JP2685574B2 - 変圧器励磁突流抑制装置 - Google Patents

変圧器励磁突流抑制装置

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JP2685574B2
JP2685574B2 JP1086412A JP8641289A JP2685574B2 JP 2685574 B2 JP2685574 B2 JP 2685574B2 JP 1086412 A JP1086412 A JP 1086412A JP 8641289 A JP8641289 A JP 8641289A JP 2685574 B2 JP2685574 B2 JP 2685574B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は変圧器を系統に投入する際に発生する励磁
突流を抑制するための励磁突流抑制装置に関する。
〔従来の技術〕
変圧器を直接電源に投入すると励磁突流と称される過
渡的な電流が一次側に流れることはよく知られている。
その最大値は変圧器の容量にもよるが定格電流の数倍に
ないし十数倍にもなる。励磁突流の発生は変圧器内部の
異常を検出するための差電流継電器の誤動作の原因にな
ること、系統に瞬間的な電圧降下が生ずるなどの問題が
生ずるが、差電流継電器の誤動作について投入後一定時
間差電流継電器を動作しないようにしておくなどの対策
で対処できるし、電圧降下についてはこれまで重要な問
題とはなっていなかった。
しかし、近年のOA機器の普及、とりわけコンピュータ
の普及はより高い品質の電力が要求されるようになっ
た。例えば系統の短絡事故によって一時的に停電になっ
た場合、コンピュータ内のメモリーに記憶されているデ
ータが一瞬にして消滅するし、電圧変動に対しても誤動
作の原因になり得ることが考えられる。大きなコンピュ
ータの場合専用の安定化電源を設けて上記のような支障
が生じないように処置が講じられているが、パーソナル
コンピュータのように小さなコンピュータの場合は充分
な対策が講じられる訳ではないので安定な電力の供給が
特に重要になる。この点でより品質の高い電力の供給を
要求される結果となり実質的に励磁突流が発生しないと
みなせる程度としてその変圧器の定格電流以下に励磁突
流を抑制することが必要になりその対策の一貫として励
磁突流抑制対策が重要になって来た。
励磁突流発生は変圧器鉄心の非線型飽和特性によって
生ずるもので更に残留磁束と言われているヒステリシス
現象によって電源遮断後に変圧器鉄心中に残る磁束によ
って励磁突流の値がなおさら増大することがある。た
だ、励磁突流はその変圧器に電圧を印加する時の位相に
よりその値は変わりまた電圧遮断時の位相によって残留
磁束の値が変わるので励磁突流の大きさは不確定である
が、励磁突流が最大となる条件とその値について検討さ
れたり対策されたりする。この条件での励磁突流発生現
象について第11図、第12図を基に説明する。
第11図は変圧器を含む結線図、第12図はこの変圧器に
電源投入時の電圧等の時間的変化を示す波形図である。
第11図において、単相の電源65の電圧Vgが丁度零になる
時点に開閉器62が閉じて変圧器61の一次側に印加された
とする。この電源65の電圧Vgに相当する逆起電圧が発生
するためには鉄心中の磁束密度Bは第12図のB′の波形
とならねばならない。すなわち、この電圧に対する定常
状態での鉄心中の定格磁束密度最大値をBmとすると第12
図の磁束密度の最大値BsはこのBmの2倍の残留磁束密度
Brとの和となり、次式で表される。
Bs=2Bm+Br 一方、変圧器鉄心に使用される珪素鋼板の飽和磁束密
度Bhに対して定格磁束密度Bmは80%以上に設計されるの
が一般であり、また残留磁束密度Brの最大値は定格磁束
密度Bmの70%程度なので磁束密度の最大値Bsの最大値は
飽和磁束密度の約220%になる。
第12図で磁束密度Bが飽和磁束密度Bhより小さい時は
鉄心の比誘磁率は非常に大きいことから一次巻線のイン
ダクタンスは非常に大きいので励磁電流Ieは小さく第12
図では無視して零として表示している。磁束密度Bが飽
和磁束密度Bhより大きくなると鉄心中の磁束密度は飽和
してしまい一次巻線のインダクタンスは空心のインダク
タンスとなりこの値はおおむね定格電圧と定格電流の比
を定格インピーダンスとすると、この空心インダクタン
スに相当するインピーダンスは定格インピーダンスの数
分の1なのでこの時の電流は定格電流の数倍となるが、
これが励磁突流であり第12図のIeである。数10MVA程度
の変圧器の励磁電流の大きさは定格電流の1%以下故こ
の励磁電流Ieは励磁突流Ipの大きさに比べて略3桁小さ
い。
第12図での点線で示した磁束密度B′,励磁突流Ip
は巻線などの抵抗を無視した時の波形であるが、実際に
はこの抵抗があるために励磁突流Ipは抵抗分だけ小さく
なりこれに伴って磁束密度Bの波形も下に下がり直流成
分が減衰し次のサイクルで飽和磁束密度Bhを越える部分
が小さくなり従ってこのサイクルでの励磁突流Ipも小さ
くなる。このように励磁突流は回路の抵抗成分によって
時間と共に減衰し、いずれ定常状態に達する。
電力系統は一般に平衡三相交流であるので、3相のう
ち少なくとも1相が励磁突流を発生する条件となる確率
が高いことから、前述のような単相の場合に比べてより
高い頻度で励磁突流が発生することが知られている。ま
た、励磁突流が問題になるのは前述のように電力系統に
おいてであるから、励磁突流抑制対策も平衡3相交流系
統を対象とするのが普通であり、以下のこの発明の説明
においても特に断らない限り平衡三相交流系統について
記載する。
励磁突流の値は前述のように遮断時の変圧器鉄心内の
残留磁束量と投入時の投位相との関係により決まるの
で、投入の度ごとに異なる値の励磁突流が発生するので
あるが、励磁突流に対する何らかの検討や対策を行う際
には理論的に得られる励磁突流の最大値でもって励磁突
流の値とするのが一般である。実際に発生する励磁突流
からこの励磁突流最大値を得るためには、何度も変圧器
電源を遮断,投入を繰り返すことにより得られるが試験
的にこのような測定が行われることがあるにしても一般
的ではない。
励磁突流最大値としての励磁突流の値は変圧器の容量
によって変わり、一般に変圧器容量の大きい程励磁突流
の定格電流に対する比率は低下する。10万KVA前後の大
容量器が5ないし6倍、千KVA前後の小容量の変圧器で
は10倍前後である。
励磁突流の抑制方法として具体的に実用されている方
法としては、変圧器一次側に負荷時タップ切換器が有る
時に一次側の巻線の巻数が最も大きいタップを選んだ状
態で系統に投入し前記の磁束密度Bmをなるべく小さい値
にするという方法がとられている。この方法は前記の系
統の電圧に対する磁束密度Bmを小さくすると言う方法で
あり、巻数最大時の磁束密度Bmの値にもよるが大幅な励
磁突流の抑制を期待することはできない。
また、実用されているものではないが、励磁突流抑制
の方法として提案されている方法には次のようなものが
ある。
イ)抵抗2段投入 開閉器と変圧器との間に直列抵抗を接続して投入し、
一定の時間経過後直列抵抗を短絡するというように、変
圧器を電力系統に投入するのに2段階に分けて投入する
ことにより励磁突流を低減する。この方式によって大幅
な励磁突流低減効果は得られるが、原理的に励磁突流を
無くすることは不可能の構成であり、現在要求される高
品質の電力供給のための励磁突流抑制方式としては不充
分の性能しか期待できない。
ロ)負荷タップ切り換え変圧器を一次側に設けて投入す
る変圧器の一次側電圧を順次上昇させることにより励磁
突流が発生しない投入を行う。この方式はこの発明の出
願人により提案され、特願昭62−255980号に示されてい
るものであるが、投入に時間がかかるので系統の運用上
に支障が生ずるという問題がある。
ハ)遮断時の位相を記憶しておき投入位相をこの位相に
合わせる。この方式は特開昭55−100034号公報に示され
ているものであるが、3層の残留磁束は遮断時の電圧位
相で一義的に決まるものではなく、遮断後の過渡的な電
圧や、また1相が遮断されても他相がまた遮断されてい
ない場合は、3相電気的・磁気的な結合により遮断相の
磁束もまた変化するため、必ずしも3相の各残留磁束に
合致した位相で3相投入できるとは限らないので、期待
する励磁突流抑制効果が得られないという問題がある。
ニ)3相のうちの1相を電圧波形の最大値となる位相で
投入し他の2相を遅れて投入する。この方式は特開昭55
−93619号公報と特開昭55−94540号公報に示されてお
り、励磁突流低減効果として無対策の場合に比べて約3
分の1の低減効果が期待できるが、励磁突流を実質的に
無くすることは出来ないという問題がある。
この外にも残留磁束をL−C回路の減衰振動で消磁す
る方法なども考えられているがその効果は期待程ではな
いことが分かっている。
〔発明が解決しようとする課題〕
実用されている励磁突流抑制方式である変圧器の巻数
が最も大きいタップ位置で電源投入する方法は、一般に
タップ範囲は10から20%程度の範囲故、励磁突流の低減
はせいぜい20%程度が期待される程度であり、励磁突流
を実質的に無くすることはできない。
前述の他の方式も、励磁突流を実質的に無くする程度
に抑制できても投入に時間がかかるという問題があり、
他のものはある程度の励磁突流低減効果は期待できるに
しても実質的に無くすることはできないという問題があ
る。
この発明は、変圧器の電源投入時の励磁突流を定格電
流以下の実質的に無視できる程に小さくし、しかも短時
間に投入が可能な励磁突流抑制装置を提供することを目
的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題を解決するために、この発明によれば、三
角結線された巻線を備えた三相変圧器と、この三相変圧
器を三相電源に投入・遮断をするための遮断器とでなる
三相回路で前記遮断器が投入されたときに前記三相変圧
器に発生する過渡電流としての励磁突流を抑制する励磁
突流抑制装置において、前記三相変圧器の誘起電圧を各
相ごとに降圧する相別降圧手段と、この降圧手段の出力
電圧を入力信号としてこの電圧を基にした時間積分を含
む計算により前記三相変圧器が遮断されたときの三相変
圧器鉄心中の残留磁束を演算する残留磁束演算手段及び
この残留磁束演算手段からの各相の残留磁束の演算出力
信号を基にして、投入時の磁束と投入位相および残留磁
束との関係式を用いて、前記遮断器の各相それぞれの投
入時点について、三相の内その投入時点で磁束が定常磁
束に切り替わる相についてはその投入時点以前のこの相
の磁束とその投入時点以後のこの相の定常磁束とをその
投入時点で整合させるという条件により前記遮断器の各
相ごとに個別の最適投入位相を求める個別投入位相演算
手段からなる最適投入位相演算装置とからなり、この最
適投入位相演算装置による投入位相演算結果の出力信号
を前記遮断器の投入指令として前記遮断器の各相をそれ
ぞれの最適投入位相で各相個別に投入させてなるものと
し、また前記三相変圧器の誘起電圧を各相ごとに降圧す
る相別降圧手段と、この降圧手段の出力電圧を入力信号
としてこの電圧を基にした時間積分を含む計算により前
記三相変圧器が遮断されたときの三相変圧器鉄心中の残
留磁束を演算する残留磁束演算手段及びこの残留磁束演
算手段からの各相の残留磁束の演算出力信号を基に三相
同時投入時の磁束と投入位相および残留磁束との関係式
から三相同投入の投入位相をパラメータとして三相の磁
束の波形の山部および谷部の各波高値の絶対値の内の最
大値を最大包絡線として求め、この最大包絡線が最小と
なる投入位相を三相共通の投入位相として求める投入位
相演算手段からなる最適投入位相演算装置とからなり、
この最適投入位相演算装置による投入位相演算結果の出
力信号を前記遮断器の投入指令として前記遮断器の各相
を前記最大包絡線が最小となる三共通の投入位相で各相
同時に投入させてなるものとする。
〔作用〕
この発明の構成において、電子装置としての最適投入
位相演算装置の入力信号に適するように三相変圧器の相
電圧を降圧する降圧手段により三相変圧器が遮断された
ときの過渡的に変化し最終的に零になる各相の相電圧を
降圧し、この降圧された3つの相電圧を入力信号として
残留磁束演算手段により電圧を時間積分することによっ
て三相変圧器の鉄心内の残留磁束を演算し、投入位相演
算手段により投入時の磁束と投入位相および残留磁束と
の関係式から導出される計算式を用いて励磁突流の発生
しない3相それぞれ異なる最適の投入位相を演算してこ
の演算結果を最適投入位相演算装置の出力信号とし、こ
の出力信号を遮断器の位相制御装置の投入位相信号とし
て遮断器で各相個別に投入させる。また3相を同じ位相
で同時投入するときの励磁突流が最小になる最適位相を
演算する投入位相演算手段により同時投入時の磁束と投
入位相および残留磁束との関係式から導出される計算式
を用いて励磁突流が最小となる投入位相を演算してこの
演算結果を最適投入位相演算装置の出力信号とし、この
出力信号を同時投入が可能の遮断器の位相制御装置の投
入位相信号として遮断器を各相同時に投入させる。
〔実施例〕
第1図はこの発明の実施例を示すブロック回路図で、
三相変圧器1は星形結線の一次巻線11と三角結線の二次
巻線12とでなり、鉄心の図示は省略してある。一次巻線
11は三相電源100に遮断器2を介して接続されており、
三相変圧器1の三相電源100への投入及び三相電源100か
らの遮断の両方がこの遮断器2の開閉操作によって行わ
れる。
三相変圧器1が三相電源100から遮断されるときは、
遮断器2は通常の遮断器と同じように一つの遮断指令20
0が遮断器2の制御装置25に入力されて3相の主接点21,
22,23を同時に動作させて3相一括遮断される。一方、
投入のときは、各相別々に制御された投入位相に基づき
投入することのできる位相制御機能付の遮断器である。
最適投入位相演算装置4は遮断時の過渡的に変化する
三相変圧器1の一次側の相電圧を計器用変圧器3により
降圧された相電圧を入力データとしてこの三相変圧器1
の鉄心内の残留磁束を残留磁束演算部42によって算出
し、この残留磁束演算部42の出力信号を基にして後述の
計算式に基づいて遮断器2を投入時に三相変圧器1に流
入する励磁突流を抑制するのに最適な位相を投入位相演
算部43によって算出しその結果を遮断器2の位相制御部
25に入力する機能を持つものである。
何らかの理由で遮断器2を動作させて三相変圧器1を
三相電源100から遮断する必要が生じたとき、遮断指令
信号200が外部から発せられ、この遮断指令信号200は直
接遮断器2に通常の動作と同様にして遮断器2に遮断動
作をさせる信号となるとともに、この遮断指令信号200
は最適投入位相演算装置4の入力信号となってこの最適
投入位相演算装置4による三相変圧器1の残留磁束演算
の開始指令のための信号となる。一方、三相変圧器1の
一次側の相電圧が3台の計器用変圧器3によって降圧さ
れ各相ごとに最適投入位相演算装置4の入力部としての
入力インタフェース41に含まれるA/D変換器によってデ
ィジタル信号に変換されて残留磁束演算部42の入力信号
となる。前述の遮断指令信号200によって残留磁束演算
部42は演算を開始し、まずA/D変換された相電圧のデー
タを所定の時間間隔に従って残留磁束演算部42に取り込
んで残留磁束演算部42内の記憶部に順次記憶させてい
く。この後、投入位相演算部43は所定の電算プログラム
に従った決算を行って遮断器2によって三相変圧器1を
三相電源100に投入する際の各相ごとの最適投入位相を
求め、その結果を投入位相演算部43内の記憶部に記憶し
た上で待機する。
投入指令信号201が外部より発せられるとこの投入指
令信号201は投入位相演算部43の入力信号となり、この
入力信号に基づいて先に記憶しておいた各相の最適投入
位相のデータを出力インタフェース44を介してディジタ
ル信号をアナログ信号に変換するとともに制御装置25の
位相制御信号として適した信号に変換した上で遮断器2
の位相制御部25の入力信号とし、この入力信号に基づい
て位相制御部25は主接点21,22,23にそれぞれの相ごとの
投入位相に基づいた投入指令を出力しこの出力信号に基
づいて主接点21,22,23が投入動作することにより所定の
位相で三相変圧器1が三相電源100に投入されることに
より励磁突流が実質的に発生しない理想的な投入が行わ
れることになる。
遮断器2の主接点21,22,23並びに制御装置25は従来使
用されているものであり、相毎の投入位相は制御装置25
に付属するダイアルを回して所定の位相を人手で測定
し、このダイアルの位置に応じて指定した位相に比例し
た電圧が発生してこの電圧が制御装置25に内蔵されてい
る各相の投入指令信号発進部に入力されることにより指
定の位相で各相の主接点21,22,23が投入されるものであ
り、最適投入位相演算装置4の出力信号としての出力イ
ンタフェース44の出力信号は位相に比例した電圧値に対
応する電気信号として出力される。
残留磁束演算部42によって三相変圧器1の残留磁束を
相電圧から算出する方式は次の通りである。
三相変圧器1の各相の鉄心脚に誘起する電圧はこの三
相変圧器1の相電圧に比例する。また、鉄心脚内の磁束
量の時間的変化がその鉄心脚の相の誘起電圧となるの
で、相電圧から磁束を求めるためには相電圧を積分すれ
ばよい。ただし、積分を開始する時点によって磁束には
計算上の直流成分が含まれるのでこれを消去する必要が
ある。
今、各相を区別するために相の名前として通常変圧器
に多く使用されるものとしてU,V,Wの3つの名称を付け
位相の順序もこの順であるとする。U相の電圧を基準に
して各相の定常状態における電圧,磁束量を式で表すと
次式となる。
ここで、 Vm;相電圧波高値 ε;角周波数 t;時間 Φm;定常時の鉄心脚内磁束最大値 VU,VV,VW;それぞれの相の相電圧 ΦUVW;それぞれの相の鉄心脚の磁束 今、遮断器2による遮断開始の少なくとも1サイクル
前から残留磁束計算のための相電圧データの演算部42へ
の取り込みを開始するものとする。そうすると、遮断開
始後の相電圧の過渡的な変化が始まる前に相電圧,磁束
ともに少なくとも1回ずつ交流波形の最大値と最小値と
が存在することになる。
各相の遮断時の過渡的な相電圧,磁束をVUt,VVt,VWt,
ΦUtVtWtとし、ΦUtの場合を例にとると、次式よ
りΦUtが時間関数として計算される。
ここで、 to;積分開始時間 t;時間 ΦUo;積分開始時間toによって変化する計算上の直流成
分補正項 前述のように積分開始時間toは遮断開始の少なくとも
1サイクル前であるので、相電圧は勿論、磁束も定常状
態の交流波形での最大値と最小値とが出現する筈であ
り、最大値と最小値とはその大きさが等しく符号が反対
であるという特徴があるので、(3)式の積分を行うこ
とによりΦUt(t)を時間関数の形で求め、このΦ
Ut(t)の最大値と最小値とを、それぞれΦU2U1
すると、前述の条件からΦUoを求めることができ、次式
となる。
ΦUo=(ΦU2+ΦU1)/2 ……(4) このように、遮断による過渡現象的な波形になる少な
くとも1サイクル前の任意の時間を積分開始時間にする
ことにより、相電圧を積分して鉄心脚の残留磁束を計算
することができる。ΦVtWtもインデックスを変える
だけでΦUtと同じ式が成立する。
このような計算方式で実際に残留磁束を計算するのに
大きく分けて2種類の方法があり、その一つはコンピュ
ータによってディジタル演算として行う方法であり、も
う一つの方法はアナログ演算回路により演算する方式で
ある。対象とする回路の周波数が商用周波数である50な
いし60Hzであるのでコンピュータによるディジタル演算
でも計算時間に支障を生ずることはなく、またアナログ
演算を採用するにしても、既成のアナログ演算回路を組
み合わせることにより比較的簡単に演算回路が製作でき
るので、いずれを選択するかは別の条件から検討する必
要があるが、後述の最適投入位相の計算にはコンピュー
タによるディジタル演算の方がアナログ演算よりも優れ
ている点が多いので、残留磁束計算もこれに合わせて第
1図に示すように残留磁束演算も相電圧をA/D変換によ
ってディジタル信号に変換してコンピュータによるディ
ジタル演算とするのが妥当である。
三相変圧器1の鉄心の残留磁束を前述の計算式で求め
たあと、引き続いて各相ごとの最適投入位相を求めるこ
とになる。遮断器2の各相の主接点21,22,23が別個に順
次投入されるときに、変圧器の結線によって中性点の電
圧の変化が異なりしたがって各相ごとの誘起電圧が異な
るために鉄心内の磁束の変化が結線方式によって異なる
ことから、最適投入位相は三相変圧器1の一次巻線の結
線方式によて計算式が異なり、残留磁束が同一であって
も最適位相は異なることになる。代表的な結線方式に対
してそれぞれの最適投入位相計算式を以下に示す。な
お、この発明の対象とする比較的大容量の三相変圧器で
は必ず三角結線された巻線があるものなので、以下の記
載においてもこれを前提とする。三角結線の巻線がある
と、各相の残留磁束の和が零になるという条件が常に満
足される。
1)一次巻線の結線が中性点非接地の星形結線の場合 この結線の場合は1相だけ投入されても励磁電流を変
圧器に供給する回路ができないので変圧器は励磁されな
い。2相目が投入されて始めて変圧器は励磁状態にな
る。
この電圧をそれぞれの相の投入位相αUV(α
<α<α)で投入したときのU相とV相とが投入
されW相は未投入における各相の鉄心脚内の磁束量
ΦUtVtWtは次式となる。
ここで、ΦrUrVrW;それぞれの相の残留磁束 W相が投入された後のΦWtの式は、ωt=αにおけ
るΦWtの値がΦrWになるという条件から次式となる。
ΦWt=Φ{cos(ωt+2/3π) −cos(α+2/3π )}+ΦrW ……(6) したがって、まず過渡磁束を生じさせないW相の最適
投入位相αはこの式の直流成分が零であるという条件
から求められ、その条件式は次式となるのでこの式をも
とにαを求めればよい。
ΦrW=Φmcos(α+2/3π) ……(7) V相の最適投入位相αは(2)式のΦU
(5)式のΦUtVtとがωt=αの時点で一致する
という条件が成立する次式から求められる。
U相の最適投入位相αはV相の最適投入位相α
り小さければ任意でよいが、実際的にはαと一致させ
U相とV相とは同時投入することにするのが妥当であ
る。
それぞれの投入位相を360度以内に制限しても逆余弦
関数は2価関数であるので、αとαとの2つづつの
値を組み合わせから4種の組み合わせの最適投入位相の
組み合わせが得られるが、これらの中にはU,V相投入後
W相投入前の間に過渡磁束ΦUtVtのいずれかが定格
磁束Φを越える場合があり、これらを除外すれば、結
局唯一の最適位相の組み合わせとしてαとαとの差
が最も小さいという条件のものが残り、これが求める最
適投入位相である。この条件を満足する場合の例を以下
に示す。第2図は、各相の残留磁束が定格電圧に対する
定常時の磁束最大値のそれぞれ70,0,−70%の場合につ
いて試算した結果を示す波形であり、この時の最適投入
位相は次の通りである。
α=216.2度(=α) α=216.2度 α=285.6度 第2図において、a)はU相の磁束の波形を表し、左
側の縦軸を時間tが零の起点とすると、このΦ
(2)式と一致する余弦関数となっている。b)から
e)は最適投入位相として計算された4通りの投入位相
を組み合わせのそれぞれの条件での波形を示しており、
b)とc)とが同一のW相投入位相αの場合であり、
d)とe)とが別の値のW相投入位相αの場合であ
る。それぞれの波形図における時間t1はU,V相を同時に
投入した時間であり、t2はW相を投入した時点であり、
これらはいずれも投入位相αUVにもとづいて決
定されたものである。
b),c),d)の3つの波形では時間t1,t2との間で定
格磁束Φを越えた波高値を示しており、これらの3つ
の条件は最適投入位相として適当でないことを示してい
る。したがって、この条件ではe)の場合が最適投入位
相として適した条件であるといえる。このe)の各相の
最適投入位相が前述の数値である。
2)一次巻線の結線が中性点直接接地の星形結線の場
合。
この結線の場合は1相投入されるとその相には定常電
圧がかかる。通常変圧器は前述のように三角結線の巻線
を持っているのでその1相の電圧の半分ずつが逆位相で
まだ投入されていない2相に誘起し、それに対応して各
相の鉄心脚の磁束が変化する。ある時間後残りの2相を
同時投入することにより、前項同様、過渡磁束が定格磁
束Φを越えないようにすることができる。中性点直接
接地の星形結線では二つの相が投入されればもう一つの
相にも定常電圧が誘起されるから、残りの2相の同時投
入に時間差が生じても、先に投入された瞬間を2相同時
投入とみなすことができる。
最初の投入相をU相とし、ある時間後の同時投入相を
V,W相とすると、まずU相の最適投入位相αは次式か
ら求められる。
ΦrU=Φmcos(α) ……(9) 三相残留磁束の総和は零であるから、V相の磁束につ
いての次式のαがV,Wの2相の同時投入最適位相とし
求まる。
Φ・cos(α−2/3 π) =1/2Φcos(α)−cos(α)}+Φrv ……(10) この結線の場合も最適位相の組み合わせは4通りがで
きるが、前項の場合と同様過渡磁束が定格磁束Φを越
えなような組み合わせはただ1通りであり、この場合も
前項と同じようにαとαとの差の最も小さい組み合
わせが該当する組み合わせである。
3)一次巻線の結線が三角結線の場合 この場合は中性点非接地の星形結線の場合と同様、最
初の2相を同時投入し、ある時間後残りの1相を投入す
ることになるが、各相の磁束の時間変化は中性点直接接
地の星形結線の場合と同じになる。したがって、最適投
入位相の数値は中性点直接接地と同じで、中性点直接接
地の場合の最初の1相投入位相と同じ位相で2相投入と
し、残りの1相の投入位相は中性点直接接地の場合の後
の2相の同時投入位相と同じにすればよい。
上述のように、一次巻線の結線方式に応じた最適投入
位相を計算するための計算式を示したが、これらの式
は、異なるにしても各相の最適位相は次余弦関数の形で
表現されているので、それぞれの最適位相の値を計算す
るには逆余弦関数を求めればよいことになる。例えば、
(6)式からαを求めると次式となる。
α=cos-1(Φrw)+2/3 π ……(11) Φは常に正であるが、Φrwの符号は負であることも
考慮し逆余弦関数が多価関数であることを考慮し前述の
条件から4通りの組み合わせの中から最適投入位相の組
み合わせを求めればよい。
実際に最適投入位相演算装置4で最適投入位相を計算
するのはコンピュータによるディジタル演算が妥当であ
る。その理由の一つは、一次側の結線が異なる三相変圧
器1に対してハードとしての装置は同一のものでよく単
にソフトウエアを変えるだけで任意の結線のものに適用
可能であることである。また、異なるソフトウエアにし
ても共通部分は多い。もう一つの理由は逆三角関数の計
算などはアナログ演算では必ずしも容易ではないが、ソ
フトウエアではその実現は容易である、の2つの理由に
よる。
このように理由からこの発明における最適投入位相演
算装置4を構成するものとして第1図に示すように残留
磁束演算部42と個別投入位相演算部43との演算部として
CPUと記憶部とでなるコンピュータによる構成としたの
で、この演算部に組み込まれるソフトウエアについて更
に詳述する。
第3図は前述の演算部に組み込まれるソフトウエアの
ブロック図である。
個々のブロッグごとの詳細は次の通りである。なお、
残留磁束演算部42と投入位相演算部43との区別の図示の
通りであり、これら2つの演算部42,43を1つのCPUにソ
フトウエアとして組み込む場合には、第1図に示すよう
なハード的な区分は不可能であり、この図のように、ソ
フトウエアのブロック図の中で区別が可能である。
遮断指令判定401 演算部が動作を初めても遮断指令信号が入力されない
間に待機の状態を維持する。遮断指令信号が入力されて
初めて次のステップに移る。
相電圧データ入力・記憶402 計器用変圧器からA/D変換器を介して演算部42に入力
されたディジタルデータは、所定の時間間隔ごとに入力
データとして処理され、演算部42内の記憶部に入力の順
序に応じた記憶番地に記憶される。入力の時間間隔は位
相角1度ごとに行うとして50ないし60Hzの周波数に対し
ては約50マイクロ秒である。
積算・記憶403 で演算部42に記憶されたデータを一つ一つ積算す
る。n回目に積算された値をFnとすると、このFnを別の
記憶領域に記憶する。この積算は数値積分を行うもので
あるので、単なる積算ではなく数値積分の手法である台
形積分、あるいはより計算精度の高いシンプソンの公式
を使用した数値積分など、採用する数値計算手法によっ
て積算の仕方は少し異なるがこれらは通常の技術計算に
おいて多用されている手法であるので詳しい説明は省略
する。
残留磁束計算404 (4)式のΦU2U1に比例する値としてで積算さ
れ記憶されたデータFnの最大値と最小値としてFma,Fmi
を求める。このような複数のデータから最大値,最小値
を求める方法も多用される既知のアルゴリズムであるの
で詳述を避ける。(4)式の直流成分補正項に比例する
Fの値としてのFoはFmaとFmiを用いて次式から求められ
る。
Fo=(Fma+Fmi)/2 ……(12) 残留磁束の計算405 における積算の最終値をFNとすると、残留磁束に比
例する値Frは次式で求められる。
Fr=FN−Fo ……(13) 以上で残留磁束に比例する値を求めるステップは終了
するが、求められたFrは残留磁束に比例する値であって
も残留磁束の値そのものではない。次に述べる最適位相
演算に使用される三相変圧器1の鉄心の定格電圧に対す
る定常時の最大磁束量Φを演算部42のデータとして記
憶させる際のデータと同一の比例関係にあるようにFo,F
ma,Fmi並びにFrなどのデータに所定の比例定数を掛けて
以下の演算に支障のないようにしておく必要がある。実
際には遮断前の少なくとも1サイクルを経過した相電圧
の最大値と最小値との差の2分の1を定格電圧であると
見なすと、定常時の最大磁束量Φに比例するFの値と
してのFmは次式のいずれから求められる。
Fm=Fma−Fo=Fmi+Fo=(Fma−Fmi)/2 ……(14) したがって、特にΦの値に関するディジタルデータ
をあらかじめ演算部に記憶させておかなくとも最適投入
位相の演算は可能であり、また、それぞれのFの値を上
記に定義された状態のまま使用することでなんら支障は
生じない。
各相の残留磁束を考慮して最適投入位相を決定しこの
最適投入位相に基づいて投入する方式は、前述の通り鉄
心内の磁束密度は定格電圧に対する定常時の磁束密度を
越えることがないので理論的には励磁突流は全く発生し
ない励磁突流抑制方式として理想的な方式である。実際
には残留磁束や投入位相の演算時の桁落ちや遮断器2の
投入位相の指令値からのずれなどがあり投入位相が理論
値よりずれることにより励磁突流が発生する場合が生ず
る。それでもこの発明が目的とする励磁突流を定格電流
以下にする抑制効果は充分満足することができる。
計器用変圧器3については図では電磁誘導電器として
の計器用変圧器を示しているが、PDと称されているコン
デンサ分圧を利用した計器用変圧器、あるいは抵抗分圧
を利用したものでもよく、また、第1図では三相変圧器
1の一次側から相電圧をとるものとして図示してある
が、二次側からとってもよく、更に三相変圧器を製作す
る際にあらかじめ相電圧をとるための小さい巻線を設け
ることでもよい。
降圧変圧器としての三相変圧器の場合は一次側の電圧
が高く二次側の電圧が低いので二次側に変成器を接続し
た構成の方が安価な変成器を採用することができること
の方が多い。
また、この発明を実施する上での従来装置に加える必
要のある装置の主なものは最適投入位相演算装置4であ
るが、これを構成する演算部やA/D変換器などの電子装
置は従来使用されている部分から容易に製作できるもの
であり、価格も比較的安価に製作できるものである。
第4図はこの発明の別の実施例を示すブロック回路図
である。この図においてて、第1図と同じ構成体につい
ては同じ参照符号を付けることにより詳しい説明は省略
する。
第4図の第1図の異なる点は、遮断器20が三相を同時
に投入されるもので、各相個別に位相投入を制御する機
能を持っていない。したがって、制御装置29から出力す
る投入位相も各相同じものである。実際の遮断器20で
は、各相の主接点26,27,28は機械的に接続されていて、
1つの電気信号によって投入のための機械操作が行われ
るような構成が普通である。
最適投入位相演算装置40はこのような各相個別に投入
位相を設定制御することのできない遮断器が使用されて
いる三相変圧器1に対するものである。したがって、投
入位相演算部45が演算するのは、各相を同時に投入する
場合の励磁突流最大値を最小にする投入位相であり、こ
れにともなって出力インターフェース44も1つだけでよ
い。
以下に、同時投入における励磁突流最大値が最小とな
る投入位相を算出する方法について説明する。
投入位相αで3相同時投入されたときの各相を鉄心内
の磁束密度を次式で表す。
ここで、 Bu,Bv,Bw ;U,V,W相鉄心内の磁束密度 Bm ;鉄心内の定格磁束密度波高値 Bru,Brv,Brw;U,V,W相鉄心内の残留磁束密度 θ ;ωt(時間変数の位相表現) α ;投入位相 Bu,Bv,Bwの波形の山部の最大値のBmに対する比率をρ
u1v1w1、谷部のそれをρu2v2w2、Bru,Brv,
BrwのBmに対する比率をρrurvrwとすると、これ
ら(15)式の第1項のcosの括弦の中がπになるθを代
入することによってρu1v1w1が得られ、0になる
θを代入することによってρu2v2w2が得られ、次
式となる。
これらを図示したのが第5図,第6図,第7図であ
り、それぞれの相の残留磁束密度比率が、ρru=0.7,ρ
rv=−0.7,ρrw=0.0の場合の例である。第5図はU相
の磁束密度比率であるρu1u2のグラフであり、横軸
は投入位相αで、αが0から2πの1周期分を示してお
り、縦軸は磁束密度比率ρである。同じように、第6図
はρv1v2の、第7図はρw1w2のそれぞれのグラフ
である。
第5図を例にとると、ρruは0.7と正の値であるから
ρu1u2のグラフはともに0.7だけ上に移動した形にな
っており、したがってρu1またはρu2の絶対の最大値は
α=0.0でのρu1の値である1.7である。
第8図はρu1v1w1のαの値ごとの最大値である
ρと、ρu2v2w2のαの値ごとの最小値であるρ
とを示す線図である。この図でのρのグラフは第5
図,第6図,第7図のρu1v1w1のグラフの包絡
線、ρのグラフはρu2v2w2のグラフの包絡線に
なっている。
第9図はρとρとの絶対値の大きい方の値である
ρのグラフであり、このρは結局6つのρであるρ
u1v1w1u2v2w2の絶対値のαごとの最大
値でもある。励磁突流最小となる最適投入位相αはこ
のρが最小になるときのαの値であり、図示のように
ρのグラフで谷を形成している底部に対応するαの値
である。
残留磁束密度比率ρrurvrwを残留磁束演算部42
で算出し、これを用いてαを演算する方法は、α=0.
0から2πの間を一定の間隔でαを変化させて(16),
(17)式のρu1v1w1u2v2w2の絶対値の
最大値ρを求めてゆき、このρ最小となるときのα
の値をαとする。αを変化させるときの間隔は例えば
度数にして1度をとれば充分細かな間隔になり、その場
合、角度の2πは360度であるから(16),(17)式の
計算を異なるαで360回繰り返すことになる。
このような方法はアルゴリズムとしては最も簡単であ
り、この程度の繰り返し回数では多くの場合実用上支障
になるほどの演算時間にはならないし、更に演算時間を
短縮する方法も適宜採用することができる。
第10図はこの実施例における残留磁束演算部42と投入
位相演算部43に組み込まれるソフトウエアのブロック図
である。第3図が各相の投入位相を個別に演算したのに
対してこの図では、同時投入に位相算出410で前述のア
ルゴリズムに基づいた演算を行って最適投入位相α
求める。
この実施例は同時遮断,投入方式の遮断器に適用する
ことができる。したがって、前述の三相個別投入方式に
適用可能の方式を適用できない既設の遮断器に対しても
適用が可能であるという特長がある。この代わり三相個
別投入方式に比べて励磁突流抑制効果は劣るという欠点
がある。特に残留磁束が小さい場合に励磁突流抑制効果
が小さくなるという特性があり、例えば、各相とも残留
磁束が零の場合にはρの値は1.87となって期待する励
磁突流抑制効果は得られない。しかし、このような残留
磁束が各相とも零であるのは三相変圧器が電力系統に投
入される前の状態だけであり、いったん投入された後、
何らかの理由で電力系統から切り離された場合には遮断
位相によってそれぞれの相の値は異なるが、必ず残留磁
束が残るものなので、この実施例が効果を生じないのは
三相変圧器を最初に電力系統に投入するときだけである
といえる。このときは、励磁突流が発生するということ
があらかじめ分かっているからそれなりの対策を講じる
ことができる。また、このときも励磁突流を抑制するに
は、投入の前に直流を印加して三相変圧器の鉄心内に磁
束を発生させて残留磁束を強制的に残すという方法を採
用ることができる。
〔発明の効果〕
この発明は前述のように、三相変圧器を電源から遮断
したときに鉄心内に残る残留磁束を三相変圧器の相電圧
から演算する残留磁束演算手段と、この残留磁束演算手
段が演算した残留磁束から励磁突流を完全に抑制する最
適投入位相を計算する投入位相演算手段から最適投入位
相演算装置を構成し、この最適投入位相演算装置の出力
信号としての最適投入位相に関する電気信号を従来から
ある三相別個に投入位相を制御可能な遮断器の制御装置
に入力して、この最適投入位相に従って制御された投入
位相で遮断器の主接点を投入する方式とした。その結
果、三相変圧器の鉄心内の磁束が定常時の最大磁束を越
えることがないので、励磁突流は全く発生せず遮断器に
よる電源投入後直ちに定常状態の磁束の時間的変化をす
るようになる。また、残留磁束演算手段が演算した残留
磁束からの各相を同時に投入する場合の励磁突流の最大
値を最小にする投入位相を演算する投入位相演算手段を
用い、この投入位相演算手段が演算した最適同時投入位
相に関する電気信号を最適投入位相演算装置の出力信号
として、この電気信号によって同時投入方式の遮断器の
制御装置に入力して、この遮断器を最適同時投入位相で
投入することによって三相個別に投入位相を制御する機
能を持っていない遮断器の場合でも励磁突流を抑制する
ことができる。
したがって、励磁突流に起因する三相変圧器の一次側
の電圧の急激な降下などは生じず、この三相変圧器が接
続される電力系統の電気の品質を著しく向上させること
となる。更に、前述のように従来の技術の組み合わせで
容易に必要とする装置が安価に製作可能であり、使用す
るコンピュータプログラムも技術計算に多用されるアル
ゴリズムで容易に作成が可能であるなど、この発明の実
施の容易性という特長もある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示すブロック回路図、第2
図はこの発明の実施例を示す磁束の時間変化の波形図、
第3図は第1図の演算過程を示すブロック図、第4図は
この発明の別の実施例を示すブロック回路図、第5図,
第6図,第7図,第8図,第9図はそれぞれ磁束密度比
率の投入位相に対する関係を示す線図、第10図は第4図
の演算過程を示すブロック図、第11図は励磁突流発生の
説明図としての回路図、第12図は同じく波形図である。 1:三相変圧器、2,20:遮断器、21,22,23,26,27,28:主接
点、25,29:制御装置、3:計器用変圧器(降圧手段)、4,
40:最適投入位相演算装置、41:入力インタフェース、4
2:残留磁束演算部(残留磁束演算手段)、43,45:投入位
相演算部(投入位相演算手段)、44:出力インタフェー
ス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 初吉 愛知県名古屋市緑区大高町北関山20番地 の1 中部電力株式会社内 (72)発明者 岩上 守彦 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−99445(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三角結線された巻線を備えた三相変圧器
    と、この三相変圧器を三相電源に投入・遮断をするため
    の遮断器とでなる三相回路で前記遮断器が投入されたと
    きに前記三相変圧器に発生する過渡電流としての励磁突
    流を抑制する励磁突流抑制装置において、前記三相変圧
    器の誘起電圧を各相ごとに降圧する相別降圧手段と、こ
    の降圧手段の出力電圧を入力信号としてこの電圧を基に
    した時間積分を含む計算により前記三相変圧器が遮断さ
    れたときの三相変圧器鉄心中の残留磁束を演算する残留
    磁束演算手段及びこの残留磁束演算手段からの各相の残
    留磁束の演算出力信号を基にして、投入時の磁束と投入
    位相および残留磁束との関係式を用いて、前記遮断器の
    各相それぞれの投入時点について、三相の内その投入時
    点で磁束が定常磁束に切り替わる相についてはその投入
    時点以前のこの相の磁束とその投入時点以後のこの相の
    定常磁束とをその投入時点で整合させるという条件によ
    り前記遮断器の各相ごとに個別の最適投入位相を求める
    個別投入位相演算手段からなる最適投入位相演算装置と
    からなり、この最適投入位相演算装置による投入位相演
    算結果の出力信号を前記遮断器の投入指令として前記遮
    断器の各相をそれぞれの最適投入位相で各相個別に投入
    させてなることを特徴とする変圧器励磁突流抑制装置。
  2. 【請求項2】三角結線された巻線を備えた三相変圧器
    と、この三相変圧器を三相電源に投入・遮断をするため
    の遮断器とでなる三相回路で前記遮断器が投入されたと
    きに前記三相変圧器に発生する過渡電流としての励磁突
    流を抑制する励磁突流抑制装置において、前記三相変圧
    器の誘起電圧を各相ごとに降圧する相別降圧手段と、こ
    の降圧手段の出力電圧を入力信号としてこの電圧を基に
    した時間積分を含む計算により前記三相変圧器が遮断さ
    れたときの三相変圧器鉄心中の残留磁束を演算する残留
    磁束演算手段及びこの残留磁束演算手段からの各相の残
    留磁束の演算出力信号を基に三相同時投入時の磁束と投
    入位相および残留磁束との関係式から三相同時投入の投
    入位相をパラメータとして三相の磁束の波形の山部およ
    び谷部の各波高値の絶対値の内の最大値を最大包絡線と
    して求め、この最大包路線が最小となる投入位相を三相
    共通の投入位相として求める投入位相演算手段からなる
    最適投入位相演算装置とからなり、この最適投入位相演
    算装置による投入位相演算結果の出力信号を前記遮断器
    の投入指令として前記遮断器の各相を前記最大包絡線が
    最小となる三相共通の投入位相で各相同時に投入させて
    なることを特徴とする変圧器励磁突流抑制装置。
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