およびラテックス
(B)を混合する。この混合によって、グラフト共重合
体ラテックス(A)中に生成したグラフト二次粒子のブ
ドウ状凝集物の樹脂Y中への分散を物理化学的に安定さ
せ、樹脂Yを製造することができる。
定したグラフト率のグラフト共重合体ラテックス(A)
を製造する。つづいて、残余の芳香族ビニル単量体およ
びシアン化ビニル単量体を共重して共重合体ラテックス
(B)を製造し、ラテックス(A)およびラテックス
(B)を混合する。この混合によって、グラフト共重合
体ラテックス(A)中に生成したグラフト二次粒子のブ
ドウ状凝集物の樹脂Y中への分散を物理化学的に安定さ
せ、樹脂Yを製造することができる。
II. AS樹脂(II) ABS樹脂(I)と共に本発明組成物を形成するAS樹脂
(II)は、周知のもの、すなわち芳香族ビニル単量体と
シアン化ビニル単量体との共重合体、からなるである。
(II)は、周知のもの、すなわち芳香族ビニル単量体と
シアン化ビニル単量体との共重合体、からなるである。
芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体の具
体例はABS樹脂(I)について前記したものと同じであ
り、またこの両者の外に少量の第三の単量体を併用する
ことができて、その具体例もまたABS樹脂(I)の
「枝」用単量体について前記したものと同じである(架
橋性単量体はあまり好ましくない)。
体例はABS樹脂(I)について前記したものと同じであ
り、またこの両者の外に少量の第三の単量体を併用する
ことができて、その具体例もまたABS樹脂(I)の
「枝」用単量体について前記したものと同じである(架
橋性単量体はあまり好ましくない)。
本発明で使用するのに適したAS樹脂は、シアン化ビニ
ル単量体含量が24〜33重量%程度で比粘度(0.1重量%D
MF溶液/25℃)が0.06〜0.09程度のものである。
ル単量体含量が24〜33重量%程度で比粘度(0.1重量%D
MF溶液/25℃)が0.06〜0.09程度のものである。
III. 組成比 本発明によるABS樹脂組成物では、ABS樹脂XおよびAB
S樹脂YとAS樹脂(II)の組成比が重要な意味を持つ。
S樹脂YとAS樹脂(II)の組成比が重要な意味を持つ。
すなわち、(樹脂Xの重量分率+樹脂Yの重量分率)
が0.37以上かつ0.48以下、好ましくは0.4以上かつ0.45
以下、である必要がある。
が0.37以上かつ0.48以下、好ましくは0.4以上かつ0.45
以下、である必要がある。
この値が0.37未満ではR−11に対する環境応力亀裂抵
抗性が悪く、0.48超過ではR−11の吸収量が増大する。
抗性が悪く、0.48超過ではR−11の吸収量が増大する。
そして、(樹脂Xの重量分率/樹脂Yの重量分率)が
1/3以上かつ1/1以下、好ましくは1/2以上かつ2/3以下、
である必要がある。この値が1/3未満ではR−11の吸収
量が増大しすぎて、R−11吸収による剛性低下が大きく
なる。一方、この値が1/1超過であると、R−11に対す
る環境応力亀裂抵抗性が低下する。
1/3以上かつ1/1以下、好ましくは1/2以上かつ2/3以下、
である必要がある。この値が1/3未満ではR−11の吸収
量が増大しすぎて、R−11吸収による剛性低下が大きく
なる。一方、この値が1/1超過であると、R−11に対す
る環境応力亀裂抵抗性が低下する。
IV. 本発明組成物 本発明によるABS樹脂組成物は、前記のABS樹脂(I)
とAS樹脂を含んでなるものである。ここで、「含んでな
る」ということは、これら必須二成分の外に、合目的的
な任意の補助成分を含んでもよいことを意味するもので
ある。
とAS樹脂を含んでなるものである。ここで、「含んでな
る」ということは、これら必須二成分の外に、合目的的
な任意の補助成分を含んでもよいことを意味するもので
ある。
そのような補助成分としては、熱可塑性樹脂(本発明
組成物が本質的には熱可塑性樹脂の範疇に入ることはい
うまでもない)に慣用されるように、酸化防止剤(たと
えば、フェノール系あるいはリン系酸化防止剤)、滑剤
(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、高級脂肪酸石
けん、高級脂肪酸アミド)、染顔料、充填剤、その他が
ある。
組成物が本質的には熱可塑性樹脂の範疇に入ることはい
うまでもない)に慣用されるように、酸化防止剤(たと
えば、フェノール系あるいはリン系酸化防止剤)、滑剤
(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、高級脂肪酸石
けん、高級脂肪酸アミド)、染顔料、充填剤、その他が
ある。
本発明組成物は、所定成分の均一分散が可能な任意の
手段ないし方法によって製造することができる。そのよ
うな方法の一つは、樹脂成分を融解混練することであ
る。
手段ないし方法によって製造することができる。そのよ
うな方法の一つは、樹脂成分を融解混練することであ
る。
V. 実験例 1) 樹脂の製造 (1) 樹脂Xの製造 スチレン(St)65重量%、アクリロニトリル(AN)3
4.8重量%及びテルペン油0.2重量%よりなる単量体混合
物(I)を調製した。
4.8重量%及びテルペン油0.2重量%よりなる単量体混合
物(I)を調製した。
撹拌装置、還流冷却器、温度計、助剤添加装置を備え
たガラス製フラスコに、スチレン−ブタジエン・ゴムラ
テックス(スチレン含有量10重量%、ゴム粒子径0.07μ
m)100部(固形分)および脱イオン水50部を仕込み、
窒素気流下、撹拌しながら、内温を55℃に昇温した。5
重量%のリン酸水溶液10部を添加して、ゴム粒子を0.2
μmに肥大させた。次に、反応系の温度を65℃とし、10
重量%のKOH水溶液を4部仕込んで中和した。
たガラス製フラスコに、スチレン−ブタジエン・ゴムラ
テックス(スチレン含有量10重量%、ゴム粒子径0.07μ
m)100部(固形分)および脱イオン水50部を仕込み、
窒素気流下、撹拌しながら、内温を55℃に昇温した。5
重量%のリン酸水溶液10部を添加して、ゴム粒子を0.2
μmに肥大させた。次に、反応系の温度を65℃とし、10
重量%のKOH水溶液を4部仕込んで中和した。
ついで、この反応系に、4%過硫酸カリウム水溶液7
部及び単量体混合物(I)180部を270分間にわたって、
それぞれ連続的に添加を始め、70℃で重合を開始した。
重合開始60分後および150分後に、高級脂肪酸石けん
(炭素数18の脂肪酸のナトリウム塩を主成分とする)0.
23部ずつを少量の水に溶解して、重合系に添加した。重
合を開始してから、300分経過後まで、同温度でグラフ
ト重合反応を続けた。
部及び単量体混合物(I)180部を270分間にわたって、
それぞれ連続的に添加を始め、70℃で重合を開始した。
重合開始60分後および150分後に、高級脂肪酸石けん
(炭素数18の脂肪酸のナトリウム塩を主成分とする)0.
23部ずつを少量の水に溶解して、重合系に添加した。重
合を開始してから、300分経過後まで、同温度でグラフ
ト重合反応を続けた。
グラフト重合反応を終了して得られたラテックスを、
95℃に加温した。4%硫酸マグネシウム水溶液へ滴下し
た塩析し、洗浄、脱水、乾燥して、樹脂Xを得た。
95℃に加温した。4%硫酸マグネシウム水溶液へ滴下し
た塩析し、洗浄、脱水、乾燥して、樹脂Xを得た。
樹脂X中のゴム含量は、35%であった。また、ゴムと
化学的に結合した(St+AN)は、前者100重量部につき1
08重量部であった。St/AN重量比は、68/32であった。樹
脂X中のゴム粒子粒径は、0.2μであった。
化学的に結合した(St+AN)は、前者100重量部につき1
08重量部であった。St/AN重量比は、68/32であった。樹
脂X中のゴム粒子粒径は、0.2μであった。
2) 樹脂Yの製造 撹拌装置、加熱及び冷却装置、ならびに原料供給配管
を有する内容積5リットルのステンレス鋼製反応器に次
の各原料を仕込んだ。
を有する内容積5リットルのステンレス鋼製反応器に次
の各原料を仕込んだ。
ブタジエン 770 g スチレン 86 g 牛脂石けん 485 g KCl 5 g 過硫酸カリウム 2.6g tert−ドデシルメルカプタン 3.4g 脱イオン水 1100 g 仕込み終了後、該反応器を54℃に昇温して、重合を開
始した。重合開始後5時間後、過硫酸カリウム2.6gと脱
イオン水120gを追加仕込みすると共に、次の原料を3時
間45分かけて仕込んだ。なお、ゴム粒子径は0.13μであ
った。
始した。重合開始後5時間後、過硫酸カリウム2.6gと脱
イオン水120gを追加仕込みすると共に、次の原料を3時
間45分かけて仕込んだ。なお、ゴム粒子径は0.13μであ
った。
スチレン 297g アクリロニトリル 74g 反応開始10時間後、冷却に入り、ゴム質重合体含有量
の多いグラフト重合体ラテックス(A)を得た。ゴム含
量69.8%、(St+AN)含量30.2%であって、また、St/A
N重量比は80.1/19.9であった。
の多いグラフト重合体ラテックス(A)を得た。ゴム含
量69.8%、(St+AN)含量30.2%であって、また、St/A
N重量比は80.1/19.9であった。
次に、撹拌装置、加熱及び冷却装置、ならびに原料供
給配管を有する内容積5リットルの反応器に、次の各原
料の仕込み、通常の乳化重合法でスチレン−アクリロニ
トリル共重合体ラテックス(B)を得た。
給配管を有する内容積5リットルの反応器に、次の各原
料の仕込み、通常の乳化重合法でスチレン−アクリロニ
トリル共重合体ラテックス(B)を得た。
スチレン 750g アクリロニトリル 182g ターピノーレン 3g 過硫酸カリウム 3g 炭酸ナトリウム 2g 牛脂石けん 157g KCl 2g 脱イオン水 1300g 前記のグラフト重合体ラテックス(A)とスチレン−
アクリロニトリル共重合体ラテックス(B)を固形分ベ
ースで、54:46の割合で、ラテックスブレンドすること
によって、生成したブドウ状ゴム凝集粒子を安定化させ
た。この混合ラテックスに酸化防止剤を加えた後、95℃
に加温した4%硫酸マグネシウム水溶液へ滴下して塩析
し、洗浄、脱水、乾燥して、樹脂Yを得た。樹脂Y中の
ゴム含量は37.7%であった。ゴムに化学的に結合した
(St+AN)の量は、前者100重量部について40重量部で
あった。St/AN重量比は、82/18であった。
アクリロニトリル共重合体ラテックス(B)を固形分ベ
ースで、54:46の割合で、ラテックスブレンドすること
によって、生成したブドウ状ゴム凝集粒子を安定化させ
た。この混合ラテックスに酸化防止剤を加えた後、95℃
に加温した4%硫酸マグネシウム水溶液へ滴下して塩析
し、洗浄、脱水、乾燥して、樹脂Yを得た。樹脂Y中の
ゴム含量は37.7%であった。ゴムに化学的に結合した
(St+AN)の量は、前者100重量部について40重量部で
あった。St/AN重量比は、82/18であった。
樹脂Y中のブドウ状のゴム凝集粒子径は、0.55μであ
った。
った。
2) 組成物 実施例1〜9、比較例1〜10 前記のようにして製造した樹脂X、樹脂Y及びAS樹脂
(三菱モンサント化成(株)製 SAN−C、St/AN(重量
比)=74/26、比粘度(0.1重量%DMF溶液/25℃)0.07)
を、第1表に記載した配合部数に従い、秤量した。さら
に、酸化防止剤及び滑剤各0.2重量部を添加して、タン
ブラー内で混合した。この混合物をバンバリーミキサー
で溶融混練して、ペレットとした。次に、ペレットを20
0℃および200kg/cm2で圧縮成形して、厚さ1mm及び0.5mm
のプレスシートを作成した。このプレスシートより試験
片を切削し、耐R−11性を次の2方法により評価した。
(三菱モンサント化成(株)製 SAN−C、St/AN(重量
比)=74/26、比粘度(0.1重量%DMF溶液/25℃)0.07)
を、第1表に記載した配合部数に従い、秤量した。さら
に、酸化防止剤及び滑剤各0.2重量部を添加して、タン
ブラー内で混合した。この混合物をバンバリーミキサー
で溶融混練して、ペレットとした。次に、ペレットを20
0℃および200kg/cm2で圧縮成形して、厚さ1mm及び0.5mm
のプレスシートを作成した。このプレスシートより試験
片を切削し、耐R−11性を次の2方法により評価した。
1/4楕円治具(長径24cm、短径5cm)に、50mm×140m
×1mmの大きさに切削した試験片を取り付けた。頂上部
に30mmφの開口部を有する容量約7リットルのデシケー
タ中に、試片を固定した治具及びR−11液100mlを封入
し、頂上部を開口状態にしたまゝで、30℃の恒温槽に約
17時間放置した。治具から取りはずしたサンプルについ
て、クレーズ・クラックの発生と、折り曲げた場合の脆
化性を目視判定した。
×1mmの大きさに切削した試験片を取り付けた。頂上部
に30mmφの開口部を有する容量約7リットルのデシケー
タ中に、試片を固定した治具及びR−11液100mlを封入
し、頂上部を開口状態にしたまゝで、30℃の恒温槽に約
17時間放置した。治具から取りはずしたサンプルについ
て、クレーズ・クラックの発生と、折り曲げた場合の脆
化性を目視判定した。
内径60mm、深さ15mmの容器中にR−11液を10ml封入
し、65mmφ×0.5mm厚みの試験片で容器開口部を密封し
た。25℃の恒温槽中に24時間放置した後、試験片を取り
はずして水平の板の上に置いて山形に変形した試験片の
高さ(変形量:mm)を測定した。
し、65mmφ×0.5mm厚みの試験片で容器開口部を密封し
た。25℃の恒温槽中に24時間放置した後、試験片を取り
はずして水平の板の上に置いて山形に変形した試験片の
高さ(変形量:mm)を測定した。
結果の第1表に示す。
第1表より、次のことが明らかである。
(1) 本発明樹脂組成物は、特定の樹脂X、特定の樹
脂Y及びAS樹脂を最適化した範囲で配合しているので、
R−11存在下においてクレーズ・クラックの発生が無
く、R−11の吸収および膨潤に伴なう変形が少なく、耐
フロン性が良好である(実施例1〜9参照)。
脂Y及びAS樹脂を最適化した範囲で配合しているので、
R−11存在下においてクレーズ・クラックの発生が無
く、R−11の吸収および膨潤に伴なう変形が少なく、耐
フロン性が良好である(実施例1〜9参照)。
また、本発明の範囲外で得られる樹脂組成物は、クレ
ーズ・クラックの発生又は試験片の変形が認められ、耐
フロン性が不良である(比較例1〜10参照)。
ーズ・クラックの発生又は試験片の変形が認められ、耐
フロン性が不良である(比較例1〜10参照)。
Claims (1)
- 【請求項1】共役ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル
単量体とシアン化ビニル単量体の混合物をグラフト重合
させて得られるグラフト重合体からなるABS樹脂(I)
と、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体との共
重合体からなるAS樹脂(II)とを含んでなる樹脂組成物
であって、このABS樹脂(I)が下記の2種類のABS樹脂
XおよびABS樹脂Yを下記の混合比率で混合してなるも
のであることを特徴とする、耐フロン性の優れたABS樹
脂組成物。 (1)ABS樹脂X (i) 樹脂X中のゴム質重合体含量が30〜40重量%で
あること、 (ii) ゴム質重合体に対してその100重量部につき90
〜120重量部の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単
量体が化学的に結合していること、 (iii) 樹脂X中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体との重量比が65/35〜75/25の範囲内にあるこ
と、 (iv) 樹脂X中のゴム質重合体は、0.18〜0.25μの粒
子径を有し、分散した球状の形態的特徴を有すること。 (2)ABS樹脂Y (i) 樹脂Y中のゴム質重合体含量が30〜40重量%で
あること、 (ii) ゴム質重合体に対してその100重量部につき35
〜45重量部の芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量
体が化学的に結合していること、 (iii) 樹脂Y中の芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体との重量比が80/20〜85/15の範囲内にあるこ
と、 (iv) 樹脂Y中のゴム質重合体は、0.1〜0.2μの粒子
径を有する球状体が凝集して、0.4〜0.8μの大きさのブ
ドウ状の粒子形態を有すること。 (3)ABS樹脂組成物の混合比率 (i)0.37≦(樹脂Xの重量分率+樹脂Yの重量分率) ≦0.48
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33313688A JP2688234B2 (ja) | 1988-12-28 | 1988-12-28 | 耐フロン性の優れたabs樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33313688A JP2688234B2 (ja) | 1988-12-28 | 1988-12-28 | 耐フロン性の優れたabs樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02175745A JPH02175745A (ja) | 1990-07-09 |
JP2688234B2 true JP2688234B2 (ja) | 1997-12-08 |
Family
ID=18262696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33313688A Expired - Lifetime JP2688234B2 (ja) | 1988-12-28 | 1988-12-28 | 耐フロン性の優れたabs樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2688234B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5486407A (en) * | 1993-06-08 | 1996-01-23 | General Electric Co. | High rubber backing multi-layer ABS system which exhibits improved chemical resistance to HCFC blowing agents |
KR100399259B1 (ko) * | 1996-01-05 | 2004-03-22 | 니폰 에이 엔 엘 가부시키가이샤 | 내프레온수지조성물및그조성물로부터형성되는냉장고내측케이스 |
WO1997025376A1 (fr) * | 1996-01-05 | 1997-07-17 | Sumika A & L Inc. | Composition de resine resistante aux chlorofluorocarbures et compartiment interieur de refrigerateur fabrique a partir de cette composition |
DE10008420A1 (de) * | 2000-02-23 | 2001-08-30 | Bayer Ag | Polymerzusammensetzungen mit verbesserter Eigenschaftskonstanz |
KR100433572B1 (ko) * | 2001-10-23 | 2004-06-02 | 제일모직주식회사 | 표면광택, 내충격성 및 유동성이 우수한 열가소성 수지조성물 |
KR100591041B1 (ko) * | 2004-12-01 | 2006-06-22 | 제일모직주식회사 | 중공성형성과 내충격성 및 치수안정성이 우수한 열가소성abs 수지 조성물 |
US20160115311A1 (en) * | 2013-05-23 | 2016-04-28 | Asahi Kasei Chemicals Corporation | Thermoplastic resin composition and molded article thereof |
-
1988
- 1988-12-28 JP JP33313688A patent/JP2688234B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02175745A (ja) | 1990-07-09 |
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