JP2685776B2 - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) この発明は、可視光領域で発光あるいはレーザ発振す
る半導体発光素子に関する。
(従来の技術) In1-x-yGayAlxP(0x,y1)系の材料は、GaAs基
板と格子整合した条件でIII−V族混晶半導体の中で最
大のバンドギャップを有し(ただし窒化物等を除く)、
580nm(黄色)〜690nm(赤色)の範囲で発光又はレーザ
発振の可能性を有している。
電流注入型レーザの例としては、第5図に示す構造に
よる素子で波長670〜680nmの赤色レーザが得られてい
る。第5図の構造は以下に述べるようになっている。n
−GaAs基板11上に、n−GaAsバッファ層12、n−(Al
0.3Ga0.70.5In0.5Pクラッド層13、アンドープGa0.5I
n0.5P活性層14P−(Al0.3Ga0.70.5P層15によるダブ
ルヘテロ構造が形成されている。このダブルヘテロ構造
の上にp−GaAs層16、n−GaAs層17を順次形成し、フォ
トリングラフィ法によりn−GaAs層17の一部をストライ
プ状21に除去し、さらにp−GaAsコンタクト層18を全面
に形成する。p−GaAsコンタクト層18およびn−GaAs基
板11の表面にp型電極19、n型電極20をそれぞれ形成す
る。この素子に電流を流すとn−GaAs層17によるpn反転
層で電流がストライプ状開口21により狭窄され、ストラ
イプ状の発光を得、ストライプ方向にレーザ発振を得る
ことができる。この構造は、酸化しやすいAl化合物であ
るp−(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pクラッド層の表面を露
出することなくストライプ状開口21を形成し、p−GaAs
層16上にp−GaAsコンタクト層18を形成するため、良好
な成長界面が得られる。
(発明が解決しようとする課題) しかし、第5図に示した従来の構造において、p−Ga
As層16での電流拡がり及びn−GaAs層17のストライプ状
開口21形成時のエッチング工程が問題となる。p−GaAs
層16での電流拡がりを抑えるには、p−GaAs層16とp−
(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pクラッド層15のキャリア濃度
と厚さを制御する必要がある。p−GaAs層16のキャリア
濃度を下げ電流拡がりを小さくするとレーザのシリーズ
抵抗が高くなる欠点がある。また、n−GaAs層17のスト
ライプ状開口21形成時のエッチング工程において、p−
GaAs層16でエッチングを止めることは、技術的に難し
く、n−GaAs層17を完全にエッチング除去するためにp
−GaAs層16が少しエッチングされる。このためp−GaAs
層16の厚さを設定して電流拡がりを抑えることは、難し
く歩留りも悪い。p−GaAs層16をp−GaAlAs層に変える
ことも行われている。しかし、GaAs層とGaAlAs層のエッ
チングレートのちがいによりp−GaAlAs層のオーバーエ
ッチングの問題は解決するが、p−GaAlAs層はp−GaAs
層に比べて、キャリア濃度が一般に低いためレーザのシ
リーズ抵抗が高くなる欠点を有している。
本発明の目的は、このような従来の欠点を排除し、高
歩留りで、電流狭窄が良好でかつ性能、信頼性に優れた
可視光半導体発光素子を提供することにある。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 上記問題点を解決するために半導体発光素子は、In
1-x-yGayAlxP(0x,y1)からなる活性層を上下か
らはさむ第1及び第2の2つのクラッド層を含むダブル
ヘテロ接合部を半導体基板上に有し、2つのクラッド層
のうち基板とは反対側に位置する第2のクラッド層上に
In1-zGazP(0z<1)からなる中間バンドギャップ
層を有し、中間バンドギャップ層上に一部を中間バンド
ギャップ層まで除去した電流狭窄層を有し、電流狭窄層
に被われてない中間バンドギャッブ層に第2のクラッド
層と同じ導電型の不純物が拡散された領域を有し、電流
狭窄層に被われていない中間バンドギャップ層上及び電
流狭窄層上に第2のクラッド層と同じ導電型のコンタク
ト層を有した構造であり、その製造方法において、中間
バンドギャップ層と一部を中間バンドギャップ層まで除
去した電流狭窄層に対して、不純物を拡散する工程と電
流狭窄層に被われてない中間バンドギャップ層上および
電流狭窄層上に第2のクラッド層と同じ導電型のコンタ
クト層を形成する工程を有機金属気相成長法における反
応炉の中で行うものである。
(作用) 本発明は、上述の構造及び製造方法を用いることによ
り従来技術の問題点を解決するものである。第4図は、
本発明の原理を説明するための図である。ダブルヘテロ
構造の第2のクラッドx=0.35,y=0.15としたp−In
0.5(Ga0.3Al0.70.5P層31、中間バンドギャップ層を
z=0.5としたp−In0.5Ga0.5P層32、電流狭窄層をn
−GaAS層33、コンタクト層をp−GaAs層34、拡散領域35
を形成する不純物をZnとし、各層の成長法は、たとえば
有機金属気相成長法(MOCVD法)とする。
n−GaAs層33のエッチング工程において、p−In0.5G
a0.5P層32はp−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P層31のカバ
ーとなり、Alの酸化があるp−In0.5(Ga0.3Al0.70.5
P層31のカバーとなり、Alの酸化があるp−In0.5(Ga
0.3Al0.70.5P層31が大気中に露出することを防ぐ。
p−In0.5Ga0.5P層32において、Znが拡散された領域
のキャリア濃度はZnが拡散されない領域のキャリア濃度
より1桁以上高いため、p−In0.5Ga0.5P32での電流拡
がりは少ない。
n−GaAS層33とp−In0.5Ga0.5P層32ではZnの拡散速
度が1桁程度ちがうため、n−GaAs層33が拡散ブロック
層として働き、拡散ブロック用のマスク等を施す必要が
なく、工程が簡単になる。
以上延べた利点を本発明は有している。
(実施例) 以下、本発明の詳細を図示の実施例によって説明す
る。第1図は、本発明の第1の実施例を示す断面図であ
る。
n−GaAs基板41上にn−GaAsバッファ層42、n−In
0.5(Ga0.3Al0.70.5P(x=0.35,y=0.15)第1のク
ラッド層43、アンドープIn0.5Ga0.5P(x=y=0.5)
活性層44、p−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P(x=0.35,y
=0.15)第2のクラッド層45、p−In0.5Ga0.5P(z=
0.5)中間バンドギャップ層46が形成され、さらに一部
をp−In0.5Ga0.5P層46まで除去したn−GaAs電流狭窄
層47、オーミックコンタクトを形成するp−GaAsコンタ
クト層48、Znが拡散された領域49が形成された構造であ
る。p−GaASコンタクト層48上には、p型電極であるAu
Zn50,n−GaAs基板41の裏面には、n型電極であるAuGe51
が形成されている。
本実施例の素子に電流を注入すると、n−GaAs電流狭
窄層47によるpn反転層のため注入電流は電流狭窄部52に
制限される。このため、この電流狭窄部52にほぼ沿った
活性層44で発光が生じ、またレーザ発振も得られる。
第1図において、たとえばp−In0.5Ga0.5P中間バン
ドギャップ層46が厚さ0.05μm、キャリア濃度5×1017
cm-3の場合、Zn拡散領域49のキャリア濃度は1×1019cm
程度あり、p−In0.5Ga0.5P層46の電流狭窄部52に電流
が拡がることなく集中する。
したがって、注入電流は、電流狭窄部52によく制限さ
れ、電流拡がりによって無効に消費される電流が少ない
ので、発光効率は高く、このためレーザにした場合、そ
の発振しきい値は低くなる。また本発明では、活性層と
してアンドドーブIn0.5Ga0.5P層を用いているので、波
長は670〜680nmの赤色可視光レーザが得られる。尚、第
2図に示す如く電流狭窄層がn−Ga0.75Al0.25As(w=
0.25)層あるいはn−In0.5(Ga0.7Al0.30.5P(x′
=0.15,y′=0.35)層また、中間バンドギャップ層が、
n−In0.5Ga0.5P(z=0.5)層あるいはアンドーブIn
0.5Ga0.5P(z=0.5)層の構造でも上述の性能を示
す。ただし、上述したx,y,z,w,x′,y′の数値等は本発
明の効果がある範囲で変更可能な事は言うまでもない。
第3図に本実施例を実現するための製造方法について
示す。第1図と共通の部分は同じ番号を用いてある。第
3図(a)に示すように、n−GaAs基板41上に有機金属
気相成長法によりn−GaAsバッファ層42、n−In0.5(G
a0.3Al0.70.5P第1のクラッド層43、アンドープIn
0.5Ga0.5P活性層44、p−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第
2のクラッド層45、p−In0.5Ga0.5P中間バンドギャッ
プ層46、n−GaAs電流狭窄層47を順次成長させる。次に
第3図(b)に示すように、フォトレジスト53を用いn
−GaAs層47を選択的にエッチング除去し、電流狭窄部52
を形成する。このとき確実にp−In0.5Ga0.5P層46表面
を露出させるために、n−GaAs層47とp−In0.5Ga0.5
層46とでエッチングレートのちがうエッチング液を用い
る。たとえば、エッチング液としては、硫酸、過酸化水
素水、水の混液(体積比8:1:1)などが適している。次
に第3図(c)に示すように、フォトレジスト35を除去
し、n−GaAS層47とp−In0.5Ga0.5P層46の表面を出
し、有機金属気相成長法における反応炉の中でZn拡散工
程を行う。拡散工程において、n−GaAs層47とp−In
0.5Ga0.5P層46では、Znの拡散速度が1桁以上ちがうた
め、電流狭窄部52にZnが深く拡散され第3図(d)に示
す構造となる。次に、第3図(c)に示すようにp−Ga
Asコンタクト層48を成長し、p型電極AuZn50及びN型電
極AuGe51を形成する。p−GaAs層48を成長するとき、Al
を含む化合物が表面に露出してないため、p−GaAsコン
タクト層48はきわめて良質であり、良好な電極形成がで
き、素子特性や信頼性が向上した。また、Zn拡散工程も
有機金属気相成長法における反応炉の中で行うため、製
造工程が簡略化しその製造コストが安くなる。
なお、本発明は上記実施例に限られない。要するに本
発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施す
ることができる。
〔発明の効果〕
以上述べたように本発明によれば歩留りよく電流狭窄
層が良好でかつ性能,信頼性の優れた可視光半導体発光
素子をより低いコストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例を示す断面図、第2図は
本発明の第2の実施例を示す断面図、第3図は第1の実
施例の製造工程を示す図、第4図は本発明の原理を説明
するための断面図、第5図は従来の半導体発光素子の例
を示す断面図である。 41……n−GaAs基板、42……n−GaAsバッファ層、43…
…n−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第1のクラッド層、44
……アンドープIn0.5Ga0.5P活性層、31,61,45……p−
In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第2のクラッド層、32,46…
…p−In0.5Ga0.5P中間バンドギャップ層、33,47……
n−GaAs電流狭窄層、34,64,48……p−GaAsコンタクト
層、35,65,49……Zn拡散領域、50……P型電極AuZn、51
……N型電極AuGe、51……N型電極AuGe、66,52……電
流狭窄部、62……n−In0.5Ga0.5Pあるいはアンドーブ
In0.5Ga0.5P中間バンドギャップ層、63……n−Ga0.75
Al0.25Asあるいはn−In0.5(Ga0.7Al0.30.5P電流狭
窄層。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】In1-x-yGayAlxP(0x,y1)からな
    り、活性層を上下から挟む第1及び第2の2つのクラッ
    ド層を含むダブルヘテロ接合部が半導体基板上に形成さ
    れている半導体発光素子において、少なくとも前記クラ
    ッド層のうち基板とは反対側に位置する前記第2のクラ
    ッド層上にIn1-zGazP(0z<1)からなる中間バン
    ドギャップ層を設け、この中間バンドギャップ層上に、
    一部の中間バンドギャップ層が露出するように電流狭窄
    層を設け、前記露出した中間バンドギャップ層に第2の
    クラッド層と同じ導電型の不純物が拡散された領域を有
    し、前記電流狭窄層上及び中間バンドギャップ層上に、
    第2のクラッド層と同じ導電型のコンタクト層を設けた
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】前記中間バンドギャップ層上に一部を中間
    バンドギャップ層まで除去して形成された電流狭窄層
    が、Ga1-wAlwAs(0w1)あるいはIn
    1−x′−y′Gay′Alx′P(0x′,y′1)か
    らなる半導体層であることを特徴とする請求項1記載の
    半導体発光素子。
  3. 【請求項3】In1-x-yGayAlxP(0x,y1)からな
    り、活性層を上下から挟む第1及び第2のクラッド層の
    うち、基板とは反対側に位置する第2のクラッド層上に
    In1-zGazP(0z<1)からなる中間バンドギャップ
    層を形成する工程と、この中間バンドギャップ層上に、
    Ga1-wAlwAs(0w1)あるいはIn1−x′−y′Ga
    y′Alx′P(0x′,y′1)からなる半導体層を
    形成する工程と、この半導体層の一部を中間バンドギャ
    ップ層に到達するまで除去し、その残された半導体層表
    面及び露出した中間バンドギャップ層に、不純物を拡散
    する工程と、該工程で拡散された半導体層上及び中間バ
    ンドギャップ層上に第2のクラッド層と同じ導電型のコ
    ンタクト層を形成する工程とを備えたことを特徴とする
    半導体発光素子の製造方法。
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