JP2684353B2 - コンクリ一卜がらを骨材とした透保水性材料並びにその製造方法 - Google Patents

コンクリ一卜がらを骨材とした透保水性材料並びにその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物である「コ
ンクリートがら」を骨材として製造され、且つ近時地球
環境の改善の要望にこたえる透水性と保水性を兼ね備え
た透保水性材料並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透水性を有する舗装材料に関する商品は
数多く使用され、また、透水性コンクリートブロック、
透水性コンクリート舗装、透水性アスファルト舗装など
多くの技術が知られている。これらの技術に於ける基本
的な構成は骨材粒度がJISに規定される6号(5〜1
3mm)及び7号(5〜25mm)など粗粒子の骨材を
主材とし、これらが充填されたときに形成される間隙に
よって透水機能を調整するものであり、更に路盤として
の強度を維持するために各種のバインダーを加えたもの
は特開昭59−206502,特開昭59−15080
6及び特開昭60−215565などは既に広く実用化
されているものである。これらの従来技術によって路盤
材の物性は空隙率10〜30[%]、圧縮強度200
[kg/cm2]〜300[kg/cm2]、曲げ強度2
0〜30[kg/cm2]の強度を有し、透水係数は1
〜5×10-3〜-4[cm/sec]である。また、近年
資源リサイクルに関する研究も盛んに行われている「コ
ンクリートがら」を用いて再生骨材として利用する事が
推進されているが、「JIS A5005コンクリート
用砕石」の基準に対して骨材の吸水率3[%]以下にす
る為には「コンクリートがら」に付着したセメント水和
物の付着除去の為の精製コストが高くなり、更にまた
「コンクリートがら」には発生状態から必然的に混入さ
れる泥分(粘土)、石膏水和物などが含まれ破砕及びス
クリーン処理などをして再生された骨材中にも5〜10
[%]が含有された状態である。また、建設省総プロ土
木構造物分科会「再生骨材を用いたコンクリートの設計
施工指針(案)」などが制定され、設計基準強度が21
0[kg/cm2]以下の簡易なコンクリートの場合に
適用されている。以上のように「コンクリートがら」か
ら造る再生骨材は、セメント水和物の付着や泥土、石膏
等の混入が欠点として一般構造物への利用は洗滌が必要
となる等大幅に制約され更にこれら不純物の除去にはコ
スト的に見て困難がある為、現在は10[mm]以下の
ものは大部分埋立材や盛土材として利用されているにす
ぎない。従って、従来は透水性材料は各種存在するが、
透水性と保水性を兼ねた材料は皆無であり、豪雨の際、
河川氾濫の一つの原因となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】長年月を経て中性化の
進んだ解体コンクリート中のセメント水和物は、破砕粉
砕の過程で細粉化されて1.0[mm]以下の部分に集
積される。また、解体時に混入された石膏ボード等の石
膏類が、土砂中から入る泥土粘土分も殆ど1[mm]以
下の粒度となり、1.0[mm]乃至2.0[mm]の
粒度範囲は珪砂分が大部分を占め2[mm]以上は原砕
石の破砕物であることを化学分析及びX線回析によって
確認された。従って、本発明の目的とする路盤材の保水
性を与える技術的対策は粒度1[mm]以下の細粒部分
について組成分析を行った処、セメント水和物含有率は
30[%]±5[%]石膏及び炭酸カルシウム20
[%]±5[%]泥土粘土分30[%]±5[%]の範
囲のものであった。このような組成物は、雑セメントモ
ルタルとして古くから知られる土壌セメント、或いは石
灰、石膏を混合して欧州では古くから使用されているメ
ーソンリーセメントなど吸水性をもったセメントモルタ
ルを造る上では好ましいものである事を発見した。
【0004】本発明は、以上の事情に鑑みて創案された
ものであり、路盤材は舗道などの軽荷重の路面の舗装材
料、或いは透水性をもったコンクリート板やセラミック
舗道板の施工下地路盤に使用されるコンクリートを目的
とするもので、圧縮強度150[kg/cm2]以上、
曲げ強度30[kg/cm2]以上を有し、空隙率20
[%]以上の透水間隙をもち、更に、15[%]以上の
飽和吸水率を有するものを物性目標とするものである。
また、本発明は、「コンクリートがら」を必要な粒度分
布に粉砕整粒するがセメント水和物は除去する事なく細
粉<1.0[mm]の部分に残し、更に泥土分及び石膏
は2[%]〜30[%]の範囲混入し吸水率が5[%]
以上を有する骨材を粒度調整して用いる事により20
[%]〜80[%]の透水性、従って80[%]〜20
[%]の保水性をもった透保水性材料を新規に提供する
ことを目的とすると共にその製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するために、コンクリート構造物の解体によって発
生し、必要により泥土分を含有した「コンクリートが
ら」の破砕物であって、粒度別調整割合として、1.0
[mm]以下が15以上25以下[重量%],1.0
[mm]を超え2.0[mm]以下が15以上25以下
[重量%],2.0[mm]を超え5.0[mm]以下
が30以上40以下[重量%],5.0[mm]を超え
10.0[mm]以下が15以上25以下[重量%],
10.0[mm]を超え15.0[mm]以下が0以上
10以下[重量%]の範囲にある骨材50以上80以下
[重量%]と、ポルトランドセメント10以上30以下
[重量%]と、高炉スラグ粉末及び/又はフライアッシ
ュ粉末5以上20以下[重量%]と、必要に応じ石膏1
5以下[重量%]、水10以上20以下[重量%]とが
均一に混練され、セメント水和物が生成しており、団粒
化されてなる「コンクリートがら」を骨材とした透保水
性材料を構成するものである。また、前記泥土分の含有
割合が無水状態で2以上20以下[重量%]である「コ
ンクリートがら」を骨材とした透保水性材料を特徴と
し、前記粒度別調整された骨材が、硬化セメント水和物
を10以上20以下[重量%]、前記石こう分が2以上
30以下[重量%]を含有する「コンクリートがら」を
骨材とした透保水性材料を特徴とするものである。ま
た、コンクリート構造物の解体によって発生し、必要に
より泥土分を含有した「コンクリートがら」の破砕物で
あって、粒度別調整割合として、1.0[mm]以下が
15以上25以下[重量%],1.0[mm]を超え
2.0[mm]以下が15以上25以下[重量%],
2.0[mm]を超え5.0[mm]以下が30以上4
0以下[重量%],5.0[mm]を超え10.0[m
m]以下が15以上25以下[重量%],10.0[m
m]を超え15.0[mm]以下が0以上10以下[重
量%]の範囲にある骨材50以上80以下[重量%]
と、ポルトランドセメント10以上30以下[重量
%]、高炉スラグ粉末及び/又はフライアッシュ粉末5
以上20以下[重量%]、必要に応じて石膏15以下
[重量%]と、前記ポルトランドセメント重量に対し、
0.005以上0.2以下[重量%]のメチルセルロー
ズとに、水10以上25以下[重量%]の適量を加水し
つつ、造粒機又は混練機にて混練造粒することにより、
直径が1以上25以下[mm]の団粒状に調整する「コ
ンクリートがら」を骨材とした透保水性材料の製造方法
を特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】透水性は骨材部分を構成する粒度
分布によって調整されるものであり、粗粒子部分が多く
なれば当然透水性は高くなるが、骨材同志の結合強度を
保持する為には特開昭59−150806などに知られ
るようにエポキシ樹脂など価格の高い高強度結合材の添
加が必要である。(請求項1)に示す粒度範囲は一般常
識として知られる粒度構成よりは全体として結合強度を
高めると共に透水間隙を細分化した構造である事が特徴
となるものである。更に、前述したように、中和したセ
メント水和物と石灰及び石膏と更に泥土分からなる1
[mm]以下の細粒部分とポルトランドセメントからな
る結合相を形成するセメントモルタルについて実験した
ところ、ポルトランドセメントは、10[%]〜30
[%]の範囲に於いて目的とする強度を得る事を確認し
たが、本発明の目的とする保水性を得る為には、高炉ス
ラグ又はフライアッシュなどを5[%]〜20[%]の
範囲を加える事により石膏成分と反応したエトリンガイ
ト(3Cao,AL2O3,3CaSO4,32H2O)の成分が見られた。
エトリンガイトは多量の結合水をもった膨潤した状態の
ゲル相を生成して、ミキサー混練時に骨材粒子を包み込
んだ団粒状となることが分かった。ミキサー混練時間が
約5分間で3[mm]φ〜15[mm]φに生長し、時
間が長くなると更に大きくなるが、施工作業条件、及び
保水性透水性の目標物性に達する為には15[mm]φ
以上は好ましくないものであった。(請求項4)に示す
メチルセルローズは、吸水率の高い細粒部分によるドラ
イアウトを防止する保水剤として、また施工現場に於け
る施工作業のオープンタイムを保持する為に必要なもの
である。更にメチルセルローズを0.005〜0.2
[%]は、細粒部分に含まれる泥土(粘土)に対する凝
集効果を示し、団粒の安定化に効果がある。
【0007】なお、(請求項1),(請求項2)および
(請求項4)においてそれぞれ[重量%]を規制してい
るのは次の理由による。即ち、(請求項1)においてポ
ルトランドセメントを10以上30[%]以下としたの
は、10[%]未満では強度がでず、30[%]を超え
ると造粒ができないためである。また、高炉スラグ又は
フライアッシュを5以上20[%]以下としたのは5
[%]未満では造粒ができず、20[%]超えると強度
がでないためである。また、石膏を15[%]以下とし
たのは15[%]超えると強度がでないためである。更
に、水を10[%]以上20[%]以下としたのは10
[%]未満又は20[%]を超えると造粒ができないた
めである。次に、(請求項2)で泥土分を20[%]以
下としたのは20[%]を超えると強度がでず、0
[%]では保水効果が著しく低下するためである。ま
た、(請求項4)において、メチルセルローズを0.0
05[%]以上0.2[%]以下としたのは、0.00
5[%]未満では保水ができず、0.2[%]を超える
と透水性が落ちるためである。
【0008】図1および図2は本発明に係る透保水性材
料による路盤材コンクリートの組織を示すもので、従来
のコンクリート構造とは全く異なる独特の組織をもって
いる。即ち、骨材1の周囲はエトリンガイトによって容
積が膨脹,膨潤された厚いモルタル相で包まれた団粒状
のものとなるが、施工し強い圧力で転圧されると骨材1
の間隙は殆どモルタル2で充填され、図1のような状態
となる。しかしモルタル2の硬化及び乾燥脱水の進行と
共に大きい容積収縮を起こして図2に示すように孔隙3
が生ずる。孔隙3は透水性を与える役割をする。また、
骨材1の粒子を包むモルタル2の硬化体は顕微鏡観察に
よると10[ミクロン]〜100[ミクロン]程度の毛
細気孔からなるものであり、調湿効果を有すると共に、
泥土分と相俟って高い保水性を示す役割を持つものであ
る。なお、転圧力の調整によっても透水性孔隙を管理調
整することができる。
【0009】
【実施例】 (1)使用した「コンクリートがら」砕石の品質 入手したコンクリート解体物から木くず、紙くず及び金
属物を除去した後、インパクトクラッシャーで破砕した
後、トロンメル選別機で10[mm]以下の砕石状とし
た。なお、本発明の目的とする粒度分布を得る為にイン
パクトクラッシャーの回転数を調整した。粉砕調整され
た10[mm]以下の砕石の粒度分布は表1に示す通り
である。
【0010】
【表1】
【0011】なお、前記実施例においては、砕石の組成
物のコンクリート分80[%],石膏分7[%],タイ
ル・ガラス分3.5[%],泥土分7[%],木質成分
1[%],金属分1.5[%]であった。
【0012】(2)配合率と物性 A,B,C3種類の試験体のポルトランドセメント,高
炉スラグ,メチルセルローズ骨材,水の配合率を表2に
示す。なお、混合はダルマ型ミキサで5分間混練し、3
[mm]乃至15[mm]直径の団粒状の配合物とし
た。
【0013】
【表2】
【0014】以上の配合率の試験体A,B,Cについて
同一条件で転圧し、7日および28日経過した後の曲げ
強度の測定結果を表3に示す。また、この試験体A,
B,Cを約50日経過した後に測定した飽和吸水率およ
び透水係数の値を表4に示す。
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、次のような顕著な効果
が上げられる。本発明は、廃棄物として排出されるコン
クリート解体物中に必然的に混入、含有される不純物と
して、再生骨材としての利用のネックとなっている経年
セメント水和物、石膏,石灰及び泥土などを積極的に活
用して、セメントモルタル水和機構の中でエトリンガイ
ト(3Cao,AL2O3,3CaSO4,32H2O)を生成せしめて見
かけの容積を増加させ粗骨材粒子の周囲を厚く包み込ん
だ3[mm]乃至15[mm]の団粒状態にして施工転
圧した路盤構造を取るものであり、また、メチルセルロ
ーズを少量添加して泥土分を凝集させて団粒を安定化さ
せるものである。また、本発明の前記実施例からわかる
ように歩道路盤材料としては充分な強度特性をもち、且
つ他発明の目的とする透水性は1時間約100[mm]
の雨量も容易に透水すると共に、従来この種の路盤材に
はない高い保水性を有し、豪雨時河川の氾濫を防止する
と共に毛細管気孔中で保水された水は蒸発気化熱によっ
て地球温暖化防止に役立つものである。また、現在埋め
込み材として廃棄処理されている10[mm]以下の
「コンクリートがら」を主原料とするものであり、本発
明によるこの種の用途に使用されている路盤材としては
極めて高い経済性を有すると共に、社会的に新たな、高
い貢献をもたらすものである。更に、本発明の材料の
内、泥土分又は細粒分の多い、換言すれば比較的保水性
大なる配合で板状に成形して屋根材として使用すれば、
水分の気化熱が大きいため、夏期、建物の最上階の日射
による温度上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるコンクリート施工および圧力転
圧後における組織図。
【図2】図1の状態から硬化,乾燥,脱水された状態の
コンクリートの組織図。
【符号の説明】
1 骨材 2 モルタル 3 孔隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 東男 東京都武蔵村山市伊奈平5−43−6 (72)発明者 渡部 三郎 東京都武蔵村山市伊奈平5−43−6 (72)発明者 安田 信 東京都武蔵村山市伊奈平5−43−6 (72)発明者 和田 敏之 東京都武蔵村山市伊奈平5−43−6 (56)参考文献 特開 平7−68236(JP,A) 特開 平6−285454(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート構造物の解体によって発生
    し、必要により泥土分を含有した「コンクリートがら」
    の破砕物であって、粒度別調整割合として、1.0[m
    m]以下が15以上25以下[重量%],1.0[m
    m]を超え2.0[mm]以下が15以上25以下[重
    量%],2.0[mm]を超え5.0[mm]以下が3
    0以上40以下[重量%],5.0[mm]を超え1
    0.0[mm]以下が15以上25以下[重量%],1
    0.0[mm]を超え15.0[mm]以下が0以上1
    0以下[重量%]の範囲にある骨材50以上80以下
    [重量%]と、ポルトランドセメント10以上30以下
    [重量%]と、高炉スラグ粉末及び/又はフライアッシ
    ュ粉末5以上20以下[重量%]と、必要に応じ石膏1
    5以下[重量%]、水10以上20以下[重量%]とが
    均一に混練され、セメント水和物が生成しており、団粒
    化されていることを特徴とする「コンクリートがら」を
    骨材とした透保水性材料。
  2. 【請求項2】 前記泥土分の含有割合が無水状態で2以
    上20以下[重量%]である請求項1に記載の「コンク
    リートがら」を骨材とした透保水性材料。
  3. 【請求項3】 前記粒度別調整された骨材が、硬化セメ
    ント水和物を10以上20以下[重量%]、前記石こう
    分が2以上30以下[重量%]を含有するものである請
    求項1又は2の「コンクリートがら」を骨材とした透保
    水性材料。
  4. 【請求項4】 コンクリート構造物の解体によって発生
    し、必要により泥土分を含有した「コンクリートがら」
    の破砕物であって、粒度別調整割合として、1.0[m
    m]以下が15以上25以下[重量%],1.0[m
    m]を超え2.0[mm]以下が15以上25以下[重
    量%],2.0[mm]を超え5.0[mm]以下が3
    0以上40以下[重量%],5.0[mm]を超え1
    0.0[mm]以下が15以上25以下[重量%],1
    0.0[mm]を超え15.0[mm]以下が0以上1
    0以下[重量%]の範囲にある骨材50以上80以下
    [重量%]と、ポルトランドセメント10以上30以下
    [重量%]、高炉スラグ粉末及び/又はフライアッシュ
    粉末5以上20以下[重量%]、必要に応じて石膏15
    以下[重量%]と、前記ポルトランドセメント重量に対
    し、0.005以上0.2以下[重量%]のメチルセル
    ローズとに、水10以上25以下[重量%]の適量を加
    水しつつ、造粒機又は混練機にて混練造粒することによ
    り、直径が1以上25以下[mm]の団粒状に調整する
    ことを特徴とする「コンクリートがら」を骨材とした透
    保水性材料の製造方法。
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